JP2008269161A - Icカード・タグ用アンテナ回路構成体とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】アンテナ回路パターン層の一部同士の接合部の信頼性を高めることが可能なICカード・タグ用アンテナ回路構成体とその製造方法を提供する。
【解決手段】ICカード・タグ用アンテナ回路構成体1は、樹脂フィルム基材11と、樹脂フィルム基材11の一方表面の上に形成された、主成分として銅を含む銅箔からなる第1の回路パターン層と、樹脂フィルム基材11の他方表面の上に形成された、主成分として銅を含む銅箔からなる第2の回路パターン層とを備える。第1の回路パターン層の一部と、樹脂フィルム基材11を介して第1の回路パターン層の一部に対向する第2の回路パターン層の一部とが圧着部13a、13bで溶接によって接合されている。
【選択図】図1
【解決手段】ICカード・タグ用アンテナ回路構成体1は、樹脂フィルム基材11と、樹脂フィルム基材11の一方表面の上に形成された、主成分として銅を含む銅箔からなる第1の回路パターン層と、樹脂フィルム基材11の他方表面の上に形成された、主成分として銅を含む銅箔からなる第2の回路パターン層とを備える。第1の回路パターン層の一部と、樹脂フィルム基材11を介して第1の回路パターン層の一部に対向する第2の回路パターン層の一部とが圧着部13a、13bで溶接によって接合されている。
【選択図】図1
Description
この発明は、一般的には、ICカード・タグ用アンテナ回路構成体とその製造方法に関し、特定的には、非接触ICカード、万引き防止センサ等に代表されるRFID(Radio Frequency Identification)のためのアンテナ回路を備えたICカード・タグ用アンテナ回路構成体とその製造方法に関するものである。
近年、ICタグ、ICカード等の機能カードは、目覚しい発展を遂げ、盗難防止用タグ、出入者チェック用タグ、テレフォンカード、クレジットカード、プリペイドカード、キャッシュカード、IDカード、カードキー、各種会員カード、図書券、診察券、定期券等に使用され始めている。これらの機能カード用アンテナ回路構成体は、ポリプロピレン(PP)フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等の樹脂フィルムからなる基材と、基材の表面上に形成されたアルミニウム箔または銅箔の金属箔からなるアンテナ回路パターン層とから構成される。アンテナ回路パターン層は、基材の片面または両面に接着剤を介在して金属箔をドライラミネート法等によって接着した後、その金属箔にエッチング処理を施すことにより、基材の表面上に形成される。
上記のような構成の従来のアンテナ回路構成体とそれを備えた機能カード、アンテナ回路構成体の製造方法は、特開2004−140587号公報(特許文献1)、特開2002−7990号公報(特許文献2)に記載されている。
このようなアンテナ回路構成体における複数のアンテナ回路の電気的接続方法としては、静電接続方式のアンテナ以外では、以下の方法がある。
(1)アンテナコイルパターン層が形成された基材の一方面側と反対側の他方面側に回路パターン層を形成し、基材を貫通するスルーホールを形成し、メッキまたは銀塗料でスルーホールを充填することによって、基材の一方面側に形成されたアンテナコイルパターン層と基材の他方面側に形成された回路パターン層とを接続する。
(2)アンテナコイルパターン層が形成された基材の一方面側と反対側の他方面側に回路パターン層を形成し、クリンピング加工によって、基材の一方面側に形成されたアンテナコイルパターン層と基材の他方面側に形成された回路パターン層とを接続する。ここで、クリンピング加工とは、たとえば、超音波等により、基材の両面に接着剤を介在して形成されたアンテナ回路パターン層の少なくとも一部同士を押圧することによって、接着剤、基材等を構成する樹脂を部分的に破壊し、両側の回路パターン層の一部同士を物理的に接触させることをいう。
なお、特開昭61−256695号公報(特許文献3)には、金属ベースプリント配線板の接続方法において金属基板と導体回路とを抵抗溶接により電気的に接続する方法が開示されている。
特開2004−140587号公報
特開2002−7990号公報
特開昭61−256695号公報
アンテナ回路構成体における複数のアンテナ回路の電気的接続方法として(1)の方法は、信頼性が高い接続方法であるが、製造工程が複雑になるため、製造コストが高くなるという問題があった。
また、(2)の方法は、生産性が高い方法であり、製造コストを低くするのに有効であるが、回路パターン層の一部同士を物理的に接合する方法であるので、局所的な変形が生じやすいという問題があった。このため、後工程で行われるICカード・タグ表面への印刷等に影響を与える場合があった。特に、回路パターン層を構成する金属箔が銅箔の場合、銅箔自身が硬く、相対的に高い強度を有するので、時間が経過すると、クリンピングによる接合部が分離してしまうという問題があった。すなわち、回路パターン層を構成する金属箔が銅箔の場合、クリンピングによる接合部の持続性がなく、耐久性も得ることができないので、信頼性の点で問題があった。
特開昭61−256695号公報(特許文献3)に記載されているように、一般的な抵抗溶接法は、通常2つの電極の間に被接続部を挟み、その2つの電極で被接続部を押圧することによって対向する被接続部を接触させた後、通電し、その接触部にて発生したジュール熱によって被接続部を溶融して接続する方法である。この方法は、金属ベースプリント配線板のように絶縁層を介在して対向する被接続部が十分に厚い場合には可能であるが、ICカード・タグ用アンテナ回路構成体のように絶縁層を介在して対向する被接続部が絶縁層の厚みに対して十分な厚みを持たない場合には、押圧によって被接続部が破壊されるおそれがあった。
そこで、この発明の目的は、アンテナ回路パターン層の一部同士の接合部の信頼性を高めることが可能なICカード・タグ用アンテナ回路構成体とその製造方法を提供することである。
この発明に従ったICカード・タグ用アンテナ回路構成体は、樹脂を含む基材と、この基材の一方表面の上に形成された、主成分として銅を含む銅箔からなる第1の回路パターン層と、基材の他方表面の上に形成された、主成分として銅を含む銅箔からなる第2の回路パターン層とを備える。第1の回路パターン層の一部と、基材を介して第1の回路パターン層の一部に対向する第2の回路パターン層の一部とが溶接によって接合されている。
この発明のICカード・タグ用アンテナ回路構成体においては、対向する第1と第2の回路パターン層の一部同士が溶接によって接合されているので、スルーホールによる接合と同等程度の強固な接合を得ることができる。このため、接合部の安定性と信頼性をクリンピングによる接合に比べて高めることができる。
この発明に従ったICカード・タグ用アンテナ回路構成体の製造方法は、次の工程を備える。
(a)樹脂を含む基材の一方表面と他方表面の上に、主成分として銅を含む銅箔を固着する工程。
(b)銅箔の上に所定のパターンを有するレジストインク層を印刷する工程。
(c)レジストインク層をマスクとして用いて前記銅箔をエッチングすることによって、基材の一方表面の上に第1の回路パターン層と、基材の他方表面の上に第2の回路パターン層とを形成する工程。
(d)第1の回路パターン層の一部と、基材を介して第1の回路パターン層の一部に対向する第2の回路パターン層の一部とに、それぞれの回路パターン層を破壊しない程度の圧力を加えた状態で、第1の回路パターン層の一部と第2の回路パターン層の一部との間に所定の電流を流すことによって、その間に介在する基材の一部を溶解させて、第1の回路パターン層の一部と第2の回路パターン層の一部とを接触させる工程。
(e)接触させられた第1の回路パターン層の一部と第2の回路パターン層の一部とに溶接電流を流すことにより、第1の回路パターン層の一部と第2の回路パターン層の一部とを接合する工程。
以上のようにこの発明によれば、ICカード・タグ用アンテナ回路構成体において対向する第1と第2の回路パターン層の一部同士の接合部の安定性と信頼性をクリンピングによる接合に比べて高めることができる。
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、この発明の1つの実施の形態に従ったICカード・タグ用アンテナ回路構成体の平面図、図2は図1のII−II線の方向から見た部分断面図である。
図1と図2に示すように、ICカード・タグ用アンテナ回路構成体の一例としてのICカード・タグ用アンテナ回路構成体1は、樹脂を含む樹脂フィルム基材11と、樹脂フィルム基材11の両面に形成された接着剤層12と、接着剤層12の表面上に所定のパターンに従って形成された、主成分として銅を含む銅箔からなる回路パターン層13とから構成されている。図1において実線で示されるように、基材11の一方表面の上に形成された第1の回路パターン層の一例としての回路パターン層13は、基材の表面上に渦巻状のパターンで形成されている。この回路パターン層13の端部には、ICチップを搭載するための領域13cと13dが形成されている。図1において点線で示されるように、基材11の他方表面の上に形成された第2の回路パターン層の一例としての回路パターン層13は、基材11の裏面に配置される。基材11の表面に形成された回路パターン層13は、基材11の裏面に形成された回路パターン層13に、圧着部13aと13bのそれぞれで互いに電気的に導通するように接触している。この接触は抵抗溶接によって基材11と接着剤層12を部分的に溶解することにより達成されている。
上記の1つの実施の形態において回路パターン層13に使用される銅箔は、厚みが9μm以上50μm以下であるのが好ましい。銅箔の厚みが9μm未満の場合には、ピンホールが多く発生するとともに製造工程において破断するおそれがある。一方、銅箔の厚みが50μmを超える場合には、回路パターン層13を形成するためのエッチング処理に時間がかかるとともに、材料コストの上昇を招く。なお、銅箔は、圧延または電解のいずれで製造されたものでもよい。
本発明のICカード・タグ用アンテナ回路構成体の基材として用いられる樹脂フィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム等から選ばれる少なくとも1種であるのが好ましい。この樹脂フィルムの厚みは15〜50μmの範囲内であるのが好ましく、より好ましくは20〜40μmの範囲内である。基材の厚みが15μm未満では、回路パターン層を形成する銅箔との積層体の剛性が不足するため、各製造工程での作業性に問題が生じる。一方、基材の厚みが50μmを超える場合には、後述する抵抗溶接を確実に行なうことができないおそれがある。
回路パターン層を形成するための銅箔と、基材としての樹脂フィルムとの間の接着は、エポキシ樹脂を含有するポリウレタン(PU)系接着剤を用いたドライラミネーションによるのが好ましい。エポキシ樹脂を含有するポリウレタン系接着剤としては東洋モートン社製AD506、AD503、AD76−P1等を採用することができ、硬化剤としては同社製CAT−10を接着剤:硬化剤=2〜12:1の比率で配合して使用すればよい。通常のエポキシ樹脂を含有しないポリウレタン系接着剤を用いた場合には、回路パターン層を形成するためのエッチング処理中や、ICチップを実装するときにデラミネーション(剥離)が生じやすくなる。これは、エポキシ樹脂を含有しないポリウレタン系接着剤が耐薬品性や耐熱性に劣るからである。
基材としての樹脂フィルムの上に回路パターン層を形成するための銅箔を接着させるためには、エポキシ樹脂を含有するポリウレタン系接着剤を乾燥後において重量で1〜15g/m2程度塗布するのが好ましい。この塗布量が1g/m2未満では、銅箔の接着力が不足し、15g/m2を超える場合には、後述する抵抗溶接を阻害するとともに、製造コストの上昇を招く。
次に、この発明のICカード・タグ用アンテナ回路構成体の製造方法の1つの実施の形態について説明する。図3〜図6はこの発明に従ったICカード・タグ用アンテナ回路構成体の製造工程を示す部分断面図である。なお、図3〜図6は、図1のII−II線の方向から見た部分断面を示している。
図3に示すように、樹脂フィルム基材11の両面に接着剤層12を形成し、この接着剤層12によって樹脂フィルム基材11の両面に銅箔130を固着する。このようにして、銅箔130と樹脂フィルム基材11との積層体を準備する。
図4に示すように、アンテナコイルの仕様に従った所定の渦巻状パターンを有するようにレジストインク層14を銅箔130の表面上に印刷する。印刷後、レジストインク層14の硬化処理を行なう。
図5に示すように、レジストインク層14をマスクとして用いて銅箔130をエッチングすることにより、回路パターン層13を形成する。
その後、図6に示すように、レジストインク層14を剥離する。最後に、回路パターン層13の所定領域に抵抗溶接を施すことにより、図2に示すように回路パターン層の接触部または圧着部13aを形成する。このようにして本発明のICカード・タグ用アンテナ回路構成体1が完成する。
この発明の製造方法において用いられるレジストインクは特に限定されないが、分子中に少なくとも1個のカルボキシル基を有するアクリルモノマーとアルカリ可溶性樹脂とを主成分とする紫外線硬化型レジストインクを用いるのが好ましい。このレジストインクは、グラビア印刷が可能であり、耐酸性を有し、かつアルカリによって容易に剥離除去することが可能であるので、連続大量生産に適している。このレジストインクを用いて銅箔に所定の回路パターンでグラビア印刷を施し、紫外線を照射して硬化させた後、通常の方法に従って、たとえば塩化第二鉄等による銅箔の酸エッチング、水酸化ナトリウム等のアルカリによるレジストインク層の剥離除去を行なうことによって、回路パターン層を形成することができる。
分子中に少なくとも1個のカルボキシル基を有するアクリルモノマーとしては、たとえば、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−アクリロイルオキシプロピルフタル酸、2−アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロフタル酸、2−アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロフタル酸等が挙げられ、これらのうち、単独のアクリルモノマー、またはいくつかのアクリルモノマーを混合したものを使用することができる。上記のアルカリ可溶性樹脂としては、たとえば、スチレン−マレイン酸樹脂、スチレン−アクリル樹脂、ロジン−マレイン酸樹脂等が挙げられる。
レジストインクには、上記の成分の他に、アルカリ剥離性を阻害しない程度に通常の単官能アクリルモノマー、多官能アクリルモノマー、プレポリマーを添加することができ、光重合開始剤、顔料、添加剤、溶剤等を適宜添加して作製することができる。光重合開始剤としては、ベンゾフェノンおよびその誘導体、ベンジル、ベンゾイン、およびそのアルキルエーテル、チオキサントンおよびその誘導体、ルシリンPTO、チバスペシャリティケミカルズ製イルガキュア、フラッテリ・ランベルティ製エサキュア等が挙げられる。顔料としては、パターンが見やすいように着色顔料を添加する他、シリカ、タルク、クレー、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の体質顔料を併用することができる。特にシリカは、紫外線硬化型レジストインクを付けたまま、銅箔を巻き取る場合には、ブロッキング防止に効果がある。添加剤としては、2−ターシャリーブチルハイドロキノン等の重合禁止剤、シリコン、フッ素化合物、アクリル重合物等の消泡剤、レベリング剤があり、必要に応じて適宜添加する。溶剤としては酢酸エチル、エタノール、変性アルコール、イソプロピルアルコール、トルエン、MEK等が挙げられ、これらのうち、溶剤を単独、または混合して用いることができる。溶剤は、グラビア印刷の後、熱風乾燥等でレジストインク層から蒸発させることが好ましい。
本発明の製造方法では、回路パターン層を形成した後に、所定の位置に抵抗溶接を施し、表側と裏側の銅箔の一部を接合する。具体的には、図1に示すように回路パターン層の接触部または圧着部13a、13bのそれぞれにおいて、溶接電極を回路パターン層の表側と裏側に接触させて圧力を加えた状態で、溶接電極に所定の電流を流すことによって加熱することにより、表側と裏側の回路パターン層の間に介在する基材11の一部を溶解させるとともに、互いに対向する表側と裏側の回路パターン層の一部を接触させる。この接触による導通を検知した後、接触させられた表側と裏側の回路パターン層の一部に所定の溶接電流を流すことにより、互いに対向する表側と裏側の回路パターン層の一部を接合する。このとき、接合時の電流を溶解時の電流より大きくすると、更に好適に接合できる。なお、上記の抵抗溶接で用いられる溶接電極は、モリブデン(Mo)、タングステン(W)等の焼結体から形成されている。
このようにして得られた本発明のICカード・タグ用アンテナ回路構成体においては、対向する第1と第2の回路パターン層の一部同士が溶接によって接合されているので、スルーホールによる接合と同等程度の強固な接合を得ることができる。このため、接合部の安定性と信頼性をクリンピングによる接合に比べて高めることができる。また、溶接電極を回路パターン層の一部に接触させて、互いに対向する表側と裏側の回路パターン層の一部に圧力を加えることによって抵抗溶接が行われるので、局所的な変形が生じるが、クリンピング加工に比べれば僅かな変形量に抑えることができる。
以下にこの発明の実施例と従来例について説明する。
(実施例)
厚みが38μmのPETフィルムからなる基材の一方表面には厚みが35μmの圧延された銅箔、基材の他方表面には厚みが18μmの圧延された銅箔を、それぞれ、エポキシ樹脂を含有するポリウレタン系接着剤を用いてドライラミネーション法により接着して積層体を作製した。このようにして得られた積層体の両面に、以下に示す組成のレジストインクとヘリオクリッショグラビア版を用いて図1に示すような印刷パターンを印刷した。印刷後、照射線量が480W/cm2の紫外線ランプで15秒間照射し、レジストインクを硬化させることによりレジストインク層を形成した。
厚みが38μmのPETフィルムからなる基材の一方表面には厚みが35μmの圧延された銅箔、基材の他方表面には厚みが18μmの圧延された銅箔を、それぞれ、エポキシ樹脂を含有するポリウレタン系接着剤を用いてドライラミネーション法により接着して積層体を作製した。このようにして得られた積層体の両面に、以下に示す組成のレジストインクとヘリオクリッショグラビア版を用いて図1に示すような印刷パターンを印刷した。印刷後、照射線量が480W/cm2の紫外線ランプで15秒間照射し、レジストインクを硬化させることによりレジストインク層を形成した。
インクの組成は以下のとおりである。
ベッカサイトJ−896(大日本インキ化学工業社製ロジン−マレイン酸樹脂):21重量部
2−アクリロイロヘキシエチルヘキサヒドロフタル酸:25重量部
ユニディックV−5510(大日本インキ化学工業社製プレポリマー、モノマーの混合物):8重量部
イルガキュア184:3重量部
酢酸エチル:28重量部
変性アルコール:12重量部
フタロシアニンブルー:1重量部
シリカ:2重量部
上記のようにしてレジストインク層が形成された積層体を42ボーメの塩化第二鉄水溶液に温度45℃で5分間浸漬することにより、銅箔のエッチングを行ない、所定のパターンに従った回路パターン層を形成した。その後、その積層体を1%の水酸化ナトリウム水溶液に温度20℃で10秒間浸漬することにより、レジストインク層を剥離した。そして、温度70℃の温風で積層体を乾燥することにより、図6に示すような積層体を作製した。
2−アクリロイロヘキシエチルヘキサヒドロフタル酸:25重量部
ユニディックV−5510(大日本インキ化学工業社製プレポリマー、モノマーの混合物):8重量部
イルガキュア184:3重量部
酢酸エチル:28重量部
変性アルコール:12重量部
フタロシアニンブルー:1重量部
シリカ:2重量部
上記のようにしてレジストインク層が形成された積層体を42ボーメの塩化第二鉄水溶液に温度45℃で5分間浸漬することにより、銅箔のエッチングを行ない、所定のパターンに従った回路パターン層を形成した。その後、その積層体を1%の水酸化ナトリウム水溶液に温度20℃で10秒間浸漬することにより、レジストインク層を剥離した。そして、温度70℃の温風で積層体を乾燥することにより、図6に示すような積層体を作製した。
このようにして得られた積層体の所定の位置で、具体的には図1に示す圧着部13a、13bにおいて抵抗溶接を行った。抵抗溶接の条件としては、まず、1.4kAの電流で35msec通電することによって樹脂フィルムを溶解させた後、1.8kAの電流で3msec通電することによって、圧着部13a、13bにおいて基材を介在して対向する回路パターン層の一部同士を接合した。回路パターン層の表面に加えられる圧力は7kg/cm2であった。このようにして、図1と図2に示されるような形状の銅箔を用いた本発明のICカード・タグ用アンテナ回路構成体を作製した。
なお、図1に示されるように得られた回路パターン層13は、全体の大きさが45mm×45mmの正方形状であった。基材11の表側に形成された回路パターン層において線幅が1.2mm、圧着部13aが4mm×3mmの矩形状、圧着部13bは長さ10mmの二等辺を有する直角三角形状の形状を有し、ICチップを搭載するための領域13cと13dのそれぞれの大きさは6mm×6mmの正方形状であった。また、基材11の裏側に形成された回路パターン層において線幅が0.6mm、圧着部13aが3mm×2mmの矩形状、圧着部13bは長さ5mmの二等辺を有する直角三角形状の形状を有していた。
(従来例)
厚みが38μmのPETフィルムからなる基材の一方表面には厚みが30μmの圧延されたアルミニウム箔、基材の他方表面には厚みが10μmの圧延されたアルミニウム箔を、それぞれ、エポキシ樹脂を含有するポリウレタン系接着剤を用いてドライラミネーション法により接着して積層体を作製した。このようにして得られた積層体の両面に、実施例で用いられたものと同じ組成のレジストインクとヘリオクリッショグラビア版を用いて図1に示すような印刷パターンを印刷した。印刷後、照射線量が480W/cm2の紫外線ランプで15秒間照射し、レジストインクを硬化させることによりレジストインク層を形成した。
厚みが38μmのPETフィルムからなる基材の一方表面には厚みが30μmの圧延されたアルミニウム箔、基材の他方表面には厚みが10μmの圧延されたアルミニウム箔を、それぞれ、エポキシ樹脂を含有するポリウレタン系接着剤を用いてドライラミネーション法により接着して積層体を作製した。このようにして得られた積層体の両面に、実施例で用いられたものと同じ組成のレジストインクとヘリオクリッショグラビア版を用いて図1に示すような印刷パターンを印刷した。印刷後、照射線量が480W/cm2の紫外線ランプで15秒間照射し、レジストインクを硬化させることによりレジストインク層を形成した。
上記のようにしてレジストインク層が形成された積層体を35%の塩化第二鉄水溶液に温度40℃で5分間浸漬することにより、アルミニウム箔のエッチングを行ない、所定のパターンに従った回路パターン層を形成した。その後、その積層体を1%の水酸化ナトリウム水溶液に温度20℃で10秒間浸漬することにより、レジストインク層を剥離した。そして、温度70℃の温風で積層体を乾燥することにより、図6に示すような積層体を作製した。
このようにして得られた積層体の所定の位置で、具体的には図1に示す圧着部13a、13bにおいて、凹凸のある金属板と金属突起を用いてクリンピング加工を施すことにより、図1と図2に示されるような形状のアルミニウム箔を用いた従来のICカード・タグ用アンテナ回路構成体を作製した。
なお、得られた回路パターン層13の大きさは、実施例のものと同じであった。
以上のようにして作製された実施例と従来例のICカード・タグ用アンテナ回路構成体の試料をそれぞれ、10枚準備し、図1においてICチップを搭載するための領域13cと13dの間の初期の電気抵抗値を、図1の表面側から四端子法によって測定した。
測定された初期の電気抵抗値の最大値と最小値を示す試料を除き、残りの8枚の試料に以下の条件でヒートショックを加えて、上記と同様にして電気抵抗値を測定した。
ヒートショック条件:温度180℃で1分間加熱した後、温度150℃で60分間加熱した。
測定されたヒートショック後の電気抵抗値を、上記で測定された初期の電気抵抗値を100とした場合の相対値で表1に示す。
さらに、8枚の試料に以下の条件でヒートプレスを加えて、上記と同様にして電気抵抗値を測定した。
ヒートプレス条件:温度120℃に加熱した状態で5gf/cm2の圧力を5分間加えた。
測定されたヒートプレス後の電気抵抗値を、上記で測定された初期の電気抵抗値を100とした場合の相対値で表1に示す。
表1に示す結果からわかるように、銅箔を用いた本発明のICカード・タグ用アンテナ回路構成体では、加熱試験後の電気抵抗値の変化は5%未満であり、アルミニウム箔を用いた従来のICカード・タグ用アンテナ回路構成体と比較してほぼ同等の信頼性を有する接合部が形成されていることが確認された。
今回開示された実施の形態と実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は以上の実施の形態と実施例ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正と変形を含むものであることが意図される。
1:ICカード・タグ用アンテナ回路構成体、11:樹脂フィルム基材、12:接着剤層、13:回路パターン層、13a,13b:圧着部、14:レジストインク層、130:銅箔。
Claims (2)
- 樹脂を含む基材と、
前記基材の一方表面の上に形成された、主成分として銅を含む銅箔からなる第1の回路パターン層と、
前記基材の他方表面の上に形成された、主成分として銅を含む銅箔からなる第2の回路パターン層とを備え、
前記第1の回路パターン層の一部と、前記基材を介して前記第1の回路パターン層の一部に対向する前記第2の回路パターン層の一部とが溶接によって接合されている、ICカード・タグ用アンテナ回路構成体。 - 樹脂を含む基材の一方表面と他方表面の上に、主成分として銅を含む銅箔を固着する工程と、
前記銅箔の上に所定のパターンを有するレジストインク層を印刷する工程と、
前記レジストインク層をマスクとして用いて前記銅箔をエッチングすることによって、前記基材の一方表面の上に第1の回路パターン層と、前記基材の他方表面の上に第2の回路パターン層とを形成する工程と、
前記第1の回路パターン層の一部と、前記基材を介して前記第1の回路パターン層の一部に対向する前記第2の回路パターン層の一部とに、それぞれの回路パターン層を破壊しない程度の圧力を加えた状態で、前記第1の回路パターン層の一部と前記第2の回路パターン層の一部との間に所定の電流を流すことによって、その間に介在する前記基材の一部を溶解させて、前記第1の回路パターン層の一部と前記第2の回路パターン層の一部とを接触させる工程と、
前記接触させられた前記第1の回路パターン層の一部と前記第2の回路パターン層の一部とに溶接電流を流すことにより、前記第1の回路パターン層の一部と前記第2の回路パターン層の一部とを接合する工程とを備えた、ICカード・タグ用アンテナ回路構成体の製造方法。
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