JP2004060920A - 熱交換器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】インナーフィン12の端部をチューブ11の長径方向端部に当てるのではなく、長径方向端部に設けた突起部11eにインナーフィン12の端部を当てることによりインナーフィン12をチューブ11に対して位置決めする。これにより、チューブ11の長手方向端部における長径方向端部の曲率半径R1を小さくすることなく、インナーフィン12を確実にチューブ11に対して位置決めすることができる。また、チューブ11の長手方向端部、つまり挿入穴23aに挿入される部位は、曲率半径R1を大きくすることができるので、チューブ11の挿入組み付け性が悪化することはない。したがって、チューブ11の挿入組み付け性及びコアプレート23の加工性を損なうことなく、インナーフィン12の固定位置がチューブ11に対して大きくばらつくことを防止できる。
【選択図】 図4
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は熱交換器に関するもので、燃焼により発生する排気と冷却流体との間で熱交換を行う排気熱交換装置、例えばEGR(排気再循環装置)用の排気を冷却するガスクーラに適用して有効である。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
図2は出願人が試作検討したガスクーラの外観図(一部断面)であり、図7は図2のA−A断面図であり、図8は図7のA部拡大図である。
【0003】
この試作検討に係るガスクーラは、図7に示すように、冷却水が流通する流体通路16を構成するパイプ状のケーシング20と、排気が流通する複数本のチューブ11及びインナーフィン12からなる熱交換コア15と有して構成されたものである。
【0004】
また、熱交換コア15、つまりチューブ11は、図2に示すように、その長手方向端部がコアプレート23に挿入されてコアプレート23を介してケーシング20に固定されている。
【0005】
ところで、チューブ11をコアプレート23に挿入するに当たっては、コアプレート23にチューブ11を挿入するための挿入穴23aを設ける必要があるが、チューブ11の挿入組み付け性を考慮すると、図8に示すように、チューブ11の角部の曲率半径R1をなるべく大きくすることが望ましい。
【0006】
因みに、角部の曲率半径R1を小さくすると、チューブ11を挿入穴23aに挿入し難くなるとともに、挿入穴23aを開けるための加工(例えば、プレスによる打ち抜き加工)性が低下する。
【0007】
しかし、角部の曲率半径R1を大きくすると、チューブ11の角部において曲面となる範囲が大きくなるので、インナーフィン12の端部をチューブ11の角部に当てるようにしてインナーフィン12をチューブ11に対して位置決めすることができず、ろう付け完了後において、インナーフィン12の固定位置がチューブ11に対して大きくばらついてしまうといった問題が発生する。
【0008】
本発明は、上記点に鑑み、第1には、従来と異なる新規な熱交換器を提供し、第2には、インナーフィンの固定位置がチューブに対して大きくばらつくことを防止することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、流体が流通する流体通路(16)を構成するパイプ状のケーシング(20)と、ケーシング(20)内に収納され、ケーシング(20)内を流れる流体と熱交換する流体が流通するチューブ(11)を有する熱交換コア(15)と、チューブ(11)内に設けられ、渦流れを発生させて熱伝達率を向上させるフィン(12)と、チューブ(11)の長手方向端部が挿入される挿入穴(23a)を有し、チューブ(11)をケーシング(20)に対して固定するコアプレート(23)とを備え、チューブ(11)のうち長手方向端部から長手方向中央部側にずれた部位には、チューブ(11)の外側から内側に陥没して内側に突出した突起部(11e)が塑性加工にて設けられており、さらに、フィン(12)は、突起部(11e)によりチューブ(11)内に位置決めされていることを特徴とする。
【0010】
これにより、チューブ(11)の角部の曲率半径R1を小さくすることなく、フィン(12)を確実にチューブ(11)に対して位置決めすることができる。
【0011】
また、チューブ(11)の長手方向端部、つまり挿入穴(23a)に挿入される部位においては、試作検討品と同様に、曲率半径R1を大きくすることができるので、チューブ(11)の挿入組み付け性が悪化することはない。
【0012】
したがって、チューブ(11)の挿入組み付け性及びコアプレート(23)の加工性を損なうことなく、フィン(12)の固定位置がチューブ(11)に対して大きくばらつくことを防止できるともに、従来と異なる新規な熱交換器を得ることができる。
【0013】
請求項2に記載の発明では、チューブ(11)は、その長手方向から見た断面形状が扁平状に形成されており、さらに、突起部(11e)は、断面形状の長径方向端部側に設けられていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項3に記載の発明では、チューブ(11)は、所定形状にプレス成形された2枚の板材(11b)を組み合わせることにより構成されており、さらに、突起部(11e)は、板材(11b)にプレス成形を施すことにより形成されていることを特徴とするものである。
【0015】
請求項4に記載の発明では、チューブ(11)内には、燃焼により発生する排気が流れ、フィン(12)は、チューブ(11)の長手方向から見た断面形状が略波状に形成されており、さらに、チューブ(11)のうちフィン(12)が配置されていない部位には、内方側に突出した突起状のディンプル(11d)が設けられていることを特徴とする。
【0016】
これにより、フィン(12)をチューブ(11)に対して所定の位置に配置固定できるので、ディンプル(11d)とフィン(12)の側面との距離が過度に小さくなる、又は必要以上に大きくなるといったことを未然に防止できる。
【0017】
したがって、ディンプル(11d)と壁部(12b)と間にすす等のPMが堆積していくことを未然に防止できるとともに、確実に渦を発生させることができるので、排気とチューブ(11)との間の熱伝達率を向上させることができる。延いては、熱交換器の熱交換能力を向上させることができる。
【0018】
因みに、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0019】
【発明の実施の形態】
本実施形態は、本発明に係る熱交換器をディーゼル式のエンジン用排気冷却装置に適用したものであり、図1は本実施形態に係る排気冷却装置(以下、ガスクーラと呼ぶ。)10を用いたEGR(排気再循環装置)の模式図である。
【0020】
そして、排気再循環管30はエンジン31から排出される排気の一部をエンジン31の吸気側に還流させる配管である。
【0021】
EGRバルブ32は排気再循環管30の排気流れ途中に配設されて、エンジン31の稼働状態に応じて排気量を調節する周知のものであり、ガスクーラ10は、エンジン31の排気側とEGRバルブ32との間に配設されて排気とエンジンの冷却水との間で熱交換を行い排気を冷却する。
【0022】
次に、ガスクーラ10の構造について述べる。
【0023】
図2はガスクーラの外観図(一部断面図)であり、図3は図2のA−A断面図であり、図4は図3のA部拡大図である。
【0024】
図2中、チューブ11は排気が流通する排気通路11aを構成する扁平状の管であり、このチューブ11は、図3に示すように、所定形状にプレス成形された2枚のプレート11bをろう付け接合することにより形成されている。
【0025】
また、チューブ11内、つまり排気通路11a内には、排気と冷却水との熱交換を促進するインナーフィン12が配設されており、このインナーフィン12は、図5に示すように、排気の流通方向に帯状に延びて互いに交差する2種類の壁部材12a、12bを有し、排気の流通方向から見た断面形状が矩形波状となるように形成されている。このため、排気通路11a内には、チューブ11の短径方向に複数本に区画された細流路11cが構成される。
【0026】
また、インナーフィン12のうち壁部材12aには、その一部を切り起こすことにより、排気流れ下流側に向かうほどインナーフィン12の壁部材12aからの突出寸法が大きくなるように排気流れに対して傾いた三角状の面を有する突起部、すなわちウィング12cが千鳥状に形成されている。
【0027】
一方、チューブ11、つまりプレート11bのうちインナーフィン12が配置されていない部位には、図3、図4、図6(b)に示すように、プレス加工にて内方側に突出した突起状のディンプル11dが設けられており、このディンプル11dは、排気通路11aのうちウィング12cと対向する壁面において、図6(a)に示すように、排気流れに沿って複数個形成されている。
【0028】
また、チューブ断面の長径方向端部側の角部には、図4に示すように、チューブ11の外側から内側に略L字状に陥没して内側に突出した突起部11eがプレス加工等の塑性加工にて設けられており、インナーフィン12は、チューブ11内において突起部11eにより位置決めされている。
【0029】
また、突起部11eは、図6(a)に示すように、チューブ11のうち長手方向一端端部から長手方向中央部側にずれた部位からチューブ11のうち長手方向他端部から長手方向中央部側にずれた部位に亘って連続的に形成されているとともに、突起部11eの内側曲率半径R2(図4参照)は、角部の曲率半径R1より小さな寸法に設定されている。
【0030】
なお、チューブ11の長手方向端部、つまり挿入穴23aに挿入される部位は、従来(図8参照)と同じである。
【0031】
因みに、インナーフィン12及びチューブ11は耐食性に優れた金属(本実施形態では、ステンレス)にプレス加工を施すことにより成形されており、インナーフィン12及びチューブ11はろう付けにより一体接合されている。
【0032】
また、図2中、ケーシング20は、複数本のチューブ11をその短径方向(紙面上下方向)に積層して接合した熱交換コア15を収納するとともに、熱交換コア15周りに冷却水が流通する冷却水通路16を形成する角パイプ状に形成されたものであり、このケーシング20は、耐食性に優れた金属(本実施形態では、ステンレス)製である。
【0033】
そして、ケーシング20の長手方向一端側(紙面右側)の開口部には、この開口部を閉塞するように各チューブ11に排気を分配供給するタンク部21aを形成するとともに、排気再循環管30を接続するための第1ボンネット21がろう付けされ、一方、長手方向他端側(紙面左側)の開口部には、熱交換を終えた排気を各チューブ11から集合回収するタンク部22aを形成するとともに、排気再循環管30を接続するための第2ボンネット22がろう付けされている。
【0034】
このとき、第1ボンネット21に形成された排気流入口21bの断面積は、熱交換器コア部15の断面積より小さいため、第1ボンネット21は、その通路断面積が排気流入口21bから熱交換器コア部15に渡って連続的に滑らかに拡大するようにラッパ状に形成されている。第2ボンネット22も第11ボンネット21と同様に、排気流出口22bから熱交換器コア部15に渡って連続的に滑らかに拡大するようにラッパ状に形成されている。
【0035】
また、コアプレート23は、チューブ11の長手方向端部が挿入穴23aに挿入されてチューブ11をケーシング20に対して固定するとともに、冷却水通路16とタンク部21a、22aとを仕切るものであり、このコアプレート23及び第1、2ボンネット21、22も耐食性に優れた金属(本実施形態では、ステンレス)製である。
【0036】
また、ケーシング20のうち排気の流入側には、チューブ11の長径方向側から冷却水を冷却水通路16内に導入する流入口24が設けられ、ケーシング20のうち排気の流出側には、チューブ11の短径方向側から熱交換を終えた冷却水を排出する流出口25が設けられている。
【0037】
なお、本実施形態では、ケーシング20内における排気も流通の向きと冷却水の流通の向きとを同一の向きとし、かつ、チューブ11の外壁側にチューブ11の長径方向に延びる突起部11cを設けて、冷却水通路16のうち流入口24近傍を比較的に小さな空間に仕切り、排気入口近傍における冷却水の流速を増大させる増速手段を構成しているとともに、チューブ11間の隙間寸法を確保する位置決め手段を構成している。
【0038】
次に、本実施形態の作用効果を述べる。
【0039】
本実施形態では、インナーフィン12の端部をチューブ11の角部に当てるのではなく、突起部11eにインナーフィン12の端部を当てることによりインナーフィン12をチューブ11に対して位置決めしているので、チューブ11の角部の曲率半径R1を小さくすることなく、インナーフィン12を確実にチューブ11に対して位置決めすることができる。
【0040】
また、チューブ11の長手方向端部、つまり挿入穴23aに挿入される部位は、前述したように、曲率半径R1を大きくすることができるので、チューブ11の挿入組み付け性が悪化することはない。
【0041】
したがって、チューブ11の挿入組み付け性及びコアプレート23の加工性を損なうことなく、インナーフィン12の固定位置がチューブ11に対して大きくばらつくことを防止できる。
【0042】
また、インナーフィン12をチューブ11に対して所定の位置に配置固定できるので、ディンプル11dとインナーフィン12の側面(壁部12b)との距離が過度に小さくなる、又は必要以上に大きくなるといったことを未然に防止できる。
【0043】
なお、ディンプル11dと壁部12bとの距離が過度に小さくなると、すす等のPMが堆積し易くなるので、ガスクーラ10の目づまりを誘発し易い。また、ディンプル11dと壁部12bとの距離が過度に大きくなると、渦が発生し難くなるので、排気とチューブ11(インナーフィン12)との間の熱伝達率が低下し、ガスクーラ10の冷却能力が低下する。
【0044】
(その他の実施形態)
インナーフィン12は、上述の実施形態(図4参照)に示されたストレートフィンに限定されるものではなく、例えば周知のオフセットフィンとしてもよい。
【0045】
また、上述の実施形態では、ガスクーラ10に本発明に係る排気熱交換装置を適用したが、マフラー内に配設されて排気の熱エネルギを回収する熱交換器等のその他の熱交換器にも適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るガスクーラを用いたEGRガス冷却装置の模式図である。
【図2】本発明の実施形態に係るガスクーラの外観図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】図3のA部拡大図である。
【図5】本発明の実施形態に係るインナーフィンの斜視図である。
【図6】(a)は本発明の実施形態に係るチューブの正面図であり、(b)は(a)のB−B断面図である。
【図7】施策検討に係るガスクーラにおける図2のA−A断面相当の断面図である。
【図8】図7のA部拡大図である。
【符号の説明】
11…チューブ、11d…ディンプル、11e…位置決め用の突起部、
12…インナーフィン、12c…ウィング。
Claims (4)
- 流体が流通する流体通路(16)を構成するパイプ状のケーシング(20)と、
前記ケーシング(20)内に収納され、前記ケーシング(20)内を流れる流体と熱交換する流体が流通するチューブ(11)を有する熱交換コア(15)と、
前記チューブ(11)内に設けられ、渦流れを発生させて熱伝達率を向上させるフィン(12)と、
前記チューブ(11)の長手方向端部が挿入される挿入穴(23a)を有し、前記チューブ(11)を前記ケーシング(20)に対して固定するコアプレート(23)とを備え、
前記チューブ(11)のうち長手方向端部から長手方向中央部側にずれた部位には、前記チューブ(11)の外側から内側に陥没して内側に突出した突起部(11e)が塑性加工にて設けられており、
さらに、前記フィン(12)は、前記突起部(11e)により前記チューブ(11)内に位置決めされていることを特徴とする熱交換器。 - 前記チューブ(11)は、その長手方向から見た断面形状が扁平状に形成されており、
さらに、前記突起部(11e)は、前記断面形状の長径方向端部側に設けられていることを特徴とする請求項1に熱交換器。 - 前記チューブ(11)は、所定形状にプレス成形された2枚の板材(11b)を組み合わせることにより構成されており、
さらに、前記突起部(11e)は、前記板材(11b)にプレス成形を施すことにより形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の熱交換器。 - 前記チューブ(11)内には、燃焼により発生する排気が流れ、
前記フィン(12)は、前記チューブ(11)の長手方向から見た断面形状が略波状に形成されており、
さらに、前記チューブ(11)のうち前記フィン(12)が配置されていない部位には、内方側に突出した突起状のディンプル(11d)が設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の熱交換器。
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