JP2001209778A - Icカード - Google Patents

Icカード

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JP2001209778A
JP2001209778A JP2000346613A JP2000346613A JP2001209778A JP 2001209778 A JP2001209778 A JP 2001209778A JP 2000346613 A JP2000346613 A JP 2000346613A JP 2000346613 A JP2000346613 A JP 2000346613A JP 2001209778 A JP2001209778 A JP 2001209778A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】従来に比べて製造コストを大幅に低減できるI
Cカードを提供することを目的とする。 【解決手段】熱融着性を有する熱可塑性樹脂製の支持体
1と、該支持体1の少なくとも片面上に接着剤を介さず
に熱により接合した金属箔2bと、前記金属箔に電気的
に接続される電子部品6と、前記電子部品を覆うように
前記支持体上に積層した少なくとも一層の被覆層10と
を備えたICカード。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、銀行カード、ポイ
ントカード等に使用される接触型ICカード、電力供
給、データの交信等を外部電波で行う乗車券、テレホン
カード、荷物タグ等に使用される非接触型ICカード及
び接触型と非接触型の両方の機能を併せ持つコンビ型I
Cカード等に関するものである。これらのカードはいわ
ゆるデータキャリアとも呼ばれる。
【0002】
【従来の技術】接触型ICカードは金銭のやり取りなど
セキュリティーが高く、本人が使用する意志を確認する
のに適している。非接触型及びコンビ型はデータのやり
取りを電波で行うことが出来るため、たとえば従来の切
符、定期券等、磁気記録層が片面に設けられている乗車
券に変わる記録媒体として注目されている。特に荷物、
部品を移動しながら非接触で管理したり、改札通過の際
に、一々乗車券を取り出すことがなく、定期入れや鞄等
の中からでも情報交換できるため、利便性が大きく向上
するものと期待されている。
【0003】ICカードと呼ばれている新しい情報記録
媒体は、現在市場に広く出回っているクレジットカー
ド、銀行カード、ポイントカード、テレホンカード等の
カード状あるいはシート状の形状をして、その中にIC
が組み込まれているものを総称している。
【0004】ICカードは大きく分けて接触型、非接触
型及び両方の機能を持ったコンビ型の3種類に分けられ
る。接触型とはカード表面に端子が設けられており、そ
の端子を通じて信号のやり取りを行うものである。現在
使い捨てタイプはヨーロッパ等でテレホンカードとして
広く流通している。また、情報の書き換え可能なタイプ
をマネーカードとして、使用する実験が各国で行われて
おり、金融関係で使用されるカードとして注目されてい
る。
【0005】1チップの接触型ICカードは、プラスチ
ックカードにモジュール化されたICチップを装着する
単純な構造となっている。プラスチックカードはICモ
ジュールが接着される部分に予めICモジュールが入る
大きさと深さの穴を開けておく方法と、インジェクショ
ンによって成形する方法がある。穴を開ける方法は1枚
物のプラスチックカードにザグリ機で彫る方法や、2枚
のシートのうちの1枚に貫通穴を開け貼りあわせる方法
がある。現在1チップが主流であるが、機能別に複数部
品を含んでいる接触型ICカードもあり、部品間の接続
や特殊な端子等との接続のために回路パターンが使用さ
れている。
【0006】一方非接触ICカードは、電池内蔵のもの
と、外部からの電磁波で電力を得て動作するタイプに更
に分けられる。電池内蔵のものは、非接触ICカードか
ら発信する電波の出力が大きい。これに対して、外部か
ら電磁波により電力を得て駆動するタイプの非接触IC
カードは、カードからの発信出力が小さく、通信距離を
最大にするためには、リーダ・ライタとのマッチングを
最適化する必要がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来に比べ
て製造コストを大幅に低減できるICカードを提供する
ことを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】 本発明に係るICカー
ドは、熱融着性を有する熱可塑性樹脂製の支持体と、該
支持体の少なくとも片面上に接着剤を介さずに熱により
接合した金属箔と、前記金属箔に電気的に接続される電
子部品と、前記電子部品を覆うように前記支持体上に積
層した少なくとも一層の被覆層とを備える。支持体が、
熱変形温度が200℃以下の熱可塑性樹脂樹脂製であると
より好ましい。さらに支持体が、APET(アモルファ
スPET)系、ABS(アクリルニトリル−ブタジエン
−スチレン)系、PC(ポリカーボネート)系、塩化ビ
ニル系及びポリマーアロイ系の樹脂の中から選択された
少なくとも一種の樹脂製であるとより好ましい。また、
金属箔の支持体との接合表面側を易接着処理することも
好ましい。また、被覆層並びに必要に応じて使用される
他の被覆層及び中間層の少なくとも一層が前記支持体と
同じ樹脂材料により構成されていることが、接着剤層等
の使用を避け、コストダウンの上で好ましい。更に、被
覆層並びに必要に応じて使用される他の被覆層及び中間
層が全て前記支持体と同じ樹脂材料により構成されてい
ると接着剤層等の使用を避け、コストダウンの上で更に
好ましく、また、外観上も各層が一体化して見えるので
非常に好ましい。金属箔がアルミニウム箔であること
が、より好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明は接触型、非接触型、コン
ビ型のどのICカードにおいても使用可能であるが、な
かでも本発明を使用する上で好適な非接触カードを例に
説明する。現在一般に流通している非接触ICカードの
ものと同一のものがそのまま使用できる。以下、非接触
ICカードとその中に使用される回路基材について説明
する。先ず、回路基材からインレットシートの形成まで
説明する。
【0010】1.回路基材からインレットシートの形成
の材料工程 回路基材の平面図及び断面図をそれぞれ図1及び2に示
した。図1は本発明に使用される回路基材の平面図であ
り、図2はそのA−A‘断面図である。以下図を参照し
ながら説明する。金属箔2と支持体1が熱融着により接
合されて回路基材が構成される。回路基材上の金属箔は
その一部がエッチング等により除去されて回路パターン
が形成される。このように回路パターンの形成された回
路基材の平面図及び断面図をそれぞれ図3及び4に示し
た。図3はエッチング後の回路基材の平面図であり、図
4はそのA−A‘断面図である。支持体1の上に回路2
bが形成されている。なおエッチング等により回路パタ
ーンを形成した後の回路基材をエッチング前の回路基材
と特別に区別して呼ぶ時はエッチング回路基材という。
このエッチング回路基材にICチップやコンデンサなど
の電子部品を実装したシートをインレットシートと呼
ぶ。このインレットシートを図5、図6に示した。図5
はインレットシートの平面図であり、図6はそのB−B
‘断面図である。図7は図6に示した円部分のIC搭載
部分の拡大断面図である。図7においてICチップ6の
バンプと呼ばれる端子7がACF(異方導電性フィル
ム)5を介して、回路2b上にボンディングされている
ことが示されている。
【0011】以下本発明の回路基材からインレットシ
ートまでの製造工程を中心に、順を追って説明し、その
後ICカードの組立てについて説明する。まず回路基
材を構成している金属箔、支持体及び熱融着について詳
細に説明する。
【0012】(金属箔)使用される金属箔2は、電解
法、圧延法、精密圧延法、打箔法(主に美術工芸用)で
製造された、アルミ箔、銅箔、金箔、銀箔、亜鉛箔、ニ
ッケル箔、錫箔、合金箔等が好ましい。これらの金属箔
は、一般に基材と接着する側に化学処理、物理処理等に
より表面凹凸を設けて接着強度を向上させる表面処理を
行うのが好ましい。表面処理による凹凸は大きいほうが
接着強度が高いが、あまり大きいと金属箔の強度が弱く
なったり、熱可塑性フィルムの溶融した樹脂が凹部に十
分進入しないことがある。薄い金属箔を使用する場合な
どは金属箔表面に細かい凹凸が生じ細線の再現性に問題
が出てくる可能性がある。また、通常金属箔は空気によ
って表面酸化されるので、酸化防止処理をすることが好
ましい。
【0013】一般にエッチングパターンに使用される金
属箔は銅箔が多い。銅箔には圧延銅箔(精密圧延法を含
む)と電解銅箔が一般的である。圧延銅箔は繰り返しの
屈曲に対して機械的強度が良好であり、コンピーュータ
のハードディスクやプリンターなど可動部分の配線など
に適している。電解銅箔は圧延銅箔に比較すると耐屈曲
性能が悪いが、コストが安い。本発明のICカードで
は、屈曲するような使用は行わないので、電解銅箔であ
っても充分使用可能である。電解銅箔は硫酸銅溶液を原
料とし、硫酸銅溶液の中の回転するドラム上に電気的に
銅を析出させ、これを巻き取って銅箔とする。出来た銅
箔は、ドラム面の光沢が転写した光沢面と反対側が粗面
となり、その後の工程で光沢面は防錆処理と耐熱処理、
粗面は他の基材との接着性向上のための化学的、物理的
な粗面化処理をするのが好ましい。電解銅箔が後工程の
粗面化処理を行わなくともドラムと反対側が粗面となる
のは、ドラム面に垂直方向に銅が析出するためである。
圧延箔は2〜4段の圧延機(精密圧延の場合6〜20
段)によって金属条を圧延したものであり、通常両面と
も高い平滑性がある。なお精密圧延箔は、膜厚の均一性
が良好なので細かいパターンに使用されている。圧延直
後のままであると銅箔の両面が圧延ロールの光沢面を転
写した凹凸が少なく接着性が弱いため、電解銅箔と同様
に片面を化学的、物理的な粗面化処理、反対面を防錆、
耐熱処理することが好ましい。
【0014】アルミ箔が本発明の用途で使用される。ア
ルミ箔は銅箔に比較して単位断面積当たりの抵抗値が約
1.5倍であり即ち断面積を大きくする必要があり、折
り曲げ等の機械的な応力に対して耐久性や、環境に対す
る耐候性や、酸・アルカリなどの耐薬品性が低いが、本
発明のようなICカードに使用されるアルミ箔は被覆層
などで保護されるため機械的耐久性、耐候性、耐薬品性
の要求が少なくなく、銅箔に比較してコストが1/5程
度と安いのでパターンの工夫で銅箔と同じ性能を発揮す
ることが可能でコストダウンの観点から大変好ましい。
アルミ箔の製造は、アルミの延性が高いので製造は、圧
延ロールで箔にする。このときロール上にヘアライン、
エンボス、ターレット等の凹凸を設けておくとアルミ箔
上に凹凸が転写されて、銅箔と同様に接着加工する時
に、接着面の食いつきが良好になる為好ましい。銅箔は
耐酸化、耐熱対策として化学的に表面処理を行なってい
るが、アルミは空気中に放置しておくだけで表面に酸化
アルミニウムの薄い皮膜を生じて安定化し耐久性を向上
させる特徴を持っている為、化学的な表面処理が常に必
要とは限らない利点がある。又アルミは廃棄された場
合、地中に大量に存在する酸化アルミニウムと同じよう
に環境の負荷が小さくこの点でも好ましい。
【0015】〔支持体〕支持体1は熱融着性を有する電
気絶縁性の熱可塑性樹脂から選択される。樹脂は高分子
化合物の集合体である。樹脂は、室温では部分的に高分
子の一部が規則的に折りたたまれた結晶構造と、結晶構
造をもたないアモルファス状態から構成されている。高
分子同士は弱い分子間力で結合されているため、高分子
の構造や分子量に依存して樹脂の熱的な挙動が決定され
る。樹脂の温度が高くなることで高分子の集合構造が緩
み、柔らかくなるものを熱可塑性高分子と定義してい
る。一方高分子鎖に熱により反応する官能基を含む高分
子は、熱により官能基が反応し高分子に網目構造が生
じ、高分子間は強い結合が生まれるため、温度を上昇さ
せても流動化することは難しい。このような高分子を熱
硬化型高分子と定義されている。また紫外線や電子線を
用いてこのような網目構造をもつ線硬化高分子もある。
【0016】支持体はフィルム状で使用されることが多
い。フィルム状支持体は無延伸、1軸延伸、2軸延伸等
の製造方法で製造されているが、一般に延伸されると樹
脂の分子配向方向が揃うため、丈夫なフィルムが得られ
ることが知られている。しかしながら、ある温度条件で
配向し室温で使用する場合には問題はないが、別のある
温度以上になる環境で使用すると配向していた分子が元
に戻ろうとするのでフィルムの収縮が発生しカールなど
のトラブルとなる可能性が高い。
【0017】本発明では、支持体に熱可塑性樹脂を用い
る。樹脂は一見同じような固体であるが、実際は水と油
の様に単純には混ざり合わない組み合わせが多い。同種
の樹脂であれば熱融着する可能性があるが、凝集エネル
ギーの異なる樹脂同士とは相溶即ち熱融着するのはかな
り難しい。
【0018】熱可塑性樹脂としてはPET、PEN(ポ
リエチレンナフタレート)、PPS(ポリフェニレンス
ルフィド)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、
ポリイミドフィルム等を使用することができる。これら
の熱可塑性樹脂では比較的高温で熱融着することにな
る。しかし、中でも熱変形温度が200℃以下になるよ
うに制御された熱可塑性樹脂を使用すれば、加工上より
容易になり、またICに対する熱の影響の点からもより
好ましい。
【0019】一方、本発明では200℃以下の熱変形温
度を本質的に有する熱可塑性樹脂を使用することがより
好ましい。これらの樹脂は金属箔に直接ラミネートする
ことも可能である。これらの樹脂としてAPET、PP
(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、PC(ポ
リカーボネート)、ABS(アクリルニトリル−ブタジ
エン−スチレン)、PVC(塩化ビニル)、PET、P
EN等が挙げられる。なお、本発明において熱変形温度
をいう場合はすべてASTM D648で規定される熱
変形温度のことをいう。なお、ポリイミド等は、溶剤キ
ャスト法などで製造されるため、融点や熱変形温度がな
い。このような樹脂は温度を上げると溶融せずに炭化す
る。
【0020】回路基材単独で考えた場合は以上のような
耐熱性の比較的高い支持体も使用可能であるが、その後
のカード組立て工程においては、一般に200℃以下の
熱でインレットシートと被覆層等を貼り合わせる方が製
造の容易性から好ましい。また、耐熱性の比較的高い樹
脂を使用した場合、カード組立て工程において接着剤を
使用しないことが困難になるので、コスト低減効果が得
られにくくなる。
【0021】以上に述べた理由から、本発明では接着剤
をなるべく使用しないでカード組立てをする構成・工程
を使用すれば更なるコストダウン効果が得られるので、
熱変形温度が200℃以下の熱可塑性樹脂を支持体にす
ることが好ましい。さらにカ―ル制御、作業性、電力、
コストダウン等が改善できるため、熱変形温度が150
℃以下の熱可塑性樹脂を支持体にすることがより好まし
い。このように熱変形温度が低ければ、金属箔の酸化防
止の点からも好ましい。また使用する金属箔の溶融温度
が低い場合に、金属箔の溶融等防止の点からも好まし
い。結局このような樹脂は上記の熱可塑性樹脂の中でA
PET(アモルファスPET)系、ABS(アクリルニ
トリル−ブタジエン−スチレン)系、PC(ポリカーボ
ネート)系、塩化ビニル系及びポリマーアロイ系等であ
る。APET系(アモルファスPET)は通常のPET
に含まれるエチレングリコールをシクロヘキサンジオー
ルに置換することでテレフタル酸の結晶化を少なくし
た、すなわちアモルファス状のPETである。
【0022】ポリマーアロイは、一般に使用されている
技術であり、2種類以上のポリマーを混ぜ合わせて使用
する技術である。ポリマーアロイが利用される理由は、
既存のポリマーを使用するので混合比などを変化させる
ことで容易に新しい性能を持ったポリマーを低コスト、
短時間に製造できることに有る。同じ性能を最初から設
計製造するとたいへんな努力と費用が必要となる。しか
しながら前述したように凝集エネルギーが異なるポリマ
ー同士を混合すると、最初は混ざったように見えても時
間が経つと徐々に分離し当初の性能が発揮できなくな
る。そこで複数のポリマーを混合するときは、その境界
面に作用して混合を助ける相溶化剤(コンパティビライ
ザー)を使用する。相溶化剤の構造は水と油の乳化に使
用される石鹸と同じ様に、分子中に混合するポリマーと
凝集エネルギーが近い分子構造を複数持っている。ポリ
マーアロイ化技術を使用すると従来の性能を生かしなが
ら耐熱性の向上や、耐衝撃性能の向上など1つのポリマ
ーでは発現が難しかった性能を引き出すことが出来る。
本発明では熱変形温度200℃以下のポリマーアロイを
使用して支持体とするのが好ましい。
【0023】本発明の支持体には上記熱可塑性樹脂をフ
ィルム状にしたもの及び溶融した樹脂を後に説明する金
属箔上に直接設けて金属箔と一体化してシート状にした
状態のものが使用可能である。
【0024】本発明のフィルム状の支持体は透明、半透
明又は不透明のいずれでもよく、また色は無色、有色又
は白色のいずれでもよい。これらのフィルムを使用用途
によって使い分けることができる。半透明フィルム及び
不透明なフィルムは通常、樹脂の中に無機顔料や有機顔
料を配合したものがある。配合される無機顔料の代表的
なものとしては、単独或いは複数混合で酸化チタン、炭
酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカなどがあり、有機
顔料はフィルム樹脂の種類によって色々なものが用いら
れているが、基本的にはフィルム樹脂とは相溶しない種
類で可視光線を乱反射する大きさと屈折率をもつ樹脂が
選ばれるのが好ましい。透明フィルムも透明性を損なわ
ない量の顔料を配合しているものもある。フィルム中に
は上記顔料以外にも可塑剤、帯電防止剤等、各種添加剤
が配合されている。支持体表面は、接合加工の脱気のた
めにエンボス加工等を行なうことも好ましい。一方の本
発明の金属箔上に直接熱可塑性樹脂層を設けた構造によ
る支持体は、その構成材料などは上記フィルム状で供給
されている支持体と同じものが使用可能である。
【0025】(熱融着(接合))本発明は金属箔と支持
体を接着剤や糊を使用せずに熱と圧力によって接合した
回路基材を用いることを特徴としている。金属箔と支持
体が接合されているのは、金属箔表面の微細な凹凸に熱
可塑性フィルムを熱と圧力によって楔状に押し込んでい
るためである。この方法は、従来用いられている接着剤
で貼りあわせた回路基材や金属をめっき或いは蒸着した
回路基材等と比べて、金属箔と支持体との接着強度が弱
くなり、粘着シールやセロハンテープのように容易に剥
離できるレベルの場合もある。このような回路基材で
は、半田付けを行うことや、プリンターケーブル等に用
いられる機械的な応力が繰り返しかかる部品を装着する
こと、電気機器や自動車内のかなりの高温条件下で使用
することは金属箔−支持体の接合を容易に破壊する。即
ち接合が容易に剥離、変形するのでこのような条件での
使用は困難である。
【0026】しかしながら本発明の回路基材はカードと
して使用されるため以上のような電気機器に比べて大き
な応力が掛からない使用方法であるばかりか、ICカー
ドに使用される被覆層等の部材があるため最終製品とな
った時に強度に全く問題がなくなることが分かった。こ
の接合には、支持体をフィルム状のシートとして金属箔
と貼り合せることによって接合する方法と金属箔上に支
持体となる熱可塑性樹脂を溶融して押し出して接合させ
る2つの方法が挙げられる。
【0027】[金属箔とフィルム状支持体を貼り合せる
方法]フィルム状支持体を使用し、ヒートプレスでフィ
ルムごと又はヒートロール間でシート状及び連続的にロ
ール状金属箔とロール状支持体を熱圧着する方法があ
る。シート状のフィルムをヒートプレスで貼りあわせる
場合、2枚のプレス板の間に挟んだ金属箔と支持体に熱
と圧力を加えて行うのが好ましい。層間に空気が残ると
エッチングの際にレジスト面の反対側即ち接着面側から
エッチング液が回り込みパターンの欠損不良を生じるた
め、プレス内を真空状態で貼りあわせるのが好ましい。
フィルム状支持体をロール状で貼りあわせる場合は、加
熱、加圧された金属、樹脂、コットン、セラミックなど
の素材で出来た2本のロールの間で金属箔と支持体を貼
りあわせるのが好ましい。ロール状に巻き取られる場合
支持体が銅箔表面(平滑面)とブロッキングしないよう
に冷却を十分に行う必要がある。どの方法も両面に金属
箔を貼りあわせる場合は、一度に3層を貼りあわせるこ
とも出来るが、片面に金属箔を貼りあわせた回路基材に
金属箔を貼りあわせることも出来る。
【0028】フィルム状で貼りあわせるときは、ホット
プレート内を脱気して空気のない状態で熱及び圧力をか
けて貼りあわせるので、貼りあわせるシートは表面を荒
らして空気が逃げやすいようにしてあることが好まし
い。そのために熱可塑性樹脂フィルムは表面に細かい物
理的なエンボスをすることにより凹凸を設けることが好
ましい。ロール状で貼りあわせる場合も同じように使用
する各フィルムの性能によって貼りあわせの条件を最適
化するのが好ましい。ロール状で貼りあわせる場合、ヒ
ートプレスでシート状のフィルムを貼りあわせるような
支持体表面の凹凸は無くてもかまわない。また適度なテ
ンションを加えて貼りあわせを行うことでカールを防止
するのが好ましい。
【0029】[熱可塑性樹脂を金属箔上に溶融押し出し
する方法]金属箔と支持体との接合を溶融押し出しで行
う方法は以下のようである。金属箔上に溶融して設ける
樹脂支持体の形成方法は、溶融押し出しラミネーション
とも呼ばれ、ペレット状で供給された樹脂の溶融粘度を
ギアポンプなどで送れるような温度に加熱溶融し、金属
ダイの隙間から薄く溶融した樹脂を金属箔上に押し出
し、支持体を形成するのが好ましい。供給するペレット
には、フィルム支持体で使用されていた樹脂と同様の顔
料、可塑剤、帯電防止剤等各種添加剤が配合されている
のが好ましい。ペレットは乾燥機など熱で溶融する前に
予め樹脂内に含有される水分を加熱乾燥して使用するの
が好ましい。水分が充分除かれていないと樹脂内に気泡
が発生し、支持体形成時泡などの不良の原因になる。樹
脂は温度が高いほど溶融粘度が低くなり作業性が向上す
るが、あまり高くしすぎると樹脂によっては焦げること
が有る。又粘度の温度依存性が高く吐出量に大きく影響
するので、温度コントロールを最適にすることが重要で
ある。金属箔上に溶融押し出された熱可塑性樹脂は、冷
却されることで接着・粘着性を失うので、適当な冷却装
置たとえばクーリングロールなどの比較的簡単で安価な
装置で支持体として形成される。樹脂を金属箔上に溶融
押し出ししてシートを接着する方法は製造条件による
が、金属箔上に樹脂を押し出した後、完全に冷却される
前に2本のロール等で挟んで圧力をかけることがより好
ましい。
【0030】以上のような2つの方法による支持体と金
属箔の接合について更に詳しく以下に説明する。金属箔
と支持体との接着強度は、金属箔上の微細な凹凸に、熱
で溶融した支持体を構成する熱可塑性樹脂が入り込んだ
物理的な貼付け力に因る強度であるためか、JISX6
301に準拠して剥離強度を測定すると6N/cm以下
で、簡単に剥離できる強度である。この剥離強度が1N
/cm以下の0.1N/cm程度あれば、次のインレッ
トシートに組立てする際にも問題なく使用可能であっ
た。即ち、金属箔と支持体の剥離強度が以上のように比
較的弱い数値であっても、エッチング工程で剥離せず、
又ユーザに使用される製品としてのICカードに組立て
た後において、JISX6301に準拠した引っ張り、
伸縮、耐湿度等の試験を行っても層間剥離等の強度的な
問題が生じないことが分かった。
【0031】更に、金属箔の支持体との接合表面側に易
接着処理を行うことは上記の剥離強度を高める上で好ま
しい。金属箔の易接着処理は化学的な酸処理やエンボス
等の物理的処理を行って凹凸を設けることで行われ、数
μmから数十μm程度の幅と深さの溝が金属箔に形成さ
れる。金属箔を支持体と接合する上ではこの程度の凹凸
で十分効果が得られる。熱、圧力及び時間の接合条件は
使用するシートによって異なるが、本発明で使用する熱
可塑性樹脂シートは熱変形温度が200℃以下のものを使
用することが好ましいが、その場合、各シートの持つ融
点よりあまり高い温度条件で貼りあわせを行うと、シー
トが大きく変形して穴が開いたり、樹脂が流れてしまう
ことがあるので注意を要する。接合後の回路基材は、支
持体の材質及び接合条件によりカールを生じる場合があ
る。カールを防止するためには、接合条件や支持体の熱
処理或いは金属箔の種類を選ぶことで解決することが可
能である。
【0032】(インレットシート)以上のようにして支
持体と金属箔を接合して得られた回路基材の金属箔の一
部をエッチングにより取り除き必要な回路を形成後、図
5,6に示したように、IC等をACFを介してボンデ
ィングして回路基材に装着してインレットシートを得る
ことが出来る。インレットシートは以下に説明する非接
触ICカードの組立て時の心臓部品となる。回路の形成
は次のように行われる。回路基材の金属箔上に感光樹脂
層を設け、ネガ/ポジフィルム等上に作成した回路パタ
ーンをその感光樹脂層に焼き付けたり、印刷、レタリン
グ等各種方法で回路を直接基板上に描き、上記方法でマ
スキングした回路パターン部分を除いて不要な金属部分
を第2塩化鉄鉄溶液、カセイソーダ液等を使用して所謂
エッチングにより溶かし出すことにより、必要な回路を
製造することが出来る。なおエッチング等により回路を
形成した後の回路基材を以後簡単に省略してエッチング
回路基材と呼ぶ。エッチング回路基材上に残る金属箔部
分の面積は、回路のパターンの形状にもよるが、後に説
明するICカードの組立て時に熱融着によって回路基材
と他の被覆層等を接合する場合は、樹脂材料間の接着部
分が十分確保できるように、エッチング後の残存する金
属箔の面積がカード面積全体の90%以下になるように
することが好ましい。回路基材は、金属箔を両面に貼り
あわせた回路基材から作ることも出来る。このような回
路基材では回路基材に平面コンデンサを形成することが
可能になる。平面コンデンサは非接触型ICカードにお
いて周波数を正確に合わせるためのチューニングを行う
時に非常に有用な部品となるものである。金属箔を両面
に貼りあわせた回路基材はスルーホールめっき或いは機
械的に導通する方法で両方の金属箔を導通させて立体的
な回路を構成して利用することも可能である。以下、イ
ンレットシート製作に係るIC等の部品についてそれぞ
れ簡単に説明する。
【0033】[IC]本発明で使用されるICチップは
135KHz、4.9、6.5、13.56、MHz、2.54GHz帯で
ある。これらのカードに装着するICは、チップに電極
をワイヤーボンディングした上にエポキシ樹脂等で封止
されたモジュールと言われる形態と、チップにバンプを
設けただけのベアチップの形態がある。一般にモジュー
ルはコストが高いが、電極や封止樹脂で保護されている
ため機械的な力に対して信頼性が高い。それに対し、ベ
アチップは接続部分の加工が簡素化されているので、コ
ストは低いが信頼性が劣る。後図に示したIC6はこの
ようなベアチップのICである。ベアチップに用いられ
るバンプは金、はんだ等の金属系或いは導電性ペースト
によって構成されていることが好ましい。金バンプは、
ワイヤーボンダーの技術を応用した方法、メッキ法、ス
パッタ法がある。金バンプは製法によって形状に特徴が
ある。メッキ、スパッタ法では丸又は円柱状であり、ワ
イヤーボンダーで製造したバンプの形状はワイヤーを途
中で切るため、独特の形をしている。また導電性ペース
トによる樹脂バンプは、スクリーン印刷、ディスペンサ
ー等によりチップ上に形成される。使用する導電性ペー
ストはアンテナ回路で使用されるものと同様なものが使
用可能である。モジーュルはハンダ付け、ワイヤーボン
ディング、カシメなどでアンテナ回路と接続する。ベア
チップの場合、ハンダボール、ACF、ACP等の上か
らチップを押さえつけて硬化させる方法が取られる。ハ
ンダボールを使用する場合、ハンダボールをチップのパ
ッド部分にフラックスを用いて仮固定し、アンテナに重
ね合せ、ハンダを溶融させて固着させる。又ハンダボー
ルの代りに樹脂バンプを印刷することも可能である。ベ
アチップが装着、検査された後、機械的強度向上のため
にアンダーフィルと呼ばれる熱硬化型樹脂がベアチップ
と基板の間に流し込まれ再び加熱硬化される場合もあ
る。
【0034】[ACF]ACFは異方導電性フィルム略
号のことであり、熱硬化性樹脂の中に導電性粒子が分散
した構造である。ACPはACFの樹脂がペースト状の
ものである。導電性粒子として、金属粉はもとより、銀
粒子に樹脂をコーティングした粒子、樹脂粒子に金メッ
キされたものも使用されている。ACFはアンテナ回路
の接点部分に片面を接着した後、表面のセパレーターを
剥がし、その上からベアチップを貼付けることで、バン
プとアンテナ回路が導電性粒子を通して導電性が得るこ
とが出来る。バンプがない部分は導電粒子が疎であるた
め、電気的に導通が難しい。また、ACFがベアチップ
全面に敷かれているので、封止樹脂は必要としないこと
も有る。ベアチップは、チップ実装時にACFと加熱硬
化し固定することができる。本発明の回路基材にICチ
ップを実装する場合、ACFなどの上から150℃を超
える熱を加えることが多い。本発明で支持体として使用
できる熱可塑性樹脂の中ではこの温度より低い熱変形温
度を持つものも有るが、回路基材の極一部に熱が加わる
だけであるので、多少の変形は生じるが実装は可能であ
る。
【0035】2.ICカード化材料・工程 本発明の回路基材を使用したインレットシートから最終
製品のカードになるまでに使用される材料・工程を以下
に述べる。まず始めにICカードの基本的な構成図を図
8に示す。図8は本発明のICカードの断面図である。
本発明の回路基材からなるインレットシート(1,2
b,5,6から構成されている)の両面に接着層10又
は中間層11を介して被覆層3a、3bが接合されてい
る。被覆層3a、3bには通常印刷14、保護層13が
設けられている。目視可能記録層12は、使用される表
示方法によって保護層の上面、下面に適宜設けることが
可能である。図9にも本発明のICカードの別の例の断
面図を示した。この例では、構造部材がインレットシー
トと被覆層3aだけからなる最も簡単なICカードの構
成となっている。本発明では図9のような単純な構成で
もICカードとして問題なく使用することが可能であ
り、大幅なコストダウンが可能となった。
【0036】(被覆層)被覆層3a、3bは完成したI
Cカードの最外殻の構造的な強度が要求される基材であ
り、印刷、磁気層、保護層等を設けることが出来る。フ
ィルム状あるいはシート状のポリエステル、ポリカーボ
ネート、ABS、APET、塩化ビニル、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリイミド、ポリスチ
レン、ポリマーアロイ、エンジニアリングプラスチック
等のプラスティックフィルム、銅、アルミニウムなどの
金属板、紙、網などの単体あるいは複合体、ガラス繊維
や紙をエポキシ樹脂等で含浸した基材等が使用できる。
又、カードの積層構成によっては、支持体を兼ねること
もある。被覆層は用途によって透明、半透明、不透明の
ものが使用できる。半透明、不透明のプラスチックフィ
ルムは、流通しているほとんどのものが酸化チタン、炭
酸カルシウム、有機顔料などの白色顔料が樹脂中に練り
込まれているか表面に印刷や塗工で設けられている。被
覆層は接着層を使用すれば、ほとんどの材質に貼りあわ
せることが出来る。しかしながら本発明の回路基材を使
用した場合、支持体で使用される熱変形温度200℃以下
の熱融着性の樹脂をこの被覆層に用いると、接着層を使
用せずに樹脂同士が融着し、ICカードを組立てること
が出来るのでコストダウンの点より好ましい。
【0037】(接着層)接着層10は支持体と被覆層や
被覆層同士を接着して1枚のシートにする機能である。
接着方法にはラミネート法とインジェクション法があ
る。ラミネート法は回路基材作成と同じ方法でフィルム
を積層しホットプレス等で貼りあわせる方法であり、接
着層に使用される接着剤樹脂は、ポリエステル、AB
S、アクリル、ポリウレタン等の一般に使用されている
ドライラミ用接着剤、ホットメルト樹脂で且つ熱硬化
型、吸湿硬化型樹脂、及び線硬化樹脂が好ましい。カー
ドを規定の厚さに調整するため、被覆層や支持体の厚さ
調整と共にこれらの樹脂の塗布量を調整する必要が生じ
てくる。特にホットメルト接着剤は粘度が高いため厚塗
りに適しており、カードの厚さを稼ぐのに好ましい。接
着剤は被覆層やインレットシートなどに直接塗布するこ
とも出来るが、ホットメルト樹脂接着剤は室温ではゴム
状のシートとして製造することが出来、予めセパレータ
ー紙などにフィルム状に形成したものを使用してもかま
わない。接着層は場合によってはウェットラミで各フィ
ルムを接着させることも可能である。インジェクション
法は、被覆層の間に熱溶融した樹脂を注入しカードを成
形する方法であり、被覆層と一体化したインレットシー
トを同時に封入することができる。使用される樹脂は被
覆層を接着する接着剤と同時に構成材となることが可能
である。接着剤に使用する樹脂はラミネート法で使用さ
れる樹脂と同等のものが使用可能であるが、被覆層−支
持体間のような狭い空間を数箇所の樹脂供給口を通して
樹脂が広がるため、ラミネート法のホットメルト接着剤
に比較すると樹脂の溶融粘度が低いことが好ましい。
【0038】(中間層)被覆層と同様の層を最外層に使
用せず、中間部分に使用する場合、この層を中間層11
と呼ぶ。中間層も被覆層と同様の材料によって構成する
ことが可能であり、勿論支持体と同様材料も使用可能で
ある。
【0039】(目視可能情報記録層)目視可能情報記録
層12は非接触ICカードの残額、シリアル番号等の情
報を、肉眼で確認できる文字情報として記録する必要が
ある場合に設けられる層で、レーザーで物理的に文字を
作成する場合、錫等の蒸着膜を形成しその膜を熱破壊し
て記録する場合、ロイコ染料等の感熱発色型の染料を塗
布して記録層を形成し、その層に熱記録するタイプ等の
1回だけ記録するものと、感熱タイプ、樹脂タイプ、磁
気タイプ、電場タイプ等の書き換え可能な表示層を設け
ることも可能である。
【0040】(保護層)保護層13は通常印刷や目視可
能情報記録層等を保護するために設けられる層で、各種
印刷、塗工により保護層を設ける場合と、オーバーレイ
フィルムを貼りあわせる方法が可能である。印刷、塗工
により保護層を設ける場合は1種以上のポリビニルアセ
タール、ポリビニルブチラール、アクリル樹脂、ポリウ
レタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エポキ
シ樹脂等の樹脂から形成される場合と、前記の樹脂にア
ルミニウム、酸化チタン等の無機顔料や、シリコーン、
ポリエチレン、ポリスチレン微粒子等の有機顔料や、潤
滑剤等を分散させた塗料、インクから形成される場合が
有る。オーバーレイフィルムは、透明のフィルムで印刷
層より厚いので、印刷などの保護は良好である。
【0041】(通常印刷)通常印刷14は透明な保護層
13の下に施され、カードに装飾性を持たせるための図
柄や、カード使用約款C、機械による読み取りのための
可視バーコード等を印刷する操作である。印刷は、カー
ド状態になってからと、被覆層に予め耐熱性の良好な印
刷をしておく場合がある。予め印刷する場合は、カード
成型時の熱によって基材が拡大/収縮する場合があるの
で、予め拡大/収縮した図柄で印刷を行う場合や予め熱
処理などで寸法安定化した基材に印刷するのが好まし
い。
【0042】(成型)非接触ICカードの成形はラミネ
ート法と射出成形法がある。ラミネート法は被覆層シー
ト、ICが実装されているインレットシート、シート糊
等を重ねあわせホットプレス等で加熱、圧着することが
出来る。この時接着剤を軟化、硬化させるため加熱する
が、成型条件を選ばないと、カードがカールしたり、I
Cチップを破壊する場合がある。ラミネーターでは成型
時に、真空脱泡して成型するのが好ましい。一方インジ
ェクション法では、型枠の中にセットされた表裏2枚の
被覆層の間に溶融した樹脂を射出して成形することが出
来る。ICなどは被覆層に直接設けられているか、予め
片側の被覆層にインレットシートを仮止めすることが出
来る。射出される樹脂は小さな穴から高圧で押し出され
るため、一般に注入口がシートの中心にあり、その注入
口から放射状に樹脂の配向が起こる可能性が有る。被覆
層の厚さ、樹脂の種類、押出速度、溶融粘度、加熱/冷
却条件等を最適化しないとカールが発生する可能性が有
る。本発明において被覆層に熱融着性のある樹脂を使用
した場合には、回路基材が熱融着性を持っているため、
ヒートプレスを使用して貼りあわせる場合、ヒートプレ
ス中でこれらの熱可塑性樹脂が一旦溶融し、相互に融着
し一体となる。このような耐熱性が低いフィルム状の熱
可塑性樹脂をフリーの状態でその融点以上にすると、原
形をとどめないほどフィルムが大きく変形することが有
るが、プレス板の中で加熱される場合はその形状が維持
されるのでより好ましい。
【0043】(打ち抜き)成型されたシートからカード
化するには電動、空圧、油圧プレスに取り付けたトムソ
ン刃、雄雌刃で1枚ずつのカードに切断することが出来
る。
【0044】(ICカードの他の構成例)以上の例では
接着層を使用してICカードを組立てる例を説明した。
しかし、被覆層や必要に応じて使用する中間層に支持体
と同様に熱融着性の熱可塑性樹脂を使用すればそれらの
熱融着性の熱可塑性樹脂製の層、支持体間の接合を熱に
よる貼り合せによって行うことができるのでコストダウ
ンの点で好ましい。また特に、同じ樹脂を使用した場合
はより接着性が高まるので更に好ましい。この場合、各
層の熱収縮率や弾性率や色調等まで同じに出来るため、
カードの断面は断層がなくカードの見栄えが良いばかり
でなく、光学的にカードを検出するシステム、たとえば
枚数計での誤作動が起こりにくい。更に各層の弾性率が
同じになるためか、接着剤層を使用して製造したカード
よりカード切断面のつぶれ具合が少なく、機械的にカー
ドを搬送する場合などに好ましい。更に、支持体、被覆
層、必要に応じて使用する中間層の全てを熱融着性の熱
可塑性樹脂によって構成し、全ての接合を熱による貼り
合せによって行うことによって非常に大きな大きなコス
トダウンが可能となる。
【0045】(まとめ)従来のICカードに使用されて
いる回路基材は、フィルム基材にポリイミド、PET、
PEN、エンジニアリングプラスチック等の耐熱性が高
く、且つ物理的な強度が高い丈夫なフィルムを使用して
いる。これらのフィルム上に接着剤を使用して張り合わ
せるか、蒸着、めっきなどの方法で直接金属箔が形成さ
れて回路基材が作製されていた。
【0046】本発明では、従来使用されていた高耐熱で
強度が高いシートの代りに、金属箔と容易に接合が可能
な比較的耐熱性の低い熱可塑性樹脂シートを使用し、ま
た金属箔接合のための接着剤等も不要な回路基材を使用
したことでコスト低減を実現することが可能となった。
更にICカード組立てにおいて被覆層等を適切に選択す
ることで、この組立て工程での接着層の使用を無くすこ
と又は減らすことも可能であるので更なるコスト低減も
可能となった。本発明者は種々の試行の結果、熱融着可
能な熱可塑性樹脂を支持体に使用して、金属箔を熱融着
によって接合一体化した回路基材を内蔵したICカード
であっても、回路基材と少なくとも一層の被覆層を組み
合わせて使用すれば、この被覆層を含むカードの機械的
構成に守られ、内部の電子部品及びエッチング回路は使
用中、製造中に破壊されることなく十分な強度が確保で
きることが分かった。なお、従来からICカードに使用
されている回路基材のフィルム基材にポリイミド、PE
T、PEN、エンジニアリングプラスチック等の耐熱性
が高く、且つ物理的な強度が高い丈夫なフィルムを使用
されている理由は、もともと自動車用や電気製品など過
酷な条件で使用されるものを流用しているためではない
かと推量される。
【0047】また、被覆層並びに必要に応じて使用され
る他の被覆層や中間層の少なくとも一層を回路基材を構
成する熱可塑性フィルムと同様の熱融着可能な樹脂を選
択した場合、ICカードの組立てにおいて、そのような
層を接着するうえで接着剤層を使用することなく熱によ
り貼着することができるので、一層のコストダウンを行
うことができる。そのような場合でも、層間の剥離強度
をJISX6301に準拠して測定した際に6N/cm
以上の剥離強度が得られ、各層を構成するフィルム自身
の強度より大きい剥離強度であることが確かめられた。
また更に被覆層並びに必要に応じて使用される他の被覆
層や中間層の全てを回路基材を構成する熱可塑性フィル
ムと同じ種類のものを選択した場合、全ての層を接着す
るうえで接着剤層を使用することなく熱により貼着する
ことができるので、非常に大きなコストダウンを行うこ
とができる。勿論このような場合でも上記のような十分
な剥離強度を有していることはいうまでもない。本発明
では回路基材の支持体の材質と外部表面シートに使用す
る被覆層の材質を熱融着可能な熱可塑性樹脂にすること
が出来、エッチング後は支持体が回路基材の両面に露出
するため熱による融着で回路基材と被覆層を一体化する
ことが可能である。カードを一体化することによりカー
ドのJISX6301で規定されている層間剥離強度は
6N/cm以上を満足するものとなり、更に強引に剥離
しようとする場合は基材自身の破壊を生じるようにな
る。
【0048】
【実施例】以下に本発明に係るICカード製造の具体例
を説明するが、本発明はこれらの例に限定されるもので
はない。特に断りのない場合、以下の部は固形分重量部
である。
【0049】実施例1 図8に示したICカードとほぼ同様の断面構造のICカ
ードを作製した。実際の断面構造は図8にける部番10
又は11の中間層、接着層を使用しない構造であった。
あとは図8のものと同一の構造とした。 インレットシートの作製 支持体1として50μmのAPET(PET−G製 熱
変形温度67℃ エビロン太平化学社製)を使用した。こ
の支持体1に、接着面の凹凸を化学処理で設けた1/2
ozの銅箔2(18μm、表面粗さ9μm、福田金属箔工業
社製)を温度150℃、圧力10Kg/cm2の条件でホッ
トプレスし貼りあわせ回路基材を得た。銅箔2と支持体
1の層間剥離強度はJISX6301に準拠して測定す
ると0.7N/cmであった。この回路基材に感光性ド
ライフィルム(リストンFX−130 デュポンMRC
ドライフィルム社製)を貼り付け、ポジフィルムに作成
した回路パターンを紫外線露光装置で焼き付け、現像、
エッチングしループアンテナの回路2を設けた。この回
路形成のためにエッチング後残った銅箔の面積は25%
であった。ループアンテナの両末端の端子に異方導電性
フィルム5(ACF/ソニーケミカル製)を貼り付けそ
の上からべアチップ6(MIFAREチップ/シーメン
ス社製)を加熱しながら加圧貼付けてバンプ7と回路2
を、ACF粒子を通して電気的に接続させ、インレット
シートを得た。 非接触ICカードの作製 上記のインレットシートと、カード全体の厚さが750
μmにするため、接着剤層を使用せずに表裏の層の厚さ
をそれぞれ350μmになるように被覆層3a、3bと
重ねあわせ、ホットプレスを使用して温度150℃、圧力
10Kg/cm2の条件で両側から張り合わて熱融着し
た。この被覆層はいずれももインレットシート作製にお
いて使用した支持体と同一のAPET(PET−G 熱
変形温度67℃ エビロン 太平化学社製)を使用した。冷
却後、カード状に打ち抜き非接触ICカードとした。カ
ードの層間剥離強度はJISX6301に準拠して測定
すると12N/cmであり、6N/cm以上であった。 実施例2 銅箔の代わりに30μmのアルミニウム箔(東洋アルミ
ニウム製)を使用した以外は実施例1と同様にしカード
を作成した。アルミニウム箔と支持体1の層間剥離強度
はJISX6301に準拠して測定すると0.2N/c
mであった。カードの層間剥離強度はJISX6301
に準拠して測定すると12N/cmであり、6N/cm
以上であった。
【0050】カード読み取りテスト手順の概要 先ず本実施例の非接触ICカードの共振周波数を測定し
た。図10に、この共振周波数測定の状態を示した。図
10はICカードの共振周波数測定状態を示す概略図で
ある。ネットワークアナライザー101(型式R375
4B/アドバンテスト社製)に直径5cmのループアン
テナ102を接続した測定器によってICカード9の共
振周波数を測定し、13.56MHzであることを確認し
た。次に通信距離を測定した。図11に、この通信距離
測定の状態を示した。図11はICカードの通信距離測
定状態を示す概略図である。パソコン141に接続した
シーメンス製リーダ・ライタ142を用いて90mmの距
離から通信できることを確認した。以上のように本発明
に係るICカードは、カードの層間剥離強度、共振周波
数、通信距離等を満足するICカードであることが確か
められた。
【0051】
【発明の効果】以上のように本発明に係るICカード
は、回路基材の製造コストが低いICカードが得られ
る。更に、ICカードを構成する被覆層や中間層等を回
路基材の支持体と同じ熱融着性の樹脂材料にした場合
は、カード製造工程において接着剤層を使用することが
省けるため更なるコストダウンの効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用される回路基材の平面図。
【図2】図1の回路基材のA−A‘断面図。
【図3】エッチング後の回路基材の平面図。
【図4】図3の回路基材のA−A‘断面図。
【図5】本発明に使用されるインレットシートの平面
図。
【図6】図5のインレットシートのA−A‘断面図。
【図7】図6に示した円部分のIC搭載部分の拡大断面
図。
【図8】本発明のICカードの一例の断面図。
【図9】本発明のICカードの別の例の断面図。
【図10】ICカードの共振周波数測定の状態を示す概
略図。
【図11】ICカードの通信距離測定の状態を示す概略
図。
【符号の説明】
1 支持体 2b 金属箔 6 IC 3a 被覆層

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱融着性を有する熱可塑性樹脂製の支持体
    と、該支持体の少なくとも片面上に接着剤を介さずに熱
    により接合した金属箔と、前記金属箔に電気的に接続さ
    れる電子部品と、前記電子部品を覆うように前記支持体
    上に積層した少なくとも一層の被覆層とを備えたICカ
    ード。
  2. 【請求項2】前記支持体が、熱変形温度が200℃以下の
    熱可塑性樹脂樹脂製である請求項1記載のICカード。
  3. 【請求項3】前記支持体が、APET(アモルファスP
    ET)系、ABS(アクリルニトリル−ブタジエン−ス
    チレン)系、PC(ポリカーボネート)系、塩化ビニル
    系及びポリマーアロイ系の樹脂の中から選択された少な
    くとも一種の樹脂製である請求項1又は2記載のICカ
    ード。
  4. 【請求項4】前記金属箔の前記支持体との接合表面側が
    易接着処理されている請求項1から3のいずれか一項に
    記載のICカード。
  5. 【請求項5】前記被覆層並びに必要に応じて使用される
    他の被覆層及び中間層の少なくとも一層が前記支持体と
    同じ樹脂材料により構成されている請求項1から4のい
    ずれか一項に記載のICカード。
  6. 【請求項6】前記被覆層並びに必要に応じて使用される
    他の被覆層及び中間層が前記支持体と同じ樹脂材料によ
    り構成されている請求項5記載のICカード。
  7. 【請求項7】前記金属箔がアルミニウム箔である請求項
    1から6のいずれか一項に記載のICカード。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7141451B2 (en) 2003-10-07 2006-11-28 Hitachi, Ltd. Wireless communication medium and method of manufacturing the same
KR100774902B1 (ko) 2005-12-20 2007-11-09 후지쯔 가부시끼가이샤 Rfid 태그

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US7141451B2 (en) 2003-10-07 2006-11-28 Hitachi, Ltd. Wireless communication medium and method of manufacturing the same
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