JP6244213B2 - 熱交換器用銅管 - Google Patents

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Description

本発明は、熱交換器の伝熱管などに用いられるりん脱酸銅管に関する。より詳しくは、JIS H3300に規定されるC1201又はC1220の化学成分を有するりん脱酸銅からなる熱交換器用銅管に関する。
JIS H3300に規定される合金番号C1201や合金番号C1220の化学組成を有するりん脱酸銅管は、ルームエアコン、パッケージエアコン、二酸化炭素冷媒ヒートポンプ式給湯器、冷蔵庫、ショーケース及び自動販売機などの熱交換器に広く使われている。
例えば、ルームエアコンの熱交換器の場合、以下のように製造されている。先ず、レベルワウンドコイルから巻きほぐされた銅管を、整直して真っすぐにして所定の長さに切断した後、ヘアピン状に曲げ加工し、U字形銅管を形成する。次に、このU字形銅管を、アルミニウムフィンの貫通孔に通した後、治具により拡管することによって、銅管とアルミニウムフィンとを密着させる。その後、銅管の開放端を更に拡管し、この拡管部にU字形に曲げ加工した銅管(リターンベンド)を挿入し、りん銅ろうなどのろう材により、ヘアピン状の銅管とリターンベンド管を連結して、熱交換器とする。また、拡管後に熱交換器を、L字型やコの字型に曲げ加工する場合もある。
近年、銅価の高騰や国際競争の激化により、熱交換器用のりん脱酸銅管の重量を削減してコストダウンを図る動きが高まってきている。例えば、ルームエアコンなどには、フロンR410AなどのHCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)系の冷媒が広く使用されており、その内圧に対して十分な強度を付与するため、熱交換器に用いるりん脱酸銅管の薄肉化には限界がある。このような理由から、強度が高く、肉厚をより薄肉化することができ、質量を低減させることが可能なりん脱酸銅管が求められている。
一方、強度が高くかつヘアピン曲げを正常に行うことができるりん脱酸銅製の継目無管も提案されている(特許文献1参照)。特許文献1に記載の継目無管では、熱間押出工程と中間焼鈍処置との間に熱処理を行わず、この間の冷間加工工程の断面減少率を99.8%以上とし、かつ最終焼鈍処理の保持温度を360〜600℃とすることにより、引っ張り強さ(σ)を245MPa、0.2%耐力(σ0.2)を140MPa以下、伸び(δ)を40%以上にしている。
国際公開第2012/128240号
しかしながら、特許文献1に記載されているりん脱酸銅製継目無管は、耐力が比較的高いため、最近の熱交換器の小型化に伴うピッチの小さな曲げ加工に対応することが難しいという課題がある。また、このりん脱酸銅製継目無管は、耐力が高いため、レベルワウンドコイルから巻きほぐして銅管を整直する際に曲りが取れないという問題や、熱交換器をL字型に加工する場合にスプリングバックがばらついて生産し難いという問題もある。
そこで、本発明は、従来よりも高強度で、かつ加工性も良好な熱交換器用りん脱酸銅管を提供することを主目的とする。
本発明に係る熱交換器用銅管は、JIS H3300に規定されるC1201又はC1220の化学成分を有するりん脱酸銅からなり、引張強さ(σ)が245MPa以上であり、結晶粒径が10〜30μmであり、管内面残油量は、0.1mg/m以下である。
この熱交換器用銅管では、0.2%耐力(σ0.2)と引張強さ(σ)の比(σ0.2σB)を0.4以下とすることができる。
本発明の熱交換器用銅管の形態は、例えばレベルワウンドコイル、直管、パンケーキコイル又はバンチコイルである。
本発明によれば、加工性を低下させることなく、従来のりん脱酸銅管よりも高強度のりん脱酸銅管を実現することができる。
レベルワウンドコイルを模式的に示す斜視図である。 直管をを模式的に示す斜視図である。 パンケーキコイルを模式的に示す斜視図である。 バンチコイルを模式的に示す斜視図である。
以下、本発明を実施するための形態について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
本発明者が、前述した課題を解決するために鋭意実験検討を行った結果、りん脱酸銅管の引張強さ及び結晶粒径を特定の範囲にすることにより、強度、材料の整直性、ヘアピン曲げ性及び熱交換器のL曲げ性に優れた熱交換器用りん脱酸銅管を実現することができることを見出し、本発明に至った。
即ち、本実施形態の熱交換器用銅管は、JIS H3300に規定されるC1201又はC1220の化学成分を有するりん脱酸銅からなり、引張強さ(σ)が245MPa以上であり、結晶粒径が10〜30μmであり、かつ管内面残油量が0.1mg/m以下のものである。以下、本実施形態のりん脱酸銅管の数値限定理由について説明する。
[材質:C1201又はC1220]
本実施形態の熱交換器用銅管の材質は、JIS H3300に規定される合金番号がC1201又はC1220のりん脱酸銅である。具体的には、Cu含有量が99.90質量%以上であり、P含有量が0.004〜0.040質量%である。そして、加工性や導電率の観点から、Cu含有量は99.95質量%以上であることが好ましい。また、加工性と脱酸効果のバランスの観点から、P含有量は0.015〜0.035質量%であることが好ましい。
なお、本実施形態の熱交換器用銅管は、Cu含有量及びP含有量がJIS H3300で規定される範囲内であれば、その他の成分が含まれていてもよい。Cu及びP以外の成分としては、例えばFe、Ni、Co、Cr、Zr、Ti、Al、Si、Ag、Au、Pt、Mn、Zn、Sn、Pb及びTeが挙げられる。これらの元素は、1種又は2種以上を、合計で0.05質量%以下の範囲で含有することができ、これにより、強度及び耐熱性を向上させることができる。
[引張強さ(σ):245MPa以上]
熱交換器用銅管において、引張強さ(σ)が245MPa未満の場合、十分な破壊圧力を保つことができない。また、引張強さ(σ)がこの範囲のりん脱酸銅管は、JIS H3300 C1201T又はTS、C1220T又はTSにおいて、O材に区分されることになるため、高圧ガス保安法冷凍保安規則関係例示基準別表第5に規定される許容引張応力を、1/2H材として規定することができない。このため、熱交換器に用いる場合、銅管の薄肉化は困難である。
これに対して、本実施形態の熱交換器用銅管のように、引張強さ(σ)を245MPa以上にすることにより、十分な破壊圧力を保つことができる。また、引張強さ(σ)が245MPa以上のりん脱酸銅管は、JIS H3300 C1201T又はTS、C1220T又はTSにおいて、1/2H材に区分されることにより、高圧ガス保安法冷凍保安規則関係例示基準別表第5に規定される許容引張応力を、O材よりも高く規定することができる。その結果、熱交換器用銅管を薄肉化することができる。
[結晶粒径:10〜30μm]
結晶粒径が10μm未満の場合、再結晶が不十分となり、未再結晶の加工組織が残存して加工性が低下する。また、結晶粒径が30μmを超えると、結晶粒が大きくなり、疲労強度の低下や肌荒れなどの原因となる。よって、本実施形態の熱交換器用銅管においては、結晶粒径を10〜30μmとする。これにより、レベルワウンドコイルから巻きほぐして銅管を整直する際にの真直性に優れ、また、熱交換器のL曲げ時にもスプリングバックのばらつきなく対応できる加工性に優れたりん脱酸銅管を実現することができる。
ここでいう「結晶粒径」は、管軸を含み、管軸方向に平行な断面において、JIS H0501に規定される切断法により測定した肉厚方向の平均結晶粒径であり、本実施形態では、管軸方向に100mm間隔で10箇所測定し、その平均値を求めた。
[管内面残油量:0.1mg/m以下]
本実施形態の熱交換器用銅管は、管内面残油量が0.1mg/m以下である。熱交換器用銅管において管内面残油量が多いと、代替フロンを使用した場合に、冷媒回路内で代替フロンと残油分が反応してスラッジが形成されてしまい、機器に不具合が生じる虞がある。一方、管内面残油量を0.1mg/m以下にすることにより、代替フロン対応することが可能となる。
また、熱交換器用銅管において管内面残油量が多いと、熱交換器組み立ての際に、ヘアピン加工油によって管内面の残油分が洗い流され、管端部に付着することによって、ろう付け時にろう付け不良などの不具合を起こしてしまう原因となる。一方、管内面残油量を0.1mg/m以下にすることにより、ヘアピン加工後の熱交換器のろう付け時に健全なろう付けを行うことができる。
ここでいう「管内面残油量」は、以下に示す方法で測定することができる。先ず、長さ1mのりん脱酸銅管を用意し、その一方の管端を金属製キャップで封止して、管内に株式会社堀場製作所製 油分抽出溶媒H−997を20ml注入する。その後、他方の管端も封止し、その状態で管を揺動させて、管内面に残留している油分を溶出させる。次に、油分濃度計を用いて、抽出溶媒に溶出した油分を測定する。この測定値を用いて、下記数式1より管内面残油量を算出する。
Figure 0006244213
[0.2%耐力(σ0.2)と引張強さ(σ)の比(σ0.2/σ):0.4以下]
本実施形態の熱交換器用銅管は、0.2%耐力(σ0.2)と引張強さ(σ)の比(σ0.2/σ)が0.4以下であることが好ましい。これにより、小さなピッチの曲げにも十分に対応することが可能になる。また、レベルワウンドコイルから巻きほぐして銅管を整直する際の真直性も向上し、更に、熱交換器のL曲げ時にもスプリングバックのばらつきを防止することもできる。
[種類・形態]
図1〜4は本実施形態の熱交換器用銅管の形態例を示す図である。本実施形態の熱交換器用銅管の種類は、特に限定されるものではなく、溝付管及び溝無管のいずれでもよい。また、溝付管の場合、溝は、内面及び外面のいずれに形成されていてもよく、内面及び外面の両方に形成されていてもよい。更に、本実施形態の熱交換器用銅管は、形態も特に限定されるものではなく、図1に示すようなレベルワウンドコイル、図2に示すような直管、図3に示すようなパンケーキコイル、図4に示すようなバンチコイルなど、種々の形態に適用することができる。
ここで、「レベルワウンドコイル」とは、図1に示すように、管1を円筒状に整列多層巻きしたものであり、銅管をドラムに巻いた後、ドラムから引き抜くことにより形成される。その直径は例えば1m程度、幅は例えば300mm程度である。また、銅管の長さは、サイズによって異なるが、数千mに及ぶ。
「直管」は、図2に示すように、真っ直ぐな管1であり、その長さは特に限定されるものではなく、数十mmから数mまで適宜選択することができる。「パンケーキコイル」は、図3に示すように、管1を渦巻き状に単層又は多層に巻いたものであり、その直径は例えば600〜800mm程度である。また、多くの場合、1〜2段に巻回されている。「バンチコイル」は、図4に示すように、不規則的に管1を円筒状に多層巻きしたものである。
[製造方法]
次に、本実施形態の熱交換器用銅管の製造方法について、平滑管又は内面溝付管を製造する場合を例にして説明する。前述したように、本実施形態の熱交換器用銅管は、一般に焼鈍した材料を塑性加工して得られる1/2H材と同等の引張強さと、O材と同等の延性(伸び)を示すことが特徴である。
通常、O材のりん脱酸銅管は、例えば平滑管の場合、熱間押出し、圧延、抽伸及び焼鈍をこの順に行うことにより製造される。また、例えば内面溝付管の場合は、熱間押出し、圧延、抽伸、焼鈍、溝付転造加工及び最終焼鈍を、この順に行うことにより製造される。そして、本実施形態の熱交換器用銅管は、基本的には従来のO材と同じ方法で製造することができ、焼鈍上がりである。
りん脱酸銅は、狭い温度範囲で加工組織から再結晶組織に急激に変化するという軟化挙動を示す。このため、熱交換用銅管を製造するにあたり、焼鈍材の強度を上げることを目的として、最終の焼鈍温度を下げると、目的とする再結晶組織が得られない、或いは製造ロット毎に機械的性質がばらつきが大きくなるなどの現象が生じる。このように、りん脱酸銅管の場合、焼鈍温度と機械的性質の関係から、焼鈍条件の調整だけでは、管の強度を向上させることは困難である。そこで、本実施形態の熱交換用銅管では、最終焼鈍前の管の強度を、従来の製造方法で製造したものよりも大きくなるようにし、これを従来と同様の焼鈍条件で焼鈍する。
ここで、最終焼鈍前の管の強度を、従来の製造方法で製造したものよりも大きくする方法としては、平滑管の場合であれば、(a)押出し温度を下げる、(b)押出し素管の断面積を大きくすることにより、圧延や抽伸加工などの後工程の加工率を大きくする、又はその両方を行うことが考えられる。例えば、押出し温度を下げると、押出し素管以降の管の強度が向上する。
一方、内面溝付管の場合は、前述した(a)及び(b)の方法に加えて、(c)溝付転造加工前の焼鈍温度を下げる、(d)転造加工率を大きくすることが考えられる。例えば、溝付転造加工前の焼鈍温度を下げると、溝付転造加工用素管の強度を向上させることができる。なお、内面溝付管の製造工程においても、前述した(a)〜(d)の方法のうち2種以上を組み合わせて行ってもよい。
即ち、本実施形態の熱交換用銅管を製造する際は、先ず、原料の電気銅を木炭被覆の元で溶解し、銅が溶解した後、脱酸を兼ねてCu−15質量%P中間合金によりPを添加して、P成分を調整する。成分調整が終了した後、半連続鋳造又は連続鋳造により所定の寸法のビレットを作製する。
その後、ビレットを650〜900℃に加熱する。そして、加熱ビレットに穿孔加工を行い、650〜900℃で熱間押出する。熱間押出の加工率([穿孔されたビレットの断面積−熱間押出後の素管の断面積]/[穿孔されたビレットの断面積]×100%)は、80%以上とすることが好ましく、90%以上とすることがより望ましい。更に、熱間押出後の素管を水冷などの方法により、表面温度が300℃になるまで、冷却速度を10℃/秒以上、望ましくは15℃/秒以上、更に望ましくは20℃/秒以上にして冷却することが好ましい。
引き続き、押出素管に圧延加工を行なう。その際、圧延加工率は、断面減少率で95%以下とすることが好ましく、より好ましくは90%以下である。これにより、製品不良を低減することができる。その後、圧延素管に抽伸加工を行なって所定の寸法の素管を製造する。通常、抽伸加工は何台かの抽伸機を用いて行うが、各抽伸機による加工率(断面減少率)を40%以下にすることにより、表面欠陥及び内部割れを低減することができる。
次に、抽伸加工後により得た素管を、焼鈍する。その際、焼鈍温度を材料の再結晶温度以上の400〜750℃とし、この温度条件下で5〜120分間程度保持することが望ましい。また、室温から所定温度までの平均昇温速度を5℃/分以上とすることが好ましく、10℃/分以上とすることがより好ましい。なお、通常、ローラーハース炉による連続焼鈍が行われるが、高周波誘導加熱炉を使用し、高速昇温、短時間加熱、高速冷却の焼鈍を行ってもよい。これにより、平滑管又は内面溝付管加工用平滑管が製造される。
本実施形態の熱交換器用銅管の製造方法では、必要に応じて、抽伸加工途中で、中間焼鈍を行ってもよい。中間焼鈍をローラーハース炉により行う場合は、例えば焼鈍温度を400〜750℃とし、保持時間を5〜120分間とする。なお、中間焼鈍は高周波加熱炉で行うこともでき、その場合は、ローラーハース炉によるものと同様の機械的性質が得られる条件で行えばよい。この場合、最終の焼鈍温度は、材料の再結晶温度以上の500〜750℃とすることが望ましい。
一方、内面溝付管を製造する場合は、前述した方法で製造した焼鈍上がりの平滑管を素管とし、転造加工により管内面に溝付加工を施す。このとき、転造加工の加工率は、通常のりん脱酸銅材を用いて内面溝付き管を製造する際の断面減少率(20〜30%)よりも大きくすることが好ましく、転造加工率を50%以上とすることがより好ましい。次いで、この溝付転造加工した内面溝付管を、必要に応じて焼鈍する。その際の焼鈍条件は、前述した平滑管の製造工程における抽伸加工後の焼鈍条件と同様である。これにより、内面溝付管が製造される。
前述した製造方法を適用することにより、引張強さ(σ)が最大で275MPaの熱交換器用銅管を製造することができる。また、この製造方法で製造された熱交換器用銅管は、管内面残油量を0.02mg/mまで、0.2%耐力(σ0.2)と引張強さ(σ)の比(σ0.2/σ)を0.2まで、低減することが可能である。
以上詳述したように、本実施形態の熱交換器用銅管は、りん脱酸銅管において、引張強度及び結晶粒径を特定の範囲にしているため、強度及び管の整直性、ヘアピン曲げ性、熱交換器にしたときのL曲げ性に優れている。
一方、特許文献1に記載の継目無管は、最終焼鈍温度が比較的低いため、結晶粒組織が混粒となって曲げ加工時にしわが発生したり、代替フロン対応の銅管として必要な管内面の残油量が規定値以下に低減しないと考えられる。
以下、本発明の実施例及び比較例を挙げて、本発明の効果について具体的に説明する。本実施例においては、純度99.998%の電気銅を溶解した溶湯を、Cu−P母合金を添加することにより所定組成に調整し、鋳造した直径300mmのビレットを用いて、実施例1〜10及び比較例1〜3の熱交換器用銅管を製造し、その性能を評価した。
実施例及び比較例の最終焼鈍後の銅管(供試材)で測定したCu、P及びその他の添加成分の含有量を下記表1に示す。なお、表1には示していないが、各供試材における0含有量は0.0007〜0.0018質量%であり、H含有量はいずれの供試材においても0.0001質量%以下であった。また、実施例10の銅管を除き、各銅管におけるCu、P、O及びH以外の元素の含有量は、最も多い元素でも4ppmであった。
Figure 0006244213
(実施例1〜5)
実施例1〜5として、以下に示す方法で平滑管を製造した。先ず、上記表1に示す組成の直径300mmのビレットを、800〜850℃に加熱後、ビレット中心をピアシング加工し、熱間押出により外径90mm、肉厚10mmの押出素管を作製した。この断面減少率は90%以上であった。
そして、押出後の素管を800〜850℃から急冷した。押出直後から水冷までの時間及び水冷後の押出素管の表面温度などより、300℃までの平均冷却速度は20℃/秒以上と見積られた。次に、押出素管を圧延及び抽伸して、外径9.52mm、肉厚0.80mmの素管を作製した。なお、圧延における断面減少率は90%以下、抽伸における1パスあたりの加工率は40%以下とした。そして、抽伸後のりん脱酸銅管を、還元性ガス雰囲気にしたローラーハース炉内で、平均昇温速度を10〜25℃/分で加熱し、550〜600℃の温度条件下で、30〜80分間保持して供試材とした。
(実施例6,7)
実施例6,7として、以下に示す方法で中間焼鈍を行った平滑管を製造した。具体的には、前述した方法で作製した押出素管を、圧延及び抽伸加工して、外径が22.22mm、肉厚が1.15mmの素管を作製した。その素管を、ローラーハース炉内で、平均昇温速度を10〜25℃/分として加熱し、550〜600℃の温度条件下で、30〜80分間保持して中間焼鈍を行った。更に、焼鈍後の素管に、抽伸を繰り返し、外径が9.52mm、肉厚が0.80mmの素管を作製した。そして、再度、ローラーハース炉で加熱して、600〜650℃の温度条件下で、30〜80分間保持して最終焼鈍を行って、供試材とした。
(実施例8,9)
実施例8,9として、以下に示す方法で内面溝付管を製造した。具体的には、前述した方法で作製した押出素管を、圧延及び抽伸加工して、外径が12mm、肉厚が0.4mmの溝付転造用素管を作製した。この溝付転造用の素管をインダクションヒーターにより中間焼鈍した。次に、中間焼鈍した溝付転造用素管に溝付転造加工を行い、外径7mm、底肉厚0.24mmの内面溝付管を製作した。
この内面溝は、フィン高さ0.12mm、リード角40°、フィン数65であった。溝付転造用素管から最終焼鈍される形状までの加工率(断面減少率)は、50%以上であった。その後、この内面溝付管を、還元性ガス雰囲気にしたローラーハース炉内で、600〜650℃に加熱し(平均昇温速度を10〜25℃/分)、その温度で30〜100分間保持した後、室温まで冷却して供試材とした。
(実施例10)
Cu及びP以外の成分として、Fe:0.02質量%、Ni:0.01質量%及びSn:0.015質量%を含有する組成にした以外は、前述した実施例8,9と同様の方法及び条件で、内面溝付管を製造した。
(比較例1)
転造加工率を、従来の製造条件と同等の30%にした以外は、前述した実施例8,9と同様の方法及び条件で、外径7mm、底肉厚0.24mmの内面溝付管を製造した。
(比較例2)
焼鈍温度を385℃にした以外は、前述した実施例1〜5と同様の方法及び条件で、平滑管を製造した。
(比較例3)
焼鈍温度を380℃にした以外は、前述した実施例1〜5と同様の方法及び条件で、平滑管を製造した。
<ヘアピン曲げ試験方法>
前述した方法で作製した実施例1〜10及び比較例1〜3の各供試材(銅管)から、長さ1000mmの管を10本採取し、ピッチを変量してマンドレルを入れて180°のヘアピン曲げを行い、曲げ部の割れや曲げ部の内周側のしわの有無を確認した。
以上の結果を、下記表2にまとめて示す。
Figure 0006244213
上記表2に示すように、比較例1の銅管は、転造加工率が30%と低く、従来の製造条件と同等であったため、ヘアピン曲げはできたが、引張強さが不足していた。比較例2の銅管は、加工組織が残留していたため、引張強さは十分であったが、曲げしわが発生した。比較例3の銅管は、引張強さは十分でピッチ22mmでの曲げ加工はできたが、最終焼鈍温度が低かったため、残油量が本発明の範囲から外れており、代替フロンを用いる熱交換器には不向きなものであった。これに対して、実施例1〜10の銅管は、高強度で、加工性にも優れていた。
1 管

Claims (2)

  1. JIS H3300に規定されるC1201又はC1220の化学成分を有するりん脱酸銅からなり、
    引張強さ(σ)が245MPa以上であり、
    結晶粒径が10〜30μmであり、
    管内面残油量が0.1mg/m以下であり、
    0.2%耐力(σ 0.2 )と引張強さ(σ )の比(σ 0.2 σB )が0.3以下である熱交換器用銅管。
  2. 形態が、レベルワウンドコイル、直管、パンケーキコイル又はバンチコイルである請求項1に記載の熱交換器銅管。
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