JP2008233488A - 位相シフトマスクの製造方法および位相シフトマスク - Google Patents

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Abstract

【課題】ウェハ上のハーフピッチ65nm以下のフォトリソグラフィにおいて、1枚のマスク上にバイナリパターン領域と、複数の位相シフトパターン領域とを有し、寸法精度、位置合わせ精度に優れた高品質の位相シフトマスクの製造方法とその製造方法による位相シフトマスクを提供する。
【解決手段】透明基板上に、半透過膜と遮光膜と、必要に応じて塩素系ガスのエッチングを停止する中間膜とを設け、ドライエッチングガスとして塩素系ガスとフッ素系ガスを交互に組み合わせて、順次、下層に損傷を与えないようにパターン化していく製造方法を特徴とする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、半導体素子のパターン形成に用いられるフォトリソグラフィ技術に用いられるフォトマスクの製造方法に関し、特に、様々な線幅、ピッチ等が混在する半導体回路パターンの転写性能を向上させるため、複数の透過率を持つパターン領域を精度よく1枚のマスクに形成させることができる位相シフトマスクの製造方法およびその製造方法による位相シフトマスクに関する。
ウェハ上のハーフピッチが65nmから45nmへと進展する半導体素子の高集積化・超微細化を実現するために、フォトリソグラフィにおいては、露光装置での高解像技術として、投影レンズの開口数を高くした高NA化技術、投影レンズと露光対象の間に高屈折率媒体を介在させて露光を行なう液浸露光技術、変形照明搭載露光技術等の開発が急速に進められている。
一方、フォトリソグラフィに用いられるフォトマスク(以後、単にマスクとも記す。)における解像度向上策としては、光を透過させる部分と遮光する部分で構成された従来のバイナリマスクの微細化、高精度化とともに、光の干渉を利用した位相シフト効果による解像度向上が図られている。例えば、レベンソン型位相シフトマスク、光を透過させる部分と半透過させる部分で構成されたハーフトーン型位相シフトマスク、クロムなどの遮光膜を設けずに透明基板上に露光光を透過する位相シフタのみでマスクパターンを形成し、位相シフタの位相反転効果のみによってウェハ上にパターンを形成するクロムレス型位相シフトマスク等の位相シフトマスクの開発、実用化が進行している。
しかしながら、半導体素子を形成するためのフォトマスクには、例えば、種々の線幅、ピッチのラインとスペースあるいは孤立パターン等が1枚のマスク上に形成されており、半導体素子の微細化に伴い、1回の露光により全てのパターンを同一の解像性でウェハ上に形成するのは困難であるという問題が生じている。
例えば、レベンソン型位相シフトマスクは解像度の向上効果は非常に高く、ラインとスペース等の繰り返しパターンに適しているが、ホールやドット等の単一パターンには適さず、適用できるパターンに制約があるという問題がある。クロムレス型位相シフトマスクは、ロジックゲート等の微細な線幅が要求されるパターンに適するが、適用できるパターンに制約があるという問題がある。ハーフトーン型位相シフトマスクは解像度向上効果は小さいが、マスク作製が比較的容易でパターンの制約がなく、ホールやドット等のパターンや孤立パターンに適しているが、パターンの疎密依存性があるという問題がある。
上記のパターンの疎密依存性に関して、マスクパターンのピッチと露光時の適正露光の裕度を比較すると、マスクパターンのピッチによって露光プロセス裕度が異なることが知られている。例えば、ウェハ上に線幅45nmのパターンを形成するとき、最も密なパターンとして線幅とピッチの比が1:2でウェハ上のピッチが90nmのパターンの場合には、マスクとしては、バイナリマスクあるいは露光光の透過率が6%程度のハーフトーン型位相シフトマスクが適する。一方、パターンが疎になるにつれ最適な透過率は上昇し、ピッチ180nmの場合あるいは孤立パターンの場合には、マスクとして、透過率が30%程度の高透過率ハーフトーン型位相シフトマスクあるいはクロムレス型位相シフトマスクが適する。
このため、従来、1枚のマスク上に複数種類の位相シフト領域を有する位相シフトマスクが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。さらに、上記のパターンの疎密依存性に関しては、近年、1枚のマスク上にバイナリマスクあるいは低透過率ハーフトーン型位相シフトマスクによるパターンと、高透過率ハーフトーン型位相シフトマスクあるいはクロムレス型位相シフトマスクによるパターンを1枚のマスク上に形成したマスクが開示されている(特許文献3参照)。
特開平7−306522号公報 特開平11−15128号公報 特開2001−356466号公報
しかしながら、特許文献3に記載されたようなバイナリパターン領域と、透明基板である石英基板を掘り込んだクロムレス型位相シフトパターン領域と、透明基板上に半透過膜を積層したハーフトーン型位相シフトパターン領域とを含む位相シフトマスクを1枚のマスク上に形成することは、マスク製造上容易ではなかった。
すなわち、特許文献3に記載された製造方法は、従来公知の標準的な技法を使用しているに過ぎないが、石英基板のエッチング時に、石英基板上に直接レジストパターンを形成しており、レジストパターンのみではドライエッチング時にレジストの損傷が大きくなり、そのため石英基板表面にも損傷を生じ、欠陥のない高品質のパターンが得られなくなるという問題があった。特に、微細パターンを形成しようとする場合、レジスト膜厚は薄くするので、レジスト損傷による欠陥の発生が避けられない問題として生じていた。また、石英基板上への直接レジスト膜形成は、石英基板とレジストとの密着性が低いために、エッチング工程の途中でレジスト膜の剥がれを生じてしまうという問題があった。
また、特許文献3に記載された製造方法は、2回のレジストプロセスを行っているが、2回目のレジストパターンの位置合わせに関しては、位置合わせ精度がマスクレベルで約50nm以下と大きな値を開示しているだけであり、ウェハ上のハーフピッチ65nm以下のフォトリソグラフィに用いるマスクとして求められる位置合わせ精度およそ20nm以下に対して大幅に精度が不足していた。さらに、石英基板を掘り込んだクロムレス型位相シフトマスクは、石英基板を掘り込んだ掘り込み部の底面を同一の深さに均一にしないと位相シフト効果が損なわれるが、特許文献3に記載された製造方法では、位置合わせ精度良く石英基板を掘り込み、掘り込んだ底面を均一とするクロムレス型位相シフトパターン領域を形成するのが困難であるという問題があった。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものである。すなわち、ウェハ上のハーフピッチ65nm以下のフォトリソグラフィに用いるマスクにおいて、1枚のマスク上に露光光を透過する部分と遮光する部分とからなる通常のバイナリパターン領域と、露光光を所望の透過率で透過し位相を反転させる複数の位相シフトパターン領域とを有し、マスクパターンの寸法精度、位置合わせ精度に優れた高品質の位相シフトマスクの製造方法とその製造方法による位相シフトマスクを提供するものである。
上記の課題を解決するために、請求項1の発明に係る位相シフトマスクの製造方法は、 透明基板上にマスクパターンを有し、前記マスクパターンが、露光光を透過する部分と遮光する部分とからなるバイナリパターン領域と、露光光を0.5〜40%の範囲の第1の所望の透過率で透過し位相を反転させる第1の位相シフトパターン領域と、露光光を前記第1の所望の透過率より大きい第2の所望の透過率で透過し位相を反転させる第2の位相シフトパターン領域と、を有する位相シフトマスクの製造方法であって、(1)前記透明基板上に、前記露光光を前記第2の所望の透過率で透過する第2の半透過膜、該第2の半透過膜に積層されて用いられたときに前記露光光を前記第1の所望の透過率で透過する第1の半透過膜、前記露光光を遮光する遮光膜、を順に設ける工程と、(2)前記遮光膜上に第1のレジストパターンを形成し、該第1のレジストパターンをマスクにして、前記遮光膜を塩素系ガスでドライエッチングして遮光膜パターンを形成する工程と、(3)該第1のレジストパターンと該遮光膜パターンとをマスクにして、前記第1の半透過膜をフッ素系ガスでドライエッチングして第1の半透過膜パターンを形成する工程と、(4)該第1のレジストパターンと該遮光膜パターンとをマスクにして、前記第2の半透過膜を所定の掘り込み深さの途中までフッ素系ガスでドライエッチングし、次いで該第1のレジストパターンを剥離する工程と、(5)前記第2の位相シフトパターン領域とする部分を露出させた第2のレジストパターンを形成し、該第2のレジストパターンをマスクにして、露出した遮光膜パターンを塩素系ガスで選択的にドライエッチングして除去し、次いで該第2のレジストパターンを剥離する工程と、(6)該第2のレジストパターンを剥離した側の全面をフッ素系ガスでドライエッチングし、露出した前記第1の半透過膜パターンをエッチング除去するとともに、前記第2の半透過膜を所定の掘り込み深さまでエッチングし、前記第2の位相シフトパターン領域およびバイナリパターン領域を形成する工程と、(7)前記第1の位相シフトパターン領域とする部分を露出させた第3のレジストパターンを形成し、該第3のレジストパターンをマスクにして、露出した遮光膜パターンの遮光膜を塩素系ガスで選択的にドライエッチング除去し前記第1の位相シフトパターン領域を形成し、次いで該第3のレジストパターンを剥離する工程と、を含むことを特徴とするものである。
請求項1に記載の位相シフトマスクの製造方法によれば、フォトマスクのマスクパターンを構成する薄膜層を、塩素系ガスによるドライエッチングとフッ素系ガスによるドライエッチングとのエッチング選択性が異なる材料を薄膜積層しているので、積層された各々の薄膜がセルフアライメント型のエッチング停止層としての機能を果たす作用をすることにより、第2および第3のレジストパターン形成において、マスクパターンの最密部分のピッチの半分のアライメント誤差許容量でのパターン描画が可能となり、電子ビーム等によるパターン描画時のアライメントの制御が容易となる。したがって、エッチングしない箇所の半透過膜や透明基板がエッチング損傷を受けにくく、半透過膜のエッチング深さの制御が容易で、高精度、高品質な位相シフトマスクを製造することができる。また、請求項1に記載の位相シフトマスクの製造方法は、既存のマスク製造設備を用いて製造することが可能である。
請求項2の発明に係る位相シフトマスクの製造方法は、請求項1に記載の位相シフトマスクの製造方法において、前記第2の半透過膜が、前記透明基板の一部であることを特徴とするものである。
請求項2に記載の位相シフトマスクの製造方法によれば、第2の半透過膜の形成が不要となり、製造工程が短縮されると共に、高品質の透明基板の一部を第2の半透過膜として用いることにより、高品質の位相シフトパターン領域が形成できる。
請求項3の発明に係る位相シフトマスクの製造方法は、請求項1に記載の位相シフトマスクの製造方法において、前記第1の半透過膜が、膜厚10nm〜30nmのモリブデンシリサイド系薄膜であり、前記第2の半透過膜が、膜厚100nm〜120nmの酸化窒化シリコン薄膜であることを特徴とするものである。
請求項3に記載の位相シフトマスクの製造方法によれば、露光光の透過率と位相の選択幅が広くパターン加工性に優れたモリブデンシリサイドと酸化窒化シリコンを位相シフトパターン領域とすることが可能となる。
請求項4の発明に係る位相シフトマスクの製造方法は、透明基板上にマスクパターンを有し、前記マスクパターンが、露光光を透過する部分と遮光する部分とからなるバイナリパターン領域と、露光光を0.5〜40%の範囲の第1の所望の透過率で透過し位相を反転させる第1の位相シフトパターン領域と、露光光を前記第1の所望の透過率より大きい第2の所望の透過率で透過し位相を反転させる第2の位相シフトパターン領域と、を少なくとも有する位相シフトマスクの製造方法であって、(1)前記透明基板上に、前記露光光を前記第2の所望の透過率で透過する第2の半透過膜、該第2の半透過膜に積層されて用いられたときに前記露光光を前記第1の所望の透過率で透過する第1の半透過膜、塩素系ガスのエッチングを停止する中間膜、前記露光光を遮光する遮光膜、を順に設ける工程と、 (2)前記遮光膜上に第1のレジストパターンを形成し、該第1のレジストパターンをマスクにして、前記遮光膜を塩素系ガスでドライエッチングして遮光膜パターンを形成する工程と、(3)該第1のレジストパターンと該遮光膜パターンとをマスクにして、前記中間膜をフッ素系ガスでドライエッチングして中間膜パターンを形成する工程と、(4)該第1のレジストパターンと該中間膜パターンとをマスクにして、前記第1の半透過膜を塩素系ガスでドライエッチングして第1の半透過膜パターンを形成する工程と、(5)該第1のレジストパターンと該遮光膜パターンと該第1の半透過膜パターンとをマスクにして、前記第2の半透過膜を所定の掘り込み深さの途中までフッ素系ガスでドライエッチングし、次いで該第1のレジストパターンを剥離する工程と、(6)前記第1の位相シフトパターン領域および前記第2の位相シフトパターン領域とする部分を露出させた第2のレジストパターンを形成し、該第2のレジストパターンをマスクにして、露出した該遮光膜パターンを塩素系ガスで選択的にドライエッチングして除去し、次いで該第2のレジストパターンを剥離する工程と、(7)該第2のレジストパターンを剥離した側の全面をフッ素系ガスでドライエッチングし、露出した前記中間膜パターンをエッチング除去するとともに、前記第2の半透過膜を所定の掘り込み深さまでエッチングし、前記第1の位相シフトパターン領域およびバイナリパターン領域を形成する工程と、(8)前記第2の位相シフトパターン領域とする部分を露出させた第3のレジストパターンを形成し、該第3のレジストパターンをマスクにして、露出した第1の半透過膜パターンの半透過膜を塩素系ガスで選択的にドライエッチング除去し前記第2の位相シフトパターン領域を形成し、次いで該第3のレジストパターンを剥離する工程と、を含むことを特徴とするものである。
請求項4に記載の位相シフトマスクの製造方法によれば、フォトマスクのマスクパターンを構成する薄膜層を、塩素系ガスによるドライエッチングとフッ素系ガスによるドライエッチングとのエッチング選択性が異なる材料を薄膜積層し、さらに塩素系ガスのエッチングを停止する中間膜を設けているので、積層された各々の薄膜がセルフアライメント型のエッチング停止層としての機能を果たす作用をすることにより、第2のレジストパターン以降のレジストパターン形成において、マスクパターンの最密部分のピッチの半分のアライメント誤差許容量でのパターン描画が可能となり、電子ビーム等によるパターン描画時のアライメントの制御が容易となる。本製造方法は、中間膜を設けることにより、半透過膜の選択の幅をより広げ、微細パターンをより容易に形成することが可能となる。したがって、エッチングしない箇所の半透過膜や透明基板がエッチング損傷を受けにくく、半透過膜のエッチング深さの制御が容易で、高精度、高品質な位相シフトマスクを製造することができる。また、請求項4に記載の位相シフトマスクの製造方法は、既存のマスク製造設備を用いて製造することが可能である。
請求項5の発明に係る位相シフトマスクの製造方法は、請求項4に記載の位相シフトマスクの製造方法において、前記工程(1)〜(8)に続いて、(9)第3の位相シフトパターン領域とするバイナリパターン領域の一部を露出させた第4のレジストパターンを形成し、該第4のレジストパターンをマスクにして露出した前記遮光膜パターンを塩素系ガスで選択的にドライエッチングし、前記第1の半透過膜と前記第2の半透過膜と前記中間膜よりなる第3の位相シフトパターン領域を形成し、次いで該第4のレジストパターンを剥離する工程と、を含み、前記位相シフトパターン領域が、前記露光光を所望の3種類以上の透過率で透過する領域よりなることを特徴とするものである。
請求項5に記載の位相シフトマスクの製造方法によれば、露光光を所望の3種類以上の透過率で透過する領域を有する位相シフトマスクを形成することが可能となる。
請求項6の発明に係る位相シフトマスクの製造方法は、請求項4または請求項5に記載の位相シフトマスクの製造方法において、前記第2の半透過膜が、前記透明基板の一部であることを特徴とするものである。
請求項6に記載の位相シフトマスクの製造方法によれば、第2の半透過膜の形成が不要となり、製造工程が短縮されると共に、高品質の透明基板の一部を第2の半透過膜として用いることにより、高品質の位相シフトパターン領域が形成できる。
請求項7の発明に係る位相シフトマスクの製造方法は、請求項4〜請求項6のいずれか1項に記載の位相シフトマスクの製造方法において、前記第1の半透過膜が膜厚3nm〜35nmのクロム系薄膜であり、前記中間膜がモリブデンシリサイド系薄膜または酸窒化シリコン系薄膜であり、前記遮光膜が膜厚45nm〜100nmのクロム系薄膜であることを特徴とするものである。
請求項7に記載の位相シフトマスクの製造方法によれば、第1の半透過膜および遮光膜として通常多用されており実績の高いクロム系薄膜を用い、中間膜にモリブデンシリサイド系薄膜または酸窒化シリコン系薄膜を用いることにより、従来の製造設備を使用して、高品質の位相シフトマスクの製造が可能となる。
請求項8の発明に係る位相シフトマスクは、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の方法で製造されたことを特徴とするものである。
請求項8に記載の位相シフトマスクによれば、パターンを形成する半透過膜や透明基板の表面に欠陥や損傷が生じにくく、半透過膜のエッチング深さが精密に制御され、高精度、高品質な位相シフトマスクを得ることが可能となる。
本発明の位相シフトマスクの製造方法は、エッチング選択性が異なる材料を薄膜積層しているので、積層された各々の薄膜がセルフアライメント型のエッチング停止層としての機能を果たすために、第2のレジストパターン以降のレジストパターン形成において、電子ビーム等によるパターン描画時のアライメントの制御が容易となり、マスクパターンの最密部分のピッチの半分のアライメント誤差許容量でパターン描画が可能となる。本発明の位相シフトマスクの製造方法によれば、エッチングしない箇所の半透過膜や透明基板がエッチング損傷を受けにくく、半透過膜のエッチング深さの制御が容易で、高精度、高品質な位相シフトマスクを製造することができる。
本発明の位相シフトマスクの製造方法は、フォトマスクのマスクパターンを構成する薄膜層を、塩素系ガスによるドライエッチングとフッ素系ガスによるドライエッチングとのエッチング選択性が異なる材料を薄膜積層し、レジストパターンと組み合わせることにより、バイナリパターン領域、複数の位相シフトパターン領域を、2種類のエッチングガスを交互に用いたプロセスで製造するので、既存のマスク製造工程、製造設備を用いて製造することが可能である。
本発明の位相シフトマスクによれば、パターンを形成する半透過膜や透明基板の表面に欠陥や損傷が生じにくく、半透過膜のエッチング深さが精密に制御され、高精度、高品質な位相シフトマスクを得ることが可能となり、
本発明の位相シフトマスクを用いることにより、ウェハ上のハーフピッチ65nm以下の半導体素子の露光転写において、種々の線幅、ピッチのラインとスペースパターンあるいは孤立パターン、またはホールやドットパターンを1回の露光により、全てのパターンを高い解像性でウェハ上に形成することが可能となる。
以下、図面を参照して、本発明の位相シフトマスクの製造方法および位相シフトマスクの実施形態について説明する。
(位相シフトマスクの製造方法)
(第1の実施形態)
本実施形態は、透明基板上にマスクパターンを有し、該マスクパターンが、露光光を透過する部分と遮光する部分とからなるバイナリパターン領域と、露光光を0.5〜40%の範囲の第1の所望の透過率で透過し位相を反転させる第1の位相シフトパターン領域と、露光光を上記の第1の所望の透過率より大きい第2の所望の透過率で透過し位相を反転させる第2の位相シフトパターン領域と、を有する位相シフトマスクの製造方法である。
図1およびそれに続く図2は、上記の本発明の位相シフトマスクの製造方法の第1の実施形態の製造工程を示す部分断面模式図である。以下、図面を参照しながら説明する。
図1(a)に示すように、透明基板11上に第2の半透過膜12、第1の半透過膜13、遮光膜14を順に積層して成膜形成し、この遮光膜14上に第1の電子線レジストをスピン塗布などの方法により塗布形成し、プリベーク後、電子線描画装置により電子線でパターン描画し、レジスト所定の現像液で現像して第1のレジストパターン15を形成する。なお、本実施形態および後述の実施形態においては、レジストパターン形成は電子線描画を用いた場合について説明するが、他の方法、例えばレーザ描画等の方法を用いることも可能である。
本実施形態において、透明基板11としては、光学研磨された合成石英ガラス、蛍石、フッ化カルシウムなどを用いることができるが、通常、多用されており品質が安定し、短波長の露光光の透過率の高い合成石英ガラスがより好ましい。
本実施形態において、第2の位相シフトパターン領域を構成する第2の半透過膜12は、露光光透過率が0.5〜40%の範囲にある第1の位相シフトパターン領域よりも大きい透過率であって、透過率100%以下の範囲から用いられる。例えば、第1の位相シフトパターン領域の所望の透過率が6%であれば、第2の半透過膜12は6%を超える範囲から設定することができる。上記のように、本実施形態では、第1の位相シフトパターン領域が低透過率、第2の位相シフトパターン領域が高透過率のパターン領域となる。
本実施形態において、第2の半透過膜12としては、露光光を第1の位相シフトパターン領域よりも大きい第2の所望の透過率で透過し位相を反転させる第2の位相シフトパターン領域が得やすく、フッ素系ガスによりドライエッチングできる化合物を主成分とし、ドライエッチング加工特性に優れ、遮光膜14とのエッチング選択比が大きい薄膜が好ましい。例えば、露光光に対して高透過率のモリブデンシリサイド化合物を主成分とする半透過膜として、モリブデンシリサイド(MoSi)、モリブデンシリサイド酸化膜(MoSiO)、モリブデンシリサイド窒化膜(MoSiN)、モリブデンシリサイド酸化窒化膜(MoSiON)等のモリブデンシリサイド系薄膜が挙げられる。
さらに、第2の半透過膜12として、透明基板11と同じ透過率、すなわち略100%で露光光を透過する構成とすることも好ましい形態である。この場合、透明基板11と同じ透過率を有する薄膜材料を透明基板11上に成膜して第2の半透過膜12とすることも可能であり、あるいはSOG(スピン・オン・グラス)などの塗布ガラスを塗布して用いることもできる。しかし、透明基板11そのものをパターンエッチングして第2の半透過膜12として用いるのが、半透過膜12の形成工程が不要となり、高品質のパターンが形成し得るので、より好ましい。本発明においては、透明基板11のパターン形成面側を第2の半透過膜とし、本実施形態の製造方法を適用することができる。
本実施形態において、第1の半透過膜13としては、露光光を0.5〜40%の範囲の第1の所望の透過率で透過し位相を反転させる第1の位相シフトパターン領域が得やすく、フッ素系ガスによりドライエッチングできる化合物を主成分とし、ドライエッチング加工特性に優れ、遮光膜14とのエッチング選択比が大きい薄膜が好ましい。
例えば、モリブデンシリサイド化合物を主成分とする半透過膜として、モリブデンシリサイド(MoSi)、モリブデンシリサイド酸化膜(MoSiO)、モリブデンシリサイド窒化膜(MoSiN)、モリブデンシリサイド酸化窒化膜(MoSiON)等のモリブデンシリサイド系薄膜が挙げられる。また第1の半透過膜13としては、酸化窒化シリコン(SiON)系薄膜も挙げられる。
上記の第2の半透過膜12、第1の半透過膜13の膜厚は、第2の半透過膜12で位相差をつくり、第1の半透過膜13は透過率を下げるとすると、例えば、第2の半透過膜が酸化窒化シリコン(SiON)の場合には100nm〜120nm、第1の半透過膜がモリブデンシリサイド系の場合には10nm〜30nmの範囲の膜厚の組み合わせで用いられる。
本発明において、遮光膜14としては、最も使用実績のあるクロムを主成分としたクロム系薄膜がマスクブランクのコスト、品質上からより好ましい。クロム系薄膜は、通常、クロム、酸化クロム、窒化クロム、酸化窒化クロムの中から選ばれる材料の単層膜が用いられるが、それらのクロム系材料の中でも、成膜が容易で汎用性の高いクロム膜、または膜応力の低減が容易な窒化クロム膜がより好ましい。
たとえば、クロムを遮光膜とした場合には、45nm〜100nm程度の範囲の膜厚で用いられるが、微細パターンを形成するためには、膜厚は小さいほうがより好ましい。遮光膜14の膜厚が45nm未満では、マスク作製後の遮光性が不十分となり、一方、膜厚が100nmを超えると遮光膜パターンとしての解像力が低下するからである。
上記の第2の半透過膜12、第1の半透過膜13、遮光膜14は、スパツタリング等の従来公知の成膜方法により形成することができる。また、第2の半透過膜12として透明基板11のパターン形成面側を用いる場合には、第2の半透過膜の成膜形成は不要である。
電子線レジストとしては、ネガ型、ポジ型のいずれも適用できる。レジストパターン15の膜厚は100nm〜500nm程度の範囲で用いるのが好ましい。レジストパターン15の膜厚が100nm未満では、遮光膜14のドライエッチング時の耐性が不十分となり、一方、膜厚が500nmを超えるとレジストパターンの解像力が低下してくるからである。
次に、図1(b)に示すように、第1のレジストパターン15をマスクとして遮光膜14をドライエッチングによってパターニングし、遮光膜パターン14aを形成する。
遮光膜14は、遮光膜14がクロム系薄膜である場合には、従来公知の塩素、あるいは塩素と酸素の混合ガスをエツチングガスとして用いることによりドライエッチングを行なうことができる。
次に、図1(c)に示すように、第1のレジストパターン15と遮光膜パターン14aをマスクとして第1の半透過膜13をドライエッチングによってパターニングし、第1の半透過膜パターン13aを形成する。図1(c)では、すべてのパターンがバイナリマスクパターン形状をしている。
第1の半透過膜13は、半透過膜13がモリブデンシリサイド系薄膜または酸化窒化シリコン系薄膜である場合には、CF4 、CHF3 、C2 6等のフッ素系ガス、あるいはこれらの混合ガス、あるいはこれらのガスに酸素を混合したガスをエツチングガスとして用いることにより第1の半透過膜13を選択的にドライエッチングを行なうことができる。
続いて、図1(d)に示すように、第1のレジストパターン15と遮光膜パターン14aとをマスクにして、第2の半透過膜12を所定の掘り込み深さの途中までフッ素系ガスでドライエッチングする。このとき第1の半透過膜パターン13aは遮光膜パターン14aで上部を覆われているので、サイドエッチングはほとんど入らない。
本発明において、所定の掘り込み深さとは、位相シフト効果が最も大きくなる深さであり、半透過膜を用いた位相シフトマスクにおいては予め計算で求めることができる。
また、本発明において、所定の掘り込み深さの途中までとは、後工程でレジストパターンを剥離した側の全面をフッ素系ガスでドライエッチングし、第1の半透過膜をエッチング除去したときに、第2の半透過膜も一定深さにエッチングされるので、そのエッチング深さ分を予め差し引き、所定の掘り込み深さの途中の深さまでとするものである。したがって、後工程で行なうフッ素系ガスによる全面ドライエッチングの後に、エッチング深さが所定の深さとなるものであり、このとき、エッチング部分の第2の半透過膜が除去されるように予め設定するものである。
次に、第1のレジストパターン15を剥離した後、図1(e)に示すように、第2の電子線レジストをスピン塗布などの方法により塗布し、プリベーク後、電子線描画装置によりパターン描画し、レジスト所定の現像液で現像して、第2の位相シフトパターン領域とする部分を露出させた第2のレジストパターン16を形成する。第2の電子線レジストとしては、第1の電子線レジストと同一、または異なったレジストが使用できるが、同一のレジストとする方が、製造装置、プロセス条件が共用できるのでより好ましい。
本発明においては、電子線描画による第2のレジストパターン16形成、および後述の第3以降のレジストパターン形成においては、透明基板上に先に形成されたパターンに位置合わせして描画するアライメント描画が用いられる。本発明の製造方法の特徴として、エッチング選択性が異なる材料を交互に薄膜積層しているので、積層された各々の薄膜がセルフアライメント型のエッチング停止層としての機能を果たし、マスクパターンの最密部分のピッチの半分のアライメント誤差許容量でパターン描画が可能となり、電子ビーム等のパターン描画時のアライメントの制御が容易となる。
次に、図2(a)に示すように、第2のレジストパターン16をマスクにし、露出した遮光膜パターン14aを塩素系ガスで選択的にドライエッチングして除去し、第1の半透過膜パターン13aを露出する。
次に、第2のレジストパターン16を剥離し、図2(b)に示すように、第2のレジストパターンを剥離した側の全面をフッ素系ガスでドライエッチングし、第2の位相シフトパターン領域とする部分の第1の半透過膜パターン13aをエッチング除去し、第2の位相シフトパターン領域の頂部12bを露出させるとともに、第2の半透過膜12を所定の掘り込み深さにまでエッチングし第2の位相シフトパターン領域の底部12cを形成することにより、第2の位相シフトパターン領域22を形成し、同時にバイナリパターン領域21を形成する。この段階では、第1の位相シフトパターン領域とする部分は、まだバイナリパターン領域に含まれている。
次に、図2(c)に示すように、第3の電子線レジストを塗布し、電子線描画装置により電子線でパターン描画し、現像し、第1の位相シフトパターン領域とする部分の遮光膜パターン14aを露出させた第3のレジストパターン17を形成する。第3の電子線レジストは、上記の第2の電子線レジストと同じく、第1の電子線レジスト同一とするのがより好ましい。
次に、図2(d)に示すように、第3のレジストパターンをマスクにし、露出した遮光膜パターン14aの遮光膜を塩素系ガスで選択的にドライエッチングして除去し、第1の位相シフトパターン領域23を形成する。
次いで、第3のレジストパターン17を剥離し、図2(e)に示すように、透明基板11上に露光光を透過する部分と遮光する部分とからなるバイナリパターン領域21と、露光光を0.5〜40%の範囲の第1の所望の透過率で透過し位相を反転させる第1の位相シフトパターン領域23と、露光光を前記第1の所望の透過率より大きい第2の所望の透過率で透過し位相を反転させる第2の位相シフトパターン領域22と、を有する位相シフトマスク20が得られる。
(第2の実施形態)
本実施形態は、透明基板上にマスクパターンを有し、該マスクパターンが、露光光を透過する部分と遮光する部分とからなるバイナリパターン領域と、露光光を0.5〜40%の範囲の第1の所望の透過率で透過し位相を反転させる第1の位相シフトパターン領域と、露光光を前記第1の所望の透過率より大きい第2の所望の透過率で透過し位相を反転させる第2の位相シフトパターン領域と、を少なくとも有する位相シフトマスクの製造方法である。
図3およびそれに続く図4、図5は、上記の本発明の位相シフトマスクの製造方法の第2の実施形態の製造工程を示す部分断面模式図である。以下、図面を参照しながら説明する。
図3(a)に示すように、透明基板31上に第2の半透過膜32、第1の半透過膜33、塩素系ガスのエッチングを停止する中間膜36、遮光膜34を順に積層して成膜形成し、この遮光膜34上に第1の電子線レジストをスピン塗布等の方法により塗布形成し、プリベーク後、電子線描画装置により電子線でパターン描画し、レジスト所定の現像液で現像して第1のレジストパターン35を形成する。
本実施形態において、透明基板31としては、第1の実施形態と同じく、光学研磨された合成石英ガラス、蛍石、フッ化カルシウムなどを用いることができるが、通常、多用されており品質が安定し、短波長の露光光の透過率の高い合成石英ガラスがより好ましい。
本実施形態において、第2の位相シフトパターン領域を構成する第2の半透過膜32は、露光光透過率が0.5〜40%の範囲にある第1の位相シフトパターン領域よりも大きい透過率で、透過率100%以下の範囲から用いられる。例えば、第1の位相シフトパターン領域の所望の透過率が6%であれば、第2の半透過膜32の透過率は6%を超える範囲から設定することができる。上記のように、本実施形態では、第1の位相シフトパターン領域が低透過率、第2の位相シフトパターン領域が高透過率のパターン領域となる。
本実施形態において、第2の半透過膜32としては、第1の実施形態と同じく、露光光を第1の位相シフトパターン領域よりも大きい第2の所望の透過率で透過し位相を反転させる第2の位相シフトパターン領域が得やすく、フッ素系ガスによりドライエッチングできる化合物を主成分とし、ドライエッチング加工特性に優れ、遮光膜34とのエッチング選択比が大きい薄膜が好ましい。例えば、露光光に対して高透過率のモリブデンシリサイド化合物を主成分とする半透過膜として、モリブデンシリサイド(MoSi)、モリブデンシリサイド酸化膜(MoSiO)、モリブデンシリサイド窒化膜(MoSiN)、モリブデンシリサイド酸化窒化膜(MoSiON)等のモリブデンシリサイド系薄膜が挙げられる。
さらに、第1の実施形態と同じく、第2の半透過膜32として、透明基板31と同じ透過率、すなわち略100%で露光光を透過する構成とすることも好ましい形態である。この場合、透明基板31と同じ透過率を有する薄膜材料を透明基板31上に成膜して第2の半透過膜32とすることも可能であり、あるいはSOG(スピン・オン・グラス)などの塗布ガラスを塗布して用いることもできる。しかし、透明基板31そのものをパターンエッチングして第2の半透過膜32として用いるのが、第2の半透過膜32の形成工程が不要となり、高品質のパターンが形成し得るので、より好ましい。本発明においては、透明基板31のパターン形成面側を第2の半透過膜とし、本実施形態の製造方法を適用することができる。
本実施形態において、第1の半透過膜33としては、所望のハーフトーン特性が得やすく、塩素系ガスによりドライエッチングできる化合物を主成分とし、ドライエッチング加工特性に優れ、中間膜36とのエッチング選択比が大きい薄膜が好ましい。
例えば、クロムを主成分としたクロム系薄膜がマスクブランクのコスト、品質上からより好ましい。クロム系薄膜は、通常、クロム、酸化クロム、窒化クロム、酸化窒化クロムの中から選ばれる材料の単層膜が用いられるが、それらのクロム系材料の中でも、成膜が容易で汎用性の高いクロム膜、または膜応力の低減が容易な窒化クロム膜がより好ましい。クロム系薄膜を半透過膜として用いる場合の膜厚は、3nm〜35nmの範囲が好ましい。 3nm未満だと下層の透明基板をフッ素系ガスでエッチングするときの耐性が不十分となり、一方、35nmを超えると半透明膜としての露光光透過性が低下するからである。
本実施形態において、中間膜36としては、塩素系ガスのエッチングを停止する機能を有し、フッ素系ガスでエッチングされる薄膜が用いられる。例えば、モリブデンシリサイド化合物を主成分とする中間膜36として、モリブデンシリサイド(MoSi)、モリブデンシリサイド酸化膜(MoSiO)、モリブデンシリサイド窒化膜(MoSiN)、モリブデンシリサイド酸化窒化膜(MoSiON)等のモリブデンシリサイド系薄膜が挙げられる。また中間膜36としては、酸化窒化シリコン(SiON)系薄膜も挙げられる。
中間膜36の膜厚は、例えば、モリブデンシリサイド系薄膜を用いた場合には、5nm〜50nm程度の範囲の膜厚で用いられるが、微細パターンを形成するためには、膜厚は小さいほうがより好ましい。中間膜36の膜厚が5nm未満では、エッチング時のマスクとしての耐性が不十分となり、一方、膜厚が50nmを超えると中間膜パターンとしての解像力が低下するからである。
本実施形態において、遮光膜34としては、第1の実施形態と同じく、最も使用実績のあるクロムを主成分としたクロム系薄膜がマスクのコスト、品質上からより好ましい。クロム系薄膜は、通常、クロム、酸化クロム、窒化クロム、酸化窒化クロムの中から選ばれる材料の単層膜が用いられるが、それらのクロム系材料の中でも、成膜が容易で汎用性の高いクロム膜、または膜応力の低減が容易な窒化クロム膜がより好ましい。
例えば、クロムを遮光膜34とした場合には、45nm〜100nm程度の範囲の膜厚で用いられるが、微細パターンを形成するためには、膜厚は小さいほうがより好ましい。遮光膜34の膜厚が45nm未満では、マスク作製後の遮光性が不十分となり、一方、膜厚が100nmを超えると遮光膜パターンとしての解像力が低下するからである。
上記の第1の半透過膜33、第2の半透過膜32、中間膜36、遮光膜34は、スパッタリング等の従来公知の成膜方法により形成することができる。また、第2の半透過膜32として透明基板31のパターン形成面側を用いる場合には、第2の半透過膜の成膜形成は不要である。
電子線レジストとしては、第1の実施形態と同じく、ネガ型、ポジ型のいずれも適用できる。第1のレジストパターン35の膜厚は100nm〜500nm程度の範囲で用いるのが好ましい。第1のレジストパターン35の膜厚が100nm未満では、遮光膜34のドライエッチング時の耐性が不十分となり、一方、膜厚が500nmを超えるとレジストパターンの解像力が低下してくるからである。
次に、図3(b)に示すように、第1のレジストパターン35をマスクとして遮光膜34をドライエッチングによってパターニングし、遮光膜パターン34aを形成する。
遮光膜34がクロムである場合には、遮光膜34は塩素、あるいは塩素と酸素の混合ガスをエッチングガスとして用いることによりドライエッチングを行なうことができる。
次に、図3(c)に示すように、第1のレジストパターン35と遮光膜パターン34aをマスクとして塩素系ガスのエッチングを停止する中間膜36をドライエッチングによってパターニングし、中間膜パターン36aを形成する。
中間膜36がモリブデンシリサイド系薄膜または酸化窒化シリコン系薄膜である場合には、中間膜36はCF4 、CHF3 、C2 6等のフッ素系ガス、あるいはこれらの混合ガス、あるいはこれらのガスに酸素を混合したガスをエッチングガスとして用いることによりドライエッチングを行なうことができる。
次に、図3(d)に示すように、第1のレジストパターン35と中間膜パターン36aをマスクとして、続いて第1の半透過膜33をドライエッチングによってパターニングし、第1の半透過膜パターン33aを形成する。図3(d)では、すべてのパターンがバイナリマスクパターン形状をしている。
第1の半透過膜33がクロム系薄膜である場合には、第1の半透過膜33は塩素、あるいは塩素と酸素の混合ガスをエッチングガスとして用いることにより選択的にドライエッチングを行なうことができる。このとき遮光膜パターン34aは第一のレジストパターン35で覆われているので、サイドエッチングはほとんど入らない。
続いて、図4(a)に示すように、第1のレジストパターン35と遮光膜パターン34aと第1の半透過膜パターン33aとをマスクにして、第2の半透過膜32を所定の掘り込み深さの途中までフッ素系ガスでドライエッチングし、途中までエッチングされた第2の半透過膜32を形成する。このとき中間膜パターン36aは第1のレジストパターン35と遮光膜パターン34aで覆われているので、サイドエッチングはほとんど入らない。
本実施形態において、所定の掘り込み深さの途中の意味は、第1の実施形態で説明した意味と同じである。
次に、第1のレジストパターン35を剥離した後、図4(b)に示すように、第2の電子線レジストをスピン塗布等の方法により塗布し、プリベーク後、電子線描画装置により電子線でパターン描画し、レジスト所定の現像液で現像して、第1の位相シフトパターン領域および第2の型位相シフトパターン領域とする部分を露出させた第2のレジストパターン37を形成する。第2の電子線レジストとしては、第1の電子線レジストと同一、または異なったレジストが使用できるが、同一のレジストとする方が、製造装置、プロセス条件が共用できるのでより好ましい。
次に、図4(c)に示すように、第2のレジストパターン37をマスクにし、露出した遮光膜パターン34aを塩素系ガスで選択的にドライエッチングして除去し、中間膜パターン36aを露出する。
次に、第2のレジストパターン37を剥離し、図4(d)に示すように、第2のレジストパターン37を剥離した側の全面をフッ素系ガスでドライエッチングし、第1の位相シフトパターン領域とする部分および第2の位相シフトパターン領域とする部分の中間膜パターン36aをエッチング除去して第1の半透過膜パターン33aを露出させ、第1の位相シフトパターン領域43を形成し、同時にバイナリパターン領域41を形成する。あわせて、第2の半透過膜32を所定の掘り込み深さにまでエッチングし第2の位相シフトパターン領域の底部32cを形成する。この段階では、第2の位相シフトパターン領域とする部分は、まだ第1の位相シフトパターン領域に含まれている。
本実施形態の特徴は、第2の位相シフトパターン領域の頂部となる部分がフッ素系ガスに耐性のある第1の半透過膜パターン33aで覆われているので、頂部に損傷を与えずに、第2の半透過膜32を所定の掘り込み深さにまでフッ素系ガスでエッチングできる。そのため、ドライエッチング条件の制御が容易であり、高品質のマスク製造が可能となる。
次に、図5(a)に示すように、第3の電子線レジストを塗布し、電子線描画装置により電子線でパターン描画し、現像し、第2の位相シフトパターン領域とする部分の第1の半透過膜パターン33aを露出させた第3のレジストパターン38を形成する。第3の電子線レジストは、上記の第2の電子線レジストと同じく、第1の電子線レジスト同一とするのがより好ましい。
次に、図5(b)に示すように、第3のレジストパターン38をマスクにし、露出した第1の半透過膜パターン33aの半透過膜を塩素系ガスで選択的にドライエッチングして除去し、第2の位相シフトパターン領域の頂部32bを露出させ、第2の位相シフトパターン領域42を形成する。
次いで、第3のレジストパターン38を剥離し、図5(c)に示すように、透明基板31上に露光光を透過する部分と遮光する部分とからなるバイナリパターン領域41と、露光光を0.5〜40%の範囲の第1の所望の透過率で透過し位相を反転させる第1の位相シフトパターン領域43と、露光光を前記第1の所望の透過率より大きい第2の所望の透過率で透過し位相を反転させる第2の位相シフトパターン領域42と、を少なくとも有する位相シフトマスク40が得られる。
(第3の実施形態)
図6は、上記の図5(c)に続く図であり、本発明の位相シフトマスクの製造方法の第3の実施形態の製造工程を示す部分断面模式図である。以下、図面を参照しながら説明する。
図6(a)に示すように、図5(c)に示す位相シフトマスクのパターン面側に第4の電子線レジストを塗布してパターン描画し、現像し、遮光部分を有するバイナリパターン領域の一部を露出した第4のレジストパターン39を形成する。第4の電子線レジストは、上記の電子線レジストと同じく、第1の電子線レジスト同一とするのがより好ましい。
次に、図6(b)に示すように、第4のレジストパターン39をマスクにして露出した遮光膜パターン34aを塩素系ガスで選択的にドライエッチングし、第2の半透過膜パターン32aと第1の半透過膜パターン33aと中間膜パターン36aよりなる第3の位相シフトパターン領域44を形成する。
次いで、第4のレジストパターン39を剥離し、図6(c)に示すように、透明基板31上に露光光を透過する部分と遮光する部分とからなるバイナリパターン領域41と、露光光を0.5〜40%の範囲の第1の所望の透過率で透過し位相を反転させる第1の位相シフトパターン領域42と、露光光を前記第1の所望の透過率より大きい第2の所望の透過率で透過し位相を反転させる第2の位相シフトパターン領域42と、露光光を前記第1の所望の透過率より小さい第3の透過率で透過し位相を反転させる第3の位相シフトパターン領域44とを有し、位相シフトパターン領域が露光光を3種類の透過率で透過する位相シフトマスク60が得られる。第3の位相シフトパターン領域44は、第1の位相シフトパターン領域43よりも中間膜パターン33a分だけ低透過率になっている。
上記では、位相シフトパターン領域が3種類の透過率の場合について説明したが、第3の実施形態に示す方法を用い、中間膜と遮光膜をさらに重ねることにより、3種類を超える透過率で透過する領域を形成することも可能である。
(位相シフトマスク)
本発明の位相シフトマスクは、上記の実施形態で述べた本発明の位相シフトマスクの製造方法で製造されたことを特徴とするものである。以下、実施形態について図面を参照して説明するが、各図面の符号は、本発明の位相シフトマスクの製造方法で示した符号と同じ符号を用いている。
(第1の実施形態)
図7は、本発明の位相シフトマスクの製造方法の第1の実施形態で製造した本発明の位相シフトマスクの第1の実施形態の一例を示す断面模式図である。
図7に示すように、本実施形態の位相シフトマスク20は、透明基板11上に露光光を透過する部分と遮光する部分とからなるバイナリパターン領域21と、露光光を0.5〜40%の範囲の第1の所望の透過率で透過し位相を反転させる第1の位相シフトパターン領域23と、露光光を前記第1の所望の透過率より大きい第2の所望の透過率で透過し位相を反転させる第2の位相シフトパターン領域22とを有する位相シフトマスク20である。
バイナリパターン領域21の露光光を遮光する部分は、透明基板11側から順に露光光を所望の透過率で透過する第2の半透過膜パターン12aと、第1の半透過膜パターン13aと、露光光を遮光する遮光膜パターン14aとでパターンが構成されるものである。
本発明の位相シフトマスクの製造方法で説明したように、本実施形態の位相シフトマスクは、第2の半透過膜パターン12aとして透明基板11を用いた構成とすることも可能である。
上記の位相シフトマスク20においては、第1の半透過膜パターン13aの半透過膜がモリブデンシリサイド系薄膜または酸化窒化シリコン系薄膜で形成され、遮光膜がクロム系薄膜で形成されているのが好ましい。
(第2の実施形態)
図8は、本発明の位相シフトマスクの製造方法の第2の実施形態で製造した本発明の位相シフトマスクの第2の実施形態の一例を示す断面模式図である。
図8に示すように、本実施形態の位相シフトマスク40は、透明基板31上に露光光を透過する部分と遮光する部分とからなるバイナリパターン領域41と、露光光を0.5〜40%の範囲の第1の所望の透過率で透過し位相を反転させる第1の位相シフトパターン領域43と、露光光を前記第1の所望の透過率より大きい第2の所望の透過率で透過し位相を反転させる第2の位相シフトパターン領域42と、を少なくとも有する位相シフトマスク40が得られる。
バイナリパターン領域41の露光光を遮光する部分は、透明基板31側から順に露光光を所望の透過率で透過する第2の半透過膜パターン32aと、第1の半透過膜パターン33aと、塩素系ガスのエッチングを停止する中間膜パターン36aと、露光光を遮光する遮光膜パターン34aとでパターンが構成されるものである。
本実施形態の位相シフトマスクは、上記の第1の実施形態と同じく、第2の半透過膜パターン32aとして透明基板31を用いた構成とすることも可能である。
上記の位相シフトマスク40においては、第1の半透過膜パターン32aが膜厚3nm〜35nmのクロム系薄膜で、中間膜パターン33aがモリブデンシリサイド系薄膜または酸化窒化シリコン系薄膜であり、遮光膜パターン34aが膜厚45nm〜100nmのクロム系薄膜であるのが好ましい。
(第3の実施形態)
図9は、本発明の位相シフトマスクの製造方法の第3の実施形態で製造した本発明の位相シフトマスクの第3の実施形態の一例を示す断面模式図である。
図9に示すように、本実施形態の位相シフトマスク60は、透明基板31上に露光光を透過する部分と遮光する部分とからなるバイナリパターン領域41と、露光光を0.5〜40%の範囲の第1の所望の透過率で透過し位相を反転させる第1の位相シフトパターン領域42と、露光光を前記第1の所望の透過率より大きい第2の所望の透過率で透過し位相を反転させる第2の位相シフトパターン領域42と、露光光を前記第1の所望の透過率より小さい第3の透過率で透過し位相を反転させる第3の位相シフトパターン領域44とを有し、位相シフトパターン領域が露光光を3種類の透過率で透過する位相シフトマスクである。
図9において、バイナリパターン領域41は、上記の第2の実施形態と同じで、露光光を遮光する部分が、透明基板31側から順に露光光を所望の透過率で透過する第2の半透過膜パターン32aと、第1の半透過膜パターン33aと、塩素系ガスのエッチングを停止する中間膜パターン36aと、露光光を遮光する遮光膜パターン34aとでパターンが構成されるものである。
本実施形態の位相シフトマスクは、上記の第1の実施形態と同じく、第2の半透過膜パターン32aとして透明基板31を用いた構成とすることも可能である。
上記の位相シフトマスク60においては、半透過膜パターン32aが膜厚3nm〜 35nmのクロム系薄膜であり、中間膜パターン33aがモリブデンシリサイド系薄膜または酸化窒化シリコン系薄膜であり、遮光膜パターン34aが膜厚45nm〜100nmのクロム系薄膜であるのが好ましい。
上記では、位相シフトパターン領域が3種類の透過率を有する位相シフトマスクについて説明したが、第3の実施形態に示す方法を用い、中間膜と遮光膜をさらに重ねることにより、3種類を超える透過率で透過する領域を有する位相シフトマスクを形成することも可能である。
(実施例1)
本発明の第1の実施形態の実施例について説明する。光学研磨した6インチ角、0.25インチ厚の透明な合成石英基板を洗浄し、その一主面上に第2の半透過膜として酸化窒化シリコン(SiON)を膜厚110nmで成膜し、続いて第1の半透過膜としてモリブデンシリサイドを以下の条件で膜厚25nmで成膜形成した。、露光光はArFエキシマレーザ(193nm)用で、形成した第2の半透過膜の透過率は91%、第1の半透過膜の透過率は、第2の半透過膜に積層された状態で6%とした。
<半透過膜のスパッタリング条件>
成膜装置: プレーナ型DCマグネトロンスパッタリング装置
・酸化窒化シリコンの成膜
ターゲット: シリコン
ガス: アルゴンガス+酸素ガス+窒素ガス
・モリブデンシリサイドの成膜
ターゲット: モリブデン:シリコン=1:4(原子比)
ガス: アルゴンガス+酸素ガス
次いで、上記の第1の半透過膜であるモリブデンシリサイド上に、クロムよりなる遮光膜を下記条件にて、厚さ50nmに積層して形成した。
<遮光膜のスパッタリング条件>
成膜装置: プレーナ型DCマグネトロンスパッタリング装置
ターゲット: 金属クロム
ガス: アルゴンガス
次に、上記のクロム遮光膜の上に第1の電子線レジストを、厚さ300nmに塗布し、プリベーク後、電子線描画装置にてパターン描画し、現像し、所望形状の第1のレジストパターンを形成した。
次に、上記の第1のレジストパターンをマスクとして、ドライエッチング装置によりレジストパターンから露出しているクロム遮光膜を下記条件によりドライエッチングし、遮光膜パターンを形成した。
<クロム遮光膜のエッチング条件>
エッチングガスCl2+O2ガス(2:3)
圧力 10mTorr
ICPパワー(高密度プラズマ発生) 500W
バイアスパワー(引き出しパワー) 25W
次に、上記の第1のレジストパターンと遮光膜パターンをマスクとして、ドライエッチング装置により露出している第1の半透過膜であるモリブデンシリサイドを下記条件によりドライエッチングし、第1の半透過膜パターンを形成し、続いて第2の半透過膜である酸化窒化シリコンを下記同一条件で所定の掘り込み深さの途中までドライエッチングした。
<第1の半透過膜および第2の半透過膜のエッチング条件>
エツチングガス CF4
ガス圧力 10mTorr
ICPパワー(高密度プラズマ発生) 950W
バイアスパワー(引き出しパワー) 50W
次に、上記の第1のレジストパターンを酸素プラズマで剥離した後、第2の電子線レジストを塗布し、プリベーク後、電子線描画装置にてアライメント描画し、現像し、第2の位相シフトパターン領域とする部分を露出させた第2のレジストパターンを形成した。第2の電子線レジストは、第1のレジストと同じレジストを用いた。
上記の第2のレジストパターンをマスクとして、ドライエッチング装置によりレジストパターンから露出しているクロム遮光膜を、上記のクロム遮光膜と同じ条件により選択的にドライエッチングして除去し、第1の半透明膜パターンを露出させた後、第2のレジストパターンを酸素プラズマで剥離した。
次に、第2のレジストパターンを剥離した側の全面を上記と同じ条件でCF4ガスでドライエッチングし、第2の位相シフトパターン領域とする第1の半透過膜のモリブデンシリサイドをエッチング除去するとともに、第2の半透過膜の酸化窒化シリコンを所定の掘り込み深さにまでエッチングし、第2の位相シフトパターン領域およびバイナリパターン領域を形成した。
次に、第3の電子線レジストを塗布し、プリベーク後、電子線描画装置にてアライメント描画し、現像し、ハーフトーン型位相シフト領域とする部分を露出させた第3のレジストパターンを形成した。第3の電子線レジストは、第1のレジストと同じレジストを用いた。
次に、第3のレジストパターンをマスクにして、露出した遮光膜パターンの遮光膜を上記と同じ条件で塩素系ガスにより選択的にドライエッチング除去し、第1の半透過膜のモリブデンシリサイドを露出させて第1の位相シフトパターン領域を形成し、次いで該第3のレジストパターンを剥離し、バイナリパターン領域と、露光光を6%の透過率で透過し位相を反転させる第1の位相シフトパターン領域と、露光光を91%の透過率で透過し位相を反転させる第2の位相シフトパターン領域とを有する位相シフトマスクを得た。
(実施例2)
本実施例では、ArFエキシマレーザを用いたときの第2の半透過膜の透過率を透明基板と同じ透過率(ほぼ100%)とするために、第2の半透明膜として透明基板のパターン形成面側を用いた。
光学研磨した6インチ角、0.25インチ厚の透明な合成石英基板を洗浄し、その一主面上に第1の半透過膜としてモリブデンシリサイドを以下の条件で形成した。第1の半透過膜の膜厚は、ArFエキシマレーザ用で透過率6%、位相差180度とするため70nmとした。
<第1の半透過膜のスパッタリング条件>
成膜装置: プレーナ型DCマグネトロンスパッタリング装置
ターゲット: モリブデン:シリコン=1:4(原子比)
ガス: アルゴンガス+酸素ガス
次いで、上記の第1の半透過膜上に、実施例1と同様に、クロムよりなる遮光膜を下記条件にて、厚さ50nmに積層して形成した。
次に、上記の遮光膜の上に第1の電子線レジストを、厚さ300nmに塗布し、プリベーク後、電子線描画装置にてパターン描画し、現像し、所望形状の第1のレジストパターンを形成した。
次に、上記の第1のレジストパターンをマスクとして、ドライエッチング装置によりレジストパターンから露出しているクロム遮光膜を下記条件によりドライエッチングし、遮光膜パターンを形成した。
<クロム遮光膜のエッチング条件>
エッチングガスCl2+O2ガス(2:3)
圧力 10mTorr
ICPパワー(高密度プラズマ発生) 500W
バイアスパワー(引き出しパワー) 25W
次に、上記の第1のレジストパターンと遮光膜パターンをマスクとして、ドライエッチング装置により露出している第1の半透過膜のモリブデンシリサイドを下記条件によりドライエッチングし、第1の半透過膜パターンを形成し、続いて第2の半透過膜として用いた合成石英基板を所定の掘り込み深さの途中までドライエッチングした。
<第1の半透過膜および第2の半透過膜(石英基板)のエッチング条件>
エツチングガス CF4
ガス圧力 10mTorr
ICPパワー(高密度プラズマ発生) 950W
バイアスパワー(引き出しパワー) 50W
次に、上記の第1のレジストパターンを酸素プラズマで剥離した後、第2の電子線レジストを塗布し、プリベーク後、電子線描画装置にてアライメント描画し、現像し、第2の位相シフトパターン領域とする部分を露出させた第2のレジストパターンを形成した。第2の電子線レジストは、第1のレジストと同じレジストを用いた。
上記の第2のレジストパターンをマスクとして、ドライエッチング装置によりレジストパターンから露出しているクロム遮光膜を、上記のクロム遮光膜と同じ条件により選択的にドライエッチングし、第1の半透過膜パターンを露出させた後、第2のレジストパターンを酸素プラズマで剥離した。
次に、第2のレジストパターンを剥離した側の全面を上記と同じ条件でCF4ガスでドライエッチングし、露出した第1の半透過膜をエッチング除去するとともに、第2の半透過膜として用いた石英基板を所定の掘り込み深さにまでエッチングし、第2の位相シフトパターン領域およびバイナリパターン領域を形成した。
次に、第3の電子線レジストを塗布し、プリベーク後、電子線描画装置にてアライメント描画し、現像し、第1の位相シフト領域とする部分を露出させた第3のレジストパターンを形成した。第3の電子線レジストは、第1のレジストと同じレジストを用いた。
次に、第3のレジストパターンをマスクにして、露出した遮光膜パターンの遮光膜を上記と同じ条件で塩素系ガスにより選択的にドライエッチング除去し、第1の半透過膜のモリブデンシリサイドを露出させて第1の位相シフトパターン領域を形成し、次いで該第3のレジストパターンを剥離し、バイナリパターン領域と、露光光を6%で透過し位相を反転させる第1の位相シフトパターン領域と、露光光をほぼ100%で透過し位相を反転させる第2の位相シフトパターン領域とを有する位相シフトマスクを得た。
(実施例3)
本発明の第2の実施形態の実施例について説明する。本実施例では、上記の実施例2と同様に、ArFエキシマレーザを用いたときの第2の半透過膜の透過率を透明基板と同じ透過率(ほぼ100%)とするために、第2の半透明膜として透明基板のパターン形成面側を用いた。
光学研磨した6インチ角、0.25インチ厚の透明な合成石英基板を洗浄し、その一主面上に第1の半透過膜としてクロムを以下の条件で形成した。ここで膜厚は、ArFエキシマレーザ用で透過率30%および位相差180度とするため15nmとした。
<第1の半透過膜のスパッタリング条件>
成膜装置:プレーナ型DCマグネトロンスパッタリング装置
ターゲット:金属クロム
ガス及び流量:アルゴンガス50sccm
スパッタ圧力:0.3パスカル
スパッタ電流:3.5アンペア
次いで、上記の半透過膜上に、モリブデンシリサイドよりなる中間膜を下記条件にて、厚さ50nmに積層して形成した。
<中間膜のスパッタリング条件>
成膜装置:プレーナ型DCマグネトロンスパッタリング装置
ターゲット:モリブデン:シリコン=1:4(原子比)
ガス及び流量:アルゴンガス50sccm+酸素ガス50sccm
スパッタ圧力:0.3パスカル
スパッタ電流:3.5アンペア
次いで、上記の中間膜上に、クロムよりなる遮光膜を下記条件にて、厚さ50nmに積層して形成した。
<遮光膜のスパッタリング条件>
成膜装置:プレーナ型DCマグネトロンスパッタリング装置
ターゲット:金属クロム
ガス及び流量:アルゴンガス50sccm
スパッタ圧力:0.3パスカル
スパッタ電流:3.5アンペア
次に、上記のクロム遮光膜の上に第1の電子線レジストを、厚さ300nmに塗布し、プリベーク後、電子線描画装置にてパターン描画し、現像し、所望形状の第1のレジストパターンを形成した。
次に、上記の第1のレジストパターンをマスクとして、ドライエッチング装置によりレジストパターンから露出しているクロム遮光膜を下記条件によりドライエッチングし、遮光膜パターンを形成した。
<クロム遮光膜のエッチング条件>
エッチングガス:Cl2+O2ガス(2:3)
圧力:10mTorr
ICPパワー(高密度プラズマ発生):500W
バイアスパワー(引き出しパワー):25W
次に、上記の第1のレジストパターンと遮光膜パターンをマスクとして、ドライエッチング装置により露出している中間膜を下記条件によりドライエッチングし、中間膜パターンを形成した。
次に、上記の第1のレジストパターンと中間膜をマスクとして、ドライエッチング装置により露出しているクロムよりなる第1の半透過膜を上記のクロム遮光膜と同じ条件によりドライエッチングし、第1の半透過膜パターンを形成した。
次に、露出している第2の半透過膜として用いた合成石英基板を所定の掘り込み深さの途中までドライエッチングした。
<第2の半透過膜(石英基板)のエッチング条件>
エツチングガス:CF4
ガス圧力:10mTorr
ICPパワー(高密度プラズマ発生):950W
バイアスパワー(引き出しパワー):50W
次に、上記の第1のレジストパターンを酸素プラズマで剥離した後、第2の電子線レジストを塗布し、プリベーク後、電子線描画装置にてアライメント描画し、現像し、第1の位相シフトパターン領域および第2の位相シフトパターン領域とする部分を露出させた第2のレジストパターンを形成した。第2の電子線レジストは、第1のレジストと同じレジストを用いた。
上記の第2のレジストパターンをマスクとして、ドライエッチング装置によりレジストパターンから露出しているクロム遮光膜を、上記のクロム遮光膜と同じ条件により選択的にドライエッチングし、中間膜パターンを露出させた後、第2のレジストパターンを酸素プラズマで剥離した。
次に、第2のレジストパターンを剥離した側の全面を上記の第2の半透過膜とした合成石英基板エッチングと同じ条件でCF4ガスでドライエッチングし、露出していたモリブデンシリサイドよりなる中間膜パターンを選択的にエッチング除去するとともに、第2の半透過膜とした合成石英基板を所定の掘り込み深さにまでエッチングし、第1の位相シフトパターン領域とバイナリパターン領域を形成した。
次に、第3の電子線レジストを塗布し、プリベーク後、電子線描画装置にてアライメント描画し、現像し、第2の位相シフトパターン領域とする部分を露出させた第3のレジストパターンを形成した。第3の電子線レジストは、第1のレジストと同じレジストを用いた。
次に、第3のレジストパターンをマスクにして、露出したクロムよりなる第1の半透過膜パターンの半透過膜を塩素系ガスで上記と同じ条件で選択的にドライエッチング除去し、第2の半透過膜とした透明基板を露出させて第2の位相シフトパターン領域を形成し、次いで該第3のレジストパターンを剥離し、バイナリパターン領域と、露光光を30%で透過し位相を反転させる第1の位相シフトパターン領域と、露光光をほぼ100%で透過し位相を反転させる第2の位相シフトパターン領域とを有する位相シフトマスクを得た。
(実施例4)
本発明の第3の実施形態の実施例について説明する。本実施例は、上記の実施例3で得られた位相シフトマスクを用いてさらに透過率の異なる第3の位相シフト領域を追加形成した例である。
上記の実施例3で得られた位相シフトマスクを用い、そのパターン面側に第4の電子線レジストを塗布し、プリベーク後、電子線描画装置にてアライメント描画し、現像し、第3の位相シフトパターン領域とする部分を露出させた第4のレジストパターンを形成した。第4の電子線レジストは、実施例3の第1のレジストと同じレジストを用いた。
次に、上記の第4のレジストパターンをマスクとして、ドライエッチング装置によりレジストパターンから露出しているクロム遮光膜を実施例3に示した同じ条件により塩素系ガスでドライエッチングして除去し、クロムよりなる中間膜パターンを露出させた。
次いで第4のレジストパターンを剥離し、バイナリパターン領域と、露光光を30%で透過し位相を反転させる第1の位相シフトパターン領域と、露光光をほぼ100%で透過し位相を反転させる第2の位相シフトパターン領域と、露光光を15%で透過し位相を反転させる第3の位相シフトパターン領域とを有する位相シフトマスクを得た。
本発明の位相シフトマスクの製造方法の第1の実施形態を示す工程断面模式図である。 図1に続く本発明の位相シフトマスクの製造方法の第1の実施形態を示す工程断面模式図である。 本発明の位相シフトマスクの製造方法の第2の実施形態を示す工程断面模式図である。 図3に続く本発明の位相シフトマスクの製造方法の第2の実施形態を示す工程断面模式図である。 図4に続く本発明の位相シフトマスクの製造方法の第2の実施形態を示す工程断面模式図である。 本発明の位相シフトマスクの製造方法の第3の実施形態を示す工程断面模式図である。 本発明の位相シフトマスクの製造方法による第1の実施形態による位相シフトマスクを示す断面模式図である。 本発明の位相シフトマスクの製造方法による第2の実施形態による位相シフトマスクを示す断面模式図である。 本発明の位相シフトマスクの製造方法による第3の実施形態による位相シフトマスクを示す断面模式図である。
符号の説明
11、31 透明基板
12、32 第2の半透過膜
12a、32a 第2の半透過膜パターン
12b、31b 第2の位相シフトパターン領域の頂部
12c、31c 第2の位相シフトパターン領域の底部
13、33 第1の半透過膜
13a、33a 第1の半透過膜パターン
14、34 遮光膜
14a、34a 遮光膜パターン
15、35 第1のレジストパターン
16、37 第2のレジストパターン
17、38 第3のレジストパターン
20 第1の実施形態の位相シフトマスク
21 バイナリパターン領域
22 第2の位相シフトパターン領域
23 第1の位相シフトパターン領域
36 塩素系ガスのエッチングを停止する中間膜
36a 中間膜パターン
39 第4のレジストパターン
40 第2の実施形態の位相シフトマスク
41 バイナリパターン領域
42 第2の位相シフトパターン領域
43 第1の位相シフトパターン領域
44 第3の位相シフトパターン領域
60 第3の実施形態の位相シフトマスク

Claims (8)

  1. 透明基板上にマスクパターンを有し、前記マスクパターンが、露光光を透過する部分と遮光する部分とからなるバイナリパターン領域と、露光光を0.5〜40%の範囲の第1の所望の透過率で透過し位相を反転させる第1の位相シフトパターン領域と、露光光を前記第1の所望の透過率より大きい第2の所望の透過率で透過し位相を反転させる第2の位相シフトパターン領域と、を有する位相シフトマスクの製造方法であって、
    (1)前記透明基板上に、前記露光光を前記第2の所望の透過率で透過する第2の半透過膜、該第2の半透過膜に積層されて用いられたときに前記露光光を前記第1の所望の透過率で透過する第1の半透過膜、前記露光光を遮光する遮光膜、を順に設ける工程と、
    (2)前記遮光膜上に第1のレジストパターンを形成し、該第1のレジストパターンをマスクにして、前記遮光膜を塩素系ガスでドライエッチングして遮光膜パターンを形成する工程と、
    (3)該第1のレジストパターンと該遮光膜パターンとをマスクにして、前記第1の半透過膜をフッ素系ガスでドライエッチングして第1の半透過膜パターンを形成する工程と、
    (4)該第1のレジストパターンと該遮光膜パターンとをマスクにして、前記第2の半透過膜を所定の掘り込み深さの途中までフッ素系ガスでドライエッチングし、次いで該第1のレジストパターンを剥離する工程と、
    (5)前記第2の位相シフトパターン領域とする部分を露出させた第2のレジストパターンを形成し、該第2のレジストパターンをマスクにして、露出した遮光膜パターンを塩素系ガスで選択的にドライエッチングして除去し、次いで該第2のレジストパターンを剥離する工程と、
    (6)該第2のレジストパターンを剥離した側の全面をフッ素系ガスでドライエッチングし、露出した前記第1の半透過膜パターンをエッチング除去するとともに、前記第2の半透過膜を所定の掘り込み深さまでエッチングし、前記第2の位相シフトパターン領域およびバイナリパターン領域を形成する工程と、
    (7)前記第1の位相シフトパターン領域とする部分を露出させた第3のレジストパターンを形成し、該第3のレジストパターンをマスクにして、露出した遮光膜パターンの遮光膜を塩素系ガスで選択的にドライエッチング除去し前記第1の位相シフトパターン領域を形成し、次いで該第3のレジストパターンを剥離する工程と、
    を含むことを特徴とする位相シフトマスクの製造方法。
  2. 前記第2の半透過膜が、前記透明基板の一部であることを特徴とする請求項1に記載の位相シフトマスクの製造方法。
  3. 前記第1の半透過膜が、膜厚10nm〜30nmのモリブデンシリサイド系薄膜であり、前記第2の半透過膜が、膜厚100nm〜120nmの酸化窒化シリコン薄膜であることを特徴とする請求項1に記載の位相シフトマスクの製造方法。
  4. 透明基板上にマスクパターンを有し、前記マスクパターンが、露光光を透過する部分と遮光する部分とからなるバイナリパターン領域と、露光光を0.5〜40%の範囲の第1の所望の透過率で透過し位相を反転させる第1の位相シフトパターン領域と、露光光を前記第1の所望の透過率より大きい第2の所望の透過率で透過し位相を反転させる第2の位相シフトパターン領域と、を少なくとも有する位相シフトマスクの製造方法であって、
    (1)前記透明基板上に、前記露光光を前記第2の所望の透過率で透過する第2の半透過膜、該第2の半透過膜に積層されて用いられたときに前記露光光を前記第1の所望の透過率で透過する第1の半透過膜、塩素系ガスのエッチングを停止する中間膜、前記露光光を遮光する遮光膜、を順に設ける工程と、
    (2)前記遮光膜上に第1のレジストパターンを形成し、該第1のレジストパターンをマスクにして、前記遮光膜を塩素系ガスでドライエッチングして遮光膜パターンを形成する工程と、
    (3)該第1のレジストパターンと該遮光膜パターンとをマスクにして、前記中間膜をフッ素系ガスでドライエッチングして中間膜パターンを形成する工程と、
    (4)該第1のレジストパターンと該中間膜パターンとをマスクにして、前記第1の半透過膜を塩素系ガスでドライエッチングして第1の半透過膜パターンを形成する工程と、
    (5)該第1のレジストパターンと該遮光膜パターンと該第1の半透過膜パターンとをマスクにして、前記第2の半透過膜を所定の掘り込み深さの途中までフッ素系ガスでドライエッチングし、次いで該第1のレジストパターンを剥離する工程と、
    (6)前記第1の位相シフトパターン領域および前記第2の位相シフトパターン領域とする部分を露出させた第2のレジストパターンを形成し、該第2のレジストパターンをマスクにして、露出した該遮光膜パターンを塩素系ガスで選択的にドライエッチングして除去し、次いで該第2のレジストパターンを剥離する工程と、
    (7)該第2のレジストパターンを剥離した側の全面をフッ素系ガスでドライエッチングし、露出した前記中間膜パターンをエッチング除去するとともに、前記第2の半透過膜を所定の掘り込み深さまでエッチングし、前記第1の位相シフトパターン領域およびバイナリパターン領域を形成する工程と、
    (8)前記第2の位相シフトパターン領域とする部分を露出させた第3のレジストパターンを形成し、該第3のレジストパターンをマスクにして、露出した第1の半透過膜パターンの半透過膜を塩素系ガスで選択的にドライエッチング除去し前記第2の位相シフトパターン領域を形成し、次いで該第3のレジストパターンを剥離する工程と、
    を含むことを特徴とする位相シフトマスクの製造方法。
  5. 請求項4に記載の位相シフトマスクの製造方法において、前記工程(1)〜(8)に続いて、
    (9)第3の位相シフトパターン領域とするバイナリパターン領域の一部を露出させた第4のレジストパターンを形成し、該第4のレジストパターンをマスクにして露出した前記遮光膜パターンを塩素系ガスで選択的にドライエッチングし、前記第1の半透過膜と前記第2の半透過膜と前記中間膜よりなる第3の位相シフトパターン領域を形成し、次いで該第4のレジストパターンを剥離する工程と、
    を含み、前記位相シフトパターン領域が、前記露光光を所望の3種類以上の透過率で透過する領域よりなることを特徴とする位相シフトマスクの製造方法。
  6. 前記第2の半透過膜が、前記透明基板の一部であることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の位相シフトマスクの製造方法。
  7. 前記第1の半透過膜が膜厚3nm〜35nmのクロム系薄膜であり、前記中間膜がモリブデンシリサイド系薄膜または酸窒化シリコン系薄膜であり、前記遮光膜が膜厚45nm〜100nmのクロム系薄膜であることを特徴とする請求項4〜請求項6のいずれか1項に記載の位相シフトマスクの製造方法。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の方法で製造されたことを特徴とする位相シフトマスク。
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