JP2008270680A - Cnt成長用微細ホール形成方法、cnt成長用基板、及びcnt成長方法 - Google Patents

Cnt成長用微細ホール形成方法、cnt成長用基板、及びcnt成長方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ホールサイズが小さい場合でも、ホール底部の表面にCNTを成長せしめることができるCNT成長用微細ホール形成方法、CNT成長用基板及びCNT成長方法の提供。
【解決手段】CNT成長用基板の主面上に母線層、CNT成長用触媒層としての触媒金属の酸化物層、及び絶縁層をこの順番に設け、絶縁層をエッチングして絶縁層にCNT成長用の微細ホールを形成する。このCNT成長用微細ホールが形成されている基板。このCNT成長用微細ホールの底部表面に、CVD法によりCNTを成長せしめる。
【選択図】図2

Description

本発明は、CNT成長用微細ホール形成方法、CNT成長用基板、及びCNT成長方法に関する。
半導体装置の技術分野において、CNT(カーボンナノチューブ)を微細なビアホール等のホールの底部表面に成長させ、配線として使用する技術が検討されている(例えば、特許文献1参照)。この場合、ホール底部にCNT成長用触媒を配置することが必要であるが、半導体装置の微細化が進むにつれて、従来のように、ホール形成後にホール底部表面に触媒を成膜することは困難になっている。また、前もって触媒金属を母線層(配線層)上に形成してパターニングするリフトオフ法等を、微細な半導体装置を作製するためのプロセスにおいて使用することは困難である。
特開2005−285821号公報(特許請求の範囲等)
本発明の課題は、上述の従来技術の問題点を解決することにあり、CNT成長用ホールのサイズ(ホール直径)が小さい場合でも、ホール底部の表面にCNTを成長させることができるCNT成長用微細ホールの形成方法、そのような微細ホールを備えたCNT成長用基板、及びCNT成長方法を提供することにある。
本発明者らは、エッチングにより絶縁層にビアホール等のホールを形成する部分に、予め触媒金属を酸化物の形態(絶縁体)で触媒層として形成して、母線間で短絡が発生しないようにした後に絶縁層を設け、次いで絶縁層にホールを形成することにより、ホール底部に存在する金属酸化物だけを還元して触媒金属とし、これをCNT成長用触媒として利用できることに気が付いた。このようにしてホールを形成すれば、ホールサイズが小さくなった場合でも、ホール底部表面にCNTを成長させることが可能となることから、本発明を完成させるに至った。
本発明のCNT成長用微細ホール形成方法は、CNT成長用基板の主面上に母線層、CNT成長用触媒層、及び絶縁層をこの順番に設け、該絶縁層をエッチングして絶縁層にCNT成長用の微細ホールを形成する方法において、CNT成長用触媒層として触媒金属の酸化物層を設けることを特徴とする。
上記触媒金属として、Co、Ni及びFeから選ばれた少なくと1種の金属、又はこれらの金属の少なくとも1種を含む合金を使用することを特徴とする。
上記触媒金属の酸化物層を酸化性雰囲気中で形成することを特徴とする。
上記絶縁層と触媒金属の酸化物層との間に、この酸化物層のエッチングを防止するストップ層を設けることを特徴とする。
本発明のCNT成長用基板は、基板の主面上に母線層、CNT成長用触媒金属の酸化物層、及び絶縁層がこの順番に設けられてなり、上記CNT成長用微細ホール形成方法により絶縁層にCNT成長用微細ホールが形成されていることを特徴とする。
本発明のCNT成長方法は、上記方法で形成されたCNT成長用微細ホールの底部表面に、CVD法によりCNTを成長せしめることを特徴とする。
本発明によれば、形成された微細ホールの底部表面にCNTを有効に垂直成長せしめることが可能となるので、CNTを高精細化した配線として利用できるという効果を奏する。
以下、本発明のCNT成長用微細ホール形成方法、CNT成長用基板、及びCNT成長方法に係る実施の形態について説明する。
本発明によれば、配線金属層(母線層)の上に形成された絶縁層に設けた微細ホールの底部に予め触媒金属の酸化物を配置しておき、この酸化物を還元して得られる触媒金属を利用して、熱CVD法、リモートプラズマCVD法、又はフィラメントCVD法等のようなCVD法により、CNTを成長せしめることができる。
母線は、通常のシングルダマシン等の半導体装置作製プロセスで作製されるため、触媒金属をリフトオフ法等で成膜することは難しいという問題がある。この問題に対して、本発明では、ホール底部に触媒金属を存在させるために、母線パターン上に酸化物の状態で触媒金属を存在させている。この場合、この酸化物は、酸化状態が良く、かつ絶縁性の良いことが必要であるので、触媒金属の酸化物層は酸化性雰囲気中で形成されることが好ましい。触媒金属の酸化が十分でないと、例えば部分酸化(酸素の欠陥)があると、絶縁とならず、短絡の原因となるからである。しかし、酸化性雰囲気中で基板を加熱すると、同時に母線も酸化されてしまうため、基板が高温に曝されない手法を用いて酸化性雰囲気中で酸化物を成膜することが好ましい。
本発明では、上記のようにして形成された母線層上に絶縁層を形成する前に触媒金属の酸化物を成膜する。酸化物の成膜方法としては、触媒金属からなるターゲットや触媒金属の酸化物からなるターゲットを用いるスパッタリング法、EB蒸着法、同軸型真空アーク蒸着源を用いる方法、触媒金属の酸化物の溶液や分散液を塗布、乾燥する方法等の既知の方法を用いることができる。触媒金属を酸化性雰囲気中で成膜して、触媒金属の酸化物層を形成する場合、基板を加熱することで母線まで酸化してしまうことを防ぐために、同軸型真空アーク蒸着源を用いる方法等の、基板が加熱されて高温に曝されない手法を用いることが好ましい。この場合、母線間の絶縁性を十分に保つことができるならば、触媒金属を成膜した後に酸化しても、酸化物として成膜しても、いずれでも良い。
以下、同軸型真空アーク蒸着源を備えた真空チャンバ及びこの蒸着源を用いて触媒金属の酸化物層を形成する方法について説明する。
同軸型真空アーク蒸着源としては、例えば、円筒状のトリガ電極と蒸着用触媒金属材料で少なくとも先端部が構成された円柱状又は円筒状のカソード電極とが、円筒状の絶縁碍子を挟んで同軸状に隣接して固定されており、前記カソード電極の周りに同軸状に円筒状のアノード電極が離間して配置されている蒸着源を用いることができる。この同軸型真空アーク蒸着源を駆動せしめて、酸化性雰囲気中で、真空チャンバ内に載置した基板上に、カソード電極を構成する触媒金属材料を蒸着せしめて、雰囲気中の酸素原子との反応により触媒金属の酸化物層を形成する。同軸型真空アーク蒸着源を用いて基板上に触媒金属の酸化物層を形成することにより、母線の酸化を防止することができる。この蒸着源を備えた真空チャンバとして、例えば図1を参照して説明する。
円筒状の真空チャンバ11内の下方には、基板ステージ12が水平に配置されている。真空チャンバ11には、基板ステージ12を水平面内で回転させることができるように、基板ステージ裏面の中心部にモーター等の回転駆動手段13を有する回転機構が設けられている。
基板Sが載置される基板ステージ12を加熱できるようにヒータ等の加熱手段14を基板ステージの基板載置側と反対側の面に設け、所望により、基板を所定の温度に加熱できるようにしても良い。
真空チャンバ11の上方には、後述する同軸型真空アーク蒸着源15が、基板ステージ12に対向して配置されている。この同軸型真空アーク蒸着源15は、カソード電極15aの先端部を基板ステージ12側に向けて、基板ステージ12上に載置される基板Sの主面に対向して配置されている。カソード電極15aから発生する触媒金属の微粒子が、基板Sの主面上に降りそそいで均一に照射できるように構成されている。かくして、触媒金属微粒子は、真空チャンバ11上方から下方に向かって飛翔し、基板S上に蒸着され得る。
真空チャンバ11の壁面には、酸化性ガス導入系16及び真空排気系17が接続されている。この酸化性ガス導入系16は、真空チャンバ11内を酸化性雰囲気とするための酸素ガス、HO等の導入系である。このガス導入系では、バルブ16a、マスフローコントローラ16b、バルブ16c、及びガスボンベ16dがこの順序で金属製配管で接続されている。また、真空排気系17は、コンダクタンスバルブ17a、ターボ分子ポンプ17b、バルブ17c、及びロータリーポンプ17dがこの順序で金属製真空配管で接続されており、真空チャンバ11内を好ましくは1×10−5Pa以下に真空排気できるように構成されている。
図1に示すように、真空チャンバ11に設けられた同軸型真空アーク蒸着源15は、一端が閉じ、基板ステージ12に対向する他端が開口しており、触媒金属で構成されている円柱状又は円筒状のカソード電極15aと、ステンレス等から構成されている円筒状のアノード電極15bと、ステンレス等から構成されている円筒状のトリガ電極(例えば、リング状のトリガ電極)15cと、カソード電極15a及びトリガ電極15cの間に両者を離間させるために設けられた円板状又は円筒状の絶縁碍子(以下、ハット型碍子とも称す)15dとから構成されており、これらは同軸状に取り付けられている。カソード電極15aは、基板ステージ12に対向して設けられている。カソード電極15aと絶縁碍子15dとトリガ電極15cとの3つの部品は、図示していないが、ネジ等で密着させて同軸状に取り付けられている。また、アノード電極15bは、図示していないが、支柱で真空フランジに取り付けられ、この真空フランジは真空チャンバ11の上面に取り付けられている。カソード電極15aは、アノード電極15bの内部に同軸状にアノード電極の壁面から一定の距離だけ離して設けられている。カソード電極15aは、その少なくとも先端部(アノード電極15bの開口部側の端部に相当する)が、触媒金属から構成されていればよい。
トリガ電極15cは、ターゲット材料ないしはカソード電極15aとの間にアルミナ等から構成された絶縁碍子15dを挟んで取り付けられている。絶縁碍子15dはカソード電極15aとトリガ電極15cとを絶縁するように取り付けられ、また、トリガ電極15cは絶縁体を介してカソード電極15aに取り付けられていてもよい。これらのアノード電極15bとカソード電極15aとトリガ電極15cとは、絶縁碍子15d及び絶縁体により電気的に絶縁が保たれていることが好ましい。この絶縁碍子15dと絶縁体とは一体型に構成されたものであっても別々に構成されたものでも良い。
カソード電極15aとトリガ電極15cとの間にはパルストランズからなるトリガ電源15eが接続されており、また、カソード電極15aとアノード電極15bとの間にはアーク電源15fが接続されている。アーク電源15fは直流電圧源15gとコンデンサユニット15hとからなり、このコンデンサユニット15hの両端は、それぞれ、カソード電極15aとアノード電極15bとに接続され、コンデンサユニット15hと直流電圧源15gとは並列接続されている。
コンデンサユニット15hは、1つ又は複数個のコンデンサ(図1では、1個のコンデンサを例示してある)が接続したものであって、その1つの容量が例えば2200μF(耐電圧160V)であり、直流電圧源15gにより随時充電できるようになっている。トリガ電源15cは、入力200Vのμsのパルス電圧を約17倍に変圧して、3.4kV(数μA)、極性:プラスを出力している。アーク電源15fは、100V、数Aの容量の直流電圧源15gを有し、この直流電圧源からコンデンサユニット15h(例えば、4個のコンデンサユニットの場合、8800μF)に充電している。この充電時間は約1秒かかるので、本システムにおいて8800μFで放電を繰り返す場合の周期は、1Hzで行われる。トリガ電源15eのプラス出力端子は、トリガ電極15cに接続され、マイナス端子は、アーク電源15fの直流電圧源15gのマイナス側出力端子と同じ電位に接続され、カソード電極15aに接続されている。アーク電源15fの直流電圧源15gのプラス端子は、グランド電位に接地され、アノード電極15bに接続されている。コンデンサユニット15hの両端子は、直流電圧源15gのプラス端子及びマイナス端子間に接続されている。
図1中の18はコントローラであり、このコントローラはトリガ電源15eに接続されており、コントローラのスイッチをONにしてこのコントローラに接続されたトリガ電源15eに信号を入力すると、このトリガ電源から高電圧が出力されるように構成されている。また、コントローラ18は、CPU(図示せず)に接続され、このCPUからの信号(外部信号)により、コントローラを動作させることができるように構成することが好ましい。
次に、図1に示す同軸型真空アーク蒸着源15を備えた真空チャンバ11内の基板ステージ12上に載置する基板Sの主面上に触媒金属の酸化物層を形成する方法について説明する。
まず、ヒータ等の加熱手段により、上記したようにして母線層の形成された基板を所定の温度(例えば、200〜400℃)に設定し、次いでバルブ16a及び16cを開放し、マスフローコントローラ16bを介して、所定流量の酸化性ガスを真空チャンバ11内へ導入し、コンダクタンスバルブ17aを調整して、真空チャンバ内の圧力を所定の圧力(例えば、1×10−2Pa)に調整する。
直流電圧源15gによりコンデンサユニット15hに100Vで電荷を充電し、コンデンサユニット15hの容量を8800μFに設定し、次いで、トリガ電源15eからトリガ電極15cにパルス電圧を出力し(出力:3.4kV)、カソード電極15aとトリガ電極15cとの間にハット型碍子15dを介して印加することで、カソード電極15aとトリガ電極15cとの間にトリガ放電(ハット型碍子表面での沿面放電)を発生させる。カソード電極15aとハット型碍子15dとのつなぎ目から電子が発生する。このトリガ放電によって、カソード電極15aの側面とアノード電極15bの内面との間で、コンデンサユニット15hに蓄電された電荷が真空アーク放電され、カソード電極15aに多量のアーク電流が流入し、このアーク放電によりカソード電極15aを構成する触媒金属材料が液相から気相に変換され、さらにこの金属のプラズマが形成される。コンデンサユニット15hに蓄電された電荷の放出により放電は停止する。このトリガ放電を所定の回数繰り返し、そのトリガ放電毎にアーク放電を誘起させる。このトリガ放電の回数、ひいてはアーク放電の回数は、コントローラ18に、所望の放電発数を入力して行うことができる。
上記したアーク放電の間、上記触媒金属材料の融解により発生した微粒子(プラズマ化している原子状イオンやクラスタや電子等)が形成される。この微粒子をアノード電極15bの開口部(放出口)から真空チャンバ11内に放出させ、開口部の下方に設置されている基板Sの主面に対して、上記のようにして形成された微粒子を供給し、基板S表面上で酸素ガス等の酸化性ガスとの反応により形成される触媒金属の酸化物微粒子を付着させ、凝集せしめて触媒金属の酸化物層を形成する。この触媒金属の酸化物層は、EB蒸着法に比べて基板に密着性良く付着すると共に、膜厚制御が容易である。
上記した金属微粒子の放出は次のようにして行われる。カソード電極15aに多量の電流が流れるので、カソード電極15aに磁場が形成され、この時発生したプラズマ中の電子(この電子はカソード電極15aからアノード電極15bの円筒内面に飛行する)が自己形成した磁場によってローレンツ力を受け、前方に飛行する。一方、プラズマ中のカソード電極材料の金属イオンは、電子が前記したように飛行し分極することでクーロン力により前方の電子に引きつけられるようにして前方に飛行し、基板S上に微粒子が供給されることになる。
上記において、アーク電源15fから同軸型真空アーク蒸着源15までの配線であるケーブルの長さを1m程度として行う。また、上記カソード電極15aは、その全体が触媒金属材料で構成されていても、その先端部であるアノード電極の開口側方向の端部が上記触媒金属材料で構成されていてもよい。
次いで、上記のようにして得られた蒸着膜を有する基板を真空チャンバ内11から取り出し、後工程である絶縁層形成工程にかける。
母線の上に設ける絶縁層は、スパッタリング法やEB蒸着法等の、絶縁層を形成する既知の各種成膜方法によって形成することができる。絶縁層を形成する材料は、SiO、Al等の既知の絶縁層用材料であれば良いが、後工程でエッチングが行える材質のものを使用することが必要である。
上記したように絶縁層を形成した後、フォトリソグラフィ法等を用いて、この絶縁層の所定の部分に微細なレジストパターンを設け、ドライエッチングやウエットエッチングにより、絶縁層にホールを開ける。この場合、絶縁層を掘りきったところでエッチングを終了せしめ、触媒金属の酸化物をホール底部の表面に露出せしめる。このエッチングの際に、オーバーエッチングにより触媒金属の酸化物層がダメージを受ける可能性があるが、酸化物から構成されているために、そのダメージは少ない。この場合、触媒金属の酸化物層と絶縁層との間に、ストップ層としてCr、Al、Ti、Ta、又はこれら金属の炭化物を成膜しておくことにより、起こるかもしれない上記ダメージを防ぐことができる。しかし、ストップ層を形成するためには、フォトリソグラフィ法とリフトオフの工程、或いはメッキ法等の工程が必要となる。このストップ層の厚みは、1nm以下とすることが好ましい。1nmを超えてると、CNT成長が阻害され易くなる。
CNT成長方法としては、既知の方法を使用することができ、例えば、熱CVD法、リモートプラズマCVD法、フィラメントCVD法等のCVD法等を使用できる。このCNT成長前に触媒金属の酸化物を還元して触媒金属とすることが必要である。この場合、ホールの底部部分に露出している酸化物のみを通常の方法で還元すれば良いが、多くの場合、CNT成長雰囲気が還元性雰囲気であるので、そのような場合には、特に還元工程を実施しないでも、CNT成長を開始すれば酸化物が還元されて触媒金属となるので、CNT成長は可能である。
使用できるCNT用原料としては、特に制限はなく、CNT成長に通常使用できる原料は全て使用できる。例えばメタン、エチレン、アセチレン等の炭素原子含有化合物等と水素ガスとを挙げることができる。
本発明によれば、母線パターン上に触媒金属の酸化物層を形成し、この酸化物を還元して触媒金属のパターンを形成するので、触媒金属層自体のパターニングを行うこともなく、また、エッチングの際に触媒金属がダメージを受けることもない。
本発明で使用できる基板としては、例えば、シリコン基板、石英基板、サファイヤ基板等からなる基板を挙げることができる。
以下、本発明の実施例を挙げて、具体的に説明する。
本実施例では、熱酸化物膜を有するシリコン基板上にCu母線(Cu配線)が形成されている基板を用いて、図2(a)〜(g)に示すプロセスに従ってCNTを成長せしめた。図2(a)〜(g)は、本発明のCNT成長方法における各プロセスを説明するための基板の模式的断面図である。
まず、上記基板21を真空チャンバ内に載置し、基板主面上に配線金属としてCu母線層22を、スパッタリング法によりArガス0.6Pa、スパッタ電力100Wの条件下で形成し、このCu母線上に、触媒金属の下地層となるバッファ層としてAl層23を、スパッタリング法によりArガス0.6Pa、スパッタ電力200Wの条件下、厚み20nmで形成した。
次いで、Coから構成されたカソード電極15aを備えた図1に示す同軸型真空アーク蒸着源15を用い触媒金属含有層24を形成した。すなわち、バルブ16a及び16cを開放し、マスフローコントローラ16bを介して、所定流量の酸素ガスを真空チャンバ11内へ導入し、コンダクタンスバルブ17aを調整して、真空チャンバ11内の圧力を1×10−2Torr(1.33Pa)の圧力に調整し、この酸化性雰囲気中で、上記バッファ層23が形成された基板S上にCoと酸素との反応により生成する触媒金属の酸化物であるCo酸化物を触媒金属含有層24として成膜した。
上記同軸型真空アーク蒸着源の駆動は次のようにして行った。すなわち、直流電圧源15gによりコンデンサユニット15hに100Vで電荷を充電し、コンデンサユニット15hの容量を8800μFに設定し、次いで、トリガ電源15eからトリガ電極15cにパルス電圧を出力し(出力:3.4kV)、カソード電極15aとトリガ電極15cとの間にハット型碍子15dを介して印加することで、カソード電極15aとトリガ電極15cとの間にトリガ放電(ハット型碍子表面での沿面放電)を発生させた。カソード電極15aとハット型碍子15dとのつなぎ目から電子が発生した。このトリガ放電によって、カソード電極15aの側面とアノード電極15bの内面との間で、コンデンサユニット15hに蓄電された電荷が真空アーク放電され、カソード電極15aに多量のアーク電流が流入し、このアーク放電により、カソード電極15aの構成金属材料であるCoが液相から気相に変換され、さらにこのCoのプラズマが形成された。コンデンサユニット15hに蓄電された電荷の放出により放電は停止した。このトリガ放電を300発繰り返した。このトリガ放電の回数、ひいてはアーク放電の回数は、コントローラ18に、所定の放電発数を入力して行った。
上記したアーク放電の間、Coの融解により発生した微粒子(プラズマ化している原子状イオンやクラスタや電子等)をアノード電極15bの開口部(放出口)から真空チャンバ11内に放出させ、開口部の下方向に設置されている基板Sに対して、上記のようにして形成された微粒子を照射し、基板S表面上で酸素ガスとの反応によりCo酸化物微粒子を付着させ、凝集せしめてCo酸化物層を形成した。アーク電源15fから同軸型真空アーク蒸着源15までの配線であるケーブルの長さを1m程度として行った。
この触媒金属含有層の形成された基板上に、スパッタリング法を用いて、Arガス0.6Pa、スパッタ電力300Wの条件下、ストップ層25としてCr層を形成せしめた(図2(a))。
その後、上記基板表面を、液温24℃のウエットエッチング法でエッチングし、ストップ層25、触媒金属含有層24、バッファ層23及びCu母線層22の所定の領域をエッチ除去するラインパターニングを行った(図2(b))。
上記ラインパターニング後に、絶縁層として、SiO層26を200nmの厚みでスパッタリング法により、Arガス0.6Pa、スパッタ電力300Wの条件下で成膜した(図2(c))。
上記絶縁層26の上にレジスト(AZ−1350)を塗布し、フォトリソグラフィ法によりレジスト層27にCNT成長用ホールパターンを形成した(図2(d))。
次いで、ドライエッチングにより絶縁層26をエッチングして、触媒金属含有層24を露出せしめ(図2(e))た後、レジスト27をエッチ除去した(図2(f))。
かくして得られた基板に対してCNT成長工程を実施した。真空チャンバ内に、原料ガスとして、メタンガスと水素ガスとを、メタンガス20sccm、水素ガス80sccmの流量で導入し、リモートプラズマ法により、温度450℃、圧力0.266Paで、還元されて得られた触媒金属Co上にCNT28を成長せしめた。このCNT成長工程が還元性雰囲気でない場合には、露出した触媒金属含有層24を、水素雰囲気、1.33Pa、450℃の条件で還元処理し、触媒金属層とする。
かくして得られたCNT成長後のSEM写真を図3に示す。図3から明らかなように、ホール底部表面からCNTが垂直成長していることが確認できた。また、CNT成長後に母線間の短絡は認められなかった。
本発明によれば、微細ホールの底部表面に成長させたCNTを高精細化した配線として利用できるので、本発明は、半導体装置等の技術分野で利用可能である。
本発明で使用する同軸型真空アーク蒸着源を備えた真空チャンバの一構成例を模式的に示す構成図。 実施例1に従ってCNTを成長せしめるプロセス(a)〜(g)を説明するための基板の模式的断面図。 実施例1で得られたCNT成長後のSEM写真。
符号の説明
11 真空チャンバ 12 基板ステージ
13 回転駆動手段 14 加熱手段
15 同軸型真空アーク蒸着源 15a カソード電極
15b アノード電極 15c トリガ電極
15d 絶縁碍子 15e トリガ電源
15f アーク電源 15g 直流電圧源
15h コンデンサユニット 16 酸化性ガス導入系
16a、16c バルブ 16b マスフローコントローラ
16d ガスボンベ 17 真空排気系
17a コンダクタンスバルブ 17b ターボ分子ポンプ
17c バルブ 17d ロータリーポンプ
18 コントローラ 21 基板
22 母線層 23 バッファ層
24 触媒金属含有層 25 ストップ層
26 絶縁層 27 レジスト層
28 CNT S 基板

Claims (6)

  1. CNT成長用基板の主面上に母線層、CNT成長用触媒層、及び絶縁層をこの順番に設け、該絶縁層をエッチングして絶縁層にCNT成長用の微細ホールを形成する方法において、CNT成長用触媒層として触媒金属の酸化物層を設けることを特徴とするCNT成長用微細ホール形成方法。
  2. 上記触媒金属として、Co、Ni及びFeから選ばれた少なくと1種の金属、又はこれらの金属の少なくとも1種を含む合金を使用することを特徴とする請求項1に記載のCNT成長用微細ホール形成方法。
  3. 上記触媒金属の酸化物層を酸化性雰囲気中で形成することを特徴とする請求項1又は2に記載のCNT成長用微細ホール形成方法。
  4. 上記絶縁層と触媒金属の酸化物層との間に、この酸化物層のエッチングを防止するストップ層を設けることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のCNT成長用微細ホール形成方法。
  5. 基板の主面上に母線層、CNT成長用触媒金属の酸化物層、及び絶縁層がこの順番に設けられてなり、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法により絶縁層にCNT成長用微細ホールが形成されていることを特徴とするCNT成長用基板。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法で形成されたCNT成長用微細ホールの底部表面に、CVD法によりCNTを成長せしめることを特徴とするCNT成長方法。
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