本発明は、電気回路、アンテナ回路、電磁波シールド材、タッチパネル等の用途に用いることができる導電性材料を製造する為に用いる導電性材料前駆体及び、これを用いた導電性材料に関するものである。
近年、電子機器の小型化が強く求められる中、プリント基板を始めとする電気回路は益々高密度化、高精細化が求められてきている。
電気回路を製造する方法としては例えば、1)銅、金、ITO、酸化スズなどの導電性材料で被覆された絶縁性基板に、2)感光性樹脂などのフォトレジスト剤を塗りつけ、3)所望のパターンのマスクをかけて紫外線などを照射して、4)フォトレジスト剤を硬化させ、5)未硬化部分を取り除いた後、6)化学エッチングなどによって不要な銅箔部分を除去し電気回路を形成する方法(サブトラクティブ法)が知られている。この方法では工程が煩雑で、かつ高精細な画線を描くことは金属のエッチング工程を有している為困難であった。
高精細な画線を描く方法としては、1)絶縁性基板に無電解めっき触媒を付与し、2)フォトレジスト剤を塗布し、露光及び現像し、3)無電解めっきを施し、導電パターンを形成し、4)めっきレジストを除去する方法(フルアディティブ法)、あるいは、1)絶縁性基板に無電解めっき触媒を付与し、無電解めっきを施し、2)フォトレジスト剤を塗布し、露光及び現像し、3)電解めっきを施し、導電パターンを形成し、4)めっきレジスト等を剥離にする方法(セミアディティブ法)なども知られている。しかしこれらの方法も工程が煩雑で、サブトラクティブ法もそうであるが使用したフォトレジスト剤全てを最終的に廃棄せざるを得ないという問題も有していた。
簡易な工程で電気回路を製造する方法としては金属ペーストを基板上にスクリーン印刷法やインクジェット印刷法等で印刷し、焼結等させることで電気回路を形成する方法が知られている。しかしながら、スクリーン印刷法やインクジェット印刷法では50μm以下の高精細な画線を描くことは困難であった。更にスクリーン印刷の場合、高精細な画線を連続して描こうとした場合、高精細な紗を使用しなければならないが、逆にその紗が詰まりやすいという問題を有している。インクジェット法の場合は特に電気回路を製造する場合だけでなく、民生用のインクジェットプリンタを含め、固形分を含有するインク組成物を印刷する場合には常にインクジェットノズルが詰まるという問題を有している。従って、印刷法を用いて電気回路を製造する場合には、その安定性に問題を有していた。
均一で高精細なパターンを簡易に、かつ安定に作ると言う観点において、近年導電性材料前駆体としてハロゲン化銀乳剤層を有する銀塩写真感光材料を使用する方法が提案されている。例えば国際公開第01/51276号パンフレット、特開2004−221564号公報では銀塩写真感光材料を、1)像露光、現像処理した後、2)金属めっき処理を施すことで導電性材料を製造する方法の提案がなされている。同じく銀塩感光材料を使う方法として銀塩拡散転写法を用いる方法も提案されており、例えば特開2003−77350号公報(特許文献1)などがある。これらの方法で得られた導電性材料は銀塩写真法を用いているため、高精細な画線を描くことは容易であり、安定性も高く、工程も簡易で、非常に良好な特性を示す。
この様な導電性材料は他の導電性材料や、プラスティックなどの基板上へ接着剤を用いて貼り合わせられたり、あるいは傷等による断線の防止を行う為、ハードコート剤を塗布されて用いられる場合がある。前述の銀塩写真感光材料を像露光、現像処理した後、金属めっき処理を施して製造される導電性材料では、ゼラチンを始めとする水溶性高分子が得られた導電性材料の表面に残っている場合がある。この為、この方法で得られた導電性材料の表面は極性の低い物質との親和性が非常に低く、例えば前述のハードコート剤との密着が非常に弱いなど、特に極性の低い物質との接着性が弱いという問題が存在していた。前述の銀塩拡散転写法を用いて製造される導電性材料では、その導電性材料前駆体を構成するハロゲン化銀乳剤層などの水溶性高分子を含有する親水性コロイド層は現像時に除去されるので、銀塩拡散転写法を利用しない導電性材料前駆体に比べ、前述の接着の問題は軽微になる。
しかしながら、銀塩拡散転写法を用いて製造される導電性材料では得られた金属パターンはほとんどバインダーとなる物質を有さないため、逆に導電性を有する金属パターンと支持体、もしくは支持体の上に塗布された下引き層との接着が弱くなる傾向があった。特に得られた金属パターンにめっきを施す際に厚くめっきした場合、めっき条件によってはめっきによる応力のため金属パターンが剥がれる場合もあり、めっき条件の調整が困難であるという問題を有していた。この問題を緩和するため、前述の特開2003−77350号公報のように物理現像核層にゼラチンを入れ、物理現像核層中で生成された金属パターンがバインダーを介して、下引き層などと接着させようすると、逆に金属パターンの導電性が悪くなるという問題を有している。従って、種々の利点を有する銀塩拡散転写法を用いて製造される導電性材料においては、極性の低い物質との接着性、生成された金属パターンと支持体あるいは下引き層との密着性と、さらには生成された金属パターンの導電性の3つの点を同時に解決する方法が望まれている。
一方、銀塩拡散転写法を用いた導電性材料の優れた導電性は、金属銀粒子の密度の高い銀膜が形成されることにより得られる。一般に密度の高い銀膜は、鏡のような光沢と色調を有する。透明支持体を用いて銀塩拡散転写法により透明導電性材料を製造し、ディスプレイ用フィルターに用いる場合、このような鏡のような光沢があると、室内灯や外光により、映像が見にくかったり、映像の色再現に悪影響を及ぼすという問題がある。
この問題を解決する手段として、例えば金属パターンを酸化するといった黒化処理が用いられる。しかし透明支持体をはさんで、金属パターンを有する反対側の面側から見た面の金属パターンは支持体に密着しているために黒化することはできない。この場合、金属パターンを有する面を外側(人が見る側)に設置しなければならないというディスプレイの製造上の制約が生じる。従って、金属パターンを有さない面(裏面)から見た金属パターンの色が黒く、ディスプレイの製造上の制約が生じない導電性材料を得るための透明導電性材料前駆体が求められていた。
特開2003−77350号公報(第1頁)
従って、本発明の目的は、優れた導電性を有し、めっきを施す際にも金属パターンが剥がれることなく十分な接着性を有し、かつ各種接着剤と密着力の強い導電性材料を得るための導電性材料前駆体を提供することにある。更には裏面から見た金属パターンの色が黒く、そのためディスプレイ等に用いても映像が見やすく、色再現性が良好である導電性材料及びそれを得るための導電性材料前駆体を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の発明によって達成された。
1)支持体上に、少なくとも物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層をこの順に有する導電性材料前駆体において、前記物理現像核層に接し、かつ前記物理現像核層よりも支持体側に設けられる下引き層が、該下引き層の全固形分量に対して60質量%以上のポリマーラテックスを含有し、かつ1級若しくは2級アミノ基を有する水溶性高分子を含有することを特徴とする導電性材料前駆体。
2)前記ポリマーラテックスがポリカーボネート系ウレタンラテックスもしくはポリエーテル系ウレタンラテックスであることを特徴とする上記1)記載の導電性材料前駆体。
3)前記下引き層の塗設量が0.1〜0.8g/m2であることを特徴とする上記1)または2)に記載の導電性材料前駆体。
4)前記支持体が透明支持体であることを特徴とする上記1)〜3)のいずれかに記載の導電性材料前駆体。
5)上記1)〜4)のいずれかに記載の導電性材料前駆体を用いて製造された導電性材料。
本発明により優れた導電性を有し、めっきを施す際にも金属パターンが剥がれることなく十分な接着性を有し、かつ各種接着剤と密着力の強い導電性材料を得るための導電性材料前駆体を提供することができる。また、裏面から見た金属パターンの色が黒く、そのためディスプレイ等に用いても映像が見やすく、色再現性が良好である導電性材料及びそれを得るための導電性材料前駆体を提供することができる。
銀塩拡散転写法を利用して製造された導電性材料では導電性を有する金属パターンの密着力、その導電性、めっきのし易さ、密着面の色調なども下引き層の性質に強く依存している。従って導電性材料前駆体の下引き層を最適化することが高い性能の導電性材料を得るためには非常に重要であり、その最適化の方法を鋭意検討した結果本発明に至った。以下にその詳細を記述する。
本発明の導電性材料前駆体は支持体上に物理現像核層、ハロゲン化銀乳剤層をこの順に有する。さらに本発明において物理現像核層に接し、かつ前記物理現像核層よりも支持体側に設けられる層を下引き層と呼び、本発明の導電性材料前駆体は少なくとも1層の下引き層を有する。また、本発明の導電性材料前駆体は必要に応じて支持体から見てハロゲン化銀乳剤層と反対側に裏塗り層を設けることも可能であり、またハロゲン化銀乳剤層と物理現像核層の間やハロゲン化銀乳剤層の上の層に非感光性層を設けることができる。
本発明の導電性材料前駆体において、下引き層は1層もしくは複数層有することができる。本発明において物理現像核層に接する下引き層は下引き層の全固形分量に対して60質量%以上のポリマーラテックスを含有し、かつ1級若しくは2級アミノ基を有する水溶性高分子を含有する。
本発明の導電性材料前駆体において物理現像核層に接する下引き層に用いられる1級若しくは2級アミノ基を有する水溶性高分子としては、これらの基を有していれば何れでも使用可能である。このような1級アミノ基もしくは2級アミノ基を有する水溶性高分子としては下記のような水溶性高分子が挙げられる。ゼラチン、アルブミン、カゼイン、ポリリジン等のタンパク質、ヒアルロン酸などムコ多糖類、「高分子の化学反応」(大河原 信著 1972、化学同人社)2.6.4章記載のアミノ化セルロース、ポリエチレンイミン、アミノ基およびエチレン性不飽和二重結合を有するモノマーを単独で重合して成るホモポリマー、アミノ基およびエチレン性不飽和二重結合を有する複数種のモノマーを共重合して成るコポリマー、例えば酢酸ビニル、ビニルピロリドンなどの1級もしくは2級アミノ基を有さない他のモノマーと、アミノ基およびエチレン性不飽和二重結合を有するモノマーとを共重合して成るコポリマー等が挙げられる。ホモポリマーとしては例えばポリビニルアミン、ポリアリルアミン、ポリジアリルアミンなど、アミノ基とエチレン性不飽和の二重結合とを有する複数種のモノマーを共重合してなるコポリマーとしては例えばアリルアミンとジアリルアミンの共重合体など、アミノ基およびエチレン性不飽和二重結合を有さないモノマーと、アミノ基およびエチレン性不飽和の二重結合を有するモノマーとを共重合して成るコポリマーとしては例えばジアリルアミンと無水マレイン酸との共重合体、ジアリルアミンと二酸化硫黄との共重合体などが挙げられる。なお、本発明において1級もしくは2級アミノ基を有さない他のモノマーと、アミノ基およびエチレン性不飽和二重結合を有するモノマーとを共重合して成るコポリマーを用いる場合、アミノ基およびエチレン性不飽和二重結合を有するモノマーの比率は少なくとも2%以上、好ましくは10%以上有するコポリマーを用いる。本発明の導電性材料前駆体の下引き層に好ましく用いられる水溶性高分子としてはゼラチン、ポリエチレンイミンが挙げられる。本発明の導電性材料前駆体の下引き層に含有される1級もしくは2級アミノ基を有する水溶性高分子は単一種類のものでも良く、また複数種類を混合させて用いても良い。また公知の1級もしくは2級アミノ基を有さない水溶性高分子、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸などを、1級もしくは2級アミノ基を有する水溶性高分子と併用して用いることができるが、その含有量は1級もしくは2級アミノ基を有する水溶性高分子の30質量%以下、好ましくは20質量%以下である。
本発明の導電性材料前駆体の物理現像核層に接する下引き層に用いられるポリマーラテックスとしては、単独重合体や共重合体など各種公知のラテックスを用いることができる、単独重合体としては例えば酢酸ビニル、塩化ビニル、スチレン、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、メタクリロニトリル、ブタジエン、イソプレン重合体などがあり、共重合体としては例えばエチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・p−メトキシスチレン共重合体、スチレン・酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル・塩化ビニル共重合体、酢酸ビニル・マレイン酸ジエチル共重合体、メチルメタクリレート・アクリロニトリル共重合体、メチルメタクリレート・ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート・スチレン共重合体、メチルメタクリレート・酢酸ビニル共重合体、メチルメタクリレート・塩化ビニリデン共重合体、メチルアクリレート・アクリロニトリル共重合体、メチルアクリレート・ブタジエン共重合体、メチルアクリレート・スチレン共重合体、メチルアクリレート・酢酸ビニル共重合体、アクリル酸・ブチルアクリレート共重合体、メチルアクリレート・塩化ビニル共重合体、ブチルアクリレート・スチレン共重合体、ポリエーテル系ウレタン、ポリエステル系ウレタン、ポリカーボネート系ウレタンなどが挙げられる。中でもウレタンラテックス、さらにはポリカーボネート系ウレタンラテックスもしくはポリエーテル系ウレタンラテックスが高い導電性と下引き層と金属パターンの強い接着力を得られる点で好ましい。
ウレタンはポリオールとポリイソシアネートから合成され、それに用いるポリオールとしてポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオールなどが挙げられる。本発明においてポリエーテル系ウレタンとはポリオールとしてポリエーテルを用いたもの、ポリエステル系ウレタンとはポリオールとしてポリエステルを用いたもの、ポリカーボネート系ウレタンとはポリオールとしてポリカーボネートを用いたものを意味する。ポリカーボネートポリオールは、例えば炭酸エステルとジオールとを反応させることにより得ることができる。炭酸エステルの例としてはエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネートなどを挙げることができ、ジオールの例としては1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリカプロラクトンジオール、1,4−ブタンジオール、ビスフェノールAなどが挙げられる。また、ポリカーボネートジオールとジカルボン酸あるいはポリエステルとの反応で得られるポリエステルポリカーボネートであってもよい。
ポリエーテルポリオールとしては、脂肪族ポリエーテルポリオールおよび芳香族環含有ポリエーテルポリオールが挙げられる。脂肪族ポリエーテルポリオールとしては、脂肪族低分子量活性水素原子含有化合物(水酸基当量が30以上150未満の2価〜8価またはそれ以上の脂肪族多価アルコール、および活性水素原子含有基として1級もしくは2級アミノ基を含有する化合物)のアルキレンオキサイド(以下、AOと略記)付加物が使用できる。AOが付加される脂肪族多価アルコールには、直鎖もしくは分岐の脂肪族2価アルコール[(ジ)エチレングリコール、(ジ)プロピレングリコール、1,2−,1,3−,2,3−および1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオールおよび1,12−ドデカンジオールなど]および脂環式2価アルコール[環状基を有する低分子ジオール、たとえば、特公昭45−1474号公報記載のもの]、脂肪族3価アルコール[グリセリン、トリメチロールプロパン、トリアルカノールアミンなど]、および脂肪族4価以上のアルコール[ペンタエリスリトール、ジグリセリン、トリグリセリン、ジペンタエリスリトール、ソルビット、ソルビタン、ソルバイドなど]が挙げられる。AOが付加される1級もしくは2級アミノ基を含有する化合物としては、アルキル(炭素数1〜12)アミン、および(ポリ)アルキレンポリアミン(アルキレン基の炭素数2〜6、アルキレン基の数1〜4、ポリアミンの数2〜5)などが挙げられる。芳香族環含有ポリエーテルポリオールとしては芳香族低分子量活性水素原子含有化合物(水酸基当量が30以上150未満の2価〜8価またはそれ以上の、フェノール類および芳香族アミン)のAO付加物が使用できる。AOが付加されるフェノール類としては、ヒドロキノン、カテコール、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールFなど、芳香族アミンとしてはアニリンおよびフェニレンジアミンなどが挙げられる。AO付加物の製造に用いるAOとしては、炭素数2〜12またはそれ以上のAO、例えばエチレンオキサイド(以下、EOと略記)、プロピレンオキサイド(以下、POと略記)、1,2−、2,3−および1,3−ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン(THF)、α−オレフィンオキサイド、スチレンオキサイド、エピハロヒドリン(エピクロルヒドリン等)、およびこれらの2種以上の併用(ランダムおよび/またはブロック)が挙げられる。脂肪族ポリエーテルポリオールとしては、例えばポリオキシエチレンポリオール[ポリエチレングリコール(以下PEGと略記)など]、ポリオキシプロピレンポリオール[ポリプロピレングリコール(以下PPGと略記)など]、ポリオキシエチレン/プロピレンポリオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(以下、PTMGと略記)などが挙げられる。芳香族環含有ポリエーテルポリオールとしては、ビスフェノール骨格を有するポリオール、例えばビスフェノールAのEO付加物[ビスフェノールAのEO2モル付加物、ビスフェノールAのEO4モル付加物、ビスフェノールAのEO6モル付加物、ビスフェノールAのEO8モル付加物、ビスフェノールAのEO10モル付加物、ビスフェノールAのEO20モル付加物等]およびビスフェノールAのPO付加物[ビスフェノールAのPO2モル付加物、ビスフェノールAのPO3モル付加物、ビスフェノールAのPO5モル付加物等]、並びにレゾルシンのEOもしくはPO付加物などが挙げられる。
本発明の導電性材料前駆体の下引き層に好ましく用いられるポリカーボネート系ウレタンラテックスおよびポリエーテル系ウレタンラテックスの原材料たるポリイソシアネートとしては芳香族系ポリイソシアネート類と脂肪族・脂環族系ポリイソシアネート類が挙げられるが、本発明においてはヘキサメチレンジイソシアネートやイソホロンジイソシアネートなどの脂肪族・脂環族系ポリイソシアネート類を用いることが好ましい。
本発明の導電性材料前駆体の物理現像核層に接する下引き層に用いられるポリマーラテックスの平均粒子径は0.01〜0.3μmであることが好ましく、更に好ましくは0.02μm以上0.1μm未満である。またそのガラス転移温度は40℃以下であることが好ましい。これらポリマーラテックスは単独で、あるいは複数の種類のポリマーラテックスを混合させて用いても良いが、特に好ましいポリマーラテックスであるポリカーボネート系ウレタンとポリエーテル系ウレタンの割合は全ポリマーラテックスの固形分量の50質量%以上、好ましくは70質量%以上である。
また、本発明の導電性材料前駆体の物理現像核層に接する下引き層におけるポリマーラテックスの固形分含有量は下引き層の全固形分量に対して60%以上、好ましくは70〜97質量%である。また1級もしくは2級アミノ基を有する水溶性高分子はポリマーラテックスの1〜60質量%、好ましくは3〜30質量%含有させる。
本発明の導電性材料前駆体の物理現像核層に接する下引き層の塗設量としては0.1〜0.8g/m2が好ましく、更に好ましくは0.2〜0.7g/m2である。
また、本発明の導電性材料前駆体の物理現像核層に接する下引き層は架橋剤により架橋されている事が望ましい。特に好ましい架橋剤としては、水に対する溶解性が0.5%以上を示す架橋剤である。例えばクロム明ばんのような無機化合物、ホルムアルデヒド、グリオキザール、マレアルデヒド、グルタルアルデヒドのようなアルデヒド類、尿素やエチレン尿素等のN−メチロール化合物、ムコクロル酸、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサンの様なアルデヒド等価体、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン塩や、2,4−ジヒドロキシ−6−クロロ−トリアジン塩のような活性ハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホン、ジビニルケトンやN,N,N−トリアクリロイルヘキサヒドロトリアジン、活性な三員環であるエチレンイミノ基を二個以上有する化合物、エポキシ基を分子中に二個以上有する化合物類、例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテルやポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等、あるいはこれら以外に「高分子の化学反応」(大河原 信著 1972、化学同人社)の2.6.7章、5.2章、9.3章など記載の架橋剤等の公知の高分子架橋剤を含有させることもできる。中でもエポキシ基を分子中に二個以上有する水溶性架橋剤が好ましい。
本発明の導電性材料前駆体の物理現像核層に接する下引き層における架橋剤の添加量は物理現像核層に接する下引き層中のポリマーラテックスと水溶性高分子の合計量に対して1〜10質量%が好ましく、更に好ましくは3〜7質量%が好ましい。
本発明の導電性材料前駆体の物理現像核層に接する下引き層には必要に応じてResearch Disclosure Item 17643(1978年12月)および18716(1979年11月)、308119(1989年12月)に記載されているような公知の写真用添加剤を含有させることもできる。
本発明の導電性材料においては物理現像核層に接する下引き層と支持体との間にさらに別の下引き層を設けることも可能である。この下引き層としては、例えば特開2000−229396号公報に記載の公知の下引き層を用いることができる。
本発明の導電性材料前駆体において、物理現像核としては、重金属あるいはその硫化物からなる微粒子(粒子サイズは1〜数十nm程度)が用いられる。例えば、金、銀等のコロイド、パラジウム、亜鉛等の水溶性塩と硫化物を混合した金属流化物等が挙げられる。これらの物理現像核の微粒子層は、コーティング法または浸漬処理法によって、前記下引き層を形成させた支持体上に設けることができる。生産効率の面からコーティング法が好ましく用いられる。物理現像核層における物理現像核の含有量は、固形分で1m2当たり0.1〜10mg程度が適当である。
本発明に用いる物理現像核層には、水溶性高分子を含有することもできる。水溶性高分子を用いる場合の添加量は、物理現像核に対して0〜500質量%程度が好ましい。水溶性高分子としては、ゼラチン、アラビアゴム、セルロース、アルブミン、カゼイン、アルギン酸ナトリウム、各種デンプン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、アクリルアミドとビニルイミダゾールの共重合体等を用いることができる。
本発明に用いる物理現像核層には、物理現像核層に含有する水溶性高分子の架橋剤を含有することが好ましい。該架橋剤としては、例えばクロム明ばんのような無機化合物、ホルムアルデヒド、グリオキザール、マレアルデヒド、グルタルアルデヒドのようなアルデヒド類、尿素やエチレン尿素等のN−メチロール化合物、ムコクロル酸、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサンの様なアルデヒド類、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン塩や、2,4−ジヒドロキシ−6−クロロ−トリアジン塩のような活性ハロゲンを有する化合物、ジビニルスルホン、ジビニルケトンやN,N,N−トリアクロイルヘキサヒドロトリアジン、活性な三員環であるエチレンイミノ基やエポキシ基を分子中に二個以上有する化合物類、高分子硬膜剤としてのジアルデヒド澱粉等の種々の化合物の一種もしくは二種以上を用いることができる。これらの架橋剤の中でも、好ましくは、グリオキザール、グルタルアルデヒド、3−メチルグルタルアルデヒド、サクシンアルデヒド、アジポアルデヒド等のジアルデヒド類であり、より好ましい架橋剤は、グルタルアルデヒドである。架橋剤は、物理現像核層に含まれる水溶性高分子に対して、0.1〜30質量%を物理現像核層に含有させるのが好ましく、特に1〜20質量%が好ましい。
物理現像核層や下引き層の塗布には、例えばディップコーティング、スライドコーティング、カーテンコーティング、バーコーティング、エアーナイフコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、スプレーコーティングなどの塗布方式で塗布することができる。
本発明の導電性材料前駆体においては光センサーとしてハロゲン化銀乳剤層が設けられる。ハロゲン化銀に関する銀塩写真フィルムや印画紙、印刷製版用フィルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等で用いられる技術は、そのまま用いることもできる。
ハロゲン化銀乳剤層に用いられるハロゲン化銀乳剤粒子の形成には、順混合、逆混合、同時混合等の、Research Disclosure Item 17643(1978年12月)および18716(1979年11月)、308119(1989年12月)で記載されていような公知の手法を用いることができる。なかでも同時混合法の1種で、粒子形成される液相中のpAgを一定に保ついわゆるコントロールドダブルジェット法を用いることが、粒径のそろったハロゲン化銀乳剤粒子が得られる点において好ましい。本発明の導電性材料前駆体においては、好ましいハロゲン化銀乳剤粒子の平均粒径は0.25μm以下、特に好ましくは0.05〜0.2μmである。本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤のハロゲン化物組成には好ましい範囲が存在し、塩化物を80モル%以上含有するのが好ましく、特に90モル%以上が塩化物であることが特に好ましい。
ハロゲン化銀乳剤の製造においては、必要に応じてハロゲン化銀粒子の形成あるいは物理熟成の過程において、亜硫酸塩、鉛塩、タリウム塩、あるいはロジウム塩もしくはその錯塩、イリジウム塩もしくはその錯塩などVIII族金属元素の塩、若しくはその錯塩を共存させても良い。また、種々の化学増感剤によって増感することができ、イオウ増感法、セレン増感法、貴金属増感法など当業界で一般的な方法を、単独、あるいは組み合わせて用いることができる。また本発明の導電性材料前駆体においてハロゲン化銀乳剤は必要に応じて色素増感することもできる
また、ハロゲン化銀乳剤層に含有するハロゲン化銀量とゼラチン量の比率は、ハロゲン化銀(銀換算)とゼラチンとの質量比(銀/ゼラチン)が1.2以上、より好ましくは1.5以上である。
ハロゲン化銀乳剤層には、さらに種々の目的のために、公知の写真用添加剤を用いることができる。これらは、Research Disclosure Item 17643(1978年12月)および18716(1979年11月)、308119(1989年12月)に記載、あるいは引用された文献に記載されている。
前述の通り、本発明の導電性材料前駆体にはハロゲン化銀乳剤層と物理現像核層の間やハロゲン化銀乳剤層の上の層に非感光性層を設けることができる。これらの非感光性層は、水溶性高分子を主たるバインダーとする層である。ここでいう水溶性高分子とは、現像液で容易に膨潤し、下層のハロゲン化銀乳剤層、物理現像核層まで現像液を容易に浸透させるものであれば任意のものが選択できる。
具体的には、ゼラチン、アルブミン、カゼイン、ポリビニルアルコール、等を用いることができる。特に好ましい水溶性高分子は、ゼラチン、アルブミン、カゼイン等のタンパク質である。本発明の効果を十分に得るためには、この非感光性層のバインダー量としては、ハロゲン化銀乳剤層の総バインダー量に対して20質量%〜100質量%の範囲が好ましく、特に30質量%〜80質量%が好ましい。
これら非感光性層には、必要に応じてResearch Disclosure Item 17643(1978年12月)および18716(1979年11月)、308119(1989年12月)に記載されているような公知の写真用添加剤を含有させることができる。また、処理後のハロゲン化銀乳剤層の剥離を妨げない限りにおいて、架橋剤により硬膜させることも可能である。
本発明の導電性材料前駆体にはハロゲン化銀乳剤層の感光波長域に吸収極大を有する非増感性染料又は顔料を、画質向上のためのハレーション、あるいはイラジエーション防止剤として用いることは好ましい。ハレーション防止剤としては、好ましくは上記した下引き層あるいは物理現像核層、あるいは物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層の間に必要に応じて設けられる中間層、または支持体を挟んで設けられる裏塗り層に含有させることができる。イラジエーション防止剤としては、ハロゲン化銀乳剤層に含有させるのがよい。添加量は、目的の効果が得られるのであれば広範囲に変化しうるが、たとえばハレーション防止剤として裏塗り層に含有させる場合、1平方メートル当たり、約20mg〜約1gの範囲が望ましく、好ましくは、極大吸収波長における吸光度として、0.5以上である。
本発明の導電性材料前駆体に用いられる支持体としては、例えばポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ジアセテート樹脂、トリアセテート樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリイミド樹脂、セロハン、セルロイド等のプラスチック樹脂フィルム、ガラス板などが挙げられる。さらに本発明の導電性材料前駆体においては下引き層の反対側に帯電防止層などを必要に応じて設けることもできる。
上記導電性材料前駆体を用い、導電性フィルムを作製するための方法は、例えば網目状パタンの銀薄膜の形成が挙げられる。この場合、ハロゲン化銀乳剤層は網目状パタンに露光されるが、露光方法として、網目状パタンの透過原稿とハロゲン化銀乳剤層を密着して露光する方法、あるいは各種レーザー光を用いて走査露光する方法等がある。上記したレーザー光で露光する方法においては、例えば400〜430nmに発振波長を有する青色半導体レーザー(バイオレットレーザーダイオードとも云う)を用いることができる。
網目状パターンのような任意の形状パターンの透過原稿と上記前駆体を密着して露光、あるいは、任意の形状パターンのデジタル画像を各種レーザー光の出力機で上記前駆体に走査露光した後、銀塩拡散転写現像液で処理することにより物理現像が起こり、未露光部のハロゲン化銀が溶解されて銀錯塩となり、物理現像核上で還元されて金属銀が析出して形状パターンの銀薄膜を得ることができる。一方、露光された部分はハロゲン化銀乳剤層中で化学現像されて黒化銀となる。現像後、不要になったハロゲン化銀乳剤層及び中間層、保護層は水洗除去されて、形状パターンの銀薄膜が表面に露出する。
現像処理後のハロゲン化銀乳剤層等の物理現像核層の上に設けられた層の除去方法は、水洗除去あるいは剥離紙等に転写剥離する方法がある。水洗除去は、スクラビングローラ等を用いて温水シャワーを噴射しながら除去する方法や温水をノズル等でジェット噴射しながら水の勢いで除去する方法がある。また、剥離紙等で転写剥離する方法は、ハロゲン化銀乳剤層上の余分なアルカリ液(銀錯塩拡散転写用現像液)を予めローラ等で絞り取っておき、ハロゲン化銀乳剤層等と剥離紙を密着させてハロゲン化銀乳剤層等をプラスチック樹脂フィルムから剥離紙に転写させて剥離する方法である。剥離紙としては吸水性のある紙や不織布、あるいは紙の上にシリカのような微粒子顔料とポリビニルアルコールのようなバインダーとで吸水性の空隙層を設けたものが用いられる。
次に、銀塩拡散転写現像の現像液について説明する。現像液は、可溶性銀錯塩形成剤及び還元剤を含有するアルカリ液である。可溶性銀錯塩形成剤は、ハロゲン化銀を溶解し可溶性の銀錯塩を形成させる化合物であり、還元剤はこの可溶性銀錯塩を還元して物理現像核上に金属銀を析出させるための化合物である。
現像液に用いられる可溶性銀錯塩形成剤としては、チオ硫酸ナトリウムやチオ硫酸アンモニウムのようなチオ硫酸塩、チオシアン酸ナトリウムやチオシアン酸アンモニウムのようなチオシアン酸塩、亜硫酸ナトリウムや亜硫酸水素カリウムのような亜硫酸塩、オキサゾリドン類、2−メルカプト安息香酸及びその誘導体、ウラシルのような環状イミド類、アルカノールアミン、ジアミン、特開平9−171257号公報に記載のメソイオン性化合物、USP5,200,294に記載のようなチオエーテル類、5,5−ジアルキルヒダントイン類、アルキルスルホン類、他に、「The Theory of the photographic Process(4th edition,p474〜475」、T.H.James著に記載されている化合物が挙げられる。
これらの可溶性銀錯塩形成剤の中でも特に、アルカノールアミンが好ましい。アルカノールアミンを含有した処理液で現像を行った導電性フィルムの表面抵抗は比較的低い値が得られる。
アルカノールアミンとしては、例えばN−(2−アミノエチル)エタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エタノールアミン、4−アミノブタノール、N,N−ジメチルエタノールアミン、3−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等が挙げられる。
これらの可溶性銀錯塩形成剤は単独で、または複数組み合わせて使用することができる。
現像液に用いられる還元剤は、Research Disclosure Item 17643(1978年12月)および18716(1979年11月)、308119(1989年12月)に記載されているような写真現像の分野で公知の現像主薬を用いることができる。例えば、ハイドロキノン、カテコール、ピロガロール、メチルハイドロキノン、クロルハイドロキノン等のポリヒドロキシベンゼン類、アスコルビン酸及びその誘導体、1−フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン等の3−ピラゾリドン類、パラメチルアミノフェノール、パラアミノフェノール、パラヒドロキシフェニルグリシン、パラフェニレンジアミン等が挙げられる。これらの還元剤は単独で、または複数組み合わせて使用することができる。
可溶性銀錯塩形成剤の含有量は、現像液1L当たり、0.001〜5モルが好ましく、より好ましくは0.005〜1モルの範囲である。還元剤の含有量は現像液1L当たり0.01〜1モルが好ましく、より好ましくは0.05〜1モルの範囲である。
現像液のpHは10以上が好ましく、更に11〜14が好ましい。所望のpHに調整するために、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ剤、リン酸、炭酸などの緩衝剤を単独、または組み合わせて含有させる。また、本発明の現像液には、亜硫酸ナトリウムや亜硫酸カリウム等の保恒剤を含むことが好ましい。
前記露光及び現像処理により形成された導電性材料の銀画像部にさらに高い導電性を得るためや、あるいは銀画像の色調を変えるためなどの種々の目的でめっき処理を行うことが可能である。本発明におけるめっき処理としては、無電解めっき(化学還元めっきや置換めっき)、電解めっき、又は無電解めっきと電解めっきの両方を用いることができる。めっき処理によりどの程度導電性を付与するかは用いる用途に応じて異なるが、例えばPDP用に用いる電磁波シールド材として用いるためには表面抵抗値2.5Ω/□以下、好ましくは1.5Ω/□以下が要求される。
本発明の導電性材料前駆体において無電解めっき処理を施す場合、無電解めっきを促進させる目的でパラジウムを含有する溶液で活性化処理することもできる。パラジウムとしては2価のパラジウム塩あるいはその錯体塩の形でも良いし、また金属パラジウムであっても良い。しかし、液の安定性、処理の安定性から好ましくはパラジウム塩あるいはその錯塩を用いることが良い。
本発明における無電解めっきは、公知の無電解めっき技術、例えば無電解ニッケルめっき、無電解コバルトめっき、無電解金めっき、無電解銀めっきなどを用いることができるが、上記の必要な導電性と透明性を得るためには無電解銅めっきを行うことが好ましい。
本発明における無電解銅めっき液には硫酸銅や塩化銅など銅の供給源、ホルムアルデヒドやグリオキシル酸、テトラヒドロホウ酸カリウム、ジメチルアミンボランなど還元剤、EDTAやジエチレントリアミン5酢酸、ロシェル塩、グリセロール、メソ−エリトリトール、アドニール、D−マンニトール、D−ソルビトール、ズルシトール、イミノ2酢酸、trans−1,2−シクロヘキサンジアミン4酢酸、1,3−ジアミノプロパン−2−オール、グリコールエーテルジアミン4酢酸、トリイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン等の銅の錯化剤、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのpH調整剤などが含有される。さらにその他に浴の安定化やめっき皮膜の平滑性を向上させるための添加剤としてポリエチレングリコール、黄血塩、ビピリジル、o−フェナントロリン、ネオクプロイン、チオ尿素、シアン化物などを含有させることも出来る。めっき液は安定性を増すためエアレーションを行う事が好ましい。
無電解銅めっきでは前述の通り種々の錯化剤を用いることができるが、錯化剤の種類により酸化銅が共析し、導電性に大きく影響したり、あるいはトリエタノールアミンなど銅イオンとの錯安定定数の低い錯化剤は銅が沈析しやすいため、安定しためっき液やめっき補充液が作り難いなどということが知られている。従って工業的に通常用いられる錯化剤は限られており、本発明においても同様の理由でめっき液の組成として特に錯化剤の選択は重要である。特に好ましい錯化剤としては銅錯体の安定定数の大きいEDTAやジエチレントリアミン5酢酸などが挙げられ、このような好ましい錯化剤を用いためっき液としては例えばプリント基板の作製に使用される高温タイプの無電解銅めっきがある。高温タイプの無電解銅めっきの手法については「無電解めっき 基礎と応用」(電気鍍金研究会編)p105などに詳しく記載されている。高温タイプのめっきでは通常60〜70℃で処理し、処理時間は無電解めっき後に電解めっきを施すかどうかで変わってくるが、通常1〜30分、好ましくは3〜20分無電解めっき処理を行うことで本発明の目的を達することが出来る。
本発明において銅以外の無電解めっき処理を行う場合は例えば「めっき技術ガイドブック」(東京鍍金材料協同組合技術委員会編、1987年)p406〜432記載の方法などを用いる事ができる。
本発明においては電解めっきを施すこともできる。電解めっき法としては銅めっき、ニッケルめっき、亜鉛めっき、スズめっき等の公知のめっき方法を用いることができ、その方法として例えば「めっき技術ガイドブック」(東京鍍金材料協同組合技術委員会編、1987年)記載の方法を用いることができる。どのめっき法を用いるかは製造する導電性材料の用途によって異なるが、導電性をさらに高めるためにめっきする場合、銅めっきやニッケルめっきが好ましい。銅めっきのめっき法として好ましい方法としては硫酸銅浴めっき法やピロリン酸銅浴めっき法、ニッケルめっき法としてはワット浴めっき法、黒色めっき法などが好ましい。
本発明においてはめっき処理並びに定着処理の後、酸化処理を行う事も可能である。特にめっき処理の後に定着処理を行い、かつ漂白定着液で処理しない場合は酸化処理を行う事が好ましい。酸化処理としては、種々の酸化剤を用いた公知の方法を用いる事ができる。酸化処理液には酸化剤としてEDTA鉄塩、DTPA鉄塩、1,3−PDTA鉄塩、β−ADA鉄塩、BAIDA鉄塩などの各種アミノポリカルボン酸鉄塩、重クロム酸塩、過硫酸塩、過マンガン酸塩、赤血塩などを用いることができるが、環境負荷が少なく、安全なアミノポリカルボン酸鉄を用いる事が好ましい。酸化剤の使用量は0.01〜1モル/L、好ましくは0.1〜0.3モル/Lである。その他に促進剤として臭化物、ヨウ化物、グアニジン類、キノン類、ヴァイツラジカル、アミノエタンチオール類、チアゾール類、ジスルフィド類、へテロ環メルカプト類など公知のものを用いる事もできる。
本発明により製造された導電性材料の銀画像は後処理を施すこともできる。後処理液としては例えば還元性物質、水溶性リンオキソ酸化合物、水溶性ハロゲン化合物などの水溶液が一例としてあげられる。このような後処理液により50〜70℃、更に好ましくは60〜70℃で10秒以上、好ましくは30秒〜3分処理することで、銀画像パターンのX線回折による2θ=38.2°での半値幅が0.35以下となるようすれば、非常に高い導電性を得ることができ、また高温高湿下でもその抵抗値が変動しなくなるので好ましい。
本発明の実施例を以下に示す。本発明に使用される導電性材料前駆体を作製するために、透明支持体として、厚み100μmのポリカーボネートベース(三菱ガス化学社製ユーピロンシート)を用いた。この支持体の上に下記内容の下引き処方に従い塗液を作製し、塗布、乾燥した後、50℃で1日加温した。
<下引き処方A−1/1m2当たり>
スーパーフレックス650(第一工業製薬社製ポリカーボネート系ウレタンラテックス、平均粒径:0.1μm) 2.6g(固形分0.65g)
エポミンSP−200(日本触媒社製ポリエチレンイミン)
0.05g
シーホースターKE30P(日本触媒社製 球状微粉体)
5mg
デナコールEX614(ナガセケムテックス社製ソルビトールポリグリシジルエーテル) 10mg
界面活性剤(化1) 3mg
<下引き処方A−2/1m2当たり>
上記下引き処方A−1のスーパーフレックス650の添加量を2.2g(固形分0.55g)、エポミンSP−200の添加量を0.15gに変更し作製した。
<下引き処方A−3/1m2当たり>
上記下引き処方A−1のスーパーフレックス650の添加量を1.8g(固形分0.45g)、エポミンSP−200の添加量を0.25gに変更し作製した。
<下引き処方A−4/1m2当たり>
上記下引き処方A−1のスーパーフレックス650の添加量を1.5g(固形分0.375g)、エポミンSP−200の添加量を0.325gに変更し作製した。
<下引き処方B−1/1m2当たり>
ハイドランWLS210(大日本インキ化学工業社製ポリカーボネート系ウレタンラテックス、平均粒径:0.05μm) 1.9g(固形分0.66g)
ゼラチン 0.04g
シーホースターKE30P 5mg
デナコールEX614 10mg
界面活性剤(化1) 3mg
<下引き処方B−2/1m2当たり>
上記下引き処方B−1のハイドランWLS210の添加量を1.6g(固形分0.56g)、ゼラチンの添加量を0.14gに変更し作製した。
<下引き処方B−3/1m2当たり>
上記下引き処方B−1のハイドランWLS210の添加量を1.3g(固形分0.45g)、ゼラチンの添加量を0.25gに変更し作製した。
<下引き処方B−4/1m2当たり>
上記下引き処方B−1のハイドランWLS210の添加量を1.1g(固形分0.38g)、ゼラチンの添加量を0.32gに変更し作製した。
<下引き処方C/1m2当たり>
スーパーフレックス650 2.6g(固形分0.65g)
PAA10C(日東紡社製ポリアリルアミン) 0.5g(固形分0.05g)
シーホースターKE30P 5mg
デナコールEX614 10mg
界面活性剤(化1) 3mg
<下引き処方D/1m2当たり>
スーパーフレックス650 2.6g(固形分0.65g)
PAS92(日東紡社製ジアリルアミンと二酸化硫黄の共重合体)
0.2g(固形分0.04g)
シーホースターKE30P 5mg
デナコールEX614 10mg
界面活性剤(化1) 3mg
<下引き処方E/1m2当たり>
ハイドランWLS210 1.9g(固形分0.66g)
ゼラチン 0.045g
PVP K90 0.005g
シーホースターKE30P 5mg
デナコールEX614 10mg
界面活性剤(化1) 3mg
<下引き処方F/1m2当たり>
スーパーフレックス650 2.6g(固形分0.65g)
ユニセンスFPA1000L(センカ社製ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)
0.2g(固形分0.04g)
シーホースターKE30P 5mg
デナコールEX614 10mg
界面活性剤(化1) 3mg
<下引き処方G/1m2当たり>
ハイドランWLS210 1.9g(固形分0.66g)
PVA235(クラレ社製88%部分ケン化PVA、重合度3500)
0.04g
シーホースターKE30P 5mg
デナコールEX614 10mg
界面活性剤(化1) 3mg
<下引き処方H/1m2当たり>
ハイドランWLS210 1.9g(固形分0.66g)
PVP K90 0.04g
シーホースターKE30P 5mg
デナコールEX614 10mg
界面活性剤(化1) 3mg
<下引き処方I/1m2当たり>
ハイドランWLS210 2.0g(固形分0.7g)
シーホースターKE30P 5mg
デナコールEX614 10mg
界面活性剤(化1) 3mg
<下引き処方J/1m2当たり>
ゼラチン 0.7g
シーホースターKE30P 5mg
デナコールEX614 10mg
界面活性剤(化1) 3mg
次に、硫化パラジウムゾル液を下記の様にして作製し、得られたゾルを用いて物理現像核液を作製した。
<硫化パラジウムゾルの調製>
A液 塩化パラジウム 5g
塩酸 40mL
蒸留水 1000mL
B液 硫化ソーダ 8.6g
蒸留水 1000mL
A液とB液を撹拌しながら混合し、30分後にイオン交換樹脂の充填されたカラムに通し硫化パラジウムゾルを得た。
<物理現像核液組成/1m2当たり>
前記硫化パラジウムゾル 0.4mg
2質量%のグルタルアルデヒド溶液 0.08mL
この物理現像核層塗液を前述の下引き済みポリカーボネートベースの上に塗布し、乾燥した。
続いて、上記物理現像核層を塗布した側と反対側に下記組成の裏塗り層を塗布した。
<裏塗り層組成/1m2当たり>
ゼラチン 2g
不定形シリカマット剤(平均粒径5μm) 20mg
化2 200mg
界面活性剤(化1) 400mg
続いて、支持体に近い方から順に下記組成の中間層1、ハロゲン化銀乳剤層1、及び最外層1を上記物理現像核層の上に塗布した。ハロゲン化銀乳剤は、写真用ハロゲン化銀乳剤の一般的なダブルジェット混合法で製造した。このハロゲン化銀乳剤は、塩化銀95モル%と臭化銀5モル%で、平均粒径が0.15μmになるように調製した。このようにして得られたハロゲン化銀乳剤を定法に従いチオ硫酸ナトリウムと塩化金酸を用い金イオウ増感を施した。こうして得られたハロゲン化銀乳剤は銀1gあたり0.5gのゼラチンを含む。
<中間層1組成/1m2当たり>
ゼラチン 0.5g
界面活性剤(化1) 5mg
<ハロゲン化銀乳剤層1組成/1m2当たり>
ゼラチン 0.5g
ハロゲン化銀乳剤 3.0g銀相当
1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール 3.0mg
界面活性剤(化1) 20mg
<最外層1組成/1m2当たり>
ゼラチン 1g
不定形シリカマット剤(平均粒径3.5μm) 10mg
界面活性剤(化1) 10mg
このようにして得た導電性材料前駆体を、水銀灯を光源とする密着プリンターで400nm以下の光をカットする樹脂フィルターを介し、細線幅20μmで格子間隔250μmの網目パタンの透過原稿を密着させて露光した。
続いて下記の拡散転写現像液を作製した。その後、先に露光した導電性フィルム前駆体を下記現像液中に15℃で90秒間浸漬した後、続いてハロゲン化銀乳剤層、中間層、最外層および裏塗り層を40℃の温水で水洗除去し、乾燥処理した。露光したサンプルからは透明網目パタン状に銀薄膜が形成された導電性材料を得た。
<拡散転写現像液組成>
水酸化カリウム 25g
ハイドロキノン 18g
1−フェニル−3−ピラゾリドン 2g
亜硫酸カリウム 80g
N−メチルエタノールアミン 15g
臭化カリウム 1.2g
全量を水で1000mL
pH=12.2に調整する。
上記のようにして得られた網目パターン状銀薄膜が形成された導電性材料を下記の評価方法で実施し得られた結果を表1にまとめた。
(1)表面抵抗率
JIS−K7194に準拠し、(株)ダイアインスツルメンツ社製、ロレスタ−GP/ESPプローブを用いて測定した。
(2)支持体側からの色
目視にて支持体側からの色を確認し、網目パターン状銀薄膜が黒い物を○、金属光沢があったものを×とした。
(3)ハードコート接着性
前記導電性材料の表面に、ハードコート剤(大日精化社製、セイカビームEXF01(B):固形分100質量%)5質量部にメチルエチルケトン5質量部を加えた溶液を、#8ワイヤーバーを用いて塗布し、70℃1分間乾燥し溶剤を除去した。次いで、ハードコート剤を塗布した導電性材料を送り速度5m/分で走行させながら、高圧水銀灯を用いて照射エネルギー200mJ/cm2、照射距離15cmの条件下で、ハードコート層面に紫外線を照射し、厚み3μmのハードコート層を有する導電性材料を得た。これらをJIS−K5400の8.5.1記載に準拠し、ハードコート層と導電性材料との接着性を確認する。具体的には、隙間間隔2mmのカッターガイドを用いて、ハードコート層を貫通して導電性材料に達する100個のマス目状の切り傷をハードコート層面につける。次いで、セロハン粘着テープ(ニチバン製、405番:24mm幅)をマス目状の切り傷面に貼り付け、消しゴムでこすって完全に付着させる。その後、垂直にセロハン粘着テープをハードコート層面から引き剥がして、導電性材料のハードコート層面から剥がれたマス目の数を目視で数え、10マス以下は○、11マス以上〜50マス以下は△、51マス以上は×とした。
(4)支持体と画像の接着性
前記導電性材料前駆体を5%クリーナー160(メルテックス社製脱脂液)で60℃1分脱脂処理し、その後Cu5100番無電解銅めっき液(メルテックス社製)で50℃12分無電解めっきを施した。なお、脱脂及びめっき処理の後には水洗工程を設けている。続いて日東電工製ポリエステル粘着テープNo.31を金属メッシュ面に気泡の入らないように貼り付け、その後勢いよくテープを剥がし剥離テストを行った。剥離テストの評価は○が剥離なし、△が一部剥離あり、×が前面剥離の3段階とした。
表1の結果に示されているように、下引き層のポリマーラテックスが60質量%以上で、かつ1級若しくは2級アミノ基を有する水溶性高分子(ゼラチン及びポリエチレンイミン)を含有する下引き層は表面抵抗率は低く、裏面からの色調も黒く、更にハードコート接着性が良好であり、更に支持体と画像部の接着性も良好であることから、その有用性が理解できる。
下記の下引き層を塗布する以外は実施例1と同様にして導電性材料を作製した。
<下引き処方K/1m2当たり>
スーパーフレックス410(第一工業製薬社製ポリカーボネート系ウレタン、平均粒径:0.20μm) 1.67g(固形分0.65g)
ゼラチン 0.05g
シーホースターKE30P 5mg
デナコールEX614 10mg
界面活性剤(化1) 3mg
<下引き処方L/1m2当たり>
上記下引き処方Kのスーパーフレックス410をスーパーフレックス420(第一工業製薬社製ポリカーボネート系ウレタン、平均粒径:0.01μm)2.07g(固形分0.65g)にのみ変更して作製した。
<下引き処方M/1m2当たり>
上記下引き処方Kのスーパーフレックス410をスーパーフレックス460(第一工業製薬社製ポリカーボネート系ウレタン、平均粒径:0.03μm)1.67g(固形分0.65g)にのみ変更して作製した。
<下引き処方N/1m2当たり>
上記下引き処方Kのスーパーフレックス410をハイドランWLS221(大日本インキ化学工業社製ポリカーボネートポリエーテル系ウレタン、平均粒径:0.05μm)1.87g(固形分0.65g)にのみ変更して作製した。
<下引き処方O/1m2当たり>
上記下引き処方Kのスーパーフレックス410をスミカフレックス510(住友化学工業社製酢酸ビニル−エチレン共重合体、平均粒径:0.70μm)1.18g(固形分0.65g)にのみ変更して作製した。
<下引き処方P/1m2当たり>
上記下引き処方Kのスーパースレックス410をビニゾール1082(大同化成工業社製アクリル、平均粒径:0.10μm)1.67g(固形分0.65g)にのみ変更して作製した。
<下引き処方Q/1m2当たり>
上記下引き処方Kのスーパーフレックス410をハイドランWLS201(大日本インキ化学工業社製ポリエーテル系ウレタン、平均粒径:0.05μm)1.87g(固形分0.65g)にのみ変更して作製した。
<下引き処方R/1m2当たり>
上記下引き処方Kのスーパーフレックス410をスーパーフレックス110(第一工業製薬社製ポリエーテル系ウレタン、平均粒径:0.09μm)2.17g(固形分0.65g)にのみ変更して作製した。
<下引き処方S/1m2当たり>
上記下引き処方Kのスーパーフレックス410をユリアーノW600(荒川化学工業社製ポリエーテル系ウレタン、平均粒径:0.05μm)1.87g(固形分0.65g)にのみ変更して作製した。
<下引き処方T/1m2当たり>
上記下引き処方Kのスーパーフレックス410をスーパーフレックス500(第一工業製薬社製ポリエステル系ウレタン、平均粒径:0.14μm)1.48g(固形分0.65g)にのみ変更して作製した。
<下引き処方U/1m2当たり>
上記下引き処方Kのスーパーフレックス410をハイドランAP−40(大日本インキ化学工業社製ポリエステル系ウレタン、平均粒径:0.10μm)2.86g(固形分0.65g)にのみ変更して作製した。
上記のようにして得られた網目パターン状銀薄膜が形成された導電性材料を実施例1と同様の評価方法で実施し得られた結果を表2にまとめた。
表2の結果に示されているように、下引き層に用いているポリマーラテックスがポリカーボネート系ウレタンラテックスもしくはポリエーテル系ウレタンラテックスである下引き層は特に表面抵抗率は低く、ハードコート接着性が良好であり、更に支持体と画像部の接着性も良好であることから、その有用性が理解できる。
実施例1の下引き処方B−1を用いて、塗布量を変化させ塗布した以外は実施例1と同様にして導電性材料を作製した。
<下引き処方V/1m2当たり>
塗布量:下引き処方B−1×0.6倍(0.43g)
<下引き処方W/1m2当たり>
塗布量:下引き処方B−1×0.9倍(0.65g)
<下引き処方X/1m2当たり>
塗布量:下引き処方B−1×1.4倍(1.01g)
<下引き処方Y/1m2当たり>
塗布量:下引き処方B−1×1.7倍(1.22g)
上記のようにして得られた網目パターン状銀薄膜が形成された導電性材料を実施例1と同様の評価方法で実施し得られた結果を表3にまとめた。
表3の結果に示されているように、下引き層の塗設量が0.8g/m2以下であれば、ハードコート接着性も良く、表面抵抗率は低く、裏面からの色調も良好であり、更に支持体と画像部の接着性も良好であることから、その有用性が理解できる。
下記の下引き層を塗布する以外は実施例1と同様にして導電性材料を作製した。
<下引き処方Z/1m2当たり>
ハイドランWLS210(大日本インキ化学工業社製ポリカーボネート系ウレタンラテックス) 1.87g(固形分0.65g)
ゼラチン 0.04g
シーホースターKE30P 5mg
ホルムアルデヒド35%水溶液 10mg
界面活性剤(化1) 3mg
<下引き処方AA/1m2当たり>
上記下引き処方Zのホルムアルデヒド35%水溶液をエチレンチオ尿素10mgに変更して作製した。
<下引き処方BB/1m2当たり>
上記下引き処方TZのホルムアルデヒド35%水溶液を2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン10mgに変更して作製した。
<下引き処方CC/1m2当たり>
上記下引き処方Zのホルムアルデヒド35%水溶液をデナコールEX313(ナガセケムテックス社製グリセロールポリグリシジルエーテル)10mgに変更して作製した。
<下引き処方DD/1m2当たり>
上記下引き処方Zのホルムアルデヒド35%水溶液をデュラネートWB40−80D(旭化成工業製薬社製自己乳化性イソシアネート化合物)12.5mgに変更して作製した。
<下引き処方EE/1m2当たり>
上記下引き処方Zのホルムアルデヒド35%水溶液を入れずに作製した。
上記のようにして得られた網目パターン状銀薄膜が形成された導電性材料を実施例1と同様の評価方法で実施し得られた結果を表4にまとめた。
表4の結果に示されているように、架橋剤がグリセロールポリグリシジルエーテルやポリエチレングリコールジグリシジルエーテルのようなエポキシ基を分子中に二個以上有する水溶性架橋剤が、その他の水溶性架橋剤よりもハードコート接着性も良く、支持体と画像部の接着性も良好であり、更に表面抵抗率は低いということが判り、その有用性が理解できる。
使用する支持体を東洋紡社製クリスパーK1212(白色ポリエチレンテレフタレート:厚み100μm)に変更する以外は実施例4の下引き処方CCと同様にして支持体を導電性材料を作製し、支持体側からの色を評価を評価しない以外、実施例4と同様に評価をした結果、実施例4と同様の結果が得られた。