JP2008255379A - 熱交換器用銅合金管 - Google Patents

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Abstract

【課題】りん脱酸銅管における破壊圧力/引張り強さの比(Pfd/σd)を上回る破壊圧力/引張り強さの比を有し、且つ曲げ加工性及び耐熱性が優れた熱交換器用銅合金管を提供する。
【解決手段】Co:0.05乃至0.4質量%、Sn:0.05乃至1.0質量%、Zn:0.005乃至1.0質量%、Ni:0.005乃至0.2質量%、P:0.05乃至0.4質量%、S:0.005質量%以下、O:0.005質量%以下、及びH:0.0002質量%以下を含有し、残部がCu及び不可避的不純物からなる。焼鈍後の引張り強さが260N/mm以上であり、平均結晶粒径が30μm以下であると共に、前記銅合金管の引張強さをσa1、破壊圧力をPFa1、前記銅合金管と同一外径及び肉厚のりん脱酸銅管の引張強さをσd1、破壊圧力をPFd1としたとき、PFa1/σa1>PFd1/σd1である。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐圧破壊強度及び加工性が優れた熱交換器用銅合金管に関する。
例えば、エアコンの熱交換器は、ヘアピン状に曲げ加工したU字形銅管(以下、銅管という場合は銅合金管も含む)をアルミニウムフィンの貫通孔に通し、前記銅管を治具により拡管することにより銅管とアルミニウムフィンとを密着させ、更に、銅管の開放端を拡管し、この拡管部にU字形に曲げ加工した銅管(リターンベンド)を挿入し、りん銅ろう等のろう材により銅管(リターンベンド)をヘアピン状銅管の拡管部にろう付けすることにより、複数個のヘアピン状銅管がリターンベンド銅管により連結された熱交換器が製造されている。
また、COを冷媒としたヒートポンプ方式の電気給湯器エコキュートの熱交換器は、水が通る配管に、COが通る螺旋状に加工した銅管(以下、銅管という場合は銅合金管も含む)を巻き付け、更にコの字状に加工して、りん銅ろう(例えばJISZ3264、BCuP−2)による炉中ろう付けで一括ろう付けすることにより、水配管とCO冷媒管が密着される。更に、水配管、CO冷媒管などを同じく銅管の機内配管を用いて、アキュームレーター及びコンプレサー等とろう付けにより接続して製作されている。
このため、熱交換器に使用される銅管には、熱伝導率、曲げ加工性及びろう付け性が良好であることが要求される。従って、これらの特性が良好であり、適切な強度を有するりん脱酸銅が広く使用されている。
エアコン等の熱交換器に使用する冷媒には、HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)系フロンが広く使用されてきたが、HCFCはオゾン破壊係数が大きいことから、地球環境保護の点より、その値が小さいHFC(ハイドロフルオロカーボン)系フロンが使用されるようになってきた。また、給湯器、自動車用空調機器、自動販売機等に使用する熱交換器等に自然冷媒であるCOが用いられるようになってきた。熱交換器において、これらの冷媒が使用される圧力(熱交換器の伝熱管内を流れる圧力)は凝縮器(COにおいてはガスクーラー)において最大となり、例えば、HCFC系フロンのR22では2.8MPa、HFC系フロンのR410Aでは4MPa、またCO冷媒では7乃至14MPa(超臨界状態)程度であり、新たに採用された冷媒の運転圧力は従来冷媒R22の1.4乃至5倍程度に増大している。
伝熱管の破壊圧力をP、伝熱管の外径をD、伝熱管の引張強さをσ、伝熱管の肉厚をt(内面溝付管の場合は底肉厚)とすると、これらの間には、P=2×σ×t/(D−0.8t)の関係がある。前記式を肉厚tに関して整理すると、t=(D×P)/(2×σ+0.8P)となり、伝熱管の引張強さが大きいほど肉厚を薄くできることがわかる。実際に、伝熱管を選定する場合、前記のPに更に安全率S(通常2.5乃至5程度)をかけた圧力に対して算出される引張強さ及び肉厚の伝熱管を用いる。
りん脱酸銅製伝熱管の場合、引張強さが小さいことから、冷媒の運転圧力の増大に対応するには管の肉厚を厚くする必要がある。また、熱交換器の組立の際、ろう付け部は800℃以上の温度に数秒乃至数十秒間加熱されるため、ろう付け部及びその近傍ではその他の部分に比べて結晶粒が粗大化し、軟化により強度が低下した状態となってしまうことから、肉厚をより厚くする必要がある。更に、上述したように炉中ろう付けによる一括組立の工程では、凡そ800℃、10分間もの熱が加えられ、軟化による強度低下は上述の800℃、数秒乃至数十秒間加熱のろう付けの比ではない。このように、伝熱管としてりん脱酸銅を用いると、熱交換器の質量増大、及び価格増大を招くことから、引張強さが大きく、加工性に優れ、且つ良好な熱伝導率を有する伝熱管が強く要求されるようになってきた。
このような要求に応えるべく、0.2%耐力と疲れ強さが優れた銅合金管として、例えば、Co:0.02乃至0.2質量%、P:0.01乃至0.05質量%、C:1乃至20ppmを含有し、残部がCu及び不可避的不純物からなり、不純物の酸素が50ppm以下である熱交換器用継目無銅合金管(特許文献1)が提案されている。また、Sn:0.1乃至1.0質量%、P:0.005乃至0.1質量%、O:0.005質量%以下及びH:0.0002質量%以下を含有し、残部がCu及び不可避的不純物からなる組成を有し、平均結晶粒径が30μm以下であることを特徴とする熱交換器用銅合金管(特許文献2)が提案されている。また、Co:0.05乃至0.7質量%、Sn:0.10乃至1.0質量%、P:0.02乃至0.20質量%、Zn:0.01乃至2.0質量%、Ni:0.05乃至0.7質量%、Mg:0.005乃至0.10質量%を含有し、且つ残部が銅及び不可避不純物からなる金属組成をなすことを特徴とする耐熱性銅基合金(特許文献3)が提案されている。
特開2000−199023号公報 特開2003−268467号公報 特開平10−130754号公報
しかしながら、特許文献1の銅合金は、Coの燐化物による析出強化によって引張り強さを向上させているが、強度上昇の割には耐圧破壊強度が上昇せず、また前記燐化物はろう付け温度では固溶するため、ろう付け後は強度が低下する。このため、伝熱管に使用した場合、予想したほど肉厚を薄くできないという問題点がある。
また、特許文献2の銅合金は、Snの固溶強化により強度が向上し、ろう付け後の軟化も特許文献1の銅合金より小さく、伝熱管に用いると管の肉厚を薄くすることが可能になるが、熱交換器とするために、U字曲げ加工を行ったときに、曲げ部でしわ及び割れが発生し易くなるという問題点があることがわかった。
また、特許文献3の銅合金は、Coの添加によって高温加熱条件下での結晶粒の粗大化を抑制し、高温加熱後の耐疲労性が向上するが、硬くて曲げ加工時などに折れ又は割れが発生しやすくなるという問題点があった。
ところで、引張り強さσの銅管の管内に静水圧を作用させ、この管が破壊したときの破壊圧力をPFとすると、通常、PFと引張り強さσとは比例関係にあり、PF/σ=α(αは比例定数)となる。軟質りん脱酸銅管の引張り強さをσd、その破壊圧力をPFdとすると、PFd/σd=αdである。前記軟質りん脱酸銅管に軽い抽伸加工を加えると、引張り強さが増大しσd´(σd´>σd)となり、それに伴い破壊圧力も増大し、PFd´(PFd´>PFd)となる。そして、PFとσの比PFd/σd及びPFd´/σd´は共にαdであり、りん脱酸銅管の引張り強さσdを向上させることにより、耐圧強度PFdを向上させることは可能である。しかしながら、引張り強さを向上させると、延性が急激に低下し、伝熱管の曲げ部で割れ及びしわが起こりやすくなり、その部分が基点となって所定破壊圧力より低圧で破壊してしまうという難点がある。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、りん脱酸銅管における破壊圧力/引張り強さの比(Pfd/σd)を上回る破壊圧力/引張り強さの比を有し、且つ曲げ加工性及び耐熱性が優れた熱交換器用銅合金管を提供することを目的とする。
本発明に係る熱交換器用銅合金管は、Co:0.05乃至0.4質量%、Sn:0.05乃至1.0質量%、Zn:0.005乃至1.0質量%、Ni:0.005乃至0.2質量%、P:0.05乃至0.4質量%、S:0.005質量%以下、O:0.005質量%以下、及びH:0.0002質量%以下を含有し、残部がCu及び不可避的不純物からなる組成を有する銅合金管であって、焼鈍後の引張り強さが260N/mm以上であり、平均結晶粒径が30μm以下であると共に、前記銅合金管の引張強さをσa1、破壊圧力をPFa1、前記銅合金管と同一外径及び肉厚のりん脱酸銅管の引張強さをσd1、破壊圧力をPFd1としたとき、PFa1/σa1>PFd1/σd1であることを特徴とする。
この熱交換器用銅合金管において、更に、Fe、Mn、Mg、Cr、Ti及びAgからなる群から選択された1種以上の元素を合計0.07質量%未満含有することが好ましい。
また、本発明に係る他の熱交換器用銅合金管は、請求項1又は2に記載の構成の焼鈍後の熱交換器用銅合金管に対し、更に、抽伸加工を付加したものであることを特徴とする。即ち、請求項3の熱交換器用銅合金管は、焼鈍された銅合金管を更に抽伸加工したものである。
そして、これらの熱交換器用銅合金管は、800℃で15秒間加熱した後の引張強さが240N/mm以上であり、平均結晶粒径が100μm以下であり、引張強さをσa2、破壊圧力をPFa2、前記銅合金管と同一外径及び肉厚のりん脱酸銅管の引張強さをσd2、破壊圧力をPFd2としたとき、PFa2/σa2>PFd2/σd2であることが好ましい。
銅合金管を用いて熱交換器を組み立てる際、りん銅ろう2種等を用いて銅合金管どおしがろう付け接合される。ろう付けには、接合しようとする箇所にろう付け作業者がろう材を供給しながらろう付け用バーナーで加熱して接合するいわゆる手ろう付けと、接合箇所にリング状等のろう材をセットした熱交換器をろう付け用の炉内に入れ、熱交換器をベルトコンベアーで移動させながらろう付けを行ういわゆる炉中ろう付けの2種類がある。銅合金管の場合、ろう材にはりん銅ろう2種が多用され、ろう付け箇所を800℃前後に過熱して接合する。手ろう付けが、人手によりろう付け箇所を局所的に加熱するため、ろう付けに要する加熱時間は短くなる。一方、炉中ろう付けは、多数のろう付け箇所で接合不良が発生しないように熱交換器のろう付け箇所以外も加熱され、また加熱時間も長くなることから、熱交換器用銅合金管に求められる耐熱性もより高いものになる。請求項1又は2に係る熱交換器用銅合金管は、焼鈍された銅合金管に関する。また、請求項3の熱交換器用銅合金管は焼鈍された銅合金管に更に抽伸加工を行った銅合金管に関する。これに対し、請求項4に係る銅合金管は、請求項1乃至3に記載の構成に、更に、手ろう付けを付加した銅合金管を想定したものである。
更に、本発明の熱交換器用銅合金管は、800℃で10分間加熱した後の引張強さが230N/mm以上であり、平均結晶粒径が200μm以下であり、引張強さをσa3、破壊圧力をPFa3、前記銅合金管と同一外径及び肉厚のりん脱酸銅管の引張強さをσd3、破壊圧力をPFd3としたとき、PFa3/σa3>PFd3/σd3であることが好ましい。この請求項5に係る銅合金管は、請求項1乃至3に記載の構成に、更に、炉中ろう付けを付加した銅合金管を想定したものである。
更にまた、本発明の銅合金管は内面溝付管として有用である。
なお、平均結晶粒径は、管の軸方向に平行の断面において、JISH0501に定められた切断法により肉厚方向の結晶粒径を測定し、これを管軸方向に任意の10箇所で測定し、前記測定値の平均値とした。
本発明の熱交換器用銅合金管は、所定の組成を有することにより、りん脱酸銅における破壊圧力と引張り強さとの比αd(=PFd1/σd1)を上回る比α=PFa1/σa1をもつので、銅合金管の引張り強さσa1を大きくしなくても、耐圧強度(破壊圧力PFa1)を高くすることができるので、破壊圧力を高くしても、同時に高延性も確保することができる。このため、銅合金管の加工に際し、その割れ及びしわの発生を防止することができる。また、本発明は、比α=PFa1/σa1が高いので、銅合金管の肉厚を薄くしても、引張強さはその分低下するものの、所定の耐圧強度を確保することが可能になる。
以下、本発明について詳細に説明する。本発明者等が種々実験研究した結果、Co含有量、P含有量、S含有量、引張強さなどを適切に規定することにより、本発明の課題を解決できる銅合金管を得ることができることを見出した。
以下、本発明の銅合金管について、その成分添加理由及び組成限定理由について説明する。
「Co:0.05乃至0.4質量%」
Coは本発明の合金中において、Pとの化合物により析出物を形成して、引張強さを向上させたり、強度を向上させることができる成分である。Coの含有量が0.4質量%を超えると強度が高くなりすぎて伸びが低下してしまい、加工性に悪影響を及ぼすことになる。また本発明の合金へのCo含有量が0.05質量%未満だと、所定の強度を得ることができない。したがって、Coの含有量を0.05乃至0.4質量%とすることが必要である。
「Sn:0.05乃至1.0質量%」
Snは固溶硬化によって、引張強さを向上させたり、りん銅ろうなどのろう付けによる熱影響に対して結晶粒度の粗大化が抑制されて耐熱性が向上する。Snの含有量が1.0質量%を超えると、鋳塊における凝固偏析が激しくなり、通常の熱間押出又は/及び加工熱処理により偏析が完全に解消しないことがあり、銅合金管の組織、機械的性質、曲げ加工性、ろう付け後の組織及び機械的性質の不均一をもたらす。また、押出圧力が高くなり、Sn≦1質量%の合金と同一押出圧力とするには、押出温度を上げることが必要になり、それにより押出材の表面酸化が増加し、生産性の低下、銅合金管の表面欠陥が増加する。また、本発明の銅合金管のSn含有量が0.05質量%未満であると、焼鈍後及びろう付け加熱後に十分な引張強さをもち、細かい結晶粒径を有する銅合金管を得ることができなくなり、また、りん銅ろうなどによるろう付け加熱時の強度低下抑制効果及び結晶粒粗大化防止効果が、不十分なものとなってしまう。従って、Snの含有量を0.05乃至1.0質量%とすることが必要である。
「Zn:0.005乃至1.0質量%」
Znを添加することにより、銅合金管の熱伝導率を大きく低下させることなく、強度、耐熱性及び疲れ強さを向上させることができる。また、Znを添加することにより、りん銅ろうなどのろう材の濡れ性を向上させることが可能である。更に、Znの添加により、冷間圧延、抽伸及び転造等に用いる工具の磨耗を低減させることができ、抽伸プラグ、溝付プラグ等の寿命を延命させる効果があり、生産コストの低減に寄与する。また、熱交換器の組み立て工程においても、ヘアピン曲げ時のマンドレルの磨耗を低減し、更にアルミフィンへ伝熱管を密着させるときの拡管加工時の拡管ビュレットの磨耗も低減することができる。Znの含有量が1.0質量%を超えると、応力腐食割れ感受性が高くなる。また、Znの含有量が0.005質量%未満であると、上述の効果が十分でなくなる。従って、Znの含有量を0.005乃至1.0質量%とすることが必要である。
「Ni: 0.005乃至0.2質量%」
銅合金管にNiを添加することにより、少ないCo量で前述のCoの機能を発揮させることができる。このとき、Niの含有量が0.005質量%未満であると、上述の効果が十分でなくなる。また、Niの含有量が0.2質量%を超えると、熱間及び冷間加工性が阻害され、生産性の低減及び歩留の低下がおこる。従って、Niの含有量を0.005乃至0.2質量%にすることが必要である。
「P:0.01乃至0.4質量%」
Pは本発明の合金中において、前述の如く、Coとの化合物により析出物を形成して、引張強さを向上させたり、強度を向上させる成分である。本発明の銅合金へのP含有量が0.4質量%を超えると、導電率が低下したり、熱間加工性及び冷間加工性が阻害されることになる。一方、P含有量が0.01質量%未満であると、所定の強度を得ることができず、また脱酸が不十分となり、酸化物が鋳塊に巻き込まれ、鋳塊の健全性が低下すると共に、製造された管の曲げ加工性が低下しやすくなる。従って、Pの含有量を0.01乃至0.4質量%にすることが必要である。
「S:0.005質量%以下」
Sは本発明の合金中において、Cuと化合物を形成して母相中に存在する。Sの含有量が増えると、鋳塊時の鋳塊割れ、熱間押出割れが増加する。また、熱間押出割れが発生しなくても、押出材を冷間圧延、抽伸すると、材料内部のCu−S化合物は管の軸方向に伸張し、Cu−S化合物界面で割れが発生しやすくなる。これにより、製品加工中及び製品において、表面疵及び割れ等が発生し、製品の歩留りを低下させる。また、Cu−S化合物界面で割れが発生しない場合でも、本発明の合金管に曲げ加工を行う際、割れ発生の起点となり、曲げ部で割れが発生する頻度が高くなる。このような問題を改善するために、本発明の合金へのS含有量は0.005%以下、望ましくは0.003%以下、更に望ましくは0.0015%以下にする必要がある。Sは、銅地金及びスクラップ等の原料から、スクラップに付着する油から、また、溶解鋳造雰囲気(溶湯を被覆する木炭/フラックス、溶湯と接触する雰囲気中のSOxガス、炉材等)から比較的簡単に溶湯中に取り込まれるため、S含有量を0.005質量%以下とするには、低品位のCu地金及びスクラップの使用量を低減し、溶解雰囲気のSOxガスを低減し、適正な炉材を選定し、Mg及びCa等のSと親和性が強い元素を溶湯に微量添加する等の対策が有効である。なお、S以外の不純物元素As、Bi、Sb、Pb、Se、Teについても同様に、これらの元素は鋳塊、熱間押出材及び冷間加工材の健全性を低下させ、また管の曲げ加工性を損なうことから、これらの元素の合計含有量は0.0015%以下、望ましくは0.0010%以下、更に望ましくは0.0005%以下とすることが好ましい。
「O:0.005質量%以下」
本発明の銅合金管において、Oの含有量が0.005質量%を超えると、Cu及びSnの酸化物が鋳塊に巻き込まれ、鋳塊の健全性が低下すると共に、製造された管の曲げ加工性が低下しやすくなる。このため、Oの含有量を0.005質量%以下とする必要がある。曲げ加工性をより改善するには、Oの含有量を0.003質量%以下とすることが望ましく、0.0015%以下とすることが更に望ましい。
「H:0.0002質量%以下」
溶解鋳造時に溶湯に取り込まれる水素が多くなると、ピンホール、粒界に濃化等の状態で鋳塊中に存在し、熱間押出時の割れを発生させる。また、押出後も焼鈍時粒界にHの膨れが発生しやすくなり、製品歩留が低下する。このため、本発明の銅合金管においてはHの含有量を0.0002質量%以下とすることが必要である。製品歩留りをより向上させるにはHの含有量を0.0001質量%以下とすることが望ましい。
なお、Hの含有量を0.0002質量%以下とするためには、溶解鋳造時の原料を乾燥したり、溶湯被覆木炭を赤熱させたり、溶湯と接触する雰囲気の露点を低下させたり、りん添加前の溶湯を酸化気味にする等の対策が有効である。
「引張強さ:260N/mm以上」
引張強さが260N/mm未満であると、銅合金管をエアコン等の熱交換器に組み込んだときの強度が不十分であり、また手ろう付け後又は炉中ろう付け後の強度を十分に維持できない。なお、ここでいう引張り強さは焼鈍して軟質材とした本発明の銅合金管の管軸方向の引張り強さである。
「結晶粒度:平均結晶粒径30μm以下」
管内に静水圧を作用させると、管軸直交断面においては肉厚と直交する方向に力が加わり、管内の表面疵、硫化物等の介在物、管内表面又は内部の微細な割れ等の欠陥を基点にして割れが発生し、亀裂が伝播して破壊に至る。本発明者等は、これを防止するためには、管軸直交断面における肉厚と直交する方向の平均結晶粒径を30μm以下にすると有効であることを見出したものである。前記方向の平均結晶粒径は20μm以下であることがより望ましい。また、管軸直交断面における肉厚方向に垂直な方向の平均結晶粒径が30μmを超えると、エアコン等の熱交換器に組み込む際、曲げ加工したときに曲げ部に割れが発生しやすくなる。
なお、この平均結晶粒径は焼鈍により再結晶した状態、又はそれに抽伸等の塑性加工を行った状態のいずれでもよい。
「銅合金管の引張り強さをσa1、耐圧破壊圧力をPFa1、銅合金管と同一外径及び肉厚のりん脱酸銅管の引張り強さをσd1、耐圧破壊圧力をPFd1としたとき、PFa1/σa1>PFd1/σd1」
本発明の銅合金管は、その耐圧破壊圧力PFa1と引張り強さσa1との比PFa1/σa1が、りん脱酸銅管の耐圧破壊圧力PFd1と引張り強さσd1とのPFd1/σd1より大きいので、例えば同一引張り強さ、同一肉厚の管を用いた場合も、本発明の銅合金管はより大きい耐圧強度を保証することができる
また、本発明の銅合金管の耐圧破壊強度と引張り強さがりん脱酸銅管のそれと同一でよい場合は、その耐圧破壊圧力に対してσa1>σd1であるから、本発明の銅合金管を用いることによってその肉厚を薄くすることが可能になり、熱交換器の軽量化及び低価格化に有利である。
なお、耐圧破壊圧力と引張り強さの比は、同じ合金であれば、調質が変わってもほぼ同じ値を示すので、ここでは例えば焼鈍上がりのりん脱酸銅管及び本発明の銅合金管について引張り強さと耐圧破壊強度を測定して求めることができる。
「Fe、Mn、Mg、Cr、Ti及びAgからなる群から選択された1種以上の元素を合計0.07質量%未満」
Fe、Mn、Mg、Cr、Ti、Zr及びAgはいずれも本発明の銅合金の強度、耐圧破壊強度、及び耐熱性を向上させ、結晶粒を微細化して曲げ加工性を改善する。前記元素群から選択された1種以上の元素の合計含有量が0.07質量%を超えると、押出圧力が上昇するため、これらの元素を添加しないものと同一の押出力で押出しようとすると、熱間押出温度を上げることが必要になる。それにより、押出材の表面酸化が多くなるため、本発明の銅合金管において表面欠陥が多発し、製品歩留りが低下する。このため、Fe、Mn、Mg、Cr、Ti、Zr及びAgからなる群から選択された1種以上の元素を合計で0.07質量%未満とすることが望ましい。前記含有量は、0.005%未満とすることがより望ましく、0.03質量%未満とすることが更に望ましい。
「上述の熱交換器用銅合金管に対し、更に、抽伸加工を付加したものである」
焼鈍後の銅合金管に対し、抽伸加工により、加工を加えることが好ましい。本発明の銅合金管は焼鈍された状態でも高い強度と優れた耐圧強度を有するが、より高い強度が求められる場合には、焼鈍した銅合金管に低加工率の抽伸加工を行うことにより、その目的を達成することが可能である。抽伸加工は管内にプラグを設置する方法、プラグを設置しない空引き抽伸の両方が可能であるが、加工率が大きくなると、伸びが低下してしまうため、曲げ加工等を行う場合は一定以上の伸びを確保できる加工率を設定することが望ましい。
「800℃、15秒間加熱した後の引張強さ:240N/mm以上」
熱交換器に加工されたとき、ろう付けによる熱影響による800℃、15秒間加熱した後の引張強さが240N/mm未満であると、運転圧力が高いHFC系フロン冷媒や炭酸ガス冷媒のとき、疲労破壊が起こりやすくなる。
「800℃、15秒間加熱した後の平均結晶粒径:100μm以下」
熱交換器に加工されたとき、ろう付けによる熱影響による800℃、15秒間加熱した後に結晶粒径が粗大化するが、その値が100μmを超えると、ろう付け部において耐圧強度の低下が大きく、運転圧力が高いHFC系フロン冷媒や炭酸ガス冷媒用の熱交換器に用いたとき信頼性が低下する。従って、平均結晶粒径が100μm以下、更には60μm以下が望ましい。
「800℃、15秒間加熱した後の銅合金管の引張り強さをσa2、耐圧破壊圧力をPFa2、銅合金管と同一外径及び肉厚のりん脱酸銅管の引張り強さをσd2、耐圧破壊圧力をPFd2としたとき、PFa2/σa2>PFd2/σd2」
本発明の銅合金管は、800℃に15秒間加熱した後、その耐圧破壊圧力PFa2と引張り強さσa2との比PFa2/σa2が、りん脱酸銅管の耐圧破壊圧力PFd2と引張り強さσd2とのPFd2/σd2より大きいので、例えば同一引張り強さ、同一肉厚の管を用いた場合も、本発明の銅合金管はより大きい耐圧強度を保証することができる。
なお、調質が異なっても耐圧破壊圧力PFa2と引張り強さσa2との比PFa2/σa2比はほぼ同じ値であるので、請求項1乃至3の関係が満足されれば、請求項4の熱処理後の比の関係も同様の関係が維持される。
「800℃、10分間加熱した後の引張強さ:230N/mm以上」
熱交換器に加工されたとき、炉中ろう付けによる熱影響による800℃、10分間加熱した後の引張強さが230N/mm未満であると、運転圧力が高いHFC系フロン冷媒や炭酸ガス冷媒のとき、疲労破壊が起こりやすくなる。
「800℃、10分間加熱した後の平均結晶粒径:200μm以下」
熱交換器に加工されたとき、炉中ろう付けによる熱影響による800℃、10分間加熱した後に結晶粒径が粗大化するが、その値が200μmを超えると、炉中ろう付け部において耐圧強度の低下が大きく、運転圧力が高いHFC系フロン冷媒及び炭酸ガス冷媒用の熱交換器に使用したときに、信頼性が低下する。従って、平均結晶粒径は200μm以下、更には100μm以下が望ましい。
「800℃、10分間加熱した後の銅合金管の引張り強さをσa3、耐圧破壊圧力をPFa3、銅合金管と同一外径及び肉厚のりん脱酸銅管の引張り強さをσd3、耐圧破壊圧力をPFd3としたとき、PFa3/σa3>PFd3/σd3」
本発明の銅合金管は、800℃、10分間加熱した後、その耐圧破壊圧力PFa3と引張り強さσa3との比PFa3/σa3が、りん脱酸銅管の耐圧破壊圧力PFd3と引張り強さσd3とのPFd3/σd3より大きいので、例えば同一引張り強さ、同一肉厚の管を用いた場合も、本発明の銅合金管はより大きい耐圧強度を保証することができる。
なお、調質が異なっても耐圧破壊圧力PFa3と引張り強さσa3との比PFa3/σa3比はほぼ同じ値であるので、請求項1乃至4の関係が満足されれば、請求項5の熱処理後の比の関係も同様の関係が維持される。
「銅合金管が内面溝付管」
本発明の銅合金管は、りん脱酸銅管に比べて引張り強さと伸びを大きく、且つ結晶粒径を小さくすることができるので、転造加工による内面溝付管の製造に好適である。特に、引張り強さが大きいことから、転造加工時に引抜き方向に伸びにくいので溝付プラグの溝部への合金管の肉の充填が円滑であり、良好なフィン形状を有する内面溝付管を高速で加工することが可能になる。
次に、本発明の銅合金管の製造方法について、平滑管又は内面溝付管の場合を例として以下に説明する。
先ず、原料の電気銅を木炭被覆の元で溶解し、銅が溶解した後、Co、Sn、Zn及びNiを所定量添加し、更に、脱酸を兼ねてCu−15質量%P中間合金によりPを添加する。
成分調整が終了した後、半連続鋳造により所定の寸法のビレットを作製する。その後、ビレットを750乃至980℃に加熱する。
そして、加熱ビレットに穿孔加工を行い、750乃至980℃で熱間押出する。熱間押出の加工率([穿孔されたビレットの断面積−熱間押出後の素管の断面積]/[穿孔されたビレットの断面積]×100%)は80%以上とすることが望ましく、90%以上とすることが更に望ましい。
その後、急冷処理する。本発明の銅合金管に所定の特性を発揮させるには、押出後に、Coを固溶させること及び再結晶による結晶粒の粗大化を防止することが必要であり、そのために、例えば水冷等の方法により熱間押出材を急冷する。熱間押出後、押出素管の表面温度が300℃になるまでの冷却速度が10℃/秒以上、望ましくは15℃/秒以上、更に望ましくは20℃/秒以上となるように冷却することが好ましい。
次いで、押出素管に圧延加工を行なう。圧延加工率は断面減少率で95%以下、望ましくは90%以下とすることにより製品不良を低減できる。
その後、圧延素管に抽伸加工を行なって所定の寸法の素管を製造する。通常、抽伸加工は何台かの抽伸機を用いて行うが、各抽伸機による加工率(断面減少率)は40%以下にすることにより、表面欠陥や内部割れを低減できる。
更に、抽伸加工後の銅合金管を焼鈍する。このとき、再結晶及びCo−P化合物の析出が発生する条件で抽伸管を焼鈍する。再結晶により伸びが回復して管の加工性が向上し、またCo−P化合物の析出により目的とする引張り強さと耐力を保持させることが可能になる。本発明の銅合金管を製造するには、抽伸管の実体温度:400乃至750℃で、5分乃至120分間程度保持することが望ましい。また、室温から所定温度までの平均昇温速度を5℃/分以上、望ましくは10℃/分以上とすることが望ましい。なお、通常、ローラーハース炉による連続焼鈍が行われるが、高周波誘導加熱炉を用い、高速昇温、短時間加熱、高速冷却、短時間加熱の焼鈍を行ってもよい。これにより、平滑管が製造される。
次に、内面溝付管を製造する場合には、平滑管を素管として、その内面に溝付加工をする。即ち、焼鈍した平滑管に溝付転造加工を行って内面溝付管を製作する。次いで、溝付加工した内面溝付管に必要に応じて焼鈍処理する。焼鈍条件は前述と同様である。これにより、内面溝付管が製造される。
次に、本発明の実施例について、本発明の範囲から外れる比較例と比較して説明する。
(第1実施例)
第1実施例は、平滑管についてのものである。電気銅を溶解した溶湯に、Co、Sn、Zn及びNiを添加した後、Cu−P母合金を添加することにより、所定組成の溶湯を作製し、直径300mmのビレットに鋳造した。次に、前記ビレットを800乃至930℃に加熱後、ビレット中心をピアシング加工し、熱間押出により外径100mm、肉厚10mmの押出素管を作製した。この断面減少率は90%以上であった。押出後の素管は急冷され、押出直後から水冷までの時間及び水冷後の押出素管の表面温度等より、300℃までの平均冷却速度は20℃/秒以上と見積られた。押出素管を圧延及び抽伸して、外径9.52mm、肉厚0.80mmの素管を製作した。なお、圧延における断面減少率は90%以下、抽伸における1パスあたりの加工率を40%以下とした。還元性ガス雰囲気にしたローラーハース炉で、前記抽伸管を640乃至690℃(実体温度)に加熱し(平均昇温速度10乃至25℃/分)、その温度で30乃至90分保持後、室温まで冷却して供試材とした。
(第2実施例)
第2実施例は、内面溝付管についてのものである。第1実施例(平滑管)の押出後の圧延管を内面溝付加工用の素管とした。
この圧延素管を抽伸加工して、溝付転造用の素管を製作した。溝付転造用の素管をインダクションヒーターにより中間焼鈍した。次に、中間焼鈍した溝付転造用素管に溝付転造加工を行い、外径7mm、底肉厚0.23mmの内面溝付管を製作した。この内面溝はフィン高さ0.16mm、リード角35°、山数55である。その後、内面溝付管を焼鈍炉にて、還元性ガス雰囲気中で、雰囲気温度650℃で120分間で加熱帯を通過させ、その後冷却帯を通過させて室温まで徐冷した。
(試験方法)
上述の実施例及び比較例について、以下に示す試験を実施した。なお、従来品とはJISH3300C1220T、りん脱酸銅管を示す。破壊圧力は、300mmの長さに切断した供試材の片端を封じ、もう片端から水圧を負荷して供試材が破裂したときの圧力を計測した。
応力腐食割れ試験は以下の方法で実施した。管から長さ75mmの試験片を切り取り、脱脂、乾燥した後、JISK8085に規定するアンモニア水を等量の純水で薄めた11.8%以上のアンモニア水を入れたデシケーターに液面から50mm離して入れ、このアンモニア雰囲気中に常温で2時間保持した。その後、試験片を元の外径の50%まで押しつぶして割れの判定を目視で行った。割れなしを○、割れありを×で示す。
水素脆化試験は、試験片を水素気流中において850℃で30分間加熱した後、研磨エッチングして、顕微鏡で100倍に拡大して脆化の有無を確認した。脆化なしを○、脆化ありを×で示す。
これらの試験結果を下記表1乃至5に示す。
Figure 2008255379
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表1は、第1実施例の平滑管(焼鈍材)についてのものである。比較例No.2、No.4、No.8は押出圧力が高くて押出ができず、No.10、No.11、No.13は熱間押出時に割れが生じて、加工できなかった。この表1に示すように、本発明の実施例1乃至8は、PFa1/σa1が比較例1乃至13及び従来例より高く、応力腐食割れ試験及び水素脆化試験の結果も優れたものであった。これに対し、比較例1乃至13の場合は、PFa1/σa1が低いか、応力腐食割れが発生したか、又は水素脆化が生じた。また、従来例はPFa1/σa1が低いものであった。
表2は、第1実施例の平滑管(焼鈍材)を、800℃で15秒間加熱した後の特性を示す。比較例No.2、No.4、No.8、No.10、No.11、No.13は試料ができず、また比較例No.6、No.12は腐食割れ試験、水素脆化試験で不具合が生じたので試験を行わなかった。この表2に示すように、焼鈍材を、800℃で15秒間加熱した後においても、本発明の実施例1乃至8は十分に高いPFa2/σa2値を有し、引張強さ及び破壊圧力も高いものであった。
表3は、第1実施例の平滑管(焼鈍材)を、800℃で10分間加熱した後の特性を示す。比較例No.2、No.4、No.8、No.10、No.11、No.13は試料ができず、また比較例No.6、No.12は腐食割れ試験、水素脆化試験で不具合が生じたので試験を行わなかった。この表2に示すように、焼鈍材を、800℃で10分間加熱した後においても、本発明の実施例1乃至8は十分に高いPFa3/σa3値を有し、引張強さ及び破壊圧力も高いものであった。
表4は、第2実施例の内面溝付管(焼鈍材)に関するものであり、比較例No.2、No.4、No.8は押出圧力が高くて押出ができず、比較例No.10、No.11、No.13は熱間押出時に割れが生じて、加工できなかった。本発明の実施例2,3,7はPFa1/σa1が比較例1及び従来例より高く、応力腐食割れ試験及び水素脆化試験の結果も優れたものであった。これに対し、比較例1及び従来例の場合は、PFa1/σa1が低く、引張強さ及び破壊圧力が低いものであった。
表5は、第2実施例の内面溝付管(焼鈍材)を、800℃で15秒間加熱した後の特性を示す。比較例No.2、No.4、No.8、No.10、No.11、No.13は試料ができず、また比較例No.6、No.12は腐食割れ試験、水素脆化試験で不具合が生じたので試験を行わなかった。表5に示すように、本発明の実施例2,3,7は、焼鈍材を、800℃で15秒間加熱した後においても、十分に高いPFa2/σa2値を有し、引張強さ及び破壊圧力も高いものであった。
本発明の銅合金管は耐圧破壊強度が優れているため、二酸化炭素及びフロン等の冷媒を使用する熱交換器の伝熱管(平滑管及び内面溝付管)、前記熱交換器の蒸発器と凝縮器を繋ぐ冷媒配管及び機内配管等に使用することができる。また、本発明の銅合金管は、ろう付け加熱後も優れた耐圧破壊強度を備えるため、ろう付け部を有する伝熱管、水配管、灯油配管、ヒートパイプ、四方弁、及びコントロール銅管等に用いることができる。加えて、本発明の銅合金管は、炉中ろう付け加熱後も優れた耐圧破壊強度を有しているため、炉中ろう付けを行う熱交換器用の伝熱管や水配管、機内配管、四方弁等に用いることができる。

Claims (6)

  1. Co:0.05乃至0.4質量%、Sn:0.05乃至1.0質量%、Zn:0.005乃至1.0質量%、Ni:0.005乃至0.2質量%、P:0.05乃至0.4質量%、S:0.005質量%以下、O:0.005質量%以下、及びH:0.0002質量%以下を含有し、残部がCu及び不可避的不純物からなる組成を有する銅合金管であって、焼鈍後の引張り強さが260N/mm以上であり、平均結晶粒径が30μm以下であると共に、前記銅合金管の引張強さをσa1、破壊圧力をPFa1、前記銅合金管と同一外径及び肉厚のりん脱酸銅管の引張強さをσd1、破壊圧力をPFd1としたとき、PFa1/σa1>PFd1/σd1であることを特徴とする熱交換器用銅合金管。
  2. 更に、Fe、Mn、Mg、Cr、Ti及びAgからなる群から選択された1種以上の元素を合計0.07質量%未満含有することを特徴とする請求項1に記載の熱交換器用銅合金管。
  3. 請求項1又は2に記載の焼鈍後の熱交換器用銅合金管に、更に、抽伸加工を付加したものであることを特徴とする熱交換器用銅合金管。
  4. 800℃で15秒間加熱した後の引張強さが240N/mm以上であり、平均結晶粒径が100μm以下であり、引張強さをσa2、破壊圧力をPFa2、前記銅合金管と同一外径及び肉厚のりん脱酸銅管の引張強さをσd2、破壊圧力をPFd2としたとき、PFa2/σa2>PFd2/σd2であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の熱交換器用銅合金管。
  5. 800℃で10分間加熱した後の引張強さが230N/mm以上であり、平均結晶粒径が200μm以下であり、引張強さをσa3、破壊圧力をPFa3、前記銅合金管と同一外径及び肉厚のりん脱酸銅管の引張強さをσd3、破壊圧力をPFd3としたとき、PFa3/σa3>PFd3/σd3であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の熱交換器用銅合金管。
  6. 前記銅合金管が内面溝付管であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の熱交換器用銅合金管。
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