JP2008266127A - クロロシラン類含有ガスの水素還元方法およびクロロシラン類の水素還元用装置 - Google Patents

クロロシラン類含有ガスの水素還元方法およびクロロシラン類の水素還元用装置 Download PDF

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【課題】クロロシラン類と水素との還元反応を、効率的かつ安全に行うことができる方法および該方法に好適に用いることができるクロロシラン類の水素還元用装置を提供する。
【解決手段】クロロシラン類含有ガスの水素還元方法は、クロロシラン類と水素とを加熱下で反応させる反応域より排出される700〜1500℃のクロロシラン類を含む反応排ガスを、700℃以上の温度に維持された熱処理域において2秒以上の平均滞在時間となるように熱処理する工程と、熱処理された反応排ガスを350℃以下に冷却する工程とを含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、クロロシラン類含有ガスの水素還元方法および該方法に好適に用いることができるクロロシラン類の水素還元用装置に関する。
現在、様々な分野において利用され、今後さらなる発展および需要が見込まれる半導体素子や太陽光発電用電池などの原料として、多結晶シリコンが用いられており、高純度の多結晶シリコンを効率良く製造することが求められている。
従来の多結晶シリコンの製造方法としては、たとえば、ベルジャー内部に配置されたシリコン棒の表面を加熱し、これにトリクロロシラン(SiHCl3;以下「TCS」とも
いう。)などのクロロシラン類と水素等の還元性ガスとを含むシリコン析出用原料ガスを供給して多結晶シリコンを析出させるシーメンス法などが挙げられる。
これに対して、本出願人は、シリコンを効率的に製造できる方法およびその装置として、シリコンの融点未満の温度に加熱した筒状反応容器内にシリコン析出用原料ガスを供給してシリコンを析出させた後、該筒状反応容器の内表面をシリコンの融点温度以上に加熱して、析出したシリコンの一部または全部を溶融することにより、析出したシリコンを落下させて回収する多結晶シリコンの製造方法および該方法に用いられるシリコン製造装置を提案している(たとえば、特許文献1参照)。
ところで、従来、TCSや四塩化珪素(以下「STC」ともいう。)などのクロロシラン類と水素との還元反応において、平衡状態に近づいた反応排ガスを、さらなる反応を停止するために、急激に冷却すること、具体的には1秒以内に600℃以下または300℃以下に冷却することが望ましいというのが当業者にとって共通の認識であった(たとえば、特許文献2および3参照)。
しかしながら、実際の工業的装置を用いた場合、特に特許文献1に記載のシリコン製造方法のように反応排ガスを短時間で急冷した場合、その後、反応排ガスが100℃程度まで低下すると、反応排ガス中に霧状物が発生することが確認された。この霧状物は、装置や配管等の壁面またはシリコン回収物などに付着しやすく、大気と接触すれば発火性の物質を生成する危険性がある。そのため、安全かつ効率的にクロロシラン類の水素還元反応を行う方法および装置の開発が要求されている。
WO02/100777号パンフレット 特公昭57−38524号公報 特開昭60−81010号公報
本発明は、上記のような従来技術における課題を解決しようとするものであり、クロロシラン類含有ガスの水素還元を効率的かつ安全に行うことができる方法および該方法に好適に用いることができるクロロシラン類の水素還元用装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、反応排ガスを700℃以上の温度に維持された熱処理域において2秒以上の平均滞在時間となるように
熱処理し、平衡状態に近い状態をある程度維持することにより、シラン類オリゴマーの生成を抑制することができ、次いで、反応排ガスを350℃以下に速やかに冷却することにより、その後反応排ガスが100℃以下となっても霧状物が発生しないことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係るクロロシラン類含有ガスの水素還元方法は、クロロシラン類と水素とを加熱下で反応させる反応域より排出される700〜1500℃のクロロシラン類を含む反応排ガスを、700℃以上の温度に維持された熱処理域において2秒以上の平均滞在時間となるように熱処理する工程(1)と、前記熱処理された反応排ガスを350℃以下に冷却する工程(2)とを含むことを特徴とする。
前記工程(2)における冷却は1秒以内に行われることが好ましい。また、前記反応域が加熱したカーボン製筒状反応容器によって形成され、該反応容器内にクロロシラン類および水素を供給して反応させ、該筒状反応容器の内表面にシリコンを析出させ、析出したシリコンの一部または全部を溶融する工程を含むことが好ましい。
本発明に係るクロロシラン類の水素還元用装置は、上述した本発明のクロロシラン類含有ガスの水素還元方法を実施するための装置であって、クロロシラン類および水素を供給するための原料ガス供給管と、クロロシラン類と水素との反応を行う反応室と、該反応室を加熱するための加熱装置と、該反応室に連続し、かつ、少なくとも内壁の一部が断熱構造を有する反応排ガス回収室を含む熱処理室と、該熱処理室より排出された反応排ガスを冷却する冷却室とを備えることを特徴とする。
前記断熱構造は、好ましくは、前記反応排ガス回収室の内壁部にカーボン材が設けられた構造であり、より好ましくは、前記内壁部とカーボン材との間にさらに断熱材を介在させた構造である。
本発明によれば、シラン類オリゴマーの生成を抑制することができるとともに、該オリゴマーが微量に生成したとしても、該オリゴマー分子は反応ガス全域に拡散するため、反応ガスの冷却の際にオリゴマー分子同士の物理的な衝突確率が減少し、霧状物の発生を抑制することができるため、効率的かつ安全にクロロシラン類と水素との還元反応を行うことができる。その結果、シリコンについても効率的かつ安全に製造することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
〔クロロシラン類含有ガスの水素還元方法〕
本発明のクロロシラン類含有ガスの水素還元方法は、クロロシラン類と水素とを加熱下で反応させる反応域より排出される700〜1500℃、好ましくは700〜1300℃のクロロシラン類を含む反応排ガスを、700℃以上の温度に維持された熱処理域において2秒以上、好ましくは3秒以上の平均滞在時間となるように熱処理する工程を含む。
上記平均滞在時間T(秒)は、下記式(1)によって算出される。
T=V/Q ・・・(1)
式(1)中、Vは、熱処理域(反応域の末端から、温度700℃以上の反応排ガスを急冷する直前位置までの空間)の全体積(m3)であり、Qは、熱処理域における反応排ガ
スの実流量(m3/秒)である。実流量とは、そのガスの温度と圧力の条件下における流
量であり、下記式(2)で算出される。
標準状態(0℃、0kPaG)のガス流量×{(273.15+熱処理域での平均ガス
温度[℃])/273.15}×[100/(熱処理域のゲージ圧力[kPaG]+10
0)] ・・・(2)
ここで熱処理域での平均ガス温度[℃]は、熱処理域に流入するガス温度[℃]と熱処理域から流出するガス温度[℃]の単純平均値と定義する。
また、本発明のクロロシラン類含有ガスの水素還元方法は、熱処理された反応排ガスを350℃以下に冷却する工程を含む。このように、反応域より排出され、熱処理された反応排ガスを、速やかに、好ましくは1秒以内に350℃以下、好ましくは0〜350℃、より好ましくは100〜300℃に冷却することにより、反応排ガスのさらなる反応を停止させることができるとともに、反応排ガスの温度が100℃以下に低下しても霧状物の発生を抑制することができるため、安全に操業することができる。
原料ガスとして用いられるクロロシラン類としては、公知の各種クロロシラン類が挙げられ、具体的には、ジクロロシラン(DCS)、トリクロロシラン(TCS)、四塩化珪素(STC)などが挙げられる。クロロシラン類の水素還元反応としては、たとえば、TCSからシリコンを析出する反応や、STCからTCSを生成する反応などが挙げられる。
上記のようにして、高温の反応排ガスを冷却することにより、大気と接触して危険な物質を生成する可能性のある霧状物の発生を抑制することができ、安全にクロロシラン類の水素還元反応を行うことができる。
上記のようにして冷却された反応排ガスは、その後の適切な処理によって、製品として回収したり、原料ガス等として再利用してもよい。
上述した本発明のクロロシラン類含有ガスの水素還元方法は、後述する本発明のクロロシラン類の水素還元用装置を用いて好適に行うことができる。
〔クロロシラン類の水素還元用装置〕
本発明のクロロシラン類の水素還元用装置は、上述した本発明のクロロシラン類含有ガスの水素還元方法に好適に用いることができ、金属製密閉容器に覆われている。ここで、密閉とは、プロセスガス(シリコン析出用原料ガス等)は流通しているが、外部の雰囲気からは遮断されていることを意味する。
図1は、本発明のクロロシラン類の水素還元用装置の一例を示す概略図である。本発明のクロロシラン類の水素還元用装置は、図1に示すように、クロロシラン類および水素を供給するための原料ガス供給管2と、クロロシラン類と水素との反応を行う反応室1と、該反応室を加熱するための加熱装置3と、該反応室に連続し、かつ、少なくとも内壁の一部が断熱構造を有する反応排ガス回収室4を含む熱処理室と、前記熱処理室より排出された反応ガスを冷却する冷却室12とを備えている。
本発明において、前記熱処理室の体積は、一般に、反応ガス回収室および必要に応じて設けられる副室の体積と、冷却室に至るまでのガス排出配管5等の配管の体積の合計の体積となる。
<反応室>
上記クロロシラン類と水素との反応を行う反応室は、クロロシラン類の水素還元を良好に行うことができれば特に限定されるものではなく、たとえば、図1に示すように、下端に開口部を有する筒状反応容器6によって構成することができる。このような筒状反応容器によって反応室を構成することにより、たとえば、後述するシリコン製造方法によって析出したシリコンの一部もしくは全部を加熱して溶融することにより、シリコンを連続的
または断続的に落下させて回収することができる。
上記反応室1の加熱は、後述する加熱装置3を用いて行われ、クロロシラン類の水素還元反応に適した温度、たとえば、上記筒状反応容器6の内表面を1000〜1700℃、好ましくは1200〜1400℃に加熱する。
上記筒状反応容器6の断面形状や開口部の形状などは、シリコンの生産効率を阻害することにならなければ、特に制限されない。なお、上記筒状反応容器2の上端は、図1に示すようにフランジ形状であってもよい。
また、上記筒状反応容器6は、シリコンの融点以上に加熱され、その内部は各種シラン類やシリコン融液に接触するため、これらの温度条件や接触物に対して十分に耐えうる材質を選択することが好ましい。このような材質としては、たとえば、グラファイト等のカーボン系材料や、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミ等のセラミックス材料などが挙げられる。
上記反応室1の大きさは、目的に応じて適宜設定することができる。たとえば、後述するシリコンの製造を目的とする場合には、反応効率や生産効率(シリコンの析出量)などを考慮して設定することができる。また、原料ガスとしてSTCを用いてTCSを製造する場合には、クロロシラン類と水素との反応が平衡に達する程度の大きさに設定すればよい。
<原料ガス供給管>
上記原料ガス供給管2は、上記反応室1に、クロロシラン類と水素とを含む原料ガスを供給するためのものである。上記原料ガス供給管は、図1に示すように1本単独で設けられていてもよく、2本以上設けられていてもよい。原料ガス供給管が複数設けられている場合は、同じ成分からなる混合ガスを複数の供給管で供給してもよく、また、成分ごとに、たとえば、クロロシラン類と水素ガスとを別々の供給管から供給してもよい。
<加熱装置>
上記加熱装置3は、上記反応室1を構成する筒状反応容器6の内壁をシリコンの融点温度(おおよそ1410〜1430℃)以上に加熱することができるものであれば特に制限されないが、エネルギー効率などを考慮すると、高周波コイルを用いることが好ましい。なお、上記加熱装置3は、筒状反応容器6の上部(補助反応部)と下部(主反応部)とを独立して温度制御できることが好ましい。また、加熱効率などを考慮して、図1に示すように筒状反応容器6と加熱装置3の間に断熱材7を介在させることが好ましい。
<反応排ガス回収室および副室>
上記反応排ガス回収室4は、上記反応室1に連続しており、該反応室1から排出される反応排ガスを回収する、すなわち滞留させるためのものである。そして、反応排ガスを700℃以上に維持された反応排ガス回収室4に回収することにより、反応排ガスを熱処理することができる。上記反応排ガス回収室の大きさは、原料ガス供給量および該反応排ガス回収室における反応排ガスの滞留時間などを考慮して適宜設定することができる。
また、上記副室11は、必要に応じて設けられ、反応排ガス回収室4から排出された反応排ガスを、さらに一定時間滞留させるためのものである。すなわち、上記副室11は、反応ガス回収室の容積が反応排ガスを所定の時間で滞留させるために不十分な場合に、ガス排出配管の途中に設けることが好ましい。そして、反応排ガスを700℃以上に維持された副室11に回収することにより、上記反応排ガス回収室4に引き続き反応排ガスを熱処理することができる。上記副室の大きさも、上記反応排ガス回収室4と同様に、原料ガ
ス供給量および該副室における反応排ガスの滞留時間などを考慮して適宜設定することができる。
ここで、反応排ガスは高温であるため、装置全体も高温となることから、たとえば、水冷ジャケットを装置の外側に設けたり、装置壁面を構成する金属を水冷金属にすることによって、装置を構成する金属壁(金属材料)を冷却することが一般的である。しかしながら、冷却壁面によって反応ガスの温度が必要以上に低下すると、前述したクロロシラン類のオリゴマーからなる成長した核が形成され、霧状物が発生することがある。
そのため、本発明では、反応排ガスを700℃以上の温度に維持された熱処理域において2秒以上の平均滞在時間となるように熱処理するために、上記反応排ガス回収室および必要に応じて設けられる副室、すなわち熱処理室の少なくとも一部が、該熱処理室に滞在する反応排ガスと、該熱処理室の内壁部とを熱的に隔離(断熱)する構造・手段(以下、単に「断熱構造」という。)を有していることが必要である。なお、上記熱処理室は、その全部がこのような断熱構造を有していてもよく、あるいは、上記反応室から排出された反応排ガスを上述した温度および平均滞在時間で熱処理できる程度に、上記熱処理室の少なくとも一部が断熱構造を有していてもよい。
上記断熱構造としては、たとえば、熱処理室の内壁部を加温する手段や、内壁部にカーボン材が設けられた構造などが挙げられる。内壁部にカーボン材を設ける場合、カーボン材と内壁面は接触していても、接触していなくてもよく、たとえば、板状カーボンを、熱処理室の内壁部を覆うように設けることが好ましい。また、内壁部とカーボン材との間に、さらに断熱材、たとえば、繊維状カーボン、繊維状シリカなどを介在させることが、反応排ガスの温度低下をより効果的に防止できることから好ましい。
上記反応室1から排出された700〜1500℃、好ましくは700〜1300℃の反応排ガスは、未反応のまたは反応により生じたクロロシラン類、水素ガス、塩化水素ガスなどを含んでいる。このような成分を含む反応排ガスは、反応室1に連続した反応排ガス回収室4に回収され、該反応排ガス回収室4に一定時間滞留した後、上記ガス排出管5から排出され、必要に応じて設けられる副室11にも回収され、さらに一定時間滞留する。このとき、上記反応排ガス回収室と、必要に応じて設けられる副室とからなる熱処理室の断熱構造によって、反応排ガスを700〜1500℃、好ましくは700〜1300℃で一定時間熱処理することができ、その後に該反応排ガスを冷却することにより、霧状物の発生を効果的に抑制することができる。その結果、効率的かつ安全にクロロシラン類の水素還元反応を行うことができる。
上記熱処理室における反応ガスの平均滞在時間は2秒以上、好ましくは3秒以上、より好ましくは3〜5秒である。平均滞在時間が上記範囲よりも短いと、霧状物の発生を抑制する効果が得られないことがある。
<ガス排出管>
上記ガス排出管5は、上記反応ガス回収室4に回収された反応ガスを系外または副室11に排出するためのものであり、反応ガスの冷却系統や処理系統などに通じる。このガス排出管5の領域が700℃以上に保たれる場合には、ガス排出管5は熱処理室の一部とみなし、またガス排出管5の領域が700℃未満である場合には、ガス排出管5は冷却室の一部とみなすものとする。
<冷却室>
上記ガス排出管5より排出され、熱処理された反応排ガスを冷却室にて、速やかに、好ましくは1秒以内に350℃以下、好ましくは0〜350℃、より好ましくは100〜3
00℃に冷却する。
上記反応ガスの冷却には、たとえば、一般的に用いられている多管型の熱交換器等を用いる方法、またはクロロシラン類の液体によるクエンチ法を採用することが好ましい。
<その他>
本発明のクロロシラン類の水素還元装置には、本発明の目的を損なわない限り、上記構成以外にも、必要に応じて公知の構成・手段を適宜設けてよい。
〔シリコンの製造方法〕
上述した本発明のクロロシラン類の水素還元装置を用いて、シリコンを製造することができる。具体的には、加熱したカーボン製筒状反応容器6内に、原料ガス供給管2からクロロシラン類および水素を供給して反応させ、該反応容器6の内表面にシリコンを析出させる工程と、析出したシリコンの一部または全部を溶融することにより、該反応容器6からシリコンを落下させて回収する工程と、該反応容器6から排出された700〜1500℃のクロロシラン類を含む反応排ガスを、700℃以上の温度に維持された熱処理域において2秒以上の平均滞在時間となるように熱処理する工程と、熱処理された反応排ガスを350℃以下に冷却する工程とを含む方法によりシリコンを製造することができる。なお、反応ガスの冷却方法の詳細については前述した通りである。
上記シリコンの製造方法において原料ガスとして用いられるクロロシラン類としては、TCSやSTCが工業的に高純度のものを大量に入手可能であることから好ましい。
上記クロロシラン類と水素との反応を行う際のカーボン製筒状反応容器6の加熱は、上記加熱装置3によって行われ、シリコンの析出反応に適した温度、たとえば、該反応容器6の内表面を1200〜1700℃に加熱する。また、析出したシリコンを溶融する際の反応容器6の加熱は、シリコンが溶融する温度、すなわちシリコンの融点温度(おおよそ1410〜1430℃)以上となるように行えばよい。
落下させたシリコンの回収は、装置下部にシリコン回収容器を設け、シリコンがある程度蓄積した段階で装置外部に搬出したり、シリコン融液の取り出し口を設けて連続的または断続的に抜き出してもよい。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
〔実施例1〕
以下、図1の概略図に従って説明する。
水冷金属(ステンレス製)によって構成された金属製密閉容器内に、筒状反応容器6として、上部がフランジ加工された等方性グラファイト製の円筒状容器を設置した。また、加熱装置3としては、筒状反応容器6上部の補助反応部と、それより下部の主反応部とを、それぞれ独立に制御することができる5kHzの高周波加熱コイルを設置した。さらに、筒状反応容器6と加熱装置3との間にはカーボン繊維断熱材7を設置した。
また、金属製密閉容器は、筒状反応容器6によって構成された反応室1に連続した反応ガス回収室4を備え、反応ガス回収室4を構成する金属壁10の内壁部には、カーボン繊維断熱材9(厚さ5mm)を介在させて板状のカーボン材8(厚さ10mm)を、金属壁10の内壁部をほとんど覆うように設けた。反応ガス回収室4の側部には、回収された反応ガスを排出し、排ガス処理系統(図示せず)に流通させるためのガス排出管5を設け、このガス排出管5の途中に副室11および多管型の熱交換器(冷却室12)を設置した。なお、装置から熱交換器までのガス排出管5としては、反応ガス回収室4と同様の断熱の
構成とした。
上記クロロシラン類の水素還元装置を用いて、装置全体を水冷金属に水を流通させることにより冷却するとともに、筒状反応容器6の主反応部の内表面温度が1450〜1500℃になるように、主反応部および補助反応部の加熱装置3の加熱出力を各々制御し、原料ガス供給管2から水素1000Nm3/hおよびトリクロロシラン600kg/h(約
100Nm3/h)の混合ガス(約1100Nm3/h)を供給して反応を開始し、筒状反応容器6の内表面に固体状シリコンを析出させた。このときの反応圧力は約50kPaGであった。
上記トリクロロシランの還元反応において、反応室1から排出される反応ガスの温度は約1000℃であり、反応ガス回収室4、ガス排出配管5および副室11を経てこれに続くガス排出配管から排出された反応ガスの温度はいずれも約800℃であったことから、これらの単純平均値として算出した反応ガス回収室、ガス排出管および副室の温度は約900℃であった。また、反応ガス回収室4、副室11および熱交換器に至るまでのガス排出配管(熱処理室)の実効体積(約2.64m3)と反応ガスの実流量(約0.88m3/s)とから算出した反応ガス回収室4における反応ガスの平均滞在時間は約3秒であった。また、副室11を経てガス排出管から排出された反応ガスを熱交換器により1秒以内に約300℃まで冷却した。
上記の条件で5時間反応させた後、筒状反応容器6のシリコン析出部を1450〜1700℃に昇温・制御することにより、筒状反応容器6に析出したシリコンを溶融落下させて回収した。シリコン回収量は約100kgであった。
上記反応中および反応後において、装置内、ガス排出管内および排ガス処理系統において霧状物の発生や付着等は確認されず、装置や配管を安全に開放することができた。
〔実施例2〕
実施例1において、反応ガス回収室4のチャンバー部の大きさを変更し、熱処理室の実効体積を約1.8m3とした以外は同様に反応排ガスの処理を行った。その結果、熱処理
室における反応ガスの平均滞在時間は2秒であった。反応中および反応後において、装置内、ガス排出管内および排ガス処理系統において霧状物の発生や付着等は確認されず、装置や配管を安全に開放することができた。
〔比較例1〕
実施例1において、反応ガス回収室4のチャンバー部の大きさを変更するとともに、副室を設けなかったこと以外は実施例1と同様にして反応を行った。このとき、反応室1から排出される反応ガスの温度は約1000℃であり、反応ガス回収室4、およびガス排出管5から排出された反応ガスの温度はいずれも約900℃であったことから、これらの単純平均値として算出した反応ガス回収室の温度は約950℃であった。このときの反応ガス回収室4の実効体積は約0.5m3であることから、反応ガス回収室4とガス排出管5
の合計における反応ガスの平均滞在時間は約0.6秒であった。
上記反応中および反応後において、装置内、ガス排出管内および排ガス処理系統において霧状物の発生および付着等が確認された。その付着物は発火性の物質であった。
本発明のクロロシラン類の水素還元用装置の一例を示す概略図である。
符号の説明
1・・・反応室(反応域)
2・・・原料ガス供給管
3・・・加熱装置
4・・・排ガス回収室
5・・・ガス排出管
6・・・カーボン製筒状反応容器
7・・・断熱材
8・・・カーボン材
9・・・断熱材
10・・・金属壁
11・・・副室
12・・・冷却室

Claims (6)

  1. クロロシラン類と水素とを加熱下で反応させる反応域より排出される700〜1500℃のクロロシラン類を含む反応排ガスを、700℃以上の温度に維持された熱処理域において2秒以上の平均滞在時間となるように熱処理する工程(1)と、
    前記熱処理された反応排ガスを350℃以下に冷却する工程(2)と
    を含むことを特徴とするクロロシラン類含有ガスの水素還元方法。
  2. 前記工程(2)における冷却が、1秒以内に行われることを特徴とする請求項2に記載のクロロシラン類含有ガスの水素還元方法。
  3. 前記反応域が加熱したカーボン製筒状反応容器によって形成され、該反応容器内にクロロシラン類および水素を供給して反応させ、該筒状反応容器の内表面にシリコンを析出させ、析出したシリコンの一部または全部を溶融する工程を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のクロロシラン類含有ガスの水素還元方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のクロロシラン類含有ガスの水素還元方法を実施するための装置であって、
    クロロシラン類および水素を供給するための原料ガス供給管と、
    クロロシラン類と水素との反応を行う反応室と、
    該反応室を加熱するための加熱装置と、
    該反応室に連続し、かつ、少なくとも内壁の一部が断熱構造を有する反応排ガス回収室を含む熱処理室と、
    該熱処理室より排出された反応排ガスを冷却する冷却室と
    を備えることを特徴とするクロロシラン類の水素還元用装置。
  5. 前記断熱構造が、前記反応排ガス回収室の内壁部にカーボン材が設けられた構造であることを特徴とする請求項4に記載のクロロシラン類の水素還元用装置。
  6. 前記内壁部とカーボン材との間に、さらに断熱材を介在させていることを特徴とする請求項5に記載のクロロシラン類の水素還元用装置。
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