JP2010132536A - トリクロロシランの製造方法および用途 - Google Patents

トリクロロシランの製造方法および用途 Download PDF

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Abstract

【課題】転換反応によって生成したガスを冷却する工程において、トリクロロシランの分解とポリマーの生成を抑制したトリクロロシランの回収率が高い製造方法を提供する。
【解決手段】原料のテトラクロロシランと水素とを1000〜1900℃の温度で転換反応させてトリクロロシラン、ジクロロシリレン、塩化水素、および高次シラン化合物を含む反応ガスを生成させ、この反応ガスを冷却してトリクロロシランを回収する方法において、(イ)転換炉から抜き出した反応ガスを冷却開始から0.01秒以内に600℃以上であって2秒以内に500℃以下に冷却する第1冷却工程と、(ロ)第1冷却工程後の反応ガスを500℃以上〜950℃以下の温度範囲に0.01秒以上〜5秒以下の時間保持する中間反応工程と、(ハ)中間反応工程後の反応ガスを500℃未満に冷却する第2冷却工程を有することを特徴とするトリクロロシランの製造方法。
【選択図】図4

Description

本発明は、テトラクロロシランと水素を反応させてトリクロロシランに転換するトリクロロシランの製造方法において、トリクロロシランの回収効果に優れたトリクロロシランの製造方法とその用途に関する。
高純度多結晶シリコンは、例えばトリクロロシラン(SiHCl3:TCSと云う)、テトラクロロシラン(SiCl4:STCと云う)、および水素を原料とし、次式[1]に示されるトリクロロシランの水素還元反応、次式[2]に示されるトリクロロシランの熱分解反応によって製造することができる。
SiHCl3+H2 → Si+3HCl ・・・[1]
4SiHCl3 → Si+3SiCl4+2H2 ・・・[2]
上記製造方法の原料となるトリクロロシランは、金属シリコンに塩化水素を反応させて粗トリクロロシランを製造し、これを蒸留精製して得られる。また、多結晶シリコンの生成反応の排ガスから蒸留分離して回収したテトラクロロシランを原料とし、次式[3]に示す水素付加の転換反応によってトリクロロシランを生成させることができる。
SiCl4+H2 → SiHCl3+HCl ・・・[3]
このトリクロロシランを製造する装置として、例えば特許文献1に記載されている転換反応装置(転化炉)が知られている。この転換反応装置は、発熱体に囲まれた反応室が同心配置の2つの管によって形成された外室と内室の二重室を有し、この反応室の下部に熱交換器が設けられており、該熱交換器を介して反応室に水素とテトラクロロシランとを供給する原料ガス供給管路と、反応室から反応生成ガスを排出する排出管路とが接続しており、上記熱交換器において、反応室に供給される供給ガスが、反応室から排出される反応生成ガスから熱を伝達されて予熱されると共に、排出される反応生成ガスの冷却が行われるようになっている。
また、例えば特許文献2には、テトラクロロシランと水素を反応室に導入して600℃〜1200℃の温度で転換反応させることによってトリクロロシランと塩化水素とを含む反応生成ガスを得るとともに、反応室から導出された上記反応生成ガスを、例えば1秒以内に300℃以下にまで達するような冷却速度で急冷する冷却手段を備えたものが提案されている。
特許第3781439号公報 特公昭57−38524公報
ところで、特許文献1に記載のトリクロロシランの製造装置では、反応室下部の熱交換器において、供給された原料ガスと熱交換することによって反応生成ガスの冷却が行われるが、反応生成ガスを冷却する過程で、トリクロロシランが塩化水素と反応して四塩化珪素(STC)と水素に分解する上記反応式[3]の逆反応が生じる。ここで、従来のような熱交換器による冷却では、冷却速度が遅いため上記逆反応の発生を十分に抑えることはできず、トリクロロシランへの転換率が低下すると云う不都合があった。
また、特許文献2に記載されているように、上記逆反応がほとんど生じなくなる300℃以下の温度範囲まで1秒以下の極端に短い時間で急冷することによって上記反応式[3]の逆反応を抑制することが可能である。しかし、このような極端に短い時間で急冷した場合には、冷却過程において、例えば、次式[4]に示すように、反応ガス中に含まれるSiCl2(ジクロロシリレン)がSiCl4と反応してポリマーが副生することが知られている。このSiCl2は、転換反応において高温下で多く生成し、特に1200℃を超える温度下で顕著であり、転換炉から抜き出した反応ガスに含まれている。なお、ポリマーとは、Si2Cl6(クロロジシラン)、Si3Cl8(クロロトリシラン)、Si22Cl4などのように、シリコン2原子以上を含む高次クロロシラン類の総称である。
SiCl2+SiCl4 → Si2Cl6 ・・・[4]
このように、極端に短い時間で急冷した場合には、冷却中のトリクロロシランの分解(式[3]の逆反応)が抑制されて、トリクロロシランの減少量が少なくなるが、ポリマーの生成量が増加し、冷却工程後の配管などにポリマーが堆積するなどの不具合が生じる。一方、冷却速度が遅い場合には、ポリマーの生成量が低減するものの、トリクロロシランの分解が進行してトリクロロシランの回収率が低下する。
このように、転換炉から抜き出した反応ガスは、適切な冷却速度にコントロールする必要がある。しかしながら、転換炉から抜き出した反応ガスは1000℃以上の高温度であり、これを急冷する場合、トリクロロシランが分解しやすい600℃以上の高温度域での冷却速度を適切にコントロールすることは難しい。このため、従来はトリクロロシランの回収率を高めることを優先して、過剰な冷却速度で冷却していた。
そのため、トリクロロシランの回収率は高いが、ポリマーの発生を抑制することができず、配管に付着したポリマー除去作業の負担が大きいと云う問題がある。とくに装置の大型化に伴い冷却速度には分布が生じるため、ガス全体の冷却速度を適切にコントロールすることが困難になり、局部的に冷却速度が極端に大きくなる場合がある。このためポリマーの発生を十分抑えることが難しくなる。
本発明は、従来の上記課題を解決したものであり、転換反応によって生成したガスを冷却する工程において、トリクロロシランの分解とポリマーの生成を効果的に抑制し、ポリマー除去作業の負担が少なく、しかもトリクロロシランの回収率が高いトリクロロシランの製造方法を提供する。
本発明は、以下の構成を有することによって上記課題を解決したトリクロロシランの製造方法と用途に関する。
〔1〕原料のテトラクロロシランと水素とを1000〜1900℃の温度で転換反応させてトリクロロシラン、ジクロロシリレン、塩化水素、および高次シラン化合物を含む反応ガスを生成させ、この反応ガスを冷却してトリクロロシランを回収する方法において、(イ)転換炉から抜き出した反応ガスを冷却開始から0.01秒以内に600℃以上であって2秒以内に500℃以下に冷却する第1冷却工程と、(ロ)第1冷却工程後の反応ガスを500℃以上〜950℃以下の温度範囲に0.01秒以上〜5秒以下の時間保持する中間反応工程と、(ハ)中間反応工程後の反応ガスを500℃未満に冷却する第2冷却工程を有することを特徴とするトリクロロシランの製造方法。
〔2〕第1冷却工程において、反応ガスの到達冷却温度が100℃以上〜500℃以下である上記[1]に記載するトリクロロシランの製造方法。
〔3〕中間反応工程において、反応ガスを550℃以上〜800℃以下に保持する上記[1]または上記[2]に記載するトリクロロシランの製造方法。
〔4〕第1冷却工程で反応ガスを到達冷却温度100℃以上〜500℃未満に冷却し、冷却した反応ガスを中間反応工程で550℃以上〜800℃以下の温度に保持する上記[1]〜上記[3]の何れかに記載するトリクロロシランの製造方法。
〔5〕上記[1]〜上記[4]の何れかに記載する方法によって回収したトリクロロシランを多結晶シリコンの製造原料の一部に用いるトリクロロシランの利用方法。
本発明の製造方法は、原料のテトラクロロシランと水素とを1000〜1900℃の温度で転換反応させてトリクロロシラン、ジクロロシリレン、塩化水素、および高次シラン化合物を含む反応ガスを生成させた後に、転換炉から抜き出した反応ガスを冷却開始から0.01秒以内に600℃以上であって2秒以内に500℃以下に冷却し、好ましくは到達冷却温度が100℃以上〜500℃未満となるように冷却する(第1冷却工程)ので、反応ガスに含まれているトリクロロシランの分解(上記式[3]の逆反応)を効果的に抑制することができる。
上記第1冷却工程では、反応ガスの急冷によってポリマーが少量生成するが、急冷した反応ガスを、中間反応工程において、500℃以上〜950℃以下、好ましくは、550℃以上〜800℃以下の温度範囲に、0.01秒以上〜5秒間以下の時間、保持するので、反応ガスに含まれるポリマーが十分に分解する。一方、中間反応工程において保持温度の上限を950℃以下、好ましくは800℃以下に制限しているので、保持温度は第1冷却工程の冷却開始温度(概ね1000℃以上)よりも十分に低く、従って、反応ガス中のトリクロロシランの分解も少ない。
中間反応工程によってポリマーを分解した反応ガスを、第2冷却工程において最終的に500℃未満に冷却してトリクロロシランを回収する。
本発明の製造方法では、第1冷却工程および中間反応工程を通じて反応ガスに含まれるトリクロロシランの分解とポリマーの生成が抑制されているので、高い回収率でトリクロロシランを回収することができる。また、第2冷却後の反応ガスは実質的にポリマーを含まないので、配管付着などのトラブルを軽減することができ、装置の健全性を維持することができる。
多結晶シリコンの製造から転換反応に至る製造プロセス図。 転換反応における反応温度を生成ガスの関係を示すグラフ。 冷却工程の概念図。 実施例2の温度変化を示すグラフ。
以下、本発明に係るトリクロロシランの製造方法について、実施形態に基づいて具体的に説明する。
本発明のトリクロロシランの製造方法は、原料のテトラクロロシランと水素とを1000〜1900℃の温度で転換反応させてトリクロロシラン、ジクロロシリレン、塩化水素、および高次シラン化合物を含む反応ガスを生成させ、この反応ガスを冷却してトリクロロシランを回収する方法において、(イ)冷却開始から0.01秒以内に600℃以上であって2秒以内に500℃以下に冷却する第1冷却工程と、(ロ)第1冷却工程後の反応ガスを500℃以上〜950℃以下の温度範囲に0.01秒以上〜5秒以下の時間保持する中間反応工程と、(ハ)中間反応工程後の反応ガスを500℃未満に冷却する第2冷却工程を有することを特徴とするトリクロロシランの製造方法である。
〔多結晶シリコン製造工程〕
多結晶シリコンの製造プロセスと転換反応プロセスを図1に示す。図1に示す製造プロセスにおいて、原料のトリクロロシラン(TCS)、水素、テトラクロロシラン(四塩化珪素:STC)が反応炉10に導入される。反応炉10の内部にはシリコン棒が設置されており、赤熱したシリコン棒(約800℃〜1200℃)の表面に接触した上記原料ガスが上記反応[1][2]に従って反応し、生成したシリコンがシリコン棒の表面に析出し、次第に径の太い多結晶シリコン棒に成長する。
〔排ガス処理工程〕
上記反応炉10から排出されるガスには、未反応のトリクロロシラン(TCS)および水素と共に、副生した塩化水素(HCl)、および四塩化珪素(STC)、ジクロロシラン、ヘキサクロロジシランなどのクロロシラン類が含まれる。これらのクロロシラン類を含む排ガスは冷却器11に導かれ、−60℃付近(例えば−65℃〜−55℃)に冷却して凝縮液化される。ここで液化せずにガス状のまま残る水素は分離され、精製工程を経て原料ガスの一部として再び反応炉10に供給され再利用される。
冷却器11で液化されたクロロシラン類を含む凝縮液は蒸留工程12に導入され、トリクロロシラン(TCS)が蒸留分離され、回収したTCSは多結晶シリコンの製造プロセスに戻して再利用される。
次いで、四塩化珪素(STC)が蒸留分離される。この四塩化珪素は水素と共に転換炉13に導入され、1000〜1900℃の温度下で、上記式[3]に示す転換反応によってトリクロロシラン(TCS)が生成される。このTCSを含む反応ガスは冷却工程14を経て凝縮工程15に導入され、TCSが回収される。回収したTCSは多結晶シリコンの製造プロセスに戻され、多結晶シリコンの製造原料として再利用される。
〔転換反応工程〕
原料のテトラクロロシランと水素を含む供給ガスは転換炉13に導入される。供給される原料のテトラクロロシランにはジシラン類を含んでも良いし、またジシラン類を取り除いても良い。転換炉13は1000℃〜1900℃に加熱され、供給された原料ガスが反応してトリクロロシラン、ジクロロシリレン、塩化水素および高次シラン化合物を含む反応ガスが生成される。
転換炉13の加熱温度が1000℃未満であると、転換率や転換速度が小さくなると共に装置が大型になる不都合がある。また、転換炉13の加熱温度が1900℃を超えると転換率は向上せず、生産設備として不経済である。
転換反応において、反応温度に対する反応生成ガスの組成の一例(平衡値)を図2に示す。図示するように、転換反応によって生成するガスには、目的物であるトリクロロシランと共に、未反応のH2、SiCl4、およびHCl、SiCl2、ポリマーなどの副生物が含まれている。
図2のグラフに示すように、転換反応におけるSiCl4の転換量(SiCl4の減少変化量)は温度とともに増加するため、転換反応の反応温度は高い方が好ましく、SiHCl3への転換が最大値付近となり、さらにSiCl2への転換も顕著となる1100℃以上とすることがより好ましい。一方、転換反応の反応温度が高い程、その後に続く第1冷却工程でのトリクロロシランの分解(上記反応式[3]の逆反応)の反応速度も大きくなる。このため、第1冷却工程でのトリクロロシランの分解抑制効果が小さくなり、転換反応工程で高いSiCl4の転換量を得たとしても、第1、第2冷却工程を経て最終的に得られるSiCl4の転換量はそれ程大きくはならない。従って、第1冷却工程での急冷効果を十分に発揮させて冷却後の高いSiCl4転換量を得るためには、最初の転換工程の反応温度は1300℃以下が好ましい。以上のことから、転換反応工程の反応温度は1100〜1300℃が好ましい。
〔冷却工程〕
冷却工程14の一例を図3に示し、反応ガスの冷却温度の変化を図4に示す。図示するように、転換炉13から抜き出された反応ガスは第1冷却工程の第1冷却器21に導入され、冷却開始から0.01秒以内に600℃以上であって2秒以内に500℃以下に冷却される。第1冷却工程後の反応ガスは中間反応工程の中間冷却器22に導入され、500℃以上〜950℃以下の温度範囲に0.01秒以上〜5秒間以下の時間保持される。次いで、中間反応工程後の反応ガスは第2冷却工程の第2冷却器23に導入され、500℃未満に冷却された後にトリクロロシランの蒸留分離工程15に送られる。
〔第1冷却〕
第1冷却工程ではトリクロロシランの分解(上記反応式[3]の逆反応)を十分に抑制する冷却速度で冷却する。具体的には、冷却開始から0.01秒以内に600℃以上であって2秒以内に500℃以下に冷却する。好ましくは、冷却開始から0.01秒以内は600℃以上の温度を有する反応ガスを、0.01秒〜2秒の間に100℃以上〜500℃以下に冷却する。この条件下で冷却すれば、量産規模においても反応ガスに含まれているトリクロロシランの分解(上記式[3]の逆反応)を十分に抑制することができ、しかも過度な冷却条件とならないのでポリマーの生成を少量に抑えることができる。
第1冷却工程において、反応ガスを冷却開始から0.01秒以内は600℃以上であって2秒以内に500℃以下に冷却することによって、反応ガス中のトリクロロシランの分解が抑制される。従って、反応ガス中のトリクロロシラン量の低下を抑制することができる。具体的には、第1冷却工程後の反応ガスに含まれるトリクロロシランの転換率は、実施例1〜15では23%〜26.7%を維持している。また、上記冷却条件によってポリマーの生成が抑制され、反応ガス中のポリマー生成率を0.1%〜2%程度にすることができる。具体的には、実施例1〜15では第1冷却工程後の反応ガスに含まれるポリマー生成率は0.1%〜1.6%である。
冷却の速度を上記条件よりも速めた場合、すなわち反応ガスを冷却開始から0.01秒未満の時間内に600℃未満まで冷却すると、トリクロロシランの分解は抑制されるものの、ポリマーの生成量が2〜3%以上になり、中間反応工程での負荷が増加する。具体的には、中間反応工程でポリマーを十分に分解するために必要な反応温度や反応時間が増大するため、加熱に必要な熱量が大きくなり、また中間反応工程の反応容器が大型化するため好ましくない。一方、第1冷却の冷却速度が上記条件よりも遅いと、反応ガス中のトリクロロシランの分解が進行し、トリクロロシランの回収率が低下するので好ましくない。
第1冷却工程の到達冷却温度は、2秒以内に500℃以下が適当であり、100℃以上〜500℃以下が好ましい。500℃以下に到達する時間が2秒より長いと反応ガスに含まれるトリクロロシランの分解が進行する。例えば、実施例14〜15は冷却到達時間が実施例1〜13よりも長く0.5秒、2.0秒であり、冷却到達時間は2秒以内であるが、反応ガス中のトリクロロシラン量が低下し、TCS転換率が23.0%〜23.9%と低くなる傾向がみられる。
また、第1冷却工程において、反応ガスを100℃未満まで冷却すると、反応ガス中のクロロシラン類が装置内に凝縮したり析出することがあるので好ましくない。冷却到達温度が100℃以上であればこの凝縮や析出が生じ難く、反応ガスを気体のままハンドリングすることができる。なお、第1冷却工程において反応ガスの一部が凝縮した場合には、これを中間反応工程に導入する際には予熱してガス化した後に供給することが好ましい。
〔中間反応〕
第1冷却後の反応ガスを中間反応工程の中間冷却器22に導入し、500℃以上〜950℃以下、好ましくは、550℃以上〜800℃以下の温度範囲に0.01秒以上〜5秒以下の時間保持する。第1冷却後の反応ガスを上記温度範囲に保持することによって、トリクロロシランの分解を抑制しつつ、第1冷却において生成したポリマーを分解することができる。
図4に示すように、例えば、第1冷却において、反応ガスを冷却開始から0.01秒以内は600℃以上であって2秒以内に100℃〜500℃に冷却した後(図4では到達冷却温度300℃)、中間反応工程において、冷却温度をやや高めて550℃以上〜800℃以下の温度範囲(図4では550℃)に保持することによって、第1冷却工程において生成したポリマーの分解反応を進めることができる。また、この温度範囲ではトリクロロシランの分解が抑制されるので、トリクロロシランの含有量が実質的に減少しない。
さらに、第1冷却工程は1000℃以上の転換反応温度からの短時間の急冷工程であるのに対して、中間反応工程は第1冷却工程の厳しい冷却速度とは異なるので、冷却温度のコントロールが容易である。
中間反応工程の保持温度が500℃未満では、ポリマーの分解反応が非常に遅く、生成したポリマーを減少させることができない。例えば、比較例2の中間反応工程の保持温度は480℃であるため、第2冷却工程後の反応ガスに含まれるポリマー生成率は0.8%と高い。
一方、中間反応工程の保持温度が950℃を超えると、トリクロロシランの分解反応速度が大きくなり、反応ガス中のトリクロロシラン含有量が減少する。例えば、比較例2は中間反応工程の保持温度が960℃であるため、第2冷却工程後の反応ガス中のトリクロロシラン量が減少し、TCS転換率は23.7%に低下している。さらに、中間反応工程の保持温度が高すぎるとポリマーを生成させるジクロロシリレン(SiCl2)の量が増加するため、第2冷却時にポリマーを再び発生させることになるため好ましくない。また、中間反応温度が950℃を上回ると、この温度に加熱するための熱量が大きくなり不経済である。
中間反応工程において、反応ガスを上記温度範囲に保持する時間は0.01秒以上〜5秒以下である。この保持時間が0.01秒未満ではポリマーの分解が十分に行われず、一方、保持時間が5秒を越えてもポリマーの分解量は変化せず、むしろ装置が大型化するため不経済である。
中間反応工程の好ましい温度範囲は550℃以上〜800℃以下である。この温度範囲ではポリマーの分解反応が約0.02秒〜約3秒で進行するため、中間反応工程の設備が比較的小型化できるとともに温度や反応時間のコントロールも容易になる。
中間反応工程において、第1冷却後の反応ガスを上記温度範囲に上記時間保持することによって、第1冷却工程において生成したポリマーは反応ガス中の塩化水素と反応してトリクロロシランやテトラクロロシランに分解するので、ポリマー量を低減することができる。
〔第2冷却〕
中間反応工程後の反応ガスは第2冷却工程の第2冷却器23に導入され、500℃未満に再び冷却された後にトリクロロシランの蒸留分離工程15に送られる。
〔ガスの導入〕
第1冷却工程において、第1冷却器21にテトラクロロシラン(SiCl4)および水素の少なくとも一方を導入するとよい。第1冷却工程で反応ガス中のSiCl4濃度およびH2濃度を高めることによって、冷却初期にトリクロロシランの生成を促し、トリクロロシランの分解を抑制することができる。
第1冷却工程に導入するSiCl4およびH2の導入量は、転換工程において供給するSiCl4のモル量を1とした場合、いずれも0.01〜10モル比の範囲が好ましい。この導入量が0.01未満では、導入によるトリクロロシランの増加量が小さく、10を超えて供給してもトリクロロシランの増加量に大きな変化はなく不経済である。
中間反応工程において、塩化水素を中間冷却器22に導入することによって、ポリマーの分解によるトリクロロシランの生成をさらに促進することができる。導入する塩化水素量は、転換反応において供給するSiCl4のモル量を1とした場合、0.01〜10モル比の範囲が好ましい。この導入量が0.01未満では、導入によるポリマーの分解反応への効果が小さく、10を超えて供給しても分解反応への効果は大きくならず不経済である。
第2冷却工程において、350℃以上の温度域で、反応ガスに塩化水素を混合することによって、塩化水素とポリマーとの反応を促進させ、わずかに残留するポリマーを消失させると共に分解生成物の一つであるトリクロロシランを生成させ、トリクロロシランの回収率を高めることできる。
以下に本発明の実施例を比較例と共に示す。これらの結果を表1に示した。なお、表1のSiHCl3転換率(mol%-Si)は原料の四塩化珪素(SiCl4)に対するトリクロロシランの生成割合(SiHCl3/SiCl4)であり、ポリマー生成率(mol%-Si)は原料の四塩化珪素(SiCl4)に対する生成したポリマーに含まれるシリコンの割合(ポリマー中Si/SiCl4)である。
〔実施例1〜11〕
水素と四塩化珪素の混合ガス(H2とSiCl4のモル比2.0、H2/SiCl4=2.0)の混合ガスを原料に使用し、転換炉に原料ガスを導入し、1100℃にて反応させた。反応後の生成ガスを第1冷却器に導入して300℃まで冷却した。冷却開始から0.01秒での反応ガス温度および冷却到達温度(冷却下限温度)、冷却下限温度に到達時間を表1に示した。この第1冷却後の反応ガスを中間冷却器に導入して、冷却温度をやや上げて表1に示す温度および時間に保持した。中間冷却後の反応ガスを第2冷却器に導入し、再び冷却温度を下げて200℃まで0.3秒以内に冷却した。第1冷却後の反応ガスに含まれるトリクロロシランンの転換率およびポリマーの生成率、第2冷却後の反応ガスに含まれるトリクロロシランの転換率およびポリマーの生成率を表1に示した。
〔実施例12〜15〕
第1冷却工程の冷却条件を表1に示すように設定した以外は実施例1と同様の条件下で転換反応を行い、反応後の生成ガスを第1冷却器に導入して冷却した。冷却開始から0.01秒での反応ガス温度および冷却到達温度(冷却下限温度)、冷却下限温度に到達時間を表1に示した。この第1冷却後の反応ガスを中間冷却器に導入して、冷却温度をやや上げて表1に示す温度および時間に保持した。中間冷却後の反応ガスを第2冷却器に導入し、再び冷却温度を下げて200℃まで0.3秒以内に冷却した。第1冷却後の反応ガスに含まれるトリクロロシランンの転換率およびポリマーの生成率、第2冷却後の反応ガスに含まれるトリクロロシランの転換率およびポリマーの生成率を表1に示した。
〔比較例1〜4〕
第1冷却工程の冷却条件を表1に示すように設定した以外は実施例1と同様の条件下で転換反応を行い、反応後の生成ガスを第1冷却器に導入して冷却した。冷却開始から0.01秒での反応ガス温度および冷却到達温度(冷却下限温度)、冷却下限温度に到達時間を表1に示した。この第1冷却後の反応ガスを中間冷却器に導入して、冷却温度をやや上げて表1に示す温度および時間に保持した。中間冷却後の反応ガスを第2冷却器に導入し、再び冷却温度を下げて200℃まで0.3秒以内に冷却した。第1冷却後の反応ガスに含まれるトリクロロシランンの転換率およびポリマーの生成率、第2冷却後の反応ガスに含まれるトリクロロシランの転換率およびポリマーの生成率を表1に示した。
表1に示すように、実施例1〜15は何れも、トリクロロシランの転換率が23%以上であるが、ポリマーの生成率は0.2%以下であり、トリクロロシランを効率よく回収することができ、しかもポリマー量が大幅に少なく、設備に付着するポリマーを除去する負担が格段に軽減される。
一方、比較例1は、第1冷却工程の冷却開始から0.01秒時の冷却温度が低過ぎる例(440℃)であり、トリクロロシランの転換率は実施例1と同程度であるが、ポリマーの生成率は0.5%であり、実施例1よりもポリマーが多く生成する。
比較例2は、中間反応工程の保持温度が高過ぎる例(960℃)であり、トリクロロシランの転換率が低く、かつポリマー生成率も高い。
比較例3は、中間反応工程の保持温度が低く(480℃)、保持時間が長い例であり、トリクロロシランの転換率は実施例1に近いが、ポリマーの生成率が高い。
比較例4は第1冷却工程での冷却速度が遅い場合(2.4秒で500℃)で、かつ中間反応工程を行わない例であり、第1冷却工程の後に直接第2冷却工程で200℃まで冷却した。このためポリマーへの転換率は低く抑えられたものの、トリクロロシランの転換率が20%と低い。
Figure 2010132536
10−反応炉、11−冷却器、12−蒸留工程、13−転換炉、14−冷却工程、15−TCS蒸留分離工程、21−第1冷却器、22−中間冷却器、23−第2冷却器。

Claims (5)

  1. 原料のテトラクロロシランと水素とを1000〜1900℃の温度で転換反応させてトリクロロシラン、ジクロロシリレン、塩化水素、および高次シラン化合物を含む反応ガスを生成させ、この反応ガスを冷却してトリクロロシランを回収する方法において、
    (イ)転換炉から抜き出した反応ガスを冷却開始から0.01秒以内に600℃以上であって2秒以内に500℃以下に冷却する第1冷却工程と、
    (ロ)第1冷却工程後の反応ガスを500℃以上〜950℃以下の温度範囲に0.01秒以上〜5秒以下の時間保持する中間反応工程と、
    (ハ)中間反応工程後の反応ガスを500℃未満に冷却する第2冷却工程を有することを特徴とするトリクロロシランの製造方法。
  2. 第1冷却工程において、反応ガスの到達冷却温度が100℃以上〜500℃以下である請求項1に記載するトリクロロシランの製造方法。
  3. 中間反応工程において、反応ガスを550℃以上〜800℃以下に保持する請求項1または請求項2に記載するトリクロロシランの製造方法。
  4. 第1冷却工程で反応ガスを到達冷却温度100℃以上〜500℃以下に冷却し、冷却した反応ガスを中間反応工程で550℃以上〜800℃以下の温度に保持する請求項1〜請求項3の何れかに記載するトリクロロシランの製造方法。
  5. 請求項1〜請求項4の何れかに記載する方法によって回収したトリクロロシランを多結晶シリコンの製造原料の一部に用いるトリクロロシランの利用方法。
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