JP2003166183A - インクジェット記録品とその製造方法 - Google Patents

インクジェット記録品とその製造方法

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JP2003166183A
JP2003166183A JP2001358867A JP2001358867A JP2003166183A JP 2003166183 A JP2003166183 A JP 2003166183A JP 2001358867 A JP2001358867 A JP 2001358867A JP 2001358867 A JP2001358867 A JP 2001358867A JP 2003166183 A JP2003166183 A JP 2003166183A
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Japan
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layer
resin
ink
overcoating
receiving layer
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Application number
JP2001358867A
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English (en)
Inventor
Toshio Arai
俊男 新居
Kazuo Nishifuji
和夫 西藤
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Bando Chemical Industries Ltd
Original Assignee
Bando Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】種々の基材上に画像特性にすぐれるのみなら
ず、耐水性と耐摩擦性にすぐれるインクジェット記録画
像を有するインクジェット記録品とその製造方法を提供
する。 【解決手段】基材上にインク受容層とこのインク受容層
にインクジェット記録によって形成された印刷層とこの
印刷層上に形成されたオーバーコーティング層とをこの
順序で積層してなるインクジェット記録層を有するイン
クジェット記録品において、上記インク受容層が分子中
にシラノール基を有するポリウレタン樹脂を架橋剤にて
架橋してなる樹脂層からなり、上記オーバーコーティン
グ層が樹脂層からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、種々の基材上に画
像特性にすぐれるのみならず、耐水性と耐摩擦性にすぐ
れるインクジェット記録画像を有するインクジェット記
録品とその製造方法に関し、好ましくは、少なくともそ
の表面が着色されている基材上に耐久性ある鮮明な印
刷、必要ならば、フルカラー印刷を施してなるインクジ
ェット記録品とその製造方法に関し、特に、好ましい態
様として、帆布の表面にフルカラーによるインクジェッ
ト記録層を有するベルトとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、伝動ベルトのうち、被覆式Vベ
ルトと呼ばれるものは、その周囲に帆布を接着し、貼り
合わせて、内部のゴム層を強化し、又は保護している。
このような帆布の表面にロット番号その他の情報を表示
するには、従来、ベルトの製造工程の間に、例えば、ス
クリーン印刷等によって印刷を施しているが、しかし、
この方法によれば、印刷すべき情報に応じて、個別に版
を製作することが必要であり、煩瑣であり、費用も要す
る。
【0003】そこで、最近では、インクジェット記録も
採用され始めているが、しかし、ベルトに用いられる帆
布は、通常、ゴム引きされて、黒色を有し、しかも、下
地も黒色のゴムである。従って、このような帆布の表面
にインクジェット記録を施すためには、隠蔽性が必要と
されるために、白色や黄色のような単色の顔料インクを
用いざるを得ず、所謂フルカラー印刷が困難である。
【0004】また、従来の通常の顔料インクを用いるイ
ンクジェット記録においては、インク受容層は、バイン
ダー樹脂に多量のシリカ等の微粒子を配合してなり、従
って、ベルトへのインクジェット記録によれば、帆布上
の印刷層が摩擦等によってシリカ微粒子と共に容易に剥
離し、かくして、帆布上の印刷が不鮮明となり、遂に
は、消失して、耐摩擦性に劣る問題がある。
【0005】更に、インク受容層における上記バインダ
ー樹脂も、それ自体の耐候性や帆布との接着性等が十分
ではなく、例えば、伝動ベルトについていえば、上述し
たように、樹脂成分に多量の微粒子が配合されている点
も相俟って、インク受容層は、伝動ベルトの走行に追随
する柔軟性を十分に有してはいない。
【0006】このように、伝動ベルトの帆布を含め、一
般に、少なくともその表面が着色されている基材上にフ
ルカラーにて耐久性ある印刷を行うことができるインク
ジェット記録は、従来、知られていない。
【0007】更に、従来、インクジェット記録において
は、水性顔料インクが多く用いられており、このような
水性顔料インクを用いるインクジェット記録のためのイ
ンク受容層は、通常、シリカ等の顔料を親水性樹脂に配
合した樹脂組成物の水性コーティング剤を塗布し、乾燥
させて、多孔質構造を有する樹脂層として形成されてい
る。従って、基材が金属シートのような場合には、金属
シートとインク受容層との間の接着性を高めるために、
基材上に予め、プライマー処理を施すことが必要であっ
た。また、インク受容層は、親水性の樹脂からなるの
で、このようなインク受容層に形成したインクジェット
記録は、耐水性と耐摩擦性に劣る問題もあった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来のイン
クジェット記録における上述したような問題を解決する
ためになされたものであって、種々の基材上に画像特性
にすぐれるのみならず、耐水性と耐摩擦性にすぐれるイ
ンクジェット記録画像を有するインクジェット記録品と
その製造方法を提供することを目的とする。特に、本発
明によれば、好ましい態様として、少なくともその表面
が着色されている基材上に耐久性ある鮮明な印刷、必要
ならば、フルカラー印刷を施してなるインクジェット記
録品とその製造方法を提供することを目的とし、最も好
ましい態様として、帆布の表面に鮮明で、必要ならば、
フルカラーによるインクジェット記録層を有するベルト
とその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、基材上
にインク受容層とこのインク受容層にインクジェット記
録によって形成された印刷層とこの印刷層上に形成され
たオーバーコーティング層とをこの順序で積層してなる
インクジェット記録層を有するインクジェット記録品に
おいて、上記インク受容層が分子中にシラノール基を有
するポリウレタン樹脂を架橋剤にて架橋してなる樹脂層
からなり、上記オーバーコーティング層が樹脂層からな
ることを特徴とするインクジェット記録品が提供され
る。
【0010】特に、好ましい態様として、少なくともそ
の表面が着色されている基材上にインク受容層とこのイ
ンク受容層にインクジェット記録によって形成された印
刷層とこの印刷層上に形成されたオーバーコーティング
層とをこの順序で積層してなるインクジェット記録層を
有するインクジェット記録品において、上記インク受容
層が分子中にシラノール基を有するポリウレタン樹脂を
架橋剤にて架橋してなると共に、酸化チタン10〜70
重量%を含む樹脂層からなり、上記オーバーコーティン
グ層が樹脂層からなることを特徴とするインクジェット
記録品が提供される。
【0011】また、本発明によれば、分子中にシラノー
ル基を有するポリウレタン樹脂の水性エマルジョンに架
橋剤を配合してなる水性ベースコーティング剤を基材上
に塗布し、半ば、乾燥させて、インクジェット記録用イ
ンク受容層とし、このインク受容層にインクジェット記
録を行って、印刷層を形成した後、樹脂層からなるオー
バーコーティング層を形成し、次いで、加熱して、上記
インク受容層を架橋、硬化させることを特徴とするイン
クジェット記録品の製造方法が提供される。
【0012】特に、好ましい態様として、少なくともそ
の表面が着色されている基材上に、分子中にシラノール
基を有するポリウレタン樹脂の水性エマルジョンに架橋
剤と酸化チタンを配合してなる水性ベースコーティング
剤を塗布し、半ば、乾燥させて、酸化チタン10〜70
重量%を含むインクジェット記録用インク受容層とし、
このインク受容層にインクジェット記録を行って、印刷
層を形成した後、加熱して、上記インク受容層を架橋、
硬化させることを特徴とするインクジェット記録品の製
造方法が提供される。
【0013】更に、本発明によれば、帆布の表面にイン
ク受容層とこのインク受容層にインクジェット記録によ
って形成された印刷層とこの印刷層上に形成されたオー
バーコーティング層とをこの順序で積層してなるベルト
であって、上記インクジェット記録層が分子中にシラノ
ール基を有するポリウレタン樹脂を架橋剤にて架橋して
なると共に、酸化チタン10〜70重量%を含み、上記
オーバーコーティング層が樹脂層からなることを特徴と
するベルトが提供される。
【0014】このようなベルトの製造方法として、本発
明によれば、着色された帆布の表面に、分子中にシラノ
ール基を有するポリウレタン樹脂の水性エマルジョンに
架橋剤を配合してなる水性ベースコーティング剤を塗布
し、半ば、乾燥させて、インクジェット記録用インク受
容層とし、このインク受容層にインクジェット記録を行
って、印刷層を形成した後、樹脂の溶液からなるオーバ
ーコーティング剤を上記印刷層を有するインクジェット
記録用インク受容層の上に塗布して、オーバーコーティ
ング剤塗布層を形成し、次いで、加熱して、上記インク
ジェット記録用インク受容層を架橋、硬化させると共
に、上記オーバーコーティング剤塗布層を乾燥させて、
オーバーコーティング層を形成し、この後、このような
印刷層を表面に有する帆布と接着ゴム層のための未加硫
ゴムシートと心線と底ゴム層のための未加硫ゴムシート
を含む積層体を加硫缶にて加熱加圧加硫することを特徴
とするベルトの製造方法が提供される。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明によるインクジェット記録
品は、基材上にインク受容層とこのインク受容層にイン
クジェット記録によって形成された印刷層とこの印刷層
上に形成されたオーバーコーティング層とをこの順序で
積層してなるインクジェット記録層を有するものであっ
て、上記インク受容層は、分子中にシラノール基を有す
るポリウレタン樹脂を架橋剤にて架橋してなる樹脂層か
らなり、上記オーバーコーティング層は樹脂層からな
る。また、上記印刷層は、このようなインク受容層に、
好ましくは、水性顔料インクジェットインクを用いてイ
ンクジェット記録を行うことによって形成されている。
【0016】本発明において、上記基材は、その素材や
形状等において、特に限定されるものではないが、具体
例として、例えば、紙、プラスチックフィルムやシー
ト、ゴム(エラストマー)からなるシート、ガラス板を
含む種々のセラミックシート、織布や不織布、帆布等の
布帛、金属板や箔、種々のこれらの積層体等を挙げるこ
とができる。
【0017】上記分子中にシラノール基を有するポリウ
レタン樹脂は、エマルジョンとして市販品を入手するこ
とができる。また、そのようなエマルジョンの製造方法
は、例えば、特開平9−12864号公報に記載されて
いる。
【0018】本発明においては、上記シラノール基を有
するポリウレタン樹脂は、無黄変性のものであることが
好ましい。ポリウレタン樹脂の黄変化は、ポリイソシア
ネート成分に芳香族ポリイソシアネートを用いたときに
起こるとされており、従って、本発明において、上記無
黄変性のポリウレタン樹脂とは、ポリイソシアネートと
して、脂肪族や脂環族のポリイソシアネートを用いて得
られるものをいう。
【0019】上記脂肪族や脂環族のポリイソシアネート
としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロ
ンジイソシアネート、水素化4,4’−ジフェニルジイ
ソシアネート(HMDI)、水素化トリレンジイソシア
ネート(HTDI)、リジンジイソシアネート、イソプ
ロピリデンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)
等を挙げることができる。しかし、これらに限定される
ものではない。
【0020】また、上記シラノール基を有するポリウレ
タン樹脂を得るために用いられるポリオールも、特に、
限定されるものではないが、例えば、ポリエステルポリ
オール、ポリエーテルポリオール、ポリエーテルポリエ
ステルポリオール、ポリエステルアミドポリオール、ア
クリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリ
ヒドロキシアルカン、ポリウレタンポリオール、ヒマシ
油等を挙げることができる。
【0021】本発明によれば、上記ポリウレタン樹脂を
架橋、硬化させるための架橋剤として、ポリイソシアネ
ート、ポリエチレンイミン及びカルボジイミド樹脂から
選ばれるものが用いられる。
【0022】上記架橋剤として用いるポリイソシアネー
トは、上記シラノール基を有するポリウレタン樹脂の製
造に用いられているものと同様に、脂肪族や脂環族のポ
リイソシアネートが好ましい。従って、上記ポリイソシ
アネートとしては、特に、限定されるものではないが、
例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、
イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水素化4,
4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(HMD
I)、水素化トリレンジイソシアネート(HTDI)、
リジンジイソシアネート、イソプロピリデンビス(4−
シクロヘキシルジイソシアネート)等を挙げることがで
きる。
【0023】本発明によれば、インクジェット記録用イ
ンク受容層は、コーター、スプレー等、適宜の手段によ
って、分子中にシラノール基を有するポリウレタン樹脂
の水性エマルジョンに上記架橋剤を配合してなる水性ベ
ースコーティング剤を基材上に塗布した後、例えば、手
で触れても、手に付着しない程度に、半ば、乾燥させる
ことによって形成させることができる。このように、イ
ンクジェット記録用インク受容層の形成に際しては、本
発明によれば、ポリウレタン樹脂は水性エマルジョンと
して用いられ、また、上記架橋剤も、好ましくは、水溶
液又は水分散体として用いられる。
【0024】本発明において、上記インク受容層は、必
要に応じて、上記架橋ポリウレタン樹脂以外の樹脂や無
機顔料(例えば、シリカ等)や、消泡剤、レベリング剤
等を含んでいてもよい。
【0025】本発明によれば、インクジェット記録用イ
ンク受容層の形成に用いる水性ベースコーティング剤
は、ポリウレタン樹脂の有するシラノール基によって、
種々の基材への接着性にすぐれ、しかも、このようなベ
ースコーティング剤から形成されるインク受容層は、こ
れにインクジェット記録を行った後、加熱することによ
って、自体が架橋、硬化すると共に、上記架橋剤によっ
ても、架橋、硬化して、基材に強固に接着し、更に、イ
ンク受容層に捕捉されたインクジェットインク中の顔料
とも反応して、これらをインク受容層に接着し、固定す
る。
【0026】本発明によれば、このようなインクジェッ
ト記録品は、分子中にシラノール基を有するポリウレタ
ン樹脂の水性エマルジョンに前記架橋剤を配合してなる
水性ベースコーティング剤を基材上に塗布し、半ば、乾
燥させて、インクジェット記録用インク受容層とし、こ
のインク受容層にインクジェット記録を行って、印刷層
を形成した後、樹脂の溶液からなるオーバーコーティン
グ剤をこの印刷層の上に塗布して、オーバーコーティン
グ剤塗布層を形成し、次いで、加熱して、上記インク受
容層中のポリウレタン樹脂を架橋、硬化させると共に、
上記オーバーコーティング剤塗布層を乾燥させて、オー
バーコーティング層を形成することによって得ることが
できる。
【0027】本発明によれば、上記オーバーコーティン
グ層は、好ましくは、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、ポ
リエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリウ
レタン樹脂又は紫外線硬化型樹脂からなり、特に、好ま
しくは、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂又はフッ素樹脂
からなる。オーバーコーティング剤は、これらの樹脂を
適宜の溶媒に溶解することによって得ることができる。
従って、溶媒は、有機溶媒でも、水でも、また、これら
の混合物でもよい。
【0028】かくして、本発明によれば、インク受容層
は、それ自体が耐水性や耐摩擦性にすぐれ、しかも、こ
のようなインク受容層に形成された印刷層も、これを形
成する顔料が前述したようにインク受容層中に接着、固
定されているのみならず、オーバーコーティング層によ
って被覆、保護されているので、耐水性と耐摩擦性にす
ぐれている。
【0029】本発明によるインクジェット記録品は、好
ましくは、少なくともその表面が着色されている基材上
にインク受容層とこのインク受容層にインクジェット記
録によって形成された印刷層とオーバーコーティング層
とをこの順序で積層してなり、ここに、上記インク受容
層は、分子中にシラノール基を有するポリウレタン樹脂
を前記架橋剤にて架橋してなると共に、酸化チタン10
〜70重量%を含む樹脂層からなる。
【0030】このようなインクジェット記録品は、少な
くともその表面が着色されている基材上に、分子中にシ
ラノール基を有するポリウレタン樹脂の水性エマルジョ
ンに前記架橋剤と酸化チタンを配合してなる水性ベース
コーティング剤を塗布し、半ば、乾燥させて、酸化チタ
ン10〜70重量%を含むインクジェット記録用インク
受容層とし、このインク受容層にインクジェット記録を
行って、印刷層を形成した後、この印刷層の上に上述し
たようにして、オーバーコーティング剤塗布層を形成
し、次いで、加熱して、上記インク受容層中のポリウレ
タン樹脂を架橋、硬化させると共に、上記オーバーコー
ティング剤塗布層を乾燥させて、オーバーコーティング
層を形成することによって得ることができる。
【0031】本発明において、少なくともその表面が着
色されている基材とは、例えば、本来、装飾を目的とし
て、意図的に着色を施す場合のみならず、別の目的によ
って、例えば、表面処理する等の結果として、着色する
意図がなくても、表面が着色されることとなる場合をも
含むものとする。例えば、ベルトのゴム層を保護し、又
はベルトを補強するために、ベルトの表面の一部又は全
部を被覆する帆布は、通常、ゴム引きされており、その
結果として、黒い表面を有する。本発明によれば、この
ような場合にも、帆布は、その表面が着色されている基
材に含まれる。
【0032】本発明によれば、上述したように、少なく
ともその表面が着色されている基材上にインク受容層を
形成するときには、そのインク受容層のうち、酸化チタ
ンが10〜70重量%の割合を占める。インク受容層の
うち、酸化チタンの割合が10重量%よりも少ないとき
は、着色された基材の表面、即ち、下地に対する隠蔽性
が十分でないので、そのような基材上に形成したインク
受容層にフルカラー印刷を施したとき、印刷が不鮮明と
なる。他方、インク受容層のうち、酸化チタンの割合が
70重量%を越えるときは、インク受容層が硬くなっ
て、例えば、基材を折り曲げたときに、インク受容層が
割れたり、また、基材から剥離しやすい。特に、本発明
によれば、インク受容層において、酸化チタンの割合
は、20〜50重量%の範囲であることが好ましい。
【0033】このようなインクジェット記録用インク受
容層は、少なくともその表面が着色されている基材上
に、コーター、スプレー等、適宜の手段によって、分子
中にシラノール基を有するポリウレタン樹脂の水性エマ
ルジョンに前記架橋剤と酸化チタンを配合してなる水性
ベースコーティング剤を塗布した後、例えば、手で触れ
ても、手に付着しない程度に、半ば、乾燥させることに
よって形成させることができる。
【0034】このように、本発明によれば、インク受容
層は、その上に印刷層を形成し、架橋、硬化させた後
は、それ自体が耐水性や耐摩擦性にすぐれるのみなら
ず、酸化チタンによって、高い隠蔽性を有しているの
で、表面が着色された基材上にも、インクジェット記録
によって濃色で鮮明なフルカラー印刷を施すことができ
る。かくして、本発明によれば、着色された基材上に
も、そのインク受容層に濃色で鮮明なフルカラーの印刷
層を施すことができ、しかも、印刷層は、前述したよう
に、これを形成する顔料がインク受容層中に接着、固定
されているのみならず、オーバーコーティング層によっ
て被覆、保護されているので、耐水性と耐摩擦性にすぐ
れている。
【0035】このようなインクジェット記録品は、本発
明に従って、少なくともその表面が着色されている基材
上に、分子中にシラノール基を有するポリウレタン樹脂
の水性エマルジョンに前記架橋剤と酸化チタンを配合し
てなる水性ベースコーティング剤を塗布し、半ば、乾燥
させて、酸化チタン10〜70重量%を含むインクジェ
ット記録用インク受容層とし、このインク受容層にイン
クジェット記録を行って、印刷層を形成した後、前記樹
脂の溶液からなるオーバーコーティング剤を上記印刷層
を有するインク受容層の上に塗布して、オーバーコーテ
ィング剤塗布層を形成し、次いで、加熱して、上記イン
ク受容層を架橋、硬化させると共に、上記オーバーコー
ティング剤塗布層を乾燥させて、オーバーコーティング
層を形成することによって得ることができる。
【0036】本発明は、特に、ゴム層に貼り合わせた帆
布の表面にロット番号等の情報をインクジェット記録に
よってフルカラーにて印刷したベルトの製造に好ましく
適用することができる。即ち、本発明に従って、インク
ジェット記録用インク受容層を帆布の表面に形成し、こ
の受容層にインクジェット記録を行って印刷層を形成
し、更に、この印刷層の上にオーバーコーティング層を
形成した後、常法に従って、この帆布と接着ゴム層のた
めの未加硫ゴムシートと心線と底ゴム層のための未加硫
ゴムシートを含む積層体を加硫缶中にて加熱加圧加硫し
て、ベルトを得る。
【0037】特に、本発明によれば、この場合にも、前
述したように、前記水性ベースコーティング剤を帆布上
に塗布し、半ば、乾燥させて、インク受容層とし、この
インク受容層にインクジェット記録を行った後、前記オ
ーバーコーティング剤を塗布して、オーバーコーティン
グ剤塗布層を形成し、この後、加熱して、インク受容層
を架橋、硬化させると共に、上記オーバーコーティング
剤塗布層を乾燥させて、オーバーコーティング層を形成
し、かくして、インクジェット記録によって、帆布の表
面に耐水性と耐摩擦性にすぐれるフルカラーの印刷層を
有するベルトを得ることができる。
【0038】ここで、ベルトの製造について説明する。
例えば、Vリブドベルトは、一般に、次のようにして製
造される。即ち、帆布を表面が平滑な円筒状の成形ドラ
ム(金型)の周面に巻き付け、この上に第1の接着ゴム
層のためのゴム配合物未加硫シートを巻き付けた後、こ
の上に心線を螺旋状に巻き付け、更に、その上に第2の
接着ゴム層のためのゴム配合物未加硫シートと底ゴム層
のためのゴム配合物未加硫シートを巻き付けて円筒状積
層体とする。
【0039】次に、この円筒状積層体を加硫缶に仕込
み、加圧下に加熱し、蒸気加硫し、冷却後、脱型して、
円筒状積層加硫体を得、この円筒状積層加硫体を駆動ロ
ールと従動ロールとからなる第1の駆動システムに取り
付けて、所定の張力の下で走行させながら、これに研削
ホイールにて表面に複数のリブを形成し、この後、更
に、別の駆動ロールと従動ロールとからなる第2の駆動
システムに取り付けて、走行させながら、所定の幅に裁
断して、Vリブドベルトを得る。
【0040】本発明によれば、帆布の表面に上述したよ
うにしてインクジェット記録用インク受容層を形成し、
それにインクジェット印刷を施し、特に、このインクジ
ェット印刷層をオーバーコーティング層にて被覆するの
で、このオーバーコーティング層のすぐれた耐熱性と離
型性によって、上記円筒状積層体を加硫缶中で加圧加熱
するに際しても、印刷層が金型に貼り付くことがなく、
かくして、耐摩擦性にすぐれ、しかも、濃色で鮮明なフ
ルカラーによるインクジェット記録層を帆布の表面に有
するベルトを生産性よく得ることができる。
【0041】ここに、本発明によるインクジェット記録
用インク受容層は、ポリウレタン樹脂の特性に基づい
て、柔軟である。かくして、例えば、帆布の表面に上述
したようなインク受容層を形成し、これにインクジェッ
ト記録を施して、伝動ベルトの保護や補強に用いても、
伝動ベルトの屈曲によく追随するので、走行時にインク
ジェット記録層が帆布から剥離することがない。また、
印刷層は、オーバーコーティング層で被覆されているの
で、耐摩擦性にすぐれ、耐久性にすぐれる。
【0042】しかし、本発明によれば、常法に従って、
帆布でゴム層を補強し、又は保護したベルトを製造した
後、上記帆布の表面にロット番号等の情報をインクジェ
ット記録によって印刷してもよい。
【0043】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、
本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではな
い。以下において、ポリウレタン樹脂エマルジョンとポ
リウレタン樹脂水分散体の使用量は、それぞれ固形分換
算である。
【0044】実施例1 分子中にシラノール基を有する無黄変性ポリウレタン樹
脂エマルジョン(武田薬品工業(株)製タケラックXW
−75−X35(固形分30重量%))80重量%と自
己乳化性ポリイソシアネート水分散体(武田薬品工業
(株)製タケネートWD−725)10重量%と酸化チ
タン(石原産業(株)製タイペークR−780(平均粒
径0.24μm))10重量%とを混合し、ミキサーで
よく攪拌して、水性ベースコーティング剤を調製した。
【0045】別に、ポリアミド樹脂(東洋紡績(株)製
パイロマックスT100)をテトラヒドロフランに溶解
させて、固形分75重量%のオーバーコーティング剤を
調製した。
【0046】ゴム引きした黒色の帆布の表面に上記水性
コーティング剤をワイヤーバーを用いて塗布した後、室
温で2時間放置して、手で触れても、コーティング層が
手に付着しない程度に半ば、乾燥させて、インク受容層
を形成した。
【0047】顔料インクジェットプリンタ(セイコーエ
プソン(株)製MC−2000)を用いて、上記インク
受容層上に文字(Y、M、C及びBk)を顔料インクジ
ェットインクにて印刷を施した後、常温で1時間、乾燥
させた。
【0048】次に、このように印刷を施したインク受容
層の上に上記オーバーコーティング剤をワイヤーバーを
用いて塗布して、オーバーコーティング剤塗布層を形成
した後、130℃のオーブン中で1時間加熱して、上記
インク受容層を架橋、硬化させると共に、上記オーバー
コーティング剤塗布層を乾燥させて、オーバーコーティ
ング層を形成した。
【0049】このように印刷を施した帆布を表面が平滑
な円筒状の成形ドラムの周面に巻き付け、この上に第1
の接着ゴム層のためのゴム配合物未加硫シートを巻き付
けた後、この上にポリエステル心線を螺旋状に巻き付
け、更に、その上に第2の接着ゴム層のためのゴム配合
物未加硫シートと底ゴム層のためのゴム配合物未加硫シ
ートを巻き付けて円筒状積層体とした。
【0050】この円筒状積層体を内圧6kgf/c
2 、外圧9kgf/cm2 、温度160℃、30分間
の条件にて加硫缶中にて加熱加圧し、蒸気加硫し、冷却
後、脱型して、円筒状積層加硫体を得た。ここで、上記
成形ドラムの表面を目視観察したところ、帆布上のイン
ク受容層(即ち、印刷層)の上記成形ドラムへの貼り付
きはみられなかった。
【0051】次いで、この円筒状積層加硫体を駆動ロー
ルと従動ロールとからなる第1の駆動システムに取り付
けて、所定の張力の下で走行させながら、これに研削ホ
イールにて表面に複数のリブを形成した。これを更に別
の駆動ロールと従動ロールとからなる第2の駆動システ
ムに取り付けて、走行させながら、リブの谷間を裁断
し、取り外し、裏返して、リブ数3、周長さ1000m
mで帆布の外表面に製品名、サイズ、ロット番号等の情
報をインクジェット記録層として有するVリブドベルト
を得た。
【0052】このようにして得たVリブドベルトについ
て、次のようにして、印刷性を評価すると共に、印刷層
の耐折曲げ性を調べた。結果を表1に示す。
【0053】印刷性 ベルト表面の印刷層を目視にて調べ、印字を明瞭に識別
できるときを○、印字が不明瞭で識別し難いときを×と
した。 耐折曲げ性 ベルトを折り曲げて、インク受容層が帆布から剥離する
かどうかを目視にて調べ、インク受容層が割れず、ま
た、帆布から剥離しないときを○、塗膜が割れ、又はイ
ンク受容層が帆布から剥離するときを×とした。
【0054】実施例2 実施例1において、オーバーコーティング剤として、ア
クリル樹脂((株)日本触媒製ポリシロキサングラフト
アクリル樹脂エマルジョン、固形分20重量%)を用い
た以外は、実施例1と同様にして、帆布にインクジェッ
ト記録を施し、これをオーバーコーティング層で被覆し
た。
【0055】このように印刷を施した帆布を用いて、実
施例1と同様にして、Vリブドベルトを得、これについ
て、実施例1と同様にして、帆布の表面の印刷性を評価
すると共に、印刷層の耐折曲げ性を調べた。
【0056】また、このようなベルトの製造において、
実施例1と同様に、円筒状積層加硫体を加硫缶から取り
出した後、帆布上のインク受容層(即ち、印刷層)の上
記成形ドラムへの貼り付きがあるかどうかを調べた。結
果を表1に示す。
【0057】実施例3 分子中にシラノール基を有する無黄変性ポリウレタン樹
脂エマルジョン(武田薬品工業(株)製タケラックXW
−75−X35(固形分30重量%))25重量%と自
己乳化性ポリイソシアネート水分散体(武田薬品工業
(株)製タケネートWD−725)5重量%と酸化チタ
ン(石原産業(株)製タイペークR−780(平均粒径
0.24μm))70重量%とを用いた以外は、実施例
1と同様にして、水性ベースコーティング剤を調製し、
これを帆布の表面に塗布した後、室温で2時間放置し
て、手で触れても、コーティング層が手に付着しない程
度に半ば、乾燥させて、インク受容層を形成した。この
インク受容層の上に実施例1と同様にして文字を印刷し
た後、常温で1時間、乾燥させた。
【0058】次に、このように印刷を施したインク受容
層の上に実施例1と同様にしてオーバーコーティング剤
を塗布して、オーバーコーティング剤塗布層を形成した
後、130℃のオーブン中で1時間加熱して、インク受
容層を架橋、硬化させると共に、オーバーコーティング
剤塗布層を乾燥させて、オーバーコーティング層を形成
した。
【0059】このように印刷を施した帆布を用いて、実
施例1と同様にして、Vリブドベルトを得、これについ
て、実施例1と同様にして、帆布の表面の印刷性を評価
すると共に、印刷層の耐折曲げ性を調べた。
【0060】また、このようなベルトの製造において、
実施例1と同様に、円筒状積層加硫体を加硫缶から取り
出した後、帆布上のインク受容層(即ち、印刷層)の上
記成形ドラムへの貼り付きがあるかどうかを調べた。結
果を表1に示す。
【0061】実施例4 分子中にシラノール基を有する無黄変性ポリウレタン樹
脂エマルジョン(武田薬品工業(株)製タケラックXW
−75−X35(固形分30重量%))88重量%とポ
リエチレンイミン水溶液((株)日本触媒製エポミンS
P−003(固形分98重量%)2重量%と酸化チタン
(石原産業(株)製タイペークR−780(平均粒径
0.24μm))10重量%とを用いた以外は、実施例
1と同様にして、水性ベースコーティング剤を調製し
た。
【0062】この水性ベースコーティング剤を用いた以
外は、実施例1と同様にして、帆布にインクジェット記
録を施し、これをオーバーコーティング層で被覆した。
【0063】このように印刷を施した帆布を用いて、実
施例1と同様にして、Vリブドベルトを得、これについ
て、実施例1と同様にして、帆布の表面の印刷性を評価
すると共に、印刷層の耐折曲げ性を調べた。
【0064】また、このようなベルトの製造において、
実施例1と同様に、円筒状積層加硫体を加硫缶から取り
出した後、帆布上のインク受容層(即ち、印刷層)の上
記成形ドラムへの貼り付きがあるかどうかを調べた。結
果を表1に示す。
【0065】実施例5 分子中にシラノール基を有する無黄変性ポリウレタン樹
脂エマルジョン(武田薬品工業(株)製タケラックXW
−75−X35(固形分30重量%))75重量%とカ
ルボジイミド樹脂(日清紡績(株)製カルボジライトV
−02)15重量%と酸化チタン(石原産業(株)製タ
イペークR−780(平均粒径0.24μm))10重
量%とを用いた以外は、実施例1と同様にして、水性ベ
ースコーティング剤を調製した。
【0066】この水性ベースコーティング剤を用いた以
外は、実施例1と同様にして、帆布にインクジェット記
録を施し、これをオーバーコーティング層で被覆した。
【0067】このように印刷を施した帆布を用いて、実
施例1と同様にして、Vリブドベルトを得、これについ
て、実施例1と同様にして、帆布の表面の印刷性を評価
すると共に、印刷層の耐折曲げ性を調べた。
【0068】また、このようなベルトの製造において、
実施例1と同様に、円筒状積層加硫体を加硫缶から取り
出した後、帆布上のインク受容層(即ち、印刷層)の上
記成形ドラムへの貼り付きがあるかどうかを調べた。結
果を表1に示す。
【0069】実施例6 実施例1において、オーバーコーティング剤として、常
温硬化型フッ素樹脂(スズカファイン(株)製エコフッ
素)を用いた以外は、実施例1と同様にして、帆布にイ
ンクジェット記録を施し、これをオーバーコーティング
層で被覆した。
【0070】このように印刷を施した帆布を用いて、実
施例1と同様にして、Vリブドベルトを得、これについ
て、実施例1と同様にして、帆布の表面の印刷性を評価
すると共に、印刷層の耐折曲げ性を調べた。
【0071】また、このようなベルトの製造において、
実施例1と同様に、円筒状積層加硫体を加硫缶から取り
出した後、帆布上のインク受容層(即ち、印刷層)の上
記成形ドラムへの貼り付きがあるかどうかを調べた。結
果を表1に示す。
【0072】比較例1 ゴム引きした黒色の帆布の表面に実施例1と同じ水性ベ
ースコーティング剤をワイヤーバーを用いて塗布した
後、室温で2時間放置して、手で触れても、コーティン
グ層が手に付着しない程度に半ば、乾燥させて、インク
受容層を形成した。
【0073】顔料インクジェットプリンタ(セイコーエ
プソン(株)製MC−2000)を用いて、上記インク
受容層上に文字(Y、M、C及びBk)を顔料インクジ
ェットインクにて印刷を施した後、130℃のオーブン
中で1時間加熱して、インク受容層を乾燥し、架橋、硬
化させた。
【0074】このように印刷を施した帆布を用いて、実
施例1と同様にして、Vリブドベルトを得、これについ
て、実施例1と同様にして、帆布の表面の印刷性を評価
すると共に、印刷層の耐折曲げ性を調べた。
【0075】また、このようなベルトの製造において、
実施例1と同様に、円筒状積層加硫体を加硫缶から取り
出した後、帆布上のインク受容層(即ち、印刷層)の上
記成形ドラムへの貼り付きがあるかどうかを調べた。結
果を表1に示す。
【0076】比較例2 実施例1と同じ分子中にシラノール基を有する無黄変性
ポリウレタン樹脂エマルジョン85重量%と自己乳化性
ポリイソシアネート水分散体(武田薬品工業(株)製タ
ケネートWD−725)10重量%と酸化チタン5重量
%を用いた以外は、実施例1と同様にして、水性ベース
コーティング剤を調製し、これを帆布の表面に塗布した
後、室温で2時間放置して、手で触れても、コーティン
グ層が手に付着しない程度に半ば、乾燥させて、インク
受容層を形成した。このインク受容層の上に実施例1と
同様にして印刷を施した後、常温で1時間、乾燥させ
た。
【0077】次に、このように印刷を施したインク受容
層の上に実施例1と同じ水性オーバーコーティング剤を
ワイヤーバーを用いて塗布して、オーバーコーティング
剤塗布層を形成した後、130℃のオーブン中で1時間
加熱して、インク受容層を架橋、硬化させると共に、上
記オーバーコーティング剤塗布層を乾燥させて、オーバ
ーコーティング層を形成した。
【0078】このように印刷を施した帆布を用いて、実
施例1と同様にして、Vリブドベルトを得、これについ
て、実施例1と同様にして、帆布の表面の印刷性を評価
すると共に、印刷層の耐折曲げ性を調べた。
【0079】また、このようなベルトの製造において、
実施例1と同様に、円筒状積層加硫体を加硫缶から取り
出した後、帆布上のインク受容層(即ち、印刷層)の上
記成形ドラムへの貼り付きがあるかどうかを調べた。結
果を表1に示す。
【0080】比較例3 実施例1と同じ分子中にシラノール基を有する無黄変性
ポリウレタン樹脂エマルジョン15重量%と自己乳化性
ポリイソシアネート水分散体(武田薬品工業(株)製タ
ケネートWD−725)5重量%と酸化チタン80重量
%を用いた以外は、実施例1と同様にして、水性ベース
コーティング剤を調製し、これを帆布の表面に塗布した
後、室温で2時間放置して、手で触れても、コーティン
グ層が手に付着しない程度に半ば、乾燥させて、インク
受容層を形成した。このインク受容層の上に実施例1と
同様にして印刷を施した後、常温で1時間、乾燥させ
た。
【0081】次に、このように印刷を施したインク受容
層の上に実施例1と同じオーバーコーティング剤をワイ
ヤーバーを用いて塗布した後、130℃のオーブン中で
1時間加熱して、インク受容層を架橋、硬化させると共
に、オーバーコーティング剤塗布層を乾燥させて、オー
バーコーティング層を形成した。
【0082】このように印刷を施した帆布を用いて、実
施例1と同様にして、Vリブドベルトを得、これについ
て、実施例1と同様にして、帆布の表面の印刷性を評価
すると共に、印刷層の耐折曲げ性を調べた。
【0083】また、このようなベルトの製造において、
実施例1と同様に、円筒状積層加硫体を加硫缶から取り
出した後、帆布上のインク受容層(即ち、印刷層)の上
記成形ドラムへの貼り付きがあるかどうかを調べた。結
果を表1に示す。
【0084】
【表1】
【0085】表1に示すように、比較例1によれば、イ
ンク受容層の印刷層上にオーバーコーティング層が設け
られていないので、ベルトの製造に際して、帆布の表面
の印刷層が金型に貼り付いて、印刷層が損なわれた。
【0086】比較例2によれば、インク受容層における
酸化チタンの割合が少なすぎるので、印刷層が不鮮明で
あった。比較例3によれば、反対に、インク受容層にお
ける酸化チタンの割合が多すぎるので、ベルトを折り曲
げたとき、インク受容層が割れたり、帆布から剥離した
りした。
【0087】
【発明の効果】以上のように、本発明によるインクジェ
ット記録品は、基材上にインク受容層とこのインク受容
層にインクジェット記録によって形成された印刷層とこ
の印刷層上に形成されたオーバーコーティング層とをこ
の順序で積層してなり、上記インク受容層は、分子中に
シラノール基を有するポリウレタン樹脂を架橋剤にて架
橋してなる樹脂層からなるので、それ自体、耐水性と耐
摩擦性にすぐれており、更に、印刷層は、上記オーバー
コーティング層によって被覆、保護されているのみなら
ず、印刷層を形成する顔料がインク受容層中に接着、固
定されているので、印刷層もまた、耐水性と耐摩擦性に
すぐれている。
【0088】特に、本発明によれば、基材の表面が着色
されている場合であっても、インクジェット記録によっ
て、その表面に耐水性と耐摩擦性にすぐれる濃色で鮮明
なフルカラー印刷層を形成することができる。
【0089】更に、本発明によれば、帆布の表面にこの
ようにしてインクジェット記録を行った後、この帆布を
補強材又は保護材として用いて、ベルトを製造すること
によって、インクジェット記録層が加硫中に金型に貼り
付くことなく、生産性よく、帆布の表面にインクジェッ
ト記録によるフルカラー印刷層を有するベルトを製造す
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B41M 5/00 D06P 5/08 A D06P 5/08 Z 5/20 B 5/20 C B41J 3/04 101Y 101Z Fターム(参考) 2C056 EA13 FB01 FB02 FB03 FB04 FC02 HA42 HA46 2H086 BA01 BA02 BA05 BA15 BA22 BA33 BA36 BA37 4H057 AA02 CA21 CA37 CA38 CB09 CC01 CC03 DA01 DA34 GA06 HA01 JA10 JB01 JB03

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基材上にインク受容層とこのインク受容層
    にインクジェット記録によって形成された印刷層とこの
    印刷層上に形成されたオーバーコーティング層とをこの
    順序で積層してなるインクジェット記録層を有するイン
    クジェット記録品において、上記インク受容層が分子中
    にシラノール基を有するポリウレタン樹脂を架橋剤にて
    架橋してなる樹脂層からなり、上記オーバーコーティン
    グ層が樹脂層からなることを特徴とするインクジェット
    記録品。
  2. 【請求項2】少なくともその表面が着色されている基材
    上にインク受容層とこのインク受容層にインクジェット
    記録によって形成された印刷層とこの印刷層上に形成さ
    れたオーバーコーティング層とをこの順序で積層してな
    るインクジェット記録層を有するインクジェット記録品
    において、上記インク受容層が分子中にシラノール基を
    有するポリウレタン樹脂を架橋剤にて架橋してなると共
    に、酸化チタン10〜70重量%を含む樹脂層からな
    り、上記オーバーコーティング層が樹脂層からなること
    を特徴とするインクジェット記録品。
  3. 【請求項3】架橋剤がポリイソシアネート、ポリエチレ
    ンイミン及びカルボジイミド樹脂から選ばれるものであ
    る請求項1又は2に記載のインクジェット記録品。
  4. 【請求項4】オーバーコーティング層がポリアミド樹
    脂、フッ素樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ア
    クリル樹脂、ポリウレタン樹脂又は紫外線硬化型樹脂か
    らなる樹脂層である請求項1から3のいずれかに記載の
    インクジェット記録品。
  5. 【請求項5】分子中にシラノール基を有するポリウレタ
    ン樹脂の水性エマルジョンに架橋剤を配合してなる水性
    ベースコーティング剤を基材上に塗布し、半ば、乾燥さ
    せて、インクジェット記録用インク受容層とし、このイ
    ンク受容層にインクジェット記録を行って、印刷層を形
    成した後、樹脂層からなるオーバーコーティング層を形
    成し、次いで、加熱して、上記インク受容層を架橋、硬
    化させることを特徴とするインクジェット記録品の製造
    方法。
  6. 【請求項6】少なくともその表面が着色されている基材
    上に、分子中にシラノール基を有するポリウレタン樹脂
    の水性エマルジョンに架橋剤と酸化チタンを配合してな
    る水性ベースコーティング剤を塗布し、半ば、乾燥させ
    て、酸化チタン10〜70重量%を含むインクジェット
    記録用インク受容層とし、このインク受容層にインクジ
    ェット記録を行って、印刷層を形成した後、樹脂層から
    なるオーバーコーティング層を形成し、次いで、加熱し
    て、上記インク受容層を架橋、硬化させることを特徴と
    するインクジェット記録品の製造方法。
  7. 【請求項7】少なくともその表面が着色されている基材
    上に、分子中にシラノール基を有するポリウレタン樹脂
    の水性エマルジョンに架橋剤と酸化チタンを配合してな
    る水性ベースコーティング剤を塗布し、半ば、乾燥させ
    て、酸化チタン10〜70重量%を含むインクジェット
    記録用インク受容層とし、このインク受容層にインクジ
    ェット記録を行って、印刷層を形成した後、樹脂の溶液
    からなるオーバーコーティング剤を上記印刷層を有する
    インク受容層の上に塗布して、オーバーコーティング剤
    塗布層を形成し、次いで、加熱して、上記インク受容層
    を架橋、硬化させると共に、上記オーバーコーティング
    剤塗布層を乾燥させて、オーバーコーティング層を形成
    させることを特徴とするインクジェット記録品の製造方
    法。
  8. 【請求項8】架橋剤がポリイソシアネート、ポリエチレ
    ンイミン及びカルボジイミド樹脂から選ばれるものであ
    る請求項5から7のいずれかに記載のインクジェット記
    録品の製造方法。
  9. 【請求項9】オーバーコーティング層がポリアミド樹
    脂、フッ素樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ア
    クリル樹脂、ポリウレタン樹脂又は紫外線硬化型樹脂か
    らなる樹脂層である請求項5から8のいずれかに記載の
    インクジェット記録品の製造方法。
  10. 【請求項10】帆布の表面にインク受容層とこのインク
    受容層にインクジェット記録によって形成された印刷層
    とこの印刷層上に形成されたオーバーコーティング層と
    をこの順序で積層してなるベルトであって、上記インク
    ジェット記録層が分子中にシラノール基を有するポリウ
    レタン樹脂を架橋剤にて架橋してなると共に、酸化チタ
    ン10〜70重量%を含み、上記オーバーコーティング
    層が樹脂層からなることを特徴とするベルト。
  11. 【請求項11】架橋剤がポリイソシアネート、ポリエチ
    レンイミン及びカルボジイミド樹脂から選ばれるもので
    ある請求項10に記載のベルト。
  12. 【請求項12】オーバーコーティング層がポリアミド樹
    脂、フッ素樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ア
    クリル樹脂、ポリウレタン樹脂又は紫外線硬化型樹脂か
    らなる樹脂層である請求項10又は11に記載のベル
    ト。
  13. 【請求項13】着色された帆布の表面に、分子中にシラ
    ノール基を有するポリウレタン樹脂の水性エマルジョン
    に架橋剤を配合してなる水性ベースコーティング剤を塗
    布し、半ば、乾燥させて、インクジェット記録用インク
    受容層とし、このインク受容層にインクジェット記録を
    行って、印刷層を形成した後、樹脂の溶液からなるオー
    バーコーティング剤を上記印刷層を有するインクジェッ
    ト記録用インク受容層の上に塗布して、オーバーコーテ
    ィング剤塗布層を形成し、次いで、加熱して、上記イン
    クジェット記録用インク受容層を架橋、硬化させると共
    に、上記オーバーコーティング剤塗布層を乾燥させて、
    オーバーコーティング層を形成し、この後、このような
    印刷層を表面に有する帆布と接着ゴム層のための未加硫
    ゴムシートと心線と底ゴム層のための未加硫ゴムシート
    を含む積層体を加硫缶にて加熱加圧加硫することを特徴
    とするベルトの製造方法。
  14. 【請求項14】架橋剤がポリイソシアネート、ポリエチ
    レンイミン及びカルボジイミド樹脂から選ばれるもので
    ある請求項13に記載のベルトの製造方法。
  15. 【請求項15】オーバーコーティング層がポリアミド樹
    脂、フッ素樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ア
    クリル樹脂、ポリウレタン樹脂又は紫外線硬化型樹脂か
    らなる樹脂層である請求項13又は14に記載のベルト
    の製造方法。
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