JP2001283172A - 非接触型icカード - Google Patents

非接触型icカード

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JP2001283172A
JP2001283172A JP2000097007A JP2000097007A JP2001283172A JP 2001283172 A JP2001283172 A JP 2001283172A JP 2000097007 A JP2000097007 A JP 2000097007A JP 2000097007 A JP2000097007 A JP 2000097007A JP 2001283172 A JP2001283172 A JP 2001283172A
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card
circuit
signal
waveform
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Toshikazu Nagura
敏和 名倉
Masaaki Okamoto
正明 岡本
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Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】通信性能を改善した非接触型ICカードを提供
することを目的とする。 【解決手段】信号出力波形が特定の条件を満足するため
に、ICチップ6とアンテナ回路2b‘との重畳可能面
積が100%未満の範囲内で上限値を有するICチップ
と、該ICチップの端子部を該上限値の範囲内でアンテ
ナ回路に接続して搭載したインレットシートとを有する
非接触型ICカードであると信号出力波形が規定されて
いる信号波形の変調の規格に入り通信性能を大きく改善
することができるようになる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、銀行カード、ポイ
ントカード等に使用される、電力供給とデータの交信等
を外部電波で行う乗車券、テレホンカード、荷物タグ等
に使用される非接触型ICカード及び接触型と非接触型
の両方の機能を併せ持つコンビ型ICカード等に関する
ものである。これらのカードはいわゆるデータキャリア
とも呼ばれる。
【0002】
【従来の技術】接触型ICカードは金銭のやり取りなど
セキュリティーが高く、本人が使用する意志を確認する
のに適している。非接触型及びコンビ型はデータの送受
信を電波で行うことができるため、たとえば従来の切
符、定期券等、磁気記録層が片面に設けられている乗車
券に変わる記録媒体として注目されている。特に荷物、
部品を移動しながら非接触で管理したり、改札通過の際
に、一々乗車券を取り出すことがなく、定期入れや鞄等
の中からでも情報交換できるため、利便性が大きく向上
するものと期待されている。
【0003】ICカードと呼ばれている新しい情報記録
媒体は、現在市場に広く出回っているクレジットカー
ド、銀行カード、ポイントカード、テレホンカード等の
カード状あるいはシート状の形状をして、その中にIC
が組み込まれているものを総称している。
【0004】ICカードは大きく分けて接触型、非接触
型及び両方の機能を持ったコンビ型の3種類に分けられ
る。接触型とはカード表面に端子が設けられており、そ
の端子を通じて信号の送受信を行うものである。現在使
い捨てタイプはヨーロッパ等でテレホンカードとして広
く流通している。また、情報の書き換え可能なタイプを
マネーカードとして、使用する実験が各国で行われてお
り、金融関係で使用されるカードとして注目されてい
る。
【0005】1チップの接触型ICカードは、プラスチ
ックカードにモジュール化されたICチップを装着する
単純な構造となっている。プラスチックカードはICモ
ジュールが接着される部分に予めICモジュールが入る
大きさと深さの穴を開けておく方法と、インジェクショ
ンによって成形する方法がある。穴を開ける方法は1枚
物のプラスチックカードにザグリ機で彫る方法や、2枚
のシートの1枚に貫通穴を開け貼りあわせる方法があ
る。現在1チップが主流であるが、機能別に複数部品を
含んでいる接触型ICカードもあり、部品間の接続や特
殊な端子等との接続のために回路パターンが使用されて
いる。
【0006】一方非接触型ICカードは、電池内蔵のも
のと、外部からの電磁波で電力を得て動作するタイプに
更に分けられる。電池内蔵のものは、非接触型ICカー
ドから発信する電波の出力が大きい。これに対して、外
部から電磁波により電力を得て駆動するタイプの非接触
型ICカードは、カードからの発信出力が小さく、通信
距離を最大にするためには、リーダ・ライタとのマッチ
ングを最適化する必要がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来に比べ
て通信特性を大幅に改善できるICカードを提供するこ
とを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係る非接触型I
Cカードは、信号出力波形が以下のからの条件を満
足するために、ICチップとアンテナ回路との重畳可能
面積が100%未満の範囲内で上限値を有するICチッ
プを、該ICチップの端子部を該上限値の範囲内でアン
テナ回路に接続して搭載したインレットシートを有する
非接触型ICカードである。信号出力の定常出力を10
0%にした場合に 信号の立ち下がりから次の信号の立ち上がり時間t1
が2.0〜3.0μ秒; 信号の出力が5%以下の時間t2がt1>2.5μ秒
の場合は0.5〜t1μ秒であり、t1≦2.5μ秒の
場合は0.7〜t1μ秒; 信号の立ち上がりから信号出力が90%に達するまで
の時間t3が0〜1.5μ秒; 信号の立ち上がりから信号出力が60%に達するまで
の時間t4が0〜0.4μ秒; 信号のオーバーシュートは90〜110%の範囲内; また、ICチップの端子部のバンプが少なくともアンテ
ナ回路と重畳する範囲になるようにICチップを接続し
て搭載したインレットシートであると、よりICチップ
と端子部の接続が強固になるので好ましい。また、アン
テナ回路がICチップの端子部のバンプと接続する実質
的に凸部を有するアンテナ回路であると、ICチップと
アンテナ回路との重畳面積を小さくし易くなる。なお、
本発明で使用できるアンテナ回路は、金属箔、導電性イ
ンク、金属蒸着膜、金属線等電気伝導性がある材料をエ
ッチング、印刷、蒸着等の方法で形成されている。IC
とアンテナの接合は、ハンダ合金、金ワイヤー、紫外線
硬化、湿気硬化、熱硬化の樹脂等で行われる。中でも熱
硬化性のエポキシ樹脂やエポキシ樹脂に数μm程度の微
小な導電性粒子を分散させた異方導電性接着剤(AC
P)、ACPをフイルム状にした異方導電性フィルム
(ACF)等の接着剤を介してフリップチップ方法で行
われていることが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明は、コンビ型のICカード
においても使用可能であるが、本発明を使用する上で好
適な非接触カードを例に説明する。現在一般に流通して
いる非接触型ICカードのものと同一のものがそのまま
使用できる。以下回路基材からインレットシートまで
の製造工程を中心に、順を追って説明し、その後IC
カードの組立てについて説明する。まず回路基材を構成
している金属箔、導電性インク、及び支持体について詳
細に説明する。
【0010】インレットシートの形成の材料工程 インレットシートに使用できる電気伝導回路の材料は、
大きく分けて金属箔を使用したものと、導電性ペースト
を使用するものがある。 [金属箔の場合]金属箔を使用する場合は大きく分けて
金属箔と支持体を接着剤などて貼り合わせたものと、支
持体上に蒸着やメッキなどで金属膜を直接形成したもの
に分けられる。一般的にはコストの低い前者が使用され
ることが多いので、以下に金属箔を張り合わせた回路基
材に付いて説明を行う。回路基材の平面図及び断面図を
それぞれ図1及び2に示した。図1は本発明の実施例に
使用される回路基材の平面図であり、図2はそのA−A
‘断面図である。以下図を参照しながら説明する。金属
箔2と支持体1が接着剤8により接合されて回路基材3
が構成される。回路基材上の金属箔はその一部がエッチ
ング等により除去されてアンテナ回路パターンが形成さ
れる。このようにアンテナ回路パターンの形成された回
路基材の平面図及び断面図をそれぞれ図3及び4に示し
た。図3はエッチング後の回路基材の平面図であり、図
4はそのA−A‘断面図である。支持体1の上に回路2
bが形成されている。なおエッチング等によりアンテナ
回路パターンを形成した後の回路基材をエッチング前の
回路基材と特別に区別して呼ぶ時はエッチング回路基材
という。このエッチング回路基材にICチップやコンデ
ンサなどの電子部品を搭載したシートをインレットシー
トと呼ぶ。このインレットシートを図5、図6に示し
た。図5はインレットシートの平面図であり、図6はそ
のB−B‘断面図である。図7は図6に示した円部分の
IC搭載部分の拡大断面図である。図7においてICチ
ップ6のバンプと呼ばれる端子7がACF(異方導電性
フィルム)5を介して、回路2b上にボンディングされ
ていることが示されている。
【0011】(金属箔)使用される金属箔2は、電解
法、圧延法、精密圧延法、打箔法(主に美術工芸用)で
製造された、アルミ箔、銅箔、金箔、銀箔、亜鉛箔、ニ
ッケル箔、錫箔、合金箔等が好ましい。これらの金属箔
は、一般に基材と接着する側に化学処理、物理処理等に
より表面凹凸を設けて接着強度を向上させる表面処理を
行うのが好ましい。表面処理による凹凸は大きいほうが
接着強度が高いが、あまり大きいと金属箔の強度が弱く
なったり、接着剤が凹部に十分進入しないことがある。
薄い金属箔を使用する場合などは金属箔表面に細かい凹
凸が生じ細線の再現性に問題が出てくる可能性がある。
また、通常金属箔は空気によって表面酸化されるので、
酸化防止処理をすることが好ましい。一般にエッチング
パターンに使用される金属箔は銅箔が多い。銅箔には圧
延銅箔(精密圧延法を含む)と電解銅箔が一般的であ
る。圧延銅箔は繰り返しの屈曲に対して機械的強度が良
好であり、コンピーュータのハードディスクやプリンタ
ーなど可動部分の配線などに適している。電解銅箔は圧
延銅箔に比較すると耐屈曲性能が悪いが、コストが安
い。本発明のICカードでは、屈曲するような使用は行
わないので、電解銅箔であっても充分使用可能である。
電解銅箔は硫酸銅溶液を原料とし、硫酸銅溶液の中の回
転するドラム上に電気的に銅を析出させ、これを巻き取
って銅箔とする。できた銅箔は、ドラム面の光沢が転写
した光沢面と反対側の粗面となり、その後の工程で光沢
面は防錆処理と耐熱処理、粗面は他の基材との接着性向
上のための化学的、物理的な粗面化処理をするのが好ま
しい。圧延箔は2〜4段の圧延機(精密圧延の場合6〜
20段)によって金属条を圧延したものであり、通常両
面とも高い平滑性がある。なお精密圧延箔は、膜厚の均
一性が良好なので細かいパターンに使用されている。圧
延直後のままであると接着性が弱いため電解銅箔と同様
に片面を化学的、物理的な粗面化処理、反対面を防錆、
耐熱処理することが好ましい。
【0012】[導電性ペーストの場合]導電性ペースト
は金、銀、ロジウム、パラジウムなどの貴金属、ニッケ
ル、銅、錫、鉛、カーボンブラック、半田等の合金粉末
を熱硬化あるいは蒸発乾燥型樹脂に分散し金属粉同士の
接触によって導電性を得られる一種のインクである。ス
クリーン印刷、ディスペンサー等で基板上に回路パター
ンあるいは接点に塗布することができ、エッチングの場
合と違い必要な部分のみに塗布するだけで良いので、工
程が簡単で製造コストが低く、又エッチングの場合に比
較して廃棄物が出にくいため環境への負担が少ない。し
かしながら、金属粉同士の接触が導電性を発現するの
で、エッチングより抵抗値が1桁ほど高くなる欠点があ
る。非接触型ICカードに使用される導電性ペースト
は、導電粒子に主に銀粉使用したものが好ましい。銅は
目方当りのコストは安いが、銅粉になると空気で容易に
酸化されるため表面処理や、酸化膜を還元するような工
程が必要になり、コストも上昇しなおかつ取り扱いが難
しくなる。また他の金属は高コストだったり、廃棄の場
合公害の要因となる可能性がある。又カーボンブラック
はコストも低く、公害の可能性も低いが、金属粒子に比
べて電気抵抗が桁違いに高くなるため、通信性能に問題
が生じる。接着剤の中で金属粉同士が接触することが導
通の主なメカニズムであるので、金属粉同士の接触面積
が大きいほうが電気抵抗値が低くなる。金属粉同士の接
触面積を大きくするには金属粉の形状を偏平にすること
が好ましい。金属粉を偏平にする方法は、スタンプミ
ル、アトライターなどで金属粉を叩いてつぶす方法が好
ましい。導電性ペーストに使用されている接着剤も電気
伝導性に影響がある。一般に使用されている樹脂は電気
的に導通がない。しかしながら金属粉同士を強固に接触
させる役割がある。導電性をよくするには接着剤の選択
も重要である。
【0013】[その他の方法]アンテナ回路を製造する
場合、銅線をコイル状に巻く巻線アンテナ、半導体のリ
ードフレームのように金属箔状の銅やアルミを打ち抜く
アンテナも好ましい。又、回路を金属蒸気によって製造
する方法は、蒸着膜の厚さを得るためには長時間の蒸着
が必要であり、製造効率が悪いが可能である。 [支持体]支持体1は柔軟性のあるシート、好ましくは
樹脂フィルムから選択される。樹脂は高分子化合物の集
合体である。樹脂は、室温では部分的に高分子の一部が
規則的に折りたたまれた結晶構造と、結晶構造を持たな
いアモルファス状態から構成されている。高分子同士は
弱い分子間力で結合されているため、高分子の構造や分
子量に依存して樹脂の熱的な挙動が決定される。樹脂の
温度が高くなることで高分子の集合構造が緩み、柔らか
くなるものを熱可塑性高分子と定義されている。一方高
分子鎖に熱により反応する官能基を含む高分子は、熱に
より官能基が反応し高分子に網目構造が生じ、高分子間
は強い結合が生まれるため、温度を上昇させても流動す
ることは難しい。このような高分子を熱硬化型高分子と
定義している。又紫外線や電子線を用いてこのような網
目構造を持つ熱硬化高分子もある。フィルム状支持体は
無延伸、1軸延伸、2軸延伸等の製造方法で製造されてい
るが、一般に延伸されると樹脂の分子配向方向が揃うた
め、丈夫なフィルムが得られることが知られている。し
かしながらある温度条件で配向し室温で使用する場合に
は問題ないが、別のある温度以上になる環境で使用する
と配向していた分子が元に戻ろうとするのでフィルムの
収縮が発生しカールなどのトラブルとなる可能性が高
い。フィルムの収縮を抑えるために、事前に製造工程で
加える温度以上で熱収縮させるのが好ましい。支持体に
使用する材料はポリエチレン、ポリプロピレン等のポリ
オレフィン系、ポリイミド、PET、APET、ポリス
チレン、ポリカーボネート、塩化ビニル系、ABS、セ
ルロース誘導体系、ナイロン系、テフロン(登録商標)
系、シリコーン系、ポリマーブレンド系、エンジニアリ
ングプラスチック系、布、不織布、紙等基本的にはどん
なものでも可能である。ただし、支持体上に設けるアン
テナによっては適さないものがある。たとえば銀ペース
ト等の導電性インクでアンテナを作成する場合、長時間
高温でインクの硬化を行うためにこの条件で使用できる
材質が要求され、金属箔と熱接合でアンテナを作成する
場合はある程度の温度でヒートシールできる材料が必要
である。金属箔と支持体を接着剤で貼り合わせる場合は
接着剤にもよるが、接着剤の溶剤で支持体が溶けないこ
とが必要である。一般に使用される接着剤は、金属と樹
脂等を接着するためポリウレタン系、ポリエステル系、
エポキシ系等の特殊な材料であり、ドライラミネート
法、ウエットラミネート法で貼り合わせる。また金属箔
のエッチングで基材が酸やアルカリの影響を受けないこ
とも必要である。支持体上に金属膜を形成する他の方法
として、蒸着やメッキやこれらの方法を組み合わせてポ
リイミドやPET上に銅を薄く蒸着し、銅メッキで所定
の厚さを得ている方法がある。
【0014】カード組立て工程においては、一般に200
℃以下の熱でインレットシート、接着剤層、被覆層等を
貼り合わせるほうが製造の容易性、コストダウン効果が
得られるので好ましい。更にカール制御、作業性、電
力、コストダウン等が改善できるため、150℃以下でカ
ードを組立てるのが好ましい。このように成形温度が低
ければ、金属箔、金属粉の酸化防止の点からも好まし
い。また使用する金属箔、金属粉の溶融温度が低い場合
に、回路の溶融変形、断線等防止の点からも好ましい。
APET系(アモルファスPET)は通常のPETに含
まれるエチレングリコール成分の一部を不飽和結合の無
いシクロヘキサンジメチルに置換することでポリマーの
結晶化を少なくした、即ちアモルファス状のPETであ
る。
【0015】本発明のフィルム状の支持体は透明、半透
明、不透明の無色、有色、白色のフィルムを使用用途に
よって使い分けることができる。半透明、及び不透明な
フィルムは通常樹脂の中に無機、有機顔料を配合するも
のがある。配合される無機顔料の代表的なものとして
は、単独或いは複数混合で酸化チタン、炭酸カルシウ
ム、硫酸バリウム、シリカなどがあり、有機顔料はフィ
ルム樹脂の種類によって色々な物が用いられているが、
基本的にはフィルム樹脂とは相溶しない種類で可視光線
を乱反射する大きさ、屈折率の異なる樹脂が選ばれるの
が好ましい。透明フィルムも透明性を損なわない量の顔
料を配合しているものもある。フィルム中には上記顔料
以外にも可塑剤帯電防止剤等各種添加剤配合されてい
る。支持体表面は、接合加工時の脱気のためにエンボス
加工等を行うことも好ましい。
【0016】(インレットシート)以上のようにして支
持体と金属箔を接着剤などで貼り合わせて得られた回路
基材の金属箔の一部をエッチングにより取り除き必要な
回路を形成後、先に説明した図5,6に示したように、
IC等をACFを介してボンディングして回路基材に装
着してインレットシートを得ることができる。インレッ
トシートは以下に説明する非接触型ICカードの組立て
時の心臓部品となる。回路の形成は次のように行われ
る。回路基材の金属箔上に感光樹脂層を設け、ネガ/ポ
ジフィルム等上に作成した回路パターンをその感光樹脂
層に焼き付けたり、印刷、レタリング等各種方法で回路
を直接基板上に描き、上記方法でマスキングした回路パ
ターン部分を除いて不要な金属部分を第2塩化鉄溶液等
を使用して所謂エッチングにより溶かし出すことによ
り、必要な回路を製造することができる。なおエッチン
グ等により回路を形成した後の回路基材を以後簡単に省
略してエッチング回路基材と呼ぶ。回路基材は、金属箔
を両面に貼りあわせた回路基材から作ることもできる。
このような回路基材では回路基材に平面コンデンサを形
成することが可能になる。平面コンデンサは非接触型I
Cカードにおいて周波数を正確に合わせるためのチュー
ニングを行う時に非常に有用な部品となるものである。
金属箔を両面に貼りあわせた回路基材はスルーホール、
めっき或いは機械的に導通する方法で両方の金属箔を導
通させて立体的な回路を構成して利用することも可能で
ある。一方導電性ペーストを使用した回路基材の作成は
以下のように行われる。コンピュータのCADプログラ
ムなどで作成されたアンテナ回路のパターンを、ネガフ
ィルムに焼き付ける。スクリーン印刷機の使用サイズに
合った金属枠上に、ナイロンメッシュやステンレスメッ
シュを張り、その上に感光乳剤を塗り、上記ネガフィル
ムのパターンを紫外線で焼き付け現像し製版する。作成
したスクリーン版を印刷機にセットして、スキージで版
上に置いた導電性ペーストを版の下に置いた支持体に扱
き出すようにして、パターンを印刷する。インクによっ
て乾燥方法は異なるが、エポキシ樹脂が接着剤の導電性
ペーストは印刷後150℃×30分程度乾燥するのが好ま
しい。パターンによっては交差する回路設計が必要とな
るので、スルーホールを設けた両面印刷あるいはレジス
ト印刷などでジャンパー回路を設ける必要がある。レジ
スト印刷は熱硬化、UV硬化、その両方の硬化工程が必
要な樹脂を用いる。一般的にピンホールを避けるため
に、2回印刷する場合が多い。導電性ペーストを使用し
た回路基材の場合、基本的にはエッチング回路基材の金
属箔が導電性ペーストの印刷回路2cに置き換わり、金
属箔と支持体とを接着している接着剤がない構成となっ
ている。このような導電性ペーストを使用した回路基材
を使用したインレットシートの断面図を図8に示した。
図8は導電性ペーストを使用した回路基材を使用したイ
ンレットシートの断面図である。以下、インレットシー
ト製作に係るIC等の部品についてそれぞれ簡単に説明
する。
【0017】[IC]本発明で使用されるICチップは
135KHz、4.9、6.5、13.56、MHz、2.54GHz帯で
ある。これらのカードに装着するICは、[1]モジュ
ール化チップ:チップのパッドにリードフレームの電極
をワイヤーボンディングした上にエポキシ樹脂等で封止
されたモジュールと言われる形態、[2]樹脂/金属板
補強チップ:樹脂のみあるいは樹脂(接着剤を兼ねる)
+金属板でチップを補強した形態、[3]ベアチップ:
シリコンウエハーの回路にバンプを設け切断しただけの
ベアチップの形態がある。一般に[1]のモジュール化
チップはコストが高いが、電極や封止樹脂で保護されて
いるため機械的な力に対して信頼性が高い。それに対
し、一般に[3]のベアチップは接続部分の加工が簡素
化されているので、コストは低いが信頼性が劣る。
[2]の形態は[1]と[3]の中間の性能とコストで
ある。後図に示したIC6はこのようなベアチップのI
Cである。以下にこれらの形態のチップに付いて説明す
る。 [1]モジュール化チップ:モジュールの作成は、ベア
チップをリードフレームに使用される42アロイのよう
な金属板に回路面を上にして固定し、チップのバンプ部
分と金属板とを金やアルミの細いワイヤーでワイヤーボ
ンディングし電気的導通をさせる。その後エポキシ樹脂
でチップ部分を覆うが、覆う方法としては、メタルマス
クによる印刷や、メス型に樹脂を流し込むポッティング
方法などがある。樹脂を硬化させた後、通常はテープ状
となっているので必要な形状に切断してモジュールとす
る。モジーュルはハンダ付け、ワイヤーボンディング、
カシメ、溶接等でアンテナ回路と接続する。 [2]樹脂/金属板補強チップ:本発明で規定している
ICチップは、後述するベアチップのみならず、補強さ
れたICチップを使用することができる。補強方法は、
ベアチップに金属板を接着する方法や、エポキシ樹脂な
どでチップの全面を覆う方法がある。ここでいうチップ
の全面を覆う方法の一例は、回路と金属バンプが形成
されているウエハーの回路面側からハーフダイシング、
回路面の封止樹脂の塗布、回路面と反対面のグライ
ディング、反対面の封止樹脂の塗布、ダイシングを
行う工程を経てチップを封止樹脂内に完全に閉じ込めて
いる。補強されたこれらのチップはフリップチップ法で
アンテナ回路と半導体回路のバンプとをBGA(ボール
グリッドアレイ)、ACF、ACP、NCP等の上から
チップを押さえつけて硬化させる方法が取られる。BG
Aを使用する場合、ハンダボールをアンテナ接点上に設
け、その上からバンプ付きチップを押し込み、ハンダを
リフローさせて固着させる。又BGAの代りに樹脂バン
プを印刷することも可能である。ベアチップが装着、検
査された後、機械的強度向上のためにアンダーフィルと
呼ばれる熱硬化型樹脂がベアチップと基板の間に流し込
まれ再び加熱硬化される場合もある。 [3]ベアチップ:ベアチップに用いられるバンプは
金、はんだ等の金属系或いは導電性ペーストによって構
成されていることが好ましい。金バンプは、ワイヤーボ
ンダーの技術を応用した方法、メッキ法、スパッタ法が
ある。金バンプは製法によって形状に特徴がある。メッ
キ、スパッタ法では丸又は円柱状であり、ワイヤーボン
ダーで製造したバンプの形状はワイヤーを途中で切るた
め、独特の形をしている。また導電性ペーストによる樹
脂バンプは、スクリーン印刷、ディスペンサー等により
チップ上に形成される。使用する導電性ペーストはアン
テナ回路で使用されるものと同様なものが使用可能であ
る。ベアチップの場合、BGA(ボールグリッドアレ
イ)、ACF、ACP等の上からチップを押さえつけて
硬化させる方法が取られる。本発明ではいろいろなIC
チップを用いて、ICとアンテナ回路の重なりでどのよ
うな信号波形の変化があるかテストを行ったが、ICと
アンテナ回路の重なりで波形が変化するICチップとそ
うでないICチップがあることが判明した。本発明では
当然、ICとアンテナ回路の重なりで波形が変化するI
Cチップを対象にしている。対象になるICチップが樹
脂や金属板で補強されていた場合は、元のベアチップよ
り外形が大きくなることがあるが、補強のないベアチッ
プと同様に回路が形成されている面のシリコン部分の外
形面積を基準にして、ICチップとアンテナ回路との重
畳面積が100%未満の範囲内で重畳する。
【0018】[ACF]ACFは異方導電性フィルム略
号のことであり、熱硬化性樹脂の中に導電性粒子が分散
した構造である。ACPはACFの樹脂がペースト状の
ものである。導電性粒子として、金属粉はもとより、銀
粒子に樹脂をコーティングした粒子、樹脂粒子に金メッ
キされたものも使用されている。ACFはアンテナ回路
の接点部分に片面を接着した後、表面のセパレーターを
剥がし、その上からベアチップを貼付けることで、バン
プとアンテナ回路が導電性粒子を通して導電性が得るこ
とができる。バンプがない部分は導電粒子が疎であるた
め、電気的に導通が難しい。また、ACFがベアチップ
全面に敷かれていることもあるので、封止樹脂は必要と
しないこともある。ベアチップ貼付けは、チップ実装時
に加熱硬化し固定することができる。本発明の回路基材
にICチップを実装する場合、ACFなどの上から15
0℃を超える熱を加えることが多い。本発明で支持体と
して使用できる熱可塑性樹脂の中ではこの温度より低い
融点を持つものもあるが、回路基材の極一部に熱が加わ
るだけであるので、多少の変形は生じるが実装は可能で
ある。
【0019】[実装]フリップチップ実装では、ICチ
ップはアンテナ回路上にACF、ACP等を介して熱圧
着される。この圧着状況とICチップからの信号に関連
性のあることが分かった。その状況を以下に説明する。
本来、信号は、以下に述べる「波形の規格」に収まる必
要がある。「波形の規格」では図9に示したように、信
号出力の定常出力を100%とすると、信号の立ち下
がりから次の信号の立ち上がり時間t1が2.0〜3.
0μ秒;信号の出力が5%以下の時間t2がt1>
2.5μ秒の場合は0.5〜t1μ秒であり、t1≦
2.5μ秒の場合は0.7〜t1μ秒;信号の立ち上
がりから信号出力が90%に達するまでの時間t3が0
〜1.5μ秒;信号の立ち上がりから信号出力が60
%に達するまでの時間t4が0〜0.4μ秒;信号の
オーバーシュートは90〜110%の範囲内;という五
つの条件を満足することにより規定されている。なおこ
の「波形の規格」はISO/IEC 14443−2に
定められており、図9は「波形の規格」の信号波形を示
す図である。この規格内に入ることによって、IC内で
信号波形が規定電圧に達することによりトリガーがかか
り信号解読のタイミングを決定することが可能となる。
従って、波形の規格に規定されている信号波形の変調が
規格外の歪んだ信号波形になると、トリガーのタイミン
グがずれて最悪の場合は信号が読み取れなくなる可能性
がある。
【0020】この信号波形の変調の変化が波形の規格に
入るようにコントロールする上で、驚いたことに、IC
チップとアンテナ回路と重なる面積が重要なファクター
であることが分かった。発明者等はこの重なる面積を種
々変更させて信号波形を解析してみた。その結果と、一
般的な矩形波の種々の回路による変調波形と比較検討を
行った。一般的な矩形波の信号波形が各回路によって変
調する概要を図10に示した。コイルとコンデンサで構
成されている積分回路、微分回路、抵抗分割回路を通っ
た信号は独特の歪んだ波形となる。図10(a)(b)
(c)にそれぞれ積分回路、微分回路、抵抗分割回路を
回路を通った信号波形を示した。図10(a)(b)
(c)はそれぞれ、積分回路、微分回路、抵抗分割回路
を通った信号波形の概略図である。各波形の信号の立ち
上がり及び下がりの曲線部分は、各回路特有の時定数に
より決定されている。本来このような信号波形の制御に
はコイルやコンデンサーなどで時定数を変化させること
で対応するのが好ましいが、非接触型ICカードのよう
に通信周波数が規定されている回路にコイルやコンデン
サーを入れて波形を整えることは通信周波数をずらす危
険があり不可能ではないかと考えられた。本発明者等の
比較検討によれば、波形の変化から推察すると、本発明
者らが試行に使用したICチップの場合、ICチップと
アンテナ回路との重畳面積をICチップの底面積の20
%以上としたICカードの場合は、測定コイルに積分回
路が付加されたような波形が観察され、20%未満のカ
ードであると単に抵抗回路が付加されたような波形が観
察された。結局、ICチップは一種のブラックボックス
なのでカード全体の等価回路は明確には分からないがI
Cチップとアンテナ回路との重畳面積を大きくすると、
積分回路を通った波形と同様の変化を示すことがわか
り、この面積を小さくすると抵抗分割回路を通った波形
と同様の状態を示すことが分かった。このように積分回
路を通ったような歪んだ波形では上述の波形の規格から
外れることになる。そこで、波形の規格に入るために
は、ICチップとアンテナ回路との重畳面積を結局20
%未満にすることが必要であることが分かった。すなわ
ち、今回使用したICチップの場合は、好ましくはIC
チップの底面積の20%以下にすることによって、信号
波形の変調の規格内になることが判明した。
【0021】結局、信号出力波形が先に述べた波形の規
格のからの条件を満足するために、ICチップとア
ンテナ回路との重畳可能面積が100%未満の範囲内で
上限値を有するICチップの場合には、そのICチップ
の端子部をその上限値の範囲内でアンテナ回路に接続し
てインレットシートに搭載することが必要であるという
ことである。すなわち上述の例ではこの上限値が20%
であったということである。このように、ICチップと
アンテナ回路が重畳面積が100%未満の範囲内で重な
る状態の例を図11及び図12に示した。図11はIC
チップとアンテナ回路の重畳面積が20%以上の場合の
一例を示す平面図である。図11では、ICチップ6と
アンテナ回路2b‘との重畳面積は約25%である。図
12(a),(b),(c)はICチップとアンテナ回路の重畳
面積が20%以下の場合の一例を示す平面図である。図
12(a),(b),(c)では、ICチップ6とアンテナ回路
2b’との重畳面積は約18%である。
【0022】信号の測定は、リーダーライターから出る
電波がカードを通して測定コイルに到達しオシロスコー
プで観察する方法である。カードが挿入されていない場
合の信号波形は本規格に規定されている信号波形であ
り、カードが挿入されることでリーダーライターからの
信号が途中で影響を受け変化する。このICチップとア
ンテナ回路と重なる面積が波形に影響を与える現象は、
ICチップ内の回路とアンテナ回路の間の相互作用、例
えば浮遊容量、コイルのインダクタンスの変化によるも
のと考えられる。より詳しくは、ICカードの電源回路
にICチップとアンテナ回路間の浮遊容量による積分回
路や抵抗分割回路が付加されたような波形となっている
と考えられる。このため、カード自体の共振周波数を変
化させることがなく、信号波形の包絡線を考えた場合に
この包絡線に対して積分回路状の変化をさせることにな
る。尚、ICチップはブラックボックスなので詳細な機
構は不明である。従って、ICチップの中でも回路配
置、回路設計、絶縁物の状況等種々の要因からアンテナ
回路との相関が大きく波形に影響を受けるようなICチ
ップについては本発明のようにICチップとアンテナ回
路の関係を保つことが必要である。
【0023】ICチップとアンテナ回路との重なりを1
00%未満にする方法の一つとしては、アンテナ回路の
ICチップが接続する部分を細くする方法がある。図1
2(a)がその例である。図12(a)はICチップと
部分的に細く形成したアンテナ回路を重畳した一例を示
す平面図である。また、アンテナ回路は太いままにして
アンテナ回路の端に接続させる方法もある。図12
(b)はICチップがアンテナ回路に重畳する面積を少
なくして重畳した一例を示す平面図である。又ICチッ
プの接続用の接点であるバンプ7がチップの中央部にあ
る場合などは図11(c)のようなパターンにすること
もできる。図12(c)はICチップと部分的に細く形
成したアンテナ回路を重畳した一例を示す平面図であ
る。結局、図12(a)、(c)に示した例では、アン
テナ回路2b‘がICチップの端子部のバンプ7と接続
する実質的に凸部を形成していることになる。ICチッ
プとアンテナ回路との重なりを100%未満にすると信
号波形は改善されるが、あまり重なりが小さくなりすぎ
ると局部的に力がかかり、物理的強度及び電気的な接続
が不安定になるおそれがある。結局、それぞれのICチ
ップの大きさによって、物理的強度及び電気的な接続が
安定である面積を確保しつつ信号波形が改善されるよう
に最小な面積で重なることが好ましい。
【0024】2.ICカード化材料・工程 本発明の回路基材を使用したインレットシートから最終
製品のカードになるまでに使用される材料・工程を以下
に述べる。まず始めにICカードの基本的な構成図を図
13に示す。図13は本発明のICカードの断面図であ
る。インレットシート(支持体1,回路2b,ACF
5,ICチップ6、接着剤8等から構成されており、図
6に示したものと同様である)の両面に接着層10又は
中間層11を介して被覆層3a、3bが接合されてい
る。被覆層3a、3bには通常印刷14、保護層13が
設けられている。目視可能記録層12は、使用される表
示方法によって保護層の上面、下面に適宜設けることが
可能である。
【0025】(被覆層)被覆層3a、3bは完成したI
Cカードの最外殻の構造的な強度が要求される基材であ
り、印刷、磁気層、保護層等を設けることができる。フ
ィルム状あるいはシート状のポリエステル、ポリカーボ
ネート、ABS、APET、塩化ビニル、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリイミド、ポリスチ
レン、ポリマーアロイ、エンジニアリングプラスチック
等のプラスティックフィルム、銅、アルミニウムなどの
金属板、紙、網などの単体あるいは複合体、ガラス繊維
や紙をエポキシ樹脂等で含浸した基材等が使用できる。
又、カードの積層構成によっては、支持体を兼ねること
もある。被覆層は用途によって透明、半透明、不透明の
ものが使用できる。半透明、不透明のプラスチックフィ
ルムは、流通しているほとんどのものが酸化チタン、炭
酸カルシウム、有機顔料などの白色顔料が樹脂中に練り
込まれているか表面に印刷や塗工で設けられている。被
覆層は接着層を使用すれば、ほとんどの材質に貼りあわ
せることができる。
【0026】(接着層)接着層10は支持体と被覆層や
被覆層同士を接着して1枚のシートにする機能である。
接着方法にはラミネート法とインジェクション法があ
る。ラミネート法はフィルムを積層しホットプレス等で
貼りあわせる方法であり、接着層に使用される接着剤樹
脂は、ポリエステル、ABS、アクリル、ポリウレタン
等の一般に使用されているドライラミ用接着剤、ホット
メルト樹脂で且つ熱硬化型、吸湿硬化型樹脂、及び熱硬
化樹脂が好ましい。カードを規定の厚さに調整するた
め、被覆層や支持体の厚さ調整と共にこれらの樹脂の塗
布量を調整する必要が生じてくる。特にホットメルト接
着剤は粘度が高いため厚塗りに適しており、カードの厚
さを稼ぐのに好ましい。接着剤は被覆層やインレットシ
ートなどに直接塗布することもできるが、ホットメルト
樹脂接着剤は室温ではゴム状のシートとして製造するこ
とができ、予めセパレーター紙などにフィルム状に形成
したものを使用してもかまわない。接着層は場合によっ
てはウェットラミで各フィルムを接着させることも可能
である。インジェクション法は、被覆層の間に熱溶融し
た樹脂を注入しカードを成形する方法であり、被覆層と
一体化したインレットシートを同時に封入することがで
きる。使用される樹脂は被覆層を接着する接着剤と同時
に構成材となることが可能である。接着剤に使用する樹
脂はラミネート法で使用される樹脂と同等のものが使用
可能であるが、被覆層−支持体間のような狭い空間を数
箇所の樹脂供給口を通して樹脂が広がるため、ラミネー
ト法のホットメルト接着剤に比較すると樹脂の溶融粘度
が低いことが好ましい。
【0027】(中間層)被覆層と同様の層を最外層に使
用せず、中間部分に使用する場合、この層を中間層11
と呼ぶ。中間層も被覆層と同様の材料によって構成する
ことが可能であり、勿論支持体と同様材料も使用可能で
ある。
【0028】(目視可能情報記録層)目視可能情報記録
層12は非接触型ICカードの残額、シリアル番号等の
情報を、可視情報として確認できる文字情報として記録
する必要がある場合に設けられる層で、レーザーで物理
的に文字を作成する場合、錫等の蒸着膜を形成しその膜
を熱破壊して記録する場合、ロイコ染料等の感熱発色型
の染料を塗布して記録層を形成し、その層に熱記録する
タイプ等の1回だけ記録するものと、感熱タイプ、樹脂
タイプ、磁気タイプ、電場タイプ等の書き換え可能な表
示層を設けることも可能である。
【0029】(保護層)保護層13は通常印刷や目視可
能情報記録層等を保護するために設けられる層で、各種
印刷、塗工により保護層を設ける場合と、オーバーレイ
フィルムを貼りあわせる方法が可能である。印刷、塗工
により保護層を設ける場合は1種以上のポリビニルアセ
タール、ポリビニルブチラール、アクリル樹脂、ポリウ
レタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エポキ
シ樹脂等の樹脂から形成される場合と、前記の樹脂にア
ルミニウム、酸化チタン等の無機顔料や、シリコーン、
ポリエチレン、ポリスチレン微粒子等の有機顔料や、潤
滑剤等を分散させた塗料、インクから形成される場合が
ある。オーバーレイフィルムは、透明のフィルムで印刷
層より厚いので、印刷などの保護は良好である。
【0030】(通常印刷)通常印刷14は透明な保護層
13の下に施され、カードに装飾性を持たせるための図
柄や、カード使用約款、機械による読み取りのための可
視バーコード等を印刷する操作である。印刷は、カード
状態になってからと、被覆層に予め耐熱性の良好な印刷
をしておく場合がある。予め印刷する場合は、カード成
型時の熱によって基材が拡大/収縮する場合があるの
で、予め拡大/収縮した図柄で印刷を行う場合や予め熱
処理などで寸法安定化した基材に印刷するのが好まし
い。
【0031】(成型)非接触型ICカードの成形はラミ
ネート法と射出成形法がある。ラミネート法は被覆層シ
ート、ICが実装されているインレットシート、シート
糊等を重ねあわせホットプレス等で加熱、圧着すること
ができる。この時接着剤を軟化、硬化させるため加熱す
るが、成型条件を選ばないと、カードがカールしたり、
ICチップを破壊する場合がある。ラミネーターでは成
型時に、真空脱泡して成型するのが好ましい。一方イン
ジェクション法では、型枠の中にセットされた表裏2枚
の被覆層の間に溶融した樹脂を射出して成形することが
できる。ICなどは被覆層に直接設けられているか、予
め片側の被覆層にインレットシートを仮止めすることが
できる。射出される樹脂は小さな穴から高圧で押し出さ
れるため、一般に注入口がシートの中心にあり、その注
入口から放射状に樹脂の配向が起こる可能性がある。被
覆層の厚さ、樹脂の種類、押出速度、溶融粘度、加熱/
冷却条件等を最適化しないとカールが発生する可能性が
ある。
【0032】(打ち抜き)成型されたシートからカード
化するには電動、空圧、油圧プレスに取り付けたトムソ
ン刃、雄雌刃で1枚ずつのカードに切断することができ
る。
【0033】
【実施例】以下に本発明に係るICカード製造の具体例
を説明するが、本発明はこれらの例に限定されるもので
はない。特に断りのない場合、以下の部は固形分重量部
である。
【0034】実施例1 以下に説明する点を除いては、図13に示したICカー
ドとほぼ同様の断面構造のICカードを作製した。この
例では図13中での中間層11を使用しない構造とし
た。残りは図13のものと同一の構造とした。 インレットシートの作製 回路基材1として1/2ozの銅箔2(厚さ18μm)と
ポリイミドフィルム25μmを接着剤で張り合わせた銅
張りポリイミド(東レ社製)を使用した。この回路基材
1に、この回路基材に感光性ドライフィルム(リストン
FX−130デュポンMRCドライフィルム社製)を貼
り付け、銀塩ポジフィルムに作成した回路パターンを紫
外線露光装置で焼き付け、現像、エッチングしループア
ンテナ回路2bを設けた。ループアンテナの両末端の端
子に異方導電性フィルム5(ACF/ソニーケミカル
製)を貼り付けその上からべアチップ6(MIFARE
チップ/シーメンス社製)を加熱しながら加圧貼付けて
バンプ7と回路2bを、電気的に接続させ、インレット
シートを得た。べアチップ6はチップ面積の17.8%
がアンテナ部分と重なるように実装した。 非接触型ICカードの作製 上記のインレットシートと、カード全体の厚さが760
μmにするため、被覆層 白PET 188μm(U2 帝
人社製)と接着剤層150μm(アロンメルト東亜合成
(株)製)をインレットシートと重ね合わせ、ホットプ
レスを使用して温度150℃、圧力10Kg/cm2の条件
で両側から張り合わて熱融着した。冷却後、カード状に
打ち抜き非接触型ICカードとした。 比較例1 ICとアンテナが重なる部分を22%とした以外は実施
例1と同様にして非接触型ICカードを作成した。
【0035】カード読み取りテスト手順の概要 先ず本実施例の非接触型ICカードの共振周波数を測定
した。図14に、この共振周波数測定の状態を示した。
図14はICカードの共振周波数測定状態を示す概略図
である。ネットワークアナライザー101(型式R37
54B/アドバンテスト社製)に直径5cmのループア
ンテナ102を接続した測定器によってICカード9の
共振周波数を測定し、13.56MHzであることを確認し
た。次に通信距離を測定した。図15に、この通信距離
測定の状態を示した。図15はICカードの通信距離測
定状態を示す概略図である。パソコン141に接続した
シーメンス製リーダ・ライタ142を用いて90mmの距
離から通信できることを確認した。更に本発明の重要な
ファクターの波形を観測の目的で、リーダーライタから
発信される信号波形を観察するために、リーダーライタ
の信号発生源の真上に直径3cmの1巻きのコイルを設
け、オシロスコープで測定を行った。この状態を図15
に示した。図16は信号波形を観測する状態を示す図で
ある。測定した信号波形の概念図を図17(a)、
(b)に示した。図17(a)は実施例1において観測
された波形を示し、。図17(b)は比較例1において
観測された波形を示す。図17(a)の波形に対して比
較例1の波形図17(b)は歪んでおり、本規格に規定
されている「波形の規格」から外れていることが分か
る。本規格から大きく外れると、電圧で規定している信
号取り込みのタイミングがずれて、最悪の場合、通信が
できなくなる可能性がある。以上のように本発明に係る
ICカードは、信号波形が本規格の規格内に収めること
が可能であることが確かめられた。
【0036】
【発明の効果】以上のように本発明に係る非接触型IC
カードは、信号出力波形が以下のからの条件を満足
するために、ICチップとアンテナ回路との重畳可能面
積が100%未満の範囲内で上限値を有するICチップ
を使用した場合に、該ICチップの端子部を該上限値の
範囲内でアンテナ回路に接続して搭載したインレットシ
ートを有する非接触型ICカードであり、そのため、通
信性能を大きく改善することができるようになった。信
号出力の定常出力を100%にした場合に 信号の立ち下がりから次の信号の立ち上がり時間t1
が2.0〜3.0μ秒; 信号の出力が5%以下の時間t2がt1>2.5μ秒
の場合は0.5〜t1μ秒であり、t1≦2.5μ秒の
場合は0.7〜t1μ秒; 信号の立ち上がりから信号出力が90%に達するまで
の時間t3が0〜1.5μ秒; 信号の立ち上がりから信号出力が60%に達するまで
の時間t4が0〜0.4μ秒; 信号のオーバーシュートは90〜110%の範囲内; また、更にICチップの端子部のバンプが少なくともア
ンテナ回路と重畳する範囲になるようにICチップを接
続して搭載したインレットシートを使用するとよりIC
チップと端子部の接続が強固になるので好ましい。ま
た、アンテナ回路がICチップの端子部のバンプと接続
する実質的に凸部を有するアンテナ回路であると、IC
チップとアンテナ回路との重畳面積を小さくし易くな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用される回路基材の平面図。
【図2】図1の回路基材のA−A‘断面図。
【図3】エッチング後の回路基材の平面図。
【図4】図3の回路基材のA−A‘断面図。
【図5】本発明に使用されるインレットシートの平面
図。
【図6】図5のインレットシートのB−B‘断面図。
【図7】図6に示した円部分のIC搭載部分の拡大断面
図。
【図8】導電性ペーストを使用した回路基材を使用した
インレットシートの断面図。
【図9】「波形の規格」の信号波形を示す図。
【図10】(a)(b)(c)はそれぞれ、積分回路、
微分回路、抵抗分割回路を通った信号波形の概略図。
【図11】ICチップとアンテナ回路の重畳面積が20
%以上の場合の一例を示す平面図。
【図12】(a)はICチップと部分的に細く形成した
アンテナ回路を重畳した一例を示す平面図、(b)はI
Cチップがアンテナ回路に重畳する面積を少なくして重
畳した一例を示す平面図、(c)はICチップと部分的
に細く形成したアンテナ回路を重畳した一例を示す平面
図である。
【図13】本発明のICカードの断面図。
【図14】ICカードの共振周波数測定状態を示す概略
図。
【図15】ICカードの通信距離測定状態を示す概略
図。
【図16】信号波形を観測する状態を示す図。
【図17】測定した信号波形の概略図であり、(a)は
実施例1において観測された波形を示し、(b)は比較
例1において観測された波形を示す。
【符号の説明】
1 支持体 2b‘ アンテナ回路 6 ICチップ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】信号出力波形が以下のからの条件を満
    足するために、ICチップとアンテナ回路との重畳可能
    面積が100%未満の範囲内で上限値を有するICチッ
    プを、該ICチップの端子部を該上限値の範囲内でアン
    テナ回路に接続して搭載したインレットシートを有する
    非接触型ICカード。信号出力の定常出力を100%に
    した場合に 信号の立ち下がりから次の信号の立ち上がり時間t1
    が2.0〜3.0μ秒; 信号の出力が5%以下の時間t2がt1>2.5μ秒
    の場合は0.5〜t1μ秒であり、t1≦2.5μ秒の
    場合は0.7〜t1μ秒; 信号の立ち上がりから信号出力が90%に達するまで
    の時間t3が0〜1.5μ秒; 信号の立ち上がりから信号出力が60%に達するまで
    の時間t4が0〜0.4μ秒; 信号のオーバーシュートは90〜110%の範囲内;
  2. 【請求項2】前記ICチップの前記端子部のバンプが少
    なくともアンテナ回路と重畳する範囲になるようにIC
    チップを接続して搭載したインレットシートである請求
    項1記載の非接触型ICカード。
  3. 【請求項3】前記アンテナ回路が前記ICチップの前記
    端子部のバンプと接続する実質的に凸部を有するアンテ
    ナ回路である請求項2記載の非接触型ICカード。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008287483A (ja) * 2007-05-17 2008-11-27 Nec Tokin Corp 非接触型icタグ
JP2018197942A (ja) * 2017-05-23 2018-12-13 凸版印刷株式会社 非接触通信機能を備えたicカード

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