JP7283092B2 - 乗物用シート - Google Patents

Description

本開示は、乗物に搭載される乗物用シートに関する。

例えば、特許文献１に記載の乗物用シートは、シート本体をシート前方側に大きくスライド変位させる機能（例えば、ウォークイン機能）を備える。当該機能（以下、ロングスライド機能ともいう。）の作動時においては、シートバックがシート前方側に大きく回転する作動に連動してシートクッションを着座可能位置から上方側に回転変位させるチップアップ機能が作動する。

さらに、特許文献１に記載の発明は、ロングスライド機能が作動してシート本体が最前方までスライドしたときに、シート本体のスライドを規制するロック機構を備える。当該ロック機構は、シートクッションが着席可能状態にあるときには、当該規制が解除される。

特開２００５－２２５５１号公報

特許文献１に記載に記載の発明では、シート本体が最前方までスライドしたときに、大きな荷重が作用してシートクッションが着席可能状態になると、ロック機構の規制が解除されてしまう。

本開示は、上記点に鑑み、シート本体が前方側に大きくスライドしたときに、上記ロック機構の規制が解除されてしまうことを抑制可能な乗物用シートの一例を開示する。

乗物に搭載される乗物用シートは、例えば、以下の構成要件のうち少なくとも１つを備えることが望ましい。
すなわち、当該構成要件は、着席者の臀部を支持するためのシートクッション（３）であって、後端側を中心に上下方向に回転可能なシートクッション（３）と、着席者の背部を支持するためのシートバック（５）であって、下端側を中心にシート前後方向に回転可能なシートバック（５）と、シートクッション（３）及びシートバック（５）を有するシート本体（２）をスライド可能に支持するスライド装置（１０）と、スライド装置（１０）に設けられ、シートクッション（３）及びシートバック（５）が着席可能状態にあるときに、シート本体（２）のスライドを規制可能な第１ロック機構（１３）と、シートバック（５）がシート前方側に回転する作動に連動してシートクッション（３）を着座可能位置から上方側に回転変位させるチップアップ機構（２０）と、スライド装置（１０）に設けられた第２ロック機構（１４）であって、チップアップ機構（２０）の作動によりシートクッション（３）の仰角が予め決められた角度を超えたときにシート本体（２）のスライドを規制し、かつ、当該仰角が予め決められた解除角度以下となったときに当該規制を解除する第２ロック機構（１４）と、チップアップ機構（２０）が作動したときに、仰角が解除角度以下となることを規制する規制部（３０）とである。

これにより、当該乗物用シートでは、チップアップ機構（２０）によりシートバック（５）が回転しているときにシートクッション（３）が着席可能状態になることが抑制される。したがって、当該乗物用シートでは、シート本体（２）が前方側に大きくスライドしたときに、第２ロック機構（１４）が解除されてしまうことが抑制され得る。

なお、当該乗物用シートは、以下の構成であってもよい。
チップアップ機構（２０）は、シートクッション（３）を着座可能位置に保持するための第３ロック機構として、係合ピン（２１）及び係合フック（２２）を有しており、係合ピン（２１）は、シートクッション（３）に設けられ、係合フック（２２）は、係合ピン（２１）と係合する係合位置と当該係合が解除された非係合位置との間で回転変位可能であり、規制部（３０）は係合フック（２２）に設けられ、かつ、係合ピン（２１）が規制部（３０）に接触することにより、チップアップ機構（２０）が作動したときに、仰角が解除角度以下となることが規制されることが望ましい。これにより、当該乗物用シートは、既存の係合フック（２２）を利用して第２ロック機構（１４）が解除されてしまうことを抑制でき得る。

シートクッション（３）の回転中心をクッション中心（Ｏｓ）とし、係合フック（２２）の回転中心をフック中心（Ｏｆ）とし、規制部（３０）のうち係合ピン（２１）との接触点を接点（Ｐｃ）とし、当該接点（Ｐｃ）とフック中心（Ｏｆ）とを通る仮想線を経線（Ｌｏ）としたとき、規制部（３０）は曲面にて構成され、かつ、接点（Ｐｃ）における曲率中心は、経線（Ｌｏ）上、又は当該経線（Ｌｏ）よりクッション中心（Ｏｓ）側に位置することが望ましい。これにより、係合ピン（２１）により係合フック（２２）が押圧されても、当該係合フック（２２）が係合位置に回転変位してしまうことが抑制される。

係合フック（２２）には、係合ピン（２１）が出入り可能な略Ｕ字状の凹部（２２Ａ）、及び当該凹部（２２Ａ）の内壁面と連なるように当該凹部（２２Ａ）から離間する向きに延出する押出斜面（２２Ｂ）が設けられており、押出斜面（２２Ｂ）は、係合フック（２２）が係合位置側から非係合位置側に回転変位する際に、係合ピン（２１）を凹部（２２Ａ）から離間させる力を当該係合ピン（２１）に作用させるように構成されていることが望ましい。これにより、第３ロック機構が確実に解除され得る。

係合ピン（２１）と押出斜面（２２Ｂ）とが接触しているときの当該押出斜面（２２Ｂ）を接触時押出斜面としたとき、当該接触時押出斜面は、凹部（２２Ａ）から離間するほどクッション中心（Ｏｓ）からの距離が大きくなるように構成された面であることが望ましい。これにより、第３ロック機構が確実に解除され得る。

チップアップ機構（２０）は、シートバック（５）の回転作動に連動して回転変位するとともに、先端側に押圧ピン（２３Ａ）が設けられた回転プレート（２３）を有し、係合フック（２２）には、回転プレート（２３）の回転変位に連動して押圧ピン（２３Ａ）が滑り接触するとともに、当該滑り接触時に係合フック（２２）を回転変位させる力を受ける第１カム面（２３Ｃ）及び第２カム面（２３Ｄ）が設けられており、押圧ピン（２３Ａ）は、第１カム面（２３Ｃ）を経由して第２カム面（２３Ｄ）に到達する際に、係合フック（２２）を係合位置側から非係合位置側に回転変位させる力を第１カム面（２３Ｃ）及び第２カム面（２３Ｄ）に作用させ、さらに、第１カム面（２３Ｃ）及び第２カム面（２３Ｄ）は、押圧ピン（２３Ａ）が第２カム面（２３Ｄ）に接触している際の係合フック（２２）の回転変位角度が、押圧ピン（２３Ａ）が第１カム面（２３Ｃ）に接触している際の係合フック（２２）の回転変位角度に比べて小さくなるように構成されていることが望ましい。これにより、係合ピン（２１）が規制部（３０）と接触不可となる位置まで係合フック（２２）が回転変位してしまうことが抑制され得る。

第１カム面（２３Ｃ）の曲率中心は、当該第１カム面（２３Ｃ）を挟んで押圧ピン（２３Ａ）と反対側に位置し、第２カム面（２３Ｄ）の曲率中心は、当該第２カム面（２３Ｄ）に対して押圧ピン（２３Ａ）と同一側に位置することが望ましい。これにより、係合ピン（２１）が規制部（３０）と接触不可となる位置まで係合フック（２２）が回転変位してしまうことが抑制され得る。

係合フック（２２）には、係合フック（２２）が非係合位置にあるときに押圧ピン（２３Ａ）が接触する第３カム面（２３Ｅ）が設けられており、さらに、第３カム面（２３Ｅ）は、押圧ピン（２３Ａ）が当該第３カム面（２３Ｅ）から第２カム面（２３Ｄ）側に変位する際に、係合フック（２２）を非係合位置側から係合位置側に回転変位させる力を発生させるように構成されていることが望ましい。これにより、係合フック（２２）が確実に係合位置側に回転変位でき得る。

第３カム面（２３Ｅ）は、回転プレート（２３）の回転中心からの距離が、第２カム面（２３Ｄ）に近づくほど大きくなるように構成された面であることが望ましい。これにより、係合フック（２２）が確実に係合位置側に回転変位でき得る。

係合フック（２２）が係合位置側から非係合位置側に回転変位する際に、当該係合フック（２２）が予め決められた位置を越えることを規制する第２の規制部（２２Ｃ）を備えることが望ましい。これにより、係合ピン（２１）が規制部（３０）と接触不可となる位置まで係合フック（２２）が回転変位してしまうことが確実に抑制され得る。

因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されるものではない。

第１実施形態に係る乗物用シートを示す図である。 第１実施形態に係るチップアップ機構及びスライド装置等を示す図である。 第１実施形態に係るメインロック機構及びサブロック機構を示す図である。 第１実施形態に係るメインロック機構及びサブロック機構を示す図である。 第１実施形態に係るチップアップ機構等を示す図である。 第１実施形態に係るチップアップ機構等を示す図である。 第１実施形態に係るチップアップ機構等を示す図である。 第１実施形態に係るチップアップ機構等を示す図である。 第１実施形態に係るチップアップ機構等を示す図である。 第１実施形態に係るチップアップ機構等を示す図である。 第１実施形態に係るチップアップ機構等を示す図である。 第１実施形態に係るチップアップ機構等を示す図である。

以下の「発明の実施形態」は、本開示の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されるものではない。

少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位は、「１つの」等の断りがされた場合を除き、少なくとも１つ設けられている。つまり、「１つの」等の断りがない場合には、当該部材は２以上設けられていてもよい。本開示に示された発明は、少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位等の構成要素を備える。

本実施形態は、車両等の乗物に搭載されるシート（以下、乗物用シートという。）に本開示に係るシートが適用された例である。各図に付された方向を示す矢印等は、各図相互の関係を理解し易くするために記載されたものである。斜線等の付された図は、必ずしも断面を示すものではない。

したがって、本開示に示された発明は、各図に付された方向に限定されるものではない。各図に示された方向は、本実施形態に係る乗物用シートが車両に組み付けられた状態における方向である。

（第１実施形態）
１．乗物用シートの概要
乗物用シート１は、図１に示されるように、シート本体、スライド装置１０、チップアップ機構２０（図２参照）及び規制部３０（図７参照）等を少なくとも備える。シート本体２は、シートクッション３及びシートバック５等を少なくとも有する。

シートクッション３は着席者の臀部を支持するための部位である。シートバック５は着席者の背部を支持するための部位である。スライド装置１０は、シート本体２をスライド可能に支持するための装置である。

シートクッション３は、シート前後方向後端側を中心に上下方向に回転可能である。具体的には、当該シートクッション３は、着座可能位置（図１の実線で示す位置）と当該着座可能位置から上方側に回転変位したチップアップ位置（図１の二点鎖線で示す位置）との間で変位可能である。

シートバック５は、下端側を中心にシート前後方向に回転可能である。具体的には、当該シートバック５は、着座可能位置（図１の実線で示す位置）と当該着座可能位置からシート前方側に回転変位した位置（図１の二点鎖線で示す位置）との間で変位可能である。

２．スライド装置
＜スライド装置の概要＞
シート本体２は、２つのスライド装置１０によりスライド可能に支持される。２つのスライド装置１０のうち第１のスライド装置１０は、シート幅方向一端側（例えば、左端側）に配置される。２つのスライド装置１０のうち第２のスライド装置１０は、シート幅方向他端側（例えば右端側）に配置される。

第１のスライド装置１０の構成と第２のスライド装置１０の構成とは、概ね同一の構成である。以下の説明は、シート幅方向一端側に配置された第１のスライド装置１０（以下、スライド装置１０と略す。）に関する説明である。

スライド装置１０は、図２に示されるように、固定レール１１、可動レール１２、メインロック機構１３及びサブロック機構１４等を少なくとも有する。固定レール１１は、乗物に直接的又は間接的に固定される部材である。

本実施形態に係る固定レール１１の長手方向は、乗物（車両）の前後方向に一致している。当該固定レール１１の長手方向寸法は、シートクッション３のシート前後長より大きいロングレールである。

可動レール１２は、固定レール１１に対してスライド可能である。当該可動レール１２はシート本体２が固定される部材である。具体的には、シートクッション３の骨格を構成するクッションフレーム３Ａは、チップアップ機構２０を介して可動レール１２に固定されている。

＜メインロック機構及びサブロック機構＞
メインロック機構１３は、シートクッション３及びシートバック５が着席可能状態にあるときに、シート本体２のスライドを規制可能な第１ロック機構の一例である。つまり、メインロック機構１３は、着席可能状態時において、利用者の操作に応じて可動レール１２のスライドを規制又は解除するための機構である。なお、利用者は、着席者及び乗物用シート１を利用する者等である。

サブロック機構１４は、シート本体２のスライドを規制可能な第２ロック機構の一例である。具体的には、サブロック機構１４は、シートクッション３の仰角が予め決められた角度を超えたときにシート本体２のスライドを規制し、かつ、当該仰角が予め決められた解除角度以下となったときに当該規制を解除する。

「シートクッション３の仰角が予め決められた角度を超えたとき」とは、例えば、チップアップ機構２０の作動により、シートクッション３がチップアップ位置（図１の二点鎖線で示され位置）となったときをいう。

メインロック機構１３の構成とサブロック機構１４の構成は、概ね同じである。具体的には、メインロック機構１３及びサブロック機構１４それぞれは、カンヌキ部材１３Ａ、１４Ａを有する。

カンヌキ部材１３Ａ、１４Ａは、固定レール１１及び可動レール１２と係合する係合位置（図３参照）と当該係合が解除された解除位置との間で変位可能である。具体的には、図３に示されるように、固定レール１１及び可動レール１２それぞれには、カンヌキ部材１３Ａ、１４Ａが貫通可能なロック穴１１Ａ、１２Ａが設けられている。

換言すれば、カンヌキ部材１３Ａ、１４Ａは、ロック穴１１Ａ、１２Ａを貫通する係合位置（図３に示される位置）と、ロック穴１１Ａ、１２Ａのうち少なくとも一方から抜け出た解除位置との間で変位可能である。

カンヌキ部材１３Ａ、１４Ａが係合位置にある状態では、可動レール１２のスライドが規制される。カンヌキ部材１３Ａ、１４Ａが解除位置にある状態では、当該規制が解除されて可動レール１２がスライド可能となる。

メインロック機構１３及びサブロック機構１４それぞれは、各カンヌキ部材１３Ａ、１４Ａに弾性力を作用させるロックバネ（図示せず。）を有する。各ロックバネは、各カンヌキ部材１３Ａ、１４Ａを係合位置に維持する弾性力を発揮する。

各カンヌキ部材１３Ａ、１４Ａには、被操作部１３Ｂ、１４Ｂが設けられている。各被操作部１３Ｂ、１４Ｂに、例えば紙面下向きの操作力が作用すると、操作力が作用したカンヌキ部材１３Ｂ、１４Ｂは、解除位置に変位する。

当該操作力が消失すると、カンヌキ部材１３Ａ、１４Ａは、ロックバネにより係合位置に復帰する。メインロック機構１３及びサブロック機構１４それぞれは、図４に示されるように、操作レバー１３Ｃ、１４Ｃを有する。

操作レバー１３Ｃ（以下、第１操作レバー１３Ｃという。）は、カンヌキ部材１３Ａの被操作部１３Ｂに操作力を作用させるための操作部材である。操作レバー１４Ｃ（以下、第２操作レバー１４Ｃという。）は、カンヌキ部材１４Ａの被操作部１４Ｂに操作力を作用させるための操作部材である。

メインロック機構１３及びサブロック機構１４それぞれには、第１操作レバー１３Ｃ及び第２操作レバー１４Ｃそれぞれに弾性力を作用させるレバー用バネ（図示せず。）が設けられている。

当該レバー用バネそれぞれは、第１操作レバー１３Ｃ及び第２操作レバー１４Ｃそれぞれを被操作部１３Ｂ、１４Ｂから離間させる向きの弾性力を発揮する。第１操作レバー１３Ｃは、操作リンク１５を介して操作力を受けて回転したとき、被操作部１３Ｂに操作力を作用させる。

具体的には、操作リンク１５が、図４に示す位置からシート後方側に引かれたときに、第１操作レバー１３Ｃが回転して被操作部１３Ｂが押圧されるため、メインロック機構１３が解除状態となる。操作リンク１５が図４に示す位置に復帰すると、操作力が消失してメインロック機構１３が係合状態に復帰する。

操作リンク１５は、利用者がロングスライド機能（ウォークイン機能）の作動指示操作をしたときに、図４に示す位置からシート後方側に変位する。シートバック５がシート前方側に倒伏した位置（図１の二点鎖線）から着座可能位置に復帰すると、操作リンク１５が図４に示す位置に復帰する。

シートクッション３（クッションフレーム３Ａ）には、第３操作レバー３Ｂが設けられている。第３操作レバー３Ｂは、シートクッション３と共に一体的に変位する。そして、第３操作レバー３Ｂは、シートクッション３が着座可能状態にあるときに、第２操作レバー１４Ｃに操作力を作用させる。

つまり、シートクッション３が着座可能状態にあるときには、被操作部１４Ｂは、第２操作レバー１４Ｃ及び第３操作レバー３Ｂを介して操作力が作用し続ける状態に保持される。このため、シートクッション３が着座可能状態にあるときには、カンヌキ部材１４Ａは、解除位置に保持されるので、サブロック機構１４による規制は解除される。

シートクッション３がチップアップ位置に変位すると、第３操作レバー３Ｂが変位するとともに、レバー用バネの弾性力により第２操作レバー１４Ｃが被操作部１４Ｂから離間する。このため、シートクッション３がチップアップ位置となると、カンヌキ部材１４Ａが係合位置となるので、サブロック機構１４により可動レール１２のスライドが規制される。

３．チップアップ機構
＜チップアップ機構の概略＞
チップアップ機構２０は、シートバック５がシート前方側に回転する作動に連動してシートクッション３を着座可能位置からチップアップ位置に回転変位させるための機構である。当該チップアップ機構２０は、利用者による操作指示がされたときに作動する。

チップアップ機構２０は、図５に示されるように、係合ピン２１、係合フック２２、回転プレート２３及びチップアップ用バネ（図示せず。）等を少なくとも有している。チップアップ用バネは、シートクッション３をチップアップ位置側に向けて回転変位させる弾性力を発揮する。

係合ピン２１は、シートクッション３に設けられている。当該係合ピン２１は、ブラケット３Ｃを介してクッションフレーム３Ａに固定されている。係合フック２２は、係合位置（図５参照）と被係合位置（図６～図９参照）との間で回転変位可能である。

係合位置は、係合ピン２１と係合フック２２とが係合可能となる位置である。非係合位置は、係合ピン２１と係合フック２２との係合状態が解除可能となる位置である。なお、係合フック２２は、ブラケット（図示せず。）を介して可動レール１２等に連結固定されている。

係合ピン２１と係合フック２２とが係合した状態では、シートクッション３が着座可能位置に保持される。つまり、係合ピン２１及び係合フック２２は、シートクッション３を着座可能位置に保持する第３ロック機構として機能する。

そして、係合フック２２が係合位置にあるときには、第１操作レバー１３Ｃが被操作部１３Ｂから離間した位置となり、かつ、第２操作レバー１４Ｃが被操作部１４Ｂに操作力を作用可能な位置となる（図５参照）。

つまり、係合フック２２が係合位置にあるときには、カンヌキ部材１３Ａが係合位置となってメインロック機構１３がロック状態となり、カンヌキ部材１４Ａが解除位置となってサブロック機構１４が非ロック状態となる。

係合フック２２が非係合位置にあるときには、第１操作レバー１３Ｃが被操作部１３Ｂに操作力を作用可能な位置となり、かつ、第２操作レバー１４Ｃが被操作部１４Ｂから離間した位置となる（図６～図９参照）。

つまり、係合フック２２が非係合位置にあるときには、カンヌキ部材１３Ａが解除位置となってメインロック機構１３が非ロック状態となり、カンヌキ部材１４Ａが係合位置となってサブロック機構１４がロック状態となる。

＜係合フック＞
係合フック２２は、図１０に示されるように、軸部材２４Ａにより回転可能に支持されている。当該係合フック２２は、フックバネ（図示せず。）から常に弾性力を受けている。当該弾性力は、係合フック２２を係合位置に向けて回転させる向きの力である。

当該係合フック２２には、凹部２２Ａ（図１の太い実線で示された範囲）、及び押出斜面２２Ｂ等が少なくとも設けられている。凹部２２Ａは、係合ピン２１が出入り可能な略Ｕ字状の溝部である（図５～図１０参照）。

押出斜面２２Ｂは、図１０に示されるように、凹部２２Ａの内壁面と連なるように当該凹部２２Ａから離間する向きに延出するとともに、係合ピン２１と接触可能な面である。当該押出斜面２２Ｂは、離間力が発生可能に構成されている。

離間力は、係合ピン２１を係合フック２２から離間させる力であって、係合フック２２が係合位置側から非係合位置側に回転変位する際に、当該係合ピン２１に作用させる力である。

具体的には、押出斜面２２Ｂは、係合ピン２１と押出斜面２２Ｂとが接触しているときの当該押出斜面２２Ｂ、つまり、図１０に示される状態の押出斜面２２Ｂ（以下、接触時押出斜面という。）は、凹部２２Ａから離間するに応じてクッション中心Ｏｓからの距離が大きくなるように構成された面である。

すなわち、クッション中心Ｏｓは、シートクッション３の回転中心である。接触時押出斜面のうち凹部２２Ａ側端部におけるクッション中心Ｏｓからの距離Ｌ１とし、当該端部から離間した位置におけるクッション中心Ｏｓからの距離Ｌ２としたとき、Ｌ２＞Ｌ１である。

クッションフレーム３Ａには、図９に示されるように、第２の規制部２２Ｃが設けられている。第２の規制部２２Ｃは、係合フック２２が係合位置側から非係合位置側に回転変位する際に、当該係合フック２２が予め決められた位置を越えることを規制する。

具体的には、第２の規制部２２Ｃは、クッション中心Ｏｓに設けられている。係合フック２２が係合位置側から非係合位置側に回転変位する際に、当該係合フック２２は、第２の規制部２２Ｃに接触する。これにより、係合フック２２が予め決められた位置を越えて回転することが規制される。

＜回転プレート＞
回転プレート２３は、図７に示されるように、軸部材２４Ｂを介して回転可能に支持されている。軸部材２４Ｂの中心軸線は、第２操作レバー１４Ｃの回転中心軸線と一致している。軸部材２４Ｂは、操作リンク１５を挟んでクッション中心Ｏｓと反対側に配置されている。

回転プレート２３は、軸部材２４Ｃを介して操作リンク１５に対して回転可能に連結されている。このため、操作リンク１５が変位すると、回転プレート２３は、操作リンク１５と連動して軸部材２４Ｂを中心として回転変位する。つまり、回転プレート２３は、シートバック５の回転作動に連動して回転変位する。

回転プレート２３のうち軸部材２４Ｂから離間した位置、つまり回転プレート２３の先端側には押圧ピン２３Ａが設けられている。押圧ピン２３Ａは、回転プレート２３が回転する際に、図１１に示される第１カム面２３Ｃ～第３カム面２３Ｅのいずれかと滑り接触しながら回転プレート２３と一体的に回転変位する。

＜第１カム面、第２カム面及び第３カム面＞
第１カム面２３Ｃ～第３カム面２３Ｅは係合フック２２に設けられている。第１カム面２３Ｃ及び第２カム面２３Ｄは、回転プレート２３の回転変位時に押圧ピン２３Ａと滑り接触する。

これにより、第１カム面２３Ｃ及び第２カム面２３Ｄには、係合フック２２を非係合位置に向けて回転変位させる力を押圧ピン２３Ａから受ける。つまり、操作リンク１５が紙面右側に向けて変位すると、係合フック２２は、第１カム面２３Ｃ又は第２カム面２３Ｄから力を受けて非係合位置に向けて変位する。

具体的には、押圧ピン２３Ａは、第１カム面２３Ｃを経由して第２カム面２３Ｄに到達する際に、係合フック２２を係合位置側から非係合位置側に回転変位させる力を第１カム面２３Ｃ及び第２カム面２３Ｄに作用させる。

そして、第１カム面２３Ｃ及び第２カム面２３Ｄは、第２回転変位角度が第１回転変位角度に比べて小さくなるように構成されている。第１回転変位角度は、押圧ピン２３Ａが第１カム面２３Ｃに接触している際の係合フック２２の移動角度である。第２回転変位角度は、押圧ピン２３Ａが第２カム面２３Ｄに接触している際の係合フック２２の移動角度である。

具体的には、第１カム面２３Ｃの曲率中心は、当該第１カム面２３Ｃを挟んで押圧ピン２３Ａと反対側に位置する（図１０参照）。第２カム面２３Ｄの曲率中心は、当該第２カム面２３Ｄに対して押圧ピン２３Ａと同一側に位置する（図８参照）。

第３カム面２３Ｅは、図１１に示されるように、係合フック２２が非係合位置にあるときに押圧ピン２３Ａが接触する面である。第３カム面２３Ｅは、押圧ピン２３Ａが当該第３カム面２３Ｅから第２カム面２３Ｄ側に変位する際に、係合フック２２を非係合位置側から係合位置側に回転変位させる力を発生させるように構成されている。

具体的には、当該第３カム面２３Ｅは、回転プレート２３の回転中心からの距離が、第２カム面２３Ｄに近づくほど大きくなるように構成された面である。つまり、第３カム面２３Ｅのうち第２カム面２３Ｄ側の位置における回転プレート２３の回転中心からの距離Ｌ３は、第３カム面２３Ｅのうち第２カム面２３Ｄと反対側の位置における回転プレート２３の回転中心からの距離Ｌ４より大きい。

４．規制部
規制部３０は、チップアップ機構２０が作動したときに、シートクッション３の仰角が解除角度以下となることを規制する（図１２参照）。具体的には、チップアップ機構２０が作動してシートバック５及びシートクッション３が、図１の二点鎖線で示される位置にあるときには、規制部３０によりシートクッション３が解除角度以下となることが規制される。

規制部３０は、図１２に示されるように、係合フック２２に設けられている。そして、係合ピン２１が規制部３０に接触することにより、チップアップ機構２０が作動したときに、シートクッション３の仰角が解除角度以下となることが規制される。

具体的には、規制部３０は曲面にて構成され、かつ、当該曲面上の接点Ｐｃにおける曲率中心は、経線Ｌｏ上、又は当該経線Ｌｏよりクッション中心Ｏｓ側に位置している。なお、図１２では、曲率中心は経線Ｌｏ上に位置している。

フック中心Ｏｆは係合フック２２の回転中心である。接点Ｐｃは、規制部３０のうち係合ピン２１との接触点である。経線Ｌｏは、接点Ｐｃとフック中心Ｏｆとを通る仮想線である。

５．本実施形態に係る乗物用シートの特徴
本実施形態に係る乗物用シート１は、チップアップ機構２０が作動したときに、シートクッション３の仰角が解除角度以下となることを規制する規制部３０を備える。

これにより、当該乗物用シート１では、シートバック５が回転しているときにシートクッション３が着席可能状態になることが抑制される。したがって、当該乗物用シート１では、シート本体２が前方側に大きくスライドしたときに、サブロック機構１４が解除されてしまうことが抑制され得る。

規制部３０は係合フック２２に設けられ、かつ、係合ピン２１が規制部３０に接触することにより、チップアップ機構２０が作動したときに、仰角が解除角度以下となることが規制される。これにより、当該乗物用シート１は、既存の係合フック２２を利用してサブロック機構１４が解除されてしまうことを抑制でき得る。

規制部３０は曲面にて構成され、かつ、接点Ｐｃにおける曲率中心は、経線Ｌｏ上、又は当該経線Ｌｏよりクッション中心Ｏｓ側に位置する。これにより、係合ピン２１により係合フック２２が押圧されても、当該係合フック２２が係合位置に回転変位してしまうことが抑制される。

係合フック２２の押出斜面２２Ｂは、係合フック２２が係合位置側から非係合位置側に回転変位する際に、係合ピン２１を凹部２２Ａから離間させる力を当該係合ピン２１に作用させる。これにより、第３ロック機構、つまりシートクッション３を着座可能位置に保持する機構が確実に解除され得る。

係合ピン２１と押出斜面２２Ｂとが接触しているときの当該押出斜面２２Ｂを接触時押出斜面としたとき、当該接触時押出斜面は、凹部２２Ａから離間するほどクッション中心Ｏｓからの距離が大きくなるように構成された面である。これにより、第３ロック機構が確実に解除され得る。

第１カム面２３Ｃ及び第２カム面２３Ｄは、第２回転変位角度が第１回転変位角度に比べて小さくなるように構成されている。これにより、係合ピン２１が規制部３０と接触不可となる位置まで係合フック２２が回転変位してしまうことが抑制され得る。

第１カム面２３Ｃの曲率中心は、当該第１カム面２３Ｃを挟んで押圧ピン２３Ａと反対側に位置し、第２カム面２３Ｄの曲率中心は、当該第２カム面２３Ｄに対して押圧ピン２３Ａと同一側に位置する。これにより、係合ピン２１が規制部３０と接触不可となる位置まで係合フック２２が回転変位してしまうことが抑制され得る。

第３カム面２３Ｅは、押圧ピン２３Ａが当該第３カム面２３Ｅから第２カム面２３Ｄ側に変位する際に、係合フック２２を非係合位置側から係合位置側に回転変位させる力を発生させるように構成されている。これにより、係合フック２２が確実に係合位置側に回転変位でき得る。

第３カム面２３Ｅは、回転プレート２３の回転中心からの距離が、第２カム面２３Ｄに近づくほど大きくなるように構成された面である。これにより、係合フック２２が確実に係合位置側に回転変位でき得る。

係合フック２２が係合位置側から非係合位置側に回転変位する際に、当該係合フック２２が予め決められた位置を越えることを規制する第２の規制部２２Ｃを備える。これにより、係合ピン２１が規制部３０と接触不可となる位置まで係合フック２２が回転変位してしまうことが確実に抑制され得る。

（その他の実施形態）
上述の実施形態では、シートクッション３を着座可能位置に保持するため第３ロック機構として、係合ピン２１及び係合フック２２を有していた。しかし、本明細書に係る開示はこれに限定されるものではない。

上述の実施形態では、規制部３０が係合フック２２の先端に設けられていた。しかし、本明細書に係る開示はこれに限定されるものではない。すなわち、当該開示は、例えば、係合フック２２以外の部位に設けられていてもよい。

上述の実施形態に係る規制部３０は、チップアップ機構２０が作動したときに、シートクッション３の仰角が解除角度以下となることを規制した。しかし、本明細書に係る開示はこれに限定されるものではない。

上述の実施形態では、規制部３０は曲面にて構成され、かつ、接点Ｐｃにおける曲率中心は、経線Ｌｏ上に位置していた。しかし、本明細書に係る開示はこれに限定されるものではない。すなわち、当該開示は、例えば、接点Ｐｃが経線Ｌｏよりクッション中心Ｏｓ側に位置する構成、又はその他構成であってもよい
上述の実施形態では、係合フック２２に押出斜面２２Ｂが設けられていた。しかし、本明細書に係る開示はこれに限定されるものではない。すなわち、当該開示は、例えば、押出斜面２２Ｂが廃止された構成であってもよい。

上述の実施形態では、接触時押出斜面は、凹部２２Ａから離間するに応じて、クッション中心Ｏｓからの距離が大きくなるように構成された面であった。しかし、本明細書に係る開示はこれに限定されるものではない。

上述の実施形態では、押圧ピン２３Ａは、第１カム面２３Ｃを経由して第２カム面２３Ｄに到達する際に、係合フック２２を係合位置側から非係合位置側に回転変位させる力を第１カム面２３Ｃ及び第２カム面２３Ｄに作用させる構成であった。しかし、本明細書に係る開示はこれに限定されるものではない。

上述の実施形態では、第１カム面２３Ｃ及び第２カム面２３Ｄは、第２回転変位角度が第１回転変位角度に比べて小さくなるように構成されていた。しかし、本明細書に係る開示はこれに限定されるものではない。

上述の実施形態では、第１カム面２３Ｃの曲率中心は、当該第１カム面２３Ｃを挟んで押圧ピン２３Ａと反対側に位置し、第２カム面２３Ｄの曲率中心は、当該第２カム面２３Ｄに対して押圧ピン２３Ａと同一側に位置する構成であった。しかし、本明細書に係る開示はこれに限定されるものではない。

上述の実施形態では、係合フック２２には、係合フック２２が非係合位置にあるときに押圧ピン２３Ａが接触する第３カム面２３Ｅが設けられていた。しかし、本明細書に係る開示はこれに限定されるものではない。すなわち、当該開示は、例えば、第３カム面２３Ｅが廃止された構成であってもよい。

上述の実施形態では、第３カム面２３Ｅは、押圧ピン２３Ａが当該第３カム面２３Ｅから第２カム面２３Ｄ側に変位する際に、係合フック２２を非係合位置側から係合位置側に回転変位させる力を発生させるように構成されていた。しかし、本明細書に係る開示はこれに限定されるものではない。

上述の実施形態では、第３カム面２３Ｅは、回転プレート２３の回転中心からの距離が、第２カム面２３Ｄに近づくほど大きくなるように構成された面であった。しかし、本明細書に係る開示はこれに限定されるものではない。

上述の実施形態では、係合フック２２が係合位置側から非係合位置側に回転変位する際に、当該係合フック２２が予め決められた位置を越えることを規制する第２の規制部２２Ｃを備えていた。しかし、本明細書に係る開示はこれに限定されるものではない。すなわち、当該開示は、例えば、第２の規制部２２Ｃが廃止された構成であってもよい。

上述の実施形態では、車両に本開示に係る乗物用シートを適用した。しかし、本明細書に開示された発明の適用はこれに限定されるものではなく、鉄道車両、船舶及び航空機等の乗物に用いられるシート、並びに劇場や家庭用等に用いられる据え置き型シートにも適用できる。

さらに、本開示は、上述の実施形態に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも２つの実施形態が組み合わせられた構成、又は上述の実施形態において、図示された構成要件もしくは符号を付して説明された構成要件のうちいずれかが廃止された構成でもよい。

１… 乗物用シート ２… シート本体 ３… シートクッション
３Ａ… クッションフレーム ５… シートバック １０… スライド装置
１３… メインロック機構 １４… サブロック機構
１５… 操作リンク ２０… チップアップ機構 ２１… 係合ピン
２２… 係合フック ３０… 規制部

Claims (11)

1. 乗物に搭載される乗物用シートにおいて、
   着席者の臀部を支持するためのシートクッションであって、後端側を中心に上下方向に回転可能なシートクッションと、
   着席者の背部を支持するためのシートバックであって、下端側を中心にシート前後方向に回転可能なシートバックと、
   前記シートクッション及び前記シートバックを有するシート本体をスライド可能に支持するスライド装置と、
   前記スライド装置に設けられ、前記シートクッション及び前記シートバックが着席可能状態にあるときに、前記シート本体のスライドを規制可能な第１ロック機構と、
   前記シートバックがシート前方側に回転する作動に連動して前記シートクッションを着座可能位置から上方側に回転変位させるチップアップ機構と、
   前記スライド装置に設けられた第２ロック機構であって、前記チップアップ機構の作動により前記シートクッションの仰角が予め決められた角度を超えたときに前記シート本体のスライドを規制し、かつ、当該仰角が予め決められた解除角度以下となったときに当該規制を解除する第２ロック機構と、
   前記チップアップ機構が作動したときに、前記仰角が前記解除角度以下となることを規制する規制部と
   を備え、
   前記チップアップ機構は、前記シートクッションを前記着座可能位置に保持するための第３ロック機構として、係合ピン及び係合フックを有しており、
   前記係合ピンは、前記シートクッションに設けられ、
   前記係合フックは、前記係合ピンと係合する係合位置と当該係合が解除された非係合位置との間で回転変位可能であり、
   前記規制部は前記係合フックに設けられ、かつ、前記係合ピンが前記規制部に接触することにより、前記チップアップ機構が作動したときに、前記仰角が前記解除角度以下となることが規制され、
   前記シートクッションの回転中心をクッション中心とし、前記係合フックの回転中心をフック中心とし、前記規制部のうち前記係合ピンとの接触点を接点とし、当該接点と前記フック中心とを通る仮想線を経線としたとき、
   前記規制部は曲面にて構成され、かつ、前記接点における曲率中心は、前記経線上、又は当該経線より前記クッション中心側に位置する乗物用シート。
2. 前記係合フックは、当該係合フックの外縁から凹んだ位置に、前記係合ピンが出入り可能な略Ｕ字状の凹部が設けられ、
   前記規制部は前記外縁に設けられている請求項１に記載の乗物用シート。
3. 前記係合フックには、前記係合ピンが出入り可能な略Ｕ字状の凹部、及び前記凹部の内壁面と連なるように当該凹部から離間する向きに延出する押出斜面が設けられており、
   前記押出斜面は、前記係合フックが前記係合位置側から前記非係合位置側に回転変位する際に、前記係合ピンを前記係合フックから離間させる力を当該係合ピンに作用させるように構成されている請求項１又は２に記載の乗物用シート。
4. 乗物に搭載される乗物用シートにおいて、
   着席者の臀部を支持するためのシートクッションであって、後端側を中心に上下方向に回転可能なシートクッションと、
   着席者の背部を支持するためのシートバックであって、下端側を中心にシート前後方向に回転可能なシートバックと、
   前記シートクッション及び前記シートバックを有するシート本体をスライド可能に支持するスライド装置と、
   前記スライド装置に設けられ、前記シートクッション及び前記シートバックが着席可能状態にあるときに、前記シート本体のスライドを規制可能な第１ロック機構と、
   前記シートバックがシート前方側に回転する作動に連動して前記シートクッションを着座可能位置から上方側に回転変位させるチップアップ機構と、
   前記スライド装置に設けられた第２ロック機構であって、前記チップアップ機構の作動により前記シートクッションの仰角が予め決められた角度を超えたときに前記シート本体のスライドを規制し、かつ、当該仰角が予め決められた解除角度以下となったときに当該規制を解除する第２ロック機構と、
   前記チップアップ機構が作動したときに、前記仰角が前記解除角度以下となることを規制する規制部と
   を備え、
   前記チップアップ機構は、前記シートクッションを前記着座可能位置に保持するための第３ロック機構として、係合ピン及び係合フックを有しており、
   前記係合ピンは、前記シートクッションに設けられ、
   前記係合フックは、前記係合ピンと係合する係合位置と当該係合が解除された非係合位置との間で回転変位可能であり、
   前記規制部は前記係合フックに設けられ、かつ、前記係合ピンが前記規制部に接触することにより、前記チップアップ機構が作動したときに、前記仰角が前記解除角度以下となることが規制され、
   前記係合フックには、前記係合ピンが出入り可能な略Ｕ字状の凹部、及び前記凹部の内壁面と連なるように当該凹部から離間する向きに延出する押出斜面が設けられており、
   前記押出斜面は、前記係合フックが前記係合位置側から前記非係合位置側に回転変位する際に、前記係合ピンを前記係合フックから離間させる力を当該係合ピンに作用させるように構成されている乗物用シート。
5. 前記係合ピンと前記押出斜面とが接触しているときの当該押出斜面を接触時押出斜面としたとき、当該接触時押出斜面は、前記凹部から離間するに応じて、前記シートクッションの回転中心からの距離が大きくなるように構成された面である請求項３又は４に記載の乗物用シート。
6. 前記チップアップ機構は回転プレートを有し、当該回転プレートは、前記シートバックの回転作動に連動して回転変位するとともに、先端側に押圧ピンが設けられ、
   前記係合フックは、前記回転プレートの回転変位に連動して前記押圧ピンが滑り接触する第１カム面及び第２カム面を有し、
   前記第１カム面及び前記第２カム面は、前記押圧ピンが滑り接触するときに前記係合フックを回転変位させる力を受ける面であり、
   前記押圧ピンは、前記第１カム面を経由して前記第２カム面に到達する際に、前記係合フックを前記係合位置側から前記非係合位置側に回転変位させる力を前記第１カム面及び前記第２カム面に作用させ、
   さらに、前記第１カム面及び前記第２カム面は、前記押圧ピンが前記第２カム面に接触している際の前記係合フックの回転変位角度が、前記押圧ピンが前記第１カム面に接触している際の前記係合フックの回転変位角度に比べて小さくなるように構成されている請求項１ないし５のいずれか１項に記載の乗物用シート。
7. 乗物に搭載される乗物用シートにおいて、
   着席者の臀部を支持するためのシートクッションであって、後端側を中心に上下方向に回転可能なシートクッションと、
   着席者の背部を支持するためのシートバックであって、下端側を中心にシート前後方向に回転可能なシートバックと、
   前記シートクッション及び前記シートバックを有するシート本体をスライド可能に支持するスライド装置と、
   前記スライド装置に設けられ、前記シートクッション及び前記シートバックが着席可能状態にあるときに、前記シート本体のスライドを規制可能な第１ロック機構と、
   前記シートバックがシート前方側に回転する作動に連動して前記シートクッションを着座可能位置から上方側に回転変位させるチップアップ機構と、
   前記スライド装置に設けられた第２ロック機構であって、前記チップアップ機構の作動により前記シートクッションの仰角が予め決められた角度を超えたときに前記シート本体のスライドを規制し、かつ、当該仰角が予め決められた解除角度以下となったときに当該規制を解除する第２ロック機構と、
   前記チップアップ機構が作動したときに、前記仰角が前記解除角度以下となることを規制する規制部と
   を備え、
   前記チップアップ機構は、前記シートクッションを前記着座可能位置に保持するための第３ロック機構として、係合ピン及び係合フックを有し、かつ、前記シートバックの回転作動に連動して回転変位するとともに、先端側に押圧ピンが設けられた回転プレートを有しており、
   前記係合ピンは、前記シートクッションに設けられ、
   前記係合フックは、前記回転プレートの回転変位に連動して前記押圧ピンが滑り接触する第１カム面及び第２カム面を有し、かつ、前記係合ピンと係合する係合位置と当該係合が解除された非係合位置との間で回転変位可能であり、
   前記第１カム面及び前記第２カム面は、前記押圧ピンが滑り接触するときに前記係合フックを回転変位させる力を受ける面であり、
   前記押圧ピンは、前記第１カム面を経由して前記第２カム面に到達する際に、前記係合フックを前記係合位置側から前記非係合位置側に回転変位させる力を前記第１カム面及び前記第２カム面に作用させ、
   さらに、前記第１カム面及び前記第２カム面は、前記押圧ピンが前記第２カム面に接触している際の前記係合フックの回転変位角度が、前記押圧ピンが前記第１カム面に接触している際の前記係合フックの回転変位角度に比べて小さくなるように構成されており、
   前記規制部は前記係合フックに設けられ、かつ、前記係合ピンが前記規制部に接触することにより、前記チップアップ機構が作動したときに、前記仰角が前記解除角度以下となることが規制される乗物用シート。
8. 前記第１カム面の曲率中心は、当該第１カム面を挟んで前記押圧ピンと反対側に位置し、
   前記第２カム面の曲率中心は、当該第２カム面に対して前記押圧ピンと同一側に位置する請求項６又は７に記載の乗物用シート。
9. 前記係合フックには、前記係合フックが前記非係合位置にあるときに前記押圧ピンが接触する第３カム面が設けられており、
   さらに、前記第３カム面は、前記押圧ピンが当該第３カム面から前記第２カム面側に変位する際に、前記係合フックを前記非係合位置側から前記係合位置側に回転変位させる力を発生させるように構成されている請求項６ないし８までのいずれか１項に記載の乗物用シート。
10. 前記第３カム面は、前記回転プレートの回転中心からの距離が、前記第２カム面に近づくほど大きくなるように構成された面である請求項９に記載の乗物用シート。
11. 前記係合フックが前記係合位置側から前記非係合位置側に回転変位する際に、当該係合フックが予め決められた位置を越えることを規制する第２の規制部を備える請求項１ないし１０のいずれか１項に記載の乗物用シート。

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