JP5990496B2 - 熱交換器用りん脱酸銅管 - Google Patents

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Description

本発明は、調質が焼鈍でも強度が優れており、安定的かつ低コストで製造することができる熱交換器用りん脱酸銅管に関する。なお、本発明においては、銅合金管も含めて銅管と称する。
りん脱酸銅管(JISH3300C1220T)は、ルームエアコン、パッケージエアコン、二酸化炭素冷媒ヒートポンプ式給湯器、冷蔵庫、ショーケース、及び自動販売機等の熱交換器並びにコンプレッサー周辺の機内配管及び部品に広く使われている。
例えば、ルームエアコンの熱交換器は、ヘアピン状に曲げ加工したU字形銅管(以下銅管という場合)を、アルミニウムフィンの貫通孔に通し、前記銅管を治具により拡管することによって、銅管とアルミニウムフィンとを密着させ、更に銅管の開放端を拡管し、この拡管部にU字形に曲げ加工した銅管(リターンベンド)を挿入し、りん銅ろう等のろう材により、ヘアピン状の銅管とリターンベンド管を連結して、熱交換器が製造されている。
また、コンプレッサーと熱交換器を接続する機内配管では、銅管を任意に曲げ加工した材料を作製して、必要であれば管端を拡管又は縮管加工を行い、コンプレッサーと熱交換器を上述のりん銅ろう等のろう材によって、機内配管により連結して、ルームエアコンを組み立てている。
一方、ルームエアコンなどに使用される冷媒には、HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)系のフロンが広く使用されてきたが、HCFCはオゾン破壊係数が高いことから環境保護の観点からその値が小さいHFC(ハイドロフルオロカーボン)系フロンが使用されるようになってきた。更に、ヒートポンプ式給湯器又は自動販売機には、HFCよりも更に環境にやさしい自然冷媒である二酸化炭素が使用されるようになってきている。例えば、冷媒ガスの設計圧力の一例としては、HCFCのR22では2.8MPaであるのに対して、HFCのR410Aでは4.17MPa、二酸化炭素では14MPaと増大している。
設計圧力が高くなれば、熱交換器又は機内配管の銅管は、その肉厚を厚くして、強度に耐えられるようにする必要がある。しかし、資源の有効活用の観点から、またコスト的にも銅管の肉厚を上げて銅の使用量が多くなることについては問題があった。この問題を解決するために、従来のりん脱酸銅管の代わりに、高強度りん脱酸銅管が開発され、市場に供されるようになった。この高強度りん脱酸銅管は、従来の銅管よりも強度が高く、その分肉厚を薄くすることができ、銅の使用量を削減して、省資源及び製品の低コスト化を実現したものである。この新しいりん脱酸銅管は、日本工業規格JISH3300にも追加されて、従来のりん脱酸銅管に変わる有用な材料として期待されている。
従来、この高強度りん脱酸銅管として、例えば、Co:0.02〜0.2質量%、P:0.01〜0.05質量%を含有し、残部がCu及び不可避的不純物からなり、前記不可避不純物として含まれる酸素含有量を50ppm以下に規制した組成の銅合金からなる0.2%耐力及び疲労強度の優れた熱交換器用継目無銅合金管が開示されている(特許文献1)。また、Sn:0.1乃至1.0質量%、P:0.005乃至0.1質量%、Fe:0.03乃至0.1質量%、O:0.005質量%以下及びH:0.0002質量%以下を含有し、残部がCu及び不可避不純物からなる組成を有し、平均結晶粒径が30μm以下であり、0.2%耐力が95乃至200N/mmである熱交換器用銅合金管が開示されている(特許文献2)。更に、クロスフィンチューブ型熱交換器の伝熱管用の継目無管であって、りん脱酸銅からなり、この継目無管の外径(mm)に対する肉厚(mm)の比(t/D)が0.040以下であり、この継目無管の引張強さ(σB)が245MPa以上であり、0.2%耐力(σ0.2)が140MPa以下であり、伸び(δ)が40%以上である継目無管が開示されている(特許文献3)。
特開2000−1728号公報 特開2006−274313号公報 WO2012−128240号公報
しかしながら、特許文献1に開示されたりん脱酸銅管は、高価なCoを0.02質量%以上含み、このCoの価格が更に上昇する可能性を考えると、銅管のコストが更に上昇してしまう虞がある。また、特許文献2に開示された銅合金管は、Snの固溶強化とFeの析出硬化によって強度が向上しているが、Snが多くなると押出時の変形抵抗が大きくなるので、大型の押出機が必要となる。また、熱間変形抵抗を下げるためには、高温で銅管を押出す必要があり、高強度りん脱酸銅管は、従前のりん脱酸銅管に比して、押出しに要するコストが高くなる。一方、特許文献1又は特許文献2に開示された管は、合金管であり、ビレットの鋳造、押出、加工抽伸、及び熱処理等の各工程には、従来のりん脱酸銅管に比べて高い技術力が要求される。日系のエアコンメーカー及び熱交換器組み立てメーカーが海外に進出する際、素材の銅管も海外で調達できることが望ましい。このとき、銅合金管は、高強度で耐熱性に優れ、曲げ加工性も良好ではあるが、海外現地での調達が難しい場合がある。即ち、海外においては、欧米の伸銅メーカーでは問題にならないが、欧米以外の技術力が劣る国においては、このような銅合金管を現地で安定的かつ低コストで調達することは困難であるという問題点があった。
更に、特許文献3では、りん脱酸銅で焼鈍上りの強度が1/2H材質相当に、高強度化されているが、圧延後、引き抜き及び転造加工を行ったりん脱酸銅管を、焼鈍調質のみで引張強さ245MPa以上の1/2H材調質の強度に仕上げることは、極めて難しい。これは、銅管の軟化特性において、特許文献3に規定された引張強さと耐力を同時に満足する範囲が極めて狭いためである。更に、特許文献3に開示された銅管は、種々の合金成分を含まないりん脱酸銅であるので、見掛け上、高強度化しても、熱交換器の組み立て時などに行われる高温でのろう付けに対して、耐熱強度が劣るという課題があった。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、JISH3300のC1201又はC1220の規格範囲を含む熱交換器用りん脱酸銅管であって、調質が焼鈍であっても、強度が高いと共に、安定的に低コストで製造することができる熱交換器用りん脱酸銅管を提供することを目的とする。
本発明に係る第1の熱交換器用りん脱酸銅管は、Fe、Co(0.02質量%未満)及びNiからなる群から選択された少なくとも種の元素を合計含有量で0.004乃至0.08質量%と、Pを0.004乃至0.05質量%含有し、残部がCu及び不可避的不純物からなる組成を有するりん脱酸銅の焼鈍材であり、800℃に15秒間加熱した後の引張強さが235N/mm以上であることを特徴とする。
本発明に係る第2の熱交換器用りん脱酸銅管は、Co:0.004質量%以上0.02質量%未満と、P:0.004乃至0.05質量%とを含有し、残部がCu及び不可避的不純物からなる組成を有するりん脱酸銅の焼鈍材であり、800℃に15秒間加熱した後の引張強さが235N/mm以上であることを特徴とする。
この場合に、前記りん脱酸銅管は、更に、Sn:0.02質量%以下を含有してもよい。また、前記りん脱酸銅管において、Zn:0.05質量%以下を含有してもよい。更にまた、本発明の熱交換器用高強度りん脱酸銅管は、レベルワウンドコイル、直管、パンケーキコイル、及びバンチコイルの状態で製造し、熱交換器の組み立てに供してもよい。
本発明によれば、りん脱酸銅管のFe含有量、Co含有量及びNi含有量と、その他の各合金元素の含有量と、更に加熱後の引張強さを適切に規定することによって、強度が優れており、かつ焼鈍調質で、安定的かつ低コストで生産できる熱交換器用りん脱酸銅管を得ることができる。
りん脱酸銅管におけるFeの含有量と機械的性質との関係を示すグラフ図である。
以下、本発明について詳細に説明する。本発明者等が、焼鈍調質であっても、強度が優れており、安定的かつ低コストで製造できる熱交換器用りん脱酸銅管を開発すべく種々実験研究をした結果、りん脱酸銅管のFe含有量、Co含有量及びNi含有量と、加熱後の引張強さを適切に規定することによって、焼鈍調質であっても強度が優れており、安定的かつ低コストで生産できる熱交換器用りん脱酸銅管を得ることができることを見出した。一例として、図1にりん脱酸銅管のFe含有量と引張強さ、0.2%耐力及び伸びとの関係を示す。このように、Fe含有量が0.004乃至0.08質量%の範囲にあれば、十分な伸びを維持しつつ、強度を高く確保することができる。この図1は、Fe以外の元素は、Pを0.025質量%含有し、他の元素は不可避的不純物である。また、調質は、O材である。Feの含有量が0.08質量%を超えると、0.2%耐力が150MPaを超えるため、ヘアピン曲げ加工時に、曲げ部の内周側にしわが発生する虞がある。このように、Fe含有量を0.08質量%以下に規定することにより、焼鈍調質であっても、強度が優れた熱交換器用高強度りん脱酸銅管を得ることができる。Co及びNiについても同様である。なお、Co単独の添加の場合は、その含有量は0.02質量%以下とする。
以下、本発明のりん脱酸銅管の組成の数値限定理由及び焼鈍条件について説明する。
「Fe:0.004乃至0.08質量%」
Feはりん化物の形成によりりん脱酸銅管の強度を向上させる。この強度向上の効果を得るためには、Fe含有量は0.004質量%以上であることが必要である。一方、Feが0.08質量%を超えて添加されると、湯流れ、鋳肌及び芯割れ等の鋳造性が劣化すると共に、押出性が劣化する。また、Feが0.08質量%を超えると、耐力値が大きくなり、曲げ加工性が劣る結果となる。即ち、Feを0.08質量%以下にすることにより、鋳造性及び押出性の劣化が防止されて生産性が向上するとともに、良好な曲げ加工性を得ることができる。従って、Feの含有量を0.004乃至0.08質量%とする。
「Co:0.004質量%以上0.02質量%未満」
Coは本発明のりん脱酸銅管において、Pとの化合物により析出物を形成して、引張強さを向上させる成分である。本発明のりん脱酸銅管のCo含有量が0.004質量%未満であると、所望の強度を得ることができない。また、Coの含有量が0.02質量%以上であると、伸びが低下してしまい、加工性に悪影響を及ぼすと共に、高価なCoの添加量が多くなるため、製造コストが高くなってしまうことになる。従って、Coの含有量を0.004質量%以上、0.02質量%未満とする。
「Ni:0.004乃至0.08質量%」
NiはFe及びCoと同様に、Pとの化合物を形成するため、結晶粒界及び粒内に化合物が析出して分布することによって、銅合金管の強度が向上する添加物である。このとき、Niの含有量が0.004質量%未満であると、上述の効果が十分でなくなる。また、Niの含有量が0.08質量%を超えると、熱間及び冷間加工性が阻害され、生産性の低減及び歩留の低下がおこる。従って、Niの含有量を0.004乃至0.08質量%にする。
「P:0.004乃至0.05質量%」
本発明のりん脱酸銅管へのP含有量が0.05質量%を超えると、導電率が低下したり、熱間加工性及び冷間加工性が阻害されることになる。一方、P含有量が0.004質量%未満であると、所定の強度を得ることができず、また脱酸が不十分となり、酸化物が鋳塊に巻き込まれ、鋳塊の健全性が低下するとともに、製造された管の曲げ加工性が低下しやすくなる。従って、Pの含有量を0.004乃至0.05質量%にする。
「800℃に15秒加熱した後の引張強さが235N/mm以上」
熱交換器に加工されるとき、銅管は、ろう付けによる熱影響を受ける。このため、銅管は、このろう付けによる熱影響をシミュレートして、800℃に、15秒間加熱した後の銅管の引張強さが235N/mm以上であることが必要である。引張強さが235N/mm未満であると、運転圧力が高いHFC系フロン冷媒及び炭酸ガス冷媒のときに、疲労破壊が起こりやすくなる。
「Sn:0.02質量%以下」
Snは固溶硬化によって、引張強さなどの強度及び耐熱性を向上させることができる。また、Snの添加により、銅管の伸びも向上して、ヘアピン曲げ性を改善することができる。しかし、Snの含有量が0.02質量%を超えると、銅管の熱間変形抵抗が増大して所要の押出圧力が高くなり、押出変形のために押出温度を上げることが必要になる。この押出温度の上昇により、押出材の表面酸化が増加し、生産性が低下し、りん脱酸銅管の表面欠陥が増加する。従って、本発明のりん脱酸銅管へSnを添加する場合は、そのSn含有量は0.02質量%以下とする。
「Zn:0.05質量%以下」
Znを添加することにより、りん脱酸銅管の熱伝導率を大きく低下させることなく、その強度、耐熱性及び疲れ強さを向上させることができる。また、Znの添加により、冷間圧延、抽伸及び転造等に用いる工具の磨耗を低減させることができ、内面溝形成時の抽伸プラグ及び溝付プラグ等の寿命を延命させる効果があり、生産コストの低減に寄与する。また、熱交換器の組み立て工程においても、ヘアピン曲げ時に使用するマンドレルの摩耗と、アルミニウムフィンへ伝熱管を密着させるときの拡管加工時の拡管ビュレットの磨耗とを、低減させることができる。しかし、Znの含有量が0.05質量%を超えると、応力腐食割れ感受性が高くなる。よって、Znを添加する場合は、Znの含有量を0.05質量%以下とする。
「S:0.005質量%以下」
Sは本発明のりん脱酸銅管において、不純物である。このSが銅管中に含有されると、SはCuと化合物を形成して母相中に存在する。Sの含有量が増えると、鋳塊時の鋳塊割れ及び熱間押出割れが増加する。また、熱間押出割れが発生しなくても、押出材を冷間圧延及び抽伸加工すると、材料内部のCu−S化合物は管の軸方向に伸張し、Cu−S化合物の界面で割れが発生しやすく、製品加工中又は製品において、表面疵及び割れ等が発生し、製品の歩留りを低下させる。また、Cu−S化合物の界面で割れが発生しない場合でも、本発明の合金管に曲げ加工を行う際、Cu−S化合物は、割れ発生の起点となり、曲げ部で割れが発生する頻度が高くなる。このような問題を改善するために、本発明のりん脱酸銅管へのS含有量は0.005質量%以下、望ましくは0.003質量%以下、更に望ましくは0.0015質量%以下にする必要がある。Sは、銅地金、スクラップなどの原料、スクラップに付着する油、溶解鋳造雰囲気(溶湯を被覆する木炭/フラックス、溶湯と接触する雰囲気中のSOxガス、炉材等)より、比較的容易に溶湯中に取り込まれるため、S含有量を0.005質量%以下とするには、低品位のCu地金及びスクラップの使用量の低減、溶解雰囲気のSOxガスの低減、適正な炉材の選定の他、Mg、Ca等のSと親和性が強い元素を溶湯に微量添加する等の対策が有効である。
「O:0.005質量%以下」
本発明のりん脱酸銅管において、Oの含有量が0.005質量%を超えると、Cu及びSnの酸化物が鋳塊に巻き込まれ、鋳塊の健全性が低下するとともに、製造された管の曲げ加工性が低下しやすくなる。このため、Oの含有量を0.005質量%以下とする。曲げ加工性をより改善するには、Oの含有量を0.003質量%以下とすることが望ましく、0.0015%質量以下とすることが更に望ましい。
「H:0.0002質量%以下」
溶解鋳造時に溶湯に取り込まれる水素が多くなると、この水素はピンホール又は粒界に濃化する等の状態で、鋳塊中に存在し、熱間押出時に割れを発生させる。また、押出後も、焼鈍時に、粒界におけるHの膨れが発生しやすくなり、製品歩留が低下する。このため、本発明のりん脱酸銅管においては、Hの含有量を0.0002質量%以下とする。製品歩留りをより向上させるためには、Hの含有量を0.0001質量%以下とすることが望ましい。なお、Hの含有量を0.0002質量%以下とするためには、溶解鋳造時の原料の乾燥、溶湯被覆木炭の赤熱、溶湯と接触する雰囲気の露点の低下の他、りん添加前の溶湯を酸化気味にする等の対策が有効である。
なお、本発明の銅合金管の供給状態(製品としての状態)は、レベルワウンドコイル、直管、パンケーキコイル、又はバンチコイル等があり、これらのいずれの形態でも構わない。
次に、本発明のりん脱酸銅管の製造方法について、平滑管又は内面溝付管の場合を例として以下に説明する。
先ず、原料の電気銅を木炭被覆の元で溶解し、銅が溶解した後、Fe、Co又はNiと、必要に応じてSn、Znを所定量添加し、更に、脱酸を兼ねてCu−15質量%P中間合金によりPを添加して、P成分を調整する。成分調整が終了した後、半連続鋳造又は連続鋳造により、所定の寸法のビレットを作製する。
その後、このビレットを650乃至980℃に加熱する。そして、加熱ビレットに穿孔加工を行い、650乃至980℃で熱間押出する。熱間押出の加工率([穿孔されたビレットの断面積−熱間押出後の素管の断面積]/[穿孔されたビレットの断面積]×100%)は80%以上とすることが望ましく、90%以上とすることが更に望ましい。更に、熱間押出後の素管を水冷等の方法により、表面温度が300℃になるまでの冷却速度が10℃/秒以上、望ましくは15℃/秒以上、更に望ましくは20℃/秒以上となるようにして、冷却する。
次いで、押出素管に圧延加工を行なう。圧延加工率は断面減少率で95%以下、望ましくは90%以下とすることにより製品不良を低減できる。
その後、圧延素管に抽伸加工を行なって所定の寸法の素管を製造する。通常、抽伸加工は複数台の抽伸機を使用して行うが、各抽伸機による加工率(断面減少率)を40%以下にすることにより、表面欠陥及び内部割れを低減できる。
更に、抽伸加工後のりん脱酸銅管を焼鈍する。本発明のりん脱酸銅管を製造するには、抽伸管の実体温度:400乃至750℃で、5分乃至120分間程度保持することが望ましい。また、室温から所定温度までの平均昇温速度を5℃/分以上、望ましくは10℃/分以上とすることが望ましい。なお、通常、ローラーハース炉による連続焼鈍が行われるが、高周波誘導加熱炉を使用し、高速昇温、短時間加熱、高速冷却、及び短時間加熱の焼鈍を行ってもよい。これにより、平滑管が製造される。
次に、内面溝付管を製造する場合には、平滑管を素管として、その内面に溝付加工を施す。即ち、焼鈍した平滑管に内面溝付転造加工を行って内面溝付管を製作する。次いで、この溝付転造加工した内面溝付管を、必要に応じて焼鈍する。焼鈍条件は前述の平滑管の抽伸加工後の焼鈍条件と同様である。これにより、内面溝付管が製造される。なお、内面溝付管の製造方法は、例えば、特許文献2に開示されているが、この転造加工による溝形成方法自体は、現状では周知の技術である。
次に、本発明のりん脱酸銅管の実施例について、本発明の範囲から外れる比較例と比較して説明する。下記表1及び表2は、夫々、本発明の実施例及び比較例の銅管の組成と、機械的性質及びヘアピン曲げ加工性とを示す。
Figure 0005990496

Figure 0005990496
これらの各実施例、比較例及び従来例は、内面溝付管についてのものである。電気銅を溶解した溶湯に、Fe、Co、Ni、Sn及びZnを、上記表1又は表2に記載の組成で添加した後、Cu−P母合金を添加することにより、りん脱酸して所定組成の溶湯を作製し、直径300mmのビレットに鋳造した。次に、前記ビレットを800乃至900℃に加熱した後、ビレット中心をピアシング加工し、熱間押出により外径90mm、肉厚10mmの押出素管を作製した。この断面減少率は90%以上であった。押出後の素管は急冷した。このとき、押出直後から水冷までの時間及び水冷後の押出素管の表面温度等をもとに推測して、この急冷における銅管の300℃までの平均冷却速度は20℃/秒以上と見積られた。そして、この押出素管を圧延及び抽伸して、外径が10mm、肉厚が0.3mmの溝付転造用素管を製作した。なお、圧延における断面減少率は90%以下、抽伸における1パスあたりの加工率は40%以下とした。次に、内面溝付転造用の素管をインダクションヒーターにより中間焼鈍した。次に、中間焼鈍した内面溝付転造用素管に溝付転造加工を行い、外径が7mm、底肉厚が0.24mmの内面溝付管を製作した。この内面溝はフィン高さが0.12mm、リード角が40°、山数が65山である。その後、この内面溝付管を焼鈍炉にて焼鈍した。この焼鈍炉は、還元性ガス雰囲気にしたローラーハース炉であり、前記内面溝付管を500乃至550℃(実体温度)に加熱し(平均昇温速度10乃至25℃/分)、その温度で30乃至90分間保持した後、室温まで冷却して供試材とした。
ヘアピン曲げ試験方法は、供試材から、長さが1000mmの管を10本採取し、マンドレルを管内に挿入して管が潰れることを防止しつつ、回転曲げ型をあてがい、ピッチが21mmで180°のヘアピン曲げを行い、曲げ部の割れ及び曲げ部の内周側のしわの有無を確認した。なお、ピッチが21mmということは、180°ヘアピン曲げをしたときの平行になった部分の管の間隔が、管の中心線でみた場合に、21mmであるということである。この割れ及びしわが発生しなかった場合を「○」、割れ又はしわが発生した場合を「×」で示した。
表1に示す実施例4,6〜14,16は、本願請求項1〜4を満たすので、引張強さが247MPa以上、加熱処理後の引張強さが235MPa以上と十分に高く、更に、ヘアピン曲げ加工性も優れていた。一方、Pのみを含む従来例1は、引張強さ及び加熱後の引張強さが低いものであった。また、Coを0.045質量%添加した従来例2は、引張強さ及び加熱後の引張強さが高いものの、Coを多量に含有するので、コストが高いという問題点がある。また、Feが低い比較例1、Coが多い比較例3、Niが少ない比較例4、Fe及びCoが少ない比較例8、Fe及びNiが少ない比較例9、Fe、Co及びNiが少ない比較例10は、特に、800℃に15秒間加熱した後の引張強さが低かった。

Feが多い比較例2、Fe及びCoが多い比較例5、Fe及びNiが多い比較例6、Fe、Co及びNiが多い比較例7は、ヘアピン曲げ加工性が劣るものであった。
本発明は、焼鈍後の強度が高いので、高強度の熱交換器りん脱酸銅管を、安定して低コストで製造することができるため、銅合金管を容易に調達できないような国において、高強度の熱交換器用銅管を現地調達することができ、海外における熱交換器の製造に多大の貢献をなす。

Claims (5)

  1. Fe、Co(0.02質量%未満)及びNiからなる群から選択された少なくとも種の元素を合計含有量で0.004乃至0.08質量%と、Pを0.004乃至0.05質量%含有し、残部がCu及び不可避的不純物からなる組成を有するりん脱酸銅の焼鈍材であり、800℃に15秒間加熱した後の引張強さが235N/mm以上であることを特徴とする熱交換器用りん脱酸銅管。
  2. Co:0.004質量%以上0.02質量%未満と、P:0.004乃至0.05質量%とを含有し、残部がCu及び不可避的不純物からなる組成を有するりん脱酸銅の焼鈍材であり、800℃に15秒間加熱した後の引張強さが235N/mm以上であることを特徴とする熱交換器用りん脱酸銅管。
  3. 更に、Sn:0.02質量%以下を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の熱交換器用りん脱酸銅管。
  4. 更に、Zn:0.05質量%以下を含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の熱交換器用りん脱酸銅管。
  5. 更に、レベルワウンドコイル、直管、パンケーキコイル、又はバンチコイルの状態で製造されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の熱交換器用りん脱酸銅管。
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