JP4190435B2 - インクジェット用記録シート及びその製造方法 - Google Patents
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Description
(1)インクの吸収が速く、且つインク吸収容量が大きいこと、
(2)インクの発色性が高いこと、
(3)インク受容層の表面強度が高いこと、
(4)支持体が耐水性を有し、インクにより支持体に凹凸やカールを生じないこと、
(5)インク受容層に印字された画像は、耐水性及び耐オゾン性等の画像保存性が良いこと、
(6)インク受容層が経時変化しないものであること、等。
本発明の記録シートは、インク受容層が、親水性ポリウレア樹脂と微粒子シリカとから構成されている。本発明で用いる親水性ポリウレア樹脂は、有機ポリイソシアネートと、親水性成分と、少なくとも1個の活性水素含有基と少なくとも1個の加水分解性シリル基とを同一分子内に有する化合物とを、必要に応じて鎖延長剤の存在下に反応させて得られる親水性ポリウレア樹脂である。
本発明において上記の親水性ポリウレア樹脂中に加水分解性シリル基を導入するために使用する化合物としては、例えば、それぞれ少なくとも1個の活性水素含有基、例えば、アミノ基、エポキシ基、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基等と加水分解性シリル基とを有するシランカップリング剤或いは上記シランカップリング剤と有機ポリイソシアネートとの反応生成物等が挙げられる。上記シランカップリング剤における加水分解性シリル基の代表例は、メトキシ化シリル基、エトキシ化シリル基、メトキシエトキシ化シリル基等のアルコキシ化シリル基であるが、これ以外の加水分解性シリル基も使用できることは勿論である。
(式中のYは、−NH−、−NR3−、−O−、−S−であり、R 1 は低級アルキル基、R 2 は低級アルキル基、低級アルコキシ基又はイソシアネート基を、Xは、何もないか、又は2価の有機基、好ましいものはC 0 〜C 50 のアルキレン鎖、芳香族環又は脂肪族環であり、これらの基はその中に連結基として、−N−、−O−、−CO−、−COO−、−NHCO−、−S−、−SO−、−SO 2 −等を含んでいてもよい。又、m=0〜3の整数、n=3−mである。R3は低級アルキル基である。)
以上のシランカップリング剤は、本発明において使用する好ましいシランカップリング剤の例示であって、本発明はこれらに限定されるものではない。
従って、上記の例示の化合物のみならず、その他公知の現在市販されており、市場から容易に入手し得る化合物は、いずれも本発明において使用することができる。
[1]分子鎖末端への導入
(上記式中のR1、R2、X及びYは前記と同じであり、Zは−O−、−S−、−NR3−、−NH−であり、〔P〕は重合体1分子当たり少なくとも2つのウレタン結合及び/又はウレア結合を含有する親水性ポリウレア樹脂の分子鎖を表す。又、m及びnは前記定義の通りである。)
ポリエチレングリコール(分子量1,000)700部とシリカ水ゾル(シリカの平均粒径10〜20nm、固形分20%)1,500部とを充分に混合し、得られた混合物を撹拌しながら70℃で減圧脱水を行った。理論量の水が留去された後、温度を120℃に上げ133.3Pa以下の減圧下で更に水分を除去してシリカ含有量30%の白色固体状ポリオール(A)を得た。このポリオール(A)は、水酸基価76mgKOH/g、水分率0.15%、80℃では透明な液体となり、その時の液体の粘度は450dPa・sであった。
ポリエチレングリコール(分子量590)100部とシリカ水ゾル(シリカの平均粒径200〜230nm、固形分30%)333部とを充分に混合し、得られた混合物を撹拌しながら70℃で減圧脱水を行った。理論量の水が留去された後、温度を120℃に上げ133.3Pa以下の減圧下で更に水分を除去してシリカ含有量50%の白色固体状ポリオール(B)を得た。このポリオール(B)は、水酸基価95mgKOH/g、水分率0.12%、110℃で軟化するものであった。
ポリエチレンオキサイドジアミン(テキサコケミカル社製ジェファーミンED;分子量600)100部とシリカメタノールゾル(シリカの平均粒径20〜30nm、固形分40%)2,250部とを充分に混合し、得られた混合物を撹拌しながら70℃で減圧脱メタノールを行った 。理論量のメタノールが留去された後、温度を120℃に上げ、133.3Pa以下の減圧下でメタノールを更に除去してシリカ含有量90%の白色固体状ポリアミン(C)を得た。このポリアミン(C)は、アミン当量30g/mol、メタノール分率0.20%、130℃で軟化するものであった。
(組成物の製造)
ポリエチレングリコール(分子量2,040)30部と、参考例1のポリオール(A)120部と、1,3−ブチレングリコール12部とを、200部のメチルエチルケトンと200部のジメチルホルムアミドとの混合溶媒中に溶解し、60℃でよく撹拌しながら、60部の水添MDIを100部のメチルエチルケトンに溶解した溶液を徐々に滴下し、滴下終了後、80℃で8時間反応させた。得られた樹脂を赤外分光光度計で分析したところ、その赤外吸収スペクトルには水酸基の吸収は認められず、又ピリジン法(JISK−0070 2.5)による定量によっても水酸基は確認されなかった。
この組成物の溶液は、40dPa・s(25℃)の粘度を有していた。上記組成物を構成している親水性ポリウレタン樹脂の重量平均分子量は72,000であり、上記組成物(固形分)中のシリカの含有量は15.6%、該樹脂中の加水分解性シリル基の含有量は0.16meq/g、親水性セグメントの含有量は58.7%であった。
(組成物の製造)
(1)イソシアネート末端シランカップリング剤の製造
ヘキサメチレンジイソシアネートと水との付加物(ジュラネート24A−100:旭化成社製、NCO%=23.5)270部とを25℃でよく撹拌しながら、この中にγ−アミノプロピルトリエトキシシラン111部を徐々に滴下して反応させ、無色透明な液状生成物(D)を得た。
得られた生成物(D)は、遊離のイソシアネート基は10.5%〔理論値(100%反応した場合に化学量論的に生成する反応物中の該基の量)は11.2%〕であり、理論的には下記構造を有するものと思われる。
上記組成物の溶液は、52dPa・s(25℃)の粘度を有していた。上記組成物を構成している親水性ポリウレタン−ポリウレア樹脂の重量平均分子量は62,000であり、上記組成物(固形分)中のシリカの含有量は36%、該樹脂中の加水分解性シリル基の含有量は0.51meq/g、親水性セグメントの含有量は56.3%であった。
(本発明で用いる組成物の製造)
12部の水添MDIと、ポリエチレンオキサイドジアミン(ジェファーミンED;分子量2,000)5部と、参考例3のポリアミン(C)145部とを、200部のジメチルホルムアミド中で、30℃、4時間反応させてイソシアネート末端ポリウレア樹脂を得た。次に該樹脂溶液の温度を20℃に調整し、50部のメチルエチルケトンに溶解した1部の1,4−ジアミノブタンを徐々に滴下し、滴下終了後、同温度で1時間反応させた。更に50部のメチルエチルケトンに溶解した4部のγ−アミノプロピルトリメトキシシランを徐々に滴下し、30℃で1時間反応させ、前記と同様にしてイソシアネート基が消失していることを確認した後、ジメチルホルムアミドを加えて固形分を20%に調整し、本発明で用いる組成物の溶液(塗料)を得た。
上記組成物の溶液は、22dPa・s(25℃)の粘度を有していた。上記組成物を構成している親水性ポリウレア樹脂の重量平均分子量は45,000であり、上記組成物(固形分)中のシリカの含有量は79%、該樹脂中の加水分解性シリル基の含有量は0.61meq/g、親水性セグメントの含有量は54.9%であった。
イソシアネート基を有するシランカップリング剤を使用せず、又、参考例1のポリオール(A)のシリカを除いたポリオールを使用する他は参考例4と同じ材料と処方によりポリウレタン樹脂の溶液(塗料)を得た。
この樹脂溶液は、固形分が20%で、50dPa・s(25℃)の粘度を有し、ポリウレタン樹脂の重量平均分子量は68,000であった。
イソシアネート末端シランカップリング剤とγ−アミノプロピルトリメトキシシランを使用せず、又、参考例2のポリオール(B)のシリカを除いたポリオールを使用する他は参考例5と同じ材料と処方によりポリウレタン−ポリウレア樹脂の溶液(塗料)を得た。
この樹脂溶液は、固形分が20%で、40dPa・s(25℃)の粘度を有し、上記ポリウレタン−ポリウレア樹脂の重量平均分子量は55,000であった。
γ−アミノプロピルトリメトキシシランを使用せず、又、参考例3のポリアミン(C)のシリカを除いたポリアミンを使用する他は参考例6と同じ材料と処方によりポリウレア樹脂の溶液(塗料)を得た。
この樹脂溶液は、固形分が20%で、25dPa・s(25℃)の粘度を有し、上記ポリウレア樹脂の重量平均分子量は32,000であった。
参考例1〜3のシリカ水ゾル又はシリカメタノールゾルを、参考例7〜9のそれぞれの樹脂溶液中に撹拌しながら添加したが、微粒子シリカが析出し溶液は不透明となった。
鹸化度98.5%のポリビニルアルコール(重合度550)の5%水溶液(塗料)を調製した。
参考例4〜6で得られた組成物の溶液(塗料)を、それぞれを坪量35g/m2の上質紙に、エアナイフコーターで、乾燥後の厚みが25μmとなるように塗布及び乾燥してインク受容層を形成し、参考例又は本発明の記録シートとした。
参考例7〜13で得られた樹脂溶液(塗料)を、それぞれを坪量35g/m2の上質紙に、エアナイフコーターで、乾燥後の厚みが25μmとなるように塗布及び乾燥して、インク受容層を形成し、比較例の記録シートとした。
以上のようにして得られた10種類の記録シートについて、水溶性染料インクで印字記録するインクジェットプリンター(セイコーエプソン社製PM−800C)でイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの4色を使用して印字記録を行い、以下の項目の評価を行った。
インク受容層の表面に未処理PETフィルムを重ね、荷重0.29MPa、温度40℃で一日放置後の耐ブロッキング性を評価した。結果を以下のように表示する。
○:ブロッキング性なし
△:ややブロッキング性あり
×:ブロッキング性あり
インク受容層の表面の曇りを目視にて判定した。結果を以下のように表示する。
○:完全に透明
△:僅かに曇りがある
×:完全に不透明
インクジェットプリンターでインク受容層にカラー印字後、得られたカラー画像の発色鮮明性を目視により観察した。結果を以下のように表示する。
○:滲みがなく鮮明
△:やや滲みがあり、やや不鮮明
インクジェットプリンターでインク受容層にカラー印字後、50g/m2の荷重で5秒間濾紙を印字面に押し付け、インクが濾紙に転写しなくなるまでの時間を測定した。
インクジェットプリンターでインク受容層にカラー印字後、記録シートを水中に漬け(20℃、1時間)、その後、室温で乾燥した際の、記録画像の滲み、発色の変化を目視により観察した。結果を以下のように表示する。
○:画像の滲み、発色の変化なし
△:画像及びインク受容層(被膜)に変化が認められる
×:画像がかなりとれるか、被膜ごと取れる
以上の評価結果を表1に示す。
Claims (6)
- 基材シートの少なくとも片面に、少なくとも1層のインク受容層を設けてなるインクジェット用記録シートにおいて、インク受容層が、有機ポリイソシアネートと、高分子量親水性ポリアミンと、少なくとも1個の活性水素含有基と少なくとも1個の加水分解性シリル基とを同一分子内に有する化合物とを反応させて親水性ポリウレア樹脂を合成する際に、高分子量親水性ポリアミンの少なくとも一部として、高分子量親水性ポリアミンとシリカゾルとの混合物からシリカゾルの分散媒体を除去して得られるものを用いて得られる、親水性ポリウレア樹脂と微粒子シリカとからなる組成物を用いて形成されており、微粒子シリカの含有量が、組成物中において75〜95質量%を占める量であることを特徴とするインクジェット用記録シート。
- 微粒子シリカが、平均粒径が1〜300nmの微粒子シリカである請求項1に記載のインクジェット用記録シート。
- 親水性ポリウレア樹脂中の親水性セグメント及び加水分解性シリル基の含有量が、それぞれ30〜80質量%及び0.001〜10meq/gである請求項1に記載のインクジェット用記録シート。
- 基材シートの少なくとも片面に、少なくとも1層のインク受容層を設けてインクジェット用記録シートを製造する方法において、インク受容層を、有機ポリイソシアネートと、高分子量親水性ポリアミンと、少なくとも1個の活性水素含有基と少なくとも1個の加水分解性シリル基とを同一分子内に有する化合物とを反応させて親水性ポリウレア樹脂を合成する際に、高分子量親水性ポリアミンの少なくとも一部として、高分子量親水性ポリアミンとシリカゾルとの混合物からシリカゾルの分散媒体を除去して得られるものを用いて得られる、親水性ポリウレア樹脂と微粒子シリカとからなり、微粒子シリカの含有量が75〜95質量%を占める量である組成物を含む塗料を基材シートの少なくとも片面に塗布及び乾燥させて形成することを特徴とするインクジェット用記録シートの製造方法。
- 微粒子シリカが、平均粒径が1〜300nmの微粒子シリカである請求項4に記載のインクジェット用記録シートの製造方法。
- 親水性ポリウレア樹脂中の親水性セグメント及び加水分解性シリル基の含有量が、それぞれ30〜80質量%及び0.001〜10meq/gである請求項4に記載のインクジェット用記録シートの製造方法。
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