JP4708746B2 - 炭化ケイ素単結晶の製造方法及び製造装置 - Google Patents

炭化ケイ素単結晶の製造方法及び製造装置 Download PDF

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Description

本発明は、電子デバイス、光学デバイス等として特に好適な炭化ケイ素単結晶、並びに、前記炭化ケイ素単結晶を効率よく製造し得る方法及び装置に関する
炭化ケイ素単結晶は、ケイ素に比し、バンドギャップが大きく、絶縁破壊特性、耐熱性、耐放射線性等に優れることから、小型で高出力の半導体等の電子デバイス材料として、また、光学的特性に優れることから、光学デバイス材料として注目されてきている。
上記炭化ケイ素単結晶を製造する方法は、従来、いくつか提供されてはいるものの、いずれも得られる炭化ケイ素単結晶中に、中空パイプ状の結晶欠陥(いわゆるマイクロパイプ)や転位が生じてしまうという問題があった。
そこで、かかる問題を改善する炭化ケイ素単結晶の製造方法として、例えば、図11に示すような炭化ケイ素単結晶の製造装置85を用いる方法が一般に知られるに至っている(例えば、特許文献1参照。)。この炭化ケイ素単結晶の製造装置85は、昇華用原料40を収容可能な反応容器本体12、及び反応容器本体12に対し着脱可能であり、反応容器本体12に装着された際に反応容器本体12内に収容された昇華用原料40に対向する面の略中央に炭化ケイ素単結晶の種結晶50を配置可能な蓋部11を備えた黒鉛製坩堝10と;黒鉛製坩堝10を石英管30の内部に固定される支持棒31と;石英管30の外周であって黒鉛製坩堝10が位置する部分に略等間隔にかつ螺旋状に環巻された状態で配置された誘導加熱コイル25と;を備える。
炭化ケイ素単結晶の製造装置85において、誘導加熱コイル25に電流を通電させ反応容器本体12を加熱させると、その熱で昇華用原料40が加熱される。そして、昇華用原料40は、所定の温度にまで加熱されると昇華する。一方、蓋部11側は昇華用原料40側よりも温度が低く昇華した昇華用原料40が再結晶化し得る環境にある。そのため、昇華した昇華用原料40は、炭化ケイ素単結晶の種結晶50上に炭化ケイ素として再結晶化し、炭化ケイ素単結晶が成長する。
ここで、マイクロパイプ(MP)がなく、転位の少ない炭化ケイ素単結晶を成長させるためには、種結晶表面の均熱化が重要になる。この場合、従来は反応容器の側部に配置された誘電コイル25により、製造装置内に収容された昇華用原料40を加熱していた。しかし、昇華用原料である炭化ケイ素の熱伝導性が悪いため、反応容器本体12中心部の昇華用原料の温度が上昇しずらかった。その結果、昇華用原料40表面では大きな温度分布が生じ、これが対向する種結晶表面にも大きな温度分布をもたらすため、成長した炭化ケイ素単結晶にマイクロパイプや転位が発生する原因になっていた。
国際公開公報:WO 02/053813 A1
そのため、昇華用原料表面の均熱化を行う解決手段が求められていた。即ち、マイクロパイプがなく、転位が少ない炭化ケイ素単結晶が求められていた。
本発明は以下の記載事項に関する。
〈1〉 反応容器内の第一端部に昇華用原料を収容し、上記反応容器内の昇華用原料に略対向する第二端部に炭化ケイ素単結晶の種結晶を配置し、昇華させた昇華用原料を上記種結晶上に再結晶させて炭化ケイ素単結晶を成長させる炭化ケイ素単結晶の製造方法であって、
上記昇華用原料よりも熱伝導性が高い均熱部材を、上記反応容器の径方向の中心部を少なくとも含んで上記昇華用原料の表面近傍に配置し、対向する種結晶表面の均熱化を促進させ
上記均熱部材は、反応容器の内壁及び反応容器底部から間隔を空けて配置されることを特徴とする炭化ケイ素単結晶の製造方法。
〈2〉 上記均熱部材を、上記昇華用原料に当接して配置する上記〈1〉記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
〉 上記均熱部材は、黒鉛からなる上記〈1〉〜〈〉のいずれかに記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
〉 上記均熱部材の直径は、上記反応容器の内法直径の50〜90%である上記〈1〉〜〈〉のいずれかに記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
〉 上記均熱部材の熱伝導率は、80W/mk以上である上記〈1〉〜〈〉のいずれかに記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
〉 上記反応容器内部の昇華用原料を収容した第一端部側に対向する第二端部側に封止部を設け、上記封止部に設けた種結晶上に炭化ケイ素単結晶を成長させる上記〈1〉〜〈〉のいずれかに記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
〉 上記封止部の熱膨張係数は種結晶と略同一である上記〈〉記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
〉 上記封止部の材質は、黒鉛である上記〈〉又は〈〉記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
〉 上記封止部は、昇華雰囲気内における単結晶成長可能領域を覆うものである上記〈〉〜〈〉のいずれかに記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
〈1〉 上記炭化ケイ素単結晶をその全成長過程を通してその成長面の全面を凸形状に保持したまま成長させる上記〈〉〜〈〉のいずれかに記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
〈1〉 上記炭化ケイ素単結晶をその全成長過程を通してその成長面を除く全面を上記封止部に接触させたまま成長させる上記〈〉〜〈1〉のいずれかに記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
〈1〉 炭化ケイ素単結晶を含む炭化ケイ素の結晶を略山形に成長させる上記〈1〉〜〈1〉のいずれかに記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
〈1〉 炭化ケイ素単結晶を含む炭化ケイ素の結晶を、その全成長過程を通して、その成長面の全面を、昇華用原料側に近づくほど径が漸次小さくなる略山形を保持したまま成長させる上記〈1〉記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
〈1〉 炭化ケイ素単結晶を含む炭化ケイ素の結晶の成長が、第二端部における、反応容器内の周側面部との隣接部を除く領域でのみ行われる上記〈1〉〜〈1〉のいずれかに記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
〈1〉 炭化ケイ素単結晶を含む炭化ケイ素の結晶が、炭化ケイ素単結晶のみからなる上記〈1〉〜〈1〉のいずれかに記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
〈1〉 上記第一端部側に配置した第一加熱手段により、昇華用原料を昇華可能となるように昇華雰囲気を形成し、
上記第二端部側に配置した第二加熱手段により、上記第一加熱手段により昇華された上記昇華用原料が上記炭化ケイ素単結晶の種結晶近傍でのみ再結晶可能となるように再結晶雰囲気を形成し、上記昇華用原料を上記炭化ケイ素単結晶の種結晶上に再結晶させる上記〈1〉〜〈1〉のいずれかに記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
〈1〉 反応容器内において、再結晶雰囲気の温度が昇華雰囲気の温度よりも30〜300℃低い上記〈1〉に記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
〈1〉 第一加熱手段及び第二加熱手段が誘導加熱可能なコイルである上記〈1〉又は〈1〉に記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
19〉 第一加熱手段における誘導加熱電流の電流値が、第二加熱手段における誘導加熱電流の電流値よりも大きい上記〈1〉に記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
〈2〉 第二加熱手段における誘導加熱電流の電流値を、成長する炭化ケイ素単結晶の径が大きくなるにつれて、連続的又は段階的に小さくする上記〈1〉又は〈19〉に記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
〈2〉 反応容器内の、昇華用原料を収容した第一端部側の温度をT1とし、炭化ケイ素単結晶の種結晶を配置した第二端部側の温度をT2とし、上記第二端部側における、反応容器の内周側面部との隣接部の温度T3としたとき、T3−T2及びT1−T2が連続的又は段階的に大きくなる上記〈1〉〜〈2〉のいずれかに記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
〈2〉 第一加熱手段と第二加熱手段との間に、誘導電流を通電可能であり、上記誘導電流を通電することにより上記第一加熱手段と上記第二加熱手段との間における干渉を防止する干渉防止手段が配置される上記〈1〉〜〈2〉のいずれかに記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
〈2〉 干渉防止手段が、冷却水を流通可能なコイルである上記〈2〉に記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
〈2〉 第一端部が下端部であり、第二端部が上端部である上記〈1〉〜〈2〉のいずれかに記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
〈2〉 反応容器が、石英管内に配置された坩堝である上記〈1〉〜〈2〉のいずれかに記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
〈2〉 上記第二端部における炭化ケイ素単結晶の成長が行われる領域に隣接する内側領域と、上記内側領域の外周に位置する外周領域とが別の部材で形成され、かつ上記内側領域を形成する部材の一端が反応容器内に設けられる封止部に接し、他端が反応容器の外部に露出している上記〈1〉〜〈2〉のいずれかに記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
〈27〉 上記第二端部における、上記封止部の少なくとも内周側面部の表面が、ガラス状カーボンである上記〈〉〜〈11〉、〈26〉のいずれかに記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
〈2〉 昇華用原料が、高純度のアルコキシシラン及びアルコキシシラン重合体から選択される少なくとも1種をケイ素源とし、加熱により炭素を生成する高純度の有機化合物を炭素源とし、これらを均一に混合して得た混合物を非酸化性雰囲気下で加熱焼成して得られた炭化ケイ素粉末である上記〈1〉〜〈2〉のいずれかに記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
〈29〉 昇華用原料が、高純度のアルコキシシランをケイ素源とし、加熱により炭素を生成する高純度の有機化合物を炭素源とし、これらを均一に混合して得た混合物を非酸化性雰囲気下で加熱焼成して得られた炭化ケイ素粉末である上記〈1〉〜〈2〉のいずれかに記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
〈30〉 昇華用原料が、高純度のアルコキシシラン及び高純度のアルコキシシランの重合体をケイ素源とし、加熱により炭素を生成する高純度の有機化合物を炭素源とし、これらを均一に混合して得た混合物を非酸化性雰囲気下で加熱焼成して得られた炭化ケイ素粉末である上記〈1〉〜〈2〉のいずれかに記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
〈31〉 昇華用原料が、高純度のメトキシシラン、高純度のエトキシシラン、高純度のプロポキシシラン、高純度のブトキシシランからなる群から選択される少なくとも1種をケイ素源とし、加熱により炭素を生成する高純度の有機化合物を炭素源とし、これらを均一に混合して得た混合物を非酸化性雰囲気下で加熱焼成して得られた炭化ケイ素粉末である上記〈1〉〜〈27〉のいずれかに記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
〈32〉 昇華用原料が、高純度のメトキシシラン、高純度のエトキシシラン、高純度のプロポキシシラン、高純度のブトキシシラン及び重合度が2〜15のそれらの重合体からなる群から選択される少なくとも1種をケイ素源とし、加熱により炭素を生成する高純度の有機化合物を炭素源とし、これらを均一に混合して得た混合物を非酸化性雰囲気下で加熱焼成して得られた炭化ケイ素粉末である上記〈1〉〜〈27〉のいずれかに記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
〈33〉 昇華用原料が、高純度のモノアルコキシシラン、高純度のジアルコキシシラン、高純度のトリアルコキシシラン、高純度のテトラアルコキシシラン及び重合度が2〜15のそれらの重合体からなる群から選択される少なくとも1種をケイ素源とし、加熱により炭素を生成する高純度の有機化合物を炭素源とし、これらを均一に混合して得た混合物を非酸化性雰囲気下で加熱焼成して得られた炭化ケイ素粉末である上記〈1〉〜〈27〉のいずれかに記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
〈34〉 ケイ素源がテトラアルコキシシラン重合体であり、炭素源がフェノール樹脂である上記〈28〉に記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
〈35〉 炭化ケイ素粉末の不純物元素の各含有量が0.5ppm以下である上記〈28〉〜〈34〉に記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
〈37〉 上記〈1〉〜〈36〉のいずれかに記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法により製造される炭化ケイ素単結晶。
〈38〉 非破壊で光学的に画像検出した中空パイプ状の結晶欠陥が100個/cm2以下である上記〈37〉に記載の炭化ケイ素単結晶。
〈39〉 不純物元素の総含有量が10ppm以下である上記〈37〉又は〈38〉に記載の炭化ケイ素単結晶。
36〉 昇華させた昇華用原料を種結晶上に再結晶させて炭化ケイ素単結晶を成長させる炭化ケイ素単結晶の製造装置であって、
上記昇華用原料を収容可能な反応容器本体と、
反応容器本体に着脱自在に設けられる蓋部と、
上記昇華用原料よりも熱伝導性が高く、上記反応容器の径方向の中心部を少なくとも含んで上記昇華用原料の表面近傍に配置され、上記反応容器中心部の上記昇華用原料の温度上昇を促進させる均熱部材と、を有する坩堝を少なくとも備え
上記均熱部材は、反応容器の内壁及び反応容器底部から離間して配置されている炭化ケイ素単結晶の製造装置。
37〉 上記均熱部材は、上記昇華用原料に当接して配置されている上記〈36〉に記載の炭化ケイ素単結晶の製造装置。
〈42〉 上記均熱部材は、反応容器の内壁及び反応容器底部から離間して配置されている上記〈40〉又は〈41〉に記載の炭化ケイ素単結晶の製造装置。
38〉 上記均熱部材は、黒鉛からなる上記〈36又は37〉に記載の炭化ケイ素単結晶の製造装置。
39〉 上記均熱部材の直径は、上記反応装置の内法直径の50〜90%である上記〈36〉〜〈38〉のいずれかに記載の炭化ケイ素単結晶の製造装置。
〈4〉 上記均熱部材の熱伝導率は、80W/mk以上である上記〈36〉〜〈39〉のいずれかに記載の炭化ケイ素単結晶の製造装置。
〈4〉 炭化ケイ素単結晶の種結晶を設置可能とする熱膨張係数が種結晶と略同一であり、昇華させた昇華用原料の漏洩を防止する封止部をさらに備える上記〈36〉〜〈40〉のいずれかに記載の炭化ケイ素単結晶の製造装置。
〈4〉 上記封止部は、反応容器に設けられる際に昇華用原料に略対向すると共に種結晶を設置可能とする第一面及び蓋部に対向する第二面とを有する底部と、上記底部の第一面の縁部周縁から立設して底部の第一面と共に中空部を形成する壁部とを備えるものであって、上記底部の第一面が昇華用原料に略対向するように反応容器内部に設けられると、反応容器周側面部の単結晶成長可能領域を覆うものである上記〈4〉記載の炭化ケイ素単結晶の製造装置。
〈4〉 上記封止部の材質は、黒鉛である上記〈4〉又は〈4〉記載の炭化ケイ素単結晶の製造装置。
〈4〉 上記坩堝における、上記昇華用原料が収容された部分の外周に環巻された状態で配置され、上記昇華用原料を昇華可能となるように昇華雰囲気を形成する第一誘導加熱コイルと;
上記坩堝における、上記種結晶が配置された部分の外周に環巻された状態で配置され、上記第一誘導加熱コイルにより昇華された上記昇華用原料が上記炭化ケイ素単結晶の種結晶近傍でのみ再結晶可能となるように再結晶雰囲気を形成し、上記昇華用原料を上記炭化ケイ素単結晶の種結晶上に再結晶させる第二誘導加熱コイルと;をさらに備える上記〈4〉〜〈4〉のいずれかに記載の炭化ケイ素単結晶の製造装置。
45〉 さらに、上記第一加熱手段と上記第二加熱手段との間に、誘導電流を通電可能であり、上記誘導電流を通電することにより上記第一加熱手段と上記第二加熱手段との間における干渉を防止する干渉防止手段が配置された上記〈4〉に記載の炭化ケイ素単結晶の製造装置。
46〉 上記干渉防止手段が、冷却水を流通可能なコイルである上記〈45〉に記載の炭化ケイ素単結晶の製造装置。






本発明によれば、マイクロパイプがなく、転位が少ない炭化ケイ素単結晶が得られる。
以下、本発明の炭化ケイ素単結晶の製造方法について好ましい形態を挙げて説明する。図中、同様の機能を有するものについては同様の符号を付し説明を省略する。また、本発明が以下の実施形態に制限されないことはいうまでもない。
(炭化ケイ素単結晶の製造装置)
第一の実施形態:
炭化ケイ素単結晶の製造に使用される製造装置の第一の実施形態としては、図1に示すように、昇華用原料40を収容可能な反応容器本体12と、反応容器本体12に着脱自在に設けられる蓋部11と、昇華用原料40よりも熱伝導性が高く、反応容器の径方向の中心部を少なくとも含んで昇華用原料40の表面近傍に配置され、反応容器中心部の昇華用原料40の温度上昇を促進させる均熱部材80と、を備える坩堝10と;さらに、
昇華用原料40が収容された部分の外周に環巻された状態で配置され、昇華用原料40を昇華可能となるように昇華雰囲気を形成する第一加熱手段としての第一誘導加熱コイル20と;
種結晶が配置された部分の外周に環巻された状態で配置され、第一誘導加熱コイル20により昇華された昇華用原料40が炭化ケイ素単結晶の種結晶近傍でのみ再結晶可能となるように再結晶雰囲気を形成し、昇華用原料40を炭化ケイ素単結晶の種結晶上に再結晶させる第二加熱手段としての第二誘導加熱コイル21と;
第一誘導加熱コイル20と第二誘導加熱コイル21との間に、誘導電流を通電可能であり、誘導電流を通電することにより第一誘導加熱コイル20と第二誘導加熱コイル21との間における干渉を防止する干渉防止手段としての干渉防止コイル22と;を備える製造装置が挙げられる。
均熱部材80は、反応容器の径方向の中心部を少なくとも含んで昇華用原料40の表面近傍に配置される。昇華用原料40の均熱加熱が可能になると共に、対向する種結晶表面の均熱化を促進させることができるからである。昇華用原料40の均熱加熱を測る観点からは、図1に示すように均熱部材80を昇華用原料40に当接して配置することが好ましい。また均熱部材80は、黒鉛からなることが好ましく、熱伝導率が80W/mk以上であることがさらに好ましい。また均熱部材80は、反応容器の内壁及び反応容器底部から間隔を空けて配置することが好ましく、具体的には均熱部材80の直径は、反応容器の内法直径の50〜90%であることが好ましい。昇華した原料の成長部への拡散を阻害することなく、また均熱板が坩堝10の内壁に接触していないので熱が逃げづらくなるからである。さらに、均熱部材80は2枚以上重ねて昇華用原料40上に配置しても構わない。2枚以上重ねることにより、均熱効果を保ったまま昇華用原料と再結晶部の温度差を調整可能となるからである。
坩堝10としては、特に制限はなく公知のものの中から適宜選択した少なくとも反応容器本体12と蓋部11とを備える坩堝10を用いることができる。蓋部11としては、反応容器本体12に対し着脱可能であるものが好ましい。昇華用原料40を投入しやすく、また成長した単結晶を取り出しやすいからである。反応容器本体12と蓋部11とは、嵌合、螺合等のいずれで着脱自在に設計されていてもよいが、螺合によるものが好ましい。
坩堝10を構成する反応容器本体12と蓋部11の材質としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができるが、黒鉛製であるものが特に好ましい。反応容器は、第二端部における蓋部11(または後に説明する封止部)の少なくとも内周側面部の表面が、ガラス状カーボンもしくはアモルファスカーボンであることが好ましい。これにより少なくとも内周側面部の表面で、炭化ケイ素の再結晶化が抑制されるからである。この場合、第二端部における種結晶が設置される底部の縁部周縁を含む部分の表面を、ガラス状カーボンもしくはアモルファスカーボンとすることが更に好ましい。
昇華用原料40が収容される部位としては特に制限はないが、炭化ケイ素単結晶の種結晶を配置可能な端部に略対向する端部であることが好ましい。この場合、反応容器の内部は筒形状となるが、筒形状の軸としては、直線状であってもよいし、曲線状であってもよい。筒形状の軸方向に垂直な断面形状としては、円形であってもよいし、多角形であってもよい。円形状の好ましい例としては、その軸が直線状であり、かつ軸方向に垂直な断面形状が円形であるものが好適に挙げられる。
反応容器の内部に2つの端部が存在する場合、第一端部側に昇華用原料40が収容され、第二端部側に炭化ケイ素単結晶の種結晶が配置される。第一端部の形状としては、特に制限はなく、平面形状であってもよいし、均熱化を促すための構造(例えば凸部等)を適宜設けてもよい。
反応容器においては、第二端部側が着脱可能に設計されていることが好ましい。具体的には第二端部は、反応容器本体12に対し蓋部11が着脱可能に設計され、かつ後に説明する封止部が反応容器本体12と蓋部11の接合部を封止可能に配置されると共に蓋部11を反応容器に装着した際に封止部が反応容器内部に収納可能に設計されていることが好ましい。この場合、第二端部に装着された蓋部11を脱離するだけで、成長した炭化ケイ素単結晶を容易に反応容器から分離することができる点で有利である。
第一端部と第二端部との位置関係としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。この場合、第一端部が下端部であり、第二端部が上端部である形態、即ち、第一端部と第二端部とが重力方向に位置しているのが好ましい。昇華用原料40の昇華が円滑に行われ、また、炭化ケイ素単結晶の成長が、下方に向かって、即ち重力方向に向かって余分な負荷がかからない状態で行われるからである。
なお、第一端部側には、例えば、昇華用原料40の昇華を効率よく行う目的で、伝熱性に優れた材料で形成した部材を配置してもよい。この部材としては、例えば、外周が反応容器内の周側面部と密接可能であり、内部が、第二端部に近づくにつれてその径が漸次増加するような逆錘形状もしくは逆錘台形状である部材、などが好適に挙げられる。なお、反応容器の外部に露出する部分には、目的に応じて、ねじ切り、測温用凹部等が設けられていてもよく、測温用凹部は、第一端部側及び第二端部側の少なくとも一方の部分に設けられているのが好ましい。
反応容器の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。耐久性、耐熱性、伝熱性等に優れた材料で形成されているものが好ましい。これらの要件に加えて更に不純物の発生による多結晶や多型の混入等が少なく、昇華用原料40の昇華と再結晶の制御が容易である等の点で黒鉛製であるものが特に好ましい。また反応容器は、単独の部材で形成されていてもよいし、2以上の部材で形成されていてもよく、目的に応じて適宜選択することができる。2以上の部材で形成されている場合としては、第二端部が2以上の部材で形成されているものが好ましく、第二端部の中心部とその外周部とが別の部材で形成されているのが、温度差もしくは温度勾配を形成できる点でより好ましい。具体的には、反応容器は、第二端部における炭化ケイ素単結晶の成長が行われる領域に隣接する内側領域と、内側領域の外周に位置する外周領域とが別の部材で形成され、かつ内側領域を形成する部材の一端が反応容器内に設けられる封止部に接し、他端が反応容器の外部に露出していることが特に好ましい。
この場合、第二端部をその外側から加熱した場合、外側領域は容易に加熱されるものの、内側領域は、外側領域との接触抵抗により加熱され難くなる。そのため、外側領域と内側領域との間で温度差が生じ、内側領域の方が外側領域よりも若干温度が低く維持される。その結果、内側領域の方が外側領域よりも炭化ケイ素が再結晶し易くすることができる。更に、内側領域を形成する部材における他端が反応容器の外部に露出しているので、内側領域は反応容器の外部に熱を放熱し易いため、内側領域の方が外側領域よりも炭化ケイ素が再結晶を生じ易くさせることができる。なお、内側領域を形成する部材における他端が反応容器の外部に露出している形態としては、特に制限はなく、内側領域を底面とし反応容器の外側に向けて連続的又は不連続的にその径が変化する形状、即ち大きくなるか又は小さくなる形状などが挙げられる。
このような形状としては、具体的には、内側領域を底面とする柱形状、例えば円柱状、角柱状等が挙げられ、円柱状が好ましく、内側領域を底面とする錘台形状、例えば円錐台状、角錐台状、逆円錐台状、逆角錐台状等が挙げられ、逆円錐台状が好ましい。また、内側領域を形成する部材の一端と反応容器内に設けられる封止部との熱接触をよくするため、接触部分を接着するか、又は接触部分の片側あるいは両側に凸形状部や凹凸形状部等を設けることも、内側領域の放熱を高め炭化ケイ素が再結晶し易くする点で好ましい。同様の工夫は第二端部が単独の部材で形成されているときにも有効であることは言うまでもない。
反応容器は、断熱材等で囲まれていることが好ましい。この場合、反応容器における第一端部(昇華用原料収容部)及び第二端部(種結晶配置部)の略中央は、測温用窓を形成する目的で、断熱材等が設けられていないのが好ましい。また、第一端部(昇華用原料収容部)の略中央に測温用窓が設けられている場合には、断熱材粉等の落下を防ぐための黒鉛製カバー部材等が更に設けられているのが好ましい。
反応容器は、石英管内に配置されるのが好ましい。この場合、昇華用原料40の昇華及び再結晶化のための加熱エネルギーの損失が少ない点で好ましい。なお、石英管は高純度品が入手可能であり、高純度品を用いると金属不純物の混入が少ない点で有利である。
第一誘導加熱コイル20は、通電により加熱し、昇華用原料40を昇華可能となるように昇華雰囲気を形成することができる限り特に制限はなく、誘導加熱可能なコイルなどが好適に挙げられる。第一誘導加熱コイル20は、坩堝10における、昇華用原料40が収容された部分の外周に環巻された状態で配置される。
第二誘導加熱コイル21は、第一誘導加熱コイル20により昇華された昇華用原料40が炭化ケイ素の種結晶近傍でのみ再結晶可能となるように再結晶雰囲気を形成し、昇華用原料40を炭化ケイ素の種結晶上に再結晶させることができる限り特に制限はなく、誘導加熱可能なコイルなどが挙げられる。第二誘導加熱コイル21は、坩堝10における、炭化ケイ素の種結晶が配置された部分の外周に環巻された状態で配置される。
干渉防止コイル22は、炭化ケイ素単結晶の効率的な成長を行う目的で、第一誘導加熱コイル20と第二誘導加熱コイル21との間に配置される。第一誘導加熱コイル20及び第二誘導加熱コイル21による誘導加熱を同時に行った際に、干渉防止コイル22に誘電電流が流れ、干渉防止コイル22が両者間における干渉を極小化し防止することができるからである。干渉防止コイル22としては、第一誘導加熱コイル20と第二誘導加熱コイル21との間における干渉を防止する機能を有するものであれば特に制限はない。干渉防止コイル22は、それ自身に流れる誘導電流により加熱されないように設計するのが好ましく、それ自身冷却可能なものがより好ましく、水等の冷却媒体を流通可能なものが特に好ましい。この場合、干渉防止コイル22に第一誘導加熱コイル20及び第二誘導加熱コイル21における誘導電流が流れたとしても、干渉防止コイル22が加熱され破損や周辺部品の不具合等を起こすこともない点で好ましい。干渉防止コイル22の環巻された巻数としては、特に制限はなく、第一加熱手段及び第二加熱手段の種類、これらに通電される電流の量等により異なり一概に規定することはできないが、一重程度であっても十分である。
実施形態にかかる炭化ケイ素単結晶の製造装置においては、第一誘導加熱コイル20が昇華用原料40を昇華可能となるように昇華雰囲気を形成し、昇華用原料40を昇華させる。そして、第二誘導加熱コイル21が、第一誘導加熱コイル20により昇華された昇華用原料40が種結晶近傍でのみ再結晶可能となるように再結晶雰囲気を形成し、昇華用原料40を種結晶上に再結晶させる。このため、成長する炭化ケイ素単結晶が、その全成長過程において、その成長面の全面がその成長方向に向かって凸形状が維持され、蓋部11側に陥没した凹部が輪状に形成されることがない。また、炭化ケイ素多結晶が、反応容器本体12内の周側面部に接触した状態で成長することもない。このため、成長した炭化ケイ素単結晶を室温まで冷却した際に、炭化ケイ素多結晶側から炭化ケイ素単結晶側に熱膨張差に基づく応力が集中して印加されることがなく、得られる炭化ケイ素単結晶に割れ等の破損が生じてしまうことがない。その結果、従来における諸問題、即ち、割れ等の破損がなく、多結晶や多型の混入やマイクロパイプ等の結晶欠陥が存在しない高品質の炭化ケイ素単結晶が効率よくかつ確実に製造することができる。
なお、前述の第一及び第二加熱手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、誘導加熱手段、抵抗加熱手段などが挙げられるが、温度制御が容易な点で誘導加熱手段が好ましく、誘導加熱手段の中でも、誘導加熱可能なコイルであるものが好ましい。
第二の実施形態:
第二の実施形態にかかる炭化ケイ素単結晶の製造装置は、図5に示すように、第一の実施形態にかかる製造装置の構成要件に加えてさらに、第二端部に配置された断面コの字状の封止部を有する。つまり、反応容器に設けられる際に昇華用原料40に略対向すると共に種結晶を設置可能とする第一面及び蓋部11に対向する第二面とを有する底部90aと、底部90aの第一面の縁部周縁から立設して底部の第一面と共に中空部を形成する壁部90bとを備えるものであって、底部90aの第一面が昇華用原料40に略対向するように反応容器内部に設けられると、反応容器周側面部の単結晶成長可能領域を覆うものである封止部90を備える構成としてもよい。封止部90を設けることで、昇華雰囲気からの昇華材料の漏洩が防止される。その結果、昇華雰囲気における気相成分比の変動が防止されるため高品質大型単結晶の製造が可能となる。
封止部90としては、炭化ケイ素単結晶の種結晶を設置可能とするものであって、昇華させた昇華用原料40の漏洩を防止できるものであれば特に制限はない。封止部90としては、反応容器本体12に対し着脱可能であるものが好ましい。炭化ケイ素単結晶の製造装置においては、通常、封止部90が反応容器本体12に装着された際に反応容器本体12内に収容された昇華用原料40に対向する面の略中央に炭化ケイ素単結晶の種結晶が配置される。
封止部90としては、熱膨張係数が種結晶と略同一であるものが好ましく、材質が黒鉛であるものがさらに好ましい。また封止部90を昇華雰囲気内における単結晶成長可能領域を覆うものであることがさらに好ましい。封止部90の熱膨張係数を種結晶と略同一とすることで、成長した単結晶が接触している坩堝10と成長温度の温度差により生じるひび割れが防止されて高品質大型単結晶の製造が可能となる。さらに封止部90を昇華雰囲気内における単結晶成長可能領域を覆うものとすることで、坩堝10と成長温度の温度差により生じるひび割れがより効果的に防止されて作用効果がさらに向上することとなる。
第二の実施形態の変形例:
以上第二の実施形態について説明したが、炭化ケイ素単結晶の製造装置における封止部は前述の機能を有するものであれば特に形状は制限されるものではない。従って、封止部を置き換えたことを除いて図5で示される製造装置と同様である図6〜8に示される製造装置を用いることができる。即ち、図6に示されるように、封止部を反応容器内壁に設けられたヒンジ部で保持させることに代えて、封止部の底部の第一面を昇華用原料40に略対向するように反応容器内部に装着した際に、壁部91bの端が反応容器本体12の底部まで達し封止部91を支える構成としてもよい。また図7や図8に示されるように、封止部を断面略Cの字状の形状とし、反応容器内壁に設けられたヒンジ部18で保持させる構成としてもよい。
前述したところが、この発明の好ましい実施形態であること、多くの変更及び修正をこの発明の精神と範囲とにそむくことなく実行できることは当業者によって了承されよう。
(昇華用原料)
昇華用原料40としては、炭化ケイ素である限り、結晶の多型、使用量、純度、その製造方法等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。昇華用原料40の結晶の多型としては、例えば、4H,6H,15R,3Cなどが挙げられ、これらの中でも6Hなどが好適に挙げられる。これらは、1種単独で使用されるのが好ましいが、2種以上併用されてもよい。
昇華用原料40の使用量としては、製造する炭化ケイ素単結晶の大きさ、反応容器の大きさ等に応じて適宜選択することができる。昇華用原料40の純度としては、製造する炭化ケイ素単結晶中への多結晶や多型の混入を可能な限り防止する観点からは、純度の高いことが好ましく、具体的には、不純物元素の各含有量が0.5ppm以下であるのが好ましい。ここで、不純物元素の含有量は、化学的な分析による不純物含有量であり、参考値としての意味を有するに過ぎず、実用的には、不純物元素が炭化ケイ素単結晶中に均一に分布しているか、局所的に偏在しているかによっても、評価が異なってくる。なお、ここで「不純物元素」とは、1989年IUPAC無機化学命名法改訂版の周期律表における1族から17族元素に属しかつ原子番号3以上(但し、炭素原子、酸素原子及びケイ素原子を除く)である元素をいう。また、成長する炭化ケイ素単結晶にn型あるいはp型の導電性を付与するため故意にそれぞれ窒素、アルミニウムなどのドーパント元素を添加した場合はそれらも除くこととする。
昇華用原料40としての炭化ケイ素粉末は、例えば、ケイ素源として、ケイ素化合物の少なくとも1種と、炭素源として、加熱により炭素を生ずる有機化合物の少なくとも1種と、重合触媒又は架橋触媒とを溶媒中で溶解し乾燥して得られた粉末を非酸化性雰囲気下で焼成することにより得られる。
ケイ素化合物としては、液状のものと固体のものとを併用することができるが、少なくとも1種は液状のものから選択する。
液状のものとしては、アルコキシシラン及びアルコシシシラン重合体が好適に用いられる。アルコキシシランとしては、例えば、メトキシシラン、エトキシシラン、プロポキシシラン、ブトキシシラン等が挙げられ、これらの中でもハンドリングの点でエトキシシランが好ましい。アルコキシシランとしては、モノアルコキシシラン、ジアルコキシシラン、トリアルコキシシラン、テトラアルコキシシランのいずれであってもよいが、テトラアルコキシシランが好ましい。アルコキシシラン重合体としては、重合度が2〜15程度の低分子量重合体(オリゴマー)及びケイ酸ポリマーが挙げられる。例えば、テトラエトキシシランオリゴマーが挙げられる。
固体のものとしては、SiO、シリカゾル(コロイド状超微細シリカ含有液、内部にOH基やアルコキシル基を含む)、二酸化ケイ素(シリカゲル、微細シリカ、石英粉末)等の酸化ケイ素が挙げられる。
ケイ素化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。ケイ素化合物の中でも、均質性やハンドリング性が良好な点でテトラエトキシシランのオリゴマー、テトラエトキシシランのオリゴマーと微粉末シリカとの混合物、等が好ましい。ケイ素化合物は、高純度であるのが好ましく、初期における各不純物の含有量が20ppm以下であるので好ましく、5ppm以下であるのがより好ましい。
加熱により炭素を生じる有機化合物としては、液状のものを単独で用いてもよいし、液状のものと固体のものとを併用してもよい。加熱により炭素を生ずる有機化合物としては、残炭率が高く、かつ触媒若しくは加熱により重合又は架橋する有機化合物が好ましく、例えば、フェノール樹脂、フラン樹脂、ポリイミド、ポリウレタン、ポリビニルアルコール等の樹脂のモノマーやプレポリマーが好ましく、その他、セルロース、蔗糖、ピッチ、タール等の液状物が挙げられる。これらの中でも、高純度のものが好ましく、フェノール樹脂がより好ましく、レゾール型フェノール樹脂が特に好ましい。
加熱により炭素を生ずる有機化合物は、1種単独で用いてもよいし、2以上を併用してもよい。加熱により炭素を生ずる有機化合物の純度としては、目的に応じて適宜選択することができるが、高純度の炭化ケイ素粉末が必要な場合には各金属を5ppm以上含有していない有機化合物を用いることが好ましい。
重合触媒及び架橋触媒としては、加熱により炭素を生ずる有機化合物に応じて適宜選択できるが、加熱により炭素を生ずる有機化合物がフェノール樹脂やフラン樹脂の場合、トルエンスルホン酸、トルエンカルボン酸、酢酸、しゅう酸、マレイン酸、硫酸等の酸類が好ましく、マレイン酸が特に好ましい。
加熱により炭素を生ずる有機化合物に含まれる炭素と、ケイ素化合物に含まれるケイ素との比(以下「C/Si比」と略記)は、両者の混合物を1000℃にて炭化して得られる炭化物中間体を、元素分析することにより定義される。化学量論的には、C/Si比が3.0の時に得られた炭化ケイ素粉末中の遊離炭素が0%となるはずであるが、実際には同時に生成するSiOガスの揮散により低C/Si比において遊離炭素が発生する。この得られた炭化ケイ素粉末中の遊離炭素量が適当な量となるように予め配合比を決定しておくのが好ましい。通常、1気圧近傍で1600℃以上での焼成では、C/Si比を2.0〜2.5にすると遊離炭素を抑制することができる。C/Si比が2.5を超えると、遊離炭素が顕著に増加する。但し、雰囲気の圧力を低圧又は高圧で焼成する場合は、純粋な炭化ケイ素粉末を得るためのC/Si比は変動するので、この場合は必ずしもC/Si比の範囲に限定するものではない。
なお、炭化ケイ素粉末は、例えば、ケイ素化合物と加熱により炭素を生ずる有機化合物との混合物を硬化することによっても得られる。
硬化の方法としては、加熱により架橋する方法、硬化触媒により硬化する方法、電子線や放射線による方法、などが挙げられる。硬化触媒としては、加熱により炭素を生ずる有機化合物の種類等に応じて適宜選択することができ、フェノール樹脂やフラン樹脂の場合には、トルエンスルホン酸、トルエンカルボン酸、酢酸、しゅう酸、塩酸、硫酸、マレイン酸等の酸類、ヘキサミン等のアミン酸などが好適に挙げられる。これらの硬化触媒を用いる場合、硬化触媒は溶媒に溶解し又は分散される。触媒としては、低級アルコール(例えばエチルアルコール等)、エチルエーテル、アセトンなどが挙げられる。
以上により得られた炭化ケイ素粉末は、窒素又はアルゴン等の非酸化性雰囲気中、800〜1000℃にて30〜120分間、焼成される。焼成により炭化ケイ素粉末が炭化物になり、炭化物を、アルゴン等の非酸化性雰囲気中、1350〜2000℃で焼成することにより、炭化ケイ素粉末が生成される。
焼成の温度と時間とは、得ようとする炭化ケイ素粉末の粒径等に応じて適宜選択することができ、炭化ケイ素粉末のより効果的な生成の点で温度は1600〜1900℃が好ましい。なお、焼成の後に、不純物を除去し高純度の炭化ケイ素粉末を得る目的で、例えば、2000〜2400℃で3〜8時間加熱処理を行うのが好ましい。
以上により得られた炭化ケイ素粉末は、大きさが不均一であるため、解粉、分級、等を行うことにより所望の粒度にすることができる。
炭化ケイ素粉末の平均粒径としては、10〜700μmが好ましく、100〜400μmがより好ましい。平均粒径が10μm未満であると、炭化ケイ素単結晶を成長させるための炭化ケイ素の昇華温度、即ち1800℃〜2700℃で速やかに焼結を起こしてしまうため、昇華表面積が小さくなり、炭化ケイ素単結晶の成長が遅くなることがあり、また、炭化ケイ素粉末を反応容器内へ収容させる際や、成長速度調整のために再結晶雰囲気の圧力を変化させる際に、炭化ケイ素粉末が飛散し易くなる。一方、平均粒径が500μmを超えると、炭化ケイ素粉末自身の比表面積が小さくなるため、やはり炭化ケイ素単結晶の成長が遅くなることがある。
炭化ケイ素粉末としては、4H,6H,15R,3C、これらの混合物等のいずれであってもよいが、成長させる単結晶と同一の多型が好ましく、高純度のものであることが好ましい。
なお、炭化ケイ素粉末を用いて成長させた炭化ケイ素単結晶にn型又はp型の導電性を付与する目的で窒素又はアルミニウムなどをそれぞれ導入することができ、窒素又はアルミニウムを炭化ケイ素粉末の製造時に導入する場合は、まずケイ素源と、炭素源と、窒素源又はアルミニウム源からなる有機物質と、重合又は架橋触媒とに均一に混合すればよい。このとき、例えば、フェノール樹脂等の炭素源と、ヘキサメチレンテトラミン等の窒素源からなる有機物質と、マレイン酸等の重合又は架橋触媒とを、エタノール等の溶媒に溶解する際に、テトラエトキシシランのオリゴマー等のケイ素源と十分に混合することが好ましい。
窒素源からなる有機物質としては、加熱により窒素を発生する物質が好ましく、例えば、高分子化合物(具体的には、ポリイミド樹脂、及びナイロン樹脂等);有機アミン(具体的には、ヘキサメチレンテトラミン、アンモニア、トリエチルアミン等、及びこれらの化合物、塩類)の各種アミン類が挙げられる。これらの中でも、ヘキサメチレンテトラミンが好ましい。また、ヘキサミンを触媒として合成され、その合成工程に由来する窒素を樹脂1gに対して2.0mmol以上含有するフェノール樹脂も、窒素源からなる有機物質として好適に用いることができる。こられの窒素源からなる有機物質は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、アルミニウム源からなる有機物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
窒素源からなる有機物質の添加量としては、ケイ素源と炭素源とを同時に添加する場合には、ケイ素源1g当たり窒素が1mmol以上含有することが好ましく、ケイ素源1gに対して80〜1000μgが好ましい。
炭化ケイ素単結晶の製造におけるより具体的な昇華用原料40を列記すると以下の通りである。昇華用原料40として、高純度のアルコキシシラン及びアルコキシシラン重合体から選択される少なくとも1種をケイ素源とし、加熱により炭素を生成する高純度の有機化合物を炭素源とし、これらを均一に混合して得た混合物を非酸化性雰囲気下で加熱焼成して得られた炭化ケイ素粉末を用いることが好ましい。昇華用原料40として、高純度のアルコキシシランをケイ素源とし、加熱により炭素を生成する高純度の有機化合物を炭素源とし、これらを均一に混合して得た混合物を非酸化性雰囲気下で加熱焼成して得られた炭化ケイ素粉末を用いることが好ましい。また昇華用原料40として、高純度のアルコキシシラン及び高純度のアルコキシシランの重合体をケイ素源とし、加熱により炭素を生成する高純度の有機化合物を炭素源とし、これらを均一に混合して得た混合物を非酸化性雰囲気下で加熱焼成して得られた炭化ケイ素粉末を用いることが好ましい。また昇華用原料40として、高純度のメトキシシラン、高純度のエトキシシラン、高純度のプロポキシシラン、高純度のブトキシシランからなる群から選択される少なくとも1種をケイ素源とし、加熱により炭素を生成する高純度の有機化合物を炭素源とし、これらを均一に混合して得た混合物を非酸化性雰囲気下で加熱焼成して得られた炭化ケイ素粉末を用いることが好ましい。さらに昇華用原料40として、高純度のメトキシシラン、高純度のエトキシシラン、高純度のプロポキシシラン、高純度のブトキシシラン及び重合度が2〜15のそれらの重合体からなる群から選択される少なくとも1種をケイ素源とし、加熱により炭素を生成する高純度の有機化合物を炭素源とし、これらを均一に混合して得た混合物を非酸化性雰囲気下で加熱焼成して得られた炭化ケイ素粉末を用いることが好ましい。昇華用原料40として、高純度のモノアルコキシシラン、高純度のジアルコキシシラン、高純度のトリアルコキシシラン、高純度のテトラアルコキシシラン及び重合度が2〜15のそれらの重合体からなる群から選択される少なくとも1種をケイ素源とし、加熱により炭素を生成する高純度の有機化合物を炭素源とし、これらを均一に混合して得た混合物を非酸化性雰囲気下で加熱焼成して得られた炭化ケイ素粉末を用いることが好ましい。さらに、ケイ素源
をテトラアルコキシシラン重合体とし、炭素源をフェノール樹脂とすることが好ましい。炭化ケイ素粉末の不純物元素の各含有量が0.5ppm以下であることが好ましい。
(炭化ケイ素単結晶の成長方法)
図1の炭化ケイ素単結晶の製造装置を用いた炭化ケイ素単結晶の製造方法を説明する:
(イ)まず、反応容器内の第一端部に前述の昇華用原料40を収容する。
(ロ)次に、昇華用原料40よりも熱伝導性が高い均熱部材80を、反応容器の径方向の中心部を少なくとも含んで昇華用原料40の表面近傍に配置する。具体的には、図1に示すように、昇華用原料40の表面に直に均熱部材80を配置することが好ましい。反応容器の径方向の中心部に均熱部材80を配置することで、対向する種結晶表面の均熱化が促進され、マイクロパイプのない単結晶が得られるからである。また、均熱部材80を昇華用原料40に直に置くことで、反応容器中心部の昇華用原料40の温度上昇を促進させることができるからである。さらに、均熱部材80が反応容器の内壁に接触しないように、均熱部材80の径は反応容器の内径の80〜95%とすることが好ましい。昇華用原料40が昇華し易くするためである。
(ハ)反応容器内の昇華用原料40に略対向する第二端部に炭化ケイ素単結晶の種結晶を配置する。炭化ケイ素単結晶の種結晶としては、その結晶の多型、大きさ等については、目的に応じて適宜選択することができる。結晶の多型としては、通常、得ようとする炭化ケイ素単結晶の多型と同じ多型が選択される。
(ニ)昇華雰囲気を形成し、昇華させた昇華用原料40を種結晶上に再結晶させて炭化ケイ素単結晶を成長させる。炭化ケイ素単結晶の成長は、反応容器の第二端部に装着された蓋部11(封止部)上に配置された炭化ケイ素単結晶の種結晶上で行われる。炭化ケイ素単結晶を種結晶上に再結晶化し、成長させるには、昇華用原料40が昇華する温度よりも低い温度にし、昇華した昇華用原料40が種結晶近傍でのみ再結晶可能となるような再結晶雰囲気を形成することが好ましい。換言すれば、種結晶が配置される面の径方向において、中心部(内側領域の中心)に近づくほど温度が低くなるような温度分布となる雰囲気を形成することが好ましい。
再結晶雰囲気の形成は、第二加熱手段としての第二誘導加熱コイル21により好適に行うことができる。このような第二誘導加熱コイル21は、反応容器の第二端部側に配置され、第一加熱手段により昇華された昇華用原料40が炭化ケイ素単結晶の種結晶近傍でのみ再結晶可能となるように再結晶雰囲気を形成し、昇華用原料40を炭化ケイ素単結晶の種結晶上に再結晶させる。
第二誘導加熱コイル21の環巻された巻数としては、特に制限はなく、第一誘導加熱コイル20との距離、反応容器の材料等により加熱効率や温度効率が最適となるように決定することができる。第二誘導加熱コイル21に通電する誘導加熱電流の量は、第一加熱手段に通電する誘導加熱電流の量との関係で適宜決定することができる。両者の関係としては、第一加熱手段における誘導加熱電流の電流値が、第二誘導加熱コイル21における誘導加熱電流の電流値よりも大きくなるように設定するのが好ましい。この場合、昇華用原料40が昇華する雰囲気の温度よりも種結晶上近傍での再結晶雰囲気の温度の方が低く維持され、再結晶化が容易に行われる点で有利である。また、第二誘導加熱コイル21における誘導加熱電流の電流値としては、成長する炭化ケイ素単結晶の径が大きくなるにつれて、連続的又は段階的に小さくなるように制御することが好ましい。この場合、炭化ケイ素単結晶が成長するにつれて第二誘導加熱コイル21による加熱量が小さく制御されるので、成長を続ける炭化ケイ素単結晶の近傍でしか再結晶が行われず、炭化ケイ素単結晶の周囲に多結晶が生ずることが効果的に抑制される点で有利である。なお、第二誘導加熱コイル21における誘導加熱電流の電流値としては、炭化ケイ素単結晶の種結晶の径が大きい場合には小さくなるように制御し、径が小さい場合には大きくなるように制御するのが好ましい傾向がある。
第二誘導加熱コイル21は、第二誘導加熱コイル21とは独立にその制御を行うことができるので、炭化ケイ素単結晶の成長速度に応じて、第二誘導加熱コイル21の加熱量を適宜調節することにより、炭化ケイ素単結晶の全成長過程を通して好ましい成長速度を維持することができる。第二誘導加熱コイル21により形成される再結晶雰囲気の温度としては、第一加熱手段により形成される昇華雰囲気の温度よりも、30〜300℃低いことが好ましく、30〜150℃低いことがより好ましい。第二誘導加熱コイル21により形成される再結晶雰囲気の圧力としては、10〜100Torr(1330〜13300Pa)が好ましい。なお、この圧力条件にする場合には、減圧にしたまま加熱するのではなく、設定温度にまで加熱をしてから減圧を行い、所定の数値範囲内になるように圧力条件を調整するのが好ましい。
再結晶雰囲気は、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気にしておくのが好ましい。
大径の炭化ケイ素単結晶を得る観点からは、以下のように温度制御することが好ましい。即ち、昇華用原料40を収容した第一端部側の温度をT1とし、炭化ケイ素単結晶の種結晶を配置した第二端部側の温度をT2とし、第二端部側における、反応容器の内周側面部との隣接部の温度T3としたとき、T3−T2及びT1−T2が連続的又は段階的に大きくなるように制御することが好ましい。この場合、T1−T2が連続的又は段階的に大きくなるので、経時的に、炭化ケイ素単結晶が第一端部側に向かって成長を続けても、炭化ケイ素単結晶の結晶成長先端側は常に再結晶が起こり易い状態に維持される。一方、T3−T2が連続的又は段階的に大きくなるので、経時的に、炭化ケイ素単結晶が第二端部側における外周方向に向かって成長を続けても、炭化ケイ素単結晶の結晶成長外周端側は常に再結晶が起こり易い状態に維持される。その結果、炭化ケイ素多結晶の生成が効果的に抑制され、炭化ケイ素単結晶は、その径を拡大しながらその厚みを増す方向に成長を続け、最終的には、炭化ケイ素多結晶等の混入がなく、大径の炭化ケイ素単結晶が得られる点で有利である。
炭化ケイ素単結晶は、以下の形態により再結晶し成長する:第一の形態においては、炭化ケイ素単結晶を、その全成長過程を通して、その成長面の全面を凸形状に保持したまま成長する。この場合、炭化ケイ素単結晶の成長面の全面において、単結晶内側に陥没した凹部が輪状に形成されることがない。他の形態においては、炭化ケイ素単結晶は、その全成長過程を通して、その成長面の全面を凸形状に保持したまま、かつ成長面を除く全面を封止部に接触させたまま成長する。この場合、炭化ケイ素単結晶の成長面の全面において、反応容器の単結晶内側に陥没した凹部が輪状に形成されることがなく、また、成長面以外の部分から欠陥等が発生拡散することがない。また封止部が炭化ケイ素と略同一の熱膨張係数をもつため、成長した炭化ケイ素単結晶を室温まで冷却した際に、炭化ケイ素多結晶側から炭化ケイ素単結晶側に熱膨張差に基づく応力が集中して印加されることがなく、得られる炭化ケイ素単結晶に割れ等の破損が生じてしまうことがない。
成長する炭化ケイ素単結晶の形状としては、その成長面の全面がその成長方向側に凸形状であるのが好ましく、第一端部(昇華用原料40収容部)と第二端部とが対向している場合には、昇華用原料40側、即ち第一端部側に向かってその成長面の全面が凸形状であるのが好ましい。この場合、多結晶や多型の混入が多く、熱膨張差による応力が集中し易いと考えられるところの、第二端部側に陥没した凹部が存在しない点で好ましい。なお、成長する炭化ケイ素単結晶の形状としては、その成長面の全面がその成長方向側と反対側に凹形状となっている部分を含まない限り、凸形状となっていなくても平坦な箇所が一部に含まれていてもよい。
また、炭化ケイ素単結晶を含む炭化ケイ素の結晶の形状としては、昇華用原料40側、即ち第一端部側に向かって略山形であるのが好ましく、その径が漸次小さくなる略山形であるのがより好ましい。換言すると、炭化ケイ素単結晶を含む炭化ケイ素の結晶を、その全成長過程を通して、昇華用原料40側に近づくほど径が漸次小さくなる略山形を保持したまま成長させることが好ましい。なお、略山形である炭化ケイ素の結晶における裾野部分、即ち外周部分においては、炭化ケイ素多結晶や多型が混入することがあるが、この混入は、種結晶の厚み、大きさ、形状等と、第二誘導加熱コイル21による加熱量との条件の組み合わせにより、その発生を防止することができる。炭化ケイ素多結晶や多型の混入を防止すると、炭化ケイ素を含む炭化ケイ素の結晶が、炭化ケイ素単結晶のみからなるものとすることができるので好ましい。
なお、反応容器内の周側面部にリング状の板部材を第二端部(種結晶配置部)と略平行に固定配置してもよい。この場合、炭化ケイ素単結晶を種結晶上に再結晶し成長させる際、種結晶上には炭化ケイ素単結晶のみを再結晶し成長させることができる。また、炭化ケイ素多結晶を発生させないか、あるいはリング状の板部材上に選択的に析出させることができる。なお、この場合、得られる炭化ケイ素単結晶の径は、リング状の板部材の分だけ制約を受ける。
(炭化ケイ素単結晶)
炭化ケイ素単結晶の製造方法により製造される炭化ケイ素単結晶は、マイクロパイプを有しない。また炭化ケイ素単結晶は非破壊で光学的に画像検出した結晶欠陥(パイプ欠陥)は100個/cm2以下が好ましく、さらに好ましくは50個/cm2以下であり、より好ましくは10個/cm2以下である。結晶欠陥は、例えば、以下のようにして検出することができる。炭化ケイ素単結晶に対し、反射照明に適当量の透過照明を加えた照明を当て、炭化ケイ素単結晶の表面の結晶欠陥(パイプ欠陥)の開口部に顕微鏡焦点を合わせた際に、パイプ欠陥の内部へと続く部分が開口部の像よりも弱い影として開口部につながって観察することができる条件下で、炭化ケイ素単結晶の全面を走査して顕微鏡画像を得た後、顕微鏡画像を画像処理することにより、パイプ欠陥に特徴的な形状のみを抽出してその数を計測することにより、パイプ欠陥を検出することができる。
なお、上記の検出によると、炭化ケイ素単結晶の表面に付着した異物や研磨傷、空隙欠陥などのパイプ欠陥以外の欠陥が混在する中から、パイプ欠陥のみを非破壊で正確に検出することができ、しかも、例えば0.35μm程度の微小なパイプ欠陥までも正確に検出することができる。一方、従来から、溶融アルカリによりパイプ欠陥部分を選択的にエッチングし、拡大して検出する方法が行われているが、この方法の場合には、隣接するパイプ欠陥同士がエッチングにより互いに合一し、結果としてパイプ欠陥の数が少なく検出されてしまうという問題がある。
炭化ケイ素単結晶における不純物元素の総含有量としては、10ppm以下であるのが好ましい。
(用途)
炭化ケイ素単結晶は、多結晶や多型の混入やマイクロパイプ等の結晶欠陥がなく、極めて高品質である。そのため、絶縁破壊特性、耐熱性、耐放射線性等に優れ、半導体ウエハ等の電子デバイス、発光ダイオード等の光学デバイスなどに特に好適に用いられる。
以上、炭化ケイ素単結晶の製造装置によると、高品質な炭化ケイ素単結晶を効率よく、かつ割れ等の破損がない状態で容易に製造することができる。
以下に実施例及び比較例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明が以下の実施例に限定されるものでないことは言うまでもない。
(実施例1)
図1に示す炭化ケイ素単結晶の製造装置1を用いて炭化ケイ素単結晶を製造した。なお、炭化ケイ素単結晶の製造装置1を実施すると本発明の炭化ケイ素単結晶の製造方法をも実施することになる。
均熱部材としては、直径90mm(反応容器の内径の93%)、厚さ5mmであり、黒鉛からなる熱伝導率が80w/mkのものを使用した。
昇華用原料40は、上述した高純度のテトラエトキシシラン重合体をケイ素源とし、レゾール型フェノール樹脂を炭素源とし、これらを均一に混合して得た混合物をアルゴン雰囲気下で加熱焼成して得られた炭化ケイ素粉末(6H(一部3Cを含む)、平均粒径が200μm)であった。
炭化ケイ素単結晶の種結晶50は、6Hのアチソン結晶であり、その種結晶厚は0.9mm、直径は20mmであった。
炭化ケイ素単結晶の製造装置1において、第一誘導加熱コイル20に電流を通電させこれを加熱しその熱で昇華用原料40を加熱した。その際反応容器本体12の底部を2540℃にまで加熱した後、アルゴンガス雰囲気で圧力を50Torr(6645Pa)に維持した。昇華用原料40は、所定の温度(2540℃)にまで加熱されて昇華した。
一方、蓋部11側は、第二誘導加熱コイル21により加熱されている。第二誘導加熱コイル21による蓋部11の設定温度は2540℃であった。
このとき、図2、図4に示す通り、炭化ケイ素単結晶の種結晶50上には炭化ケイ素単結晶60が再結晶し成長し、炭化ケイ素単結晶の種結晶50の外周縁部には炭化ケイ素多結晶70が再結晶し成長する。炭化ケイ素単結晶60の成長は、その全成長過程において昇華用原料40側に向かって凸形状が維持され、蓋部11側に陥没した凹部が輪状に形成されることがなく、また、炭化ケイ素多結晶70が、反応容器本体12内の周側面部13に接触した状態で成長することもなかった。
その結果、図3に示す通り、成長した炭化ケイ素単結晶60を室温まで冷却した際に、炭化ケイ素多結晶70側から炭化ケイ素単結晶60側に熱膨張差に基づく応力が集中して印加されることはなかった。得られた炭化ケイ素単結晶60に割れ等の破損が生じることもなかった。得られた炭化ケイ素単結晶60について評価したところ、多結晶や多型の結晶の混入がなかった。また、図9に示すように、種結晶及び成長結晶ともに均一であり、成長結晶に至ってはマイクロパイプの発生が見られず高品質であることが分かった。さらに図10に示すように、実施例1による成長結晶においては、種結晶、成長結晶間界面が見えるように非常に高品質成長であることが分かった。
なお、マイクロパイプの結晶欠陥の検出は、得られた炭化ケイ素単結晶60を厚み0.4mmに切断し、鏡面研磨により表面粗さ0.4nmのウエハとし、アルカリ洗浄により表面の異物を極力除去した後に、後述の通り検出した。即ち、アルカリ洗浄後のウエハに対し、反射照明に適当量の透過照明を加えた照明を当て、ウエハ表面のマイクロパイプの開口部に顕微鏡焦点を合わせた際に、マイクロパイプの内部へと続く部分が開口部の像よりも弱い影として開口部につながって観察することができる条件下で、ウエハの全面を走査して顕微鏡画像を得た後、顕微鏡画像を画像処理することにより、マイクロパイプに特徴的な形状のみを抽出してその数を計測することにより、マイクロパイプを検出した。なお、この検出では、0.35μm程度の微小なマイクロパイプまでも非破壊で正確に検出した。
(比較例1)
均熱部材を用いなかったことを除き、実施例1と同様にして実験を行った。得られた単結晶を図13,14に示す。図13に示すように、比較例1の場合、種結晶(下側)、成長結晶(上側)界面からマイクロパイプが発生していることが観察された。また、種結晶内部は均一な窒素分布を示したが、成長後は温度分布を反映して、不均一な分布を呈した。さらに、図14に示すように、成長結晶表面に、白いつぶ、即ちマイクロパイプ欠陥が見られた。
(実施例2〜3)
図5に示す製造装置を用いたことと、表1に挙げた実験条件(種結晶厚、キャップ高さ、第一誘導加熱コイル20及び第二誘導加熱コイル21の設定温度)について変更を加えたことを除いて、実施例1と同様にして実験を行った。その結果、マイクロパイプのない良好な単結晶が得られた。得られた結果を表1に示す。
本発明によると、絶縁破壊特性、耐熱性、耐放射線性等に優れ、半導体ウエハ等の電子デバイス、発光ダイオード等の光学デバイスなどに特に好適であり、多結晶や多型の混入やマイクロパイプ等の欠陥のない高品質な炭化ケイ素単結晶、並びに、高品質な炭化ケイ素単結晶を効率よく、かつ割れ等の破損がない状態で大口径にしかも容易に製造し得る方法及び装置を提供することができる。
図1は、炭化ケイ素単結晶の製造方法における初期状態を説明するための概略図である。 図2は、炭化ケイ素単結晶の製造方法により炭化ケイ素単結晶を製造している状態を説明するための概略図である。 図3は、炭化ケイ素単結晶の製造方法により炭化ケイ素単結晶を製造している状態を説明するための概略図である。 図4は、炭化ケイ素単結晶の製造方法により製造された炭化ケイ素単結晶の概略図である。 図5は、炭化ケイ素単結晶の製造方法に用いた坩堝10の他の例を示す概略説明図である。 図6は、炭化ケイ素単結晶の製造方法に用いた坩堝10の他の例を示す概略説明図である。 図7は、炭化ケイ素単結晶の製造方法に用いた坩堝10の他の例を示す概略説明図である。 図8は、炭化ケイ素単結晶の製造方法に用いた坩堝10の他の例を示す概略説明図である。 図9は、炭化ケイ素単結晶の製造方法により製造された炭化ケイ素単結晶の側面断面である。 図10は、炭化ケイ素単結晶の製造方法により製造された炭化ケイ素単結晶の上面面である。 図11は、従来の炭化ケイ素単結晶の製造方法により炭化ケイ素単結晶を製造している状態を説明するための概略図である。 図12は、従来の炭化ケイ素単結晶の製造方法により製造された炭化ケイ素単結晶の概略図である。 図13は、炭化ケイ素単結晶の製造方法により製造された炭化ケイ素単結晶の側面断面である。 図14は、炭化ケイ素単結晶の製造方法により製造された炭化ケイ素単結晶の上面面である。
符号の説明
1…炭化ケイ素単結晶の製造装置
10…坩堝
11…蓋部
12…反応容器本体
13…周側面部
20…第一誘導加熱コイル(第一加熱手段)
21…第二誘導加熱コイル(第二加熱手段)
22…干渉防止コイル(干渉防止手段)
25…誘導加熱コイル
30…石英管
31…支持棒
40…昇華用原料
50…炭化ケイ素単結晶の種結晶
60…炭化ケイ素単結晶
70…炭化ケイ素多結晶
71…凹部
80…均熱部材
85…従来の炭化ケイ素単結晶の製造装置
90、91、92、93…キャップ(封止部)
90a、91a、92a、93a…底部
90b、91b、92b、93b…壁部
92c…傾斜部

Claims (46)

  1. 反応容器内の第一端部に昇華用原料を収容し、前記反応容器内の昇華用原料に略対向する第二端部に炭化ケイ素単結晶の種結晶を配置し、昇華させた昇華用原料を前記種結晶上に再結晶させて炭化ケイ素単結晶を成長させる炭化ケイ素単結晶の製造方法であって、
    前記昇華用原料よりも熱伝導性が高い均熱部材を、前記反応容器の径方向の中心部を少なくとも含んで前記昇華用原料の表面近傍に配置し、対向する種結晶表面の均熱化を促進させ、
    前記均熱部材は、反応容器の内壁及び反応容器底部から間隔を空けて配置されることを特徴とする炭化ケイ素単結晶の製造方法。
  2. 前記均熱部材を、前記昇華用原料に当接して配置することを特徴とする請求項1記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
  3. 前記均熱部材は、黒鉛からなることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
  4. 前記均熱部材の直径は、前記反応容器の内法直径の50〜90%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
  5. 前記均熱部材の熱伝導率は、80W/mk以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
  6. 前記反応容器内部の昇華用原料を収容した第一端部側に対向する第二端部側に封止部を設け、前記封止部に設けた種結晶上に炭化ケイ素単結晶を成長させることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
  7. 前記封止部の熱膨張係数は種結晶と略同一であることを特徴とする請求項6記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
  8. 前記封止部の材質は、黒鉛であることを特徴とする請求項6又は7記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
  9. 前記封止部は、昇華雰囲気内における単結晶成長可能領域を覆うものであることを特徴とする請求項6から8のいずれかに記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
  10. 前記炭化ケイ素単結晶をその全成長過程を通してその成長面の全面を凸形状に保持したまま成長させることを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
  11. 前記炭化ケイ素単結晶をその全成長過程を通してその成長面を除く全面を前記封止部に接触させたまま成長させることを特徴とする請求項6〜10のいずれかに記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
  12. 炭化ケイ素単結晶を含む炭化ケイ素の結晶を略山形に成長させることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
  13. 炭化ケイ素単結晶を含む炭化ケイ素の結晶を、その全成長過程を通して、その成長面の全面を、昇華用原料側に近づくほど径が漸次小さくなる略山形を保持したまま成長させることを特徴とする請求項12記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
  14. 炭化ケイ素単結晶を含む炭化ケイ素の結晶の成長が、第二端部における、反応容器内の周側面部との隣接部を除く領域でのみ行われることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
  15. 炭化ケイ素単結晶を含む炭化ケイ素の結晶が、炭化ケイ素単結晶のみからなることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
  16. 前記第一端部側に配置した第一加熱手段により、昇華用原料を昇華可能となるように昇華雰囲気を形成し、
    前記第二端部側に配置した第二加熱手段により、前記第一加熱手段により昇華された前記昇華用原料が前記炭化ケイ素単結晶の種結晶近傍でのみ再結晶可能となるように再結晶雰囲気を形成し、前記昇華用原料を前記炭化ケイ素単結晶の種結晶上に再結晶させることを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
  17. 反応容器内において、再結晶雰囲気の温度が昇華雰囲気の温度よりも30〜300℃低いことを特徴とする請求項16に記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
  18. 第一加熱手段及び第二加熱手段が誘導加熱可能なコイルであることを特徴とする請求項16又は17に記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
  19. 第一加熱手段における誘導加熱電流の電流値が、第二加熱手段における誘導加熱電流の電流値よりも大きいことを特徴とする請求項18に記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
  20. 第二加熱手段における誘導加熱電流の電流値を、成長する炭化ケイ素単結晶の径が大きくなるにつれて、連続的又は段階的に小さくすることを特徴とする請求項18又は19に記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
  21. 反応容器内の、昇華用原料を収容した第一端部側の温度をT1とし、炭化ケイ素単結晶の種結晶を配置した第二端部側の温度をT2とし、前記第二端部側における、反応容器の内周側面部との隣接部の温度T3としたとき、T3−T2及びT1−T2が連続的又は段階的に大きくなることを特徴とする請求項16〜20のいずれかに記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
  22. 第一加熱手段と第二加熱手段との間に、誘導電流を通電可能であり、前記誘導電流を通電することにより前記第一加熱手段と前記第二加熱手段との間における干渉を防止する干渉防止手段が配置されることを特徴とする請求項16〜21のいずれかに記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
  23. 干渉防止手段が、冷却水を流通可能なコイルであることを特徴とする請求項22に記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
  24. 第一端部が下端部であり、第二端部が上端部であることを特徴とする請求項16〜23のいずれかに記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
  25. 反応容器が、石英管内に配置された坩堝であることを特徴とする請求項16〜24のいずれかに記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
  26. 前記第二端部における炭化ケイ素単結晶の成長が行われる領域に隣接する内側領域と、前記内側領域の外周に位置する外周領域とが別の部材で形成され、かつ前記内側領域を形成する部材の一端が反応容器内に設けられる封止部に接し、他端が反応容器の外部に露出していることを特徴とする請求項16〜25のいずれかに記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
  27. 前記第二端部における、前記封止部の少なくとも内周側面部の表面が、ガラス状カーボンであることを特徴とする請求項6〜11,26のいずれかに記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
  28. 昇華用原料が、高純度のアルコキシシラン及びアルコキシシラン重合体から選択される少なくとも1種をケイ素源とし、加熱により炭素を生成する高純度の有機化合物を炭素源とし、これらを均一に混合して得た混合物を非酸化性雰囲気下で加熱焼成して得られた炭化ケイ素粉末であることを特徴とする請求項1〜27のいずれかに記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
  29. 昇華用原料が、高純度のアルコキシシランをケイ素源とし、加熱により炭素を生成する高純度の有機化合物を炭素源とし、これらを均一に混合して得た混合物を非酸化性雰囲気下で加熱焼成して得られた炭化ケイ素粉末であることを特徴とする請求項1〜27のいずれかに記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
  30. 昇華用原料が、高純度のアルコキシシラン及び高純度のアルコキシシランの重合体をケイ素源とし、加熱により炭素を生成する高純度の有機化合物を炭素源とし、これらを均一に混合して得た混合物を非酸化性雰囲気下で加熱焼成して得られた炭化ケイ素粉末であることを特徴とする請求項1〜27のいずれかに記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
  31. 昇華用原料が、高純度のメトキシシラン、高純度のエトキシシラン、高純度のプロポキシシラン、高純度のブトキシシランからなる群から選択される少なくとも1種をケイ素源とし、加熱により炭素を生成する高純度の有機化合物を炭素源とし、これらを均一に混合して得た混合物を非酸化性雰囲気下で加熱焼成して得られた炭化ケイ素粉末であることを特徴とする請求項1〜27のいずれかに記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
  32. 昇華用原料が、高純度のメトキシシラン、高純度のエトキシシラン、高純度のプロポキシシラン、高純度のブトキシシラン及び重合度が2〜15のそれらの重合体からなる群から選択される少なくとも1種をケイ素源とし、加熱により炭素を生成する高純度の有機化合物を炭素源とし、これらを均一に混合して得た混合物を非酸化性雰囲気下で加熱焼成して得られた炭化ケイ素粉末であることを特徴とする請求項1〜27のいずれかに記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
  33. 昇華用原料が、高純度のモノアルコキシシラン、高純度のジアルコキシシラン、高純度のトリアルコキシシラン、高純度のテトラアルコキシシラン及び重合度が2〜15のそれらの重合体からなる群から選択される少なくとも1種をケイ素源とし、加熱により炭素を生成する高純度の有機化合物を炭素源とし、これらを均一に混合して得た混合物を非酸化性雰囲気下で加熱焼成して得られた炭化ケイ素粉末であることを特徴とする請求項1〜27のいずれかに記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
  34. ケイ素源がテトラアルコキシシラン重合体であり、炭素源がフェノール樹脂であることを特徴とする請求項28に記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
  35. 炭化ケイ素粉末の不純物元素の各含有量が0.5ppm以下であることを特徴とする請求項28〜34に記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
  36. 昇華させた昇華用原料を種結晶上に再結晶させて炭化ケイ素単結晶を成長させる炭化ケイ素単結晶の製造装置であって、
    前記昇華用原料を収容可能な反応容器本体と、
    反応容器本体に着脱自在に設けられる蓋部と、
    前記昇華用原料よりも熱伝導性が高く、前記反応容器の径方向の中心部を少なくとも含んで前記昇華用原料の表面近傍に配置され、前記反応容器中心部の前記昇華用原料の温度上昇を促進させる均熱部材と、を有する坩堝を少なくとも備え、
    前記均熱部材は、反応容器の内壁及び反応容器底部から離間して配置されていることを特徴とする炭化ケイ素単結晶の製造装置。
  37. 前記均熱部材は、前記昇華用原料に当接して配置されていることを特徴とする請求項36に記載の炭化ケイ素単結晶の製造装置。
  38. 前記均熱部材は、黒鉛からなることを特徴とする請求項36又は37に記載の炭化ケイ素単結晶の製造装置。
  39. 前記均熱部材の直径は、前記反応装置の内法直径の50〜90%であることを特徴とする請求項36〜38のいずれかに記載の炭化ケイ素単結晶の製造装置。
  40. 前記均熱部材の熱伝導率は、80W/mk以上であることを特徴とする請求項36〜39のいずれかに記載の炭化ケイ素単結晶の製造装置。
  41. 炭化ケイ素単結晶の種結晶を設置可能とする熱膨張係数が種結晶と略同一であり、昇華させた昇華用原料の漏洩を防止する封止部をさらに備えることを特徴とする請求項36〜40のいずれかに記載の炭化ケイ素単結晶の製造装置。
  42. 前記封止部は、反応容器に設けられる際に昇華用原料に略対向すると共に種結晶を設置可能とする第一面及び蓋部に対向する第二面とを有する底部と、前記底部の第一面の縁部周縁から立設して底部の第一面と共に中空部を形成する壁部とを備えるものであって、前記底部の第一面が昇華用原料に略対向するように反応容器内部に設けられると、反応容器周側面部の単結晶成長可能領域を覆うものであることを特徴とする請求項41記載の炭化ケイ素単結晶の製造装置。
  43. 前記封止部の材質は、黒鉛であることを特徴とする請求項41又は42記載の炭化ケイ素単結晶の製造装置。
  44. 前記坩堝における、前記昇華用原料が収容された部分の外周に環巻された状態で配置され、前記昇華用原料を昇華可能となるように昇華雰囲気を形成する第一誘導加熱コイルと;
    前記坩堝における、前記種結晶が配置された部分の外周に環巻された状態で配置され、前記第一誘導加熱コイルにより昇華された前記昇華用原料が前記炭化ケイ素単結晶の種結晶近傍でのみ再結晶可能となるように再結晶雰囲気を形成し、前記昇華用原料を前記炭化ケイ素単結晶の種結晶上に再結晶させる第二誘導加熱コイルと;をさらに備えることを特徴とする請求項41〜43のいずれかに記載の炭化ケイ素単結晶の製造装置。
  45. さらに、前記第一加熱手段と前記第二加熱手段との間に、誘導電流を通電可能であり、前記誘導電流を通電することにより前記第一加熱手段と前記第二加熱手段との間における干渉を防止する干渉防止手段が配置されたことを特徴とする請求項44に記載の炭化ケイ素単結晶の製造装置。
  46. 前記干渉防止手段が、冷却水を流通可能なコイルであることを特徴とする請求項45に記載の炭化ケイ素単結晶の製造装置。
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