JP2008267784A - インラインヒータ - Google Patents
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Abstract
【課題】コンパクトで、省エネルギー性およびクリーン化の要請についても満足することができ、急速な昇温にも対応可能なインラインヒータを提供する。
【解決手段】配管1と、発熱体、好適には炭化ケイ素発熱体2とを備えるインラインヒータ10である。配管1が金属ブロック3に埋設され、炭化ケイ素発熱体2が、配管1が埋設された金属ブロック3に沿って配置されている。配管1は、金属ブロック3内に鋳込むことにより埋設することができ、金属ブロック3には、アルミニウムを好適に用いることができる。
【選択図】図1
【解決手段】配管1と、発熱体、好適には炭化ケイ素発熱体2とを備えるインラインヒータ10である。配管1が金属ブロック3に埋設され、炭化ケイ素発熱体2が、配管1が埋設された金属ブロック3に沿って配置されている。配管1は、金属ブロック3内に鋳込むことにより埋設することができ、金属ブロック3には、アルミニウムを好適に用いることができる。
【選択図】図1
Description
本発明はインラインヒータに関し、詳しくは、装置の近傍の配管途中に配置して使用することが可能なインラインヒータに関する。
近年、液体加熱や空気加熱に使用されるヒータとして、コンパクトで省エネルギーを実現できるヒータに対する要求が高まっている。従来のヒータは、加熱する場合も冷却する場合も大型装置にて全体を温調して供給するシステムが多く、配管長さによっては温度変化が大きくなって、必要な部位にて効率が悪いため、それを補うために大容量装置とならざるを得なかった。また、特に、半導体製造装置などにおけるプロセス上は、きわめてクリーンなシステムに対する要求もある。
従来の一般的な温水装置としては、図3に示すように、大きなバッファタンク11内を投げ込みヒータ12等にて加熱して、加熱された熱媒体をポンプ13にて装置内の必要な部位14,15に供給するものが挙げられる。この場合、上記したように、配管長さによっては、部位14から部位15に循環するまでの間に熱媒体の温度が低下してしまうという問題が生ずる。
これに対し、図2に示すように、必要な部位14,15の近傍にインラインでヒータ16を配置して、高温の熱媒体を必要な部位14,15に供給する技術が知られている。しかし、図示するように、インラインとして必要な部位の近くに設置して効率を上げるためには、急速な発熱が可能であって、かつ、コンパクトで省エネルギーなヒータを用いることが必要であり、でなければ分離化は、却って効率を低下させてしまうと考えられる。
クリーンを維持できるインラインヒータとしては、例えば、特許文献1に開示されているように、石英等のパイプを配管に利用して、外部から加熱する構造が考えられるが、この構造では、石英管内部の熱媒体は、輻射により加熱されることになる。輻射加熱では気体には熱が伝わらないため、熱媒体として液体を用いる場合はよいが、N2、H2、O2等の気体を用いる場合には、この構造は適用できなかった。これに対し、熱伝導によれば気体も加熱可能であることから、SUS等の金属材料に溝を形成して配管とし、これを外部から加熱する構造も考えられるが、この場合、熱媒体として気体を用いるとパーティクルが生ずるという問題があった。
さらに、最近ではIH(電磁誘導加熱)ヒータとして、配管の外から高周波により加熱する方式も提案されているが、このIHヒータは、構造が複雑であり、電源を含めて、コストやサイズ等の種々の課題が残っているのが現状である。
特開平10−339504号公報(特許請求の範囲等)
上記のように、インラインヒータについては、これまでに種々検討されてきているが、未だ十分なものではなく、上記要求性能を満足できるインラインヒータの実現が望まれていた。
そこで本発明の目的は、コンパクトで、省エネルギー性およびクリーン化の要請についても満足することができ、急速な昇温にも対応可能なインラインヒータを提供することにある。
本発明者は鋭意検討した結果、実際のプロセスに用いる配管を金属ブロック内に埋設して、これを外部から加熱する構造とすることで、上記課題を解決しうるインラインヒータが得られることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のインラインヒータは、配管と、発熱体とを備え、該配管内を流通する熱媒体を、該発熱体により加熱するインラインヒータであって、前記配管が金属ブロックに埋設され、前記発熱体が、該配管が埋設された金属ブロックに沿って配置されていることを特徴とするものである。
本発明においては、前記配管が、前記金属ブロック内に鋳込まれていることが好ましく、この場合、前記金属ブロックとしては、好適にはアルミニウムからなるものを用いる。また、前記金属ブロックと発熱体との間には、絶縁板を介在させる。さらに、前記配管が、前記金属ブロック内で、少なくとも1箇所折り曲げ部を有することが好ましく、好適には、前記発熱体が、前記金属ブロックと略同一面積を有する面状である。
さらにまた、前記発熱体としては、炭化ケイ素発熱体を好適に用いることができる。さらにまた、本発明においては、前記金属ブロックを、前記発熱体の両側に配置することも好ましい。
本発明によれば、配管を金属ブロック内に直接埋設して、発熱体にて加熱する構造としたことで、金属ブロックからの熱伝導の効率が高く、発熱体の熱効率を失うことの少ないインラインヒータとすることができる。したがってこれにより、コンパクトで、省エネ性およびクリーン化の要請についても満足することができ、半導体製造等のプロセスに好適に対応可能なインラインヒータを実現することが可能となった。また、発熱体として炭化ケイ素発熱体を用いた場合には、急速な発熱による急速昇温が可能となるというメリットが得られる。さらに、金属ブロックを発熱体の両側に配置する構成とした場合には、より多くの伝熱熱量(出力温度)を得ることが可能である。
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1(a)〜(c)に、本発明の一好適例のインラインヒータの側面図、A−A線に沿う断面図およびB−B線に沿う断面図を示す。図示するように、本発明の好適例のインラインヒータ10は、外ケース20内に、配管1と炭化ケイ素発熱体(ヒータ本体)2とを備え、配管1内を流通する熱媒体を、炭化ケイ素発熱体2により加熱するものである。
図1(a)〜(c)に、本発明の一好適例のインラインヒータの側面図、A−A線に沿う断面図およびB−B線に沿う断面図を示す。図示するように、本発明の好適例のインラインヒータ10は、外ケース20内に、配管1と炭化ケイ素発熱体(ヒータ本体)2とを備え、配管1内を流通する熱媒体を、炭化ケイ素発熱体2により加熱するものである。
本発明においては、配管1が金属ブロック3に埋設されており、炭化ケイ素発熱体2は、かかる配管1が埋設された金属ブロック3に沿って配置されている。通常半導体製造プロセスに用いられる配管1を金属ブロック3内に埋め込んで、外部から炭化ケイ素発熱体2により加熱する構造としたことで、配管が直接加熱されるために発熱効率を高めることができるとともに、熱媒体が気体である場合でも熱伝導により効率的に加熱を行うことができ、さらに、熱ロスについても低減することが可能となったものである。また、既存のプロセス用配管をそのまま埋め込むため、配管部分を別途作製する場合とは異なり、コスト性に優れるとともに、パーティクルや汚染の発生をなくすことができることから、クリーン化の要請についても満足できる。
ここで、配管1の金属ブロック3への埋設は、例えば、配管1を金属ブロック3内に鋳込むことにより、好適に行うことができる。かかる観点からは、金属ブロック3の材質として、鋳込みが容易なアルミニウムを用いることが好ましい。
また、配管1は、図示するように、金属ブロック内3で、少なくとも1箇所折り曲げ部を有するものとすることが好ましい。配管1が折り曲げ部を有するものとすることで、金属ブロック3内に埋設される配管1の長さを大きく取ることができ、熱効率をより向上することができる。
また、図示する例では、配管1が埋設された金属ブロック3と、炭化ケイ素発熱体2との間に、絶縁板4が配置されている。絶縁板4は、炭化ケイ素発熱体2との電気ショートを防止する観点からは、配置することが必要である。絶縁板4の材質としては、例えば、アルミナ、石英、窒化アルミニウム等を用いることができ、熱伝導性の高い材料が好ましい。絶縁性、高熱伝導性の観点からは、窒化アルミニウム(AlN)が特に好適である。
さらに、図示するように、炭化ケイ素発熱体2の外ケース20側には、ヒータ外部の温度上昇を防止するため、炭化ケイ素発熱体2の配管1に面しない側に、断熱材5を配置することが好適である。これに対し、後述するように、炭化ケイ素発熱体2の両側に配管1が埋設された金属ブロック3を配置した場合には、金属ブロック3によりヒータ外部の温度上昇が抑制されるため、断熱材を配置する必要はない。
本発明において使用する発熱体は、炭化ケイ素発熱体には限定されず、一般にヒータに用いられるいかなる汎用の発熱体も用いることができる。好適には、発熱体として炭化ケイ素発熱体を用いる。炭化ケイ素発熱体2は、急速加熱が可能であるという利点を有し、また、パワー調整により温度をコントロール可能であるため、コンパクトかつクリーンで、熱効率の高いインラインヒータ10に寄与することができる。また、発熱体の形状は、図示するように、配管1を埋設する金属ブロック3と略同一面積を有する面状とすることが好ましく、金属ブロック3に面状発熱体を同一サイズで押し当てて加熱することで、熱効率をより向上することができる。
本発明において、炭化ケイ素発熱体2は、従来公知の方法により製造することができるが、特に、炭化ケイ素焼結体により形成することが好ましい。炭化ケイ素焼結体は純度が高く、加熱した際に被加熱物を汚染する恐れが極めて低いためである。炭化ケイ素発熱体2は、具体的には例えば、炭化ケイ素を主成分とする原料粉末を焼結して得られた炭化ケイ素焼結体を加工、研磨する方法や、原料粉末を溶媒中に溶解してスラリーとし、型を用いて目的形状に成形した後、仮焼して金属ケイ素(シリコン)を溶融含浸させる方法等を用いて、容易に製造することができる。
このうち炭化ケイ素焼結体の製造方法について、以下に説明する。
(炭化ケイ素焼結体)
炭化ケイ素焼結体の原料として用いられる炭化ケイ素粉末としては、α型、β型、非晶質あるいはこれらの混合物等が挙げられるが、特に、焼結体の熱膨張率の点から、β型炭化ケイ素粉末が好適である。このβ型炭化ケイ素粉末のグレードには特に制限はなく、一般に市販されているβ型炭化ケイ素粉末を適宜用いることができる。炭化ケイ素粉末の粒径は、高密度化の観点からは小さいことが好ましく、通常0.01〜10μm程度、特には0.05〜5μm程度が好適である。粒径が0.01μm未満であると、計量、混合などの処理工程における取扱いが困難となり、一方、5μmを超えると比表面積が小さくなり、すなわち隣接する粉体との接触面積が小さくなって、高密度化が困難となるため、いずれも好ましくない。
(炭化ケイ素焼結体)
炭化ケイ素焼結体の原料として用いられる炭化ケイ素粉末としては、α型、β型、非晶質あるいはこれらの混合物等が挙げられるが、特に、焼結体の熱膨張率の点から、β型炭化ケイ素粉末が好適である。このβ型炭化ケイ素粉末のグレードには特に制限はなく、一般に市販されているβ型炭化ケイ素粉末を適宜用いることができる。炭化ケイ素粉末の粒径は、高密度化の観点からは小さいことが好ましく、通常0.01〜10μm程度、特には0.05〜5μm程度が好適である。粒径が0.01μm未満であると、計量、混合などの処理工程における取扱いが困難となり、一方、5μmを超えると比表面積が小さくなり、すなわち隣接する粉体との接触面積が小さくなって、高密度化が困難となるため、いずれも好ましくない。
特に好適に用いることができる炭化ケイ素粉末は、粒径0.05〜1μm、比表面積5m2/g以上、遊離炭素1%以下、酸素含有量1%以下のものである。また、その粒度分布については特に制限されず、炭化ケイ素焼結体の製造時において、粉体の充填密度を向上させること、および、炭化ケイ素の反応性の観点から、2つ以上の極大値を有するものも使用し得る。
本発明のインラインヒータは半導体製造装置用途に好適に使用されるものであるため、その素材となる炭化ケイ素焼結体は高純度であることが好ましい。したがって、高純度の炭化ケイ素焼結体を得るために、原料の炭化ケイ素粉末についても高純度の炭化ケイ素粉体を用いることが好ましい。
高純度の炭化ケイ素粉末は、例えば、少なくとも1種以上のケイ素化合物を含むケイ素源と、少なくとも1種以上の加熱により炭素を生成する有機化合物を含む炭素源と、重合または架橋触媒とを均質に混合して得られた固形物を、非酸化性雰囲気下で焼成する焼成工程を含む製造方法により得ることができる。
炭化ケイ素焼結体を製造するにあたっては、原料となる炭化ケイ素粉末とともに、非金属系焼結助剤を均質に混合する。その混合に際しては、フェノール樹脂等の非金属系焼結助剤をエチルアルコールなどの溶媒に溶解し、炭化ケイ素粉末と十分に混合する。混合は、公知の混合手段、例えば、ミキサー、遊星ボールミルなどによって行うことができる。混合は、10〜30時間、特には16〜24時間にわたって行うことが好ましい。十分に混合した後は、溶媒の物性に適合する温度、例えば、先に挙げたエチルアルコールの場合には50〜60℃の温度で、溶媒を除去し、混合物を蒸発乾固させたのち、篩にかけて混合物の原料粉末を得る。なお、高純度化の観点からは、ボールミル容器やボール等の混合手段の材質を、金属をなるべく含まない合成樹脂とする必要がある。また、乾燥にあたっては、スプレードライヤーなどの造粒装置を用いてもよい。
この混合物の原料粉末の焼結工程は、温度2000〜2400℃、圧力300〜700kgf/cm2、非酸化性雰囲気下で成形金型中に配置して、ホットプレスすることにより行うことができる。なお、焼結を行う前に、後述するようにこの原料粉末を成形して、成形体とすることもできる。
焼結工程に使用する成形金型としては、得られる焼結体の純度の観点から、成形体と金型の金属部とが直接接触しないように、型の一部または全部に黒鉛製等の材料を使用するか、金型内にポリテトラフルオロエチレンシート(「テフロン(登録商標)シート」)等を介在させることが好ましい。
ホットプレスの圧力は、300〜700kgf/cm2とすることができるが、特に、400kgf/cm2以上に加圧する場合には、使用するホットプレス部品、例えば、ダイス、パンチ等として、耐圧性の良好なものを選択する必要がある。
次に、炭化ケイ素成形体の製造方法について、以下に説明する。
(炭化ケイ素成形体)
炭化ケイ素成形体を製造するにあたっては、まず、原料となる炭化ケイ素粉末と、炭素源と、所望により有機バインダーや消泡剤等とを溶媒中に溶解または分散することによりスラリー状の混合粉体を製造する。このスラリー状の混合粉体を、溶解、分散時に十分に攪拌混合することにより、成形後に得られるグリーン体中に、均一に気孔を分散させることができる。
(炭化ケイ素成形体)
炭化ケイ素成形体を製造するにあたっては、まず、原料となる炭化ケイ素粉末と、炭素源と、所望により有機バインダーや消泡剤等とを溶媒中に溶解または分散することによりスラリー状の混合粉体を製造する。このスラリー状の混合粉体を、溶解、分散時に十分に攪拌混合することにより、成形後に得られるグリーン体中に、均一に気孔を分散させることができる。
原料として用いる炭化ケイ素粉末および炭素源等については、原則として前述の炭化ケイ素焼結体の場合と同様のものを用いることができる。
さらに、以下の工程を用いて得られる多孔質の炭化ケイ素焼結体も、ヒータ用途に好適である。
(1)混合粉体を得る工程
まず、炭化ケイ素粉末と消泡剤とを溶媒中に分散させてスラリー状の混合粉体を製造する。次に、ミキサー、遊星ボールミルなどの攪拌混合手段を用いて、6時間〜48時間、特には12時間〜24時間にわたって攪拌混合を行う。攪拌混合が十分でないと、グリーン体中に気孔が均一分散されなくなる。
(1)混合粉体を得る工程
まず、炭化ケイ素粉末と消泡剤とを溶媒中に分散させてスラリー状の混合粉体を製造する。次に、ミキサー、遊星ボールミルなどの攪拌混合手段を用いて、6時間〜48時間、特には12時間〜24時間にわたって攪拌混合を行う。攪拌混合が十分でないと、グリーン体中に気孔が均一分散されなくなる。
(2)グリーン体を得る工程
得られたスラリー状の混合粉体を鋳込み成形用型に流し込む。その後、放置、脱型した後、40℃〜60℃の温度条件下で加熱乾燥または自然乾燥して溶媒を除去する。このようにして規定寸法のグリーン体、すなわち、スラリー状の混合粉体から溶媒を除去して得られる多くの気孔を含む炭化ケイ素成形体が得られる。
得られたスラリー状の混合粉体を鋳込み成形用型に流し込む。その後、放置、脱型した後、40℃〜60℃の温度条件下で加熱乾燥または自然乾燥して溶媒を除去する。このようにして規定寸法のグリーン体、すなわち、スラリー状の混合粉体から溶媒を除去して得られる多くの気孔を含む炭化ケイ素成形体が得られる。
(3)第1の加熱工程
得られたグリーン体を、真空雰囲気下550℃〜650℃まで約2時間程度かけて昇温する。加熱温度が550℃未満であると脱脂が不十分となり、また、脱脂は650℃前後で終了する。そのため、上記温度範囲内の一定の温度で加熱することが好ましい。昇温速度は、混合物中のバインダーの急激な熱分解による爆裂を防止するため、300℃/1時間以下とする。一定の温度に達した後、真空雰囲気下、その温度条件で30分間保持することにより、仮焼体が得られる。
得られたグリーン体を、真空雰囲気下550℃〜650℃まで約2時間程度かけて昇温する。加熱温度が550℃未満であると脱脂が不十分となり、また、脱脂は650℃前後で終了する。そのため、上記温度範囲内の一定の温度で加熱することが好ましい。昇温速度は、混合物中のバインダーの急激な熱分解による爆裂を防止するため、300℃/1時間以下とする。一定の温度に達した後、真空雰囲気下、その温度条件で30分間保持することにより、仮焼体が得られる。
(4)第2の加熱工程
次に、得られた仮焼体を、窒素ガス雰囲気下で1500℃以上の温度まで昇温する。好適には、温度1500℃〜2000℃、特には温度1500℃〜1950℃の範囲内である。加熱温度の上限を2000℃としたのは、窒素雰囲気においてドープされる窒素量は2000℃程度で平衡状態に達するため、それ以上の温度で加熱すると不経済だからである。また、加熱温度が1500℃〜2000℃の範囲から外れると、強度が低下してしまうため、この温度範囲内の一定の温度で加熱することが好ましい。特に、強度を高める観点からは、加熱温度を1700℃〜2000℃の範囲内とすることが好適である。一定の温度に達した後は、窒素ガス含有雰囲気下その温度条件で0.5〜8時間保持する。同じ加熱温度であれば、(a)保持時間を長くするか、または(b)圧力を高くすることで、炭化ケイ素焼結体中の窒素量が増加する。窒素ガス雰囲気下における圧力は、−0.5kg/m2〜0.2kg/m2が好適である。
次に、得られた仮焼体を、窒素ガス雰囲気下で1500℃以上の温度まで昇温する。好適には、温度1500℃〜2000℃、特には温度1500℃〜1950℃の範囲内である。加熱温度の上限を2000℃としたのは、窒素雰囲気においてドープされる窒素量は2000℃程度で平衡状態に達するため、それ以上の温度で加熱すると不経済だからである。また、加熱温度が1500℃〜2000℃の範囲から外れると、強度が低下してしまうため、この温度範囲内の一定の温度で加熱することが好ましい。特に、強度を高める観点からは、加熱温度を1700℃〜2000℃の範囲内とすることが好適である。一定の温度に達した後は、窒素ガス含有雰囲気下その温度条件で0.5〜8時間保持する。同じ加熱温度であれば、(a)保持時間を長くするか、または(b)圧力を高くすることで、炭化ケイ素焼結体中の窒素量が増加する。窒素ガス雰囲気下における圧力は、−0.5kg/m2〜0.2kg/m2が好適である。
本発明における炭化ケイ素発熱体2は、上記により得られる炭化ケイ素素材を適宜形状に加工することにより得られる。炭化ケイ素素材の加工方法としては、素材からの部材の切り出しについては、ワイヤー放電加工機やダイヤモンドブレードのカッターによる直線切り出し、ワイヤー放電加工機による曲線切り出しが挙げられる。穴あけには、型彫放電加工機やダイヤモンド砥石研削加工機による丸穴開け、研削加工機や型彫放電加工機による底付穴・段付穴開け、ワイヤー放電加工機や型彫放電加工機による異形穴開け、型彫放電加工機やダイヤモンドタップ機によるネジ穴加工、円筒研削盤やダイヤモンド電着チップ使用旋盤によるオスネジ加工、ダイヤモンド砥石平面研削盤やラップ盤による平面加工、型彫放電加工機や形状研削盤による溝付け加工等が挙げられる。
放電加工機、例えば、型彫放電加工機、ワイヤー放電加工機等としては、一般の金属加工用放電加工機が使用できるが、電源が高出力であるほうが加工が行い易く、加工時間も短縮できる。電源回路は安定回路内蔵型、瞬間最大加工電流50アンペア以上、最大ワイヤー送り速度15m/min.以上、使用ワイヤー径0.3mm程度のコンピードワイヤー使用を目安とすることができる。また、吹き付け型ではなく、加工液浸漬型とする。
また、素材を所望の形状にするための加工は、部品の切り出し、穴あけ、ネジたて、ボルト、ナットなどの固定具の製造および鏡面加工など、公知の機械加工の手順で行うことができる。
本発明のインラインヒータ10は、簡易な構成で小型化が可能であり、図2に示すように、必要な部位の近傍にインラインで直接設置して使用することが可能である。また、金属ブロック3にバイメタル等を用いたサーモスイッチ6を設置すれば、より簡易に制御可能で、コンパクトなインラインヒータとすることができる。
本発明のインラインヒータ10により加熱される熱媒体は液体および気体であり、液体としては、例えば、水、フッ素系溶剤としてのガルデン、パーフルオロカーボン、フロリナート等を挙げることができ、気体としては、例えば、N2,H2,O2等を挙げることができる。インラインヒータの小型化の観点からは、熱媒体として気体を用いることが有利であり、本発明のインラインヒータにおいては、特に、熱媒体として気体を用いた場合にもパーティクル発生等の問題を生ずることなく加熱が可能であるというメリットがある。
図5に、本発明の他の好適実施形態のインラインヒータの構成を示す、図1(c)に対応する断面図を示す。図示するインラインヒータ30は、配管31と炭化ケイ素発熱体(ヒータ本体)32とを備え、配管31内を流通する熱媒体を、炭化ケイ素発熱体32により加熱するものである。図示するように、2本の配管31はそれぞれ金属ブロック33内に埋設されており、この金属ブロック33が、炭化ケイ素発熱体32の両側に、絶縁板34を介してそれぞれ配置されている。
かかる構成とすることで、インラインヒータ内に埋設される配管長さが長くなり、熱媒体との接触面積が増大するため、より多くの伝熱熱量(出力温度)を得ることができる。出力温度を上げる手段としては、ブロック温度(接触温度)を上げる方法があるが、熱媒体の種類によっては、乱流等の要因により温度が上がらない場合もある。そこで、両面発熱の発熱体の裏面を利用して、インラインヒータ内に配置する金属ブロックを増やすことで、配管距離を2倍として、出力温度を高めることができるのである。発熱体のサイズを大きくして出力温度を高める方法も考えられるが、上記方法であれば、小型化の点やコスト面でもメリットが得られる。
この場合、配管および発熱体として同一のものを用いれば、配管距離は2倍になり、接触面積も2倍になる。具体的には、熱媒体の比熱の違いや流れ方等に応じて、配管長さ(接触面積)を適宜設計すればよい。例えば、気体加熱用の場合には、図1に示すような、発熱体の片側に金属ブロックに埋設された配管を配置する構成を用い、液体加熱用の場合には、図5に示すような、発熱体の両側に金属ブロックに埋設された配管を配置する構成とすることが考えられる。
なお、下記の対流熱伝達の計算式からも、熱伝達率が一定であれば接触面積を上げることで伝熱熱量が稼げることがわかる。
Q=h(θw−θf)A
(上記式中、Q:伝熱熱量、h:熱伝達率、θw−θf:温度差、A:接触面積である)但し、出力温度は金属ブロックの温度以上には上がらない。また、熱容量が増えることでヒータ出力は増大する。図6に、熱媒体としてN2を用いて50リットル/minで流した際の、金属ブロックを片側に配置した場合および両側に配置した場合における制御温度(ブロック温度)と出力温度(ガス温度)との関係の一例を示す。
Q=h(θw−θf)A
(上記式中、Q:伝熱熱量、h:熱伝達率、θw−θf:温度差、A:接触面積である)但し、出力温度は金属ブロックの温度以上には上がらない。また、熱容量が増えることでヒータ出力は増大する。図6に、熱媒体としてN2を用いて50リットル/minで流した際の、金属ブロックを片側に配置した場合および両側に配置した場合における制御温度(ブロック温度)と出力温度(ガス温度)との関係の一例を示す。
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。
図1に概略を示すような構造を有するインラインヒータを、以下に示す条件にて作製した場合の、ヒータの制御温度(ブロック温度)と、必要熱量および熱媒体としてのガスの温度との関係を算出し、昇温性能を評価した。その結果を、図4のグラフに示す。
図1に概略を示すような構造を有するインラインヒータを、以下に示す条件にて作製した場合の、ヒータの制御温度(ブロック温度)と、必要熱量および熱媒体としてのガスの温度との関係を算出し、昇温性能を評価した。その結果を、図4のグラフに示す。
<インラインヒータ条件>
(配管1):プロセス用配管SUS製,内径4.57mm×長さ(金属ブロック3内に埋設された長さ)180mm,
(炭化ケイ素発熱体2):炭化ケイ素焼結体製面状ヒータ(両面発熱),面状サイズとして長さ89mm×幅55mm,厚み1mm,
(金属ブロック3):アルミニウム製,長さ92mm×幅57mm,厚み20mm(炭化ケイ素発熱体面積比1:1,熱交換100%),
(絶縁板4):AlNまたはマイカ製,長さ92mm×幅57mm,厚み0.5mm,
(断熱材5):マイカ製,長さ92mm×幅57mm,厚み1mm,
(サーモスイッチ6):バイメタル,温度制御用または過昇温用
(配管1):プロセス用配管SUS製,内径4.57mm×長さ(金属ブロック3内に埋設された長さ)180mm,
(炭化ケイ素発熱体2):炭化ケイ素焼結体製面状ヒータ(両面発熱),面状サイズとして長さ89mm×幅55mm,厚み1mm,
(金属ブロック3):アルミニウム製,長さ92mm×幅57mm,厚み20mm(炭化ケイ素発熱体面積比1:1,熱交換100%),
(絶縁板4):AlNまたはマイカ製,長さ92mm×幅57mm,厚み0.5mm,
(断熱材5):マイカ製,長さ92mm×幅57mm,厚み1mm,
(サーモスイッチ6):バイメタル,温度制御用または過昇温用
<評価方法>
(計算方法):ブロック温度の設定から必要電力およびガス温度を算出した。
(計算条件):ガス(N2ガス)流量を10L/minとし、ブロック温度を制御した後にガスを入力する。
(計算方法):ブロック温度の設定から必要電力およびガス温度を算出した。
(計算条件):ガス(N2ガス)流量を10L/minとし、ブロック温度を制御した後にガスを入力する。
図4のグラフに示すように、本発明のインラインヒータによれば、簡易でコンパクトな構造を用いて、加熱媒体としてガスを用いた場合でも熱効率よく加熱を行うことができ、コスト性やクリーン性にも優れることから、半導体製造等のプロセスに好適に対応可能である。
1 配管
2 炭化ケイ素発熱体(ヒータ本体)
3 金属ブロック
4 絶縁板
5 断熱材
6 サーモスイッチ
10 インラインヒータ
11 バッファタンク
12 投げ込みヒータ
13 ポンプ
14,15 必要な部位
16 ヒータ
20 外ケース
2 炭化ケイ素発熱体(ヒータ本体)
3 金属ブロック
4 絶縁板
5 断熱材
6 サーモスイッチ
10 インラインヒータ
11 バッファタンク
12 投げ込みヒータ
13 ポンプ
14,15 必要な部位
16 ヒータ
20 外ケース
Claims (8)
- 配管と、発熱体とを備え、該配管内を流通する熱媒体を、該発熱体により加熱するインラインヒータであって、前記配管が金属ブロックに埋設され、前記発熱体が、該配管が埋設された金属ブロックに沿って配置されていることを特徴とするインラインヒータ。
- 前記配管が、前記金属ブロック内に鋳込まれている請求項1記載のインラインヒータ。
- 前記金属ブロックがアルミニウムからなる請求項1または2記載のインラインヒータ。
- 前記金属ブロックと発熱体との間に、絶縁板が介在する請求項1〜3のうちいずれか一項記載のインラインヒータ。
- 前記配管が、前記金属ブロック内で、少なくとも1箇所折り曲げ部を有する請求項1〜4のうちいずれか一項記載のインラインヒータ。
- 前記発熱体が、前記金属ブロックと略同一面積を有する面状である請求項1〜5のうちいずれか一項記載のインラインヒータ。
- 前記発熱体が炭化ケイ素発熱体である請求項1〜6のうちいずれか一項記載のインラインヒータ。
- 前記金属ブロックが、前記発熱体の両側に配置されている請求項1〜7のうちいずれか一項記載のインラインヒータ。
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