JP4868592B2 - 合金ナノ粒子作製方法、合金薄膜作製方法及び同軸型真空アーク蒸着装置 - Google Patents

合金ナノ粒子作製方法、合金薄膜作製方法及び同軸型真空アーク蒸着装置 Download PDF

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Description

本発明は、合金ナノ粒子作製、合金薄膜作製方法及び同軸型真空アーク蒸着装置に関し、特に同軸型真空アーク蒸着源(アークプラズマガン)を備えた同軸型真空アーク蒸着装置を用いる合金ナノ粒子作製方法、合金薄膜作製方法及びこれらの方法を実施するための同軸型真空アーク蒸着装置に関する。
従来、燃料電池用電極触媒として担体に触媒金属を担持せしめる場合や、排ガス処理用の触媒金属を担持せしめる場合や、ナノカーボンナノチューブ(CNT)を成長させるための下地膜(触媒層)を形成する場合等に、触媒を、通常、スパッタ法やEB蒸着法等に従って基板上に薄膜として形成し、この薄膜を構成する触媒を前処理プロセスやCNT成長プロセスにおいて微粒子化し、この微粒子化された触媒を有する基板を利用している(例えば、特許文献1参照)。
本出願人は先にナノ金属粒子を形成する際に、同軸型真空アーク蒸着源としてアークプラズマガンを備えた同軸型真空アーク蒸着装置を用いて原料を微粒子化して基板上に形成するプラズマCVD法を提案している(特願2006−239748号)。
また、複数のアークプラズマガン(同軸型真空アーク蒸着源)を備えた装置及びこの装置を用いて、各アークプラズマガンによりパルス状に発生する構成元素イオンを含むプラズマを、磁気回路により成膜セルに集束し成膜する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この場合、磁気回路等によりプラズマの集束点を変更せしめ、均一で不純物の少ない合金や化合物の組成の異なった材料を形成できるとしているが、磁化回路を設けなければならないという問題がある。
特開2004−26532号公報(特許請求の範囲) 特開2004−315939(特許請求の範囲)
そこで、本発明の課題は、上述の従来技術及び以下説明する図1に示す同軸型真空アーク蒸着装置の問題点を解決することにあり、複数の同軸型真空アーク蒸着源(アークプラズマガン)を備えた同軸型真空アーク蒸着装置を用い、所定の合金ナノ粒子を効率よく作製する方法及びこのナノ粒子の積層した合金薄膜を効率よく作製する方法を提供することにある。
本発明の合金ナノ粒子作製方法は、少なくとも2つの同軸型真空アーク蒸着源の各トリガ電極と各アノード電極との間にトリガ放電をパルス的に発生させて、異なる蒸着用金属材料で少なくとも先端部が構成された各カソード電極と各アノード電極との間にアーク放電を発生させる際に、前記少なくとも2つの蒸着源によるアーク放電を同時発生させ、前記各カソード電極を構成する異なる金属材料から生成する金属ナノ粒子を真空チャンバ内へ同時放出せしめ、処理基板上に合金ナノ粒子を作製することを特徴とする。これにより、処理基板上に供給された各金属ナノ粒子が基板上でマイグレーションして衝突して凝集し、所定の粒径を有する合金ナノ粒子を作製できる。
本発明の合金ナノ粒子作製方法はまた、円筒状のトリガ電極と蒸着用金属材料で少なくとも先端部が構成された円柱状又は円筒状のカソード電極とが、円筒状の絶縁碍子を挟んで同軸状に隣接して固定されており、前記カソード電極の周りに同軸状に円筒状のアノード電極が離間して配置されている同軸型真空アーク蒸着源を少なくとも2つ、蒸着源として備えた真空チャンバからなる同軸型真空アーク蒸着装置であって、各カソード電極を構成する金属材料がそれぞれ異なるものであり、蒸着金属が処理基板に対して斜入射できるように前記蒸着源を配置してなる同軸型真空アーク蒸着装置を用い、各蒸着源のトリガ電極とアノード電極との間にトリガ放電をパルス的に発生させて、カソード電極とアノード電極との間にアーク放電を発生させる際に、前記少なくとも2つの蒸着源によるアーク放電を同時発生させ、前記各カソード電極を構成する異なる金属材料から生成する金属ナノ粒子を真空チャンバ内へ同時放出せしめ、処理基板上に合金ナノ粒子を作製することを特徴とする。このように構成することにより、処理基板上に供給された各金属ナノ粒子が基板上でマイグレーションして衝突して凝集し、所定の粒径を有する合金ナノ粒子を作製できる。
前記同軸型真空アーク蒸着源として、白金で少なくとも先端部が構成されたカソード電極を備えた蒸着源と、ルテニウムで少なくとも先端部が構成されたカソード電極を備えた蒸着源との2つを用い、白金−ルテニウム合金ナノ粒子を作製することができる。
また、前記同軸型真空アーク蒸着源として、カーボンで少なくとも先端部が構成されたカソード電極を備えた蒸着源と、タングステンで少なくとも先端部が構成されたカソード電極を備えた蒸着源との2つを用い、タングステン−カーボン合金ナノ粒子を作製することができる。
前記同軸型真空アーク蒸着源を2つ用い、一方の同軸型真空アーク蒸着源を、充電コンデンサ容量500μF〜2000μF、放電電圧100V〜400Vで動作させ、他方の同軸型真空アーク蒸着源を、充電コンデンサ容量2000μF〜9000μF、放電電圧60V〜100Vで動作させ、処理基板上に合金ナノ粒子を作製することができる。この一方の蒸着源の場合、コンデンサ容量が500μF未満であると、充電量が少な過ぎて蒸着量が確保できなくなり、2000μFを超えると、充電量が多過ぎて液滴の発生が多くなり、そして、放電電圧が100V未満であると、蒸着粒子の付着エネルギーが低くなって密着性が低下し、400Vを超えると、エネルギーが高過ぎて基板へのダメージやエッチングが起こる。また、他方の蒸着源の場合、コンデンサ容量が2000μF未満であると、充電量が少なく、蒸着量も少なくなり、9000μFを超えると、液滴が増加する。そして、放電電圧が60V未満であると、アークの主放電が発生しなくなる場合があり、100Vを超えると、液滴が多くなる。
また、前記一方の同軸型真空アーク蒸着源において、前記一方の同軸型真空アーク蒸着源として白金で少なくとも先端部が構成されたカソード電極を備えた蒸着源を用い、前記他方の同軸型真空アーク蒸着源としてルテニウムで少なくとも先端部が構成されたカソード電極を備えた蒸着源を用い、白金−ルテニウム合金ナノ粒子を作製することができる。
前記一方の同軸型真空アーク蒸着源において、前記一方の同軸型真空アーク蒸着源としてカーボンで少なくとも先端部が構成されたカソード電極を備えた蒸着源を用い、前記他方の同軸型真空アーク蒸着源としてタングステンで少なくとも先端部が構成されたカソード電極を備えた蒸着源を用い、タングステン−カーボン合金ナノ粒子を作製することができる。
さらに、前記少なくとも2つの同軸型真空アーク蒸着源のうち、アーク放電の発生開始時点の早い蒸着源のトリガ電極に、遅延回路から遅延信号を送り、これにより、このトリガ電極のトリガ放電の発生開始時点のタイミングをずらすと共に、アーク放電の発生開始時点のタイミングをずらし、それぞれの蒸着源によるアーク放電を同期させ、処理基板上で同時に各金属ナノ粒子の衝突が起こるようにして、処理基板上に合金ナノ粒子を作製することが好ましい。
本発明の合金薄膜作製方法は、少なくとも2つの同軸型真空アーク蒸着源の各トリガ電極と各アノード電極との間にトリガ放電をパルス的に発生させて、異なる蒸着用金属材料で少なくとも先端部が構成された各カソード電極と各アノード電極との間にアーク放電を発生させる際に、前記少なくとも2つの蒸着源によるアーク放電を同時発生させ、前記各カソード電極を構成する異なる金属材料から生成する金属ナノ粒子を真空チャンバ内へ同時放出せしめ、処理基板上に合金ナノ粒子を積層した合金薄膜を作製することを特徴とする。これにより、所定の粒径の合金ナノ粒子が凝集して構成される合金薄膜を作製できる。
本発明の合金薄膜作製方法はまた、円筒状のトリガ電極と蒸着用金属材料で少なくとも先端部が構成された円柱状又は円筒状のカソード電極とが、円筒状の絶縁碍子を挟んで同軸状に隣接して固定されており、前記カソード電極の周りに同軸状に円筒状のアノード電極が離間して配置されている同軸型真空アーク蒸着源を少なくとも2つ、蒸着源として備えた真空チャンバからなる同軸型真空アーク蒸着装置であって、各カソード電極を構成する金属材料がそれぞれ異なるものであり、蒸着金属が処理基板に対して斜入射できるように前記蒸着源を配置してなる同軸型真空アーク蒸着装置を用い、各蒸着源のトリガ電極とアノード電極との間にトリガ放電をパルス的に発生させて、カソード電極とアノード電極との間にアーク放電を発生させる際に、前記少なくとも2つの蒸着源によるアーク放電を同時発生させ、前記各カソード電極を構成する異なる金属材料から生成する金属ナノ粒子を真空チャンバ内へ同時放出せしめ、処理基板上に合金ナノ粒子を積層した合金薄膜を作製することを特徴とする。このように構成することにより、所定の粒径の合金ナノ粒子が凝集して構成される合金薄膜を作製できる。
本発明の同軸型真空アーク蒸着装置は、円筒状のトリガ電極と蒸着用金属材料で少なくとも先端部が構成された円柱状又は円筒状のカソード電極とが、円筒状の絶縁碍子を挟んで同軸状に隣接して固定されており、前記カソード電極の周りに同軸状に円筒状のアノード電極が離間して配置されている同軸型真空アーク蒸着源を少なくとも2つ、蒸着源として備えた真空チャンバからなる同軸型真空アーク蒸着装置であって、各カソード電極を構成する金属材料がそれぞれ異なるものであり、蒸着金属が処理基板に対して斜入射できるように前記蒸着源を配置してなり、前記トリガ電極用の各トリガ電源にトリガ放電の発生開始時点のタイミングをずらすための遅延回路を備えた遅延ユニットを接続してなることを特徴とする。
本発明によれば、同軸型真空アーク蒸着源を少なくとも2つ備えた同軸型真空アーク蒸着装置を用いることにより、所望の合金ナノ粒子及びこのナノ粒子から構成される合金薄膜を効率よく形成できるという効果を奏する。
最初に、本発明に至る背景技術を説明し、次に本発明の実施の形態を説明する。
本発明者らは、上記した従来技術の問題点に鑑み、簡単な方法で、均一で不純物の少ない合金ナノ粒子を効率よく作製すべく、鋭意研究を重ね、複数の同軸型真空アーク蒸着源を備えた同軸型真空アーク蒸着装置として、例えば図1に示す構成を有するものを開発した。
この同軸型真空アーク蒸着装置1は、円筒状の真空チャンバ11を有し、この真空チャンバ内の下方には、基板ステージ12が水平に配置されている。真空チャンバ11には、基板ステージ12を水平面内で回転させることができるように、基板ステージ裏面の中心部にモーター等の回転駆動手段13を有する回転機構が設けられている。
基板Sが載置される基板ステージ12を加熱できるようにヒータ等の加熱手段14を基板ステージの基板載置側と反対側の面に設け、所望により、基板を所定の温度に加熱できるようにしてもよい。
真空チャンバ11の上方には、基板ステージ12と対向して、複数個の後述する同軸型真空アーク蒸着源15が配置されている。図1では、説明の便宜のために、同じ構成の2つの同軸型真空アーク蒸着源15を設けてあるが、特に断らない限り、以下では、このうちの1つの同軸型真空アーク蒸着源について説明する。
この同軸型真空アーク蒸着源15は、カソード電極15aの先端部を基板ステージ12側に向けて、基板Sの主面に対して所定の角度で配置されている。そして、各カソード電極15aから発生する金属ナノ粒子が、基板ステージ12上に載置される基板Sの主面上に降りそそいで均一に斜入射できるように、この角度は変更できるようになっている。これにより、金属ナノ粒子が、真空チャンバ11上方から下方に向かって飛翔し、基板S上に蒸着できるように構成されている。この斜入射の角度は、金属ナノ粒子が基板上に均一に照射できれば特に制限はなく、図1に示すように、異なる方向から斜入射されるようにしても、同方向から斜入射されるようにしてもよい。
真空チャンバ11の壁面には、ガス導入系16及び真空排気系17が接続されている。このガス導入系16は、バルブ16a、マスフローコントローラー16b、バルブ16c及び酸素ガスボンベ16dがこの順序で金属製配管で接続されている。この酸素ガスは、蒸着材料の酸化を行うために導入する。また、真空排気系17は、バルブ17a、ターボ分子ポンプ17b、バルブ17c及びロータリーポンプ17dがこの順序で金属製真空配管で接続されており、真空チャンバ11内を好ましくは10−5Pa以下に真空排気できるように構成されている。
図1に示すように、同軸型真空アーク蒸着装置1に設けられた同軸型真空アーク蒸着源15は、一端が閉じ、基板ステージ12に対向する他端が開口しており、金属ナノ粒子作製用材料で構成されている円柱状又は円筒状のカソード電極15aと、ステンレス等から構成されている円筒状のアノード電極15bと、ステンレス等から構成されている円筒状のトリガ電極(例えば、リング状のトリガ電極)15cと、カソード電極15aとトリガ電極15cとの間に両者を離間させるために設けられた円板状又は円筒状の絶縁碍子(以下、ハット型碍子とも称す)15dとから構成されており、これらは同軸状に取り付けられている。カソード電極15aは、基板ステージ12に斜め方向で対向して設けられている。カソード電極15aと絶縁碍子15dとトリガ電極15cとの3つの部品は、図示していないが、ネジ等で密着させて同軸状に取り付けられている。また、アノード電極15bは、図示していないが、支柱で真空フランジに基板ステージ12に対する角度が変更可能なように取り付けられ、この真空フランジは真空チャンバ11の上面に取り付けられている。カソード電極15aは、アノード電極15bの内部に同軸状にアノード電極の壁面から一定の距離だけ離して設けられている。各カソード電極15aは、その少なくとも先端部(アノード電極15bの開口部側の端部に相当する)が、合金組成の金属材料からそれぞれ構成されていていればよい。
トリガ電極15cは、ターゲット材料ないしはカソード電極15aとの間にアルミナ等から構成された絶縁碍子15dを挟んで取り付けられている。絶縁碍子15dはカソード電極15aとトリガ電極15cとを絶縁するように取り付けられており、また、トリガ電極15cは絶縁体を介してカソード電極15aに取り付けられていてもよい。これらのアノード電極15bとカソード電極15aとトリガ電極15cとは、絶縁碍子15d及び絶縁体により電気的に絶縁が保たれていることが好ましい。この絶縁碍子15dと絶縁体とは一体型に構成されたものであっても別々に構成されたものでも良い。
カソード電極15aとトリガ電極15cとの間にはパルストランズからなるトリガ電源15eが接続されており、また、カソード電極15aとアノード電極15bとの間にはアーク電源15fが接続されている。アーク電源15fは直流電圧源15gとコンデンサユニット15hとからなり、このコンデンサユニット15hの両端は、それぞれ、カソード電極15aとアノード電極15bとに接続され、コンデンサユニット15hと直流電圧源15gとは並列接続されている。
コンデンサユニット15hは、1つ又は複数個のコンデンサ(図1では、1個のコンデンサを例示してある)が接続したものであって、その1つの容量が例えば2200μF(耐電圧160V)であり、直流電圧源15gにより随時充電できるようになっている。トリガ電源15cは、入力200Vのμsのパルス電圧を約17倍に変圧して、3.4kV(数μA)、極性:プラスを出力している。アーク電源15fは、100V、数Aの容量の直流電圧源15gを有し、この直流電圧源からコンデンサユニット15h(例えば、4個のコンデンサユニットの場合、8800μF)に充電している。この充電時間は約1秒かかるので、本システムにおいて8800μFで放電を繰り返す場合の周期は、1Hzで行われる。トリガ電源15eのプラス出力端子は、トリガ電極15cに接続され、マイナス端子は、アーク電源15fの直流電圧源15gのマイナス側出力端子と同じ電位に接続され、カソード電極15aに接続されている。アーク電源15fの直流電圧源15gのプラス端子は、グランド電位に接地され、アノード電極15bに接続されている。コンデンサユニット15hの両端子は、直流電圧源15gのプラス端子及びマイナス端子間に接続されている。
図1中、18はコントローラであり、各コントローラは各トリガ電源15eに接続されており、各コントローラのスイッチをONにしてこのコントローラに接続された各トリガ電源15eに信号を入力すると、このトリガ電源から高電圧が出力されるように構成されている。また、各コントローラ18は、CPU19に接続され、このCPUからの信号(外部信号)により、各コントローラを動作させることができるように構成することが好ましい。
次に、図1に示す2つの同軸型真空アーク蒸着源を備えた同軸型真空アーク蒸着装置1を用いて、真空チャンバ11内の基板ステージ12上に載置した基板Sの主面上に合金ナノ粒子を作製する方法について説明する。この場合、カソード電極として、白金で構成されたカソード電極とルテニウムで構成されたカソード電極とを用い、白金−ルテニウム合金ナノ粒子を作製する。
まず、直流電圧源15gによりコンデンサユニット15hに100Vで電荷を充電し、コンデンサユニット15hの容量を8800μFに設定し、次いで、トリガ電源15eからトリガ電極15cにパルス電圧を出力し(出力:3.4kV)、カソード電極15aとトリガ電極15cとの間にハット型碍子15dを介して印加することで、カソード電極15aとトリガ電極15cとの間にトリガ放電(ハット型碍子表面での沿面放電)を発生させる。カソード電極15aとハット型碍子15dとのつなぎ目から電子が発生する。このトリガ放電によって、カソード電極15aの側面とアノード電極15bの内面との間で、コンデンサユニット15hに蓄電された電荷が真空アーク放電され、カソード電極15aに多量のアーク電流が流入し、このアーク放電により、カソード電極15aのそれぞれの構成金属材料(白金、ルテニウム)が液相から気相に変換され、さらにこの構成金属材料のプラズマが形成される。コンデンサユニット15hに蓄電された電荷の放出により放電は停止する。このトリガ放電を所定の回数繰り返し、そのトリガ放電毎にアーク放電を誘起させる。
上記操作を、白金カソード電極及びルテニウムカソード電極をそれぞれ備えた2つの同軸型真空アーク蒸着源15において同時に行う。
上記したアーク放電の間、構成金属材料の融解により発生したナノ粒子(プラズマ化している原子状イオンやクラスタや電子等)が形成される。このナノ粒子を各アノード電極15bの開口部(放出口)から真空チャンバ11内に放出させ、開口部の斜め下方向に設置されている基板Sに対して、上記のようにして形成されたナノ粒子を供給し、基板S表面上にナノ粒子を付着させ、凝集せしめて直径数nm(例えば、1〜4nm程度)の合金ナノ粒子を作製する。この基板Sは、加熱手段により所定の温度に加熱されている(例えば、450〜600℃)ことが好ましい。
上記したナノ粒子の放出は次のようにして行われる。カソード電極15aに多量の電流が流れるので、カソード電極15aに磁場が形成され、この時発生したプラズマ中の電子(この電子はカソード電極15aからアノード電極15bの円筒内面に飛行する)が自己形成した磁場によってローレンツ力を受け、前方に飛行する。一方、プラズマ中のカソード電極材料の金属イオンは、電子が前記したように飛行し分極することでクーロン力により前方の電子に引きつけられるようにして前方に飛行し、基板S上にナノ粒子が供給されることになる。
図1において、各アーク電源15fから各同軸型真空アーク蒸着源15までの配線であるケーブルの長さを1m程度として、上記同軸型真空アーク蒸着装置1を上記のようにして動作させた場合のアーク放電波形を図2(a)及び(b)に示す。図2(a)は、白金カソード電極15aを用いて行ったの場合の放電波形であり、図2(b)は、ルテニウムカソード電極15aを用いて行った場合の放電波形である。
図2(a)及び(b)から明らかなように、ルテニウムの場合の放電波形は、白金の場合の放電波形に比べて、その発生開始時点がΔt:〜100msだけずれている。場合によっては(カソード電極を構成する金属材料の種類に依る場合も含めて)、Δt:100〜200ms程度の時間のずれが発生する。そのため、必ずしも均一な合金ナノ粒子とならず、ばらつく場合がある。これは、このような時間のずれが、基板上に照射される金属ナノ粒子が核形成を行うための時間より長くなり、合金の核形成から合金粒子への成長過程が満足に行えないためと考えられる。また、目的とする合金ナノ粒子の組成を所望により変動させて種々の組成の合金ナノ粒子を作製することも困難である。
本発明者らは、上記したように複数の同軸型真空アーク蒸着源を用いて合金ナノ粒子を作製する場合、カソード電極を構成する金属材料の種類に依って特定のアーク放電の放電図形が存在すること、そして同軸型真空アーク蒸着源を適正な運転条件に設定しないと、放電が継続せず、途中で停止したり、放電確率(トリガ放電は発生するが、アーク放電が継続して発生しない割合)が低下して、複数の同軸型真空アーク蒸着源を運転させても、全ての蒸着源が同じように運転できず、放電にばらつきがでることに気がついた。例えば、タングステンで構成されたカソード電極を用いる場合、放電電圧を100Vを超えて400Vまで上げていくと、ターゲットと隣接しているハット型碍子が消耗して2000発程度の放電で、放電確率が低下するか或いは最悪の場合は放電が停止する。これは、アークがターゲットに落雷する時に、ハット型碍子が消耗してしまうものと考えられる。図3に基板上にタングステン粒子を蒸着させた後のハット型碍子の形状を示す。図3から明らかなように、ハット型碍子が消耗していることが分かる。
上記のような問題点を解決するために、本発明に係る合金ナノ粒子作製方法及びこのナノ粒子から構成される合金薄膜の作製方法の実施の形態によれば、少なくとも2つの同軸型真空アーク蒸着源の円筒状の各トリガ電極と円筒状の各アノード電極との間にトリガ放電をパルス的に発生させて、異なる蒸着用金属材料で少なくとも先端部が構成された円柱状又は円筒状の各カソード電極と各アノード電極との間にアーク放電を発生させる際に、アーク放電の発生開始時点が早いカソード電極について、そのアーク放電の開始を遅延させることにより、各蒸着源によるアーク放電を同時発生させ、各カソード電極を構成する異なる金属材料から生成する金属ナノ粒子を真空チャンバ内へ同時放出せしめ、処理基板上に合金ナノ粒子を作製するか、又はこの合金ナノ粒子を積層してなる合金薄膜を作製することができる。
この場合に使用する同軸型真空アーク蒸着装置として、円筒状のトリガ電極と、蒸着用金属材料で少なくとも先端部が構成された円柱状又は円筒状のカソード電極と、このトリガ電極及びカソード電極の間に両者を離間させるために設けられた円筒状の絶縁碍子と、カソード電極の周りに同軸状に離間して配置された円筒状のアノード電極とを有する同軸型真空アーク蒸着源を少なくとも2つ備え、各カソード電極を構成する金属材料がそれぞれ異なるものであり、蒸着金属が処理基板に対して斜入射できるように蒸着源を配置してなる同軸型真空アーク蒸着装置を用い、各トリガ電極と各アノード電極との間にトリガ放電を発生させて、各カソード電極と各アノード電極との間に主放電であるアーク放電を同時に誘起させ、すなわち各蒸着源から発生するアーク放電を同期させ、また、基板を400℃以上、好ましくは400〜600℃程度に加熱しながら、各カソード電極を構成する金属材料から生じる金属ナノ粒子を真空チャンバ内へ同時放出せしめ、処理基板上に合金ナノ粒子又は合金薄膜を形成する。上記カソード電極は、その全体が金属材料で構成されていても、その先端部であるアノード電極の開口側方向の端部が上記金属材料で構成されていてもよい。
発明の合金ナノ粒子の作製方法を実施する場合に用いる同軸型真空アーク蒸着装置、及びこの蒸着装置を用いて合金ナノ粒子を作製する方法について、以下、図面を参照して詳細に説明する。
図4に、本発明で用いる同軸型真空アーク蒸着装置の一構成例を模式的に示す。図1と同じ構成要素については、同じ参照番号を付し、その詳細な説明は省略する。
図4に示す同軸型真空アーク蒸着装置の場合、各コントローラ18とCPU19との間に制御回路としての遅延回路を備えた遅延ユニット20が設けられている。アーク放電の発生開始時点がカソード電極を構成する金属の種類によりずれることから、この遅延回路により、遅延していない方のアーク放電の発生開始時点のタイミングをずらして、2つのアーク放電を同期させることにより、各金属ナノ粒子を同時に基板上に照射せしめることが可能となる。この場合、3つ以上の同軸型真空アーク蒸着源を備えた同軸型真空アーク蒸着装置を使用する際には、一番遅くアーク放電が発生する蒸着源の放電開始時点に、他の蒸着源のアーク放電開始時点のタイミングを合わせるように、遅延ユニット20を動作させればよい。
この遅延ユニット20は、CPU19からの信号によって、各トリガ電源に接続された各コントローラ18のスイッチをON、OFFできるように構成されている遅延回路を有していればよい。例えば、この遅延回路としては、オルテック製142Aを2台用いてもよいが、手作りの遅延回路でもよい。
次に、図4に示す同軸型真空アーク蒸着源を2つ備えた同軸型真空アーク蒸着装置1を用いて、真空チャンバ11内の基板ステージ12上に載置した基板S上に、上記した合金ナノ粒子作製方法により合金ナノ粒子を作製する場合について説明する。
本発明に係る一実施の形態として、一方のカソード電極15aとして白金で構成されたカソード電極を用い、他方のカソード電極15aとしてルテニウムで構成されたカソード電極を用いて、基板S上に白金−ルテニウム合金粒子を作製する場合について説明する。
まず、白金カソード電極を備えた同軸型真空アーク蒸着源15については、直流電圧源15gによりコンデンサユニット15hに100〜200Vで電荷を充電し、コンデンサユニット15hの容量:500〜2000μF、例えば1800μF、放電電圧100〜400V、好ましくは200〜400V、例えば400Vで運転する。一方、ルテニウムカソード電極15aを備えた同軸型真空アーク蒸着源15については、直流電圧源15gによりコンデンサユニット15hに60〜100Vで電荷を充電し、コンデンサユニット15hの容量:2000〜9000μF、好ましくは4400〜8800μF、例えば8800μF、放電電圧60〜100V、例えば100Vで運転する。
この場合、白金カソード電極の場合のアーク放電波形とルテニウムカソード電極の場合のアーク放電波形とはその発生開始時点がそれぞれ異なり、図2に示すように、ルテニウムカソード電極の場合の方が、Δt:〜100ms遅延して開始する。そこで、白金カソード電極の場合について、CPU19からの信号により遅延ユニット20の遅延回路に対してコントローラ18のスイッチONを遅らせ、それによりトリガ電源からの出力開始を遅らせるようにする。白金カソード電極の場合のアーク放電の発生開始時点を〜100ms遅延させることにより、白金カソード電極とルテニウムカソード電極とのアーク放電を同期させることができる。
かくして、上記したアーク放電の間に、カソード電極を構成する白金及びルテニウムの融解により発生したナノ粒子(プラズマ化している原子状イオンやクラスタや電子等)が形成される。このナノ粒子をアノード電極15bの開口部(放出口)から真空チャンバ11内に放出させ、開口部の斜め下方向に設置されている基板Sに対して、上記のようにして形成されたナノ粒子を供給し、基板S表面上にナノ粒子を付着させ、基板上でマイグレーションして衝突せしめ、凝集せしめて、直径数nm(例えば、1〜5nm程度)の白金−ルテニウム合金ナノ粒子を作製する。この基板Sは、加熱手段により所定の温度に加熱されている(400〜600℃)ことが好ましい。
上記した白金カソード電極の場合のアーク放電波形とルテニウムカソード電極の場合のアーク放電波形とを図5に示す。図5(a)に白金カソード電極の場合の遅延前及び遅延後の放電波形(実線が遅延前であり、点線が遅延後である)を示し、図5(b)にルテニウムカソード電極の場合の放電波形を示す。図5(a)及び(b)に示したように、白金カソード電極の場合について、アーク放電発生開始時点をΔ:〜100ms遅延させることにより、白金カソード電極の場合とルテニウムカソード電極の場合とのアーク放電を同期できる。そのため、各同軸型真空アーク蒸着源15から基板S上に照射される金属イオン等が同時に基板上に供給されるようになり、均一な白金−ルテニウム合金ナノ粒子が作製できる。
また、上記した白金−ルテニウム合金ナノ粒子作製方法に従って、タングステン−カーボン合金ナノ粒子を作製する場合について、上記方法と異なる点について以下説明する。
タングステンカソード電極を備えた同軸型真空アーク蒸着源15については、直流電圧源15gによりコンデンサユニット15hに100〜200Vで電荷を充電し、コンデンサユニット15hの容量:2000〜9000μF、好ましくは4400〜8800μF、例えば8800μF、放電電圧60〜100V、例えば100Vで運転する。一方、カーボンカソード電極15aを備えた同軸型真空アーク蒸着源15については、直流電圧源15gによりコンデンサユニット15hに100〜200Vで電荷を充電し、コンデンサユニット15hの容量:500〜2000μF、例えば1800μF、放電電圧100〜400V、好ましくは150〜200V、例えば100Vで運転する。
この場合、カーボンカソード電極の場合のアーク放電波形を図6(a)に示し、タングステンカソード電極の場合のアーク放電波形を図6(b)に示す。図6(a)及び(b)から明らかなように、それぞれのアーク放電の発生開始時点が異なり、カーボンカソード電極の場合の方が、Δt:100ms遅く開始する。そこで、タングステンカソード電極の場合について、CPU19からの信号により遅延ユニット20の遅延回路に対してコントローラ18のスイッチONを遅らせ、それによりトリガ電源からの出力開始を遅らせるようにする。タングステンカソード電極の場合のアーク放電の発生開始時点を100msずらすことにより、タングステンカソード電極とカーボンカソード電極とのアーク放電を同期させることができる。そのため、各同軸型真空アーク蒸着源15から基板S上に照射される金属イオン等が同時に基板上に供給されるようになり、均一なタングステン−カーボン合金ナノ粒子が作製できる。
すなわち、上記したアーク放電の間に、カソード電極を構成するタングステン及びカーボンの融解により発生したナノ粒子(プラズマ化している原子状イオンやクラスタや電子等)が形成される。このナノ粒子をアノード電極15bの開口部(放出口)から真空チャンバ11内に放出させ、開口部の斜め下方向に設置されている基板Sに対して、上記のようにして形成されたナノ粒子を供給し、基板S表面上にナノ粒子を付着させ、基板上でマイグレーションして衝突せしめ、凝集せしめて、直径数nm(例えば、1〜5nm程度)のタングステン−カーボン合金ナノ粒子を作製する。この基板Sは、加熱手段により所定の温度に加熱されている(400〜600℃)ことが好ましい。
本発明によれば、上記した方法で合金ナノ粒子を作製できるが、この場合、コンデンサ容量や放電電圧を変えることにより、基板上への金属ナノ粒子の蒸着量を制御することができるので、各金属ナノ粒子の組成比の異なった合金ナノ粒子を作製できるといった利点がある。
本発明で使用できる好ましい基板としては、例えばグラファイト、シリコン、アモルファスカーボン、シリカ(SiO)等からなる基板を挙げることができる。
基板に合金ナノ粒子からなる合金薄膜を形成する場合には、グラファイトからなる基板としてHOPG(High Orientated Pyretic Graphite)基板を使用することが更に好ましい。HOPG基板は、製造過程で高温で燒結するため、その製造コストは高いが、グラフェンシート毎に剥がすことができるので、合金薄膜の蒸着後に剥がし、基板を繰り返し使用することができるので、製造コストの問題は解消され得る。また、基板に合金ナノ粒子からなる合金薄膜を形成するのではなく、合金ナノ粒子を作製し、採取する場合には、HOPG基板でなくてもシリコン基板等を用いて、この基板上に設けたSiO膜等の脱離用膜上に合金ナノ粒子を蒸着し、その後所定の処理を行ってこの粒子を脱離させて、採取することもできる。
蒸着用金属材料(合金ナノ粒子作製用金属材料)としては、例えば白金、ルテニウム、タングステン、カーボン等を挙げることができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
図4に示す同軸型真空アーク蒸着源を2つ備えた同軸型真空アーク蒸着装置を用い、一方のターゲット材として白金で構成されたカソード電極を配置し、また、他方のターゲット材としてルテニウムで構成されたルテニウム電極を配置し、白金−ルテニウム合金ナノ粒子を作製した。
合金ナノ粒子を作製する前に、加熱手段25を用いてHOPG基板Sを所定の温度(500℃)まで加熱した。
白金カソード電極15aについては、コンデンサ容量:1800μF、放電電圧:400Vで運転し、また、ルテニウムカソード電極15aについては、コンデンサ容量:8800μF、放電電圧100Vで運転した。但し、遅延回路からの信号により、白金カソード電極の場合の蒸着源の放電開始時期を、ルテニウムカソード電極の場合の蒸着源の放電開始時期と比べて100ms遅くなるようにずらして運転した。
トリガ放電を所定の回数繰り返し、そのトリガ放電毎にアーク放電を誘起させた。この場合の放電確率は90%以上であり、放電発数は30,000以上持続することが確認できた。また、得られたナノ粒子に対して原子間力顕微鏡(AFM)による観察を行い、白金−ルテニウム合金ナノ粒子(粒径:3nm)が得られていることが確認できた。
実施例1と同様の方法で、タングステン−カーボン合金ナノ粒子を作製した。そのため一方のターゲット材としてタングステンで構成されたカソード電極を配置し、また、他方のターゲット材としてカーボンで構成されたカソード電極を配置した。
タングステンカソード電極15aについては、コンデンサ容量:8800μF、放電電圧:100Vで運転し、また、カーボンカソード電極15aについては、コンデンサ容量:1800μF、放電電圧400Vで運転した。但し、遅延回路からの信号により、タングステンカソード電極の場合の蒸着源の放電開始時期を、カーボンカソード電極の場合の蒸着源の放電開始時期と比べて100ms遅くなるようにずらして運転した。
トリガ放電を所定の回数繰り返し、そのトリガ放電毎にアーク放電を誘起させた。この場合の放電確率は90%以上であり、放電発数は30,000以上持続することが確認できた。また、得られたナノ粒子に対してAMFによる観察を行い、タングステン−カーボン合金ナノ粒子(粒径:3nm)が得られていることが確認できた。
本発明によれば、所望の合金ナノ粒子及びこのナノ粒子から構成される合金薄膜を作製できるので、燃料電池用担持触媒や排ガス触媒として有用な合金ナノ粒子の作製や合金薄膜を提供できると共に、カーボンナノチューブの下地膜としての触媒層を提供できる。従って、本発明は、これらの産業分野を含めて、合金ナノ粒子及び合金薄膜を必要とする各種の技術分野で利用可能である。
同軸型真空アーク蒸着装置の一構成例を模式的に示す構成図。 図1の蒸着装置を運転した場合のアーク放電波形であって、(a)は白金カソード電極の放電波形、(b)はルテニウムカソード電極の放電波形。 図1の蒸着装置を用いて基板上にタングステンナノ粒子を蒸着させた後のハット型碍子の形状を示す写真。 本発明で使用する同軸型真空アーク蒸着装置の一構成例を模式的に示す構成図。 本発明の合金ナノ粒子作製方法を実施した場合のアーク放電波形であって、(a)は白金カソード電極の場合の遅延前及び遅延後の放電波形、(b)はルテニウムカソード電極の場合の放電波形。 図4の蒸着装置を運転した場合の放電波形であって、(a)はカーボンカソード電極の放電波形、(b)はタングステンカソード電極の放電波形。
符号の説明
1 同軸型真空アーク蒸着装置 2 同軸型真空アーク蒸着源
11 真空チャンバ 12 基板ステージ
13 回転駆動手段 14 加熱手段
15 同軸型真空アーク蒸着源 15a カソード電極
15b アノード電極 15c トリガ電極
15d 絶縁碍子 15e トリガ電源
15f アーク電源 15g 直流電圧源
15h コンデンサユニット 16 ガス導入系
16a、16c バルブ 16b マスフローコントローラー
16d ガスボンベ 17 真空排気系
17a、17c バルブ 17b ターボ分子ポンプ
17d ロータリーポンプ 18 コントローラ
19 CPU 20 遅延ユニット

Claims (11)

  1. 少なくとも2つの同軸型真空アーク蒸着源の各トリガ電極と各アノード電極との間にトリガ放電をパルス的に発生させて、異なる蒸着用金属材料で少なくとも先端部が構成された各カソード電極と各アノード電極との間にアーク放電を発生させる際に、前記少なくとも2つの蒸着源によるアーク放電を同時発生させ、前記各カソード電極を構成する異なる金属材料から生成する金属ナノ粒子を真空チャンバ内へ同時放出せしめ、処理基板上に合金ナノ粒子を作製することを特徴とする合金ナノ粒子作製方法。
  2. 円筒状のトリガ電極と蒸着用金属材料で少なくとも先端部が構成された円柱状又は円筒状のカソード電極とが、円筒状の絶縁碍子を挟んで同軸状に隣接して固定されており、前記カソード電極の周りに同軸状に円筒状のアノード電極が離間して配置されている同軸型真空アーク蒸着源を少なくとも2つ、蒸着源として備えた真空チャンバからなる同軸型真空アーク蒸着装置であって、各カソード電極を構成する金属材料がそれぞれ異なるものであり、蒸着金属が処理基板に対して斜入射できるように前記蒸着源を配置してなる同軸型真空アーク蒸着装置を用い、各蒸着源のトリガ電極とアノード電極との間にトリガ放電をパルス的に発生させて、カソード電極とアノード電極との間にアーク放電を発生させる際に、前記少なくとも2つの蒸着源によるアーク放電を同時発生させ、前記各カソード電極を構成する異なる金属材料から生成する金属ナノ粒子を真空チャンバ内へ同時放出せしめ、処理基板上に合金ナノ粒子を作製することを特徴とする合金ナノ粒子作製方法。
  3. 請求項1又は2記載の同軸型真空アーク蒸着源として、白金で少なくとも先端部が構成されたカソード電極を備えた蒸着源と、ルテニウムで少なくとも先端部が構成されたカソード電極を備えた蒸着源との2つを用い、白金−ルテニウム合金ナノ粒子を作製することを特徴とする合金ナノ粒子作製方法。
  4. 請求項1又は2記載の同軸型真空アーク蒸着源として、カーボンで少なくとも先端部が構成されたカソード電極を備えた蒸着源と、タングステンで少なくとも先端部が構成されたカソード電極を備えた蒸着源との2つを用い、タングステン−カーボン合金ナノ粒子を作製することを特徴とする合金ナノ粒子作製方法。
  5. 請求項1又は2記載の同軸型真空アーク蒸着源を2つ用い、一方の同軸型真空アーク蒸着源を、充電コンデンサ容量500μF〜2000μF、放電電圧100V〜400Vで動作させ、他方の同軸型真空アーク蒸着源を、充電コンデンサ容量2000μF〜9000μF、放電電圧60V〜100Vで動作させ、処理基板上に合金ナノ粒子を作製することを特徴とする合金ナノ粒子作製方法。
  6. 請求項5記載の同軸型真空アーク蒸着源において、前記一方の同軸型真空アーク蒸着源として白金で少なくとも先端部が構成されたカソード電極を備えた蒸着源を用い、前記他方の同軸型真空アーク蒸着源としてルテニウムで少なくとも先端部が構成されたカソード電極を備えた蒸着源を用い、白金−ルテニウム合金ナノ粒子を作製することを特徴とする合金ナノ粒子作製方法。
  7. 請求項5記載の同軸型真空アーク蒸着源において、前記一方の同軸型真空アーク蒸着源としてカーボンで少なくとも先端部が構成されたカソード電極を備えた蒸着源を用い、前記他方の同軸型真空アーク蒸着源としてタングステンで少なくとも先端部が構成されたカソード電極を備えた蒸着源を用い、タングステン−カーボン合金ナノ粒子を作製することを特徴とする合金ナノ粒子作製方法。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の少なくとも2つの同軸型真空アーク蒸着源のうち、アーク放電の発生開始時点の早い蒸着源のトリガ電極に、遅延回路から遅延信号を送り、これにより、このトリガ電極のトリガ放電の発生開始時点のタイミングをずらすと共に、アーク放電の発生開始時点のタイミングをずらし、それぞれの蒸着源によるアーク放電を同期させ、処理基板上で同時に各金属ナノ粒子の衝突が起こるようにして、処理基板上に合金ナノ粒子を作製することを特徴とする合金ナノ粒子作製方法。
  9. 少なくとも2つの同軸型真空アーク蒸着源の各トリガ電極と各アノード電極との間にトリガ放電をパルス的に発生させて、異なる蒸着用金属材料で少なくとも先端部が構成された各カソード電極と各アノード電極との間にアーク放電を発生させる際に、前記少なくとも2つの蒸着源によるアーク放電を同時発生させ、前記各カソード電極を構成する異なる金属材料から生成する金属ナノ粒子を真空チャンバ内へ同時放出せしめ、処理基板上に合金ナノ粒子を積層した合金薄膜を作製することを特徴とする合金薄膜作製方法。
  10. 円筒状のトリガ電極と蒸着用金属材料で少なくとも先端部が構成された円柱状又は円筒状のカソード電極とが、円筒状の絶縁碍子を挟んで同軸状に隣接して固定されており、前記カソード電極の周りに同軸状に円筒状のアノード電極が離間して配置されている同軸型真空アーク蒸着源を少なくとも2つ、蒸着源として備えた真空チャンバからなる同軸型真空アーク蒸着装置であって、各カソード電極を構成する金属材料がそれぞれ異なるものであり、蒸着金属が処理基板に対して斜入射できるように前記蒸着源を配置してなる同軸型真空アーク蒸着装置を用い、各蒸着源のトリガ電極とアノード電極との間にトリガ放電をパルス的に発生させて、カソード電極とアノード電極との間にアーク放電を発生させる際に、前記少なくとも2つの蒸着源によるアーク放電を同時発生させ、前記各カソード電極を構成する異なる金属材料から生成する金属ナノ粒子を真空チャンバ内へ同時放出せしめ、処理基板上に合金ナノ粒子を積層した合金薄膜を作製することを特徴とする合金薄膜作製方法。
  11. 円筒状のトリガ電極と蒸着用金属材料で少なくとも先端部が構成された円柱状又は円筒状のカソード電極とが、円筒状の絶縁碍子を挟んで同軸状に隣接して固定されており、前記カソード電極の周りに同軸状に円筒状のアノード電極が離間して配置されている同軸型真空アーク蒸着源を少なくとも2つ、蒸着源として備えた真空チャンバからなる同軸型真空アーク蒸着装置であって、各カソード電極を構成する金属材料がそれぞれ異なるものであり、蒸着金属が処理基板に対して斜入射できるように前記蒸着源を配置してなり、前記トリガ電極用の各トリガ電源にトリガ放電の発生開始時点のタイミングをずらすための遅延回路を備えた遅延ユニットを接続してなることを特徴とする同軸型真空アーク蒸着装置。
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