JP2008266754A - 耐酸化性及び耐食性に優れたNi3(Si,Ti)系金属間化合物,当該金属間化合物圧延箔,および当該金属間化合物圧延箔の製造方法 - Google Patents

耐酸化性及び耐食性に優れたNi3(Si,Ti)系金属間化合物,当該金属間化合物圧延箔,および当該金属間化合物圧延箔の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2008266754A
JP2008266754A JP2007114384A JP2007114384A JP2008266754A JP 2008266754 A JP2008266754 A JP 2008266754A JP 2007114384 A JP2007114384 A JP 2007114384A JP 2007114384 A JP2007114384 A JP 2007114384A JP 2008266754 A JP2008266754 A JP 2008266754A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
intermetallic compound
atomic
sample
foil
rolling
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2007114384A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4973301B2 (ja
Inventor
Takayuki Takasugi
隆幸 高杉
Yasuyuki Konno
泰幸 金野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Osaka University NUC
Osaka Prefecture University PUC
Original Assignee
Osaka University NUC
Osaka Prefecture University PUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Osaka University NUC, Osaka Prefecture University PUC filed Critical Osaka University NUC
Priority to JP2007114384A priority Critical patent/JP4973301B2/ja
Publication of JP2008266754A publication Critical patent/JP2008266754A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4973301B2 publication Critical patent/JP4973301B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Metal Rolling (AREA)

Abstract

【課題】耐酸化性及び耐食性が向上したNi3(Si,Ti)系金属間化合物を提供する。
【解決手段】本発明によれば,Si:7.5〜12.5原子%,Ti:3.5〜8.5原子%,Nb:0.5〜3原子%,Cr:0.5〜3原子%,残部はNiからなる組成の合計重量に対してB:25〜500重量ppmを含むNi3(Si,Ti)系金属間化合物が提供される。
【選択図】図1

Description

本発明は,耐酸化性及び耐食性に優れ、Ni3(Si,Ti)を基本組成とする金属間化合物(以下,「Ni3(Si,Ti)系金属間化合物」と呼ぶ。),当該金属間化合物圧延箔,および当該金属間化合物圧延箔の製造方法に関する。
Ni3(Si,Ti)系金属間化合物は,強度の逆温度依存性を示すことから,高温構造材料としての使用が期待されている。また,Ni3(Si,Ti)系金属間化合物を加工して箔にすることによって,例えば自動車排ガス浄化装置の触媒担体や航空機用構造材料への応用が期待される。
特許文献1では,Ni3(Si,Ti)系金属間化合物から作製した箔の機械的特性についての研究が行われ,この箔が従来のニッケル合金やチタン合金を超える機械的強度を有していることが確認された。
特開2007−84903号公報
しかし,特許文献1ではNi3(Si,Ti)系金属間化合物箔の耐酸化性や耐食性については十分に検討がなされていない。
本発明者らは,特許文献1に記載のNi3(Si,Ti)系金属間化合物箔の耐酸化性や耐食性について研究を行い,この箔の耐酸化性や耐食性をさらに向上させることが望ましいと考えた。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり,優れた耐酸化性及び耐食性を有するNi3(Si,Ti)系金属間化合物を提供するものである。
課題を解決するための手段及び発明の効果
本発明によれば,Si:7.5〜12.5原子%,Ti:3.5〜8.5原子%,Nb:0.5〜3原子%,Cr:0.5〜3原子%,残部はNiからなる組成の合計重量に対してB:25〜500重量ppmを含むNi3(Si,Ti)系金属間化合物が提供される。
本発明者らは,鋭意研究を行った結果,Ni3(Si,Ti)系金属間化合物(以下,「金属間化合物」とも呼ぶ。)において,0.5〜3原子%のNb及び0.5〜3原子%のCrを含有させることによって耐酸化性,耐食性及び機械的特性が優れた金属間化合物が得られることを見出し,本発明の完成に到った。本発明の金属間化合物は,自動車排ガス浄化装置の触媒担体等の優れた耐酸化性,耐食性及び機械的特性が要求される用途に好適に用いることができる。
また,本発明の金属間化合物は,箔に加工することが容易である。本発明の金属間化合物からなる圧延箔は,例えば,他の構造部材の表面に貼り付けて,その構造部材の表面を保護するのに用いることができ,また,ハニカム構造部材等を作製するのに用いることができる。
なお,本明細書において,「〜」は,端の点を含む。
1.Ni3(Si,Ti)系金属間化合物
本発明の一実施形態のNi3(Si,Ti)系金属間化合物は,Si:7.5〜12.5原子%,Ti:3.5〜8.5原子%,Nb:0.5〜3原子%,Cr:0.5〜3原子%,残部はNiからなる組成の合計重量に対してB:25〜500重量ppmを含む。
以下,各元素について詳述する。
Siの含有量は,7.5〜12.5原子%であり,例えば,10.0〜12.0原子%である。Siの具体的な含有量は,例えば,7.5,8.0,8.5,9.0,9.5,10.0,10.5,11.0,11.5,12.0又は12.5原子%である。Siの含有量の範囲は,ここで例示した数値の何れか2つの間であってもよい。
Tiの含有量は,3.5〜8.5原子%であり,例えば,4.5〜6.5原子%である。Tiの具体的な含有量は,例えば,3.5,4.0,4.5,5.0,5.5,6.0,6.5,7.0,7.5,8.0又は8.5原子%である。Tiの含有量の範囲は,ここで例示した数値の何れか2つの間であってもよい。
Nbの含有量は,0.5〜3原子%であり,例えば,1.5〜2.5原子%である。Nbの具体的な含有量は,例えば,0.5,1.0,1.5,2.0,2.5又は3.0原子%である。Nbの含有量の範囲は,ここで例示した数値の何れか2つの間であってもよい。
Crの含有量は,0.5〜3原子%であり,例えば,1.5〜2.5原子%である。Crの具体的な含有量は,例えば,0.5,1.0,1.5,2.0,2.5又は3.0原子%である。Crの含有量の範囲は,ここで例示した数値の何れか2つの間であってもよい。
Niの含有量は,例えば,78.5〜81.0原子%であり、例えば,78.5〜80.5原子%である。Niの具体的な含有量は,例えば,78.5,79.0,79.5,80.0,80.5又は81.0原子%である。Niの含有量の範囲は,ここで例示した数値の何れか2つの間であってもよい。
上記各元素の含有量は,Si,Ti,Nb,Cr及びNiの含有量の合計が100原子%になるように適宜調整される。
Bの含有量は,25〜500重量ppm,例えば,25〜100重量ppmである。Bの具体的な含有量は,例えば,25,40,50,60,75,100,150,200,300,400又は500重量ppmである。Bの含有量の範囲は,ここで例示した数値の何れか2つの間であってもよい。
本実施形態の金属間化合物の具体的な組成は,例えば,表1〜3に示す組成(又は表1〜3に示す組成のうちの何れか2つの間の範囲の組成)に上記含有量のBを添加したものである。
2.Ni3(Si,Ti)系金属間化合物圧延箔
上記実施形態の組成のNi3(Si,Ti)系金属間化合物は,比較的延性が高く,例えば,上記実施形態の組成の鋳塊に対して均質化熱処理を行った後,圧延及び焼鈍を繰り返し行い,その後,冷間圧延を行うことによって厚さが例えば20〜200μmである金属間化合物圧延箔を製造することができる。
以下,各工程について詳細に説明する。
2−1.鋳塊作製工程
まず,上記実施形態で示した組成の鋳塊からなる試料を作製する。一例では、Ni,Si,Ti,Nb,Crの地金とBを秤量したものをアーク溶解炉で溶解,鋳造した鋳塊からなる試料を作製することができる。
2−2.均質化熱処理
次に,得られた試料に対して均質化熱処理を施す。均質化熱処理の条件は,特に限定されない。均質化熱処理は,例えば,真空中1223K〜1373Kで24〜48時間行うことができる。
2−3.圧延及び焼鈍の繰り返し工程
次に,均質化熱処理の試料に対して圧延及び焼鈍を繰り返し行って試料を薄板に加工する。圧延後の焼鈍によって試料を再結晶化させて圧延による加工硬化を除去するとともに結晶粒を細粒化する工程を繰り返すことによって,比較的容易に薄板に加工することができる。
圧延は,例えば,623K以下,好ましくは523K〜623Kの温度で行うことができる。圧延は,1パスでの圧延率が0.5〜1.5%になるように行うことが好ましく,10〜20パスで行うことが好ましい。圧延は,圧延率が10%以上,好ましくは10〜50%,さらに好ましくは15〜30%になるように行うことが好ましい。なお,本明細書において,「1パスでの」と明示しない場合は,「圧延率」とは,複数パスでの圧延による厚さの総減少量の割合を意味する。
焼鈍の条件は,試料を再結晶化させることができるものであればよい。焼鈍の温度は,例えば,1173K〜1373Kにすることができる。焼鈍の時間は,例えば1〜5時間にすることができる。
圧延及び焼鈍は,所望の厚さ(例えば2mm以下)の薄板が得られるまで繰り返す。具体的には,圧延及び焼鈍は,3回以上,好ましくは4回以上繰り返す。
2−4.冷間圧延工程
次に,得られた試料に対して圧延率90%以上で冷間圧延を行う。この冷間圧延によって金属間化合物圧延箔が得られる。圧延及び焼鈍の繰り返し工程と冷間圧延工程は,得られる箔の厚さが200μm以下,例えば20〜200μm以下になるように実施することが好ましい。
また,一度の冷間圧延によって所望の厚さの箔が得られない場合は,冷間圧延の後に焼鈍を行ってその後再度冷間圧延を行うことによって箔の厚さをさらに薄くすることができる。この際の焼鈍の温度は,例えば1073K〜1273Kにすることができる。焼鈍の時間は,例えば0.5〜2時間にすることができる。
冷間圧延後の箔は,非常に高い引張強度を有しており,そのまま構造材料等として使用可能である。但し,大きな伸びが必要とされる用途に使用する場合には,冷間圧延後の箔に対して973〜1173Kでの焼鈍を行うことが好ましい。焼鈍は,0.5〜2時間程度行うことが好ましい。この焼鈍によって試料が再結晶化され,引張強度は若干低下するものの伸びが大きく向上する。
3.実証実験
次に,本発明の効果を示す実証実験について説明する。以下の実験では,上記実施形態で示した組成の金属間化合物から作製した箔と,特許文献1の記載された組成の金属間化合物から作製した箔の耐酸化性,耐食性及び機械的特性等の評価を行い,本発明の金属間化合物が耐酸化性,耐食性及び機械的特性に優れている点を実証した。
3−1.金属間化合物圧延箔の作製
以下の方法で,金属間化合物圧延箔を作製した。
3−1−1.鋳塊作製工程
まず,表4に示す2種類の組成になるようにNi,Si,Ti,Nb,Crの地金(それぞれ純度99.9重量ppm)とBを秤量したものをアーク溶解炉で溶解,鋳造した厚さ10mmの鋳塊からなる試料を作製した。アーク溶解炉の雰囲気は,まず,溶解室内を真空排気し,その後不活性ガス(アルゴンガス)に置換した。電極は,非消耗タングステン電極を用い,鋳型には水冷式銅ハースを使用した。
Nb及びCrを含む試料が本発明の実施例であり,以下,「実施例試料」と呼ぶ。Nb及びCrを含まない試料は,特許文献1に記載されている試料であり,以下,「比較例試料」と呼ぶ。
3−1−2.均質化熱処理工程
次に,鋳造偏析を解消し,上記試料を均質化するために,1323Kで48時間保持の真空熱処理(炉冷)を行った。
3−1−3.温間圧延及び焼鈍工程
次に,上記工程で得られた試料に対して,温間圧延と焼鈍を5度繰り返すことにより厚さ2mmの薄板を作製した。
温間圧延では,試料を大気中で573Kに加熱し,2段圧延機を用いて,1パスの圧下量を約0.1mmとして,10〜20パスの圧延を行った。試料は,1パス毎に加熱した。焼鈍は,真空中で1273K,5時間(炉冷)の条件で行った。
3−1−4.冷間圧延工程
次に,上記工程で得られた薄板に対して,室温で冷間圧延を行い,箔を作製した。冷間圧延は,途中で焼鈍を行わずに圧延率が90%となるように行った。冷間圧延は,加工が進むにつれて,大径2段圧延機→小径2段圧延機→小径4段圧延機の順に圧延機を変えて行った。作製された箔の厚さは,0.2mmであった。冷間圧延によって得られ且つ冷間圧延後に焼鈍を行っていない箔を,以下「冷間圧延箔」と呼ぶ。
3−2.評価
3−2−1.耐酸化性試験
冷間圧延箔について,耐酸化性試験を行った。耐酸化性試験は,TG−DTA(Thermogravimetry − Differential Thermal Analysis)によって行った。具体的には,耐酸化性試験は,冷間圧延箔を1173Kで大気暴露したときの,試料の単位表面積当たりの質量増加量を測定することによって行った。この結果を図1に示す。図1は,耐酸化性試験の結果を示す,時間と質量増加量との関係を示すグラフである。図1には,ニッケル合金(Inconel X750)及びステンレス鋼(SUS310)についての結果も併せて示した。
図1によると,実施例試料では,比較例試料に比べて質量増加がかなり小さかったことが分かる。これは,実施例試料の耐酸化性が優れていることを示しており,Cr及びNbを試料に含有させることによって耐酸化性が大幅に向上することが実証された。また,図1によると,実施例試料の耐酸化性は,ニッケル合金やステンレス鋼よりも優れていることが分かる。
3−2−2.耐食性試験
冷間圧延箔について,耐食性試験を行った。耐食性試験は,冷間圧延箔を室温で24時間,塩酸(濃度:36%)に浸漬させ,その際の腐食減量(腐食による重量減少量)を測定することによって行った。腐食減量が小さいほど,耐食性に優れていることを意味する。
耐食性試験の際の腐食減量と,耐食性試験後の箔の外観を図2に示す。図2には,ニッケル合金(Inconel X750)及びステンレス鋼(SUS304)についての結果も併せて示した。
図2によると,実施例試料では,比較例試料に比べて腐食減量がかなり小さかったことが分かる。これは,実施例試料の耐食性が優れていることを示しており,Cr及びNbを試料に含有させることによって耐食性が大幅に向上することが実証された。また,図2によると,実施例試料の耐食性は,ニッケル合金やステンレス鋼よりも格段に優れていることが分かる。
3−2−3.室温引張試験
次に,冷間圧延箔と,冷間圧延箔に873Kで1時間又は1173Kで1時間の焼鈍を行った箔(それぞれ,「873K焼鈍箔」,「1173K焼鈍箔」と呼ぶ。)について,室温引張試験を行った。室温引張試験に用いた箔の大きさは,平行部長さ10mm,幅4mmであった。室温引張試験は,室温,空気中で歪み速度8.4×10-5-1の条件で行った。その結果を図3に示す。図3は,箔に加えた応力と箔に生じた歪みとの関係を示すグラフである。
図3によると,冷間圧延箔及び873K焼鈍箔では,実施例試料及び比較例試料の両方において,引張強度が2GPa以上であり,これらの箔が,非常に高い引張強度を有していることが確認された。また,1173K焼鈍箔では,実施例試料及び比較例試料の両方において,塑性伸びが30%程度であり,これらの箔が,一般の金属材料と比べても遜色のない高い延性を有していることが確認された。
3−2−4.高温引張試験
次に,1173K焼鈍箔について,高温引張試験を行った。高温引張試験に用いた箔の大きさは,平行部長さ10mm,幅4mmであった。高温引張試験は,真空中で歪み速度8.4×10-5-1,温度は,室温〜1023Kで行った。実施例試料及び比較例試料についての高温引張試験の結果を図4(a)〜(c)に示す。図4(a)は,試験温度と引張強度の関係を示すグラフであり,図4(b)は,試験温度と0.2%耐力の関係を示すグラフであり,図4(c)は,試験温度と伸びの関係を示すグラフである。また,実施例試料及び比較例試料と,種々の汎用合金(Inconel X750(Ni-15.5Cr-7Fe-2.5Ti-1Nb),Hastelloy X(Ni-9Mo-22Cr-18.5Fe-1.5Co ),S 816(Co-20Ni-20Cr-4Mo-4W-4Nb-3Fe-1.2Mn),SUS304(Fe-18Cr-8Ni),SUS430(Fe-18Cr))についての,試験温度と引張強度の関係を示すグラフを図5に示す。図5において,汎用合金に関するデータは,Metals Handbook Tenth Edition, (ASM International, Materials Park, OH, 1990)に記載されているものを用いた。
図4(a)によると,全の温度において実施例試料の引張強度が比較例試料の引張強度よりも大きくなっており,Nb及びCrを添加することによって引張強度が向上することが実証された。また,図5によると,実施例試料の引張強度は,900K以下の温度域では何れの汎用合金よりも高い値を示したことが分かる。
図4(b)によると,全ての温度において実施例試料の0.2%耐力が比較例試料の0.2%耐力よりも大きくなっており,Nb及びCrを添加することによって0.2%耐力が向上することが実証された。
図4(c)によると,773K以上の温度において実施例試料の伸びが比較例試料の伸びよりも大きくなっており,Nb及びCrを添加することによって高温域での伸びが向上することが実証された。
ここで,高温域において実施例試料の伸びが比較例試料の伸びよりも大きくなった理由について検討する。図6(a)〜(f)に室温,773K及び873Kでの引張試験後の試料の引張破面の走査電子顕微鏡(SEM)写真を示す。図6(a)〜(c)は,実施例試料のSEM写真であり,図6(d)〜(f)は,比較例試料のSEM写真である。図6(a)〜(f)を見ると,比較例試料では引張試験温度が高温になると脆性的な粒界破面の割合が増加するが,実施例試料では,高温でも延性的なディンプルパターン破面の割合が多い。このため,実施例試料では比較例試料に比べて高温域での伸びが改善されたものと考えられる。
3−2−5.組織観察
次に,1173K焼鈍箔についてSEM写真を撮影し,組織観察を行った。実施例試料及び比較例試料についてのSEM写真をそれぞれ図7(a)及び(b)に示す。図7(a),(b)を参照すると,図7(b)の比較例試料がL12単相組織を有するのに対し,図7(a)の実施例試料はL12マトリックス中にfccNi固溶体相が出現した2相組織を有していた。また,実施例試料のL12結晶粒の粒径は,比較例試料に比べて微細であった。
3−3.まとめ
以上の評価結果から分かるように,実施例試料は,比較例試料に比べて耐酸化性及び耐食性が優れており,さらに引張強度や伸び等の機械的特性も比較例試料と同等かこれよりも優れている。従って,実施例試料は,自動車排ガス浄化装置の触媒担体等の優れた耐酸化性,耐食性及び機械的特性が要求される用途に好適に用いられる。また,実施例試料は,比較例試料と同様に箔に加工することが容易である。実施例試料から得られる箔は,例えば,他の構造部材の表面に貼り付けて,その構造部材の表面を保護するのに用いることができ,また,ハニカム構造部材等を作製するのに用いることができる。
本発明の実証実験での耐酸化性試験の結果を示す,時間と質量増加量との関係を示すグラフである。 本発明の実証実験での耐食性試験の際の腐食減量と,耐食性試験後の箔の外観を示す。 本発明の実証実験での室温引張試験の結果を示す,箔に加えた応力と箔に生じた歪みとの関係を示すグラフである。 (a)〜(c)は,本発明の実証実験での高温引張試験の結果を示し,(a)は,試験温度と引張強度の関係を示すグラフであり,(b)は,試験温度と0.2%耐力の関係を示すグラフであり,(c)は,試験温度と伸びの関係を示すグラフである。 本発明の実証実験での高温引張試験の結果を示し,実施例試料及び比較例試料と,種々の汎用合金についての,試験温度と引張強度の関係を示すグラフである。 (a)〜(f)は,本発明の実証実験での,室温,773K及び873Kでの引張試験後の試料の引張破面の走査電子顕微鏡(SEM)写真を示す。(a)〜(c)は,実施例試料のSEM写真であり,(d)〜(f)は,比較例試料のSEM写真である。 (a)及び(b)は,それぞれ,本発明の実証実験での実施例試料及び比較例試料の1173K焼鈍箔のSEM写真を示す。

Claims (4)

  1. Si:7.5〜12.5原子%,Ti:3.5〜8.5原子%,Nb:0.5〜3原子%,Cr:0.5〜3原子%,残部はNiからなる組成の合計重量に対してB:25〜500重量ppmを含むNi3(Si,Ti)系金属間化合物。
  2. Si:10.0〜12.0原子%,Ti:4.5〜6.5原子%,Nb:1.5〜2.5原子%,Cr:1.5〜2.5原子%,B:25〜100重量ppmである請求項1に記載のNi3(Si,Ti)系金属間化合物。
  3. 請求項1又は2に記載の金属間化合物からなり,厚さが20〜200μmであるNi3(Si,Ti)系金属間化合物圧延箔。
  4. Si:7.5〜12.5原子%,Ti:3.5〜8.5原子%,Nb:0.5〜3原子%,Cr:0.5〜3原子%,残部はNiからなる組成の合計重量に対してB:25〜500重量ppmを含む鋳塊からなる試料に対して均質化熱処理を行い,
    均質化熱処理後の試料に対して圧延率10%以上の圧延と1173〜1373Kでの焼鈍を3回以上繰り返し,
    その後,得られた試料に対して圧延率90%以上で冷間圧延を行う工程を備えるNi3(Si,Ti)系金属間化合物圧延箔の製造方法。
JP2007114384A 2007-04-24 2007-04-24 耐酸化性及び耐食性に優れたNi3(Si,Ti)系金属間化合物,当該金属間化合物圧延箔,および当該金属間化合物圧延箔の製造方法 Expired - Fee Related JP4973301B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007114384A JP4973301B2 (ja) 2007-04-24 2007-04-24 耐酸化性及び耐食性に優れたNi3(Si,Ti)系金属間化合物,当該金属間化合物圧延箔,および当該金属間化合物圧延箔の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007114384A JP4973301B2 (ja) 2007-04-24 2007-04-24 耐酸化性及び耐食性に優れたNi3(Si,Ti)系金属間化合物,当該金属間化合物圧延箔,および当該金属間化合物圧延箔の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008266754A true JP2008266754A (ja) 2008-11-06
JP4973301B2 JP4973301B2 (ja) 2012-07-11

Family

ID=40046630

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007114384A Expired - Fee Related JP4973301B2 (ja) 2007-04-24 2007-04-24 耐酸化性及び耐食性に優れたNi3(Si,Ti)系金属間化合物,当該金属間化合物圧延箔,および当該金属間化合物圧延箔の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4973301B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009028583A (ja) * 2007-07-24 2009-02-12 Osaka Prefecture Univ Ni3(Si,Ti)系金属間化合物からなるメタノールからの水素製造用触媒,水素製造方法、水素製造装置
WO2011013675A1 (ja) * 2009-07-28 2011-02-03 公立大学法人大阪府立大学 Ni3(Si,Ti)系金属間化合物合金で形成された高温用軸受及びその製造方法
WO2011030904A1 (ja) 2009-09-14 2011-03-17 公立大学法人大阪府立大学 Wが添加されたNi3(Si,Ti)系金属間化合物及びその製造方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04343A (ja) * 1989-09-06 1992-01-06 Nippon Stainless Steel Co Ltd 良好な延性を有するNi↓3Si基耐熱材料
JP2001131665A (ja) * 1999-11-11 2001-05-15 Fuji Dies Kk Ni3(Si,Ti)基の高温構造材料及びそれを用いた耐摩耗工具、耐熱用部材又は工具
JP2007084903A (ja) * 2005-09-26 2007-04-05 Osaka Industrial Promotion Organization Ni3(Si,Ti)系箔及びその製造方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04343A (ja) * 1989-09-06 1992-01-06 Nippon Stainless Steel Co Ltd 良好な延性を有するNi↓3Si基耐熱材料
JP2001131665A (ja) * 1999-11-11 2001-05-15 Fuji Dies Kk Ni3(Si,Ti)基の高温構造材料及びそれを用いた耐摩耗工具、耐熱用部材又は工具
JP2007084903A (ja) * 2005-09-26 2007-04-05 Osaka Industrial Promotion Organization Ni3(Si,Ti)系箔及びその製造方法

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009028583A (ja) * 2007-07-24 2009-02-12 Osaka Prefecture Univ Ni3(Si,Ti)系金属間化合物からなるメタノールからの水素製造用触媒,水素製造方法、水素製造装置
WO2011013675A1 (ja) * 2009-07-28 2011-02-03 公立大学法人大阪府立大学 Ni3(Si,Ti)系金属間化合物合金で形成された高温用軸受及びその製造方法
US20120134615A1 (en) * 2009-07-28 2012-05-31 Osaka Prefecture University Public Corporation High-temperature axle bearing made of ni3(si, ti)-based intermetallic compound alloy and method for producing the same
WO2011030904A1 (ja) 2009-09-14 2011-03-17 公立大学法人大阪府立大学 Wが添加されたNi3(Si,Ti)系金属間化合物及びその製造方法
CN102549182A (zh) * 2009-09-14 2012-07-04 公立大学法人大阪府立大学 添加W的Ni3(Si, Ti)基金属间化合物及其生产方法
KR20120081597A (ko) 2009-09-14 2012-07-19 고리츠다이가쿠호징 오사카후리츠다이가쿠 W가 첨가된 Ni3(Si,Ti)계 금속간 화합물 및 그 제조방법
JP5565776B2 (ja) * 2009-09-14 2014-08-06 公立大学法人大阪府立大学 Wが添加されたNi3(Si,Ti)系金属間化合物及びその製造方法
US9371574B2 (en) 2009-09-14 2016-06-21 Osaka Prefecture University Public Corporation Ni3(Si, Ti)-based intermetallic compound to which W is added, and method for producing same

Also Published As

Publication number Publication date
JP4973301B2 (ja) 2012-07-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6660042B2 (ja) Ni基超耐熱合金押出材の製造方法およびNi基超耐熱合金押出材
JP2008127639A (ja) マグネシウム合金材およびその製造方法
JP4756974B2 (ja) Ni3(Si,Ti)系箔及びその製造方法
JP5010841B2 (ja) Ni3Si−Ni3Ti−Ni3Nb系複相金属間化合物,その製造方法,高温構造材料
WO2020189215A1 (ja) 熱間鍛造用のチタンアルミナイド合金材及びチタンアルミナイド合金材の鍛造方法並びに鍛造体
JP7144840B2 (ja) チタン合金、その製造方法およびそれを用いたエンジン部品
JP4973301B2 (ja) 耐酸化性及び耐食性に優れたNi3(Si,Ti)系金属間化合物,当該金属間化合物圧延箔,および当該金属間化合物圧延箔の製造方法
JP5327664B2 (ja) ニッケル系金属間化合物、当該金属間化合物圧延箔および当該金属間化合物圧延板または箔の製造方法
JP5610789B2 (ja) 銅合金板材および銅合金板材の製造方法
JP7387139B2 (ja) チタン合金、その製造方法およびそれを用いたエンジン部品
WO2017170433A1 (ja) Ni基超耐熱合金の製造方法
JP4304425B2 (ja) 冷間圧延チタン合金板および冷間圧延チタン合金板の製造方法
JP5565776B2 (ja) Wが添加されたNi3(Si,Ti)系金属間化合物及びその製造方法
JP5929251B2 (ja) 鉄合金
US9447485B2 (en) Ni3(Si, Ti)-based intermetallic compound to which Ta is added
Gao et al. Superplastic deformation in a coarse-grained Fe3Al based alloy
JP2007051355A (ja) Co3Ti薄板の製造方法、Co3Ti薄板
WO2011118796A1 (ja) Ti及びCを含むNi基2重複相金属間化合物合金及びその製造方法
Kim et al. Cyclic oxidation behavior and recrystallization of cold-rolled Ni3Al foils
JP2009007679A (ja) チタン合金およびチタン合金材の製造方法
JPH05125499A (ja) 高強度高靭性アルミニウム基合金
JP6172653B2 (ja) 高温延性に優れたニッケル系合金、鋳造材、熱間塑性加工材および熱間塑性加工材の製造方法
JP2024534049A (ja) 溶体化焼鈍調質における改善された成形性を有する非常に高強度の銅-チタン合金
Gu et al. Microstructures and fracture behaviors of B-free and B-doped Ir3Nb (L12) intermetallic compounds
Machida et al. Mechanical Properties of Zr-Added Fe-Al Intermetallic Alloys Containing Large Second Phase Particles

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100330

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120314

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120321

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120326

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 4973301

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150420

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees