JP5638999B2 - 銅合金管 - Google Patents
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Snは固溶硬化によって、引張強さを向上させると共に、りん銅ろうなどのろう付けによる熱影響に対して結晶粒の粗大化を抑制して、銅合金管の耐熱性を向上させる。しかし、高温加熱されたとき、Sn含有合金では、Sn含有量の増加に伴って高温での延性低下が認められることを見出した。Snが高温延性を低下させる機構は明確ではないが、高温での粒界若しくは粒界近傍の強度又は延性を低下させることにより、割れが発生したと思われる。Snの含有量が1.0質量%を超えると、高温における延性低下が大きくなると共に、鋳塊における凝固偏析が激しくなり、通常の熱間押出及び/又は加工熱処理により、偏析が完全に解消しないことがあり、銅合金管の組織、機械的性質、曲げ加工性、ろう付け後の組織及び機械的性質の不均一、耐食性の低下等をもたらす。また、Sn含有量が1.0質量%を超えると、必要な押出圧力が高くなり、Sn含有量が1.0質量%以下の銅合金と同一の押出圧力で押出成形しようとすると、押出温度を上げることが必要になり、それにより押出材の表面酸化が増加し、生産性が低下し、銅合金管の表面欠陥が増加する。また、本発明の銅合金へのSnの含有量が0.1質量%未満であると、焼鈍後及びろう付け加熱後に十分な引張強さ及び細かい結晶粒径を得ることができなくなり、更にりん銅ろう等によるろう付け加熱時の強度低下抑制効果及び結晶粒粗大化防止効果が、不十分なものとなってしまう。従って、Snの含有量を0.1乃至1.0質量%とすることが必要である。
Pは、Snと同様に、銅合金管の高温延性を低下させ、Snによる高温延性の低下を助長する。P含有量が0.1質量%を超えると、本発明の銅合金の特に高温における延性低下が大きくなり、また導電率が低下したり、熱間加工性及び冷間加工性が阻害されてしまう。一方、P含有量が0.005質量%未満であると、所定の強度を得ることができず、また脱酸が不十分となり、酸化物が鋳塊に巻き込まれ、鋳塊の健全性が低下すると共に、製造された管の曲げ加工性が低下しやすくなる。従って、Pの含有量を0.005乃至0.1質量%にすることが必要である。
前述のごとく、Sn及びPを含む銅合金管は、800℃以上の高温において、延性が低下する。その機構は明確ではないが、更に、Zrを含有させることにより、高温での延性が劇的に回復する。Zr含有量が0.0001質量%程度であっても、銅合金管の高温での延性向上の効果が得られる。しかしながら、Zrは極めて酸化しやすく、Zr含有量が0.01質量%を超えると、鋳造で、酸化スケールを巻き込み、熱間押出時の割れ等を引き起こす。Zrが0.0001質量%未満であると、延性回復の効果は不十分である。従って、Zrの含有量は、0.0001乃至0.01質量%とする。
S,Pb,Bi,Se,As,Te,及びSbは、いずれも、固溶せずに、粒界に濃縮しやすく、各元素は融点が低いために、粒界の強度を著しく低下させ、本発明の銅合金の高温での延性を低下させる。Sは本発明の銅合金中において、Cuと化合物を形成して母相中に存在する。Sの含有量が増えると、鋳造時の鋳塊割れ及び熱間押出工程における熱間押出割れが増加する。また、熱間押出割れが発生しないまでも、押出材を冷間圧延し、抽伸加工すると、材料内部のCu−S化合物は管の軸方向に伸張し、Cu−S化合物の界面で割れが発生しやすく、製品加工中及び加工後の製品において、表面疵及び割れ等が発生し、製品の歩留りを低下させる。また、Cu−S化合物界面で割れが発生しない場合でも、本発明の銅合金管に曲げ加工を行う際、割れ発生の起点となり、曲げ部で割れが発生する頻度が高くなる。
本発明の銅合金管において、酸化を抑制する元素として、Zr及びTiを添加し、後述するMg及びB等を選択的に添加するが、それらの元素が酸化されてしまうと、それらの元素による酸化抑制効果が消失する。Oの含有量が0.005質量%を超えると、Cu及びSnの酸化物が鋳塊に巻き込まれ、鋳塊の健全性が低下すると共に、製造された管の曲げ加工性が低下しやすくなる。また、Oの含有量が0.005質量%を超えると、水素脆化を起こす危険性が増大する。このため、Oの含有量を0.005質量%以下とする必要がある。曲げ加工性をより改善するには、Oの含有量を0.003質量%以下とすることが望ましく、0.0015%以下とすることが更に望ましい。
溶解鋳造時に溶湯に取り込まれる水素が多くなると、その水素が粒界に集まって、高温での延性低下を促進しやすくなる。また、溶湯に取り込まれる水素が多くなると、ピンホールが発生しやすくなり、水素が粒界に濃化した状態で鋳塊中に存在すると、熱間押出時の割れを発生させやすくなる。また、水素が過剰であると、押出後においても、焼鈍時に、粒界に水素に起因する膨れが発生しやすくなり、製品歩留が低下する。このため、本発明の銅合金管においては、Hの含有量を0.0002質量%以下とすることが必要である。製品歩留りをより向上させるにはHの含有量を0.0001質量%以下とすることが望ましい。
結晶粒度は、素材の強度と曲げ等の加工性に重要な役割を果たしている。一般に、結晶粒度が小さければ強度は高く、曲げ加工性が向上する。結晶粒度が大きいと強度が低くなる。結晶粒度が30μmを超えると、強度が低下して、エアコン等の熱交換器に組み込んだときの耐圧が不十分となり、またろう付け後の強度を十分に維持できない。従って、平均結晶粒径は、30μm以下、更には15μm以下が好ましい。
硬ろう付け温度に相当する800℃での絞り値が、25%未満であると、ろう付け時に引張応力が印加された場合に、割れが生じる危険性があることがわかった。このため、800℃における絞り値が25%以上であることが必要である。なお、900℃での絞り値が25%以上、また、950℃での絞り値が20%以上であることが更に望ましい。銅合金管を、熱交換器の配管としてろう付けする場合、通常、引張応力が印加された状態でろう付けされる。このとき、本発明の銅合金管は、800℃における絞り値が25%以上であるので、高温における延性が極めて優れたものであり、800乃至950℃のろう付け時に応力が印加されていても、割れを防止することができる。なお、絞りとは、管の引張試験後の破断部の断面積を試験前の断面積で除した比率のことで、この値が高い程、延性が高い。
本発明の銅合金管において、Mg、B、Y、Co、Fe、Ni、Al及びSiを適正量含有させることによって、高温での絞り値及び伸びが改善して、ろう付け時の割れを防止することができる。前述のZr、Ti及びCrに比べると、高温での割れ抑制及び延性回復の効果は若干劣り、十分な効果を得るためには含有量を多くしなければならないが、上述のMg、B、Y、Co、Fe、Ni、Al及びSiの添加によっても、高温での割れ抑制及び延性回復の効果を得ることができる。
Znを含有させることにより、銅合金管の熱伝導率を大きく低下させることなく、強度、耐熱性及び疲れ強さを向上させることができる。また、Znの含有により、冷間圧延、抽伸及び転造等に使用する工具の磨耗を低減させることができ、抽伸プラグ及び溝付プラグ等の寿命を延長させる効果があり、生産コストの低減に寄与する。
先ず、本発明の第1試験例について説明する。本試験例は、請求項1の銅合金管についてのものである。下記表1乃至6に示す組成の実施例A1乃至A61及び比較例A1乃至A23並びに従来例A1の各組成の銅合金材料を得るために、少量の供試材として、夫々、真空溶解炉又は木炭被覆にて7kgの銅合金のビレットを鋳造した。更に、700乃至900℃の温度での熱間鍛造によって、各ビレットを縦50mm、横50mm、長さ300mmのケーク状のブロックに加工した。更に、各ブロックを面削し、中ぐりを行い、直径が40mm、肉厚が5mm、長さが300mm円筒形のビレットを作製した。次に、各ビレットを圧延し、最終的に外径が9.52mm、肉厚が0.80mm、長さが300mmの管を製作した。その後、これらの管を400〜700℃の温度で焼鈍し、評価試験に供した。
次に,本発明の第2試験例について説明する。本試験例は、請求項2に係る発明に関するものである。即ち、本試験例は、Zr、Ti、及びCrからなる群から選択された1種又は2種以上の元素を含有すると共に、Mg、B、Y、Co、Fe、Ni、Al及びSiからなる群から選択された1種類以上の元素を含有するものである。供試材の製作において、木炭被覆して溶解し、7kgの鋳塊を製作したことを除き、その他の条件は第1試験例と同一である。また、本試験例は、銅合金管の組成のみが異なり、他の試験条件は、第1試験例と同一である。
次に、本発明の第3試験例について、説明する。本試験例は、請求項3についてのものである。即ち、第1試験例における第3元素のZr、Ti、及びCrからなる群から選択された1種又は2種以上の元素の代わりに、Mg、B、Y、Co、Fe、Ni、Al及びSiからなる群から選択された1種類以上の元素を添加したものである。供試材の製作条件は第2試験例に同じである。また、本試験例は、銅合金管の組成のみが異なり、他の試験条件は、第1試験例と同一である。
次に、本発明の第4試験例として、実際の工場の生産ラインで行った試験の結果について説明する。実機製造の銅合金管から、上述の大きさの試験用供試管を採取し、上述と同様の試験を行った。この試験結果を下記表28乃至30に示す。
2:管
3:供試管
4:錘
5:アセチレン酸素バーナー
Claims (7)
- Sn:0.1乃至1.0質量%、Zr:0.0001乃至0.01質量%、及びP:0.005乃至0.1質量%を含有し、更にS,Pb,Bi,Se,As,Te,及びSbを、総量で、0.003質量%以下、Oを0.005質量%以下、Hを0.0002質量%以下に規制し、残部がCu及び不可避的不純物からなる組成を有する銅合金の管材であって、管軸を含む断面において、肉厚方向の平均結晶粒径が30μm以下であり、800℃での絞り値が25%以上であることを特徴とする銅合金管。
- 更に、Ti及びCrからなる群から選択された1種又は2種の選択元素を、Zrの含有量との総量で0.0001乃至0.1質量%含有することを特徴とする請求項1に記載の銅合金管。
- Mg、B、Y、Co、Fe、Ni、Al及びSiからなる群から選択された1種類以上の元素を、単独の場合は0.001乃至0.05質量%、2種以上の元素の場合は各元素の総量で0.001乃至0.1質量%含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の銅合金管。
- Sn:0.1乃至1.0質量%、及びP:0.005乃至0.1質量%を含有し、更にMg、B、Y、Co、Al及びSiからなる群から選択された1種類以上の元素を、単独の場合は0.001乃至0.05質量%、2種以上の元素の場合は各元素の総量で0.001乃至0.1質量%含有し、更にS,Pb,Bi,Se,As,Te,及びSbを、総量で、0.003質量%以下、Oを0.005質量%以下、Hを0.0002質量%以下に規制し、残部がCu及び不可避的不純物からなる組成を有する銅合金の管材であって、管軸を含む断面において、肉厚方向の平均結晶粒径が30μm以下であり、800℃での絞り値が25%以上であることを特徴とする銅合金管。
- 更に、Fe及びNiからなる群から選択された1種以上の元素を、単独の場合は0.001乃至0.05質量%、2種の元素の場合は各元素の総量で0.001乃至0.1質量%含有することを特徴とする請求項4に記載の銅合金管。
- Zn:0.01乃至1.0質量%を含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の銅合金管。
- 800〜950℃の温度でろう付けされる配管又は熱交換器に使用されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の銅合金管。
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