JP2002072445A - ハーフトーン位相シフトフォトマスク及びハーフトーン位相シフトフォトマスク用ブランクス - Google Patents

ハーフトーン位相シフトフォトマスク及びハーフトーン位相シフトフォトマスク用ブランクス

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JP2002072445A
JP2002072445A JP2000267552A JP2000267552A JP2002072445A JP 2002072445 A JP2002072445 A JP 2002072445A JP 2000267552 A JP2000267552 A JP 2000267552A JP 2000267552 A JP2000267552 A JP 2000267552A JP 2002072445 A JP2002072445 A JP 2002072445A
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Hiroo Nakagawa
博雄 中川
Toshiaki Motonaga
稔明 本永
Yoshiaki Konase
良紀 木名瀬
Satoshi Yusa
智 遊佐
Shigeo Tsunoda
成夫 角田
Hisafumi Yokoyama
寿文 横山
Chiaki Hatsuda
千秋 初田
Junji Fujikawa
潤二 藤川
Masashi Otsuki
雅司 大槻
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    • G03F1/00Originals for photomechanical production of textured or patterned surfaces, e.g., masks, photo-masks, reticles; Mask blanks or pellicles therefor; Containers specially adapted therefor; Preparation thereof
    • G03F1/26Phase shift masks [PSM]; PSM blanks; Preparation thereof
    • G03F1/32Attenuating PSM [att-PSM], e.g. halftone PSM or PSM having semi-transparent phase shift portion; Preparation thereof
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    • G03F1/58Absorbers, e.g. of opaque materials having two or more different absorber layers, e.g. stacked multilayer absorbers

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 モリブデンリサイド系のハーフトーン位相シ
フト膜材料を用い、且つ、モリブデンシリサイド系材料
の優れた加工特性、加工後の化学的安定性等を維持しつ
つ、石英基板とのエツチング選択比を向上させた構造の
ハーフトーン位相シフトフォトマスクを提供する。 【解決手段】 透明基板上のハーフトーン位相シフト層
が、モリブデンシリサイドを主成分とし、酸素、窒素の
いずれか一方または両方を含む層を少なくとも有し、且
つ、二層以上の多層膜から形成されるハーフトーン位相
シフトフォトマスク用ブランクスであって、この多層膜
中に、クロムまたはタンタルのいずれか一方またはクロ
ムタンタル合金が主成分である層が含まれ、かつ、この
クロムまたはタンタルのいずれか一方またはクロムタン
タル合金が主成分である層が、前記モリブデンシリサイ
ドを主成分とし、かつ、酸素、窒素のいずれか一方また
は両方を含む層よりも、透明基板に近い側に積層されて
いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、LSI、超LSI
等の高密度集積回路等の製造に用いられるフォトマスク
及びそのフォトマスクを製造するためのフォトマスクブ
ランクに関し、特に、微細寸法の投影像が得られるハー
フトーン位相シフトフォトマスクと、この位相シフトフ
ォトマスクを製造するためのハーフトーン位相シフトフ
ォトマスク用ブランクスに関する。
【0002】
【従来の技術】IC,LSI,超LSI等の半導体集積
回路は、フォトマスクを使用したリソグラフィー工程を
繰り返すことによって製造されるが、特に微細寸法の形
成には、例えば、特開昭58−173744号公報、特
公昭62−59296号公報等に示されているような位
相シフトフォトマスクの使用が検討されている。位相シ
フトフォトマスクには様々な構成のものか提案されてい
るが、その中でも、例えば特開平4−136854号公
報、米国特許第4,890,309号等に示されるよう
な、ハーフトーン位相シフトフォトマスクが早期実用化
の観点から注目を集めている。そして、特開平5−22
59号公報、特開平5−127361号公報等に記載の
ように、製造工程数の減少による歩留りの向上、コスト
の低減等が可能な構成、材料について、いくつか提案が
されている。
【0003】ここで、ハーフトーン位相シフト法および
ハーフトーン位相シフトフォトマスクを図に基づいて簡
単に説明する。図6はハーフトーン位相シフト法の原理
を示す図、図7は従来法を示す図である。図6(a)及
び図7(a)はフォトマスクの断面図、図6(b)及び
図7(b)はフォトマスク上の光の振幅、図6(c)及
び図7(c)はウエーハー上の光の振幅、図6(d)及
び図7(d)はウエーハー上の光強度をそれぞれ示し、
911及び921は基板、922は100%遮光膜、9
12は入射光の位相を実質的に180度ずらし、かつ、
透過率が1%〜50%の範囲であるハーフトーン位相シ
フト膜、913及び923は入射光である。従来法にお
いては、図7(a)に示すように、石英ガラス等からな
る基板921上にクロム等からなる100%遮光膜92
2を形成し、所望のパターンの光透過部を形成してある
だけであり、ウエーハー上での光強度分布は図7(d)
に示すように裾広がりとなり、解像度が劣ってしまう。
一方、ハーフトーン位相シフトシフト法では、ハーフト
ーン位相シフト膜912を透過した光とその開口部を透
過した光とでは位相が実質的に反転するので、図6
(d)に示すように、ウエーハー上でパターン境界部で
の光強度が0になり、その裾広がりを抑えることかで
き、したがって、解像度を向上させることができる。
【0004】ハーフトーン位相シフトフォトマスクのハ
ーフトーンの位相シフト膜912には、位相反転と透過
率調整という2つの機能が要求される。このうち、位相
反転機能については、ハーフトーン位相シフト膜912
を透過する露光光と、その開口部を透過する露光光との
間で、位相が実質的に反転するようになっていればよ
い。ここで、ハーフトーン位相シフト膜(ハーフトーン
位相シフト層とも言う)912を、たとえばM.Bor
n、E.Wolf著「Principles ofOp
tics」628〜632頁に示される吸収膜として扱
うと、多重干渉を無視できるので、垂直透過光の位相変
化φは、以下の式で計算され、φがnπ±π/3(nは
奇数)の範囲に含まれるとき、上述の位相シフト効果が
得られる。
【0005】
【数式3】 ここで、φは前記透明基板上に(m−2)層のハーフト
ーン位相シフト層が構成されているフォトマスクを垂直
に透過する光が受ける位相変化であり、x(k,k+
1)はk番目の層と(k+1)番目の層との界面でおき
る位相変化、u(k)、d(k)はそれぞれk番目の層
を構成する材料の屈折率と膜厚、λは露光光の波長であ
る。ただし、k=1の層は前記透明基板、k=mの層は
空気とする。
【0006】一方、ハーフトーン位相シフト効果か得ら
れるための、ハーフトーン位相シフト膜912の露光光
透過率は、転写パターンの寸法、面積、配置、形状等に
よって決定され、パターンによって異なる。実質的に、
上述の効果を得るためには、ハーフトーン位相シフト膜
912の露光光透過率を、パターンによって決まる最適
透過率を中心として、最適透過率±数%の範囲内に含ま
れるようにしなければならない。通常、この最適透過率
は、開口部を100%としたときに、転写パターンによ
って1%〜50%という広い範囲内で大きく変動する。
すなわち、あらゆるパターンに対応するためには、様々
な透過率を有するハーフトーン位相シフトフォトマスク
が要求される。実際には、位相反転機能と透過率調整機
能とは、ハーフトーン位相シフト膜を構成する材料(多
層の場合は、各層を構成する各材料)の複素屈折率(屈
折率と消衰係数)と膜厚とによって決定される。つま
り、ハーフトーン位相シフト膜の膜厚を調整し、前記式
により求まる位相差φがnπ±π/3(nは奇数)の範
囲に含まれるような材料が、ハーフトーン位相シフトフ
ォトマスクのハーフトーン位相シフト層として使える。
【0007】ところで、一般的にフォトマスクパターン
用の薄膜材料としては、例えば日本国特許第17501
21号、同第1781105号などに示されるようなモ
リブデンシリサイドか知らており、その加工特性か極め
て優れていることから、例えば日本国特許第28378
03号、特開平07−140635に挙げられるよう
に、モリブデンシリサイドを酸化または窒化すること
で、ハーフトーン位相シフト膜への応用する試みか盛ん
に検討された。
【0008】しかしながら、一般的にモリブデンシリサ
イドは、CF4 、CHF3 、SF6、C2 6 、N
3 、CF4 +H2 、CBrF3 などのフツ素系のエツ
チングガスを用いてドライエッチングを行うが、この際
に、基板材である合成石英などの透明基板もエッチング
され、高精度なドライエッチングが出来ない、という問
題点があった。一般的に、ハーフトーン位相シフトフォ
トマスクの製造に関しては、その位相角の高精度制御が
不可欠であるが、上述の通り、ハーフトーン位相シフト
膜のエツチングの際に石英基板もエツチングされてしま
うと、その掘られた分だけ位相差に誤差が生じてしま
う。また、ハーフトーン位相シフト膜のエッチングは、
パターン寸法の制御にも重要な役割を持つため、出来る
限り良好なパターン寸法の均一性、再現性が得られるよ
うに条件設定したいところであるが、石英とのエッチン
グ選択比という新たなパラメータが加わることにより、
条件設定の裕度が狭くなってしまう、という問題点もあ
る。これは、寸法制御にとっての最適エッチングプロセ
スと、上記位相差制御を重視した最適エッチングプロセ
スとは必ずしも一致しないため生じる問題である。すな
わち、モリブデンシリサイド系のハーフトーン位相シフ
ト膜材料は、それ自体は優れた加工特性、加工後の化学
的安定性を示すが、位相差の高精度制御も考慮に入れる
と、高精度のパターニングが困難になってしまう、と言
う問題点である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】このように、LSIパ
ターンの微細化に伴う露光波長の短波長化に伴い、より
短波長露光に対応した、モリブデンシリサイド系の材料
を、ハーフトーン位相シフト膜へ適用する試みが行われ
ているが、モリブデンシリサイド系のハーフトーン位相
シフト膜材料は、それ自体は優れた加工特性、加工後の
化学的安定性を示すが、位相差の高精度制御も考慮に入
れると、高精度のパターニングが困難になってしまう、
と言う問題点があり、この対応が求められていた。本発
明は、これに対応するもので、モリブデンシリサイド系
のハーフトーン位相シフト膜材料を用い、且つ、モリブ
デンシリサイド系材料の優れた加工特性、加工後の化学
的安定性等を維持しつつ、石英基板とのエツチング選択
比を向上させた構造のハーフトーン位相シフトフォトマ
スクを提供しようとするものである。同時に、そのよう
なハーフトーン位相シフトフォトマスクの作製を可能と
するハーフトーン位相シフトフォトマスク用ブランクス
を提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明のハーフトーン位
相シフトフォトマスク用ブランクスは、透明基板上のハ
ーフトーン位相シフト層が、モリブデンシリサイドを主
成分とし、酸素、窒素のいずれか一方または両方を含む
層を少なくとも有し、且つ、二層以上の多層膜から形成
されるハーフトーン位相シフトフォトマスク用ブランク
スであって、この多層膜中に、クロムまたはタンタルの
いずれか一方またはクロムタンタル合金が主成分である
層が含まれ、かつ、このクロムまたはタンタルのいずれ
か一方またはクロムタンタル合金が主成分である層が、
前記モリブデンシリサイドを主成分とし、かつ、酸素、
窒素のいずれか一方または両方を含む層よりも、透明基
板に近い側に積層されていることを特徴とするものであ
る。そして、上記において、ハーフトーン位相シフト層
が、透明基板上に以下の式により求まる位相差φがnπ
土π/3ラジアン(nは奇数)の範囲となるように形成
されていることを特徴とするものである。
【数式4】 ここで、φは前記透明基板上に(m−2)層のハーフト
ーン位相シフト層が構成されているフォトマスクを垂直
に透過する光が受ける位相変化であり、x(k,k+
1)はk番目の層と(k+1)番目の層との界面でおき
る位相変化、u(k)、d(k)はそれぞれk番目の層
を構成する材料の屈折率と膜厚、λは露光光の波長であ
る。ただし、k=1の層は前記透明基板、k=mの層は
空気とする。そしてまた、上記において、ハーフトーン
位相シフト層の露光光に対する透過率が、その露光光に
対する前記透明基板の透過率を100%としたときに、
1〜50%となるような膜厚で前記透明基板上に形成さ
れていることを特徴とするものである。
【0011】本発明のハーフトーン位相シフトフォトマ
スクは、透明基板上のハーフトーン位相シフト層が、モ
リブデンシリサイドを主成分とし、酸素、窒素のいずれ
か一方または両方を含む層を少なくとも有し、且つ、二
層以上の多層膜から形成されるハーフトーン位相シフト
フォトマスクであって、この多層膜中に、クロムまたは
タンタルのいずれか一方またはクロムタンタル合金が主
成分である層が含まれ、かつ、このクロムまたはタンタ
ルのいずれか一方またはクロムタンタル合金が主成分で
ある層が、前記モリブデンシリサイドを主成分とし、か
つ、酸素、窒素のいずれか一方または両方を含む層より
も、透明基板に近い側に積層されていることを特徴とす
るものである。そして、上記において、ハーフトーン位
相シフト層が、透明基板上に、以下の式により求まる位
相差φが、nπ±π/3ラジアン(nは奇数)の範囲と
なるように形成されていることを特徴とするものであ
る。
【数式5】 ここで、φは前記透明基板上に(m−2)層のハーフト
ーン位相シフト層が構成されているフォトマスクを垂直
に透過する光が受ける位相変化であり、x(k,k+
1)はk番目の層と(k+1)番目の層との界面でおき
る位相変化、u(k)、d(k)はそれぞれk番目の層
を構成する材料の屈折率と膜厚、λは露光光の波長であ
る。ただし、k=1の層は前記透明基板、k=mの層は
空気とする。そしてまた、上記において、ハーフトーン
位相シフト層の露光光に対する透過率が、その露光光に
対する前記透明基板の透過率を100%としたときに、
1〜50%となるような膜厚で前記透明基板上に形成さ
れていることを特徴とするものである。
【0012】
【作用】本発明のハーフトーン位相シフトフォトマスク
用ブランクスは、このような構成にすることにより、モ
リブデンシリサイド系のハーフトーン位相シフト膜材料
を用い、且つ、モリブデンシリサイド系材料の優れた加
工特性、加工後の化学的安定性等を維持しつつ、石英基
板とのエツチング選択比を向上させた構造のハーフトー
ン位相シフトフォトマスクを作製することができるハー
フトーン位相シフトフォトマスク用ブランクスの提供を
可能としている。モリブデン系材料に特有の化学的安定
性、加工特性加え、シリサイド系に特有の短波長適用性
を維持しつつ、合成石英などの透明基板とのエッチング
選択比が十分に取れるため、高精度なパターニングが可
能で、かつ、マスク加工後の安定性に優れた、ハーフト
ーン位相シフトフォトマスク用ブランクスの提供を可能
としている。ハーフトーン位相シフト膜を多層膜で構成
し、そのうちの一層(クロムまたはタンタルの何れか一
方またはその合金が主成分とする層)を、透明基板と十
分に大きなエツチング選択比がとれる材料で構成するこ
とによって、高精度加工を可能可能にしている。具体的
には、透明基板上のハーフトーン位相シフト層が、モリ
ブデンシリサイドを主成分とし、酸素、窒素のいずれか
一方または両方を含む層を少なくとも有し、且つ、二層
以上の多層膜から形成されるハーフトーン位相シフトフ
ォトマスク用ブランクスであって、この多層膜中に、ク
ロムまたはタンタルのいずれか一方またはクロムタンタ
ル合金が主成分である層が含まれ、かつ、このクロムま
たはタンタルのいずれか一方またはクロムタンタル合金
が主成分である層が、前記モリブデンシリサイドを主成
分とし、かつ、酸素、窒素のいずれか一方または両方を
含む層よりも、透明基板に近い側に積層されていること
により、これを達成している。
【0013】即ち、クロムまたはタンタルのいずれか一
方またはクロムタンタル合金が主成分とする層を、モリ
ブデンシリサイドを主成分とし、酸素、窒素のいずれか
一方または両方を含む層よりも、透明基板に近い側に積
層することにより、高精度パターニングを可能としてい
る。クロムまたはタンタルのいずれか一方またはクロム
タンタル合金を主成分とする膜は、Cl2 、CH2 Cl
2 、あるいはこれにO2 を加えたガスなどの塩素系のエ
ッチングガスでもエチングをすることか出来るが、これ
ら塩素系ガスでは、合成石英などの透明基板は実質上エ
ッチングされない。ここで、クロムまたはタンタルのい
ずれか一方またはクロムタンタル合金が主成分とする膜
は、その役割上、透明基板の直ぐ上に第一層として成膜
されることが望ましい。例えば、合成石英上に、まずク
ロムまたはタンタルのいずれか一方またはゥロムタンタ
ル合金が主成分とする膜を形成し、その上にモリブデン
シリサイドを主成分とし、酸素、窒素のいずれか一方ま
たは両方を含む層を形成し、これら2層でハーフトーン
位相シフト膜とした場合、パターニングにおいては、ま
ずフツ素系のドライエツチングガスでモリブデンシリサ
イドを主成分とし、かつ、酸素、窒素のいずれか一方、
または両方を含む層をエッチングし、続けて、塩素系の
ドライエッチングガスで、基板との十分なドライエツチ
ング選択比を維持しなからパターニングをすることによ
り、高精度な位相差制御が可能となる。
【0014】また、このハーフトーン位相シフト膜は、
モリブデン系薄膜の特徴である優れた化学的安定性、加
工性を有し、またシリサイド膜を用いているため、フッ
化クリプトンエキシマレーザーリソグラフィー(露光波
長:248nm)、フッ化アルゴンエキシマレーザーリ
ソグラフィー(露光波長:193nm)に対しても十分
な透光性を有するため、ハーフトーン位相シフト膜とし
て使用できる。
【0015】ところで、一般的にハーフトーン位相シフ
トリソグラフィーでは、隣接するショットの重なりでの
レジストの感光を防ぐために、ハーフトーン位相シフト
層に加え、遮光膜によって形成される層を設けることが
多い。また、この遮光膜は、上記目的のほかに、転写形
成するパターンの転写特性の調整用に用いられることも
ある。この遮光膜には、クロムを主体とする膜が、その
製版特性や耐久性が優れているという理由などから使用
され、ハーフトーン位相シフト膜パターンを形成した
後、製版後のエッチングを硝酸セリウム系のウェットエ
ッチャントで行う場合がある。ところが、本発明のハー
フトーン位相シフトマスク用ブランクスにおいては、ハ
ーフトーン位相シフト膜としてクロムを主成分とする膜
が含まれる場合、この膜が硝酸セリウム系のウェットエ
ッチャントに侵され(後述する処理の図5(d)を参
照)、パターンに不具合が生じることが懸念されるが、
クロムを主成分とする膜に、酸素、窒素等を含有させた
ることにより、耐食性を向上させることができる。勿
論、これに代え、クロムタンタル合金とすることによっ
ても耐食性を向上させることができる。尚、一般的に
は、このクロムまたはタンタルのいずれか一方またはク
ロムタンタル合金が主成分とする膜は、膜厚が薄いた
め、図5に示されるように侵される可能性は低い。ある
いは、侵されたとしても実質的に転写特性に間題を生じ
ないレベルであると予想される。
【0016】本発明のハーフトーン位相シフトフォトマ
スクは、このような構成にすることにより、高精度なパ
ターニングが可能で、かつ、マスク加工後の安定性に優
れ、且つ、フッ化クリプトンエキシマレーザー(波長:
248nm)、フッ化アルゴンエキシマレーザー(波
長:193nm)等の短波長の露光にも適用できるハー
フトーン位相シフトフォトマスクの提供を可能としてい
る。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態例を図に基づ
いて説明する。図1(a)は本発明のハーフトーン位相
シフトフォトマスク用ブランクスの実施の形態の第1の
例の断面図で、図1(b)は本発明のハーフトーン位相
シフトフォトマスク用ブランクスの実施の形態の第2の
例の断面図で、図2(a)は本発明のハーフトーン位相
シフトフォトマスクの実施の形態の第1の例の断面図
で、図2(b)は本発明のハーフトーン位相シフトフォ
トマスクの実施の形態の第2の例の断面図で、図3は図
2(a)に示すハーフトーン位相シフトフォトマスクの
製造工程断面図で、図4はテストピースの断面図で、図
5は第2の例のハーフトーン位相シフトフォトマスクの
製造方法の説明と、エッチング形状を説明するための断
面図である。図1中、110は透明基板、120はハー
フトーン位相シフト層、121はクロムまたはタンタル
のいずれか一方またはクロムタンタル合金が主成分であ
る層(以降第1の層とも言う)、122はモリブデンシ
リサイドを主成分とし、酸素、窒素のいずれか一方また
は両方を含む層(以降第2の層とも言う)、125はハ
ーフトーンパタン領域(シフト層パタン領域とも言
う)、130は遮光性層(実質的な遮光膜とも言う)、
140はレジスト層、140Aは開口、145はレジス
ト層、145Aは開口である。
【0018】はじめに、本発明のハーフトーン位相シフ
トフォトマスク用ブランクスの実施の形態の第1の例
を、図1(a)に基づいて説明する。本例のハーフトー
ン位相シフトフォトマスク用ブランクスは、モリブデン
シリサイドを主成分とし、酸素、窒素のいずれか一方ま
たは両方を含む第2の層122と、クロムまたはタンタ
ルの何れか一方またはクロムタンタル合金が主成分であ
る第1の層121からなる多層膜をハーフトーン位相シ
フト層120とするもので、合成石英からなる透明基板
110上に、順に、クロムまたはタンタルのいずれか一
方またはクロムタンタル合金が主成分である第1の層1
21、モリブデンシリサイドを主成分とし、酸素、窒素
のいずれか一方または両方を含む第2の層122を形成
している。そして、モリブデン系材料に特有の化学的安
定性、加工特性を有し、フォトマスク作製の際、第1の
層121を塩素系のガスでエッチング加工する場合に
は、合成石英からなる透明基板110とのエッチング選
択比が十分に取れる。これにより、フォトマスク作製の
際に、高精度なパターニングが可能である。尚、本例の
ハーフトーン位相シフトフォトマスク用ブランクスのハ
ーフトーン位相シフト層120に、モリブデンシリサイ
ドを主成分とし、酸素、窒素のいずれか一方または両方
を含む第2の層122を設けており、これより作製され
たフォトマスクは、フッ化クリプトンエキシマレーザー
(波長:248nm)、フッ化アルゴンエキシマレーザ
ー(波長:193nm)等の短波長の露光光にも適用で
きる。
【0019】そして本例においては、ハーフトーン位相
シフトフォトマスクを作製した際に、位相シフト効果が
得られるように、ハーフトーン位相シフト層120は、
透明基板110上に、以下の式で、(m=4とし)、求
まる位相差φが、nπ±π/3ラジアン(nは奇数)の
範囲となるように形成されている。
【数式6】 ここで、φは透明基板110上に2層のハーフトーン位
相シフト層120が構成されているフォトマスクを垂直
に透過する光が受ける位相変化であり、x(k,k+
1)はk番目の層と(k+1)番目の層との界面でおき
る位相変化、u(k)、d(k)はそれぞれk番目の層
を構成する材料の屈折率と膜厚、λは露光光の波長であ
る。ただし、k=1の層は透明基板110、k=4の層
は空気とする。
【0020】また、ハーフトーン位相シフトフォトマス
クを作製した際に、実質的に、位相シフト効果が得られ
るために、ハーフトーン位相シフト層120の露光光に
対する透過率が、その露光光に対する透明基板110の
透過率を100%としたときに、1%〜50%の範囲と
なるような膜厚で透明基板110上に形成されている。
【0021】クロムまたはタンタルのいずれか一方また
はクロムタンタル合金が主成分である第1の層121
は、塩素系のガスでエッチングが可能なものが挙げられ
る。クロムを主成分とする層としては、クロム層、酸化
クロム層、窒化クロム層、酸化窒化クロム層が挙げられ
る。タンタルを主成分とする層としては、タンタル層、
酸化タンタル層、窒化タンタル層、酸化窒化タンタル層
が挙げられる。これらは、スパッタリング法の他に、真
空蒸着法、CVD法、イオンプレーティング法、イオン
ビームスパッタ法などの成膜技術を用いても成膜でき
る。例えば、スパッタリング法で、ターゲツトとして、
金属クロムを使用し、スパッタガスとしてのアルゴンガ
スに酸素、窒素を混合すれば、酸化クロム膜、窒化クロ
ム膜が得られる。屈折率の調整は、ガスの混合比のほ
か、スパツタ圧力、スパツタ電流などによっても制御で
きる。クロムタンタル合金を主成分とする膜も、スパッ
タリング法の他に、真空蒸着法、CVD法、イオンプレ
ーティング法、イオンビームスパッタ法などの成膜技術
を用いても成膜できる。モリブデンシリサイドを主成分
とし、酸素、窒素のいずれか一方または両方を含む第2
の層122は、従来からフォトマスク用薄膜の成膜に使
用されてきたスパッタリング法で容易に形成できる。例
えば、モリブデンシリサイド酸化膜は、ターゲツトとし
て、モリブデンシリサイドを使用し、スパッタガスとし
てアルゴンガスに酸素を混合して、モリブデンシリサイ
ド酸化膜が得られる。モリブデンシリサイド酸化膜12
2の屈折率の調整は、ガスの混合比のほか、スパッタ圧
力、スパッタ電流などによっても制御できる。尚、モリ
ブデンシリサイドを主成分とし、酸素、窒素のいずれか
一方または両方を含む第2の層122は、スパッタリン
グ法の他に、真空蒸着法、CVD法、イオンプレーティ
ング法、イオンビームスパッタ法などの成膜技術を用い
ても成膜できる。透明基板110としての合成石英は、
フッ化クリプトンエキシマレーザー(波長:248n
m)、フッ化アルゴンエキシマレーザー(波長:193
nm)等の短波長の露光光にも透明で、フォトマスク作
製の際、クロムまたはタンタルのいずれか一方またはク
ロムタンタル合金を主成分とする第1の層121を塩素
系のガスでエッチング加工する場合には、第1の層12
1と透明基板110とのエッチング選択比が十分に取れ
る。
【0022】次いで、本発明のハーフトーン位相シフト
フォトマスク用ブランクスの実施の形態の第2の例を、
図1(b)に基づいて説明する。第2の例のハーフトー
ン位相シフトフォトマスク用ブランクスは、第1の例の
位相シフト層120上に遮光性層130を設けたもので
ある。遮光性層130層は、ハーフトーンパタン領域
(シフト層パタン領域)125の周辺に設け、ウエハ露
光における隣接するショット同志の多重露光による感光
を防いだり、アライメントマークなどを形成する等のた
めの、実質的に遮光性の膜である。遮光性層130層と
しては、クロム単層、酸化クロム、窒化クロム、酸化窒
化クロム層等のクロム系の金属層が一般的であるが、こ
れに限定はされない。これらクロム系膜は、スパッタリ
ング法の他に、真空蒸着法、CVD法、イオンプレーテ
ィング法、イオンビームスパッタ法などの成膜技術を用
いても成膜できる。
【0023】尚、ハーフトーン位相シフトフォトマスク
を作製する際、硝酸セリウム系のウェットエッチャント
を用い、遮光性層130層をウェットエッチングを行う
場合のブランクスとしては、例えば、クロムを主成分と
する第1の層121に、酸素、窒素等を含有させる等に
より、耐食性を向上させたることが好ましい。
【0024】次に、本発明のハーフトーン位相シフトフ
ォトマスクの実施の形態の第1の例を、図2(a)に基
づいて説明する。本例は、図1(a)に示す第1の例の
ハーフトーン位相シフトフォトマスクブランクスを用い
て作製されたもので、位相シフト層120が所定の形状
にパタンニングされている。各層の材質や光学特性につ
いては、図1(a)に示す第1の例のハーフトーン位相
シフトフォトマスクブランクスの説明に代え、ここでは
説明を省く。
【0025】次に、本発明のハーフトーン位相シフトフ
ォトマスクの実施の形態の第2の例を、図2(b)に基
づいて説明する。本例は、図1(b)に示す第2の例の
ハーフトーン位相シフトフォトマスクブランクスを用い
て作製されたもので、位相シフト層120が所定の形状
にパタンニングされ、且つ、位相シフト効果を得るハー
フトーンパタン領域(シフト層パタン領域)125と、
実質的な遮光効果を得る遮光性パタン領域135を設け
たものである。各層の材質や光学特性については、図1
(b)に示す第2の例のハーフトーン位相シフトフォト
マスクブランクスの説明に代え、ここでは説明を省く。
【0026】次いで、第1の例のハーフトーン位相シフ
トフォトマスクの製造方法の1例を図3に基づいて説明
する。先ず、図1(a)に示す第1の例のハーフトーン
位相シフトフォトマスクブランクスを用意し(図3
(a))、ハーフトーン位相シフト層120上にレジス
ト層140を塗布、乾燥した(図3(b)後、電子線描
画装置等を用いレジスト層140の所定領域のみを感光
させ、現像して、作製するハーフトーン位相シフト層1
20のパタン形状に合せ、レジスト層140を形成す
る。(図3(c))レジスト層140を形成するレジス
トとしては、処理性が良く、所定の解像性を有し、耐ド
ライエッチング性の良いものが好ましいが、限定はされ
ない。次いで、レジスト層140を耐エッチングマスク
として、順次、フッ素系のガス、塩素系のガスを用い
て、ハーフトーン位相シフト層120のモリブデンシリ
サイドを主成分とし、酸素、窒素のいずれか一方または
両方を含む第2の層122と、クロムまたはタンタルの
いずれか一方またはクロムタンタル合金が主成分である
第1の層121とを続けてエッチングし(図3
(d))、レジスト層140を剥離して、ハーフトーン
位相シフト層パタンを得る。(図3(e))
【0027】次いで、第2の例のハーフトーン位相シフ
トフォトマスクの製造方法の1例を図5に基づいて説明
する。ここでは、遮光性層130をクロム系の遮光層と
する。先ず、図1(b)に示す第2の例のハーフトーン
位相シフトフォトマスクブランクスを用意し、図3に示
す第1の例のハーフトーン位相シフトフォトマスクの製
造方法と同様に、レジスト層を遮光性層130上に所定
形状に形成し、レジスト層を耐エッチングマスクとし
て、塩素系のガスを用いて遮光性層130を、フッ素系
のガスを用いて、モリブデンシリサイドを主成分とし、
酸素、窒素のいずれか一方または両方を含む第2の層1
22を、塩素系のガスを用いてクロムまたはタンタルの
何れか一方またはその合金が主成分である第1の層12
1を続けてエッチングする。次いで、レジスト層を剥離
し、新たに、遮光性層130上に、所定形状の開口14
5Aを有するレジスト層145を、同様にして形成し
(図5(a))、レジスト層145を耐エッチングマス
クとして、硝酸セリウム系のウェットエッチャントを用
い、ウェットエッチングを行い(図5(b))、レジス
ト層145を剥離して、図2(b)に示す第2の例のハ
ーフトーン位相シフトフォトマスクを得る。
【0028】ウェットエッチングの際、図5(a)のク
ロムまたはタンタルのいずれか一方またはクロムタンタ
ル合金が主成分である第1の層121は、エッチングさ
れて、拡大視すると図5(d)のようになり、パターン
に不具合が生じることが懸念されるが、前にも述べたよ
うに、一般的には、このクロムまたはタンタルのいずれ
か一方またはクロムタンタル合金が主成分である膜12
1は、膜厚が薄いため、図5(d)に示されるように侵
される可能性は低い。あるいは、侵されたとしても実質
的に転写特性に問題を生じないレベルであると予想され
る。尚、図5(a)のD1部、図5(b)のD2部を拡
大して示したのが、それぞれ、図5(c)、図5(d)
である。クロムまたはタンタルのいずれか一方またはク
ロムタンタル合金が主成分である膜121は、クロムに
酸素、窒素等を含有させることにより、あるいはクロム
タンタル合金とすることにより耐食性が向上する。即
ち、図5(d)に示す、W0をきわめて小とすることが
でき、確実に転写特性に問題を生じないようにできる。
【0029】
【実施例】(実施例1)実施例1は、図1(a)に示す
第1の例のハーフトーン位相シフトフォトマスクブラン
クスを用い、図3に示す製造方法により、図2(a)に
示す第1の例のハーフトーン位相シフトフォトマスクを
形成した例である。以下、図1、図2、図3に基づいて
説明する。はじめに、以下のようにして、透明基板11
0上に、順に、クロムタンタル合金を主成分とする第1
の層121、モリブデンシリサイドを主成分をとし、か
つ、酸素を含む第2の層122からなるハーフトーン位
相シフト膜120を形成した、ハーフトーン位相シフト
フォトマスク用ブランクスを作製した。作製したハーフ
トーン位相シフトフォトマスク用ブランクスは、KrF
露光用のハーフトーン位相シフトフォトマスクを作製す
るためのもので、6インチ角、0.25インチ厚の高純
度合成石英基板を透明基板110としている。まず、光
学研磨され、よく洗浄された透明基板110の一面上
に、以下に示す条件でハーフトーン位相シフト層120
のクロムタンタル合金を主成分とする第1の層121を
膜厚約10nmに形成した。 <第1の層121のスパッタ条件> 成膜装置: プレーナー型DCマグネトロンスパツター
装置 ターゲツト: タンタル:クロム=9:1 ガス及び流量: アルゴンガス70sccm スパッター圧力: 0.35パスカル スパツター電流: 5.0アンペア 次に、続けてこの上にハーフトーン位相シフト層120
のモリブデンシリサイドを主成分をとし、かつ、酸素を
含む第2の層122を、以下の条件で形成した。ここで
膜厚は約140nmとした。 <第2の層122のスパッタ条件> 成膜装置: プレーナー型DCマグネトロンスパツター
装置 ターゲット: モリブデン:シリコン=1:4(原子
比) ガス及び流量: アルゴンガス50sccm+酸素ガス
50sccm スパツター圧力: 0.3パスカル スパツター電流: 3.5アンペア これにより、図1(a)に示す第1の例のKrFエキシ
マレーザー露光用(透過率6%)のハーフトーン位相シ
フトフォトマスク用ブランクスを得た。
【0030】尚、同一条件でテープでマスキングをした
合成石英基板上に成膜し、成膜後にマスキングを剥離す
るリフトオフ法で段差を形成したサンプル(図4に示す
テストピース)を作製し、これを用い、248nm光に
対する位相差、透過率を市販の位相差測定装置(レーザ
ーテツク社製MPM248)で計測したところ、それぞ
れ179.22度、5.88%であった。
【0031】次いで、上記のようにして得られたハーフ
トーン位相シフトフォトマスク用ブランクスを用いて、
以下のようにして、図2(a)に示す第1の例のハーフ
トーン位相シフトフォトマスクを作製した。先ず、得ら
れたハーフトーン位相シフトマスク用ブランクス(図3
(a))のハーフトーン位相シフト層120上に、有機
物を主成分とするレジスト、ZEP7000(日本ゼオ
ン社製)140を、塗布し、乾燥を行い(図3
(b))、電子線描画装置にて、レジストの所定領域の
みを露光し、現像して、所望形状のレジスト層140を
得た。(図3(c)) 次に、市販のフォトマスク用ドライエッチャー(PTI
社製VLR700)を用い、レジスト層140から露出
されたハーフトーン位相シフト層120を、高密度プラ
ズマに曝すことにより選択的にドライエッチングし、所
望のハーフトーン位相シフト層120のパターンを得
た。(図3(d)) ここでは、ハーフトーン位相シフト層120のモリブデ
ンシリサイドを主成分を主成分とし、かつ、酸素を含む
第2の層122とクロムタンタル合金を主成分とする第
1の層121とを続けてエッチングした。尚、用いたド
ライエッチャーはエツチング処理室を2個有し、以下の
エッチング条件1、エッチング条件2は別々の処理室で
実施した。 <エッチング条件1> エツチングガス CF4 ガス圧力 10mTorr ICPパワー(高密度プラズマ発生) 950W バイアスパワー(引き出しパワー) 50W 時間 360秒 <エッチング条件2> エッチングガス Cl2 ガス 圧力 3mTorr ICPパワー(高密度プラズマ発生) 250W バイアスパワー(引き出しパワー) 25W 時間 200秒 次に、残ったレジスト層140を常法により剥離し、ハ
ーフトーン位相シフト層の、248nm光の透過率か6
%であるハーフトーン位相シフトフォトマスクを得た。
(図3(e))
【0032】ここで注目すべきは、エッチング条件2の
エッチングでは、透明基板110である合成石英がほと
んどエツチングされず、極めて高精度の位相差制御が可
能であることである。得られたハーフトーン位相シフト
フォトマスクは、除去された部分の寸法精度、断面形
状、膜厚分布、透過率分布、膜の基板への密着性等、全
てで実用に供することができるものであった。
【0033】(実施例2)実施例2は、図1(b)に示
す第2の例のハーフトーン位相シフトフォトマスクブラ
ンクスを用い、図3ないし図5に示す製造方法により、
図2(b)に示す第2の例のハーフトーン位相シフトフ
ォトマスクを形成した例である。以下、図1、図2、図
3、図5に基づいて説明する。はじめに、以下のように
して、透明基板110上に、順に、クロムタンタル合金
を主成分とする第1の層121、モリブデンシリサイド
を主成分とし、かつ、酸素を含む第2の層122からな
るハーフトーン位相シフト膜120、クロムからなる遮
光性層130を形成した、ハーフトーン位相シフトフォ
トマスク用ブランクスを作製した。ここでは、ハーフト
ーン位相シフト膜を構成する2層のうち、第1層をクロ
ムタンタル合金とすることにより耐食性の向上を実現し
ている。即ち、ハーフトーン位相シフトフォトマスクを
作製する際の、クロムからなる遮光性層130を、硝酸
セリウム系のウェットエッチャントを用い、ウェットエ
ッチングする際の、ウェットエッチャントに対する耐食
性を向上させた。実施例2の場合も、作製したハーフト
ーン位相シフトフォトマスク用ブランクスは、KrF露
光用のハーフトーン位相シフトフォトマスクを作製する
ためのもので、6インチ角、0.25インチ厚の高純度
合成石英基板を透明基板110としている。
【0034】まず、光学研磨され、よく洗浄された透明
基板110の一面上に、以下に示す条件でハーフトーン
位相シフト層120のクロムタンタル合金を主成分とす
る第1の層121を膜厚約10nmに形成した。 <第1の層121のスパッタ条件> 成膜装置: プレーナー型DCマグネトロンスパツター
装置 ターゲット: 金属タンタル:クロム=1:9合金 ガス及び流量: アルゴンガス70sccm スパツター圧力: 0.35パスカル スパッター電流: 5.0アンペア 次に、続けてこの上にハーフトーン位相シフト層120
のモリブデンシリサイドを主成分とし、かつ、酸素を含
む第2の層122を、以下の条件で形成した。ここで膜
厚は約140nmとした。 <第2の層122のスパッタ条件> 成膜装置: プレーナー型DCマグネトロンスパツター
装置 ターゲット: モリブデン:シリコン=1:4(原子
比) ガス及び流量: アルゴンガス50sccm+酸素ガス
50sccm スパツター圧力: 0.3パスカル スパッター電流: 3.5アンペア 次いで、ハーフトーン位相シフト層120のモリブデン
シリサイドを主成分とし、かつ、酸素を含む第2の層1
22上に、遮光性層130を下記条件にて、厚さ100
0Åにスパッタ形成した。 <遮光性層層130のスパッタ条件> 成膜装置: プレーナー型DCマグネトロンスパツター
装置 ターゲット: 金属クロム ガス及び流量: アルゴンガス50sccm スパツター圧力: 0.3パスカル スパッター電流: 3.5アンペア これにより、KrFエキシマレーザー露光用;透過率6
%のハーフトーン位相シフトフォトマスク用ブランクを
得た。
【0035】尚、同一条件でテープでマスキングをした
合成石英基板上に成膜し、成膜後にマスキングを剥離す
るリフトオフ法で段差を形成したサンプル(図4に示す
テストピース)を作製し、これを用い、248nm光に
対する位相差、透過率を市販の位相差測定装置(レーザ
ーテツク社製MPM248)で計測したところ、それぞ
れ、180.12度、6.33%であった。この膜を市
販のクロムエッチャント(インクテック社製MR−E
S)に室温で240秒間浸漬したサンプルを準備し、そ
のパターン断面をSEM観察したところ、図5(d)に
示すような侵食は認められなかった。
【0036】次いで、上記のようにして得られたハーフ
トーン位相シフトフォトマスク用ブランクスを用いて、
以下のようにして、図2(b)に示す第2の例のハーフ
トーン位相シフトフォトマスクを作製した。先ず、得ら
れたハーフトーン位相シフトマスク用ブランクス(図1
(b))の遮光性層130上に、有機物を主成分とする
レジスト、ZEP7000(日本ゼオン社製)を、塗布
し、乾燥を行い、実施例1と同様にして、電子線描画装
置にて、レジストの所定領域のみを露光し、現像して、
所望形状のレジスト層140を得た後、市販のフォトマ
スク用ドライエッチャー(PTI社製VLR700)を
用い、レジスト層から露出されたハーフトーン位相シフ
ト層120を、高密度プラズマに曝すことにより選択的
にドライエッチングし、所望のハーフトーン位相シフト
層120のパターンを得た。ここでは、遮光性層13
0、ハーフトーン位相シフト層120のモリブデンシリ
サイドを主成分とし、かつ、酸素を含む第2の層12
2、クロムタンタル合金を主成分とする第1の層121
を続けて、順に、それぞれ、エッチング条件1、エッチ
ング条件2、エッチング条件3の条件下でエッチングし
た。なお、用いたドライエッチヤーはエツチング処理室
を2個有し、以下のエッチング条件1、エッチング条件
2、エッチング条件3は処理室を変えて実施した。 <エッチング条件1> エッチングガスCl2 +O2 ガス(2:3) 圧力 100mTorr ICPパワー(高密度プラズマ発生) 500W バイアスパワー(引き出しパワー) 25W 時間 200秒 <エッチング条件2> エツチングガス CF4 ガス圧力 10mTorr ICPパワー(高密度プラズマ発生) 950W バイアスパワー(引き出しパワー) 50W 時間 360秒 <エッチング条件3> エッチングガスCl2 +O2 ガス(2:3) 圧力 100mTorr ICPパワー(高密度プラズマ発生) 500W バイアスパワー(引き出しパワー) 25W 時間 200秒
【0037】次に、この上に、再度、レジスト、IP3
500(東京応化工業株式会社製)を塗布し、フォトリ
ソグラフィー法により、ハーフトーン膜を露出させたい
領域のみを開口したレジスト層145を得た(図5
(a))後、以下の条件でウエットエッチングを行い、
レジスト層145から露出した領域の遮光性層130を
選択的に除去した。(図5(b)) 次に、残ったレジスト層145を常法により剥離し、ハ
ーフトーン位相シフト層の、248nm光の透過率か6
%であるハーフトーン位相シフトフォトマスクを得た。
(図2(b)) このようにして得られたハーフトーン位相シフトフォト
マスクについては、まったく、図5(d)に示すような
クロムタンタル合金を主成分とする第1の層121の侵
食による不具合はみられなかった。
【0038】実施例2でも、実施例1と同様、エッチン
グ条件3のエッチングでは、透明基板110である合成
石英がほとんどエッチングされず、極めて高精度の位相
差制御が可能であった。得られたハーフトーン位相シフ
トフォトマスクは、除去された部分の寸法精度、断面形
状、膜厚分布、透過率分布、膜の基板への密着性等、全
てで実用に供することができるものであった。
【0039】
【発明の効果】本発明は、上記のように、モリブデンシ
リサイド系のハーフトーン位相シフト膜材料を用い、且
つ、モリブデンシリサイド系材料の優れた加工特性、加
工後の化学的安定性等を維持しつつ、石英基板とのエツ
チング選択比を向上させた構造のハーフトーン位相シフ
トフォトマスクの提供を可能とした。同時に、そのよう
なハーフトーン位相シフトフォトマスクの作製を可能と
するハーフトーン位相シフトフォトマスク用ブランクス
の提供を可能とした。特に、モリブデン系材料に特有の
化学的安定性、加工特性に加え、シリサイド系に特有の
短波長適用性も維持しつつ、合成石英などの透明基板と
のエッチング選択比が十分に取れるため、高精度なパタ
ーニングが可能で、かつ、マスク加工後の安定性に優れ
た、理想的なマスク部材を実現することか出来る。この
ことにより、高精度のハーフトーン位相シフトフォトマ
スクが、歩留まり良く、低コストで実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は本発明のハーフトーン位相シフト
フォトマスク用ブランクスの実施の形態の第1の例の断
面図で、図1(b)は本発明のハーフトーン位相シフト
フォトマスク用ブランクスの実施の形態の第2の例の断
面図である。
【図2】図2(a)は本発明のハーフトーン位相シフト
フォトマスクの実施の形態の第1の例の断面図で、図2
(b)は本発明のハーフトーン位相シフトフォトマスク
の実施の形態の第2の例の断面図である。
【図3】図2(a)に示すハーフトーン位相シフトフォ
トマスクの製造工程断面図
【図4】テストピースの断面図
【図5】第2の例のハーフトーン位相シフトフォトマス
クの製造方法の説明と、エッチング形状を説明するため
の断面図である。
【図6】ハーフトーン位相シフト法を説明するための図
【図7】従来法のマスクを用いた転写法(投影露光法)
を説明するための図
【符号の説明】
110 透明基板 120 ハーフトーン位相シフト層 121 クロムまたはタンタルの何れか一
方またはその合金が主成分である層(以降第1の層とも
言う) 122 モリブデンシリサイドを主成分と
し、かつ、酸素、窒素のいずれか一方、または両方を含
む層(以降第2の層とも言う) 125 ハーフトーンパタン領域(シフト
層パタン領域とも言う) 130 遮光性層(実質的な遮光膜とも言
う) 140 レジスト層 140A 開口 145 レジスト層 145A 開口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木名瀬 良紀 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 (72)発明者 遊佐 智 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 (72)発明者 角田 成夫 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 (72)発明者 横山 寿文 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 (72)発明者 初田 千秋 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 (72)発明者 藤川 潤二 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 (72)発明者 大槻 雅司 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 Fターム(参考) 2H095 BA01 BB03 BB35

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明基板上のハーフトーン位相シフト層
    が、モリブデンシリサイドを主成分とし、酸素、窒素の
    いずれか一方または両方を含む層を少なくとも有し、且
    つ、二層以上の多層膜から形成されるハーフトーン位相
    シフトフォトマスク用ブランクスであって、この多層膜
    中に、クロムまたはタンタルのいずれか一方またはクロ
    ムタンタル合金が主成分である層が含まれ、かつ、この
    クロムまたはタンタルのいずれか一方またはクロムタン
    タル合金が主成分である層が、前記モリブデンシリサイ
    ドを主成分とし、かつ、酸素、窒素のいずれか一方また
    は両方を含む層よりも、透明基板に近い側に積層されて
    いることを特徴とするハーフトーン位相シフトフォトマ
    スク用ブランクス。
  2. 【請求項2】 請求項1において、ハーフトーン位相シ
    フト層が、透明基板上に以下の式により求まる位相差φ
    がnπ土π/3ラジアン(nは奇数)の範囲となるよう
    に形成されていることを特徴とするハーフトーン位相シ
    フトフォトマスク用ブランクス。 【数式1】 ここで、φは前記透明基板上に(m−2)層のハーフト
    ーン位相シフト層が構成されているフォトマスクを垂直
    に透過する光が受ける位相変化であり、x(k,k+
    1)はk番目の層と(k+1)番目の層との界面でおき
    る位相変化、u(k)、d(k)はそれぞれk番目の層
    を構成する材料の屈折率と膜厚、λは露光光の波長であ
    る。ただし、k=1の層は前記透明基板、k=mの層は
    空気とする。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、ハーフトー
    ン位相シフト層の露光光に対する透過率が、その露光光
    に対する前記透明基板の透過率を100%としたとき
    に、1〜50%となるような膜厚で前記透明基板上に形
    成されていることを特徴とするハーフトーン位相シフト
    フォトマスク用ブランクス。
  4. 【請求項4】 透明基板上のハーフトーン位相シフト層
    が、モリブデンシリサイドを主成分とし、酸素、窒素の
    いずれか一方または両方を含む層を少なくとも有し、且
    つ、二層以上の多層膜から形成されるハーフトーン位相
    シフトフォトマスクであって、この多層膜中に、クロム
    またはタンタルのいずれか一方またはクロムタンタル合
    金が主成分である層が含まれ、かつ、このクロムまたは
    タンタルのいずれか一方またはクロムタンタル合金が主
    成分である層が、前記モリブデンシリサイドを主成分と
    し、かつ、酸素、窒素のいずれか一方または両方を含む
    層よりも、透明基板に近い側に積層されていることを特
    徴とするハーフトーン位相シフトフォトマスク。
  5. 【請求項5】 請求項4において、ハーフトーン位相シ
    フト層が、透明基板上に、以下の式により求まる位相差
    φが、nπ±π/3ラジアン(nは奇数)の範囲となる
    ように形成されていることを特徴とするハーフトーン位
    相シフトフォトマスク。 【数式2】 ここで、φは前記透明基板上に(m−2)層のハーフト
    ーン位相シフト層が構成されているフォトマスクを垂直
    に透過する光が受ける位相変化であり、x(k,k+
    1)はk番目の層と(k+1)番目の層との界面でおき
    る位相変化、u(k)、d(k)はそれぞれk番目の層
    を構成する材料の屈折率と膜厚、λは露光光の波長であ
    る。ただし、k=1の層は前記透明基板、k=mの層は
    空気とする。
  6. 【請求項6】 請求項4または5において、ハーフトー
    ン位相シフト層の露光光に対する透過率が、その露光光
    に対する前記透明基板の透過率を100%としたとき
    に、1〜50%となるような膜厚で前記透明基板上に形
    成されていることを特徴とするハーフトーン位相シフト
    フォトマスク。
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