JP2008251706A - リチウムイオンキャパシタ - Google Patents

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Abstract

【課題】常温と比較して、低温時の静電容量の低下及び内部抵抗の増加が少なく、低温特性を改善したリチウムイオンキャパシタを提供する。
【解決手段】リチウムイオンキャパシタにおいて、正極と、負極と、電解液としてリチウム塩の非プロトン性有機溶媒溶液とを有し、前記非プロトン性有機溶媒溶液が、非イオン性の界面活性剤を含むことにより、常温と比較して、低温時の静電容量の低下及び内部抵抗の増加が少なく、低温特性を改善することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、リチウムイオンキャパシタの技術に関し、特にリチウムイオンキャパシタの低温特性の改善に有効に適用できる技術である。
近年、車社会の排気ガス等の大気に対する環境問題がクローズアップされる中、環境にやさしい電気自動車等の開発が行われている。このような電気自動車の開発に当たっては、特に電源となる蓄電装置の開発が盛んである。前記蓄電装置としては、旧来の鉛蓄電池に代わり、種々の形式のものが提案され、電解質や電極材料等に関しての研究報告が数多くなされている。
しかし、前記リチウムイオン二次電池等では、エネルギー密度が高いものの出力特性や、安全性、サイクル寿命等の技術的問題が十分に解決されていない。このため、一充電当たりの放電容量は電池に比べて小さいものの、瞬時の充放電特性に優れ、数万サイクル以上の充放電にも耐え得る高い出力特性を有する電気二重層キャパシタが、新たな蓄電装置として提案されている。
特に、負極にリチウムイオンを予めドープしておくことで負極電位を卑に保ち、電気二重層キャパシタと同等な安全性と高出力特性とを維持しつつ、高いエネルギー密度を有する新規なリチウムイオンキャパシタが注目を集めている(特許文献1参照)。
また、リチウム二次電池の電解液として、所定のシリコーンオイルとフッ素系界面活性剤とを含む有機溶媒溶液が提案されている(特許文献2参照)。この提案によれば、前記有機溶媒溶液を用いたリチウム二次電池において、電池の膨れを防止でき、かつ充放電特性やインピーダンス特性の改善を行える。
WO2003/003395号公報(再公表特許公報) 特開2000−173651号公報
しかしながら、自動車用途のように−30〜60℃と幅広い動作温度が要求される場合に、リチウムイオンキャパシタは低温時に常温と比較して、静電容量が大きく低下する、内部抵抗が大きく増加する等、低温特性が悪い問題があった。
一方、特許文献2に記載の提案では、シリコーンオイルを用いることから、充放電特性やインピーダンス特性の改善効果が、シリコーンオイルによるのか界面活性剤によるのかは必ずしも明らかでなかった。さらに、前記提案では、温度特性についても、高温時(50℃)及び常温時(20℃)には良好であるが、−30℃のような低温時の温度特性は十分でなかった。
したがって、界面活性剤を低温特性のために使用したリチウムイオンキャパシタは未だ提供されていなかった。
本発明の目的は、常温と比較して、低温時の静電容量の低下及び内部抵抗の増加が少なく、低温特性を改善したリチウムイオンキャパシタを提供することにある。
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
すなわち、リチウムイオンキャパシタにおいて、正極と、負極と、電解液としてリチウム塩の非プロトン性有機溶媒溶液とを有し、正極活物質がリチウムイオン、あるいはアニオン、あるいはリチウムイオン及びアニオンを、可逆的にドープ及び脱ドープ可能な物質であり、負極活物質がリチウムイオンを可逆的にドープ及び脱ドープ可能な物質であり、前記正極と前記負極を短絡させた場合の正極電位が2.0V(Li/Li)以下となるように、前記負極、あるいは前記正極、あるいは前記負極及び前記正極にリチウムイオンが予めドープされ、前記非プロトン性有機溶媒溶液が非イオン性界面活性剤を含むこととした。
本発明によれば、正極と、負極と、電解液としてリチウム塩の非プロトン性有機溶媒溶液とを有するリチウムイオンキャパシタが、非プロトン性有機溶媒溶液に非イオン性界面活性剤を含むことで、常温と比較して、低温時の静電容量の低下及び内部抵抗の増加が少なく、低温特性を改善することができる。
本発明のリチウムイオンキャパシタは、正極と、負極と、電解液としてリチウム塩の非プロトン性有機溶媒溶液とを有する。
〔電解液〕
電解液は、上述の通りリチウム塩の非プロトン性有機溶媒溶液である。非プロトン性有機溶媒溶液は、少なくとも氷点下での低温特性改善のための非イオン性界面活性剤を含む。
非イオン性界面活性剤の中でも、分子構造において、電子の非局在化が起こりやすく電解液に溶解しやすい観点からは、フッ素系界面活性剤が好ましい。イオン性の界面活性剤では、充放電によって電極へ移動したイオンが、電極表面上で何らかの反応を起こす可能性が考えられ、容量の低下や抵抗上昇が懸念される。
フッ素系界面活性剤としては、低温特性の改善ができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、疎水基としてフルオロアルキル基を有し、さらに親水基を導入したフッ素系界面活性剤が挙げられる。
疎水基のフルオロアルキル基は、(C2x+1(式中、xは1〜16の整数、yは1〜10の整数)で表される。具体的には、CF−、C−、C−などが好適に挙げられる。
親水基としては、例えば、ポリオキシエチレンなどが好適に挙げられる。上述の一般式で表される界面活性剤は、例えば、疎水基を有する中間体に、ポリオキシエチレンを付加導入することにより、フルオロポリオキシエチレンエーテルからなるフッ素系界面活性剤を得ることができる。
上述の疎水基を有するフッ素系界面活性剤としては、下記構造式(式中、nは3〜20以下の整数)
Figure 2008251706
で表されるフッ素系界面活性剤が好適に挙げられる。
この構造式で表されるフッ素系界面活性剤としては、市販品を使用することができ、前記市販品としては、例えば、ネオス社製フタージェントのFT−251、FT−250などが挙げられる。
上述の疎水基を有するフッ素系界面活性剤としては、例えば、上記構造式で表されるフッ素系界面活性剤以外に、下記構造式(式中、Rfは炭素原子数2以上14以下のパーフルオロアルキル基、ZlはRfの炭素原子及び(CHの炭素原子に結合した2価の架橋基、R及びRは互いに異なっていてもよい水素原子又はメチル基、aは1〜12の整数、bは30〜100の整数)で表される他のフッ素系界面活性剤も挙げられる。
Figure 2008251706
Zlの2価の架橋基としては、例えば、−O−、−(CH−O−などのエーテルが挙げられる。
上述の構造式で表されるフッ素系界面活性剤としては、具体的には、1,1,2,2−テトラハイドロパーフロロオクタノールポリオキシエチレン付加重合体、N−プロピルパーフロロオクタンスルホンアミドエタノールポリオキシエチレン付加重合体、6−(パーフロロオクチル)ヘキサノ−ル−1ポリオキシエチレン付加重合体が挙げられる。
非イオン性界面活性剤の含有量は、前記電解液全量に対し、0.001重量%以上1重量%以下が好ましく、0.1重量%以上0.5重量%以下がより好ましい。含有量が、0.001重量%未満であると、所望の低温特性を発揮できないことがあり、1重量%を超えると、泡が発生したり、電気的抵抗が大きくなってしまうことがある。
非イオン性界面活性剤の含有量は、得られたリチウムイオンキャパシタにおいて、例えば、セル中の電解液を分取し、液相クロマトグラフィー等により分析することができる。
上述の非プロトン性有機溶媒溶液を形成する非プロトン性有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γ-ブチロラクトン、アセトニトリル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、塩化メチレン、スルホランなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
非プロトン性有機溶媒としては、低温特性の改善効果が高い観点から、環状カーボネートであることが好ましい。環状カーボネートとしては、特に制限はないが、例えば、プロピレンカーボネートあるいはエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとの混合物が好適に挙げられる。
非プロトン性有機溶媒に溶解させる電解質としては、リチウムイオンを生成し得る電解質であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、LiClO、LiAsF、LiBF、LiPF、LiN(CSO、LiN(CFSOなどが挙げられる。
電解質及び非プロトン性溶媒は、充分に脱水した状態で、混合して電解質溶液とする必要がある。
電解液中の電解質濃度は、電解液による内部抵抗を小さくするため、0.1モル/l以上とすることが好ましく、0.5モル/l以上1.5モル/l以下とすることがより好ましい。
〔正極及び負極〕
正極に使用する正極活物質は、リチウムイオン、あるいはアニオン、あるいはリチウムイオン及びアニオンを、可逆的にドープ及び脱ドープ可能な物質である。
負極に使用する負極活物質は、リチウムイオンを可逆的にドープ及び脱ドープ可能な物質である。
ここで、本発明において、「ドープ」とは、吸蔵、担持、吸着又は挿入を意味し、具体的には、正極活物質にリチウムイオン及びアニオンのいずれかが入る現象、あるいは負極活物質にリチウムイオンが入る現象を意味する。「脱ドープ」とは、放出又は脱着を意味し、正極活物質からリチウムイオン又はアニオンが脱離する現象、あるいは負極活物質からリチウムイオンが脱離する現象を意味する。
また、本発明において、「正極」とは、放電の際に電流が流れ出る側の極を言い、「負極」とは、放電の際に電流が流れ込む側の極を言う。
本発明のリチウムイオンキャパシタは、負極、あるいは正極、あるいは負極及び正極に対するリチウムイオンのドープにより、正極と負極とを短絡させた後の正極の電位が、例えば、2.0V(Li/Li)以下である。
本発明の構成とは異なり、リチウムイオンがドープされていない従来のキャパシタでは、正極電位及び負極電位はいずれも約3Vであり、充電前においては、正極と負極とを短絡させた後の正極電位は約3Vである。しかし、本発明では、リチウムイオンをドープさせることにより、3V(Li/Li)以下、好ましくは2.0V(Li/Li)以下に電位を下げて、容量の向上を図っている。
以降、本明細書で、正極と負極とを短絡させた後の正極電位が、2.0V(Li/Li)以下とは、次のいずれかの方法で求められる正極電位が、2.0V(Li/Li)以下の場合を言う。
(1) リチウムイオンのドープ後、リチウムイオンキャパシタのキャパシタセル(以下、単にセルと言う場合がある)の正極端子と負極端子とを導線で直接結合させて短絡し、その状態で12時間以上放置する。その後に、短絡を解除し、0.5〜1.5時間内に正極電位を測定する。
(2) 充放電試験機にて、12時間以上かけて0Vまで定電流放電させ、その後に正極端子と負極端子とを導線で結合させて短絡させる。その状態で12時間以上放置し、その後に短絡を解除し、0.5〜1.5時間内に正極電位を測定する。
一般的に充電電圧の上限は、正極電位の上昇による電解液の分解が起こらない電圧に設定される。そこで、正極電位を電解液の分解が起こらない上限にした場合、予めリチウムイオンをドープすることにより負極電位が低下する分、充電電圧を高めることが可能となる。しかし、短絡後の正極電位を3V(Li/Li)以下、好ましくは2.0V(Li/Li)以下に低下させることができれば、それだけ正極の利用容量が増え、高容量とすることができる。
通常、正極に活性炭、負極にリチウムイオン二次電池で使用する黒鉛や難黒鉛化炭素のような炭素材を用いたいわゆるハイブリッドキャパシタでは、活性炭や炭素材は通常3V(Li/Li)前後の電位を有しているため、短絡しても正極電位は変化せず約3V(Li/Li)のままである。
そこで、本発明のリチウムイオンキャパシタでは、別途金属リチウム等のリチウムイオン供給源から、負極にリチウムイオンをドープすることで、短絡した場合の正極電位を、2.0V(Li/Li)以下になるようにする。
すなわち、リチウムイオンキャパシタのセルに、予め負極、あるいは正極、あるいは負極及び正極の双方に、リチウムイオン供給源からリチウムイオンをドープし、正極と負極とを短絡させた後の正極の電位を、2.0V(Li/Li)以下となるようにしている。
本発明で、リチウムイオンのドープは、負極及び正極のいずれか一方、あるいは両方に行ってもよい。しかし、リチウムイオンのドープ量を多くして正極電位を下げ過ぎると、リチウムイオンを不可逆的に消費してしまい、セルの容量が低下するなどの不具合が生じる場合がある。そのため、負極と正極とにドープするリチウムイオンは、そのような不具合が発生しないように、正極及び負極の両極のドープ量を制御することが必要となる。しかし、このような制御は工程上煩雑となるため、リチウムイオンのドープを負極に対してのみ行うようにするのが好ましい。
本発明のリチウムイオンキャパシタは、負極活物質の単位重量当たりの静電容量を、正極活物質の単位重量当たりの静電容量の3倍以上に設定することが好ましい。さらに、正極活物質重量が負極活物質重量よりも大きくなるように設定することが好ましい。このような構成とすることで、高電圧かつ高容量のリチウムイオンキャパシタとすることができる。
具体的には、正極活物質重量は、負極活物質重量に対し、例えば1.1以上10倍以下に設定することが好ましい。1.1倍未満であれば容量差が小さくなることがあり、10倍を超えると逆に容量が小さくなることがある。また、正極と負極との厚み差が大きくなり過ぎて、セル構成上好ましくない場合もある。
本発明では、リチウムイオンキャパシタにおけるセルの静電容量及び容量は、次のように定義する。
(1) セルの静電容量は、セルの単位電圧当たりセルに流れる電気量(放電カーブの傾き)とし、単位はF(ファラッド)で示す。
(2) セルの単位重量当たりの静電容量は、セルの静電容量を、セル内に充填している正極活物質重量と負極活物質重量との合計重量で除した値とし、単位はF/gで示す。
(3) 正極あるいは負極の静電容量は、正極あるいは負極の単位電圧当たりセルに流れる電気量(放電カーブの傾き)とし、単位はF(ファラッド)で示す。
(4) 正極あるいは負極の単位重量当たりの静電容量は、正極あるいは負極の静電容量を、セル内に充填している正極あるいは負極の活物質重量で除した値とし、単位はF/gで示す。
(5) セル容量は、セルの放電開始電圧と放電終了電圧との差、すなわち電圧変化量とセルの静電容量との積で、単位はC(クーロン)で示す。1Cは1秒間に1Aの電流が流れたときの電荷量であり、本発明においては換算してmAhで表す場合がある。すなわち、正極容量とは、放電開始時の正極電位と放電終了時の正極電位の差(正極電位変化量)と正極の静電容量との積であり、単位はC又はmAhである。同様に負極容量とは、放電開始時の負極電位と放電終了時の負極電位の差(負極電位変化量)と負極の静電容量との積であり、単位はC又はmAhである。これらセル容量と正極容量及び負極容量とは一致している。
ドープを行う手段としては、特に制限はなく、公知の手段を適宜選択することができ、例えば、リチウムイオンを供給可能な金属リチウム等のリチウムイオン供給源を、リチウム極としてキャパシタセル内に配置する手段などが挙げられる。ドープに際しては、リチウム極を、負極と、あるいは正極と、あるいは負極及び正極と、物理的な接触(短絡)、あるいは電気化学的な手段で接触させればよい。
リチウムイオン供給源の量(金属リチウム等の重量)は、所定の負極の容量が得られる量あればよい。
リチウムイオン供給源は、導電性多孔体からなるリチウム極集電体上に形成することができる。導電性多孔体としては、リチウムイオン供給源と反応しないものであれば特に制限はなく、例えば、ステンレスメッシュ等の金属多孔体が挙げられる。
大容量の多層構造を有するキャパシタセルでは、正極及び負極には、それぞれ電気を受配電する正極集電体及び負極集電体が設けられている。このような構成のセルでは、例えば、リチウム極を負極集電体に対向する位置に設け、電気化学的にリチウムイオンを供給するようにすればよい。
正極集電体及び負極集電体には、例えば、エキスパンドメタルのように表裏面を貫通する孔を備えた材料が用いられ、リチウム極を負極あるいは正極に対向させて配置する。このような貫通孔の形態、数等は特に制限はなく、電解液中のリチウムイオンが電極集電体に遮断されることなく電極の表裏間を貫通して移動できるようにしておけばよい。
本発明のリチウムイオンキャパシタでは、負極、あるいは正極、あるいは負極及び正極にリチウムをドープするリチウム極を、セル中に局所的に配置した場合でも、リチウムイオンのドープを均一に行うことができる。
したがって、正極及び負極を積層もしくは捲回した大容量のセルの場合でも、最外周又は最外側のセルの一部にリチウム極を配置すればよく、スムーズかつ均一に、負極、あるいは正極、あるいは負極及び正極にリチウムイオンをドープすることができる。
電極集電体の材質としては、特に制限はなく、一般にリチウム系電池に提案されている種々の材質を用いることができ、例えば、正極集電体の材質としては、アルミニウム、ステンレス鋼などが挙げられ、負極集電体の材質としては、ステンレス鋼、銅、ニッケルなどが挙げられる。
また、セル内に配置されたリチウムイオン供給源との電気化学的接触によりドープする場合のリチウムイオン供給源としては、少なくともリチウム元素を含有し、リチウムイオンを供給することのできる物質であれば特に制限はなく、例えば、金属リチウム、リチウム−アルミニウム合金などが挙げられる。
負極活物質としては、例えば、グラファイト、ハードカーボン、コークスなどの炭素材料、ポリアセン系物質(以下、PASともいう)等が好適に挙げられる。
これらの炭素材料及びPASは、フェノール樹脂等を炭化し、必要に応じて賦活し、次いで粉砕したものが用いられる。炭化工程は、フェノール樹脂等を加熱炉等に収容し、フェノール樹脂等が炭化する温度で所要時間加熱することによって行われる。その際の温度は加熱時間等によって異なるが、通常、PASの場合は、加熱時間が1〜3時間程度では、500〜1,000℃に設定される。粉砕工程は、ボールミル等の既知の粉砕機を用いて行われる。
上述した負極活物質の例においても、PASが、高容量が得られる点でより好ましい。PASは、アモルファス構造を有し、ドープするリチウムイオン量を増加させるほど電位が低下するので、得られるキャパシタの耐電圧(充電電圧)が高くなり、放電における電圧の上昇速度(放電カーブの傾き)が低くなる。このため、容量が若干大きくなる。以上のことより、リチウムイオン量は、求められるキャパシタの使用電圧に応じ、活物質のリチウムイオンドープ能力の範囲内にて設定することが好ましい。
また、PASは、アモルファス構造を有することから、リチウムイオンのドープ及び脱ドープに対して膨潤又は収縮するような構造変化がない。すなわち、PASは、リチウムイオンのドープ及び脱ドープに対して等方的な分子構造(高次構造)であり、サイクル特性に優れ、かつ急速充電、急速放電にも優れている。
PASの前駆体である芳香族系縮合ポリマーは、芳香族炭化水素化合物とアルデヒド類との縮合物である。
芳香族炭化水素化合物としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノールなどのいわゆるフェノール類が好適に挙げられる。また、ヒドロキシビフェニル類、ヒドロキシナフタレン類、下記構造式で表されるメチレンビスフェノール類なども挙げられる。これらの中でも、フェノール類が好ましい。
Figure 2008251706
ただし、構造式中、x及びyはそれぞれ独立に、0、1又は2の整数を表す。
芳香族系縮合ポリマーとしては、芳香族炭化水素化合物のうち、フェノール性水酸基を有するものの一部を、例えば、キシレン、トルエン、アニリン等のフェノール性水酸基を有さない芳香族炭化水素化合物で置換した変性芳香族系縮合ポリマーが挙げられる。
変性芳香族系縮合ポリマーとしては、例えば、フェノールとキシレンとホルムアルデヒドとの縮合物が挙げられる。
また、メラミン又は尿素で置換した変性芳香族系ポリマーも挙げられ、具体的にはフラン樹脂が好適に挙げられる。
上述のPASは次のようにして製造される。すなわち、芳香族系縮合ポリマーを、非酸化性雰囲気(真空も含む)中で400〜800°Cの適当な温度まで徐々に加熱することにより、不溶かつ不融性基体とする。
不溶かつ不融性基体の水素原子/炭素原子の原子数比(以下H/Cという)は、通常0.05以上0.5以下であり、0.10以上0.35以下が好ましい。
一般的にリチウムイオン二次電池においては、負極活物質は微粉化すると比表面積が大きくなり、初期の充放電効率が低下しセル容量が低下することが知られている。したがって、粒径としては20μm前後が主流となっている。一方、本発明のリチウムイオンキャパシタは、負極、あるいは正極、あるいは負極及び正極に予めリチウムイオンがドープされるので、初期の充放電効率によりセル容量が変化することはないので、微粉化された負極活物質を用いる上で好適な蓄電装置である。
負極は、負極活物質粉末から形成されるが、その形成手段としては特に制限はなく、公知の手段を適宜選択して用いることができ、例えば、負極活物質粉末、バインダー、必要に応じて導電材及びCMC(カルボキシメチルセルロース)などの増粘剤を水又は有機溶媒中に分散させてスラリーとし、スラリーを上述の集電体に塗布する手段、スラリーを予めシート状に成形し、これを集電体に貼り付ける手段などが挙げられる。
バインダーとしては、例えば、SBR(スチレンブタジエンゴム)などのゴム系バインダー、ポリ四フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデンなどの含フッ素系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの熱可塑性樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられる。
バインダーの添加量は、負極活物質の電気伝導度、電極形状等により異なるが、負極活物質に対して2重量%以上40重量%以下の割合が好ましい。
導電性粉末としては、例えば、アセチレンブラック粉体、グラファイト粉体、金属粉末等が挙げられる。導電性粉末の添加量は、負極活物質の電気伝導度、電極形状等により異なるが、負極活物質に対して2重量%以上40%重量%以下の割合が好ましい。
上述の正極活物質としては、リチウムイオンと、例えばテトラフルオロボレートなどのアニオンとを可逆的にドープできるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、活性炭、導電性高分子、ポリアセン系物質などが挙げられる。
正極は、正極活物質から形成されるが、その形成手段としては負極の場合と同様に特に制限はなく、例えば、上述の負極の形成手段として例示したのと同様な手段などが挙げられる。
〔セル構造〕
本発明のリチウムイオンキャパシタは、特に、帯状の正極と負極とをセパレータを介して捲回させる円筒型セル、あるいは板状の正極と負極とをセパレータを介して各3層以上積層した角型セル、あるいは板状の正極と負極とをセパレータを介して各3層以上積層し、さらに外装フィルム内に封入したフィルム型セルなどの大容量セルに好適に使用することができる。
図1に示すリチウムイオンキャパシタ10は、角型セルを使用した積層型の例である。
リチウムイオンキャパシタ10は、セパレータ11を介して負極12と正極13とが、複数交互に積層されている。このようにして負極12と正極13が積層された積層構成の負極12の上部には、セパレータ11を介してリチウム極14が設けられ、リチウム極14の上にさらにセパレータ11が設けられた構成となっている。
負極12は、負極集電体12aと、負極集電体12a面に設けられた負極活物質層12bとから構成されている。負極活物質層12bは、負極活物質のスラリーを負極集電体12a面に塗布したものである。図1に示すように、負極12が複数設けられている構成では、それぞれの負極集電体12aが導線15により並列接続されている。
負極12と同様に、正極13も、正極集電体13aと、正極集電体13a面に設けられた正極活物質層13bとから構成されている。正極活物質層13bも、正極活物質のスラリーを正極集電体13a面に塗布により形成されている。また、正極13も、複数設けられている構成では、それぞれの正極集電体13aが導線15で並列接続されている。
リチウム極14は、リチウム極集電体14a面にリチウムイオン供給源として金属リチウム14bが設けられている。リチウム極集電体14aは、図1に示すように、負極集電体12aと導線15で並列接続されている。
図2に示すリチウムイオンキャパシタ20は、フィルム型セルを使用した例である。
リチウムイオンキャパシタ20は、セパレータ21を介して負極22と正極23とが、複数交互に積層されている。負極22と正極23とが積層された積層構成の上部には、セパレータ21を介してリチウム極24が設けられ、リチウム極24の上にさらにセパレータ21が設けられた構成となっている。
負極22は、負極集電体22aと、負極集電体22a上に設けられた負極活物質層22bとから構成されている。負極活物質層22bは、負極活物質のスラリーを負極集電体22a面に塗布したものである。図2に示すような複数の負極集電体22aは、それぞれ端子接続部を有し、この端子接続部が一つにまとめられて負極端子22cに接続されている。
負極22と同様に、正極23も、正極集電体23aと、正極集電体23a面に設けられた正極活物質層23bとから構成されている。正極活物質層23bも、正極活物質のスラリーを正極集電体23a面に塗布により形成されている。また、複数の正極集電体23aも、それぞれ端子接続部を有し、この端子接続部が一つにまとめられて正極端子23cに接続されている。
リチウム極24は、リチウム極集電体24a面にリチウムイオン供給源としての金属リチウム24bが設けられている。リチウム極集電体24aは、負極集電体22aの端子接続部と一つにまとめられて負極端子22cに接続されている。
このように、負極22、正極23及びリチウム極24を上記のように積層した積層体は、深絞り状に構成したラミネートフィルム25内に格納されている。この積層体を格納したラミネートフィルム25の上端側は、平らなラミネートフィルム26で封止されている。ただし、負極端子22c及び正極端子23cは、ラミネートフィルム25、26の封止部から外部に出された構成となっている。なお、図2では、ラミネートフィルム25、26は破線で表示した。
セル構造としては、例えば、国際公開WO2000/07255号公報、国際公開WO2003/003395号公報、特開2004−266091号公報などにより公知であり、本発明の前記リチウムイオンキャパシタにおけるセルも、これら既存のセルと同様な構成とすることができる。
次に、上記説明の構成のリチウムイオンキャパシタについて、実施例を用いてより具体的に、本発明の構成により得られる効果等を説明する。勿論、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<負極の製造>
厚さ0.5mmのフェノール樹脂成形板をシリコニット電気炉中に入れ、窒素雰囲気下で50℃/時間の速度で550℃まで昇温した後、さらに10℃/時間の速度で670℃まで昇温して熱処理し、PASを合成した。このようにして得られたPAS板をボールミルで粉砕することにより平均粒子径(レーザー回折式粒度分布測定装置(日機装社製マイクロトラック)にて測定した50%体積累積径)が約1μmのPAS粉体を得た。
次に、前記PAS粉体92重量部、アセチレンブラック粉体6重量部、ゴム系バインダー5重量部、カルボキシメチルセルロース3重量部及び水200重量部よりなる組成にて充分混合することにより負極用のスラリーを作製した。
この負極用のスラリーを、厚さ32μm(気孔率57%)の銅製エキスパンドメタル(日本金属工業株式会社製)からなる負極集電体の両面にロールコーターにてコーティングして負極電極層を成形した。真空乾燥後、全体の厚さ(両面の負極電極層厚さと負極集電体厚さとの合計)が79μmの負極を得た。
<正極の製造>
比表面積2000m/gの市販活性炭粉末92重量部、アセチレンブラック粉体6重量部、アクリル系バインダー7重量部、カルボキシメチルセルロース4重量部及び水200重量部からなる組成にて充分混合することにより正極用のスラリーを作製した。
この正極用のスラリーを、厚さ38μm(気孔率47%)のアルミニウム製エキスパンドメタル(日本金属工業株式会社製)の両面に、非水系のカーボン系導電塗料をロールコーターにてコーティングし、乾燥させて導電層が形成された正極集電体を得た。全体の厚み(集電体厚みと導電層厚みとの合計)は52μmであり、貫通孔はほぼ導電塗料により閉塞された。
この正極用のスラリーを、ロールコーターにて前記正極集電体の両面にコーティングして正極電極層を成形した。真空乾燥後、正極全体の厚さ(両面の正極電極層厚さと両面の導電層厚さと正極集電体厚さとの合計)が182μmの正極を得た。
<負極の単位重量当たりの静電容量測定>
前記負極を1.5cm×2.0cmサイズに切り出し、評価用負極とした。この負極に、対極として1.5cm×2.0cmサイズ、厚さ200μmの金属リチウムを、厚さ50μmのポリエチレン製不織布をセパレータとして介し、組み合わせて模擬セルを組んだ。参照極としては、金属リチウムを用いた。電解液としては、プロピレンカーボネートに、1.2モル/lの濃度にLiPFを溶解した溶液を用いた。
充電電流1mAにて負極活物質重量に対して850mAh/g分のリチウムイオンを充電し、その後1mAにて1.5Vまで放電を行った。放電開始1分後の負極の電位から0.2V電位変化する間の放電時間より、負極の単位重量当たりの静電容量を求めたところ950F/gであった。
<正極の単位重量当たりの静電容量測定>
前記正極を1.5cm×2.0cmサイズに切り出し、評価用正極とした。この正極に、対極として1.5cm×2.0cmサイズ、厚さ200μmの金属リチウムを、厚さ50μmのポリエチレン製不織布をセパレータとして介し、組み合わせて模擬セルを組んだ。参照極としては、金属リチウムを用いた。電解液としては、プロピレンカーボネートに、1.2モル/lの濃度にLiPFを溶解した溶液を用いた。
充電電流1mAにて3.6Vまで充電し、その後定電圧充電を行い、総充電時間1時間の後、1mAにて2.5Vまで放電を行った。3.6V〜2.5V間の放電時間より正極の単位重量当たりの静電容量を求めたところ140F/gであった。
<フィルム型キャパシタセルの作製>
正極を2.4cm×3.8cmに5枚カットし、負極を2.6cm×3.9cmに6枚カットし、カットされた正極と負極とを、セパレータを介して積層し、150℃で12時間乾燥した後、最上部と最下部とにセパレータを配置させて4辺をテープ留めし、電極積層ユニットを作製した。
負極活物質重量に対してドープ量が850mAh/gになるような金属リチウムを、厚さ23μmの銅ラスに圧着したものを、負極と対向するように前記電極積層ユニットの最外部に1枚配置した。負極(6枚)とリチウム金属箔を圧着した銅ラスとは、それぞれ溶接して接触させた。
このように作製した前記電極積層ユニットでは、正極集電体の端子溶接部(5枚)に、予めシール部分にシーラントフィルムを熱融着した巾3mm、長さ50mm、厚さ0.1mmのアルミニウム製正極端子を重ねて超音波溶接した。同様に、負極集電体の端子溶接部(6枚)に、予めシール部分にシーラントフィルムを熱融着した巾3mm、長さ50mm、厚さ0.1mmのニッケル製負極端子を重ねて超音波溶接し、縦60mm、横30mm、深さ3mmに深絞りした外装フィルム1枚と深絞りしていない外装フィルム1枚との間に設置した。
このようにして、外装ラミネートフィルムの端子部1辺と他の2辺とを熱融着した。その後、電解液として、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート及びプロピレンカーボネートを体積比で3:4:1とした混合溶媒に、1.2モル/lの濃度にLiPF6を溶解し、さらにフッ素系非イオン性界面活性剤として、下記構造式(式中、nは7)
Figure 2008251706
で表されるネオス社製のフタージェントFT−251(以下、単にFT−251という)を、0.2重量%となるように加え、電解液としての非プロトン性有機溶媒溶液を真空含浸させた。
その後、残り1辺を減圧下にて熱融着し、真空封止を行うことにより、フィルム型キャパシタセルを組立てた。前記フィルム型キャパシタセルは、3セル組立てた。なお、正極活物質重量は、負極活物質重量よりも大きいことが確認された。
(実施例2)
実施例1において、電解液としての非プロトン性有機溶媒溶液を、プロピレンカーボネートに、1.2モル/lの濃度にLiPF6を溶解し、さらにフッ素系非イオン性界面活性剤として、FT−251を0.2重量%となるように加えた溶液に代えた以外は同様にして、フィルム型キャパシタセルを作製した。
(実施例3)
実施例1において、電解液としての非プロトン性有機溶媒溶液を、エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートを体積比で1:4とした混合溶媒に、1.2モル/lの濃度にLiPF6を溶解し、さらにフッ素系非イオン性界面活性剤として、FT−251を0.2重量%となるように加えた溶液に代えた以外は同様にして、フィルム型キャパシタセルを作製した。
(実施例4)
実施例1において、FT−251を0.05重量%となるように加えた以外は同様にして、フィルム型キャパシタセルを作製した。
(実施例5)
実施例1において、FT−251を0.6重量%となるように加えた以外は同様にして、フィルム型キャパシタセルを作製した。
(実施例6)
実施例1において、FT−251を0.9重量%となるように加えた以外は同様にして、フィルム型キャパシタセルを作製した。
(実施例7)
実施例1において、FT−251を0.2重量%となるように加えるとともに、シリコーンオイル(信越化学社製KF96)を0.2重量%となるように加えた以外は同様にして、フィルム型キャパシタセルを作製した。
(比較例1)
実施例1において、FT−251を添加しなかった以外は同様にして、フィルム型キャパシタセルを作製した。
(比較例2)
実施例2において、FT−251を添加しなかった以外は同様にして、フィルム型キャパシタセルを作製した。
(比較例3)
実施例3において、FT−251を添加しなかった以外は同様にして、フィルム型キャパシタセルを作製した。
<セルの特性評価>
セル組み立て後室温(20℃)にて14日間放置して、その後に各1セルずつ分解したところ、金属リチウムはいずれも完全に無くなっていた。このことから、負極活物質の単位重量当たりに950F/gの静電容量を得るためのリチウムイオンが、予め充電により確実にドープされたと判断した。
その後、各1セルずつ、正極と負極とを短絡させて正極の電位を測定したところ、いずれの正極電位も0.85V以上1.0V以下の範囲であり、2.0V以下であることが確かめられた。
残ったフィルム型キャパシタの各セルを、200mAの定電流でセル電圧が3.8Vになるまで充電し、その後3.8Vの定電圧を印加する定電流−定電圧充電を30分行った。次いで、200mAの定電流で、セル電圧が2.2Vになるまで放電した。この3.8V−2.2Vサイクルのデータから直流抵抗、静電容量及びエネルギー密度を算出した。結果を表1に示す。
その後、−30℃の恒温槽に3時間放置した後、同様の充放電サイクルを行い、直流抵抗、静電容量及びエネルギー密度を算出した。結果を表2に示す。
Figure 2008251706
Figure 2008251706
表1及び表2中、ECはエチレンカーボネート、DECはジエチルカーボネート、PCはプロピレンカーボネートの略である。また、実施例7はシリコーンオイル(信越化学社製KF96)0.2重量%を添加している。
表1の室温における評価では、直流抵抗、静電容量及びエネルギー密度は、FT−251を添加した実施例1〜5のキャパシタセルと、これを添加しない比較例1〜4のキャパシタセルとで、略同様の値を示している。しかし、表2の−30℃における評価では、実施例は、比較例よりも、直流抵抗が低く、かつ静電容量も大きく、低温特性に優れることがわかる。
具体的には−30℃において、実施例1は、比較例1よりも直流抵抗が約11%低く、静電容量が約17%大きい。実施例2は、比較例2よりも直流抵抗が20%低く、静電容量が約23%大きい。実施例3は、比較例3よりも直流抵抗が約21%低く、静電容量が約23%大きい。
また、実施例1のキャパシタセルでは、シリコーンオイルを添加したことのみが異なる実施例7よりも静電容量が約17%大きいことから、低温特性がより優れることがわかった。これは、実施例7では、シリコーンオイルを添加することにより、正極側で何らかの副反応が起こっていると考えられる。
さらに、実施例1のキャパシタセルでは、非イオン性界面活性剤の添加量を0.1重量%以上0.5重量%以下の範囲から外したことのみが異なる、実施例4〜6よりも静電容量が約2〜17%大きいことから、低温特性がさらに優れることがわかった。
特に、非プロトン性有機溶媒が環状カーボネートのみよりなる実施例2及び実施例3のキャパシタセルは、実施例1のキャパシタセルに比し、直流抵抗が約14〜19%小さく、かつ静電容量が約37〜45%大きいことから、低温特性が極めて優れることがわかった。
なお、実施例1において、前記フッ素系非イオン性界面活性剤として、構造式中のnを3〜20の範囲で変更した界面活性剤を用いた場合であっても、略同様の結果が得られた。
上記効果は、その詳細は不明であるが、現在のところ電極の濡れ性が、上述の界面活性剤を添加することで向上するためと推定している。
以上、本発明者によってなされた発明を、実施の形態及び実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態及び実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
本発明は、リチウムイオンキャパシタの分野で有効に利用することができる。
本発明に係るリチウムイオンキャパシタの角型セルを使用した積層型の要部構成を示す概念図である。 本発明に係るリチウムイオンキャパシタのフィルム型セルを使用した要部構成を示す概念図である。
符号の説明
10 リチウムイオンキャパシタ
11 セパレータ
12 負極
12a 負極集電体
12b 負極活物質層
13 正極
13a 正極集電体
13b 正極活物質層
14 リチウム極
14a リチウム極集電体
14b リチウムイオン供給源(金属リチウム)
15 導線
20 フィルム型リチウムイオンキャパシタ
21 セパレータ
22 負極
22a 負極集電体
22b 負極活物質層
22c 負極端子
23 正極
23a 正極集電体
23b 正極活物質層
23c 正極端子
24 リチウム極
24a リチウム極集電体
24b リチウムイオン供給源(金属リチウム)
25 ラミネートフィルム
26 ラミネートフィルム

Claims (9)

  1. 正極と、負極と、電解液としてリチウム塩の非プロトン性有機溶媒溶液とを有し、
    正極活物質がリチウムイオン、あるいはアニオン、あるいはリチウムイオン及びアニオンを、可逆的にドープ及び脱ドープ可能な物質であり、負極活物質がリチウムイオンを可逆的にドープ及び脱ドープ可能な物質であり、
    前記正極と前記負極を短絡させた場合の正極電位が2.0V(Li/Li)以下となるように、前記負極、あるいは前記正極、あるいは前記負極及び前記正極にリチウムイオンが予めドープされ、
    前記非プロトン性有機溶媒溶液が非イオン性界面活性剤を含むことを特徴とするリチウムイオンキャパシタ。
  2. 請求項1に記載のリチウムイオンキャパシタにおいて、
    前記非イオン性界面活性剤が下記構造式(式中、nは3〜20以下の整数)
    Figure 2008251706
    で表されることを特徴とするリチウムイオンキャパシタ。
  3. 請求項1または2に記載のリチウムイオンキャパシタにおいて、
    前記非イオン性界面活性剤の含有量が0.001重量%以上1重量%以下であることを特徴とするリチウムイオンキャパシタ。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウムイオンキャパシタにおいて、
    前記非プロトン性有機溶媒溶液がシリコーンオイルを含まないことを特徴とするリチウムイオンキャパシタ。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のリチウムイオンキャパシタにおいて、
    非プロトン性有機溶媒が環状カーボネートのみからなることを特徴とするリチウムイオンキャパシタ。
  6. 請求項5に記載のリチウムイオンキャパシタにおいて、
    前記環状カーボネートがプロピレンカーボネートであることを特徴とするリチウムイオンキャパシタ。
  7. 請求項6に記載のリチウムイオンキャパシタにおいて、
    前記環状カーボネートが、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとの混合物であることを特徴とするリチウムイオンキャパシタ。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のリチウムイオンキャパシタにおいて、
    前記負極及び前記正極に、それぞれ表裏面を貫通する孔が形成された集電体を備え、前記負極及び前記正極に対向して配置されたリチウムイオン供給源との電気化学的接触により、リチウムイオンが予めドープされていることを特徴とするリチウムイオンキャパシタ。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のリチウムイオンキャパシタにおいて、
    負極活物質は、正極活物質に比べて、単位重量あたりの静電容量が3倍以上を有し、かつ正極活物質重量が負極活物質重量よりも大きいことを特徴とするリチウムイオンキャパシタ。
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