JP2004276569A - インクジェット記録品とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】インクジェット記録用受容層に水性顔料インクジェットインクを用いてインクジェット記録してなる記録品でありながら、記録画像の耐水性と耐摩擦性と屈曲性にすぐれるインクジェット記録品を提供する。
【解決手段】インク受容層とこのインク受容層上に水性顔料インクを用いてインクジェット記録によって形成された画像を基材上に有するインクジェット記録品において、上記インク受容層が分子中にシラノール基を有するポリウレタン樹脂を架橋、硬化させてなると共に、上記画像を形成する顔料インク成分が上記インク受容層中に少なくとも一部侵入して、捕捉、固定されていることを特徴とするインクジェット記録品。
【選択図】なし
【解決手段】インク受容層とこのインク受容層上に水性顔料インクを用いてインクジェット記録によって形成された画像を基材上に有するインクジェット記録品において、上記インク受容層が分子中にシラノール基を有するポリウレタン樹脂を架橋、硬化させてなると共に、上記画像を形成する顔料インク成分が上記インク受容層中に少なくとも一部侵入して、捕捉、固定されていることを特徴とするインクジェット記録品。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録品とその製造方法に関し、詳しくは、インクジェット記録用受容層に水性顔料インク(インクジェット用水性顔料インク、以下、同じ。)を用いてインクジェット記録してなる記録品でありながら、記録画像が耐水性と耐摩擦性と耐屈曲性にすぐれ、かくして、例えば、屋外の大型のポスターほか、情報開示等、工業や商業用途に好適であるインクジェット記録品とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録は、ノズルからインクを噴射して、例えば、紙、合成樹脂シートやフィルム、金属等からなる被記録材にインクを付着させて、所要の文字や画像を記録する記録方式である。このようなインクジェット記録は、フルカラー記録が容易であり、印字騒音が低いこともあって、近年、急速に普及しつつある。
【0003】
このようなインクジェット記録においては、インクは、溶剤型のものは、乾燥して、ノズルが詰まりやすく、また、環境保全の点からも問題があるので、従来、水性インクが一般に用いられており、着色剤としては、染料や顔料、これらの混合物が用いられている。特に、顔料インクは、染料インクに比べて、耐候性にすぐれるところから、最近、例えば、大型ポスター等の屋外用途等の工業や商業用途に適するとして、その使用が広がっている。
【0004】
しかし、顔料インクは、染料インクと相違し、顔料インク成分をインク受容層に捕捉するために、通常、インク受容層は、例えば、シリカ、アルミナ等の無機微粒子を多量に用いて、少なくともその表面を多孔質構造とする必要がある。従って、従来、顔料インクを用いるインクジェット記録品は、その記録画像が耐摩擦性に劣る問題がある。
【0005】
また、従来、インクジェット記録用顔料インクは、上述したように水性のものが用いられており、従って、インク受容層もまた、親水性乃至水溶性の樹脂がバインダーとして用いられている。かくして、水性顔料インクを用いた従来のインクジェット記録画像は、耐水性が乏しく、また、水中における耐摩擦性に劣る問題がある。
【0006】
インク受容層が白色の場合には、シリカ、炭酸カルシウム等の無機微粒子を受容層中に配合して、受容層を多孔質構造とすることによって、受容層に顔料インクを容易に捕捉させることができる。また、着色された基材上に隠蔽性を有する受容層を形成し、この受容層上にフルカラーのインクジェット画像を形成したインクジェット記録品も既に知られている(例えば、特許文献1参照)。しかし、基材が透明であったり、意匠を有する場合には、隠蔽性が却って基材の特色を失わしめ、特に、屋外広告材に適用できないという問題があった。しかし、インクジェットインク受容層を透明としたい場合には、上記無機微粒子として用いる材料は、アルミナに限られるが、アルミナを用いてなる受容層へのインクジェット記録は、依然として、水中における耐摩擦性に劣る問題がある。
【0007】
【特許文献1】特開2003−25718号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来のインクジェット記録における上述したような問題を解決するためになされたものであって、特に、インク受容層に水性顔料インクを用いてインクジェット記録してなる記録品でありながら、記録画像が耐水性と耐摩擦性と耐屈曲性にすぐれ、かくして、例えば、屋外の大型のポスターほか、工業や商業用途に好適であり、そのうえ、インク受容層が透明であるので、基材自体の有する意匠のほか、金属であれば、その光沢、また、木材であれば、その木目等を顔料インク層からなるインクジェット記録画像の背景として活かすことができるインクジェット記録品を提供することを目的とし、更に、そのようなインクジェット記録品の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、インク受容層とこのインク受容層上に水性顔料インクを用いてインクジェット記録によって形成された画像を基材上に有するインクジェット記録品において、上記インク受容層が分子中にシラノール基を有するポリウレタン樹脂を架橋、硬化させてなると共に、上記画像を形成する顔料インク成分が上記インク受容層中に少なくとも一部侵入して、捕捉、固定されていることを特徴とするインクジェット記録品が提供される。
【0010】
また、本発明によれば、上記画像を有するインク受容層が樹脂からなるオーバーコーティング層によって被覆されているインクジェット記録品が提供される。
【0011】
更に、本発明によれば、インク受容層とこのインク受容層上に水性顔料インクを用いてインクジェット記録によって形成された画像を基材上に有するインクジェット記録品の製造方法において、分子中にシラノール基を有するポリウレタン樹脂の水性エマルジョンからなるコーティング剤を基材上に塗布し、常温で乾燥させて、インク受容層とし、このインク受容層に水性顔料インクを用いてインクジェット記録を行って、画像を形成した後、加熱して、上記画像を形成する顔料インク成分を上記受容層に固定させると共に、インク受容層を硬化させ、次に、樹脂を含むオーバーコーティング剤を上記画像を有するインク受容層上に塗布し、乾燥させ、加熱して、オーバーコーティング層を形成することを特徴とするインクジェット記録品の製造方法が提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明によるインクジェット記録品は、インク受容層とこのインク受容層上に水性顔料インクを用いてインクジェット記録によって形成された画像を基材上に有するインクジェット記録品において、上記インク受容層が分子中にシラノール基を有するポリウレタン樹脂を架橋、硬化させてなると共に、上記画像を形成する顔料インク成分が上記インク受容層に固定されてなるものである。
【0013】
本発明によれば、このようなインクジェット記録品は、インク受容層とこのインク受容層上に水性顔料インクを用いてインクジェット記録によって形成された画像を基材上に有するインクジェット記録品の製造方法において、分子中にシラノール基を有する無黄変タイプのポリウレタン樹脂の水性エマルジョンからなる水性コーティング剤を基材上に塗布し、常温で乾燥させて、インク受容層とし、このインク受容層上に水性顔料インクを用いてインクジェット記録を行って、画像を形成した後、加熱して、インク受容層を軟化させ、上記画像を形成する顔料インク成分を上記受容層に少なくとも一部侵入させ、捕捉、固定させると共に、インク受容層(即ち、ポリウレタン樹脂)を硬化させ、次に、樹脂を含むオーバーコーティング剤を上記画像を有する面上に塗布し、乾燥させ、加熱して、オーバーコーティング層を形成し、かくして、インクジェット記録品を得ることができる。
【0014】
従って、本発明によれば、インク受容層は、無黄変タイプのポリウレタンからなり、実質的に透明であり、通常、70%以上の光透過率を有する。
【0015】
本発明において、基材は、特に、限定されるものではないが、例えば、紙、プラスチックフィルムやシート、ゴム(エラストマー)シート、ガラス板を含む種々のセラミックシート、帆布を含む種々の布帛、板、金属の箔やシ−ト、種々のこれらの積層体等を挙げることができるが、しかし、透明であるものが好ましい。
【0016】
上記分子中にシラノール基を有するポリウレタン樹脂は、エマルジョンとして市販品を入手することができる。また、そのようなエマルジョンの製造方法は、例えば、特開平9−12864号公報に記載されている。
【0017】
本発明においては、上記シラノール基を有するポリウレタン樹脂は、無黄変性のものであることが透明性を保持する点で好ましい。ポリウレタン樹脂の黄変化は、ポリイソシアネート成分に芳香族ポリイソシアネートを用いたときに起こるとされており、従って、本発明において、上記無黄変性のポリウレタン樹脂とは、ポリイソシアネートとして、脂肪族や脂環族のポリイソシアネートを用いて得られるものをいう。
【0018】
上記脂肪族や脂環族のポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素化4,4’−ジフェニルジイソシアネート(HMDI)、水素化トリレンジイソシアネート(HTDI)、リジンジイソシアネート、イソプロピリデンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)等を挙げることができる。しかし、これらに限定されるものではない。
【0019】
また、上記シラノール基を有するポリウレタン樹脂を得るために用いられるポリオールも、特に、限定されるものではないが、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエーテルポリエステルポリオール、ポリエステルアミドポリオール、アクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリヒドロキシアルカン、ポリウレタンポリオール、ヒマシ油等を挙げることができる。
【0020】
本発明においては、インク受容層は、必要に応じて、上記ポリウレタン樹脂以外の樹脂を含んでいてもよい。また、必要に応じて、インク受容層を多孔質にするために、無機微粒子を含んでいてもよい。このような無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム等を挙げることができる。しかし、インク受容層に無機微粒子を含有させるときは、インク受容層の光透過率を70%以上とするように、その含有率を調整することが好ましい。更に、必要に応じて、インク受容層に消泡剤、レベリング剤等を含有させてもよい。
【0021】
本発明によれば、更に、インク受容層にカチオン性重合体を含有させることもできる。このカチオン性重合体としては、例えば、ポリアリルアミンやポリエチレンイミン、それらの第4級アンモニウム誘導体、アミノ基や第4級アンモニウム基を共モノマーとして有するアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル共重合体等を挙げることができるが、しかし、これらに限定されるものではない。このように、インク受容層にカチオン性重合体を含有させるときも、インク受容層の光透過率を70%以上とするように、その含有率を調整することが好ましい。
【0022】
本発明において、水性顔料インクは、顔料をバインダー樹脂である熱可塑性樹脂と共に水性溶剤(即ち、水のほか、水溶性脂肪族低級アルコール類等)中に分散させてなるものであり、上記以外の成分として、ノニオンやアニオン界面活性剤からなる分散剤、保湿剤、浸透剤、pH調整剤、防腐防かび剤、キレート剤等を含有していてもよい。
【0023】
顔料としては、カーボンブラック(ブラック)、銅フタロシアニン(シアン)、ジメチルキナクリドン(マゼンタ)、ピグメント・イエロー(イエロー)等が用いられるが、既に、種々の顔料が知られており、上記に限定されるものではない。
【0024】
本発明によれば、上述したように、分子中にシラノール基を有するポリウレタン樹脂の水性エマルジョンからなるコーティング剤を基材上に塗布し、常温で乾燥させ、好ましくは、半ば、乾燥させて、インク受容層を形成し、次いで、このように半ば、乾燥状態のインク受容層上に水性顔料インクにてインクジェット記録を行って、画像を形成した後、加熱することによって、上記インク受容層の少なくとも表面層を軟化乃至溶融させて、上記画像を形成するインク成分(即ち、顔料とバインダー樹脂からなる粒状体)をインク受容層中に少なくとも一部侵入させると共に、上記インク受容層を形成するポリウレタン樹脂をそのシラノール基によって架橋、硬化させ、水不溶性とする。
【0025】
本発明によるこのような記録層の形成を図面によって模式的に説明すれば、図1に示すように、インク受容層1上にインクジェットによって顔料インク成分2からなる画像3を付着させた後、加熱して、上記インク受容層の少なくとも表面層を軟化乃至溶融させることによって、図2に示すように、顔料インク成分2は少なくとも一部がインク受容層1中に侵入し、インク受容層は、それが有するシラノール基の反応によって架橋し、硬化すると共に、基材及び顔料インク成分と強固に結合する。
【0026】
かくして、本発明によれば、画像を形成する顔料インク成分は、架橋、硬化したポリウレタン樹脂からなるインク受容層中に少なくとも一部侵入して、物理的及び化学的に捕捉され、固定されるので、そのような顔料インク成分からなるインクジェット記録画像は、耐水性にすぐれ、更に、水中での耐摩擦性にすぐれている。
【0027】
本発明によれば、画像を有するインク受容層は、オーバーコーティング層で被覆するのが好ましい。このようなオーバーコーティング層は、例えば、インク受容層に画像を固定した後、分子中にシラノール基を有するポリウレタン樹脂の水性エマルジョンに水分散性ポリイソシアネートのような架橋剤を配合してなる水性オーバーコーティング剤を上記画像を有するインク受容層上に塗布し、乾燥させ、加熱して、架橋、硬化させることによって形成することができる。
【0028】
オーバーコーティング液に含まれる樹脂としては、分子中にシラノール基を有するポリウレタン樹脂が好ましく、インク受容層を形成するのと同様の水性エマルジョンが好ましい。しかし、オーバーコーティング剤にベースとして含まれる樹脂は、上記ポリウレタン樹脂に限られず、例えば、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂等からなる樹脂であってもよい。
【0029】
更に、顔料インク層を固定すると同時にオーバーコーティング層を形成することもできる。即ち、分子中にシラノール基を有するポリウレタン樹脂の水性エマルジョンからなる水性コーティング剤を基材上に塗布し、半ば、乾燥させて、インク受容層とし、このインク受容層にインクジェット記録を行って、画像を形成した後、分子中にシラノール基を有するポリウレタン樹脂の水性エマルジョンに水分散性ポリイソシアネートのような架橋剤を配合してなる水性オーバーコーティング剤を上記画像を有するインク受容層上に塗布して、オーバーコーティング剤塗布層を形成し、この後、加熱して、前記インク受容層を架橋、硬化させると共に、上記オーバーコーティング剤塗布層を架橋、硬化させて、オーバーコーティング層を形成するのである。
【0030】
【発明の効果】
かくして、本発明によるインクジェット記録品においては、インク受容層は、架橋硬化した水不溶性のポリウレタン樹脂からなり、そのようなインク受容層に画像を形成する顔料インク成分が少なくとも一部、侵入し、捕捉、固定されているので、記録画像は、耐水性や耐摩擦性にすぐれ、特に、水中での耐摩擦性にすぐれている。
【0031】
更に、本発明のインクジェット記録品においては、インク受容層が透明であるので、基材自体の有する透明性や意匠のほか、金属であれば、その光沢、また、木材であれば、その木目等を顔料インク層からなるインクジェット記録画像の背景として活かすことができる。
【0032】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。以下において、ポリウレタン樹脂エマルジョンの使用量は固形分換算である。
【0033】
実施例1
分子中にシラノール基を有する無黄変性ポリウレタン樹脂エマルジョン(武田薬品工業(株)製タケラックXW−75−X35(固形分30重量%)からなる水性コーティング剤を0.3mm厚さのアルミニウム板上に厚み40μmに塗布して、コーティング層を形成した後、室温で2時間放置して、手で触れても、このコーティング層が手に付着しない程度に半ば、乾燥させて、インク受容層を形成した。上記と同じ厚さのインク受容層をガラス板上に形成して、その光透過率を輝度メ−タ−にて測定したところ、95%であった。
【0034】
顔料インクジェットプリンタ(セイコーエプソン(株)製MC−2000)を用いて、上記インク受容層上に文字(Y、M、C及びBk)を水性顔料インクにて印刷を施した後、120℃のオーブン中で20分間加熱して、インクジェット記録品を得た。
【0035】
このようにして得られたインクジェット記録品について、下記のようにして、インクジェット画像の特性を評価すると共に、インクジェット画像の耐水性と水中での耐摩擦性を調べた。結果を表1に示す。
【0036】
インクジェット画像の特性
日本規格協会の画像デ−タN2A(JIS X 9201−1995準拠)をインクジェット記録して、画像における滲みの有無を調べた。滲みがないときを「良好」とした。
【0037】
耐水性
得られたインクジェット記録品を水中に3時間浸漬して、画像においてインクの流れがないかどうかを目視にて調べて、インクの流れがないときを○、インクの流れがあるときを×とした。
【0038】
水中での耐摩擦性
得られたインクジェット記録品を水中に3時間浸漬した後、水中で画像を指で擦り、インク画像に流れや滲みが生じたかどうか、また、インク画像が薄くなったかどうか、即ち、画像欠陥が生じたかどうかを目視にて調べて、画像に変化がないときを○、画像に画像欠陥が生じたときを×とした。
【0039】
実施例2
分子中にシラノール基を有する無黄変性ポリウレタン樹脂エマルジョン(武田薬品工業(株)製タケラックXW−75−X35(固形分30重量%)97重量部にシリカ微粒子(日本アエロジル(株)製)3重量部を混合して、水性コーティング剤とした。これを0.3mm厚さのアルミニウム板上に厚み40μmに塗布して、コーティング層を形成した後、室温で2時間放置して、手で触れても、このコーティング層が手に付着しない程度に半ば、乾燥させて、インク受容層を形成した。上記と同じ厚さのインク受容層をガラス板上に形成して、その光透過率を輝度メ−タ−にて測定したところ、70%であった。
【0040】
顔料インクジェットプリンタ(セイコーエプソン(株)製MC−2000)を用いて、上記インク受容層上に文字(Y、M、C及びBk)を水性顔料インクにて印刷を施した後、120℃のオーブン中で20分間加熱して、インクジェット記録品を得た。
【0041】
このようにして得られたインクジェット記録品について、実施例1と同様にして、インクジェット記録の画像特性を評価した。結果を表1に示す。
【0042】
実施例3
分子中にシラノール基を有する無黄変性ポリウレタン樹脂エマルジョン(武田薬品工業(株)製タケラックXW−75−X35(固形分30重量%)90重量部にカチオン性重合体(日東紡績(株)製PAA−D11−HCL)10重量部を混合して、水性コーティング剤とした。これを0.3mm厚さのアルミニウム板上に厚み40μmに塗布して、コーティング層を形成した後、室温で2時間放置して、手で触れても、コーティング層が手に付着しない程度に半ば、乾燥させて、インク受容層を形成した。上記と同じ厚さのインク受容層をガラス板上に形成して、その光透過率を輝度メ−タ−にて測定したところ、90%であった。
【0043】
顔料インクジェットプリンタ(セイコーエプソン(株)製MC−2000)を用いて、上記インク受容層上に文字(Y、M、C及びBk)を水性顔料インクにて印刷を施した後、120℃のオーブン中で20分間加熱して、インクジェット記録品を得た。
【0044】
このようにして得られたインクジェット記録品について、実施例1と同様にして、インクジェット画像の特性を評価した。結果を表1に示す。
【0045】
実施例4
ポリアミド樹脂(東洋紡績(株)製パイロマックスT100)をテトラヒドロフランに溶解させて、固形分75重量%のオーバーコーティング剤を調製した。実施例1と同様にして、アルミニウム板上にインク受容層を形成し、これに実施例1と同様にして、文字(Y、M、C及びBk)を水性顔料インクジェットインクにて印刷を施した後、120℃のオーブン中で20分間加熱して、インクジェット記録品を得た。
【0046】
次に、このようにインクジェット記録画像を形成したインク受容層の上に上記オーバーコーティング剤をワイヤーバーを用いて塗布して、オーバーコーティング剤塗布層を形成した後、130℃のオーブン中で1時間加熱して、上記オーバーコーティング剤塗布層を乾燥させて、オーバーコーティング層を形成した。
【0047】
このようにして得られたインクジェット記録品について、実施例1と同様にして、インクジェット画像の特性を評価した。結果を表1に示す。
【0048】
比較例1
実施例1において、ポリウレタン樹脂エマルジョンとして、分子中にシラノ−ル基をもたないポリウレタン樹脂エマルジョン(武田薬品工業(株)製株タケラックW−105)を用いた以外は、実施例1と同様にして、インクジェット記録品を得、これについて、実施例1と同様にして、インクジェット画像の特性を評価した。結果を表1に示す。
【0049】
比較例2
アルミナ微粒子をバインダー樹脂を用いて基材の表面に固着して、表面に多孔質構造を有せしめた市販のインクジェット記録紙を用いた以外は、実施例1と同様にして、インクジェット記録品を得、これについて、実施例1と同様にして、インクジェット画像の特性を評価した。結果を表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
比較例1のインクジェット記録品においては、インク受容層を形成しているポリウレタン樹脂がシラノール基をもたず、加熱によっても、自体が架橋、硬化することができないので、インクジェット記録画像は耐水性や耐摩擦性に劣る。また、市販のインクジェット記録紙を用いて得られた比較例2によるインクジェット記録品においては、顔料インク成分は、インク受容層の表面のアルミナ微粒子に捕捉されているのみであり、水中においては、インク受容層が耐水性に劣ることから、インクジェット記録画像を水中で摩擦すれば、顔料インク成分はインク受容層から容易に剥離し、かくして、水中での耐摩擦性に劣る。
【0052】
これに対して、本発明のインクジェット記録品によれば、耐水性及び水中での耐摩擦性にすぐれている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による顔料インク層の形成を模式的に説明する図である。
【図2】本発明による顔料インク層の形成を模式的に説明する図である。
【符号の説明】
1…インク受容層
2…顔料インク成分
3…画像
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録品とその製造方法に関し、詳しくは、インクジェット記録用受容層に水性顔料インク(インクジェット用水性顔料インク、以下、同じ。)を用いてインクジェット記録してなる記録品でありながら、記録画像が耐水性と耐摩擦性と耐屈曲性にすぐれ、かくして、例えば、屋外の大型のポスターほか、情報開示等、工業や商業用途に好適であるインクジェット記録品とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録は、ノズルからインクを噴射して、例えば、紙、合成樹脂シートやフィルム、金属等からなる被記録材にインクを付着させて、所要の文字や画像を記録する記録方式である。このようなインクジェット記録は、フルカラー記録が容易であり、印字騒音が低いこともあって、近年、急速に普及しつつある。
【0003】
このようなインクジェット記録においては、インクは、溶剤型のものは、乾燥して、ノズルが詰まりやすく、また、環境保全の点からも問題があるので、従来、水性インクが一般に用いられており、着色剤としては、染料や顔料、これらの混合物が用いられている。特に、顔料インクは、染料インクに比べて、耐候性にすぐれるところから、最近、例えば、大型ポスター等の屋外用途等の工業や商業用途に適するとして、その使用が広がっている。
【0004】
しかし、顔料インクは、染料インクと相違し、顔料インク成分をインク受容層に捕捉するために、通常、インク受容層は、例えば、シリカ、アルミナ等の無機微粒子を多量に用いて、少なくともその表面を多孔質構造とする必要がある。従って、従来、顔料インクを用いるインクジェット記録品は、その記録画像が耐摩擦性に劣る問題がある。
【0005】
また、従来、インクジェット記録用顔料インクは、上述したように水性のものが用いられており、従って、インク受容層もまた、親水性乃至水溶性の樹脂がバインダーとして用いられている。かくして、水性顔料インクを用いた従来のインクジェット記録画像は、耐水性が乏しく、また、水中における耐摩擦性に劣る問題がある。
【0006】
インク受容層が白色の場合には、シリカ、炭酸カルシウム等の無機微粒子を受容層中に配合して、受容層を多孔質構造とすることによって、受容層に顔料インクを容易に捕捉させることができる。また、着色された基材上に隠蔽性を有する受容層を形成し、この受容層上にフルカラーのインクジェット画像を形成したインクジェット記録品も既に知られている(例えば、特許文献1参照)。しかし、基材が透明であったり、意匠を有する場合には、隠蔽性が却って基材の特色を失わしめ、特に、屋外広告材に適用できないという問題があった。しかし、インクジェットインク受容層を透明としたい場合には、上記無機微粒子として用いる材料は、アルミナに限られるが、アルミナを用いてなる受容層へのインクジェット記録は、依然として、水中における耐摩擦性に劣る問題がある。
【0007】
【特許文献1】特開2003−25718号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来のインクジェット記録における上述したような問題を解決するためになされたものであって、特に、インク受容層に水性顔料インクを用いてインクジェット記録してなる記録品でありながら、記録画像が耐水性と耐摩擦性と耐屈曲性にすぐれ、かくして、例えば、屋外の大型のポスターほか、工業や商業用途に好適であり、そのうえ、インク受容層が透明であるので、基材自体の有する意匠のほか、金属であれば、その光沢、また、木材であれば、その木目等を顔料インク層からなるインクジェット記録画像の背景として活かすことができるインクジェット記録品を提供することを目的とし、更に、そのようなインクジェット記録品の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、インク受容層とこのインク受容層上に水性顔料インクを用いてインクジェット記録によって形成された画像を基材上に有するインクジェット記録品において、上記インク受容層が分子中にシラノール基を有するポリウレタン樹脂を架橋、硬化させてなると共に、上記画像を形成する顔料インク成分が上記インク受容層中に少なくとも一部侵入して、捕捉、固定されていることを特徴とするインクジェット記録品が提供される。
【0010】
また、本発明によれば、上記画像を有するインク受容層が樹脂からなるオーバーコーティング層によって被覆されているインクジェット記録品が提供される。
【0011】
更に、本発明によれば、インク受容層とこのインク受容層上に水性顔料インクを用いてインクジェット記録によって形成された画像を基材上に有するインクジェット記録品の製造方法において、分子中にシラノール基を有するポリウレタン樹脂の水性エマルジョンからなるコーティング剤を基材上に塗布し、常温で乾燥させて、インク受容層とし、このインク受容層に水性顔料インクを用いてインクジェット記録を行って、画像を形成した後、加熱して、上記画像を形成する顔料インク成分を上記受容層に固定させると共に、インク受容層を硬化させ、次に、樹脂を含むオーバーコーティング剤を上記画像を有するインク受容層上に塗布し、乾燥させ、加熱して、オーバーコーティング層を形成することを特徴とするインクジェット記録品の製造方法が提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明によるインクジェット記録品は、インク受容層とこのインク受容層上に水性顔料インクを用いてインクジェット記録によって形成された画像を基材上に有するインクジェット記録品において、上記インク受容層が分子中にシラノール基を有するポリウレタン樹脂を架橋、硬化させてなると共に、上記画像を形成する顔料インク成分が上記インク受容層に固定されてなるものである。
【0013】
本発明によれば、このようなインクジェット記録品は、インク受容層とこのインク受容層上に水性顔料インクを用いてインクジェット記録によって形成された画像を基材上に有するインクジェット記録品の製造方法において、分子中にシラノール基を有する無黄変タイプのポリウレタン樹脂の水性エマルジョンからなる水性コーティング剤を基材上に塗布し、常温で乾燥させて、インク受容層とし、このインク受容層上に水性顔料インクを用いてインクジェット記録を行って、画像を形成した後、加熱して、インク受容層を軟化させ、上記画像を形成する顔料インク成分を上記受容層に少なくとも一部侵入させ、捕捉、固定させると共に、インク受容層(即ち、ポリウレタン樹脂)を硬化させ、次に、樹脂を含むオーバーコーティング剤を上記画像を有する面上に塗布し、乾燥させ、加熱して、オーバーコーティング層を形成し、かくして、インクジェット記録品を得ることができる。
【0014】
従って、本発明によれば、インク受容層は、無黄変タイプのポリウレタンからなり、実質的に透明であり、通常、70%以上の光透過率を有する。
【0015】
本発明において、基材は、特に、限定されるものではないが、例えば、紙、プラスチックフィルムやシート、ゴム(エラストマー)シート、ガラス板を含む種々のセラミックシート、帆布を含む種々の布帛、板、金属の箔やシ−ト、種々のこれらの積層体等を挙げることができるが、しかし、透明であるものが好ましい。
【0016】
上記分子中にシラノール基を有するポリウレタン樹脂は、エマルジョンとして市販品を入手することができる。また、そのようなエマルジョンの製造方法は、例えば、特開平9−12864号公報に記載されている。
【0017】
本発明においては、上記シラノール基を有するポリウレタン樹脂は、無黄変性のものであることが透明性を保持する点で好ましい。ポリウレタン樹脂の黄変化は、ポリイソシアネート成分に芳香族ポリイソシアネートを用いたときに起こるとされており、従って、本発明において、上記無黄変性のポリウレタン樹脂とは、ポリイソシアネートとして、脂肪族や脂環族のポリイソシアネートを用いて得られるものをいう。
【0018】
上記脂肪族や脂環族のポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素化4,4’−ジフェニルジイソシアネート(HMDI)、水素化トリレンジイソシアネート(HTDI)、リジンジイソシアネート、イソプロピリデンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)等を挙げることができる。しかし、これらに限定されるものではない。
【0019】
また、上記シラノール基を有するポリウレタン樹脂を得るために用いられるポリオールも、特に、限定されるものではないが、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエーテルポリエステルポリオール、ポリエステルアミドポリオール、アクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリヒドロキシアルカン、ポリウレタンポリオール、ヒマシ油等を挙げることができる。
【0020】
本発明においては、インク受容層は、必要に応じて、上記ポリウレタン樹脂以外の樹脂を含んでいてもよい。また、必要に応じて、インク受容層を多孔質にするために、無機微粒子を含んでいてもよい。このような無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム等を挙げることができる。しかし、インク受容層に無機微粒子を含有させるときは、インク受容層の光透過率を70%以上とするように、その含有率を調整することが好ましい。更に、必要に応じて、インク受容層に消泡剤、レベリング剤等を含有させてもよい。
【0021】
本発明によれば、更に、インク受容層にカチオン性重合体を含有させることもできる。このカチオン性重合体としては、例えば、ポリアリルアミンやポリエチレンイミン、それらの第4級アンモニウム誘導体、アミノ基や第4級アンモニウム基を共モノマーとして有するアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル共重合体等を挙げることができるが、しかし、これらに限定されるものではない。このように、インク受容層にカチオン性重合体を含有させるときも、インク受容層の光透過率を70%以上とするように、その含有率を調整することが好ましい。
【0022】
本発明において、水性顔料インクは、顔料をバインダー樹脂である熱可塑性樹脂と共に水性溶剤(即ち、水のほか、水溶性脂肪族低級アルコール類等)中に分散させてなるものであり、上記以外の成分として、ノニオンやアニオン界面活性剤からなる分散剤、保湿剤、浸透剤、pH調整剤、防腐防かび剤、キレート剤等を含有していてもよい。
【0023】
顔料としては、カーボンブラック(ブラック)、銅フタロシアニン(シアン)、ジメチルキナクリドン(マゼンタ)、ピグメント・イエロー(イエロー)等が用いられるが、既に、種々の顔料が知られており、上記に限定されるものではない。
【0024】
本発明によれば、上述したように、分子中にシラノール基を有するポリウレタン樹脂の水性エマルジョンからなるコーティング剤を基材上に塗布し、常温で乾燥させ、好ましくは、半ば、乾燥させて、インク受容層を形成し、次いで、このように半ば、乾燥状態のインク受容層上に水性顔料インクにてインクジェット記録を行って、画像を形成した後、加熱することによって、上記インク受容層の少なくとも表面層を軟化乃至溶融させて、上記画像を形成するインク成分(即ち、顔料とバインダー樹脂からなる粒状体)をインク受容層中に少なくとも一部侵入させると共に、上記インク受容層を形成するポリウレタン樹脂をそのシラノール基によって架橋、硬化させ、水不溶性とする。
【0025】
本発明によるこのような記録層の形成を図面によって模式的に説明すれば、図1に示すように、インク受容層1上にインクジェットによって顔料インク成分2からなる画像3を付着させた後、加熱して、上記インク受容層の少なくとも表面層を軟化乃至溶融させることによって、図2に示すように、顔料インク成分2は少なくとも一部がインク受容層1中に侵入し、インク受容層は、それが有するシラノール基の反応によって架橋し、硬化すると共に、基材及び顔料インク成分と強固に結合する。
【0026】
かくして、本発明によれば、画像を形成する顔料インク成分は、架橋、硬化したポリウレタン樹脂からなるインク受容層中に少なくとも一部侵入して、物理的及び化学的に捕捉され、固定されるので、そのような顔料インク成分からなるインクジェット記録画像は、耐水性にすぐれ、更に、水中での耐摩擦性にすぐれている。
【0027】
本発明によれば、画像を有するインク受容層は、オーバーコーティング層で被覆するのが好ましい。このようなオーバーコーティング層は、例えば、インク受容層に画像を固定した後、分子中にシラノール基を有するポリウレタン樹脂の水性エマルジョンに水分散性ポリイソシアネートのような架橋剤を配合してなる水性オーバーコーティング剤を上記画像を有するインク受容層上に塗布し、乾燥させ、加熱して、架橋、硬化させることによって形成することができる。
【0028】
オーバーコーティング液に含まれる樹脂としては、分子中にシラノール基を有するポリウレタン樹脂が好ましく、インク受容層を形成するのと同様の水性エマルジョンが好ましい。しかし、オーバーコーティング剤にベースとして含まれる樹脂は、上記ポリウレタン樹脂に限られず、例えば、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂等からなる樹脂であってもよい。
【0029】
更に、顔料インク層を固定すると同時にオーバーコーティング層を形成することもできる。即ち、分子中にシラノール基を有するポリウレタン樹脂の水性エマルジョンからなる水性コーティング剤を基材上に塗布し、半ば、乾燥させて、インク受容層とし、このインク受容層にインクジェット記録を行って、画像を形成した後、分子中にシラノール基を有するポリウレタン樹脂の水性エマルジョンに水分散性ポリイソシアネートのような架橋剤を配合してなる水性オーバーコーティング剤を上記画像を有するインク受容層上に塗布して、オーバーコーティング剤塗布層を形成し、この後、加熱して、前記インク受容層を架橋、硬化させると共に、上記オーバーコーティング剤塗布層を架橋、硬化させて、オーバーコーティング層を形成するのである。
【0030】
【発明の効果】
かくして、本発明によるインクジェット記録品においては、インク受容層は、架橋硬化した水不溶性のポリウレタン樹脂からなり、そのようなインク受容層に画像を形成する顔料インク成分が少なくとも一部、侵入し、捕捉、固定されているので、記録画像は、耐水性や耐摩擦性にすぐれ、特に、水中での耐摩擦性にすぐれている。
【0031】
更に、本発明のインクジェット記録品においては、インク受容層が透明であるので、基材自体の有する透明性や意匠のほか、金属であれば、その光沢、また、木材であれば、その木目等を顔料インク層からなるインクジェット記録画像の背景として活かすことができる。
【0032】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。以下において、ポリウレタン樹脂エマルジョンの使用量は固形分換算である。
【0033】
実施例1
分子中にシラノール基を有する無黄変性ポリウレタン樹脂エマルジョン(武田薬品工業(株)製タケラックXW−75−X35(固形分30重量%)からなる水性コーティング剤を0.3mm厚さのアルミニウム板上に厚み40μmに塗布して、コーティング層を形成した後、室温で2時間放置して、手で触れても、このコーティング層が手に付着しない程度に半ば、乾燥させて、インク受容層を形成した。上記と同じ厚さのインク受容層をガラス板上に形成して、その光透過率を輝度メ−タ−にて測定したところ、95%であった。
【0034】
顔料インクジェットプリンタ(セイコーエプソン(株)製MC−2000)を用いて、上記インク受容層上に文字(Y、M、C及びBk)を水性顔料インクにて印刷を施した後、120℃のオーブン中で20分間加熱して、インクジェット記録品を得た。
【0035】
このようにして得られたインクジェット記録品について、下記のようにして、インクジェット画像の特性を評価すると共に、インクジェット画像の耐水性と水中での耐摩擦性を調べた。結果を表1に示す。
【0036】
インクジェット画像の特性
日本規格協会の画像デ−タN2A(JIS X 9201−1995準拠)をインクジェット記録して、画像における滲みの有無を調べた。滲みがないときを「良好」とした。
【0037】
耐水性
得られたインクジェット記録品を水中に3時間浸漬して、画像においてインクの流れがないかどうかを目視にて調べて、インクの流れがないときを○、インクの流れがあるときを×とした。
【0038】
水中での耐摩擦性
得られたインクジェット記録品を水中に3時間浸漬した後、水中で画像を指で擦り、インク画像に流れや滲みが生じたかどうか、また、インク画像が薄くなったかどうか、即ち、画像欠陥が生じたかどうかを目視にて調べて、画像に変化がないときを○、画像に画像欠陥が生じたときを×とした。
【0039】
実施例2
分子中にシラノール基を有する無黄変性ポリウレタン樹脂エマルジョン(武田薬品工業(株)製タケラックXW−75−X35(固形分30重量%)97重量部にシリカ微粒子(日本アエロジル(株)製)3重量部を混合して、水性コーティング剤とした。これを0.3mm厚さのアルミニウム板上に厚み40μmに塗布して、コーティング層を形成した後、室温で2時間放置して、手で触れても、このコーティング層が手に付着しない程度に半ば、乾燥させて、インク受容層を形成した。上記と同じ厚さのインク受容層をガラス板上に形成して、その光透過率を輝度メ−タ−にて測定したところ、70%であった。
【0040】
顔料インクジェットプリンタ(セイコーエプソン(株)製MC−2000)を用いて、上記インク受容層上に文字(Y、M、C及びBk)を水性顔料インクにて印刷を施した後、120℃のオーブン中で20分間加熱して、インクジェット記録品を得た。
【0041】
このようにして得られたインクジェット記録品について、実施例1と同様にして、インクジェット記録の画像特性を評価した。結果を表1に示す。
【0042】
実施例3
分子中にシラノール基を有する無黄変性ポリウレタン樹脂エマルジョン(武田薬品工業(株)製タケラックXW−75−X35(固形分30重量%)90重量部にカチオン性重合体(日東紡績(株)製PAA−D11−HCL)10重量部を混合して、水性コーティング剤とした。これを0.3mm厚さのアルミニウム板上に厚み40μmに塗布して、コーティング層を形成した後、室温で2時間放置して、手で触れても、コーティング層が手に付着しない程度に半ば、乾燥させて、インク受容層を形成した。上記と同じ厚さのインク受容層をガラス板上に形成して、その光透過率を輝度メ−タ−にて測定したところ、90%であった。
【0043】
顔料インクジェットプリンタ(セイコーエプソン(株)製MC−2000)を用いて、上記インク受容層上に文字(Y、M、C及びBk)を水性顔料インクにて印刷を施した後、120℃のオーブン中で20分間加熱して、インクジェット記録品を得た。
【0044】
このようにして得られたインクジェット記録品について、実施例1と同様にして、インクジェット画像の特性を評価した。結果を表1に示す。
【0045】
実施例4
ポリアミド樹脂(東洋紡績(株)製パイロマックスT100)をテトラヒドロフランに溶解させて、固形分75重量%のオーバーコーティング剤を調製した。実施例1と同様にして、アルミニウム板上にインク受容層を形成し、これに実施例1と同様にして、文字(Y、M、C及びBk)を水性顔料インクジェットインクにて印刷を施した後、120℃のオーブン中で20分間加熱して、インクジェット記録品を得た。
【0046】
次に、このようにインクジェット記録画像を形成したインク受容層の上に上記オーバーコーティング剤をワイヤーバーを用いて塗布して、オーバーコーティング剤塗布層を形成した後、130℃のオーブン中で1時間加熱して、上記オーバーコーティング剤塗布層を乾燥させて、オーバーコーティング層を形成した。
【0047】
このようにして得られたインクジェット記録品について、実施例1と同様にして、インクジェット画像の特性を評価した。結果を表1に示す。
【0048】
比較例1
実施例1において、ポリウレタン樹脂エマルジョンとして、分子中にシラノ−ル基をもたないポリウレタン樹脂エマルジョン(武田薬品工業(株)製株タケラックW−105)を用いた以外は、実施例1と同様にして、インクジェット記録品を得、これについて、実施例1と同様にして、インクジェット画像の特性を評価した。結果を表1に示す。
【0049】
比較例2
アルミナ微粒子をバインダー樹脂を用いて基材の表面に固着して、表面に多孔質構造を有せしめた市販のインクジェット記録紙を用いた以外は、実施例1と同様にして、インクジェット記録品を得、これについて、実施例1と同様にして、インクジェット画像の特性を評価した。結果を表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
比較例1のインクジェット記録品においては、インク受容層を形成しているポリウレタン樹脂がシラノール基をもたず、加熱によっても、自体が架橋、硬化することができないので、インクジェット記録画像は耐水性や耐摩擦性に劣る。また、市販のインクジェット記録紙を用いて得られた比較例2によるインクジェット記録品においては、顔料インク成分は、インク受容層の表面のアルミナ微粒子に捕捉されているのみであり、水中においては、インク受容層が耐水性に劣ることから、インクジェット記録画像を水中で摩擦すれば、顔料インク成分はインク受容層から容易に剥離し、かくして、水中での耐摩擦性に劣る。
【0052】
これに対して、本発明のインクジェット記録品によれば、耐水性及び水中での耐摩擦性にすぐれている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による顔料インク層の形成を模式的に説明する図である。
【図2】本発明による顔料インク層の形成を模式的に説明する図である。
【符号の説明】
1…インク受容層
2…顔料インク成分
3…画像
Claims (7)
- インク受容層とこのインク受容層上に水性顔料インクを用いてインクジェット記録によって形成された画像を基材上に有するインクジェット記録品において、上記インク受容層が分子中にシラノール基を有するポリウレタン樹脂を架橋、硬化させてなると共に、上記画像を形成する顔料インク成分が上記インク受容層中に少なくとも一部侵入して、捕捉、固定されていることを特徴とするインクジェット記録品。
- 画像を有するインク受容層が樹脂からなるオーバーコーティング層によって被覆されている請求項1に記載のインクジェット記録品。
- インク受容層が無機微粒子を含み、光透過率が70%以上である請求項1又は2に記載のインクジェット記録品。
- インク受容層がカチオン性重合体を含む請求項1から3のいずれかに記載のインクジェット記録品。
- インク受容層とこのインク受容層上に水性顔料インクを用いてインクジェット記録によって形成された画像を基材上に有するインクジェット記録品の製造方法において、分子中にシラノール基を有するポリウレタン樹脂の水性エマルジョンからなる水性コーティング剤を基材上に塗布し、常温で半ば、乾燥させて、インク受容層とし、このインク受容層に水性顔料インクを用いてインクジェット記録を行って、画像を形成した後、加熱して、上記画像を形成する顔料インク成分を上記受容層に固定させると共に、インク受容層を硬化させ、次に、樹脂を含むオーバーコーティング剤を上記画像を有するインク受容層上に塗布し、乾燥させ、加熱して、オーバーコーティング層を形成することを特徴とするインクジェット記録品の製造方法。
- 水性オーバーコーティング剤が水性エマルジョンにポリイソシアネート、ポリエチレンイミン及びカルボジイミド樹脂から選ばれる架橋剤を含有してなる請求項5に記載のインクジェット記録品の製造方法。
- 水性オーバーコーティング剤に含まれる樹脂がポリアミド樹脂、フッ素樹脂又はアクリル樹脂の少なくとも1種である請求項5に記載のインクジェット記録品の製造方法。
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JP2003075167A JP2004276569A (ja) | 2003-03-19 | 2003-03-19 | インクジェット記録品とその製造方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US10604667B2 (en) | 2014-06-26 | 2020-03-31 | Cryovac, Llc | Ink composition including polyurethane |
US11008478B2 (en) | 2015-10-01 | 2021-05-18 | R. R. Donnelley & Sons Company | Ink composition for use on non-absorbent surfaces |
-
2003
- 2003-03-19 JP JP2003075167A patent/JP2004276569A/ja active Pending
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