JP2008265665A - チップアップ・スライド式自動車用シート - Google Patents

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Abstract

【課題】部品点数を極力低減して構造を簡素化することにより安価に製造できるチップアップ・スライド式自動車用シートを提供すること。
【解決手段】シートクッション2が着座状態にあり補助ロック部材48がスライドロック領域に位置している場合には、ロック部材16のロック歯が第1のロック孔に噛み合うことでシートSを所定の位置に保持する一方、シートクッション2が着座状態にあり補助ロック部材48が非ロック領域に位置している場合には、チップアップ機構の一部をリンク機構の一部44に当接させることにより補助ロック部材48と連携させてロック部材16のロック歯と第1のロック孔との噛み合いを解除するようにした。
【選択図】図6

Description

本発明は、前後方向に複数列のシートを有するワンボックスカー等に使用されるチップアップ・スライド式自動車用シートに関する。
従来のチップアップ・スライド式自動車用シートは、ワンボックスカー等のセカンドシートあるいはサードシートに採用され、これらのシートのシートクッションをシートバックに向かって跳ね上げて前後方向にスライドさせることにより乗員のウォークインスペースを確保したり荷物スペースを拡大できるように構成されている。このようなシートには、着座時シートベルトが所定の機能を発揮できる着座領域と、着座領域より広くシートクッションのチップアップ時にスライド可能なチップアップ・スライド領域とが設けられており、着座領域でシートをロックするための着座用ロックと、シートクッションのチップアップ時にシートをロックするためのチップアップ用ロックとが設けられている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2005−22551号公報
しかしながら、特許文献1に記載の自動車用シートは、着座用ロックとチップアップ用ロックを設けた構成なので、車体フロアに固定されるロワレールには、着座用ロックと噛み合うロック孔とチップアップ用ロックと噛み合うロック孔の2種類のロック孔が必要となり、部品点数が多く、各部品を取り付けるスペースが過大となるばかりでなく、構造が複雑になることからコストアップを惹起するという問題があった。
本発明は、従来技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであり、部品点数を極力低減して構造を簡素化することにより安価に製造できるチップアップ・スライド式自動車用シートを提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明のうちで請求項1に記載の発明は、シートクッションと、該シートクッションの後部に設けられたシートバックと、前記シートクッション及び前記シートバックを車体前後方向に摺動させるためのスライド装置と、前記シートクッションを前記シートバックに向かって跳ね上げるためのチップアップ機構と、を備えたチップアップ・スライド式自動車用シートであって、前記スライド装置は、車体フロアに固定されるロワレールと、該ロワレールに摺動自在に取り付けられたアッパーレールを備え、該アッパーレールは、ロック歯を有するロック部材と、該ロック部材から離隔した補助ロック部材と、前記ロック部材と前記補助ロック部材とを連携させるリンク機構とを有する一方、前記ロワレールは、その第1の領域及び該第1の領域とは異なる第2の領域に形成され前記ロック部材のロック歯と噛み合う複数の第1のロック孔と、前記第1の領域にのみ形成され前記補助ロック部材の一部と噛み合う複数の第2のロック孔とを有し、前記シートクッションが着座状態にあり前記補助ロック部材が前記第1の領域に位置している場合には、前記ロック部材のロック歯が前記第1のロック孔に噛み合うことでシートを所定の位置に保持する一方、前記シートクッションが着座状態にあり前記補助ロック部材が前記第2の領域に位置している場合には、前記チップアップ機構の一部を前記リンク機構の一部に当接させることにより前記補助ロック部材と連携させて前記ロック部材のロック歯と前記第1のロック孔との噛み合いを解除するようにしたことを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、前記シートクッションが前記シートバックに向かって跳ね上げられたチップアップ位置にある場合、前記第1及び第2の領域において、前記チップアップ機構の一部と前記リンク機構の一部との当接を解除し、前記補助ロック部材の位置にかかわらず、前記ロック部材を前記第1のロック孔に噛み合い可能に構成したことを特徴とする。
さらに、請求項3に記載の発明は、前記チップアップ機構が、前記シートクッションに回動自在に取り付けられたシートリンクと、前記シートクッションに回動自在に取り付けられ前記シートリンクをロック可能なリンクロックとを有し、前記リンク機構の一部と当接する前記チップアップ機構の一部が前記シートリンクであることを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、前記リンクロックで前記シートリンクをロックすることにより前記シートクッションを着座状態あるいは跳ね上げ状態に保持するようにしたことを特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、前記シートリンクがガイド溝を有する一方、前記リンクロックが前記ガイド溝に遊挿されたロックピンを有し、前記ガイド溝の第1の位置に前記ロックピンが嵌入して前記シートクッションを前記着座状態に保持する一方、前記ガイド溝の第2の位置に前記ロックピンが嵌入して前記シートクッションを前記跳ね上げ状態に保持するようにしたことを特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、前記ガイド溝が、第1ガイド溝と、該第1ガイド溝に連通する第2ガイド溝と、該第2ガイド溝に連通する第3ガイド溝とで構成されるとともに略U字状に形成され、前記第1の位置が前記第1ガイド溝であり、前記第2の位置が前記第3ガイド溝であることを特徴とする。
また、請求項7に記載の発明は、前記ロック部材を前記ロワレールの長手方向の中心線上に配置する一方、前記補助ロック部材を前記中心線上からずれた位置に配置したことを特徴とする。
本発明によれば、シートクッションが着座状態にあり補助ロック部材が第1の領域に位置している場合には、ロック部材のロック歯が第1のロック孔に噛み合うことで、シートを所定の位置に保持する一方、シートクッションが着座状態にあり補助ロック部材が第2の領域に位置している場合には、チップアップ機構の一部をリンク機構の一部に当接させることにより補助ロック部材と連携させてロック部材のロック歯と第1のロック孔との噛み合いを解除するようにしたので、着座用ロックとチップアップ用ロックを共用することができる。したがって、部品点数が低減して構造が簡素になり、安価なチップアップ・スライド式自動車用シートを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1はワンボックスカー等に設けられるセカンドシートあるいはサードシートを示しており、本発明に係るチップアップ・スライド式自動車用シートSを採用している。このシートSは、スライド装置(後述)に取り付けられチップアップ可能なシートクッション2と、スライド装置にリクライニング装置4を介して傾倒自在に取り付けられたシートバック6を備えている。
このシートSは、シートクッション2が着座可能な状態の場合、図1(a)に示される実線と2点鎖線の領域内でスライドできるが、図1(b)の実線と2点鎖線で示される領域内ではロック可能に構成されているのに対し、それ以外の領域ではロックできないように構成されている。また、図1(c)に示されるように、シートクッション2をシートバック6に向かって跳ね上げたチップアップ状態では、スライド可能領域の全範囲においてロック可能に構成されている。なお、非ロック領域においては、シートベルトは所定の機能を発揮することができない。
本発明に係るチップアップ・スライド式自動車用シートSが取り付けられるスライド装置8は、車体フロアに固定され略U字状の断面形状を有する長尺のロワレール10(図5乃至図8参照)と、図2及び図3に示されるように、ロワレール10に摺動自在に取り付けられ逆L字状の断面形状を有するアッパーレール12とを備えており、アッパーレール12には、ロワレール10内に収容されアッパーレール12をロワレール10に対し摺動させるための複数の転動体14が設けられている。
アッパーレール12はさらに、先端部(下端部)にロック歯16aが形成されたロックプレート(ロック部材)16がガイド溝12aに沿って上下動自在に取り付けられており、ロワレール10の上部壁の長手方向中心線に沿って形成された上部開口部(図示せず)にロックプレート16は遊挿されて、ロワレール10の底壁に所定の間隔で形成された多数のロック孔10a(図8参照)に対向してロック歯16aが嵌入自在に構成されている。
このロックプレート16の上部でアッパーレール12の内面側には、中間部がアッパーレール12に回動自在に連結されたロックリンク18の後端部が連結されており、ロックリンク18の前端部の上方に位置するアッパーレール12の上壁部にはロック解除リンク挿入孔12bが矩形状に形成されている。また、ロックリンク18の上縁部には、ロックリンク18の一部を折曲して形成されたばね係止片18aが設けられており、このばね係止片18aに一端が係止されたコイルばね20の他端をアッパーレール12に立設されたばね係止ピン22に係止することによりロックリンク18は図2の矢印Aの方向に付勢されている。
また、アッパーレール12にはシートクッションフレームの一部を構成するサイドフレーム24が取り付けられ、このサイドフレーム24に中間部が回動自在に取り付けられたスライドロック解除部材26の先端部に、上述したロック解除リンク挿入孔12bに遊挿されるロック解除リンク28が下方に向かって突出するように形成されている。したがって、スライドロック解除部材26はロックリンク18の略真上に位置しており、その後端部は、例えばコイルばね(図示せず)により矢印Bの方向に付勢された操作部材30に連結されている。
操作部材30は円弧状に形成された長孔30aを有し、インナケーブル32aの一端に連結されたケーブル係止ピン34が長孔30aに遊挿されている。インナケーブル32aはアウタケーブル32bに摺動自在に収容されており、インナケーブル32aとアウタケーブル32bとでワイヤケーブル32を構成している。アウタケーブル32bの一端は、操作部材30の近傍に設けられたケーブル固定部材36に保持されており、ワイヤケーブル32はシートクッション2の下方を通過して、インナケーブル32aの他端はシートクッション2の前端部下方に設けられたスライドロック解除レバー(図示せず)に連結されている。
図3に示されるように、アッパーレール12の外面側には、中間部に長孔38aが形成された第1の揺動リンク38が設けられており、その前端部は、アッパーレール12に立設されたピン40に回動自在に取り付けられている。また、第1の揺動リンク38の後端部にはピン42が取り付けられ、このピン42は、その後方に位置する第2の揺動リンク44の先端部に形成された長孔44aに遊挿されている。
さらに、第2の揺動リンク44の中間部には、ピン46を介して補助ロックプレート(補助ロック部材)48の上端部が連結されており、補助ロックプレート48は、アッパーレール12にガイド溝12cに沿って上下動自在に取り付けられるとともに、例えばコイルばね(図示せず)により上方に付勢されている。また、補助ロックプレート48はロワレール10の上部開口部に遊挿され、その先端部(下端部)は、ロワレール10の底壁に所定の間隔で形成された複数のロック孔10b(図8参照)に対向して嵌入自在に構成されている。
第2の揺動リンク44の後端部には、第2の揺動リンク44の一部を折曲して形成された当接片44bが形成されており、第2の揺動リンク44の後端部下方にはアッパーレール12の一部を折曲して形成された別の当接片12dが形成されている。
一方、サイドフレーム24には、車内の荷物スペース等を確保するため、シートクッション2の前端部をシートバック6に向かって跳ね上げるためのチップアップ機構50が設けられており、このチップアップ機構50は、サイドフレーム24の前端部に一端(前端)が回動自在に取り付けられた連結軸52と、二つの突設部を有するシートリンク54を備えている。連結軸52の他端(後端)は、シートクッション2が取り付けられるシートクッションフレーム56に回動自在に取り付けられており、連結軸52の前端には渦巻ばね58の一端(内端)が係止されるとともに、渦巻ばね58の他端(外端)はサイドフレーム24に立設されたピン60に係止されており、渦巻ばね58の弾性力により連結軸52は矢印Cの方向(シートクッション2の跳ね上げ方向)に付勢されている。
なお、シートバック6が取り付けられるシートバックフレーム62はサイドフレーム24に取り付けられている。
シートリンク54は、第1突設部54aと、この第1突設部54aと略同じ方向に延び補助ロックプレート48の上下動を規制する第2突設部54bを有している。また、シートリンク54は、シートクッションフレーム56における連結軸52の取付部後方において、第1突設部54aの先端部が回動自在に取り付けられており、シートリンク54の中間部は回動軸64を介してサイドフレーム24に回動自在に取り付けられている。
また、シートリンク54の略中央部にはガイド溝54cが形成されており、このガイド溝54cは、回動軸64の近傍から第1突設部54aと第2突設部54bとの間に向かって延びる第1ガイド溝54c1と、回動軸64から見て第1ガイド溝54c1の遠位端から円弧状に延びる第2ガイド溝54c2と、第2ガイド溝54c2から略直交する方向に回動軸64に向かって円弧状に延びる第3ガイド溝54c3とで構成され、第1乃至第3ガイド溝54c1,54c2,54c3は互いに連通して全体として略U字状に形成されている。
また、サイドフレーム24の内面側には、図4に示されるリンクロック66の一端(上端)が回動自在に取り付けられており、リンクロック66の他端(下端)にはロックピン68が立設されている。このロックピン68は、サイドフレーム24に形成された円弧状のガイド溝24aと上述したシートリンク54のガイド溝54cに遊挿されている。
さらに、リンクロック66におけるロックピン68の両側には、リンクロック66の一部を折曲して形成されたケーブル係止片66aとばね係止片66bとが設けられており、ケーブル係止片66aにはインナケーブル70aの一端が係止される一方、ばね係止片66bにはコイルばね72の一端が係止されている。
図5に示されるように、インナケーブル70aはアウタケーブル70bに摺動自在に収容されており、インナケーブル70aとアウタケーブル70bとでワイヤケーブル70を構成している。アウタケーブル70bの一端は、リンクロック66の後方に設けられたケーブル固定部材74に保持されており、ワイヤケーブル70はシートクッション2の内部を通過して、インナケーブル70aの他端はシートクッション2の前端部下方に設けられたリンクロック解除レバー76に連結され、アウタケーブル70bの他端はリンクロック解除レバー76の後方のシートクッションフレームに設けられたケーブル固定部材78に保持されている。
一方、コイルばね72の他端は、サイドフレーム24に立設されたばね係止ピン80に係止されており、コイルばね72の弾性力でリンクロック66は矢印Dの方向に付勢されている。
上記構成の本発明に係るチップアップ・スライド式自動車用シートSの作用を図5乃至図8を参照しながら以下説明する。
図5は、シートクッション2が図1(b)に示される着座状態にあり、シートSはスライドロック領域に保持されている。この状態では、ロックプレート16のロック歯16aは、ロワレール10のロック孔10aに嵌入し、補助ロックプレート48の先端部(下端部)はロック孔10bに嵌入しているので、シートSはその位置に保持されている。
ここで、ロックプレート16及び補助ロックプレート48と、ロック孔10a,10bとの関係について図8を参照しながら説明する。
図8において、ロック孔10aはロックプレート16のロック歯16aが嵌入するための孔で、ロック孔10bは補助ロックプレート48の先端部が嵌入するための孔である。ロックプレート16のロック歯16aが、図2あるいは図3に示されるように3枚歯の場合、ロック孔10aは隣接する三つの孔(10a1,10a2等)を一組として3枚歯を受け入れる。また、ロックプレート16はロワーレール10の長手方向の中心線上に位置しており、図8の一点鎖線に沿って移動するのに対し、補助ロックプレート48はロワーレール10の長手方向の中心線より外側にずれた線上に位置しており、図8の二点鎖線に沿って移動する。したがって、ロック孔10bは、図8の略中央部の破線で示されるように、ロワーレール10の長手方向の中心線より外側にずれた線上で補助ロックプレート48の肉厚より多少大きく形成すればよいが、本実施の形態では、ロック孔10bは、ロワーレール10の長手方向の中心線に対し左右対称に形成し、その幅をロック孔10aの幅より広く設定し照いる。これは、ロワレール10がシートSの両側に設けられ、同一形状のロワレール10を左右一対のロワレール10に共用するためである。
また、ロックプレート16と補助ロックプレート48の前後方向の間隔は一定のため、ロックプレート16のロック歯16aが嵌入する三つのロック孔10aに対しロック孔10bは所定の間隔で形成されている。例えば、ロックプレート16のロック歯16aが三つのロック孔10a1に嵌入している場合、補助ロックプレート48はロック孔10b1に嵌入することになり、ロックプレート16のロック歯16aが三つのロック孔10a2に嵌入している場合、補助ロックプレート48はロック孔10b2に嵌入することになる。したがって、三つのロック孔10aと一つのロック孔10bが対となって形成された領域がスライドロック領域となり、その前後に非ロック領域が形成されている。
スライドロック領域においては、上述したように、ロックプレート16のロック歯16aが隣接する三つのロック孔10aに嵌入し、補助ロックプレート48がロック孔10bに嵌入しているので、第1及び第2の揺動リンク38,44は略水平で直線状に延在している。また、シートクッション2は着座状態にあり、リンクロック66のロックピン68はシートリンク54のガイド溝54cのうちガイド溝54c1の回動軸64寄りの端部(第1のロック位置)に嵌入している。したがって、連結軸52は渦巻ばね58の弾性力により矢印Cの方向に付勢され、シートクッション2は上方に付勢されているが、シートリンク54はロックピン68によりロックされているので、シートクッション2も着座状態にロックされている。
シートSをスライドロック領域内で前後方向に移動したい場合には、シートクッション2の前端部下方に設けられたスライドロック解除レバーを操作すると、ワイヤケーブル32を構成するインナケーブル32aが引っ張られ、操作部材30がコイルばねの弾性力に抗して矢印Bの逆方向に回転する。したがって、スライドロック解除部材26の後端部が持ち上げられてスライドロック解除部材26が回転するので、その前端部が下降して、ロック解除リンク28がアッパーレール12の上壁部に形成されたロック解除リンク挿入孔12bに嵌入する。その結果、ロックリンク18の前端部がロック解除リンク28により下方に押圧されることになり、ロックリンク18がコイルばね20の弾性力に抗して矢印Aの逆方向に回転して、ロックプレート18が上昇するので、ロックプレート16のロック歯16aとロワレール10のロック孔10aとの噛み合いが解除される。
また、ロックプレート18が上昇すると、図6に示されるように、第1の揺動リンク38がアッパーレール12に立設されたピン40回りに回転するので、第1及び第2の揺動リンク38,44の連結部(あるいは連結ピン42)が上昇する。この時、第2の揺動リンク44の当接片44bはシートリンク54の第2突設部54bと当接して下方に押圧されており、第2の揺動リンク44の後端部はシートリンク54の第2突設部54bとアッパーレール12の当接片12dとの間に挟持されているので、ピン46を介して第2の揺動リンク44に連結された補助ロックプレート48が上昇して、その先端部とロワレール10のロック孔10bとの噛み合いも解除される。
したがって、シートSを前後方向に移動させることが可能となるので、スライドロック領域の所望の位置でスライドロック解除レバーから手を離すと、上述した各部材がロック解除時とは逆の動作を行う。その結果、ロックプレート16及び補助ロックプレート48が下降して、対応するロック孔10a,10bと再び噛み合うことになり、シートSはその位置に保持される。
一方、シートクッション2が着座状態にある場合に、ロックプレート16及び補助ロックプレート48が上昇した状態で、シートSを非ロック領域まで移動させると、補助ロックプレート48の下方にはもはや補助ロックプレート48と噛み合うロック孔10bは存在しないので、補助ロックプレート48は図6に示される上昇位置に保持される。この時、ロックプレート16も上昇位置に保持されており、ロック孔10aと噛み合うことがないので、シートSはスライド可能な状態となる。したがって、乗員は、その位置ではシートベルトが本来の機能を発揮できないことを容易に認識することができ、スライドロック領域以外で乗員がシートSに着座した状態での自動車の運転を防止することができる。
次に、図1(c)に示されるシートクッション2のチップアップ状態時のシートSの前後移動について図5及び図7を参照しながら説明する。
荷物スペースの拡大等の理由でシートクッション2をチップアップしたい場合には、図5に示されるリンクロック解除レバー76の先端(下端)を持ち上げると、ワイヤケーブル70のインナケーブル70aが引っ張られて、リンクロック66がコイルばね72の弾性力に抗して矢印Dの逆方向に回転する。したがって、ロックピン68は、図5の第1のロック位置を離脱し、シートリンク54の第1ガイド溝54c1に沿って後方に移動する。ロックピン66が第1のロック位置を離脱すると、渦巻ばね58の弾性力により、あるいは渦巻ばね58の弾性力に補助されてシートクッション2の前端部をシートバック6に向かって跳ね上げると、図7に示されるように、リンクロック66のロックピン68はシートリンク54の第2ガイド溝54c2に沿って移動する(実際には、ロックピン68が停止した状態で、シートリンク54が回動軸64回りに回転する)。
ロックピン68がシートリンク5の第3ガイド溝54c3まで到達し、リンクロック解除レバー76から手を離すと、リンクロック66はコイルばね72の弾性力により矢印Dの方向に回転することになり、ロックピン68は第3ガイド溝54c3の回動軸64寄りの端部(第2のロック位置)に嵌入する(図7のハッチング参照)。
この状態(図7の状態)は、シートクッション2が最も跳ね上げられた状態であり、図1(c)に示されるように、シートクッション2はシートバック6に当接している。すなわち、図7はシートクッション2の跳ね上げ位置を示しており、シートリンク54はリンクロック66のロックピン68によりロックされ、したがって、シートクッション2も跳ね上げ位置にロックされている。
この状態では、シートリンク54の第2突設部54bは第2の揺動リンク44の当接片44bから離隔して、もはや当接片44bを押圧することがないので、第2の揺動リンク44は自由に回転できる状態となる。したがって、補助ロックプレート48がロック孔10bに嵌入しているかどうかに関係なく、ロックプレート16はスライドロック解除レバーの操作により、ロック孔10aとの噛み合いあるいはその解除が可能となるので、シートSのスライド可能領域の全領域がスライドロックできる領域となる。
本発明に係るチップアップ・スライド式自動車用シートは、着座用ロックとチップアップ用ロックを共用することができるので、部品点数が低減して構造が簡素になり、安価で組み立てが容易なチップアップ・スライド式自動車用シートを提供する上で有用である。
本発明に係るチップアップ・スライド式自動車用シートの側面図であり、(a)及び(b)はシートクッションが着座状態の場合を、(c)はシートクッションがチップアップ状態の場合をそれぞれ示している。 図1のシートに設けられたスライド装置を構成するアッパーレールとその上部に取り付けられるサイドフレームの分解斜視図である。 図2のアッパーレールとサイドフレームの別の分解斜視図である。 サイドフレームに取り付けられるリンクロックの斜視図である。 シートクッションが着座状態にあり、シートがスライドロック領域に保持されているときのシートの部分側面図である。 シートクッションの着座状態においてシートロックを解除したときのシートの部分側面図である。 シートクッションのチップアップ状態においてシートをロックしたときのシートの部分側面図である。 スライド装置を構成するロワレールの底壁の平面図である。
符号の説明
2 シートクッション、 4 リクライニング装置、 6 シートバック、
8 スライド装置、 10 ロワレール、 12 アッパーレール、
12a ガイド溝、 12b ロック解除リンク挿入孔、 12c ガイド溝、
12d 当接片、 14 転動体、 16 ロックプレート、 16a ロック歯、
18 ロックリンク、 18a ばね係止片、 20 コイルばね、
22 ばね係止ピン、 24 サイドフレーム、 24a ガイド溝、
26 スライドロック解除部材、 28 ロック解除リンク、 30 操作部材、
30a 長孔、 32 ワイヤケーブル、 32a インナケーブル、
32b アウタケーブル、 34 ケーブル係止ピン、 36 ケーブル固定部材、
38 第1の揺動リンク、 38a 長孔、 40 ピン、 42 ピン、
44 第2の揺動リンク、 44a 長孔、 44b 当接片、 46 ピン、
48 補助ロックプレート、 50 チップアップ機構、 52 連結軸、
54 シートリンク、 54a 第1突設部、 54b 第2突設部、
54c ガイド溝、 54c1 第1ガイド溝、 54c2 第2ガイド溝、
54c3 第3ガイド溝、 56 シートクッションフレーム、 58 渦巻ばね、
60 ピン、 62 シートバックフレーム、 64 回動軸、 66 リンクロック、
66a ケーブル係止片、 66b ばね係止片、 68 ロックピン、
70 ワイヤケーブル、 70a インナケーブル、 70b アウタケーブル、
72 コイルばね、 74 ケーブル個体部材、 76 リンクロック解除レバー、
78 ケーブル固定部材、 80 ばね係止ピン、 S シート。

Claims (7)

  1. シートクッションと、該シートクッションの後部に設けられたシートバックと、前記シートクッション及び前記シートバックを車体前後方向に摺動させるためのスライド装置と、前記シートクッションを前記シートバックに向かって跳ね上げるためのチップアップ機構と、を備えたチップアップ・スライド式自動車用シートであって、
    前記スライド装置は、車体フロアに固定されるロワレールと、該ロワレールに摺動自在に取り付けられたアッパーレールを備え、該アッパーレールは、ロック歯を有するロック部材と、該ロック部材から離隔した補助ロック部材と、前記ロック部材と前記補助ロック部材とを連携させるリンク機構とを有する一方、前記ロワレールは、その第1の領域及び該第1の領域とは異なる第2の領域に形成され前記ロック部材のロック歯と噛み合う複数の第1のロック孔と、前記第1の領域にのみ形成され前記補助ロック部材の一部と噛み合う複数の第2のロック孔とを有し、前記シートクッションが着座状態にあり前記補助ロック部材が前記第1の領域に位置している場合には、前記ロック部材のロック歯が前記第1のロック孔に噛み合うことでシートを所定の位置に保持する一方、前記シートクッションが着座状態にあり前記補助ロック部材が前記第2の領域に位置している場合には、前記チップアップ機構の一部を前記リンク機構の一部に当接させることにより前記補助ロック部材と連携させて前記ロック部材のロック歯と前記第1のロック孔との噛み合いを解除するようにしたことを特徴とするチップアップ・スライド式自動車用シート。
  2. 前記シートクッションが前記シートバックに向かって跳ね上げられたチップアップ位置にある場合、前記第1及び第2の領域において、前記チップアップ機構の一部と前記リンク機構の一部との当接を解除し、前記補助ロック部材の位置にかかわらず、前記ロック部材を前記第1のロック孔に噛み合い可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載のチップアップ・スライド式自動車用シート。
  3. 前記チップアップ機構が、前記シートクッションに回動自在に取り付けられたシートリンクと、前記シートクッションに回動自在に取り付けられ前記シートリンクをロック可能なリンクロックとを有し、前記リンク機構の一部と当接する前記チップアップ機構の一部が前記シートリンクであることを特徴とする請求項1あるいは2に記載のチップアップ・スライド式自動車用シート。
  4. 前記リンクロックで前記シートリンクをロックすることにより前記シートクッションを着座状態あるいは跳ね上げ状態に保持するようにしたことを特徴とする請求項3に記載のチップアップ・スライド式自動車用シート。
  5. 前記シートリンクがガイド溝を有する一方、前記リンクロックが前記ガイド溝に遊挿されたロックピンを有し、前記ガイド溝の第1の位置に前記ロックピンが嵌入して前記シートクッションを前記着座状態に保持する一方、前記ガイド溝の第2の位置に前記ロックピンが嵌入して前記シートクッションを前記跳ね上げ状態に保持するようにしたことを特徴とする請求項4に記載のチップアップ・スライド式自動車用シート。
  6. 前記ガイド溝が、第1ガイド溝と、該第1ガイド溝に連通する第2ガイド溝と、該第2ガイド溝に連通する第3ガイド溝とで構成されるとともに略U字状に形成され、前記第1の位置が前記第1ガイド溝であり、前記第2の位置が前記第3ガイド溝であることを特徴とする請求項5に記載のチップアップ・スライド式自動車用シート。
  7. 前記ロック部材を前記ロワレールの長手方向の中心線上に配置する一方、前記補助ロック部材を前記中心線上からずれた位置に配置したことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のチップアップ・スライド式自動車用シート。
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