JP2018040306A - 風水力発電装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】風況が悪くても風車の起動性に問題がなく、かつ風力と水力の運動エネルギーを有効に電気エネルギに変換して、発電効率を大幅に高めうるようにした風水力発電装置を提供する。【解決手段】風水力発電装置1は、水車4と、水車に連係されて回転する第1回転軸23と、第1回転軸により常時発電される第1発電機6と、風車5と、風車に連係されて回転する第2回転軸32と、第1回転軸と第2回転軸との間に設けた第1クラッチ35と、第2回転軸に連係された第2発電機7と、第2回転軸から第2発電機への動力の伝達を断続しうる第2クラッチ42とを備え、第1クラッチは、第2回転軸の回転速度が第1回転軸の回転速度以下の場合に接続され、同じく第1回転軸の回転速度を超えた場合に切断され、第2クラッチは、第2回転軸の回転速度が予め定めた値を超えた場合に接続される。【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば用水路や小川、洋上等に設置され、水力と風力を利用して、効率よく発電しうるようにした風水力発電装置に関する。
一般的な風力発電装置では、無風及び微風状態では、風車が起動せず、また低風速下では、発電効率が低いなど、風況に大きく左右される。
この問題に対処しうるものとして、水車の回転力を利用して風車の主軸を回転させ、無風及び低風速状態でも、風車を定常的に回転させて発電しうるようにした風力発電装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
特開2007−239542号公報
上記特許文献1に記載の風力発電装置は、発電機に接続された風車の主軸と、水車の回転軸とを、クラッチを介して連結し、風車の回転が水車の回転よりも遅くなる無風または低風速時には、クラッチを接続して、水車の回転力により風車を回転させて発電し、風速が増大して、風車の回転が水車の回転を上回った場合には、クラッチを切断して、風車のみにより発電するようになっているため、次のような問題がある。
すなわち、風速が増して、風車の回転が水車の回転を上回ったときに、クラッチを切断して風車のみにより発電するようにすると、風車により発電しているとき、水車は単に回転しているだけであり、水車の運動エネルギは電気エネルギに変換されず無駄となり、発電効率は低い。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたもので、風況が悪くても風車の起動性に問題がなく、かつ風力と水力の運動エネルギーを有効に電気エネルギに変換して、発電効率を大幅に高めうるようにした風水力ハイブリッドの発電装置を提供することを目的とするものである。
本発明の風水力発電装置によると、上記課題は次のようにして解決される。
(1)水流を受けて一定方向に回転する水車と、前記水車の主軸に連係されて回転する第1回転軸と、前記第1回転軸に連係されて常時発電するようになっている第1発電機と、風力を受けて一定方向に回転する風車と、前記風車の主軸に連係され、前記第1回転軸と同方向に回転する第2回転軸と、前記第1回転軸と前記第2回転軸との間に設けられ、それらの動力の伝達を断続しうる第1クラッチと、前記第2回転軸に連係された第2発電機と、前記第2回転軸から前記第2発電機への駆動力の伝達を断続しうる第2クラッチとを備え、
前記第1クラッチは、前記第2回転軸の回転速度が前記第1回転軸の回転速度以下の場合に接続されて、第1回転軸から第2回転軸に駆動力が伝達され、第2回転軸の回転速度が第1回転軸の回転速度を超えた場合に切断されて、第1、第2回転軸が独立して回転しうるように作動し、前記第2クラッチは、前記第1クラッチが接続状態にあって前記第1回転軸の駆動力が第2回転軸に伝達されているときには、前記第2回転軸から前記第2発電機へ駆動力を伝達しないように切断され、前記第1クラッチが切断状態にあって前記第2回転軸の回転速度または前記風車の周速が予め定めた値を超えた場合に接続され、前記第2回転軸から前記第2発電機に駆動力を伝達して発電しうるように作動するものとする。
このような構成によると、水車の主軸に連係された第1回転軸の回転力により第1発電機を常時駆動して発電するとともに、第1回転軸と風車の主軸に連係された第2回転軸との間に、第1クラッチを設け、第2回転軸の回転速度が第1回転軸の回転速度を超えた場合に、第1回転軸と第2回転軸との接続を切断し、第2回転軸の回転速度または風車の周速が予め定めた値を超えた場合に、第2クラッチを接続し、第2回転軸の駆動力を第2発電機に伝達して発電するようにしているので、風車が予め定めた回転速度または周速以上で回転している場合には、水車に連係されて常時発電する第1発電機と、風車に第2クラッチを介して連係された第2発電機との両方で発電することができる。
そのため、水車と風車の運動エネルギーを有効に電気エネルギに変換して、発電効率を大幅に高めることができる。
また、無風または微風状態で風車が停止しているときでも、水車の回転力を利用して、風車を回転させておくことができるので、風況が悪くても風車の起動性が問題となることはなく、風車を回転させている間に風況がよくなれば、風車は、速やかに加速して予め定めた回転速度に達し、またはそれを超えるようになるので、第2発電機により効率よく発電することができる。
さらに、無風または微風状態で風車が回転しない場合でも、水流がある限り、水車の回転力により第1発電機は常時駆動されているので、発電が停止されることはない。
また、例えば水深が比較的浅く、幅の狭い用水路等に風水力発電装置を設置する場合、発電効率の小さな小型の水車しか使用できないことがあるが、この場合においても、風車の運動エネルギを併用して、効率よく発電することができる。
(2) 前記(1)項において、前記水車と風車を支持枠体に上下方向に並べて配設して、前記第1回転軸と第2回転軸とを上下方向に同軸をなすように対向させ、第1回転軸と第2回転軸との間に前記第1クラッチを設ける。
このような構成によると、水車と風車及び第1クラッチが上下方向に並び、風水力発電装置が横幅が小さくなるので、これを、用水路等にコンパクトに設置することができる。
(3) 前記(1)または(2)項において、前記水車を、先端部に水路の上流側を向く傾斜部が形成された複数の揚力型ブレードを有する横軸水車、または上下方向の両端部に縦主軸方向を向く傾斜部が形成された複数の揚力型ブレードを有する縦軸水車とする。
このような構成によると、先端部に上流側を向く傾斜部が形成された揚力型ブレードを有する横軸水車、または上下方向の両端部に縦主軸方向を向く傾斜部が形成された揚力型ブレードを有する縦軸水車は、傾斜部が、ブレードの先端方向に逃げようとする水流を受け止め、その反力により回転方向の推力を増大させて効率よく回転するので、例え、流速の遅い水流であっても、発電効率を高めることができる。
(4) 前記(1)または(2)項において、前記水車を、水路の上流側と下流側に配置され、複数の揚力型ブレードよりなる前後1対のロータを備える横軸水車とし、前記両ロータの主軸の回転力を、複数の伝動手段を介して、前記第1回転軸に伝達するようにする。
このような構成によると、前後1対のロータの回転力が合成されて第1回転軸に伝達されるので、第1回転軸に連係された第1発電機を大きな回転トルクで回転させることができるので、発電容量の大きな第1発電機を使用して、発電量を増大させることが可能となる。
(5) 前記(1)〜(3)項のいずれかにおいて、前記水車を、水路の幅方向に複数設置し、各水車の主軸の回転力を、複数の伝動手段を介して、前記第1回転軸に伝達するようにする。
このような構成によると、幅方向の複数の水車の回転力が合成されて第1回転軸に伝達され、第1回転軸に連係された第1発電機を大きな回転トルクで回転させることができるので、発電容量の大きな第1発電機を使用して、発電量を増大させることが可能となる。
(6) 前記(1)〜(5)項のいずれかにおいて、前記風車を、上下方向の両端部に縦主軸方向を向く傾斜部が形成された複数の揚力型ブレードを有する縦軸風車、または先端部に風上方向を向く傾斜部が形成された複数の揚力型ブレードを有する横軸風車とする。
このような構成によると、上下方向の両端部に縦主軸方向を向く傾斜部が形成された揚力型ブレードを有する縦軸風車、または先端部に風上方向を向く傾斜部が形成された揚力型ブレードを有する横軸風車は、傾斜部が、ブレードの先端方向に逃げようとする風を受け止め、その反力により回転方向の推力を増大させるとともに、傾斜部のコアンダ効果により、風車は効率よく回転するので、低風速下においても、効率よく発電することができる。
(7) 前記(1)項において、前記水車と風車を、洋上に設置した浮体式構造物に取付ける。
このような構成によると、水車と風車を、洋上に設置した浮体式構造物に取付けた洋上の風水力発電装置は、洋上では陸地よりも安定した風力が得られるので、風車が効率よく回転して発電量が高まる。
本発明の風水力発電装置によると、風況が悪くても風車の起動性に問題はなく、かつ風力と水力の運動エネルギーを有効に電気エネルギに変換して、発電効率を大幅に高めることができる。
本発明に係る風水力発電装置の実施例1の一部切欠側面図である。 図1を左方から見た正面図である。 図1、図2における風車ロータの拡大平面図である。 図1のIV−IV線における拡大横断平面図である。 図2のV−V線における拡大横断平面図である。 ワンウェイクラッチが接続されている状態の図1のVI−VI線に沿う拡大横断平面図である。 同じく、ワンウェイクラッチが切れた状態の拡大横断平面図である。 クラッチが切れている状態の第2クラッチの拡大縦断面図である。 クラッチが接続された状態の第2クラッチの拡大縦断面図である。 本発明に係る風水力発電装置の実施例2の一部切欠側面図である。 本発明に係る風水力発電装置の実施例3を、水車を省略して示す一部切欠側面図である。 本発明に係る風水力発電装置の実施例4を、風車を省略して示す一部切欠側面図である。 本発明に係る風水力発電装置の実施例5を、風車を省略して示す正面図である。 洋上に設置した本発明に係る風水力発電装置の実施例6の一部切欠側面図である。
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1及び図2は、本発明に係る風水力発電装置の実施例1を示すもので、風水力発電装置1は、例えば農、工業用や飲料用の用水路2や、小川等に設置される比較的小型のものであり、支持枠体3に上下方向に並べて支持された横軸水車4と縦軸風車5と、横軸水車4の回転力により駆動される第1発電機6と、及び縦軸風車5の回転力により駆動される第2発電機7とを備えている。第1、第2発電機6、7には、例えば永久磁石式の三相交流発電機が使用されている。なお、以下の説明においては、用水路2の上流側(図1の左側)を前、下流側(図1の右側)を後とする。
支持枠体3は、用水路2内に設置されて横軸水車4を支持する水車支持枠8と、この水車支持枠8の上面に固定され、用水路2及び横軸水車4の上方において縦軸風車5を支持する風車支持枠9とからなっている。上述した第2発電機7は、風車支持枠9の中間部に水平に固定された支持板9Aの上面に設置されている。
水車支持枠8は、水路底に載置される平面視方形をなす底板8Aと、その四隅部の上面に下端が結合された、上端部が用水路2の上方に突出する4本の支柱8Bと、各支柱8Bの上端に四隅部の下面が結合された方形をなす上面板8Cとからなり、上面板8Cの左右両側部の複数箇所が、正面視上向コ字状の用水路2の左右の上面に、固定具10、10により固定されている。上述した第1発電機6は、上面板8Cの上面に設置されている。
図1に矢印で示すように、用水路2内を前方である上流側から下流側に向かって流れる水は、水車支持枠8内を抵抗なく通過しうるようになっている。なお、水車支持枠8の左右幅は、用水路2内において横振れしないように、その横幅とほぼ同等としてあり、また高さは、用水路2の水深や高さに合わせて最適となるようにして枠組みされている。
横軸水車4は、中空をなす前後方向の水車筐体11と、その上面に設けた開口端11Aに、フランジ12Aを介して取付けられた下方に開口する軸筒12と、水車筐体11の前端に回転自在に支持された水平のプロペラ型水車ロータ13とを備えている。水車ロータ13は、ハブ14と、その外周面に等間隔をもって取付けられた複数枚(実施例では4枚)の揚力型水車ブレード(以下、水車ブレードと略称する)15とからなり、ハブ14は、水車筐体11の内部に回転自在に支持された前後方向の横主軸16の前端突出部に固定されている。水車ロータ13と横主軸16は、図2で示す正面視において、時計方向に回転(右回転)するようになっている。
水車筐体11は、その下面に固着された上下方向の支持杆17の下端を、底板8Aの上面により受支することにより、水車支持枠8内の中央部に配置されている。支持杆17の左右寸法は、水流の抵抗とならないように極力細くされている(図2参照)。
図2に示すように、軸筒12は、下端がその左右両側面に固定された左右1対の板状ブラケット18、18の上端部を、上面板8Cの下面に固定することにより、水車支持枠8内の中央部に、上下方向を向いて不動状態に保持されている。軸筒12の上端部は、上面板8Cの中央部に設けた貫通孔19を貫通して、若干上方に突出している。なお、軸筒12は、前部の左右方向の厚さが厚く、後方に向かって漸次薄くなる、平面視魚形断面をなすようにしてあり、軸筒12を通過する水の流下速度が、コアンダ効果によって速くなるようにしてある。
図2に示すように、各水車ブレード15の弦長は、正面視において基部側が小さく、先端部方向に向かって漸次大として、先端部の受水面積を大きくしてある。また、図1に示すように、各水車ブレード15の先端部には、前方である上流方向に向かって円弧状に傾斜する傾斜部15Aが形成されている。
さらに、図5に示すように、水車ブレード15の横断面の形状は、矢印Rで示す回転方向前側の翼厚が厚く、後端に向かって漸次薄くなっており、かつコアンダ効果を発揮するために、背面15Bを円弧状に膨出させるとともに、水流を受ける前面15Cを、回転方向後側に向かって傾斜する傾斜面としてある。
これにより、各水車ブレード15の前面15Cが水流を受けると、各水車ブレード15には、揚力が生じ、水車ロータ13は、回転方向Rへ作用する推力によって正面視時計方向に回転する。また、各水車ブレード15の先端部には、上流方向に向かって傾斜する傾斜部15Aが設けられているため、回転方向後側に傾斜する前面15Cに沿って先端部から遠心方向に逃げようとする水流は、傾斜部15Aにより受け止められ、その反力により回転方向の推力が増大し、水車ロータ13の回転速度が高められる。従って、このような傾斜部15Aを有する水車ロータ13においては、用水路2の水位が、水車ロータ13の下半部が水没する程度の深さであっても、十分な回転速度が得られる。
図1に示すように、水車筐体11内において、横主軸16の後端部には、駆動傘歯車20が固着され、この駆動傘歯車20の上面に噛合する従動傘歯車21には、軸筒12の内部に、上下のスラスト軸受22、22によって回転自在に支持された上下方向を向く第1回転軸23の下端部が固着されている。なお、駆動傘歯車20と従動傘歯車21とにより伝動手段が形成され、この伝動手段を介して、横主軸16の回転力が90度偏向されて、第1回転軸23に伝達されるようになっている。
第1回転軸23の上端部は、軸筒12の頂壁12Bを貫通して上方に突出し、その上端は、フランジを介して、第1クラッチである後述するワンウェイクラッチ35の駆動外輪35Aに上端部が結合された上下方向の入力軸24に連結されている。
第1回転軸23の上部には、駆動プーリ25が取付けられ、この駆動プーリ25と、第1発電機6の電機子ロータ(図示略)を回転させる従動プーリ26とには、伝動ベルト27が掛け回されている。これにより、第1発電機6は、横軸水車4に連係された第1回転軸23の回転力により、常時駆動されて発電するようになっている。なお、従動プーリ26を増速して発電効率を高めるために、従動プーリ26に対し駆動プーリ25の直径を大としてある。
縦軸風車5は、縦軸風車ロータ28を備え、この縦軸風車ロータ28は、水平面上において外径方向を向き、かつ一直線上に並ぶ1対の水平アーム29、29と、両水平アーム29の外端部に上下方向の中央部の内面が固着された縦長の揚力型風車ブレード(以下風車ブレードと略称する)30、30と、外周面が両水平アーム29の内端部に固着された円筒形のハブ軸31とを備えている。水平アーム29及び風車ブレード30は、例えば繊維強化合成樹脂により形成されている。なお、水平アーム29と風車ブレード30とハブ軸31とは、一体成形が可能である。
ハブ軸31は、縦軸風車ロータ28の主軸である、上述した第1回転軸23と同軸をなす第2回転軸32の上部に、セレーションまたはねじ等により相対回転不能に結合され、縦軸風車ロータ28と第2回転軸32とは一体的に回転する。風車支持枠9の上端部と中間部には、例えば平面視十字形をなす軸部支持杆33、33が設けられ、両軸部支持杆33の中心部に圧嵌されたスラスト軸受34、34により、第2回転軸32の上端部と下部の2箇所が回転自在に支持されている。縦軸風車ロータ28及び第2回転軸32は、平面視時計方向に回転し、前述した水車ロータ13側の第1回転軸23の回転方向と同方向に回転するようになっている。
第2回転軸32の下端は、フランジ32Aを介して、後述するワンウェイクラッチ35の従動軸35Bに連結されている。
図3にも示すように、両風車ブレード30における垂直方向を向く主部30Aの上下両端部には、内方、すなわち第2回転軸32方向に向かって円弧状に傾斜する内向き傾斜部30B、30Bが一体的に形成されている。風車ブレード30の弦長は、縦軸風車ロータ28の回転半径の20〜50%の長さとされ、受風面積は大きく設定されている。
また、風車ブレード30における上下両端部を除く主部30Aの横断面形状は、図4に拡大して示すように、回転方向である前側の翼厚が厚く、後方に向かうに従って漸次薄くなる標準の揚力型ブレードに近いものとされている。
風車ブレード30が回転すると、その内外の回転半径の差によって、内側面に比して外側面の周速度が大となり、外側面に沿って後方へ通過する気流の方が、内側面のそれよりも高速となる。
そのため、風車ブレード30の後縁部において、外側面を通過する気流の圧力は、内側面を通過する気流のそれよりも小さい負圧となり、風車ブレード30の後縁部の外側面が、後方から前縁部方向に押されることにより、風車ブレード30に回転方向の揚力(推力)が作用し、縦軸風車ロータ28は平面視時計方向に回転する。
また、風車ブレード30の上下の端部に内向き傾斜部30B、30Bを形成してあるため、風車ブレード30の回転に伴い、主部30Aの内外の側面に沿って上下方向へ流れようとする気流は、上下の内向き傾斜部30B、30Bの内面及び外面に沿って、斜め後方に向かって通過し、コアンダ効果により推力が増大する。従って、低風速下においても、縦軸風車ロータ28は高い回転効率をもって回転する。
図1に示すように、第1回転軸23の上端に連結した入力軸24と、第2回転軸32の下端とは、第1クラッチである公知のワンウェイクラッチ35を介して断続可能に連結されている。
ワンウェイクラッチ35は、拡大横断面図である図6及び図7に示すように、入力軸24の上端に固着され、第1回転軸23と共に平面視時計方向に回転する駆動外輪35Aと、これに回転自在に嵌合された従動軸35Bと、駆動外輪35Aと従動軸35Bとの間に円周方向に複数設けられたクラッチ機構36とを備え、従動軸35Bの上端は、第2回転軸32の下端に連結されている。
各クラッチ機構36は、駆動外輪35Aの内周面に形成され、回転方向と逆側の円周方向の端部に、内径方向に向かって漸次傾斜する傾斜部37Aを有する凹部37と、この凹部37内に収容された上下方向の針状ころ38と、針状ころ38を傾斜部37A方向に常時付勢する圧縮ばね39とからなっている。
ワンウェイクラッチ35は、次のように作動する。
図6に示すように、無風または微風状態で縦軸風車ロータ28の回転が停止または遅いときには、第2回転軸32の回転速度が、第1回転軸23の回転速度よりも遅くなるため、第1回転軸23に連結された駆動外輪35Aは、第2回転軸32に連結された従動軸35Bに対して相対的に時計方向に回転することとなる。
すると、針状ころ38は、圧縮ばね39の付勢力により、傾斜部37A方向へ移動させられ、傾斜部37Aと従動軸35Bの外周面との間の楔作用により、駆動外輪35Aと従動軸35Bとが針状ころを介して接続される。これにより、従動軸35B及びそれに連結された第2回転軸32は、駆動外輪35Aにより連れ回されて一体的に回転する。その結果、無風または微風状態で、縦軸風車ロータ28の起動性が悪い場合でも、横軸水車4の回転力を利用して、縦軸風車ロータ28を常時回転させておくことができる。この場合、一般に用水路2を流れる水の流速はそれほど速くなく、横軸水車4及びそれに連係された第1回転軸23も高速回転することはないので、縦軸風車ロータ28を比較的低速で回転させておくことができる。
なお、水流の速い用水路2に横軸水車4を設置する場合には、第1回転軸23の回転が速くなり、縦軸風車ロータ28の回転も速くなることが考えられるが、この場合には、例えば駆動プーリ25と入力軸24との間に減速機構を設け、第1回転軸23の回転を減速してワンウェイクラッチ35の駆動外輪35Aに伝達し、第2回転軸32及び縦軸風車ロータ28の回転速度を最適に調節するようにしてもよい。
無風または微風状態で、横軸水車4により縦軸風車ロータ28が回転させられているときには、後述する第2クラッチ42はOFFとされ、第2回転軸32から第2発電機7に動力が伝達されて発電しないようになっている。従って、第2発電機7が駆動された場合の駆動トルクよって、縦軸風車ロータ28及び横軸水車4の回転にブレーキがかかり、それらが失速するおそれはない。
横軸水車4により縦軸風車ロータ28が回転させられているときに風況がよくなり、第2回転軸32の回転速度が、第1回転軸23の回転速度を超えると、図7に示すように、従動軸35Bが、駆動外輪35Aよりも速く回転する(駆動外輪35Aは相対的に遅くなって反時計方向に移動する)ことにより、針状ころ38は圧縮ばね39を圧縮させて回転方向(時計方向)へ移動し、傾斜面37Aから離れることで楔作用がなくなる。これにより、駆動外輪35Aと従動軸35Bとの接続は解除され、第1回転軸23と第2回転軸32は、互いに異なる回転速度で同方向に独立して回転する。
このときの第2回転軸32の平均回転速度を、後述する回転速度検出センサ41が検出し、その速度が予め定めた値を超えた場合には、後述する第2クラッチ42がONされて、第2回転軸32から第2発電機7に動力が伝達されて発電することができる。
第2回転軸32の中間部には、縦軸風車ロータ28の回転速度を検出するための平歯車40が取付けられており、この平歯車40の回転数を、非接触式の回転速度検出センサ41をもって検出することにより、第2回転軸32の平均回転速度を測定しうるようになっている。なお、平歯車40に代えて、第2回転軸32の外周面に、例えば1個または複数個の凸部を設けてもよい。
回転速度検出センサ41は、第2回転軸32から第2発電機7への動力の伝達を断続する後述の第2クラッチ42に作動信号を送信するものであり、縦軸風車ロータ28と共に回転する第2回転軸32の平均回転速度が、第2発電機7を駆動しても失速しない予め定めた値を超えた場合に第2クラッチ42を接続し、第2回転軸32から第2発電機7に動力を伝達して発電されるようになっている。なお、図示は省略するが、縦軸風車ロータ28の平均周速を周速検出センサ(図示略)により検出し、その値が予め定めた値、例えば縦軸風車ロータ28が自力で加速しながら回転しうる周速に達するか、それを超えた場合に第2クラッチ42を接続して、第2回転軸32から第2発電機7に動力が伝達されるようにしてもよい。
第2回転軸32の下部には、第2回転軸32から第2発電機7への動力の伝達を断続しうる第2クラッチ42が設けられている。この実施例では、第2クラッチ42に電磁クラッチを用いている。
第2クラッチ42は、図8及び図9の拡大縦断面図に示すように、軸部支持杆33の中央部下面に固定され、環状のステータコイル43が埋設された磁性材よりなるステータ44と、第2回転軸32に、すべりキー45を介して相対回転不能、かつ軸方向に移動可能に嵌合され、上面に摩擦材46を有するクラッチ板47と、上部がステータ44に外嵌されるようにして、第2回転軸32に、軸受48、48を介して回転自在に嵌合された磁性材よりなるプーリ49とからなっている。なお、クラッチ板47が下方へ移動するのを防止するために、クラッチ板47よりも下方の第2回転軸32の外径を大径として段差を設けてある。
ステータコイル43への非通電時には、図8に示すように、クラッチ板47はプーリ49に接触せず、第2クラッチ42は切れた状態となっている。従って、第2回転軸32の回転力がクラッチ板47を介してプーリ49に伝達されなくなる。
図9に示すように、ステータコイル43に通電されると、ステータ44は電磁石となってプーリ49を磁化するため、クラッチ板47が上方に移動してプーリ49に吸着され、第2クラッチ42は接続状態となる。これにより、第2回転軸32の回転力がクラッチ板47を介してプーリ49に伝達されるようになる。なお、ステータコイル43には、第1、第2発電機6、7により発電された電力を蓄電する蓄電池(図示略)などから給電することができる。
プーリ49と、第2発電機7の電機子ロータ(図示略)を回転させる従動プーリ50とには、伝動ベルト51が掛け回され、第2クラッチ42が接続状態にある場合に、第2回転軸32の駆動力が第2発電機7に伝達されて発電されるようになっている。
すなわち、前述したように、第2回転軸32の回転速度が第1回転軸23の回転速度を超え、ワンウェイクラッチ35により、第1回転軸23と第2回転軸32との接続が解除されているときに、第2回転軸32の平均回転速度が予め定めた値を超えたことを回転速度検出センサ41が検出すると、第2クラッチ42が接続されて、第2回転軸32から第2発電機7に動力が伝達されて発電される。
また、無風または微風状態で、縦軸風車ロータ28が停止したり、第2回転軸32の回転速度が遅い場合には、第2クラッチ42が切断されて、第2回転軸32から第2発電機7に動力が伝達されなくなり、第2発電機7による発電はなされない。なお、ワンウェイクラッチ35により、第1回転軸23と第2回転軸32との接続が解除されている場合には、縦軸風車ロータ28の回転力が横軸水車4側に伝達されないので、縦軸風車ロータ28が失速するおそれはない。
以上説明したように、実施例1の風水力発電装置1においては、水車ロータ13の横主軸16に連係された第1回転軸23の回転力により、第1発電機6を常時駆動して発電するとともに、第1回転軸23と縦軸風車ロータ28の第2回転軸32との間に、第1クラッチであるワンウェイクラッチ35を設け、第2回転軸32の回転速度が第1回転軸23の回転速度を超えたとき、第1回転軸23と第2回転軸32との接続を解除して、第2回転軸32が独立して回転するようにし、第2回転軸32の平均回転速度が予め定めた値を超えたとき、第2クラッチ42を接続して、第2回転軸32の回転力により第2発電機7を駆動して発電するようにしているので、風況がよく、縦軸風車ロータ28が予め定めた回転速度以上で回転している場合には、水車ロータ13に連係されて常時発電する第1発電機6と、縦軸風車5に第2クラッチ42を介して連係された第2発電機7との両方で発電することができる。そのため、水車と風車の運動エネルギーが有効に電気エネルギに変換され、発電効率は大幅に高まる。
なお、第1、第2発電機6,7によって発電された電力は、図示しない蓄電池に蓄電されたのち、例えば用水路2に沿って設置された農業用構築物等の電源用として送電されるか、外部の交流負荷電力系統に直接送電される。
無風または微風状態で、第2発電機7により発電することができない場合でも、水流がある限り、横軸水車4の水車ロータ12は所定の回転速度で回転して、第1発電機6を常時駆動しているので、発電が停止されることはない。なお、無風または微風状態で、横軸水車4により縦軸風車ロータ28が回転させられているときには、第2クラッチ42はOFFとなり、第2回転軸32から第2発電機7に動力が伝達されないようになっているので、第2発電機7の駆動トルクによって、縦軸風車ロータ28及び横軸水車4の回転にブレーキがかかるおそれはない。
さらに、無風及び微風状態で縦軸風車ロータ28が停止しているときでも、横軸水車4の回転力を利用して、縦軸風車ロータ28を回転させておくことができるので、風況が悪くても縦軸風車ロータ28の起動性が問題となることはなく、縦軸風車ロータ28を回転させている間に風況がよくなれば、縦軸風車ロータ28は、速やかに加速して予め定めた回転速度に達し、またはそれを超えるようになるので、第2発電機7により効率よく発電することができる。
水車ロータ13の水車ブレード15の先端部には、上流方向に向かって傾斜する傾斜部15Aが設けられ、遠心方向へ逃げようとする水流を受け止め、その反力により推力を増大させることにより、水車ロータ13は効率よく回転するので、例え、流速の遅い水流であっても、発電効率を高めることができる。
縦軸風車5の風車ブレード30についても、上下の端部に第2回転軸32方向に向かって傾斜する傾斜部30Bを設けて、縦軸風車ロータ28の回転効率を高めうるようになっているので、低風速下においても、効率よく発電することができる。なお、ブレーキ装置を設けて、縦軸風車ロータ28が定格回転数を超えて回転しないように制御することができる。
図10は、本発明の実施例2に係る風水力発電装置52を示す。なお、上述した実施例1と同様の部材には、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
実施例2に係る風水力発電装置52においては、実施例1に係る風水力発電装置1の横軸水車4に代えて、縦軸水車53を用いたものである。
縦軸水車53は、水車支持枠8内の中央部に配置され、平面視時計方向に回転するようになっている縦型水車ロータ54を備えている。
この縦型水車ロータ54は、外側方を向き、かつ上部と下部において一直線上に並ぶ1対ずつの水平アーム55、55と、各水平アーム55の外端部に上下の端部の内面が固着された揚力型の縦型水車ブレード56、56と、外周面が上下の水平アーム55の内端部に固着された上下1対の円筒形のハブ軸57、57とを備えている。
上下のハブ軸57は、縦軸風車5の第2回転軸32と同軸をなす上下方向の第1回転軸58に、凹凸セレーションやねじ等により結合され、縦型水車ロータ54と第1回転軸58は、平面視時計方向に一体的に回転するようになっている。第1回転軸58の下端部は、水車支持枠8の底板8Aの中央部に設けたスラスト軸受59により、同じく上部は、上面板8Cの中央部に設けた軸受60により、それぞれ回転自在に支持されている。第1回転軸58の上端部は、実施例1と同様、ワンウェイクラッチ35の入力軸24に、フランジ23Aを介して連結されているとともに、駆動プーリ25と伝動ベルト26を介して、第1発電機6の従動プーリ26に連係されている。
両縦型水車ブレード56は、縦軸風車5の風車ブレード26と同様の外形とされている。
すなわち、垂直方向を向く主部56Aの上下両端部に、内方、すなわち第1回転軸58方向に向かって円弧状に傾斜する内向き傾斜部56B、56Bが一体的に形成された外形をなしている。
また、縦型水車ブレード56における上下両端部を除く主部56Aの横断面形状は、回転方向である前側の翼厚が厚く、後方に向かうに従って漸次薄くなっている。
縦型水車ブレード56が回転すると、その内外の回転半径の差によって、内側面に比して外側面の周速度が大となり、外側面に沿って後方へ通過する水流の方が、内側面のそれよりも高速となる。
そのため、縦型水車ブレード56の後縁部において、外側面を通過する水流の圧力が、内側面を通過する水流よりも小さい負圧となり、縦型水車ブレード56の後縁部の外側面が、後方から前縁部方向に押されることにより、縦型水車ブレード56に回転方向の揚力(推力)が作用し、縦型水車ロータ54は平面視時計方向に回転する。
また、縦型水車ブレード56の上下の端部に内向き傾斜部56B、56Bを形成してあるため、縦型水車ブレード56の回転に伴い、主部56Aの内外の側面に沿って上下方向へ流れようとする水流は、上下の内向き傾斜部56B、56Bの内面及び外面に沿って、斜め後方に向かって通過し、コアンダ効果により推力が増大するため、流速の遅い水流でも、縦型水車ロータ56は高い回転効率をもって回転する。
実施例2に係る風水力発電装置52においても、実施例1と同様の効果を奏することができる。
また、縦軸水車53を用いると、縦型水車ロータ54の第1回転軸58を、縦軸風車5の第2回転軸32と同軸に整合させて、ワンウェイクラッチ35に簡単に連結することができるので、横軸水車4に比して動力伝達系を簡素化することができる。
図11は、本発明の実施例3に係る風水力発電装置61の風車部分を示す。なお、上述した実施例1と同様の部材には、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
実施例3に係る風水力発電装置61においては、実施例1及び実施例2に係る縦軸風車5に代えて、横軸風車62を用いたものである。図示を省略した水車には、実施例1のような横軸水車4、実施例2のような縦軸水車53、後述する実施例4のような横軸水車73、または後述する実施例5のような複数の横軸水車4が使用される。
横軸風車62は、横長の風車筐体63と、それにより回転自在に支持されたプロペラ型の風車ロータ64と、風車筐体63に取付けられた方向舵65とを備え、風車筐体63は、風車支持枠9の上面に固定された支持体66に、水平旋回可能に取り付けられている。
風車ロータ64は、基本的に実施例1の水車ロータ13と同じ形状をなし、ハブ67の外周面に複数(例えば4〜5枚)の揚力型風車ブレード68を取付けて構成されている。各風車ブレード68の先端部には、風上である前方に向かって傾斜する傾斜部68Aが形成されている。なお、各風車ブレード68の翼形は、風車ロータ64が右側面視において時計方向に回転しうる断面形状とされている。
ハブ67は、風車筐体63内に回転自在に支持された横主軸69の後部の突出端部に固着されている。横主軸69の回転力は、駆動傘歯車70Aと、これに噛合する従動傘歯車70Bとからなる伝動手段70を介して、風車支持枠9に回転自在に支持された下方を向く第2回転軸71に伝達される。
第2回転軸71の下端は、上記第1、第2実施例と同様に、ワンウェイクラッチ35の従動軸35Bに連結されるとともに、第2回転軸71の下部には、第2クラッチ42が設けられている。
横軸風車62が矢印方向の風を受けると、方向舵65により、風車筐体63は、風車ロータ64が風下を向くように旋回し、この状態で風車ロータ64が右側面視時計方向に回転すると、第2回転軸71は、伝動手段70を介して、平面視時計方向に回転させられる。上述と同様、第2回転軸71が予め定めた回転速度を超えると、第2クラッチ42を介して第2発電機7が駆動されて発電されるようになる。
実施例3に係る風水力発電装置61においても、上記第1、第2実施例と同様に、風力と水力の運動エネルギを有効に電気エネルギに変換して、発電効率を大幅に高めることができる。
図12は、本発明の実施例4(請求項4に記載の発明)に係る風水力発電装置72の水車部分を示す。なお、上述した実施例1と同様の部材には、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。図示を省略した上方の風車には、実施例1の縦軸風車5または実施例3の横軸風車62が用いられる。
実施例4に係る風水力発電装置72の横軸水車73は、前後寸法を大とした円筒状の水車筐体74と、その前後両端部に回転自在に支持された、実施例1と同様の前後1対の水車ロータ13、13とを備えている。用水路2の上流側である前方の水車ロータ13は、実施例1と同様に正面視反時計方向に回転する。用水路2の下流側である後方の水車ロータ13は、正面視時計方向に逆回転するように、水流を受ける水車ブレード15の前面を、前方の水車ブレード15の前面の傾斜面とは逆の傾斜面とされている。なお、水車筐体74は、コアンダ効果により、後方の水車ロータ13に向かう水の流下速度が速くなるように、前部から後部に向かって漸次小径とされている。
前後の水車ロータ13、13に連結された互いに同軸をなす横主軸16、16の回転力は、それぞれ、駆動傘歯車20と従動傘歯車21を介して、水車筐体74に固定された軸筒75内に回転自在に支持されている上下方向の伝動軸76、76に伝達されるようになっている。なお、両伝動軸76は、共に平面視時計方向に回転するようになっている。軸筒75は、その幅寸法が前部から後部に向かって漸次薄くなる、平面視魚形断面とされ、コアンダ効果により、水の流下速度が速くなるようにしてある。
両伝動軸76の上端部には、それぞれ伝動歯車77、77が固定され、両伝動歯車77は、それらの対向面間に配置された従動歯車78に噛合させてある。従動歯車78には、軸筒75を貫通して上方に突出している第1回転軸79の下端部が固着されている。第1回転軸79の上端は、実施例1と同様、ワンウェイクラッチ35の入力軸24に連結されるとともに、上部は第1発電機6に連係されている。なお、駆動傘歯車20と従動傘歯車21、及び伝動軸76は、本発明における伝動手段に相当する。
実施例4に係る風水力発電装置72においても、上記各実施例と同様の効果を奏する。
また、横軸水車73は、用水路2の上流側と下流側に1対の水車ロータ13、13を有し、それら回転力が合成されて1本の第1回転軸79に伝達され、第1発電機6を、大きな回転トルクで回転させることができるので、発電容量の大きな第1発電機6が使用可能となり、発電量を増大させることができる。
図13は、本発明の実施例5(請求項5に記載の発明)に係る風水力発電装置80の水車部分の正面図である。なお、上述した実施例1と同様の部材には、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。図示を省略した上方の風車には、実施例1の縦軸風車5または実施例3の横軸風車62が用いられる。
実施例5に係る風水力発電装置80は、幅の広い用水路2に設置されるものであり、水車支持枠8の横幅を、用水路2の幅と同等となるように大とし、この水車支持枠8の上面板8Cに、実施例1と同様の2基の横軸水車4、4を、共に正面視時計方向に回転するように幅方向に並べて取付けてある。
水車ロータ13、13の回転力が伝達され、共に平面視時計方向に回転する上下方向の伝動軸81、81の上端部には、伝動プーリ82、82が取付けられている。ワンウェイクラッチ35及び第1発電機6に連係された第1回転軸83の下部には、上下2個の従動プーリ84、84が取付けられ、互いに対向する両従動プーリ84と左右の伝動プーリ82、82間には、伝動ベルト85、85が掛け回されている。なお、各プーリ82、84及び伝動ベルト85は、滑り止めされる歯付プーリ及び歯付ベルトを使用するのが好ましい。
実施例5に係る風水力発電装置80においても、実施例1と同様の効果を奏する。
また、左右の横軸水車4の回転力が合成されて第1回転軸83に伝達され、第1発電機6を大きな回転トルクで回転させることができるので、発電容量の大きな第1発電機6を使用して、発電量を増大させることができる。
図14は、本発明の実施例6に係る風水力発電装置72を示すもので、洋上に設置して使用するものである。すなわち、潮流(海流)のある洋上に、海底にワイヤ73により?留された3個以上のフロ−ト74を有する浮体式構造物75を浮かべ、この浮体式構造物75に、実施例1と同様の横軸水車4と縦軸風車5を取付けることにより、浮体式の洋上風水力発電装置としたものである。
この実施例7に係る風水力発電装置72においても、潮流によって回転させられる横軸水車4と、洋上風力によって回転させられる縦軸風車5とが相対回転して、発電機6により発電されるので、発電量を大幅に高めることができる。特に、洋上においては、陸地よりも安定した風力が得られるので、縦軸風車5が効率よく回転して発電量が高まる。なお、水車及び風車は、この実施例7のものに限定されるものではなく、実施例1〜6に記載されているものも使用してもよいことは勿論である。
本発明は、上記各実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、例えば次のような種々の変形や変更を施すことが可能である。
(1) 長寸とした第2回転軸32に縦軸風車ロータ28を上下複数設け、多段縦軸風車として回転トルクを増大させる。
(2) 図10に示す実施例2において、用水路2の水深が深い場合、長寸とした第1回転軸58に上下複数の縦型水車ロータ54を設け、多段縦軸水車として回転トルクを増大させる。
(3) 第1クラッチであるワンウェイクラッチ35の代わりに、電磁クラッチを使用する。
(4) 第2クラッチ42を、電磁クラッチに代えて遠心クラッチ等の機械式クラッチを使用する。
(5) 風車支持枠8を、用水路2の側方の陸地に設置し、それに、縦軸風車5や横軸風車62を設ける。この場合は、水車と風車の上下方向の回転軸同士を、例えば互いに直交状に噛合するギヤと2本の伝動軸等よりなる伝動手段を介して、互いに同方向に回転するように連係し、両伝動軸同士をワンウェイクラッチ等の第1クラッチにより断続可能に連結すればよい。
(6) 図13に示す実施例5において、横軸水車4の代わりに、実施例2のような縦軸水車53を2基使用する。
(7) 用水路2内に挿入した水車支持枠8により水車を支持する代わりに、用水路2を跨ぐように設置された横架体によって水車を吊支する。
1 風水力発電装置
2 用水路
3 支持枠体
4 横軸水車
5 縦軸風車
6 第1発電機
7 第2発電機
8 水車支持枠
8A 底板
8B 支柱
8C 上面板
9 風車支持枠
9A 支持板
10 固定具
11 水車筐体
11A 開口端
12 軸筒
12A フランジ
12B 頂壁
13 水車ロータ
14 ハブ
15 揚力型水車ブレード
15A 傾斜部
15B 背面
15C 前面
16 横主軸
17 支持杆
18 板状ブラケット
19 貫通孔
20 駆動傘歯車
21 従動傘歯車
22 スラスト軸受
23 第1回転軸
23A フランジ
24 入力軸
25 駆動プーリ
26 従動プーリ
27 伝動ベルト
28 縦軸風車ロータ
29 水平アーム
30 揚力型風車ブレード
30A 主部
30B 内向き傾斜部
31 ハブ軸
32 第2回転軸
32A フランジ
33 軸部支持杆
34 軸受
35 ワンウェイクラッチ(第1クラッチ)
35A 駆動外輪
35B 従動軸
36 クラッチ機構
37 凹部
37A 傾斜部
38 針状ころ
39 圧縮ばね
40 平歯車
41 回転速度センサ
42 第2クラッチ
43 ステータコイル
44 ステータ
45 すべりキー
46 摩擦材
47 クラッチ板
48 軸受
49 プーリ
50 従動プーリ
51 伝動ベルト
52 風水力発電装置
53 縦軸水車
54 縦型水車ロータ
55 水平アーム
56 縦型水車ブレード
56A 主部
56B 内向き傾斜部
57 ハブ軸
58 第1回転軸
59 スラスト軸受
60 軸受
61 風水力発電装置
62 横軸風車
63 風車筐体
64 風車ロータ
65 方向舵
66 支持体
67 ハブ
68 風車ブレード
68A 傾斜部
69 横主軸
70 伝動手段
70A 駆動傘歯車
70B 従動傘歯車
71 第2回転軸
72 風水力発電装置
73 横軸水車
74 水車筐体
75 軸筒
76 伝動軸
77 伝動歯車
78 従動歯車
79 第1回転軸
80 風水力発電装置
81 伝動軸
82 伝動プーリ
83 第1回転軸
84 従動プーリ
85 伝動ベルト
86 洋上風水力発電装置
87 ワイヤ
88 フロート
89 浮体式構造物

Claims (7)

  1. 水流を受けて一定方向に回転する水車と、
    前記水車の主軸に連係されて回転する第1回転軸と、
    前記第1回転軸に連係されて常時発電するようになっている第1発電機と、
    風力を受けて一定方向に回転する風車と、
    前記風車の主軸に連係され、前記第1回転軸と同方向に回転する第2回転軸と、
    前記第1回転軸と前記第2回転軸との間に設けられ、それらの動力の伝達を断続しうる第1クラッチと、
    前記第2回転軸に連係された第2発電機と、
    前記第2回転軸から前記第2発電機への駆動力の伝達を断続しうる第2クラッチとを備え、
    前記第1クラッチは、前記第2回転軸の回転速度が前記第1回転軸の回転速度以下の場合に接続されて、第1回転軸から第2回転軸に動力が伝達され、第2回転軸の回転速度が第1回転軸の回転速度を超えた場合に切断されて、第1、第2回転軸が独立して回転しうるように作動し、
    前記第2クラッチは、前記第1クラッチが接続状態にあって前記第1回転軸の駆動力が第2回転軸に伝達されているときには、前記第2回転軸から前記第2発電機へ駆動力を伝達しないように切断され、前記第1クラッチが切断状態にあって前記第2回転軸の回転速度または前記風車の周速が予め定めた値を超えた場合に接続され、前記第2回転軸から前記第2発電機に駆動力を伝達して発電しうるように作動することを特徴とする風水力発電装置。
  2. 前記水車と風車を支持枠体に上下方向に並べて配設して、前記第1回転軸と第2回転軸とを上下方向に同軸をなすように対向させ、第1回転軸と第2回転軸との間に前記第1クラッチを設けたことを特徴とする請求項1に記載の風水力発電装置。
  3. 前記水車は、先端部に水路の上流側を向く傾斜部が形成された複数の揚力型ブレードを有する横軸水車、または上下方向の両端部に、縦主軸方向を向く傾斜部が形成された複数の揚力型ブレードを有する縦軸水車であることを特徴とする請求項1または2に記載の風水力発電装置。
  4. 前記水車は、水路の上流側と下流側に配置され、複数の揚力型ブレードよりなる前後1対のロータを備える横軸水車であり、前記両ロータの主軸の回転力を、複数の伝動手段を介して、前記第1回転軸に伝達するようになっていることを特徴とする請求項1または2に記載の風水力発電装置。
  5. 前記水車を、水路の幅方向に複数設置し、各水車の主軸の回転力を、複数の伝動手段を介して、前記第1回転軸に伝達するようにしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の風水力発電装置。
  6. 前記風車は、上下方向の両端部に縦主軸方向を向く傾斜部が形成された複数の揚力型ブレードを有する縦軸風車、または先端部に風上方向を向く傾斜部が形成された複数の揚力型ブレードを有する横軸風車であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の風水力発電装置。
  7. 前記水車と風車を、洋上に設置した浮体式構造物に取付けたことを特徴とする請求項1に記載の風水力発電装置。
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