JP2008275244A - 熱交換器の製造方法および熱交換器 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ろう材が被覆された偏平チューブ2を積層してコア3を構成し、それらの外周にケーシング4を被嵌して全体を一体的にろう付け固定した熱交換器の製造方法において、そのろう付け時にろう材の溶融に伴って生じる各部品間の隙間を埋めると共に、寸法精度の高い熱交換器の製造方法および熱交換器の提供。
【解決手段】 ケーシング4を断面溝型に曲折した第1ケース4aと、両縁部が僅かに立ち上げられた第2ケース4bとで構成し、第2ケース4bの両縁部に第1ケース4aの両縁を嵌着し、その嵌着部を積層方向に僅かに異動自在に保持する。そして第2ケース4bを下側に位置して第1ケース4aを上下方向に圧縮状態で、全体を一体的にろう付け固定する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、複数の偏平チューブの積層体からなるコアと、その外周を被嵌するケーシングとを具備する水冷熱交換器であって、各部品の外表面にろう材が被覆された熱交換器の製造方法に関する。
さらに詳しくは、ろう付けの際に部品表面に被覆されたろう材が溶融して板厚が減厚(コアの焼き縮み)されたとき、それらの間に隙間が生じないと共に、精度良く熱交換器を製造するための方法に関する。
下記特許文献に記載された熱交換器は、一対の皿状プレートよりなるエレメントを多数積層すると共に、その外周にケーシングを被嵌した熱交換器において、各部品の製造誤差を吸収するために、ケーシングをその中間位置で、エレメントの積層方向に二分割し、その分割部に帯状の重なり合わせ部を設け、上下方向にケーシングの二部材が移動できるように構成したものである。
それにより、ろう付けされる熱交換器において、仮に各部品間に隙間が生じていたとしても、一対のケーシング部品間を圧縮することにより、その隙間を無くして精度の高い熱交換器を提供することを目的とする。
特開平11−303689号公報
ケーシングを各偏平チューブの積層方向の中間高さで二分割し、コアの外周にそれらを被嵌して、その分割部に積層方向の重ね合わせ部を設け、全体を積層方向に圧縮して、ケーシングの重ね合わせ部で部品の製造誤差を吸収するものにおいては、その圧縮により中間部が幅方向に膨らみ、幅方向の寸法精度を確保できないおそれがある。それと共に、積層方向においても重ね合わせ部が均一に嵌着されるとは限らず、弾性変形によって、縦方向の寸法精度も悪くなるおそれがある。
そこで本発明は、かかる課題を解決することを目的とする。
請求項1に記載の本発明は、その外面に突設したディンプル(1)または突条により互いに接触する多数の偏平チューブ(2)を積層してコア(3)を構成し、そのコア(3)の外周に、その一部が接するようにしてケーシング(4)を被嵌し、それら各部品の表面に予め被覆されたろう材により、各部品間を互いにろう付け固定した熱交換器の製造方法において、
前記ケーシング(4)は、それぞれ内面にろう材が被覆されて、断面門形に曲折された第1ケース(4a)と、両縁部が僅か立ち上げられた第2ケース(4b)とからなり、その第2ケース(4b)の両縁部に第1ケース(4a)の両縁を嵌着し、その嵌着部を前記積層方向に重複して、その積層方向に僅かに移動自在に保持し且つ、その第2ケース(4b)を下側に位置して、前記ケーシング(4)を上下方向に圧縮した状態で、全体を一体にろう付け固定した熱交換器の製造方法である。
請求項2に記載の本発明は、請求項1において、
前記ケーシング(4)は、その第1ケース(4a)と第2ケース(4b)とにより全体が筒状に形成され、その両端開口縁部内に一対の短筒状のタンク(5)の一端開口縁部が挿入され、
そのタンク(5)は、その外周が変形しないように一体の形成体からなり且つ、前記ろう付けの際に被覆されたろう材の溶融に基づく、ケーシング(4)の圧縮方向の移動分だけ予め縮小した外形を有するものを用いて、それら各部品間を一体にろう付け固定した熱交換器の製造方法である。
請求項3に記載の本発明は、請求項2において、
前記ケーシング(4)の内面で、前記コア(3) の端縁と前記タンク(5)の開口縁との間に、それらの縁に沿って位置決め突条(6)が設けられ、その位置決め突条(6)にコア(3)の端部およびタンク(5)の開口縁が略接するようにした熱交換器の製造方法である。
請求項4に記載の本発明は、請求項2または請求項3において、
前記偏平チューブ(2)は、一対の浅い溝形プレート(2b)を互いに逆向きに重ね合わせたものからなり、その両端部が偏平に膨出した膨出縁部(2a)を有し、隣接する偏平チューブ(2)は互いにその膨出縁部(2a)の外周が接触してコア(3)を構成し、そのコア(3)の両端部を前記ケーシング(4)の両端部に接触して、一体にろう付け固定した熱交換器の製造方法である。
請求項5に記載の本発明は、請求項1〜請求項4のいずれかの製造方法により製造された熱交換器である。
本発明の熱交換器の製造方法は、第1ケース4aと第2ケース4bとからなるケーシング4内に、複数の偏平チューブ2からなるコア3が配置され、その第1ケース4a,第2ケース4b間を圧縮したとき、第1ケース4aと第2ケース4bとの嵌着部が偏平チューブ2の積層方向に異動自在に保持され、その圧縮状態で各部品間が一体にろう付け固定されたものである。
しかも、下側に位置する第2ケース4bは、その両縁部が僅かに立ち上げられ、第1ケース4aは断面門形に曲折されたものであるから、第1ケース4a,第2ケース4bの内面に被覆されたろう材がその嵌着部に集合し、ろう付けの信頼性が向上する。それと共に、第2ケース4bの両縁部は僅かに立ち上げられた形状であるため、その嵌着部の剛性が強くなり、圧縮してろう付けする際の変形を抑制して、各部品間の精度を向上し得る。
上記構成において、ケーシング4の両端部に一対のタンク5を設け、そのタンク5は外周が変形しないように一体形成してなるもので且つ、ろう付けの際のろう材の溶融に基づくケーシング4の圧縮方向の移動分だけ予め縮小した外形とすることができる。その場合には、タンク5によって各部品が圧縮方向に位置決めされ、精度の高い熱交換器を提供できる。そして、各部品間に隙間のない信頼性の高いものとなり得る。
さらに上記構成において、ケーシング4の内面で、前記コア3の端縁と前記タンク5の開口縁との間に、それらの縁に沿って位置決め突条6を設け、その位置決め突条6にコア3の端部およびタンク5の開口縁を略接することができる。その場合には、コア3およびタンク5の位置決めを確実に行うと共に、偏平チューブ積層の際に、各偏平チューブの開口部の境の幅方向両端に生じる、断面v字状の隙間が、突条6により閉塞されて気密なろう付け構造となる。
上記構成において、偏平チューブ2の両端部を膨出縁部2aとし、隣接する偏平チューブ2は膨出縁部2aの外周どうしが接触するようにしてコア3を構成することができる。この場合には、ヘッダープレートを不要とする構造の簡単な熱交換器を精度よく製造することができる。
次に、図面に基づいて本発明の実施の形態につき説明する。
図1は本発明の製造方法による熱交換器の要部分解斜視図(A)及びその偏平チューブ2の要部斜視図(B)である。
この実施例の熱交換器は、ヘッダプレートを不要とする熱交換器であって、インナーフィン9を有する複数の偏平チューブ2を積層してコア3が形成され、そのコア3の外周にケーシング4が被嵌されると共に、ケーシング4の両端部(左端側を省略)に一対のタンク5が嵌着して、各部品間が一体にろう付け固定される熱交換器である。
その偏平チューブ2は、図1(B)に示す如く、一対(上側を省略)の溝型プレート2bを互いに逆向きに重ね合わせたものからなり、その両端部はプレス成形により膨出した膨出縁部2aを有する。それと共に、その内面側にディンプル1が定間隔に突出されている。溝型プレート2bは、その内面側及び外面側に夫々ろう材が被覆されたクラッド材(図4参照)よりなる。
このようにしてなる偏平チューブ2は、図1,図2に示す如く積層され、夫々の膨出縁部2aで隣接する偏平チューブ2が互いに接触すると共に、夫々のディンプル1どうしが接触する。そして、膨出縁部2aを除き、各偏平チューブ2間に冷却水の流通路が形成される。
また、偏平チューブ2の内部にはインナーフィン9が配置される。このインナーフィン9としては、公知のコルゲートフィン型のもの、或いはマルチエントリー型(オフセット型)のものを用いることができる。なお、偏平チューブ2の膨出縁部2aは、その幅方向及び厚み方向に夫々膨出してなる。このような偏平チューブ2が積層されてコア3を構成する。
次に、このコア3が被嵌されるケーシング4は、第1ケース4aと第2ケース4bとからなり、第1ケース4aは断面門形に形成され、第2ケース4bはその両縁が僅かに立ち上げられて浅い溝型に形成されている。さらに、各第1ケース4a,第2ケース4bの両端縁には、その内面側にその端縁からの間隔を同一にした複数の位置決め条部6が、端縁に平行に突設されている。
このような位置決め条部6は、プレス成形の半抜き加工により製作することができる。即ち、各第1ケース4a,第2ケース4bの板厚よりも薄い範囲でその外面側に凹条6aが形成されるように切断を伴う塑性変形が行われる。
また、第1ケース4a,第2ケース4bには、夫々偏平チューブ2のディンプル1に整合する位置に、その内面側に定間隔にディンプル1が突設形成される。さらに、第1ケース4aの外幅が第2ケース4bの内幅に整合する。
次に、タンク5は段付きの短い筒状体からなり、プレス成形により一体的に形成される。タンク5の後端部外周は、ケーシング4の組立て状態における内周に、略整合する。即ち、タンク5の幅は第1ケース4aの幅に整合すると共に、タンク5の高さはコア3の高さよりも図2において隙間tだけ予め低く形成されている。この隙間tは、各部品表面に被覆されたろう材が溶融したとき、その縮み代の総合計に略等しく形成されている。そして、図2においてコア3の外周にケーシング4を被嵌し、ケーシング4の両端部にタンク5を嵌着したとき、コア3とケーシング4とはその内面側においてろう付け前の組立て状態で互いに接触する。
このとき、タンク5の上端面とケーシング4との間にはtの隙間が生じる。さらに、図3に示す如く、第1ケース4aの下端部は第2ケース4bの立ち上げ縁部内に嵌着すると共に、その第1ケース4aの下端縁と第2ケース4bの底面との間に僅かな隙間sが生じる。
また、フランジ材8は環状に形成され、その内周がタンク5の先端部外周に整合する。
なお、図1〜図3における各部品は板のプレス成形体よりなり、その板は、図4に示す如く、芯材10aの少なくとも一方の表面または両面にろう材10bが被覆されている。この例では第1ケース4a,第2ケース4bは、その内面側にろう材が被覆されている。偏平チューブ2は、その内外面に夫々ろう材10bが被覆されている。そして組立て状態において、コア3の両端及びタンク5の端縁は、ケーシング4の位置決め条部6によって位置決めされる。即ち、コア3の両端及びタンク5の端縁は、位置決め条部6に略接触して位置決めされる。
このように組み立てられた状態で、一対の第1ケース4a,第2ケース4b間が圧縮される。このとき、特にその第1ケース4aの開口縁においても圧縮される。このような熱交換器組立体は、ケーシング4の第2ケース4bが下側に位置して高温の炉内に挿入され、一体的に且つ液密にろう付け固定される。そして、各部品のろう材が溶融すると、各部品はその分だけ板厚が減少する。このとき一対の第1ケース4a,第2ケース4b間は、偏平チューブ2の積層方向に圧縮されているから、ろう材溶融に伴う減厚に追随し、第1ケース4aが第2ケース4b側に移動する。このときの移動量は、タンク5と第1ケース4aとの隙間tに等しい。
逆に言えば、タンク5の寸法により各部品の積層方向への移動が規制される。それにより、各部品が精度よく位置決めされる。このとき、第2ケース4bはその幅方向両縁部が僅かに立ち上げられたものであるため、幅方向への剛性が強く第1ケース4aの幅方向への変形を規制して、幅方向への寸法精度も向上させることができる。
このようにして製造された熱交換器は、図2及び図3において一方のタンク5から高温ガス12が各偏平チューブ2内に供給され、それが他方のタンク5に導かれる。また、ケーシング4の一方の水パイプ7から冷却水11が偏平チューブ2の外周に流通して、他方の水パイプ7からそれが流出して、両流体間に熱交換が行われる。
なお、高温ガス12は、それに代えて高温液体を流通させることができる。また、上記の例では、夫々の偏平チューブ2はその両端が開口したものであるが、それに代えて周縁が閉塞され、その長手方向両端部に一対の連通孔を設けた積層型の熱交換器とすることもできる。この場合には、偏平チューブ2内に冷却水を流通し、偏平チューブ2の外面側に高温ガス12を流通させることかできる。
本発明の製造方法における熱交換器の要部分解斜視図及びその偏平チューブ2の構成部品である膨出縁部2aの要部斜視図。 同熱交換器の組立て状態を示す要部縦断面正面図。 図2におけるIII−III矢視縦断面略図。 同熱交換器の部品に用いられるプレート10の拡大断面説明図。
符号の説明
1 ディンプル
2 偏平チューブ
2a 膨出縁部
2b 溝形プレート
3 コア
4 ケーシング
4a 第1ケース
4b 第2ケース
5 タンク
6 位置決め条部
6a 凹条
7 水パイプ
8 フランジ材
9 インナーフィン
10 プレート
10a 芯材
10b ろう材
11 冷却水
12 高温ガス
t 隙間
s 隙間

Claims (5)

  1. その外面に突設したディンプル(1)または突条により互いに接触する多数の偏平チューブ(2)を積層してコア(3)を構成し、そのコア(3)の外周に、その一部が接するようにしてケーシング(4)を被嵌し、それら各部品の表面に予め被覆されたろう材により、各部品間を互いにろう付け固定した熱交換器の製造方法において、
    前記ケーシング(4)は、それぞれ内面にろう材が被覆されて、断面門形に曲折された第1ケース(4a)と、両縁部が僅か立ち上げられた第2ケース(4b)とからなり、その第2ケース(4b)の両縁部に第1ケース(4a)の両縁を嵌着し、その嵌着部を前記積層方向に重複して、その積層方向に僅かに移動自在に保持し且つ、その第2ケース(4b)を下側に位置して、前記ケーシング(4)を上下方向に圧縮した状態で、全体を一体にろう付け固定した熱交換器の製造方法。
  2. 請求項1において、
    前記ケーシング(4)は、その第1ケース(4a)と第2ケース(4b)とにより全体が筒状に形成され、その両端開口縁部内に一対の短筒状のタンク(5)の一端開口縁部が挿入され、
    そのタンク(5)は、その外周が変形しないように一体の形成体からなり且つ、前記ろう付けの際に被覆されたろう材の溶融に基づく、ケーシング(4)の圧縮方向の移動分だけ予め縮小した外形を有するものを用いて、それら各部品間を一体にろう付け固定した熱交換器の製造方法。
  3. 請求項2において、
    前記ケーシング(4)の内面で、前記コア(3)の端縁と前記タンク(5)の開口縁との間に、それらの縁に沿って位置決め突条(6)が設けられ、その位置決め突条(6)にコア(3)の端部およびタンク(5)の開口縁が略接するようにした熱交換器の製造方法。
  4. 請求項2または請求項3において、
    前記偏平チューブ(2)は、一対の浅い溝形プレート(2b)を互いに逆向きに重ね合わせたものからなり、その両端部が偏平に膨出した膨出縁部(2a)を有し、隣接する偏平チューブ(2)は互いにその膨出縁部(2a)の外周が接触してコア(3)を構成し、そのコア(3)の両端部を前記ケーシング(4)の両端部に接触して、一体にろう付け固定した熱交換器の製造方法。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれかの製造方法により製造された熱交換器。
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