JP2014173141A - 高強度銅合金管 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、銅合金を押出成形してなる高強度銅合金管であって、前記銅合金は、Co:0.13〜0.30質量%、P:0.03〜0.10質量%を含有し、前記Coの含有量が前記Pの含有量の2.5倍以上であり、残部がCuおよび不可避的不純物からなり、前記不可避的不純物として、S:0.005質量%以下、O:0.005質量%以下、H:0.0002質量%以下に規制され、管軸に沿った断面における平均結晶粒径が15μm以上75μm以下であり、前記断面の肉厚方向中心部において、平均円相当径1nm以上20nm以下の析出物が分散していることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
本実施形態に係る高強度銅合金管(以下、単に高強度銅管という)は、ろう付け処理後の強度に優れており、熱交換器、例えば、空調機やヒートポンプ給湯機の熱媒体を流通させる配管に適用される。この高強度銅管は、銅合金を中空の管状に押出成形してなり、いわゆる平滑管、内面溝付管等の用途に応じた形状および寸法とすることができるが、これらに限定されるものではない。はじめに、本実施形態に係る高強度銅管を形成する銅合金について説明する。
本実施形態に係る高強度銅管を形成する銅合金の一態様としては、Co:0.13〜0.30質量%、P:0.03〜0.10質量%を含有し、Coの含有量がPの含有量の2.5倍以上であって、残部がCuおよび不可避的不純物からなる。かかる不可避的不純物としてS,O,Hが含有され得るが、S:0.005質量%以下、O:0.005質量%以下、H:0.0002質量%以下に規制する。以下、この銅合金を構成する各要素について説明する。
Coは、銅合金中でPとの化合物(適宜、Co−P化合物という)を生成し、析出させる。この化合物(析出物)は、高強度銅管の引張強さや800℃以上の高温でのろう付け処理後の引張強さといった強度を向上させる効果を有する。この効果は、Co−P化合物の析出物サイズが小さく、数が多いほど向上する。
Coの含有量が0.13質量%未満では、Co−P化合物の析出量が少なく、前記した効果が十分に得られない。そのため、高強度銅管の引張強さや800℃以上の高温でのろう付け処理後の引張強さといった強度を向上させることができない。一方、Coの含有量が0.30質量%を超えると、鋳造時や熱間押出し時に粗大な析出物が生成してしまい、押出し時に割れてしまう。したがって、Coの含有量は0.13質量%以上0.30質量%以下とする。
Pは、一般的に銅合金の脱酸のために添加される。さらに本実施形態に係る高強度銅管においては、前述したように、Pは銅合金中でCoと化合物(Co−P化合物)を生成し、析出させる。Co−P化合物は、高強度銅管の引張強さや800℃以上の高温でのろう付け処理後の引張強さといった強度を向上させる効果を有する。
Pの含有量が0.03質量%未満では、Co−P化合物の析出量が少なく、前記した効果が十分に得られない。そのため、高強度銅管の引張強さや800℃以上の高温でのろう付け処理後の引張強さといった強度を向上させることができない。一方、Pの含有量が0.10質量%を超えると、加工性が低下して、熱間加工(熱間押出し)や冷間加工(冷間押出し)において割れが生じる虞がある。
したがって、Pの含有量は0.03質量%以上0.10質量%以下とする。
前記したとおり、本実施形態に係る高強度銅管においては、CoとPとの化合物(Co−P化合物)が十分に析出することにより、800℃以上の高温でのろう付け処理後も含めて強度を向上させる効果を有する。ここで、本発明の開発段階において、本発明者らが高温でのろう付け処理後の強度が高い高強度銅管についてTEM(透過型電子顕微鏡)による観察および抽出残渣分析を詳細に行った結果、Co2P(リン化二コバルト)が析出していることが確認された。また、この場合のCo2PにおけるPに対するCoの含有量比(Co/P)は約3.8であった。さらに、銅合金に含有されるCo,Pについて、Co/Pが3.8から大きく減少して2.5未満になると、CoおよびPの各含有量が前記した範囲であっても、Pに対してCoが不足して、Co2Pが十分に析出されず、前記した効果が十分に得られないことが確認された。つまり、Co/Pが2.5未満(Coの含有量がPの含有量の2.5倍未満)になると、高強度銅管の引張強さや800℃以上の高温でのろう付け処理後の引張強さといった強度を向上させることができないことが確認された。
したがって、Coの含有量はPの含有量の2.5倍以上とし、好ましくは3.0倍以上である。なお、後記するように、銅合金にNiを含有させる場合は、Coは、Niとの合計の含有量がPの含有量の2.5倍以上であればよい。
Sは、銅合金中においてCuとの化合物として母相中に存在する。Sの含有量が0.005質量%を超えると、銅合金の鋳造時の鋳塊割れや、熱間押出時の割れが増加する。そして、これらの割れが発生しなくても、このようなSを多く含有する銅合金の押出材を冷間圧延して抽伸すると、材料内部のCu−S化合物が管の軸方向に伸張し、Cu−S化合物界面で割れが生じ易い。これにより、加工時や加工後の製品(銅管)において、表面疵や割れ等が発生して製品の歩留りを低下させる。また、銅管に曲げ加工を行う際に、割れ発生の起点となり、曲げ部で割れが発生し易い。
したがって、Sの含有量は0.005質量%以下に規制し、好ましくは0.003質量%以下、さらに好ましくは0.0015質量%以下である。
O(酸素)が銅合金中に存在すると、Cuの酸化物や、Snを含有する場合はSnの酸化物が生成する。そのため、これらの酸化物が鋳塊に巻き込まれて鋳塊の健全性が低下し、製造された銅管の曲げ加工性が低下する虞がある。したがって、Oの含有量は0.005質量%以下に規制する。Oの含有量は、高強度銅管の曲げ加工性をより向上させるため、好ましくは0.003質量%以下、さらに好ましくは0.0015質量%以下とする。銅合金へのOの取り込みを抑制するためには、原料の電気銅の溶解時に還元雰囲気とすればよい。
H(水素)は、銅合金の溶解鋳造時に溶湯に取り込まれる。Hの含有量が多くなると、鋳塊中にピンホールを生じたり、Hが粒界に濃化等の状態で存在したりして、熱間押出し時に割れを発生させる。また、熱間押出し時に割れが発生しなくても、Hを多く含有する銅合金の押出材は、焼鈍時に、粒界にHの膨れが発生し易く、製品歩留が低下する。したがって、Hの含有量は0.0002質量%以下に規制する。Hの含有量は、製品歩留りをより向上させるため、好ましくは0.0001質量%以下とする。銅合金へのHの取り込みを抑制するためには、溶解鋳造時の原料を乾燥させたり、溶湯と接触する雰囲気の露点を低下させたり、P(Cu−P合金)添加前の溶湯を酸化気味にしたりする等の対策が有効である。
また、本実施形態のさらなる他の態様として、高強度銅管を形成する銅合金は、前記成分にさらに、Fe,Mn,Mg,Cr,Ti,Zr,Agから選択された1種以上を合計0.10質量%未満含有してもよく、またさらに、Sn:0.05〜1.0質量%、Zn:0.005〜1.0質量%の少なくとも1種を含有してもよい。
(NiとCoの含有量の合計がPの含有量の2.5倍以上)
Niは、銅合金中でCo,Pとの三元化合物(適宜、(Co,Ni)−P化合物という)を生成し、析出させる。この(Co,Ni)−P化合物は、Co−P化合物と同様に、高強度銅管の引張強さや800℃以上の高温でのろう付け処理後の引張強さといった強度を向上させる効果を有する。つまり、Niは、Coの含有量を増大させることなく、強度をいっそう向上させることができる。ここで、本発明の開発段階において、本発明者らがCo,Ni,Pを含有する銅合金からなり、特に高温でのろう付け処理後の強度が高い高強度銅管についてTEM(透過型電子顕微鏡)による観察および抽出残渣分析を詳細に行った結果、(Co,Ni)2Pが析出していることが確認された。すなわち、Niを含有させることで、Co2PのCoがNiに一部置換される形となることが確認された。また、NiはCoと原子量が近いので、(Co,Ni)2PにおけるPに対するCoとNiとの合計の含有量比((Co+Ni)/P)は約3.8であるといえる。したがって、Co,Pを含有する銅合金と同様に、(Co+Ni)/Pが3.8から大きく減少して2.5未満になると、Co,Ni,Pの各含有量が前記の範囲であっても、Pに対してCo,Niが不足して、Co2Pや(Co,Ni)2Pが十分に析出されず、前記した効果が十分に得られないことが確認された。つまり、(Co+Ni)/Pが2.5未満(NiとCoの含有量の合計がPの含有量の2.5倍未満)になると、高強度銅管の引張強さや800℃以上の高温でのろう付け処理後の引張強さといった強度を向上させることができないことが確認された。
また、NiがCoを超えて多くなると、生成するPの三元化合物が、Coに対してNiが多い組成の(Ni,Co)−P化合物になり易く、析出物が固溶温度の低いNi−P化合物(Ni2P)の性質に近付き、ろう付け処理にて溶融し易いため、ろう付け処理後の強度が低下してしまう。
したがって、Niの含有量は、0.005〜0.20質量%とするとともに、Coの含有量以下とする。Niの含有量は、Coの含有量との合計でPの含有量の2.5倍以上とし、好ましくは3.0倍以上である。
Fe,Mn,Mg,Cr,Ti,Zr,Agはそれぞれ、単体で、またはFe2P,Mn3P2等のPとの化合物として析出することで、前記したCo−P化合物等と同様に、高強度銅管の引張強さや800℃以上の高温でのろう付け処理後の引張強さといった強度を向上させる効果がある。一方、これらの元素が合計で0.10質量%以上含有されると、熱間押出しにおける熱間変形抵抗が高くなる。そのため、これらの元素を含有しない銅合金と同一の押出圧力とするためには熱間押出温度を高くする必要がある。その結果、押出材の表面酸化が増加し、生産性の低下や銅管の表面欠陥が増加する。
したがって、Fe,Mn,Mg,Cr,Ti,Zr,Agから選択された1種以上の含有量は合計で0.10質量%未満とする。
Snは、銅合金中で固溶強化によって引張強さを向上させ、また、高強度銅管の焼鈍やろう付けによる熱影響に対して結晶粒度の粗大化が抑制されて耐熱性が向上する。これらの効果を得るために、Snの含有量は0.05質量%以上とすることが好ましい。一方、Snの含有量が1.0質量%を超えると、鋳塊における凝固偏析が激しくなって、通常の熱間押出しや加工熱処理において偏析が完全に解消しないことがあり、銅管の組織、機械的性質、曲げ加工性、ろう付け処理後の組織および機械的性質の不均一が生じる。また、熱間押出における熱間変形抵抗が高くなり、Snの含有量が1.0質量%以下の銅合金と同一の押出圧力とするためには熱間押出温度を高くする必要がある。その結果、押出材の表面酸化が増加し、生産性の低下や銅管の表面欠陥が増加する。
したがって、Snの含有量は0.05〜1.0質量%とする。
Znは、銅合金の強度、耐熱性、および疲労強度を向上させる効果を有する。また、Znを含有することにより、高強度銅管のろう付けにおいてりん銅ろう等のろう材の濡れ性を向上させる。さらに、Znを含有することにより、冷間圧延、抽伸、転造等に用いる工具の摩耗を低減させて、抽伸プラグや溝付プラグ等を長寿命化する効果があり、生産コストの低減に寄与する。また、高強度銅管の熱交換器への組立てにおいても、曲げ加工時のマンドレルの摩耗を低減し、さらにアルミニウムフィンの貫通孔のフィンカラーに密着させる際の拡管加工時の拡管ビュレットの摩耗も低減することができる。これらの効果を得るために、Znの含有量は0.005質量%以上とすることが好ましい。一方、Znの含有量が1.0質量%を超えると、応力腐食割れ感受性が高くなる。
したがって、Znの含有量は0.005〜1.0質量%とする。
本実施形態に係る高強度銅管の銅合金は、前記したいずれの態様であっても、その金属組織は以下のようにする。
本実施形態に係る高強度銅管は、管軸に沿った断面における平均結晶粒径を15μm以上とする。また、管軸に沿った断面の肉厚方向中心部において、平均円相当径1nm以上20nm以下の析出物が分散している。
ろう付け処理後に強度が低下してしまう原因の一つとして、ろう付け処理中に結晶粒が成長し、粗大になってしまうことが挙げられる。ろう付け前の平均結晶粒径を大きくしておくことで、ろう付け処理中の粒成長の駆動力を小さくし、ろう付け処理後に結晶粒が粗大化することを防ぐことができる。
したがって、平均結晶粒径は15μm以上とし、好ましくは20μm以上である。
また、平均結晶粒径が大きくなりすぎると、曲げ加工性が低下してしまう。したがって、平均結晶粒径は75μm以下とし、好ましくは40μm以下である。
平均結晶粒径は、肉厚方向における全体の結晶粒の粒径の平均であり、例えば、管軸を含む面で高強度銅管を切断して断面を研磨して観察面とし、肉厚方向に沿って複数視野を選んで光学顕微鏡で観察して、撮影し、JISG0551に記載されている切断法で結晶粒径を測定し、平均値を算出すると得られる。
本実施形態に係る高強度銅管における析出物は、主にCo−P化合物を指し、銅合金がNiを含有する場合はさらに(Co,Ni)−P化合物を、銅合金がFe,Mn,Mg,Cr,Ti,Zr,Agを含有する場合はさらにこれらの元素の単体またはPとの化合物を指す。析出物はサイズが小さく、数が多いほど強度が向上する。平均結晶粒径が大きいと強度が低下してしまうが、本実施形態ではこれらの析出物の平均円相当径を小さくし、前記した範囲内とすることで室温強度も向上させることができる。しかし、析出物サイズが小さくなりすぎると、強度向上の効果が小さくなってしまう。
したがって、析出物の円相当径は1nm以上20nm以下とする。
次に、本実施形態に係る高強度銅管の製造方法の一例について説明する。本実施形態に係る高強度銅管は、公知の銅管と同様に、鋳造、熱間押出、圧延、抽伸、最終焼鈍にて製造することができるが、結晶粒や析出物をより確実に前記した態様とするため、以下の条件とすることが好ましい。
供試材として銅管を以下の工程により製造した。
電気銅を原料とした溶湯中に、表1に示す成分にしたがって適宜Ni等を添加した後、Cu−P合金を添加し、鋳造温度1200℃にて直径300mm、長さ3000mmの鋳塊を半連続鋳造した。鋳塊から長さ475mmのビレットを切り出し、均質化処理としてビレットを800〜950℃の範囲に加熱して1時間保持した後、熱間押出して、外径100mm、肉厚10mmの押出素管を製造し、水冷にて表面温度が300℃になるまで冷却速度20℃/秒以上で急速冷却した。この押出素管を圧延、抽伸加工し、外径9.52mm、肉厚0.80mmの平滑管を製造した。その後、再結晶処理を施し、その後、最終焼鈍を行った。ここで、比較例12、13、17は再結晶処理を行わずに最終焼鈍を行った。なお、実施例8よりも実施例9の焼鈍時間を長くし、比較例12よりも比較例13の焼鈍時間を長くした。また、比較例13、14も通常行われるよりも長い時間焼鈍した。つまり、比較例13、14は、焼鈍時間を長くすることにより析出物を大きく成長させた。途中の工程にて押出し時に割れが生じた等の不具合により銅管の製造を中断したものは、以下の測定および評価を行わず、表1および後記する表2の測定値等の欄を「−」で示した。なお、比較例17は、特許文献3(特許第4228166号公報)に記載されている発明の実施例相当品である。
銅管を、管軸を含む面で切断して断面を研磨して観察面とした。肉厚方向における全体から3視野を光学顕微鏡で観察して、JISG0551に記載されている切断法で結晶粒径を測定し、平均値を算出した。
銅管を、管軸を含む面で切断して断面を研磨して観察面とした。TEM(透過型電子顕微鏡)にて倍率×150000で観察し、肉厚方向1/2の部位を中心として肉厚の70%に相当する範囲から、700nm×800nmの視野を肉厚方向に沿って3視野、画像写真を撮影した。画像写真を画像解析ソフトにて解析して、析出物のそれぞれの面積を測定し、面積から円相当径を導出して、その平均値を算出した。
また、製造した銅管の特性について、曲げ加工性、強度として引張強さ[MPa]、ろう付け処理後の強度として熱処理後の引張強さ[MPa]、耐応力腐食割れ性を以下のようにして評価した。
銅管を、曲げピッチ25mm(管軸における曲げ半径が12.5mm)のU字形に曲げ加工し、外側表面の曲げ部を目視にて観察した。各仕様の銅管につき10本観察し、割れや亀裂が観察されたものが1本もなければ合格(○)、割れ等が観察されたものが1本でもあると不合格(×)とした。その結果を表2に示した。
銅管を切り出して、JIS11号引張試験片を各仕様の銅管につき2本作製した。この試験片をJISZ2241に準じて引張試験を室温にて行った。詳しくは、5882型インストロン社製万能試験機により、試験速度10.0mm/分、GL=50mmで、引張強さを測定した。2回の平均値を表2に示した。引張強さの合格基準は260MPa以上とした。
ろう付け処理を模擬して、825℃、850℃、875℃の3通りの温度で10分間の熱処理をした銅管について、前記引張試験と同様の方法で引張強さを測定した。それぞれの熱処理温度について2回の平均値を表2に示した。ろう付け処理後の引張強さの合格基準は240MPa以上とした。
耐応力腐食割れ性は、以下の応力腐食割れ試験により評価した。銅管を長さ75mmに切り出して試験片とし、この試験片を脱脂し、乾燥した。そして、デシケーター中に所定のアンモニア水を入れ、この試験片を当該アンモニア水の液面から50mmの距離を空けた高さ位置となるように固定して収容した。試験片をこの状態で、つまり、アンモニア雰囲気中に常温で2時間保持した。なお、所定のアンモニア水は、JISK8085に規定するアンモニア水を等量の純水で希釈した11.8%以上のものを使用した。その後、試験片を銅管の元の外径の50%まで径方向に押しつぶした。この試験片を目視で観察して外周面の割れの有無を判定した。割れのないものを合格(○)、割れの発生したものを不合格(×)とした。その結果を表2に示した。
つまり、比較例1は、Coが過剰であるために高温下でもCo−P化合物が析出し、熱間押出しに変形抵抗が過大となって割れを生じた。
比較例3は、Pが過剰であるため、熱間押出しにて割れを生じた。
比較例2、4は、Co,Pがそれぞれ不足したため、Co−P化合物が不足し、強度が低く、熱処理によりいっそう低下した。
比較例6は、Snが過剰であるため、熱間変形抵抗が高くなって熱間押出しをすることができなかった。
比較例7は、Znが過剰であるため、応力腐食割れ感受性が高くなり、耐応力腐食割れ性が不合格となった。そのため、比較例7に係る銅合金を熱交換器の熱媒体を流通させる管として使用する場合には適切でないと判断された。
比較例9は、不可避的不純物であるOが規定を超えて含有されるため、曲げ加工性が低下した。
比較例12、13は、平均結晶粒径が小さいため、850℃以上の熱処理中に結晶粒成長が起こってしまい、強度が低下した。また、比較例13については焼鈍時間を長くしたので析出物の平均円相当径が大きくなり、強度も低下していた。
一方、比較例14は、平均結晶粒径は本発明の要件を満たすが、析出物の平均円相当径が大きいため、強度が低下した。
比較例16は、平均結晶粒径が大きいため、曲げ加工性が低下した。
そして、比較例17は、平均結晶粒径が小さいため、850℃以上の熱処理中に結晶粒成長が起こってしまい、強度が低下した。
Claims (4)
- 銅合金を押出成形してなる高強度銅合金管であって、
前記銅合金は、Co:0.13〜0.30質量%、P:0.03〜0.10質量%を含有し、前記Coの含有量が前記Pの含有量の2.5倍以上であり、残部がCuおよび不可避的不純物からなり、前記不可避的不純物として、S:0.005質量%以下、O:0.005質量%以下、H:0.0002質量%以下に規制され、
管軸に沿った断面における平均結晶粒径が15μm以上75μm以下であり、
前記断面の肉厚方向中心部において、平均円相当径1nm以上20nm以下の析出物が分散していることを特徴とする高強度銅合金管。 - 前記銅合金がさらに、Ni:0.005〜0.20質量%を含有し、前記Niの含有量が前記Coの含有量以下、前記Coと前記Niの含有量の合計が前記Pの含有量の2.5倍以上であることを特徴とする請求項1に記載の高強度銅合金管。
- 前記銅合金がさらに、Fe,Mn,Mg,Cr,Ti,Zr,Agから選択された1種以上を合計0.10質量%未満含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の高強度銅合金管。
- 前記銅合金がさらに、Sn:0.05〜1.0質量%、Zn:0.005〜1.0質量%の少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のろう付け処理後の高強度銅合金管。
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