JP2008267124A - 真空式下水道システムの真空弁ユニット - Google Patents

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Abstract

【課題】汚水槽内の汚水を真空下水管の真空圧で圧送する際、汚水槽に連通する建物の汚水トラップの破封を確実に防止できる真空式下水道システムの真空弁ユニットを提供すること。
【解決手段】汚水流入管12の汚水槽1内への開口端12bを開閉するバタフライ弁2が設けられている。そして、真空弁15が閉弁しているときバタフライ弁2で開口端12bを開かせ、且つ真空弁15が開弁したとき開口端12aをバタフライ弁2により閉成させる弁駆動装置3が設けられている。
【選択図】図1

Description

本発明は、真空を利用して汚水を搬送する真空式下水道システムの真空弁ユニットに関するものである。
一般に、真空式下水道システムでは、民家、集合住宅、施設等の建物から排出される汚水を排水パイプを介して自然流下により真空弁ユニットの汚水槽まで案内し、この汚水を汚水槽の下端部の汚水貯留部に一時的に貯留するようにしている(例えば、特許文献1,2参照)。尚、汚水槽を基準に考えれば排水パイプは汚水の流入管になる。
この汚水槽内の上部には真空下水管の端部が配設されており、この真空下水管の端部には上下に延びる汚水吸込パイプが接続されている。そして、この真空下水管の端部と汚水吸込パイプとの間には真空弁が介装されている。尚、汚水吸込パイプの下端は汚水貯留部内に配設されている。
しかも、この真空式下水道システムでは、汚水槽の汚水貯留部内に貯留される汚水が一定量に達すると、これを検知して真空弁を開放し、真空下水管内の真空圧により汚水貯留部内の汚水を汚水吸込パイプに吸い込ませるようになっている。そして、汚水吸込パイプに吸い込まれた汚水は、真空下水管を通じて中継ポンプ場に設けられた集水タンクまで、真空圧により搬送されるようになっている。
ところで、真空弁ユニットは空気取入パイプを有する。しかも、真空弁の作動時には汚水槽の下部に貯留された汚水を吸込パイプ内に吸込んだ後に、空気を吸込パイプ内に吸込むか、或いは汚水と同時に空気を吸込パイプ内に吸込むようになっている。
また、真空下水管内は常に負圧に保たれているが、汚水の搬送は空気の吸い込みにより発生する差圧が汚水を追い越す形で二層流を形成しながら汚水を圧送していくようになっている。しかも、汚水は、真空下水管の自然勾配に加え、真空弁からの吸込み時とリフト部などではこの空気の混送によって流送されていく。
従って真空弁ユニットにおいて空気を取り入れることは、真空下水の流送の仕組み上、必要不可欠なものとなっている。
特許第3483316号公報 特許第3636779号公報
しかしながら、真空弁の作動時には、汚水槽の下部に貯留された汚水が汚水吸込パイプ内に真空圧で吸い込まれる際に、汚水槽内が負圧になるため、この負圧が自然流下の流入管(建物から見れば排水パイプ)内に作用し、この負圧によって宅内に設置されている設備の汚水トラップを破封するケースがある。
そこで、この発明は、汚水槽内の汚水を真空下水管の真空圧で圧送する際、汚水槽に連通する建物の汚水トラップの破封を確実に防止できる真空式下水道システムの真空弁ユニットを提供することを目的とするものである。
この目的を達成するため、この発明は、建物から排出される汚水を自然流下させる流入管が下部に接続され且つ上部に真空下水管の端部が配設された汚水槽と、前記汚水槽の下部の汚水貯留部に下端部が配設された汚水吸込管と、前記汚水槽に接続された空気取り入れ管と、前記汚水吸込管の上端部と前記真空下水管とを接続する真空弁と、前記汚水貯留部内の汚水が所定量以上になったのを検出する汚水検出手段と、前記汚水が所定量以上になったのを前記検出手段が検出したとき前記真空弁を開弁させる弁駆動手段を備える真空式下水道システムの真空弁ユニットにおいて、前記流入管の開口端を開閉する流入弁が設けられていると共に、前記真空弁が閉弁したとき前記流入弁で前記開口端を開かせ、且つ前記真空弁が開弁したとき前記開口端を前記流入弁により閉成させる弁駆動手段が設けられている真空式下水道システムの真空弁ユニットとしたことを特徴とする。
また、空気取り入れ管の径(口径)を汚水流入管の径(口径)よりも大きくするか、空気取り入れ管の断面積を汚水流入管の断面積よりも大きくできる。
更に、汚水吸込管へ吸い込まれる汚水の流速を減速させる縮径部又は拡径部を汚水流入管に設けることもできる。また、汚水吸込管へ吸い込まれる汚水の流速を減速させる縮径部と拡径部の両方を汚水流入管に設けることもできる。
この構成によれば、真空弁が開く際に、流入管の汚水槽内への開口端を駆動手段により動作する流入弁で閉成したり、空気取り入れ管の口径変更又は吸込管の構造変更により、汚水槽内の汚水を真空下水管の真空圧で搬送する際、汚水槽の負圧が流入管を介して建物の汚水トラップに作用するのを未然に防止して、建物の汚水トラップの破封を確実に防止できる。
また、空気取り入れ管の径(口径)を汚水流入管の径(口径)よりも大きくするか、空気取り入れ管の断面積を汚水流入管の断面積よりも大きくした場合には、汚水流入管に汚水を吸い込む際に汚水槽内に負圧が生じても、この負圧が大きくなるようなことはないので、この負圧で建物の配管途中の汚水トラップが破封されるのを防止できる。
更に、汚水吸込管へ吸い込まれる汚水の流速を減速させる縮径部又は拡径部を汚水流入管に設けた場合や、汚水吸込管へ吸い込まれる汚水の流速を減速させる縮径部と拡径部の両方を汚水流入管に設けた場合にも、汚水流入管に汚水を吸い込む際に汚水槽内に負圧が生じても、この負圧が大きくなるようなことはないので、この負圧で建物の配管途中の汚水トラップが破封されるのを防止できる。
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は真空式下水道システムの真空弁ユニットを示す模式図、図4は真空弁を示す模式図、図5は真空弁のコントローラ部を示す断面図である。
図1において、10は真空式下水道システムの真空弁ユニットで、この真空弁ユニット10は密閉された汚水槽1を有している。この汚水槽1は、下ケース1a,中ケース1b,上ケース1cから形成されている。そして、下ケース1aの下部内には汚水ます11が設けられている。この汚水ます11内は汚水貯留部となっている。
また、各住宅の家庭等から排出される汚水は、自然流下式の汚水流入管12から汚水ます11に流れ込むようになっている。即ち、汚水ます11の上方には下ケース1aを貫通する汚水流入管12の端部12aが配設されていて、この端部12aの開口端12bから汚水が汚水ます11内に流れ込むようになっている。
汚水流入管12の開口端12bは下方を向くように斜めに傾斜させられている。しかも、この開口端12bは、上端が回動軸2aで回動可能に端部12aの上端に取り付けられた流入弁(バタフライ弁)2により開閉可能に設けられている。また、下ケース1aの上端部には空気取り入れ管1dが取り付けられている。
<弁駆動装置>
また、流入弁2に対向する位置には、弁駆動手段たる弁駆動装置3が配設されている。この弁駆動装置3は、図示しないブラケット等により下ケース1aに固定されている。
この弁駆動装置3は、図2,図3に示したように、ケース4a,4bからなる密閉ケース4と、ケース4a,4bの合わせ部に周縁部が保持されたダイヤフラム5と、ダイヤフラム5に底部が固定されたカップ状のピストン6と、ピストン6に一体に設けられたロッド7と、ピストン6とケース4bの端壁4b1との間に介装されたスプリング8を有する。
そして、ロッド7はケース4bの端壁4b1を摺動自在に貫通しており、このロッド7の外端部は流入弁2にヒンジ結合されている。9はダイヤフラム5とケース4bとの間に形成された負圧室である。
また、汚水ます11内には上下に延びる吸込管(汚水吸込管)13の下端部が配設され、中ケース1bには真空源(図示せず)に連通する真空下水管14が固定されている。この真空下水管14の端部14aは、中ケース1bを貫通して汚水槽1内に配設されている。この真空下水管14の端部には吸込管13の上端部が真空弁15を介して接続されている。
そして、汚水が汚水ます11に一定量(所定量)溜まると真空弁15が開き、汚水ます11内の汚水が吸込管13から吸込まれる。そして、この汚水は真空弁15を通って真空下水管14に吸込まれ、真空ポンプ場の集水タンクに集められ、その後圧送ポンプによって下水処理場等に送られるようになっている。以下に、真空弁15の構成を説明する。
<真空弁15>
この真空弁15は、図1、図4に示す如く、真空弁本体15aを有する。この真空弁本体15aは第1,第2のハウジング21,22を備え、第1,第2のハウジング21,22はバンドクランプ23によって一体化されている。また、真空弁15は、弁体24と、弁作動室25と、バネ26と、コントローラ部27を有している。尚、弁体24は上述の吸込管13と真空下水管14との連絡部(弁通路)を構成する連絡通路28,28′間を開閉するようになっている。この連絡通路28,28′はパイプ部28a,28a′内に形成されている。この連絡通路28には真空下水管14が接続され、連絡通路28′には吸込管13が接続される。
また、弁作動室25は隔壁部材49により連絡通路28,28′から区画されている。この隔壁部材49には弁棒29が摺動自在に保持されていて、この弁棒29の一端部に弁体24が固定され、弁棒29の他端部にカップ状のプランジャ30が固定されている。このプランジャ30は弁作動室25内にスライド可能に収容されている。
この弁作動室25は、プランジャ30により上室(上弁作動室)25aと下室(下作動室)25bに区画されている。そして、上室25aには、弁駆動装置3の負圧室9がホース9aを介して接続されている。
また、バネ26は、弁作動室25のプランジャ30より上側の上室(上弁作動室)25aに内蔵されて、プランジャ30にバネ力を作用させている。このバネ力によりプランジャ30,弁棒29及び弁体24は、連絡通路28,28′間の弁座Bに向けて付勢されていて、弁体24を弁座Bに当接させられている。尚、弁作動室25のプランジャ30より下方の下室(下作動室)25bには、大気連通管(ブリーザ管)43がホース46を介して接続されていて、大気圧になっている。
コントローラ部27は、汚水ます(タンク)11内の汚水レベルの上昇時に弁作動室25の上室に真空圧を付与し、上下室の差圧(下室は大気圧)によってプランジャ30を引上げることによって弁体24に開力を付与し、真空弁15を開状態として吸込管13に真空下水管14を導通せしめる。
コントローラ部27は以下の如く構成されている。コントローラ部27は、図5に示す如く、通しボルトで一体化した第1〜第5のシリンダ状のケース51〜55を有する。
また、コントローラ部27は図5(A)に示したように液位検知管接続口(ホース接続部材)56を有している。この液位検知管接続口56には、図1の液位検知管37がホース38を介して接続されている。この液位検知管37は、図1に示したように下端が汚水ます11内に配設されている。
更に、図5(A)に示したように、液位検知管接続口56は第1ケース51に制振防止ダイヤフラム59を介して接続されている。また、制振防止ダイヤフラム59には微小な貫通孔(図示せず)が設けられていて、この貫通孔は液位検知管接続口56からの圧力をダイヤフラム59の下方の空間に作用させるようになっている。この空間は、後述する液位検知ダイヤフラム上部室81に孔101aを介して連通している。尚、液位検知ダイヤフラム上部室81は液位検知ダイヤフラム60の上部に形成されている。また、孔101aの上端部の周囲には弁座101が設けられている。
また、制振防止ダイヤフラム59の外周部は固定されておらず、下側からの空気は制振防止ダイヤフラム59の周囲も通り抜けるようになっている。この制振防止ダイヤフラム59は、下方の弁座101に臨んでいて、下方に変位させられたときに、弁座101の孔101aを閉成するようになっている。尚、ダイヤフラム59の微小な貫通孔は、孔101a及び弁座101に対向していない部分に設けられている。
また、第3ケース53には、真空圧接続口57及び大気圧接続口58が設けられている。この真空圧接続口57はホース41を介して真空下水管14に接続され、大気圧接続口58はホース44を介して大気連通管43に接続されている。
第1ケース51と第2ケース52との間には液位検知ダイヤフラム60の周縁部が気密に保持されている。また、第1ケース51の上部にはプッシュボタンPBが設けられている。このプッシュボタンPBは、液位検知ダイヤフラム60を手動で変位操作するプランジャ61、プランジャ61を上方にバネ付勢しているバネ63、及びこれらの弾性体カバー62を備えている。
また、第2ケース52には液位検知ダイヤフラム60の下にプランジャ65が保持されている。このプランジャ65は、戻しバネ66で上方に付勢されていて、液位検知ダイヤフラム60の下方への変位により押し下げられたとき、第3ケース53に設置した検知弁68に届くよう設けられている。
更に、第2ケース52と第3ケース53との間には圧力制御室としての上部部屋83が形成され、この上部部屋83内にプランジャ65が突出している。しかも、検知弁68は、上部部屋83内に配設されている。また、プランジャ65の上部部屋83への挿通部の周囲には、上部部屋83に空気の漏洩を生じないようにするOリング67等の軸シールが設けられている。
また、第3ケース53は真空圧接続口57に連通する通路57Aを備え、検知弁68は作動時に通路57Aの上部部屋83への開口(真空口)を開閉可能とする。即ち、この検知弁68は、プランジャ65により作動させられると、通路57Aの上部部屋83への開口を開いて、上部部屋83内に真空力を導入可能とする。
更に、第4ケース54と第5ケース55には弁座72、73が設けられ、第4ケース54の上部部屋85は大気に通路92を通じて連通しており、第5ケース55の下部部屋87は真空下水管14に通路91を通じて連通している。また、第4ケース54の下部と第5ケース55の上部で作られる部屋86は真空弁15の弁作動室25に通路96を通じて連通している。
また、両者の弁座72、73の間には弁体71が設けられている。この弁体71は、上下スライドすることにより大気と真空のいずれかを部屋86に導く3方弁としての役割を果たしている。尚、弁体71は第3ケース53と第4ケース54との間に設けた3方弁ダイヤフラム70に連結されている。この3方弁ダイヤフラム70の上部には圧縮バネ69が設けられ、この圧縮バネ69は弁体71を第5ケース55の弁座73に押付けている。また、第3ケース53には隔壁が設けられているが、この隔壁の一部に連通口88がある。この連通口88は、検知弁68が作動して開になったとき、上部部屋83に付与される真空圧を下部部屋84に導くようになっている。
また、図5(A)に示したように第3ケース53の上部部屋83(圧力制御室)の内外を連通する通路93には真空力解除弁としてのダイヤフラム付きニードル弁74が設けられていて、このニードル弁74を通って大気が上部部屋83に徐々に入ってくるようになっている。
更に、ニードル弁74には図5(A),(B)に示したようにダイヤフラム102が取付けられており、又、このニードル弁74はばね103により通路93を閉成する方向にバネ付勢されている。しかも、ダイヤフラム102は、ばね103の押し圧力と通路95から連通している真空下水管14の真空圧の強さによって平衡を保ち、適切な位置にニードル弁74が変位するようになっている。即ち、真空下水管14の真空度が高い場合にはニードル弁74は大きく開き、真空度が低い場合にはニードル弁74が小さく開くようになっている。
[作用]
次に、このような構成の真空弁ユニットの作用を説明する。
汚水ます11内の汚水が所定量以下の場合には、流入弁2が図1,図2のように汚水流入管12の開口端12bを開いている。この状態では各家庭等から排出される汚水は、自然流下式の汚水流入管12から汚水ます11に流れ込むようになっている。
この汚水の流入により汚水ます11内の汚水の液位が上昇すると、液位検知管37内の空気の圧力が上昇する。この圧力は、ホース38、制振防止ダイヤフラム59の微小孔を通じて、液位検知ダイヤフラム上部室81内に作用し、液位検知ダイヤフラム上部室81内の空気圧力が上昇する。一方、液位検知ダイヤフラム下部室82が大気に連通している。このため、液位検知ダイヤフラム上部室81と液位検知ダイヤフラム下部室82との間に圧力差が生じ、この圧力差により液位検知ダイヤフラム60が下方に変位させられる。
また、この変位に伴い、図6に示したように液位検知ダイヤフラム60の下部に設けたプランジャ65が、液位検知ダイヤフラム60により押されて下方に変位して、第3ケース53の上部部屋83に設けた検知弁68を下方に押し下げる。
このプランジャ65がある所定量下がる(汚水の液位があるレベル上昇する)と、図6に示したように検知弁68が反転し、通路57Aの真空口が開かれる。
検知弁68の開作動により上部部屋83、下部部屋84が真空になり、3方弁ダイヤフラム70の下方室85が大気に連通していることから圧力差を生じたダイヤフラム70が上方に引上げられ、これに伴って弁体71も上昇して第5ケース55の弁座73から第4ケース54の弁座72に移動し、真空弁本体15aの作動室25の上室25aに通じる部屋86を真空状態にさせる。
この作動室25を上室25aと下室25bに区画するプランジャ30には弁体24を有する弁棒29が取り付けられているので、部屋86からの真空が上室25aに作用すると、作動室25の上下室25a,25bの差圧(下室は大気圧)によりプランジャ30が引き上げられる。これに伴い、弁体24と弁棒29がプランジャ30により一体に引き上げられて、弁体24が弁座Bから離反する。これにより、真空弁15が開状態となり、真空下水管内14に作用している真空圧が真空弁15の連絡通路28,28′を介して吸込管13に作用する。この負圧により汚水ます11内の汚水は、吸込管13を介して吸い上げられた後、真空弁15の連絡通路28,28′を介して真空下水管内14に導かれる。
この汚水の吸い上げに伴い、汚水ます11内の汚水の液面は急速に降下し、汚水槽1内の圧力が大気圧より低くなるので、空気取り入れ管1dから大気が汚水槽1内に流入する。これにより、汚水の吸い上げがスムーズに行われる。
一方、作動室25に作用する真空圧がホース9aを介して図2の弁駆動装置3の負圧室9に作用し、この負圧が弁駆動装置3のピストン6を図3のようにスプリング8のバネ力に抗して流入弁2側に変移させる。この変位により、ロッド7が流入弁2側に移動して、流入弁2を汚水流入管12の開口端12b側に回動させ、流入弁2で開口端12bを閉じさせる。
これにより、汚水ます11内の汚水が吸込管13に吸い込まれて、汚水の水位が低下することで、汚水槽1内の圧力が大気圧より低下して負圧になっても、この負圧が汚水流入管12を介して各家庭の汚水トラップに作用するのを防止して、汚水トラップの破封を未然に防止する。
また、タンク内の汚水が排出されると、液位が低下し、液位検知ダイヤフラム60の加圧が低下し、プランジャ65に設けたバネ66により押し戻され、制振防止ダイヤフラム59の外周端部より空気が直ちに抜ける。
そして、図7に示したように反転していた検知弁68が戻って通路57Aの真空口を閉じ、上部部屋83、84に真空が導入されなくなる。
これに伴い、ニードル弁74は、真空下水管14の真空圧の度合に応じて適切な開度を保ちながら、大気連通管43,ホース44,通路94、検知ダイヤフラム60の下部の部屋82及び通路93等を介して、大気を第3ケース53の上部部屋83内に導入する。この結果、上部部屋83、84に真空が導入されなくなると、第3ケース53の上部部屋83内の圧力は多少時間遅れが生じて大気状態になる。これにより、3方弁ダイヤフラム70の両側の圧力差がなくなって、3方弁ダイヤフラム70は圧縮バネ69に押されて元の状態に戻る。この際、弁体71は、3方弁ダイヤフラム70と一体に移動して元の第5ケース55の弁座73を閉じ、真空弁本体の作動室25に通じる部屋を大気状態にさせる。
このとき、通路92を通じ大気を取り込むが、通路93を通じ液位検知ダイヤフラム60の下部の部屋が減圧状態になり、液位検知ダイヤフラム60を下方に引きつけようとするが、ダイヤフラム59が弁座101に引きつけられ、弁座101の孔を塞ぎ液位検知ダイヤフラム60の上部部屋81を密封するため、液位検知ダイヤフラム60は下方に変位しないため、この下方にあるプランジャ65を押し下げ、再び検知弁68を作動させることがなくなる。
真空弁15の作動室25の上室25aにはコントローラ部27の大気圧接続口58,大気連通管43を介して大気が流入する。これにより、作動室25の上下室25a,25bの差圧がなくなり真空弁15が閉じられることになる。
これに伴い、上室25aの大気圧がホース9aを介して弁駆動装置(弁駆動手段)3の負圧室9に作用し、弁駆動装置(弁駆動手段)3のピストン6がスプリング8のバネ力により流入弁2とは反対側に変移させられる。この変位により、ロッド7が流入弁2とは反対側に移動して、流入弁2を汚水流入管12の開口端12bとは反対側に回動させ、開口端12bを汚水槽1内に開口させる。これにより、汚水流入管12の開口端12bから汚水が汚水ます11内に流れ込むことが可能な状態となる。
(変形例1)
以上説明した実施例では、汚水ます11内の汚水を真空下水管14に排出する際、作動室25を構成する上室25aから弁駆動装置3の負圧室9に真空圧を作用させるようにしたが、必ずしもこれに限定されるものではない。
例えば、図8に示すように、真空弁15が開いて、真空弁15のパイプ部28a′(図4の連絡通路28′)に真空下水管14の真空圧が作用したとき、この真空圧をホース9aにより弁駆動装置3の負圧室9に作用させて、流入弁2により汚水流入管12の開口端12bを閉じるようにしても良い。
(変形例2)
また、図9に示したように、汚水槽1内において、汚水流入管12の端部12aを下方に向かう段差管部12a1と汚水流入管端部12a方向に向かう水平部12a2からL字状に形成した構成としても良い。
この構成によれば、真空弁15の閉弁に伴って、弁駆動装置3により流入弁2が汚水流入管12の開口端12bを開いたときに、吸込管13内の汚水が汚水ます11内に戻されて、汚水槽1内の圧力が上昇しても、汚水流入管12の端部12aまで流下した汚水が、汚水流入管12内で逆流するようなことを防止できる。
(変形例3)
また、図10に示したように空気取り入れ管1dは、中ケース1bを貫通する横引き管1d1と、横引き管1d1に連設された立ち上がり管1d2を有する。そして、空気取り入れ管(空気吸込管)1dの径Dを汚水流入管12の径dよりも大きく形成することにより、空気取り入れ管1dの断面積を汚水流入管12の断面積よりも大きく形成している。
これにより、真空圧により汚水ます11内の汚水を吸込管13内に吸い込む際、汚水槽1内に負圧が生じても、この負圧により空気取り入れ管1dから汚水槽1内に短時間で流入する大気の量が増えるので、汚水槽1内の負圧が大きくなるようなことはない。また、仮に流入弁2がない場合でも、真空圧により汚水ます11内の汚水を吸込管13内に吸い込む際、汚水槽1内に生じる負圧で建物の配管途中の汚水トラップが破封されるようなことを防止できる。
(変形例4)
更に、図11に示したように空気取り入れ管1dの横引き管1d1の径を汚水流入管12の径よりも大きくした構成でも、同様な効果を期待できる。
(変形例5)
また、図12に示したように空気取り入れ管1dの横引き管1d1を複数設けて、複数の横引き管1d1を立ち上がり管1d2に合流させることにより、空気取り入れ管(空気吸込管)1dの汚水槽1への接続部側の断面積は汚水流入管12の断面積よりも大きく形成している。
この場合も、真空圧により汚水ます11内の汚水を吸込管13内に吸い込む際、汚水槽1内に負圧が生じても、この負圧により複数の空気取り入れ管1dから汚水槽1内に短時間で流入する大気の量が増えるので、汚水槽1内の負圧が大きくなるようなことはない。これにより、仮に流入弁2がない場合でも、真空圧により汚水ます11内の汚水を吸込管13内に吸い込む際、汚水槽1内に生じる負圧で建物の便器からの配管途中の汚水トラップが破封されるようなことを防止できる。
(その他)
また、図13は、後述する変形例6〜8を説明するために、上述した真空弁ユニット10と各家庭内に設けられるトイレのトラップ200との関係を概略的に示したものである。この図13では上述した真空弁ユニット10の構成の一部の図示を省略しているが、基本的には従来の構成の真空弁ユニット10が用いられる。
この図13において、真空弁ユニット10の汚水槽1には汚水流入管12が接続され、この汚水流入管12の途中には各家庭内に設けられるトイレのトラップ200が接続されている。尚、汚水流入管12は、汚水槽1内に各家庭内に設けられるトイレからトラップ200を介して排水される汚水を汚水槽1に向けて自然流下するように配管されている。この汚水槽1の上部には空気取り入れ管1dが接続されている。また、真空弁ユニット10は、真空下水管14に真空弁15を介して接続された吸込管13を有する。この吸込管13は汚水槽1の下端部内に配設されている。この図13に示した吸込管13は口径が一様なものを図示している。
(変形例6)
この変形例6では、図13の口径が一様な吸込管13に代えて図14に示した吸込管13が用いられる。この図14の吸込管13の下端部にはテーパ部13aを介して縮径部13bが設けられている。
この縮径部13bは、汚水槽1内に発生する負圧が流入管12を介してトラップ200に作用したときに、吸込管13に吸い込まれる流体(汚水や空気を含む)の量をトラップ200が破封しない程度の流量,流速にする口径に形成されている。即ち、縮径部13aは、真空下水管14の真空圧で汚水槽1内の汚水が吸込管13へ吸い込まれる際、吸込管13へ吸い込まれる汚水の流速を減速させて汚水槽1内の負圧をトラップ200を破封しない値にさせるように設定されている。
このような構成において、各家庭内に設けられるトイレからの汚水がトラップ200及び流入管12を介して汚水槽1内に自然流下により流入して、汚水槽1内の下部に一定量の汚水が貯留されると、真空弁15が開弁する。
これにより、真空下水管14の真空圧(負圧)が真空弁15を介して吸込管13に作用し、この真空圧により汚水槽1内の汚水が吸込管13に吸い込まれる。この汚水の吸込管13への吸込に伴い、汚水槽1内の汚水の量が減少して、汚水槽1内に負圧が発生し、この負圧により空気取り入れ管1dから外気(空気)が汚水槽1内に吸い込まれる。
この際、汚水は縮径部13bを介して吸い込まれるため、吸込管13に吸い込まれる汚水の流体抵抗は縮径部13bにおいて大きくなる。この結果、吸込管13に吸い込まれる汚水の流量は縮径部13bが無い場合に比べて少なくなると共に、吸込管13に吸い込まれる汚水の流速は縮径部13bが無い場合に比べて減速させられ、汚水槽1内に発生する負圧が急激に大きくなることはない。即ち、縮径部13bは、吸込管13へ吸い込まれる汚水の流速を減速させて汚水槽1内の負圧をトラップ200を破封しない値にさせる。
これにより、空気取り入れ管1dから汚水槽1内に吸い込まれる外気(空気)が吸込管13に吸い込まれる汚水の流量(流速)に追従して、汚水槽1内の負圧が大きくならないので、この汚水槽1内の負圧が流入管12を介して各家庭内に設けられるトイレのトラップ200に殆ど作用することがない。
この結果、汚水槽1内の汚水が吸込管13へ吸い込まれる際、汚水槽1内に発生する負圧により、各家庭内に設けられるトイレのトラップ200が破封されるのを防止できる。
尚、汚水槽1に接続されている空気取り入れ管1dには、通常φ100mm程度の口径のものが用いられている。また、吸込管13にはφ75mmの口径のものが用いられている。このような寸法において、縮径部13bは例えばφ50mmの口径に形成する。これらの寸法(数値)は一例を示したものであって、必ずしもこれに限定されるものではない。
(変形例7)
図13に示した口径が一様な吸込管13に代えて、図15に示したような吸込管13を用いることもできる。この図15の吸込管13は、下部側の拡径部13cと上部(真空弁側)の縮径部13dを有する。この拡径部13cの長さを縮径部13dの長さよりも十分長くしている。本例では、拡径部13cの長さは吸込管13の大半を占めている。
この構成では、図13の真空下水管14の真空圧(負圧)が真空弁15を介して吸込管13に作用すると、この真空圧により汚水槽1内の汚水が吸込管13に吸い込まれる。
この際、図13の真空下水管14の真空圧(負圧)は縮径部13dを介して拡径部13cに作用するため、拡径部13c内の負圧が縮径部13d側より小さくなり、吸込管13に吸い込まれる汚水の流量が拡径部13cが無い場合に比べて少なくなると共に、吸込管13に吸い込まれる汚水の流速が拡径部13cが無い場合に比べて減速させられる。即ち、拡径部13cは、図13の真空下水管14の真空圧で汚水槽1内の汚水が吸込管13へ吸い込まれる際、吸込管13へ吸い込まれる汚水の流速を減速させて汚水槽1内の負圧をトラップ200を破封しない値にさせるように設定されている。
これにより、汚水槽1内の汚水が吸込管13へ吸い込まれる際、空気取り入れ管(図示せず)から汚水槽1内に吸い込まれる外気(空気)が吸込管13に吸い込まれる汚水の流量(流速)に追従して、汚水槽1内の負圧が大きくならないので、この汚水槽1内の負圧が流入管(図示せず)を介して各家庭内に設けられるトイレのトラップ200に殆ど作用することがない。
この結果、汚水槽1内の汚水が吸込管13へ吸い込まれる際、汚水槽1内に発生する負圧により、各家庭内に設けられるトイレのトラップ200が破封されるのを防止できる。
尚、例えば、縮径部13dが通常のφ75mmの口径の場合、拡径部13cをφ100mm程度の口径とする。
(変形例8)
更に、図13に示した口径が一様な吸込管13に代えて、図16に示したような吸込管13を用いることもできる。この図16は、上述した変形例6,7を組み合わせた例を示したものである。この図16にいおいては、吸込管13の途中に拡径部13eを設けることにより、吸込管13における拡径部13eの上下の部分を縮径部13f,13gとしたもので、この縮径部13f,13gの口径は同じに設定されている。この変形例8で変形例6,7を組み合わせた作用を有する。
即ち、この変形例8では、図13の真空下水管14の真空圧(負圧)により汚水槽1内の汚水が吸込管13へ吸い込まれる際、真空下水管14の真空圧は縮径部13fを介して拡径部13eに作用するため、拡径部13e内の負圧が縮径部13f側より小さくなり、吸込管13に吸い込まれる汚水の流量が拡径部13eが無い場合に比べて少なくなると共に、吸込管13に吸い込まれる汚水の流速が拡径部13eが無い場合に比べて減速させられ、汚水槽1内に発生する負圧が急激に大きくなることはない。
また、汚水は縮径部13gを介して吸い込まれるため、吸込管13に吸い込まれる汚水の流体抵抗は縮径部13gにおいて大きくなる。この結果、吸込管13に吸い込まれる汚水の流量は縮径部13gが無い場合に比べて少なくなると共に、吸込管13に吸い込まれる汚水の流速は縮径部13gが無い場合に比べて減速させられ、汚水槽1内に発生する負圧が急激に大きくなることはない。
しかも、拡径部13eおよび縮径部13gは、図13の真空下水管14の真空圧で汚水槽1内の汚水が吸込管13へ吸い込まれる際、吸込管13へ吸い込まれる汚水の流量を減少させると共に流速を減速させて、汚水槽1内の負圧をトラップ200を破封しない値にさせるように設定されている。
このように拡径部13eと縮径部13gの2箇所の作用により、真空下水管14の真空圧で汚水槽1内の汚水が吸込管13へ吸い込まれる際、汚水槽1内の負圧をトラップ200を破封しない値にさせるように設定されているので、トラップ200の破封防止確実に行うことができる。
尚、変形例6,8についてのトラップ破封対策実験例を以下に示す。
<実験例>
Figure 2008267124
この発明に係る真空弁ユニットの断面図である。 図1の弁駆動装置の作用説明図である。 図1の弁駆動装置の作用説明図である。 図1の真空弁の概略断面図である。 (A)は図4のコントローラ部の断面図、(B)は(A)の部分拡大図である。 図5(A)に示した検知弁の拡大作用説明図である。 図5(A)に示した検知弁の拡大作用説明図である。 この発明に係る真空弁ユニットの他の例を示す断面図である。 この発明に係る真空弁ユニットの更に他の例を示す断面図である。 真空弁ユニットの変形例を示す断面図である。 真空弁ユニットの他の変形例を示す断面図である。 真空弁ユニットの更に他の変形例を示す断面図である。 真空弁ユニットと家庭のトイレのトラップとの配管例を示した説明図である。 図13の吸込管(汚水吸込管)の変形例を示す断面図である。 図13の吸込管(汚水吸込管)他のの変形例を示す断面図である。 図13の吸込管(汚水吸込管)更に他の変形例を示す断面図である。
符号の説明
1・・・汚水槽
1d・・・空気取り入れ管
2・・・流入弁(バタフライ弁)
3・・・弁駆動装置(弁駆動手段)
7・・・ロッド
11・・・汚水ます
12・・・汚水流入管
12b・・・開口端
13・・・吸込管(汚水吸込パイプ、汚水吸込管)
13b・・・縮径部
13c,13e・・・拡径部
13g・・・縮径部
14・・・真空下水管
15・・・真空弁
28,28′・・・連絡通路(弁通路)
60・・・ダイヤフラム(検出手段)
68・・・検知弁

Claims (5)

  1. 建物から排出される汚水を自然流下させる流入管が下部に接続され且つ上部に真空下水管の端部が配設された汚水槽と、前記汚水槽の下部の汚水貯留部に下端部が配設された汚水吸込管と、前記汚水槽に接続された空気取り入れ管と、前記汚水吸込管の上端部と前記真空下水管とを接続する真空弁と、前記汚水貯留部内の汚水が所定量以上になったのを検出する汚水検出手段と、前記汚水が所定量以上になったのを前記検出手段が検出したとき前記真空弁を開弁させる弁駆動手段を備える真空式下水道システムの真空弁ユニットにおいて、
    前記流入管の開口端を開閉する流入弁が設けられていると共に、前記真空弁が閉弁したとき前記流入弁で前記開口端を開かせ、且つ前記真空弁が開弁したとき前記開口端を前記流入弁により閉成させる弁駆動手段が設けられていることを特徴とする真空式下水道システムの真空弁ユニット。
  2. 請求項1に記載の真空式下水道システムの真空弁ユニットにおいて、前記真空弁は弁通路の途中に配設された弁体及び前記弁体を駆動して前記弁通路の途中を開閉させる作動室を備えると共に、前記作動室に作用する圧力で動作するアクチュエータが前記弁駆動手段として設けられていることを特徴とする真空式下水道システムの真空弁ユニット。
  3. 請求項1又は2に記載の真空式下水道システムの真空弁ユニットにおいて、前記開口端は斜め下方に向けて傾斜させられていることを特徴とする真空式下水道システムの真空弁ユニット。
  4. 請求項1〜3のいずれか一つに記載の真空式下水道システムの真空弁ユニットにおいて、前記流入管の端部はL字状の段差を有することを特徴とする真空式下水道システムの真空弁ユニット。
  5. 建物から排出される汚水を自然流下させる流入管が下部に接続され且つ上部に真空下水管の端部が配設された汚水槽と、前記汚水槽の下部の汚水貯留部に下端部が配設された汚水吸込管と、前記汚水槽に接続された空気取り入れ管と、前記汚水吸込管の上端部と前記真空下水管とを接続する真空弁と、前記汚水貯留部内の汚水が所定量以上になったのを検出する汚水検出手段と、前記汚水が所定量以上になったのを前記検出手段が検出したとき前記真空弁を開弁させる弁駆動手段を備える真空式下水道システムの真空弁ユニットにおいて、
    前記真空弁の開弁時に前記真空下水管の真空圧が前記汚水吸込管に作用したとき、該真空圧により前記汚水槽内の汚水が前記汚水吸込管に吸い込まれると共に、該汚水の前記汚水吸込管への吸い込みに伴い前記汚水槽内に負圧が発生して、該負圧により空気が前記空気取り入れ管から前記汚水槽内に流入する際、
    前記汚水吸込管へ吸い込まれる汚水の流速を減速させる縮径部及び/又は拡径部を前記汚水吸込管に設けたことを特徴とする真空式下水道システムの真空弁ユニット。
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