JP2008261327A - シャフトレス水車起動装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 水管の水流を囲む固定円環部を持つ固定子12と固定子の内側で回転する回転円環部を持つ回転子11を備え、回転子11は回転円環部に永久磁石15を備え、回転円環部の内周に複数のプロペラブレード13を備え、かつ回転円環部の外周を水潤滑軸受17,18を介して固定円環部の内周と咬合させて回転可能に支持したシャフトレス水車1において、シャフトレス水車1の起動時に電力を供給して回転子11を運動させることにより軸受17,18が流体潤滑領域に置かれた状態にして、水流を供給し回転子11を回転させて発電する。プロペラブレード13に異物が絡んだときは、水車を一時停止後に再起動させたり逆回転させたりすることにより、異物を簡単に除去することができる。
【選択図】 図1
Description
シャフトレス水車発電装置は、水流により回転子を回転させて固定子から電力を回収する横軸プロペラ水車の1種であるが、水車と発電機を一体構造とするため、電機子鉄心と電機子コイルを備えた円環状の固定子を水管途中に設け、外周に永久磁石を備え内周に翼車を備えた円環状の回転子を固定子の内側で回転するようにしたものである。
シャフトレス水車では、ロータの軸受がロータの外周部に取り付けられ、周速が大きいので、作動流体として粘性の低い水を用いることができる。
このように、水潤滑軸受方式が採用されるため潤滑油が不要で、オイルシールなどの複雑な封入機構を要せず環境汚染のおそれが少ない。また、封入機構などで発生する騒音に悩まされることもない。
このシャフトレス水車では、水管の水流をプロペラブレードに通して回転子を回転させることにより発電する。
しかし、本願発明者らにより鋭意研究の結果、シャフトレス水車では、水車を大型化するといくら水流を増加させても水車の起動ができない場合が生じるという重大な問題があることが判明した。
水車が起動するためには、水流により発生する水車翼の回転トルクが、水流により発生するスラスト力や軸受荷重と軸受の静止摩擦係数で決まる摩擦力に起因する摩擦トルクを超える必要がある。
このため、普通の水車とは異なり、水流を増加させて回転力を大きくしても水車の起動が行えない場合が生じる。
さらに、たとえば静圧軸受を用いて水車の起動時に水車を浮かせてから水流を当てる方法が考えられるが、機構が複雑になってコストアップが避けられず、メンテナンスコストも増加する。
この方法も水車の静止摩擦が過剰で起動が困難な状況に対応するものであるが、揚水運転であって発電運転ではなく、しかも水車は水流で回転させることができるので、本願発明の動機となった水量を増大させても水車が回転しない状況に陥る水車の起動装置に適用することはできない。
なお、水流は、回転子が動く前からプロペラブレード部分に供給していてもよく、また回転子が動くのを待ってから供給してもよい。
特に、定格回転数になるまで水車を電動機として駆動してから水流の供給を始めて、徐々に流量を増やしていって発電機運転に切り換えていくと、円滑な立ち上がりができる。
本発明が対象とするシャフトレス水車発電装置では、大多数の枝木類はプロペラブレード部で破砕されて下流に流れるので問題がない。ただし、ポリ袋などの異物は水車翼に絡んで、水流を阻害して出力低下や運転不能状態に陥れることがあった。
なお、異物が水車に咬み込むと、流量が減って出力低下が生じたり、水流が止まったりするので、流量や出力を監視することにより検出することができる。
異物処理手順を含むシャフトレス水車起動方法を用いることにより、シャフトレス水車発電装置は、格子やフィルタの設置費用およびメンテナンス費用を軽減して、より効率的な運転が可能になる。
回転子の回転を支持する軸受は、固定子の内側に設けられたラジアル軸受とスラスト軸受で、回転子の外周と側面に作用するように配置されている。
大型のシャフトレス水車が動かない原因は、水車の重量が大きくて過大な静止摩擦力が生じるため水流による水車の回転トルクでは水車を起動するには不足することであるので、水車に電力を与えて電動機として駆動して一旦水車を動かすことにより軸受に静摩擦力より数段小さい動摩擦力が作用するようにして、課題を解決したものである。
水車に電力を供給するための装置は、従来使用していたインバータ装置を活用して起動シーケンスを変更することによって構成することができるので、コストの高騰を招くことはない。
図1は本実施例のシャフトレス水車起動装置のブロック図、図2はシャフトレス水車の構成図、図3はシャフトレス水車の起動時における限界摩擦係数をしめすグラフ、図4はシャフトレス水車起動時におけるタイムチャート、図5はシャフトレス水車起動工程のフロー図である。また、図6は従来の横軸プロペラ水車の構成図である。
シャフトレス水車1の上流に水量制御弁4を備える。
シャフトレス水車1に水流を通すと発電するので、水車で発電した電力を電力制御盤5に供給する。電力制御盤5はコンバータ部51とインバータ部52で構成され、シャフトレス水車1で発生した交流電力を系統電源に適合する周波数と電圧を有する電力に変換して系統電源6に供給する。系統電源6には負荷61が接続されている。
水車起動装置には制御器7が設けられていて、起動スイッチ71が押されることにより発生する起動指令信号を契機として、電力制御盤5と水量調節弁4に対して一連の制御動作を行って水力発電装置を円滑に立ち上げる。
回転子11は、水管3の内径とほぼ同じ開口を持ち内側にプロペラブレードとも呼ばれる複数の水車翼13が環状翼列を形成している円環部14に永久磁石15を埋設して構成される。また、固定子12は、内周に回転子の磁石15によって電磁誘導される電機子コイル16と回転子11の外周部に嵌合して回転可能に支持する軸受とを備えて構成される。
回転子11の永久磁石15と固定子12の電機子コイル16は発電機を構成すると共に、電機子コイル16に電流を供給することにより回転子11を回転駆動する電動機としても機能する。
ガイドベーン20は、プロペラブレード13と逆方向に湾曲した軸流型で、水流をさらに加速し、プロペラブレード13に回転方向の分力を効率よく発生させるように水流を案内する。
軸受17,18に水管を流れる水を積極的に供給して、水潤滑軸受として機能させてもよい。水循環軸受とする場合は、上流配管から軸受17,18に潤滑水を供給する給水配管が設けられる。上流の水は発電機部分を流下した下流の水より水圧が十分高いので、特段のポンプが無くても軸受に流れ込んで水潤滑に使用することができる。なお、取水された水はさらに分岐して、電機子コイル16の冷却水として使用するようにしても良い。
しかし、先に説明した通り、シャフトレス水車を大型化する場合は、大水量ならば水車は回転するという当業者における従来の常識に反して、静摩擦力が大きくなって水車の起動ができない現象が生じることが分かった。
図から、試験機(1.0D)の軸受摩擦係数は0.4〜0.5であるので、水車はヘッドが2m程度になれば起動できるが、径を1.5倍以上にしたものでは水流を増大しても起動できないことが分かる。
図4と図5は、本実施例のシャフトレス水車起動方法を説明するタイムチャートとフローチャートである。
また、適当な回転数に達するまで系統電源6からの給電を共用して、定格運転に達するまでの立ち上がり時間を短縮するようにしてもよい。
本実施例の対象であるシャフトレス水車発電装置では表層を避けて取水し、水面に浮かぶ流木などが取り込まれることを防いでいるが、水底に沈んでいた古木が水中に浮遊して流れたりポリ袋などが水中に浮遊して流れて、プロペラブレード部に達することがある。
このため、従来は、水車上流側に格子やフィルタを設置して異物の侵入を阻止する方法が採用される。しかし、この方法は、格子などに絡んだ異物を定期的に除去する作業を行う必要があり、経費がかかる問題があった。
異物の咬み込みを検出したときは(S01)、異物除去指令信号により水量調節弁を閉止して水流を止め、水車の回転を停止する(S02)。そして再度回転起動させると(S03)、プロペラブレードに絡まった異物は遠心力によりプロペラブレードから引き剥がされる。
異物が排除されたか否かを判定して(S04)、十分除去できなかった場合には、再度第2のステップに戻って同じ工程を繰り返す。異物の除去に成功すれば、水車の運転を再開して(S05)、通常の発電状態に復帰する。
図7で説明する異物除去手順は、異物咬み込みを検出したときに、水量調節弁を閉止して水車を停止し次いで逆回転させて異物の遊離を確実にした上で水車を正転させて異物を流下させるようにしたものである。
すなわち、異物の咬み込みを検出したときに(S11)、水量調節弁を閉止して水流を止め、水車の回転を停止し、次いで水車を逆転させる(S12)。すると、水流の向きが反転し、プロペラブレードに絡んでいたポリ袋などの異物は、絡んでいた方向と逆の方向から水流を受けることになり、確実にプロペラブレードから剥離して、上流側に流される。
異物が排除されたか否かを判定して(S14)、除去できなかった場合には第2のステップから工程を繰り返し、異物が除去できれば、水車の運転を再開して(S15)、通常の発電状態に復帰する。
異物処理手順を含むシャフトレス水車起動方法を用いることにより、シャフトレス水車発電装置は、格子やフィルタの設置費用およびメンテナンス費用を軽減して、より効率的な運転が可能になる。
これに使用する装置は、上に説明したシーケンス制御を行うプログラムを制御器7に組み込めばよいので、特段のコスト増大を招かず、経済的である。
11 回転子
12 固定子
13 プロペラブレード(水車翼)
14 円環部
15 永久磁石
16 電機子コイル
17 スラスト軸受
18 ラジアル軸受
19 ボス
20 ガイドベーン
21 回転計
3 水管
4 水量制御弁
41 アクチュエータ
5 電力制御盤
51 コンバータ部
52 インバータ部
6 系統電源
61 負荷
7 制御器
71 起動スイッチ
Claims (13)
- 水管の水流を囲むように設けた固定円環部を有する固定子と該固定円環部に適応する回転円環部を有する回転子を備え、該回転子が前記回転円環部に永久磁石を備え該回転円環部の内周に複数のプロペラブレードを備えかつ該回転円環部の外周を水潤滑軸受を介して前記固定円環部の内周と咬合させて回転可能に支持したシャフトレス水車を用い、前記水管の水流を前記プロペラブレードに通して前記回転子を回転させることにより発電するシャフトレス水車発電装置において、水車の起動時に前記固定子に電流を供給する手順と、水流による発電を開始する手順を備えて、該電流により前記シャフトレス水車が回転して前記水潤滑軸受が流体潤滑領域に置かれた後に水流による発電を行うことを特徴とするシャフトレス水車起動方法。
- 前記水流による発電を開始する手順において、前記水潤滑軸受が流体潤滑領域に置かれた後に該水流を前記シャフトレス水車に供給することを特徴とする請求項1記載のシャフトレス水車起動方法。
- 前記水流による発電を開始する手順において、該水流が前記電流を供給する前から前記シャフトレス水車に供給されていることを特徴とする請求項1記載のシャフトレス水車起動方法。
- 前記水車の起動時に流される電流が水流による発電を開始する前に止められることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のシャフトレス水車起動方法。
- 前記シャフトレス水車発電装置は、前記水流を停止させる水量調節弁と前記水車に異物が咬み込んだときに信号を発生する異物咬み込み検出装置を備え、前記異物咬み込み検出装置が検出信号を発生したときに該水量調節弁を閉止して前記水車を停止または逆回転させる手順を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のシャフトレス水車起動方法。
- 水管の水流を囲むように設けた固定円環部を有する固定子と該固定円環部に適応する回転円環部を有する回転子を備え、該回転子が前記回転円環部に永久磁石を備え該回転円環部の内周に複数のプロペラブレードを備えかつ該回転円環部の外周を水潤滑軸受を介して前記固定円環部の内周と咬合させて回転可能に支持したシャフトレス水車を用いて、前記水管の水流を前記プロペラブレードに通して前記回転子を回転させることにより発電するシャフトレス水車発電装置と、前記水管の水流を調整する水量調節弁と、制御装置を備え、該制御装置が前記固定子に電流を供給する手段と、前記水量調節弁の開度を調整する手段と、前記水管の水流により前記シャフトレス水車で生成される発電量を系統に供給する手段を備えて、前記水量調節弁の開度を調整して前記シャフトレス水車に通す水量を調整すると共に、前記シャフトレス水車の起動時に前記固定子に電流を供給して、該電流により前記シャフトレス水車が回転して前記水潤滑軸受が流体潤滑領域に置かれた後に該シャフトレス水車による発電量を系統に供給することを特徴とするシャフトレス水車起動装置。
- 前記制御装置は前記シャフトレス水車発電装置の出力を系統に給電するインバータを備えて、起動時には該インバータを調整して該インバータを介して前記系統から前記固定子に給電して前記リング水車を回転させることを特徴とする請求項6記載のシャフトレス水車起動装置。
- 前記リング水車を回転させる電流は、前記水管の水流により前記シャフトレス水車で発電を始める前に停止することを特徴とする請求項6または7記載のシャフトレス水車起動装置。
- 前記水量調節弁は、前記水潤滑軸受が流体潤滑領域に置かれた後に開かれることを特徴とする請求項6から8のいずれかに記載のシャフトレス水車起動装置。
- 前記水量調節弁は、前記固定子に電流を供給する前から開かれていることを特徴とする請求項6から8のいずれかに記載のシャフトレス水車起動装置。
- 前記水潤滑軸受は、スラスト軸受とラジアル軸受からなることを特徴とする請求項6から10のいずれかに記載のシャフトレス水車起動装置。
- 前記シャフトレス水車は、中心軸位置に固定ボスを備えて水流を管壁に導き、前記プロペラブレードが該ボスの周に沿って回転することを特徴とする請求項6から11のいずれかに記載のシャフトレス水車起動装置。
- 前記シャフトレス水車起動装置は、さらに前記水車に異物が咬み込んだときに信号を発生する異物咬み込み検出装置を備え、前記制御装置は該異物咬み込み検出装置が検出信号を発生したときに前記水量調節弁を閉止して前記水車を停止あるいは逆回転させることを特徴とする請求項6から12のいずれかに記載のシャフトレス水車起動装置。
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