JP2008260665A - 炭化ケイ素単結晶の製造方法および製造装置 - Google Patents

炭化ケイ素単結晶の製造方法および製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】炭化ケイ素単結晶を製造するにあたり、種結晶表面の清浄化を、従来に比し、より効率良く行うための技術を提供する。
【解決手段】炭化ケイ素の種結晶2上に、炭化ケイ素単結晶を成長させる炭化ケイ素単結晶の製造方法である。結晶成長に先立って、種結晶2に対し、イオン化水素を含むガスを吹き付ける。炭化ケイ素の種結晶2が配置可能な反応容器10を備え、反応容器10内で、種結晶2上に炭化ケイ素単結晶を成長させる炭化ケイ素単結晶の製造装置である。反応容器10に連通するエッチング用ガス通路12と、エッチング用ガス通路12を流通するガスをイオン化するためのイオン化機構30と、が設けられている。
【選択図】図1

Description

本発明は、炭化ケイ素単結晶の製造方法および製造装置(以下、単に「製造方法」および「製造装置」とも称する)に関する。
炭化ケイ素単結晶は、ケイ素に比してバンドギャップが大きく、絶縁破壊特性や耐熱性、耐放射線性等に優れることから、小型で高出力の半導体等の電子デバイス材料として、また、光学的特性に優れることから、光学デバイス材料としても注目されてきている。
かかる炭化ケイ素単結晶を製造するにあたっては、例えば、図4に示すような装置を用いることができる。図示する装置は、改良レーリー法を用いたものであり、昇華用原料1の収容部と、種結晶2の配置部とを有する反応容器10を、石英チューブ20内に、断熱材11を介して配置してなり、昇華用原料1を加熱により昇華させて、種結晶2上で再結晶させることにより炭化ケイ素単結晶を得ている。また、炭化ケイ素単結晶の製造方法としては、炭化ケイ素原料ガスの化学反応により炭化ケイ素単結晶を成長させるCVD(Chemical Vapor Deposition)法等も公知である。
このような炭化ケイ素単結晶の製造において、高品質の単結晶を得るためには、単結晶の成長部となる種結晶2の表面性が重要となる。種結晶表面には、通常、研磨処理等により形成される加工変質層や自然酸化膜などが存在するため、再結晶に先立ってこれら膜の除去を行うことが必要であり、従来、前処理として、CMP(Chemical Mechanical Polishing)、熱エッチング、Hエッチング、HCIエッチング等が実施されている。
種結晶の清浄化に係る改良技術としては、例えば、特許文献1に、水素雰囲気に曝すことにより炭化珪素基板表面をエッチングするにあたり、エッチングを1気圧より小さい減圧雰囲気で行う炭化珪素半導体装置の製造方法が開示されている。また、特許文献2には、種結晶への原料ガスの供給により種結晶から結晶が成長するようにして成長雰囲気温度を結晶成長温度にまで昇温する工程と、成長雰囲気温度を結晶成長温度に保持しつつ、原料ガスに加えて、種結晶に対しエッチングガスを供給して種結晶から成長した結晶を除去して種結晶の清浄面を露出させる工程と、成長雰囲気温度を結晶成長温度に保持しつつエッチングガスを徐々に減量して種結晶の清浄面から結晶成長を開始させる工程と、を有する炭化珪素単結晶の製造方法が開示されている。
さらに、特許文献3には、種結晶の外周部近傍かつ種結晶より高温側に、種結晶とは空間を隔てて固形炭化珪素を配置しておき、エッチングガスを種結晶に対し供給して種結晶の外周部に比べて高温の固形炭化珪素から昇華したSiC成分ガスを種結晶の外周部に供給しながらエッチングガスにより種結晶の清浄面を露出させた後に、種結晶の清浄面から結晶成長を開始させる炭化珪素単結晶の製造方法が開示されている。
特開2001−77030号公報(特許請求の範囲等) 特開2006−111510号公報(特許請求の範囲等) 特開2006−193384号公報(特許請求の範囲等)
しかしながら、従来の前処理方法では、Hやハロゲン化水素等の分子ガスを用いてエッチングを行うために、エッチング効率が悪い等の難点があり、十分なものではなかった。したがって、より効率良く種結晶表面の清浄化を行うことを可能とする技術の確立が求められていた。
そこで本発明の目的は、上記問題を解消して、炭化ケイ素単結晶を製造するにあたり、種結晶表面の清浄化を、従来に比し、より効率良く行うための技術を提供することにある。
本発明者は鋭意検討した結果、従来エッチングに用いていたHガスやハロゲン化水素ガス等の分子ガスに代えて、これらガスをイオン化することにより得られる原子状の水素ガスを種結晶近傍に導入することで、より効率的な種結晶の清浄化が可能となることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の炭化ケイ素単結晶の製造方法は、炭化ケイ素の種結晶上に、炭化ケイ素単結晶を成長させる炭化ケイ素単結晶の製造方法において、
前記結晶成長に先立って、前記種結晶に対し、イオン化水素を含むガスを吹き付けることを特徴とするものである。
また、本発明の炭化ケイ素単結晶の製造装置は、炭化ケイ素の種結晶が配置可能な反応容器を備え、該反応容器内で、該種結晶上に炭化ケイ素単結晶を成長させる炭化ケイ素単結晶の製造装置において、
前記反応容器に連通するエッチング用ガス通路と、該エッチング用ガス通路を流通するガスをイオン化するためのイオン化機構と、が設けられていることを特徴とするものである。
本発明の製造装置において、前記イオン化機構としては、前記エッチング用ガス通路内に設けられたフィラメントを好適に用いることができる。
本発明によれば、上記構成としたことにより、炭化ケイ素の種結晶表面の清浄化を従来に比しより効率良く行うことができ、これにより、高品質の炭化ケイ素単結晶を高効率で得られる炭化ケイ素単結晶の製造方法および製造装置を実現することが可能となった。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
本発明の炭化ケイ素単結晶の製造方法においては、炭化ケイ素の種結晶上に炭化ケイ素単結晶を成長させるにあたり、結晶成長に先立って、種結晶に対しイオン化水素を含むガスを吹き付ける点が重要である。これにより、従来の分子ガスによる処理に比し、より高効率で種結晶の清浄化を行うことが可能となる。
本発明は、例えば、図1に示すような改良レーリー法を用いた炭化ケイ素単結晶の製造装置に適用することができる。図示する製造装置は、昇華用原料1と炭化ケイ素の種結晶2が配置可能な反応容器10を備え、この反応容器10内で、昇華用原料1を加熱により昇華させて、種結晶2上で再結晶させることにより炭化ケイ素単結晶を成長させるものであり、反応容器10に連通するエッチング用ガス通路12と、エッチング用ガス通路を流通するガスをイオン化するためのイオン化機構30と、が設けられている。図示するように、種結晶2を収容する反応容器10に対しエッチング用ガス通路12およびイオン化機構30を設けたことで、イオン化機構30により生成したイオン化水素を含むガスを、エッチング用ガス通路12を通じて反応容器10内の種結晶2に吹き付けて、種結晶2の清浄化処理を行うことができる。なお、図中の符号13は減圧孔を示す。
本発明の製造装置としては、炭化ケイ素の種結晶2が配置可能な反応容器10に対し、エッチング用ガス通路12と、エッチング用ガス通路を流通するガスをイオン化するためのイオン化機構30とが設けられているものであればよく、結晶成長の方法については特に制限されるものではない。図示する改良レーリー法の他、CVD法等を用いることもでき、この場合、成膜前の基板表面の清浄化も可能である。以下、図示する改良レーリー法による製造装置を用いた場合について本発明を説明するが、本発明はこれに制限されない。
本発明におけるイオン化機構30としては、水素原子を含むガス、例えば、Hガスやハロゲン化水素ガスをイオン化させることができるものであれば、フィラメントなどでHガスをクラッキングする機構や水素プラズマを発生させる機構など、公知のいかなる手法を用いるものであってもよい。具体的には例えば、図2(a),(b)に示すように、エッチング用ガス通路12内に配置したフィラメント31を用いるEI(electron ionization:電子イオン化)法や、CI(chemical ionization:化学イオン化)法を用いることができる。
ここで、図2(a)に示す機構においては、フィラメント31を用いて発生させた熱電子により、導入したHガスやハロゲン化水素ガスのイオン化を行うものであり、Hガス、イオン化水素ガス、塩素イオン等が生成する。一方、図2(b)に示す機構においては、フィラメント31を用いて発生させた熱電子により、導入したHガスやハロゲン化水素ガスのイオン化を行った後、生成したイオンを電極32間で加速させて質量分析器33を通すことにより、目的のイオン化水素ガスのみを抽出して反応容器10内に導入できるものである。なお、図2(b)に示す質量分析器を用いる機構の場合は、水素のイオン化効率を上げるために、Ar,He,Xe等の希ガス類を混合してイオン化を行うことで、イオンの発生効率を上げることができる。
エッチング用ガス通路12は、上記イオン化機構30によりイオン化されたイオン化水素ガス等を減圧された反応容器10内に導入するためのものであり、その反応容器10内におけるガス導入孔12Aは、図示するように、種結晶2の近傍に設けることが必要である。好適には例えば、図3の反応容器10の蓋部10Aの断面図に示すように、複数箇所にガス導入孔12Aを適宜設けることで、効率的に清浄化処理を実施することが可能となる。
なお、上記イオン化機構によっては、ガス導入孔12Aから導入されるガス中にイオン化水素ガス以外の成分を含む場合もあるが、本発明においては他の成分を含んでいても効果は得られ、例えば、イオン化水素ガスを2%以上含むガスを用いることが有効である。もちろん、イオン化水素のみを含むガスを吹き付けることが最も効率的である。
また、本発明において反応容器10内にイオン化水素を含むガスを導入し始めるタイミングとしては、反応容器内の温度が1000℃以下のときが望ましい。その後、イオン化水素を含むガスを導入しながら温度1200℃〜1600℃の間でいったん30分〜1時間程度保持し、その後、単結晶成長温度まで昇温して成長プロセスを開始する。
本発明においては、種結晶の清浄化を上記イオン化水素を含むガスにより行う点のみが重要であり、それ以外の製造装置の構成や製造方法の具体的手順等については常法に従い行うことができ、特に制限されるものではない。例えば、図示する製造装置を用いる場合については、以下のとおりである。
(炭化ケイ素単結晶の製造装置)
反応容器10に用いる坩堝としては、特に制限はなく、公知のものを用いることができる。図示する反応容器10の内部は筒形状となるが、この場合の筒形状の軸としては、直線状であっても曲線状であってもよく、また、筒形状の軸方向に垂直な断面形状としては、円形であっても多角形であってもよい。反応容器10の好適形状としては、軸が直線状であって、軸方向に垂直な断面形状が円形である円筒状のものが挙げられる。
反応容器10における昇華用原料1の収容部をなす反応容器本体10Bの形状については、昇華用原料を収容することができる機能を有する限り特に制限はなく、公知のものを用いることができ、平面形状であってもよいし、均熱化を促すための構造(例えば、凸部等)を適宜設けてもよい。
また、反応容器10における種結晶2の配置部をなす蓋部10Aは、反応容器本体10Bに対し着脱可能に設計されており、これにより、蓋部10Aを脱離するだけで、成長した炭化ケイ素単結晶を容易に反応容器10から分離することができる。ここで、反応容器本体10Bと蓋部10Aとは、嵌合、螺合等のいずれにより着脱自在に設計されていてもよいが、螺合によるものが好ましい。
なお、蓋部10Aは、2以上の部材で形成することもでき、特には、蓋部10Aの中心部とその外周部とを別の部材で形成することが、温度差もしくは温度勾配を形成できる点で好ましい。より好適には、蓋部10Aを、炭化ケイ素単結晶の成長が行われる領域に隣接する内側領域と、その外周に位置する外周領域とで別の部材により形成して、内側領域を構成する部材については、少なくとも一部が反応容器の外部に露出するような構成とする。
この場合、蓋部10Aをその外側から加熱すると、外側領域については容易に加熱されるものの、内側領域については、外側領域との接触抵抗により加熱され難くなる。そのため、外側領域と内側領域との間で温度差が生じ、内側領域の方が外側領域よりも若干温度が低く維持されることとなり、内側領域において炭化ケイ素が再結晶し易くなる。また、内側領域を形成する部材の一部が反応容器10の外部に露出しているので、内側領域は反応容器10の外部に熱を放熱し易いことから、この点からも、内側領域において炭化ケイ素の再結晶を生じ易くすることができる。
ここで、内側領域を形成する部材の上記他端の反応容器10外部への露出形態としては、特に制限はなく、内側領域を底面とし反応容器10の外側に向けて連続的または不連続的にその径が変化する形状、すなわち、大きくなるかまたは小さくなる形状などが挙げられる。このような形状としては、具体的には、内側領域を底面とする柱形状や錘台形状が挙げられる。柱形状としては、例えば、円柱状、角柱状等が挙げられ、中でも円柱状が好ましく、錘台形状としては、例えば、円錐台状、角錐台状、逆円錐台状、逆角錐台状等が挙げられ、逆円錐台状が好ましい。
蓋部10Aと反応容器本体10Bとの位置関係としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、図示するように、昇華用原料1の収容部が下端部であり、種結晶2の配置部が上端部である形態が好ましい。この場合、昇華用原料の昇華が円滑に行われ、また、炭化ケイ素単結晶の成長が、下方に向かって、すなわち重力方向に向かって余計な負荷がかからない状態で行われることになり、好ましい。
なお、反応容器本体10B側には、例えば、昇華用原料の昇華を効率よく行う目的で、伝熱性に優れた材料で形成した部材を配置してもよい。このような部材としては、例えば、外周が反応容器10内の周側面部と密接可能であり、内部が、蓋部10Aに近づくにつれてその径が漸次増加するような逆錘形状もしくは逆錘台形状である部材などが好適に挙げられる。さらに、反応容器10の外部に露出する部分には、目的に応じて、ねじ切り、測温用凹部等が設けられていてもよい。かかる測温用凹部は、蓋部10A側および反応容器本体10B側の少なくとも一方に設けることができる。
反応容器10の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、耐久性、耐熱性、伝熱性等に優れた材料で形成されていることが好ましく、さらに、不純物の発生による多結晶や多型の混入等が少なく、昇華用原料の昇華および再結晶の制御が容易である等の点から、黒鉛製であることが特に好ましい。特には、蓋部10Aの少なくとも内表面を、ガラス状カーボンまたはアモルファスカーボンからなるものとすることが好ましく、これにより、少なくとも蓋部10Aの内表面における炭化ケイ素の再結晶化を防止することができる。
また、反応容器10は、図示するように、断熱材11で囲まれていることが好ましい。但し、反応容器10における蓋部10Aおよび反応容器本体10Bの略中央部については、測温用窓を形成するために、断熱材で覆わないことが好適である。この際、反応容器本体10Bの略中央に測温用窓が設けられている場合には、さらに、断熱材粉等の落下を防ぐための黒鉛製カバー部材等を配置することが好ましい。
さらに、反応容器10は石英管内に配置することが好ましく、これにより、昇華用原料の昇華および再結晶化のための加熱エネルギーの損失を少なくすることができる。なお、石英管は、高純度品が容易に入手可能であり、高純度品であると金属不純物の混入が少ない点で有利である。
昇華用原料および種結晶のそれぞれを加熱するための加熱手段としては、加熱手段の精密制御、独立制御、干渉防止等の点から、それぞれ別個の加熱手段を用いて行うことが好ましい。この場合、反応容器本体10Bに配置されて昇華用原料を昇華可能とするための昇華雰囲気を形成する第一加熱手段(第一誘導加熱コイル)と、蓋部10Aに配置されて昇華された昇華用原料を再結晶可能とするための再結晶雰囲気を形成する第二加熱手段(第二誘導加熱コイル)との、2つの加熱手段を設けることが好適である。
この場合、第一加熱手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、誘導加熱手段、抵抗加熱手段などが挙げられるが、温度制御が容易な点で誘導加熱手段が好ましく、誘導加熱手段の中でも、誘導加熱可能なコイルであることが好ましい。第一加熱手段が誘導加熱可能なコイルである場合、その巻回された巻数としては特に制限はなく、第二加熱手段との距離、反応容器の材料等により、加熱効率や温度効率が最適となるように決定することができる。また、第二加熱手段についても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、誘導加熱手段、抵抗加熱手段などが挙げられるが、温度制御が容易な点で誘導加熱手段が好ましく、中でも、誘導加熱可能なコイルが好適である。第二加熱手段が誘導加熱可能なコイルである場合、その巻回される巻数としては、特に制限はなく、第一加熱手段との距離、反応容器の材料等により、加熱効率や温度効率が最適となるように決定することができる。
また、本発明においては、炭化ケイ素単結晶の効率的な成長を行う目的で、第一加熱手段と第二加熱手段との間の干渉を防止するための干渉防止手段を用いることが好ましい。干渉防止手段としては、特に制限はなく、第一加熱手段および第二加熱手段の種類等に応じて適宜選択することができるが、例えば、干渉防止コイル、干渉防止板などが挙げられ、第一加熱手段および第二加熱手段が誘導加熱可能なコイルである場合には、干渉防止コイルを好適に用いることができる。
かかる干渉防止コイルは、誘導電流を通電することにより、第一加熱手段と第二加熱手段との間における干渉を防止する機能を有するものが好ましく、第一加熱手段と第二加熱手段との間に配置することで、これら第一加熱手段および第二加熱手段による誘導加熱を同時に行った際に、干渉防止コイルに誘電電流が流れ、干渉防止コイルが両者間における干渉を極小化して防止することができるものである。
干渉防止コイルは、それ自身に流れる誘導電流により加熱されないように設計することが好ましく、それ自体冷却可能であることがより好ましく、水等の冷却媒体を流通可能であると特に好ましい。これにより、干渉防止コイルに第一加熱手段および第二加熱手段による誘導電流が流れた場合でも、干渉防止コイルが加熱されて破損したり、周辺部品が不具合を起こすなどの問題を防止することができる。また、干渉防止コイルの巻回される巻数としては、特に制限はなく、第一加熱手段および第二加熱手段の種類、これらに通電される電流の量等により決定すればよいが、一重程度であっても十分である。
この場合、第一誘導加熱コイルにより昇華雰囲気を形成して昇華用原料1を昇華させ、昇華された昇華用原料1が種結晶2近傍でのみ再結晶可能となるように第二誘導加熱コイルにより再結晶雰囲気を形成して、昇華用原料1を種結晶2上に再結晶させることができる。このため、成長する炭化ケイ素単結晶は、その全成長過程において、その成長面の全面がその成長方向に向かって凸形状を維持し、蓋部10A側に陥没した凹部が輪状に形成されることがなく、また、反応容器本体10B内の周側面部に接触した状態で炭化ケイ素多結晶が成長することもない。このため、成長した炭化ケイ素単結晶を室温まで冷却した際に、炭化ケイ素多結晶側から炭化ケイ素単結晶側に熱膨張差に基づく応力が集中して印加されることがなく、得られる炭化ケイ素単結晶に割れ等の破損が生ずることがない。その結果、割れ等の破損がなく、多結晶や多型の混入やマイクロパイプ等の結晶欠陥が存在しない高品質の炭化ケイ素単結晶を、効率よくかつ確実に製造することができるものである。
(昇華用原料)
昇華用原料1としては、炭化ケイ素である限り、結晶の多型、使用量、純度、その製造方法等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。昇華用原料1の結晶の多型としては、例えば、4H,6H,15R,3Cなどが挙げられ、これらの中でも6Hなどが好適に挙げられる。これらは、1種を単独で使用することが好ましいが、2種以上を併用してもよい。
昇華用原料1の純度としては、製造する炭化ケイ素単結晶中への多結晶や多型の混入を可能な限り防止する観点からは、高純度であることが好ましく、好適には、不純物元素の各含有量を0.5ppm以下とする。ここで、不純物元素の含有量は、化学的な分析による不純物含有量であり、参考値としての意味を有するに過ぎず、実用的には、不純物元素が炭化ケイ素単結晶中に均一に分布しているか局所的に偏在しているかによっても、評価が異なってくる。なお、ここで、「不純物元素」とは、1989年IUPAC無機化学命名法改訂版の周期律表における1族から17族元素に属しかつ原子番号3以上(但し、炭素原子、酸素原子およびケイ素原子を除く)である元素をいう。また、成長する炭化ケイ素単結晶にn型あるいはp型の導電性を付与する目的で、故意にそれぞれ窒素、アルミニウムなどのドーパント元素を添加した場合は、それらも除くこととする。
昇華用原料1の使用量は、製造する炭化ケイ素単結晶の大きさや反応容器の大きさ等に応じて適宜選択することができる。
昇華用原料1としての炭化ケイ素粉末は、例えば、ケイ素源としてのケイ素化合物の少なくとも1種と、炭素源としての加熱により炭素を生ずる有機化合物の少なくとも1種と、重合触媒または架橋触媒とを、溶媒中で溶解し乾燥して得られた粉末を非酸化性雰囲気下で焼成することにより得られる。
ケイ素化合物としては、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、液状のものと固体のものとを併用することができるが、少なくとも1種は液状のものから選択する。
液状のケイ素化合物としては、アルコキシシランおよびアルコシシシラン重合体が好適に用いられる。このうちアルコキシシランとしては、例えば、メトキシシラン、エトキシシラン、プロポキシシラン、ブトキシシラン等が挙げられ、これらの中でもハンドリングの点でエトキシシランが好ましい。また、アルコキシシランとしては、モノアルコキシシラン、ジアルコキシシラン、トリアルコキシシラン、テトラアルコキシシランのいずれであってもよいが、テトラアルコキシシランが好適である。アルコキシシラン重合体としては、重合度が2〜15程度の低分子量重合体(オリゴマー)およびケイ酸ポリマーが挙げられ、具体的には例えば、テトラエトキシシランオリゴマーが挙げられる。
また、固体のケイ素化合物としては、SiO、シリカゾル(コロイド状超微細シリカ含有液、内部にOH基やアルコキシル基を含む)、二酸化ケイ素(シリカゲル、微細シリカ、石英粉末)等の酸化ケイ素が挙げられる。
上記ケイ素化合物の中でも、均質性やハンドリング性が良好な点で、テトラエトキシシランのオリゴマー、テトラエトキシシランのオリゴマーと微粉末シリカとの混合物等が好ましい。また、ケイ素化合物は高純度であることが好ましく、初期における各不純物の含有量が20ppm以下、特には5ppm以下であることがより好ましい。
また、加熱により炭素を生じる有機化合物としては、1種を単独で用いてもよいし、2以上を併用してもよく、この場合、例えば、液状のものを単独で用いてもよいし、液状のものと固体のものとを併用してもよい。
加熱により炭素を生ずる有機化合物としては、残炭率が高く、かつ、触媒若しくは加熱により重合または架橋する有機化合物が好ましく、例えば、フェノール樹脂、フラン樹脂、ポリイミド、ポリウレタン、ポリビニルアルコール等の樹脂のモノマーやプレポリマーが好適であり、その他、セルロース、蔗糖、ピッチ、タール等の液状物が挙げられる。これらの中でも高純度のものが好ましく、フェノール樹脂がより好ましく、レゾール型フェノール樹脂が特に好ましい。加熱により炭素を生ずる有機化合物の純度としては、目的に応じて適宜選択することができるが、高純度の炭化ケイ素粉末が必要な場合には、各金属を5ppm以上含有していない有機化合物を用いることが好ましい。
重合触媒および架橋触媒としては、加熱により炭素を生ずる有機化合物に応じて適宜選択できるが、加熱により炭素を生ずる有機化合物がフェノール樹脂やフラン樹脂の場合、トルエンスルホン酸、トルエンカルボン酸、酢酸、しゅう酸、マレイン酸、硫酸等の酸類が好ましく、マレイン酸が特に好ましい。
ケイ素化合物に含まれるケイ素と、加熱により炭素を生ずる有機化合物に含まれる炭素との比(以下、「C/Si比」と称する)は、両者の混合物を1000℃にて炭化して得られる炭化物中間体を、元素分析することにより定義される。化学量論的には、C/Si比が3.0の場合に得られた炭化ケイ素粉末中の遊離炭素が0%となるはずであるが、実際には同時に生成するSiOガスの揮散により、低C/Si比において遊離炭素が発生する。この得られた炭化ケイ素粉末中の遊離炭素量が適当な量となるように、あらかじめ配合比を決定しておくのが好ましい。通常、1気圧近傍で1600℃以上での焼成では、C/Si比を2.0〜2.5にすると遊離炭素を抑制することができる。C/Si比が2.5を超えると、遊離炭素が顕著に増加する。但し、雰囲気の圧力を低圧または高圧で焼成する場合上記C/Si比の範囲に限定されるものではない。
なお、炭化ケイ素粉末は、例えば、ケイ素化合物と加熱により炭素を生ずる有機化合物との混合物を、硬化させることによっても得られる。硬化の方法としては、加熱により架橋させる方法、硬化触媒により硬化させる方法、電子線や放射線による方法などが挙げられる。この場合の硬化触媒としては、加熱により炭素を生ずる有機化合物の種類等に応じて適宜選択することができ、フェノール樹脂やフラン樹脂の場合には、トルエンスルホン酸、トルエンカルボン酸、酢酸、しゅう酸、塩酸、硫酸、マレイン酸等の酸類、ヘキサミン等のアミン酸などが好適に挙げられる。これらの硬化触媒を用いる場合、硬化触媒は溶媒に溶解されまたは分散される。触媒としては、低級アルコール(例えば、エチルアルコール等)、エチルエーテル、アセトンなどが挙げられる。
以上により得られる炭化ケイ素粉末は、窒素、アルゴン等の非酸化性雰囲気中、800〜1000℃にて30〜120分間、焼成される。この焼成により炭化ケイ素粉末が炭化物になり、この炭化物を、アルゴン等の非酸化性雰囲気中1350〜2000℃で焼成することにより、炭化ケイ素粉末が生成される。焼成の温度および時間は、得ようとする炭化ケイ素粉末の粒径等に応じて適宜選択することができるが、炭化ケイ素粉末のより効果的な生成の点からは、焼成温度は1600〜1900℃が好適である。なお、不純物を除去し高純度の炭化ケイ素粉末を得る目的で、焼成の後に、例えば、2000〜2400℃で3〜8時間加熱処理を行うことも好適である。
以上により得られた炭化ケイ素粉末は、大きさが不均一であるため、解粉、分級等を行うことにより所望の粒度とすることができる。本発明において、炭化ケイ素粉末の平均粒径としては、10〜700μmが好ましく、100〜400μmがより好ましい。平均粒径が10μm未満であると、炭化ケイ素単結晶を成長させるための炭化ケイ素の昇華温度、すなわち、1800℃〜2700℃で速やかに焼結を起こしてしまうため、昇華表面積が小さくなり、炭化ケイ素単結晶の成長が遅くなることがあり、また、炭化ケイ素粉末を反応容器10内へ収容する際や、成長速度調整のために再結晶雰囲気の圧力を変化させる際に、炭化ケイ素粉末が飛散し易くなる。一方、平均粒径が500μmを超えると、炭化ケイ素粉末自身の比表面積が小さくなるため、やはり炭化ケイ素単結晶の成長が遅くなることがある。
炭化ケイ素粉末としては、前述したように、4H,6H,15R,3C、これらの混合物等のいずれであってもよいが、成長させる単結晶と同一の多型が好ましく、高純度のものであることが好ましい。
なお、炭化ケイ素粉末を用いて成長させた炭化ケイ素単結晶にn型又はp型の導電性を付与する目的で、窒素またはアルミニウムなどをそれぞれ導入することができ、窒素またはアルミニウムを炭化ケイ素粉末の製造時に導入する場合には、まず、前述のケイ素源、炭素源、重合または架橋触媒とともに、窒素源またはアルミニウム源からなる有機物質を均一に混合すればよい。このとき、例えば、フェノール樹脂等の炭素源と、ヘキサメチレンテトラミン等の窒素源からなる有機物質と、マレイン酸等の重合または架橋触媒とを、エタノール等の溶媒に溶解する際に、テトラエトキシシランのオリゴマー等のケイ素源と十分に混合することが好ましい。
上記窒素源からなる有機物質としては、加熱により窒素を発生する物質が好ましく、例えば、高分子化合物(具体的には、ポリイミド樹脂、ナイロン樹脂等)、有機アミン(具体的には、ヘキサメチレンテトラミン、アンモニア、トリエチルアミン等およびこれらの化合物、塩類)の各種アミン類が挙げられる。これらの中でも、ヘキサメチレンテトラミンが好ましい。また、ヘキサミンを触媒として合成され、その合成工程に由来する窒素を樹脂1gに対して2.0mmol以上含有するフェノール樹脂も、窒素源からなる有機物質として好適に用いることができる。これらの窒素源からなる有機物質は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、アルミニウム源からなる有機物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
窒素源からなる有機物質の添加量としては、ケイ素源と炭素源とを同時に添加する場合には、ケイ素源1g当たり窒素を1mmol以上含有することが好ましく、ケイ素源1gに対して80〜1000μgが好ましい。
炭化ケイ素単結晶の製造において使用できるより具体的な昇華用原料としては、例えば、(1)高純度のアルコキシシランおよび/または高純度のアルコキシシランの重合体をケイ素源とし、加熱により炭素を生成する高純度の有機化合物を炭素源として、これらを均一に混合して得た混合物を非酸化性雰囲気下で加熱焼成して得られた炭化ケイ素粉末、(2)高純度のメトキシシラン、高純度のエトキシシラン、高純度のプロポキシシラン、高純度のブトキシシランおよび重合度が2〜15のそれらの重合体からなる群から選択される少なくとも1種をケイ素源とし、加熱により炭素を生成する高純度の有機化合物を炭素源として、これらを均一に混合して得た混合物を非酸化性雰囲気下で加熱焼成して得られた炭化ケイ素粉末、(3)高純度のモノアルコキシシラン、高純度のジアルコキシシラン、高純度のトリアルコキシシラン、高純度のテトラアルコキシシランおよび重合度が2〜15のそれらの重合体からなる群から選択される少なくとも1種をケイ素源とし、加熱により炭素を生成する高純度の有機化合物を炭素源として、これらを均一に混合して得た混合物を非酸化性雰囲気下で加熱焼成して得られた炭化ケイ素粉末、(4)ケイ素源をテトラアルコキシシラン重合体とし、炭素源をフェノール樹脂としてこれらを均一に混合して得た混合物を非酸化性雰囲気下で加熱焼成して得られた炭化ケイ素粉末、である。
(炭化ケイ素単結晶の成長)
炭化ケイ素単結晶の成長は、反応容器内に配置された炭化ケイ素単結晶の種結晶上で行われる。この種結晶としては、単結晶を成長させる多型に応じた種結晶および結晶面が用いられる。例えば、多型では立方晶、六方晶、結晶面では基底面や基底面から数度傾いた面(オフセット面)等が用いられる。
再結晶雰囲気の形成は、前述した第二加熱手段により行うことができ、この第二加熱手段により、第一加熱手段により昇華された昇華用原料が炭化ケイ素単結晶の種結晶近傍でのみ再結晶可能となるように再結晶雰囲気を形成して、昇華用原料を炭化ケイ素単結晶の種結晶上に再結晶させる。
ここで、第二加熱手段に通電する誘導加熱電流の量は、第一加熱手段に通電する誘導加熱電流の量との関係で適宜決定することができ、両者の関係としては、第一加熱手段における誘導加熱電流の電流値が、第二加熱手段における誘導加熱電流の電流値よりも大きくなるように設定することが好ましい。この場合、昇華用原料が昇華する雰囲気の温度よりも種結晶上近傍での再結晶雰囲気の温度の方が低く維持され、再結晶化が容易に行われる点で有利である。
また、第二加熱手段における誘導加熱電流の電流値としては、成長する炭化ケイ素単結晶の径が大きくなるにつれて、連続的または段階的に小さくなるように制御することが好ましい。この場合、炭化ケイ素単結晶が成長するにつれて第二加熱手段による加熱量が小さく制御されるので、成長を続ける炭化ケイ素単結晶の近傍でしか再結晶が行われず、炭化ケイ素単結晶の周囲における多結晶の生成を効果的に抑制することができるために有利である。なお、第二加熱手段における誘導加熱電流の電流値としては、炭化ケイ素単結晶の種結晶の径が大きい場合には小さくなるように制御し、径が小さい場合には大きくなるように制御することが好ましい。
本発明において、第二加熱手段は第一加熱手段とは独立にその制御を行うことができるので、炭化ケイ素単結晶の成長速度に応じて第二加熱手段の加熱量を適宜調節することにより、炭化ケイ素単結晶の全成長過程を通して好ましい成長速度を維持することができる。
第二加熱手段により形成される再結晶雰囲気の温度としては、第一加熱手段により形成される前記昇華雰囲気の温度より30〜300℃低いことが好ましく、30〜150℃低ことがより好ましい。また、第二加熱手段により形成される再結晶雰囲気の圧力としては、10〜100Torr(1330〜13300Pa)が好ましいが、この圧力条件にする場合には、減圧にしたまま加熱するのではなく、設定温度にまで加熱してから減圧を行い、上記所定の範囲内になるよう圧力条件を調整することが好ましい。なお、再結晶雰囲気は、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気にしておくことが好適である。
本発明においては、反応容器内の、第一加熱手段により制御される、昇華用原料を収容した反応容器本体10B側の温度と、第二加熱手段により制御される、炭化ケイ素単結晶の種結晶を配置した蓋部10A側の中心部の温度、および、中心部の外側に位置する反応容器の内周側面部との隣接部の温度とを、以下のような関係で制御することが、大径の炭化ケイ素単結晶を得る観点からは好ましい。すなわち、昇華用原料側の温度をT、種結晶側の中心部の温度をT、種結晶側の内周側面部との隣接部の温度Tとしたとき、T−TおよびT−Tが連続的または段階的に大きくなるように制御することが好ましい。
この場合、T−Tが連続的または段階的に大きくなるので、炭化ケイ素単結晶が経時的に昇華用原料側に向かって成長を続けても、炭化ケイ素単結晶の結晶成長先端側は常に再結晶が起こり易い状態に維持される。一方、T−Tが連続的または段階的に大きくなるので、炭化ケイ素単結晶が経時的に種結晶側における外周方向に向かって成長を続けても、炭化ケイ素単結晶の結晶成長外周端側は常に再結晶が起こり易い状態に維持される。その結果、炭化ケイ素多結晶の生成が効果的に抑制され、炭化ケイ素単結晶は、その径を拡大しながらその厚みを増す方向に成長を続け、最終的には、炭化ケイ素多結晶等の混入がなく、大径の炭化ケイ素単結晶が得られる点で有利である。
成長する炭化ケイ素単結晶の形状としては、その成長面の全面がその成長方向側に凸形状であることが好ましく、昇華用原料と種結晶とが対向している場合には、昇華用原料側に向かって、その成長面の全面が凸形状であることが好ましい。この場合、多結晶や多型の混入が多く熱膨張差による応力が集中し易いと考えられるところの昇華用原料側に陥没した凹部が存在しなくなるため好ましい。なお、成長する炭化ケイ素単結晶の形状としては、その成長面の全面がその成長方向とは反対側に凹形状となっている部分を含まない限り、全体が凸形状となっていなくてもよく、平坦な箇所が一部に含まれていてもよい。
また、炭化ケイ素単結晶を含む炭化ケイ素の結晶の形状としては、昇華用原料側に向かって略山形をなすことが好ましく、より好適には、その径が漸次小さくなる略山形である。すなわち、炭化ケイ素単結晶を含む炭化ケイ素の結晶を、その全成長過程を通して、昇華用原料側に近づくほど径が漸次小さくなる略山形を保持したまま成長させることが好ましい。なお、略山形である炭化ケイ素の結晶における裾野部分、すなわち、外周部分においては、炭化ケイ素多結晶や多型が混入することがあるが、この混入は、種結晶の厚み、大きさ、形状等と、第二加熱手段による加熱量との条件の組み合わせにより、その発生を防止することができる。
なお、本発明においては、リング状の板部材を、反応容器内の周側面部に、種結晶の配置部と略平行に固定配置してもよい。これにより、炭化ケイ素単結晶を種結晶上に再結晶し成長させる際、種結晶上には炭化ケイ素単結晶のみを再結晶し成長させることができ、炭化ケイ素多結晶を発生させないか、あるいはリング状の板部材上に選択的に析出させることができる。なお、この場合、得られる炭化ケイ素単結晶の径は、リング状の板部材の分だけ制約を受けることになる。
本発明においては、以上の製造工程により、高品質な炭化ケイ素単結晶を効率よく、かつ、割れ等の破損がない状態で容易に製造することができる。
(炭化ケイ素単結晶)
上記により得られる炭化ケイ素単結晶は、非破壊で光学的に画像検出した結晶欠陥(パイプ欠陥)が、好適には100個/cm以下であり、より好適には50個/cm以下であり、特に好適には10個/cm以下である。炭化ケイ素単結晶における不純物元素の総含有量としては、10ppm以下であるのが好ましい。かかる炭化ケイ素単結晶は、多結晶や多型の混入やマイクロパイプ等の結晶欠陥がなく、極めて高品質であるので、絶縁破壊特性、耐熱性、耐放射線性等に優れ、半導体ウェハ等の電子デバイス、発光ダイオード等の光学デバイスなどに特に好適に用いられる。
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。
<実施例>
図1に概略を示す製造装置を用いて、炭化ケイ素単結晶の製造を行った。まず、反応容器(黒鉛製坩堝)10内に昇華用原料1を収容し、これに対向する蓋部10Aの略中央に、炭化ケイ素単結晶の種結晶2を配置した。昇華用原料1としては、高純度のテトラエトキシシラン重合体をケイ素源とし、レゾール型フェノール樹脂を炭素源として、これらを均一に混合して得た混合物をアルゴン雰囲気下で加熱焼成して得られた炭化ケイ素粉末(6H(一部3Cを含む),平均粒径200μm)を用いた。また、種結晶2としては、6Hのアチソン結晶を用い、その種結晶厚は0.9mm、直径は20mmであった。
昇華用原料、種結晶およびその中間部にそれぞれ誘導加熱コイル(第一誘導加熱コイル、第二誘導加熱コイルおよび干渉防止コイル)を配置して、坩堝内温度を調整した。温度が1000℃になった時点で、イオン化機構30により生成させたイオン化水素ガスを、エッチング用ガス通路12を介して反応容器10内に導入し、種結晶2に吹き付けることにより、種結晶2上の加工変質層や自然酸化膜のエッチングを行った。イオン化機構30としては図2(b)に示す質量分析器33を備えるものを用い、イオン化水素ガスのみを反応容器10内に導入した。その後、イオン化水素ガスを導入しながらさらに昇温して、下記表1中に示す温度でいったん60分間保持した。
<従来例>
イオン化機構30を用いずに、Hガスをそのまま反応容器10内に導入して種結晶2に吹き付けた以外は実施例と同様にして、種結晶2上の加工変質層や自然酸化膜のエッチングを行った。
上記実施例および従来例の、各温度におけるエッチングレートの側定結果を、下記表1および図5のグラフ中にそれぞれ示す。
Figure 2008260665
上記表1および図5から明らかなように、従来のHガスに代えイオン化水素ガスを用いて種結晶の清浄化を行った実施例においては、いずれの温度においても、従来例対比10倍前後の高効率でエッチングを実施できることが確かめられた。
本発明の一実施の形態に係る炭化ケイ素単結晶の製造装置を示す概略説明図である。 (a)、(b)は、本発明に係るイオン化機構の例を示す説明図である。 蓋部におけるガス導入孔の形成例を示す断面図である。 従来の炭化ケイ素単結晶の製造装置を示す概略説明図である。 実施例および従来例の各温度におけるエッチングレートの測定結果を示すグラフである。
符号の説明
1 昇華用原料
2 炭化ケイ素単結晶の種結晶
10 反応容器
10A 蓋部
10B 反応容器本体
11 断熱材
12 エッチング用ガス通路
12A ガス導入孔
13 減圧孔
20 石英チューブ
30 イオン化機構
31 フィラメント
32 電極
33 質量分析器

Claims (3)

  1. 炭化ケイ素の種結晶上に、炭化ケイ素単結晶を成長させる炭化ケイ素単結晶の製造方法において、
    前記結晶成長に先立って、前記種結晶に対し、イオン化水素を含むガスを吹き付けることを特徴とする炭化ケイ素単結晶の製造方法。
  2. 炭化ケイ素の種結晶が配置可能な反応容器を備え、該反応容器内で、該種結晶上に炭化ケイ素単結晶を成長させる炭化ケイ素単結晶の製造装置において、
    前記反応容器に連通するエッチング用ガス通路と、該エッチング用ガス通路を流通するガスをイオン化するためのイオン化機構と、が設けられていることを特徴とする炭化ケイ素単結晶の製造装置。
  3. 前記イオン化機構が、前記エッチング用ガス通路内に設けられたフィラメントである請求項2記載の炭化ケイ素単結晶の製造装置。
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