JP2020140106A - フォトマスクブランク、フォトマスクブランクの製造方法、フォトマスクの製造方法及び表示装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
また、特許文献2には、静電破壊を防止するためのフォトマスク用基板として、透明導電膜が形成されたフォトマスク用基板上に、Cr系材料からなる遮光膜パターンが形成されたフォトマスクが提案されている。
このようなパターンの微細化に伴い、パターン間の間隔も狭まっており、これに起因して、フォトマスク作製時、フォトマスク輸送時、フォトマスクを使用してのパターン転写時等での静電破壊が生じやすくなっている。
静電破壊を防止するために、特許文献3のフォトマスク用基板やフォトマスクが提案されているが、基板上に透明導電膜を形成する場合、パターン形成に関係の無い成膜処理が必要となり、また、これに伴い欠陥が生じやすくなる等の問題があることから、好ましくない。
次に、上記Cr系材料とMoSi系材料の遮光膜パターンの断面形状を、断面SEM観察により確認した。その結果、Cr系材料からなる遮光膜パターンの断面形状はほぼ垂直に近いが、MoSi系材料からなる遮光膜パターンの断面形状は、表面反射防止層のエッチングレートは、遮光層のエッチングレートよりもかなり遅いために、遮光膜パターンはひさし状(オーバーハング形状)になってしまった。上記光学特性を逸脱しない範囲で、MoSi系材料の組成を変化させて、遮光膜パターンの断面形状の評価を行ったが、ひさし状(オーバーハング形状)は改善されなかった。
次に、MoSi系材料からなる遮光膜パターンの断面形状改善のため、表面反射防止層の成膜時のガス圧力を1.5Paに変化させて、遮光膜パターンの断面形状を、断面SEM観察により確認した。その結果、遮光膜パターンのひさし状(オーバーハング形状)は改善された。遮光膜パターンの断面形状が改善した要因を突き止めるため、基板上に単層のMoSi遮光層を0.5Paの成膜条件で成膜した試料と、MoSi遮光層を1.6Paの成膜条件で成膜した試料を準備し、それぞれ、MoSi遮光層の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、前者のMoSi遮光層を構成する結晶粒の平均粒径よりも、後者のMoSi遮光層を構成する結晶粒の平均粒径の方が小さいことが確認された。これらの結果から、本発明者は、遮光膜を構成するそれぞれの層の結晶粒の平均粒径を制御することで、さらに良好な断面形状を有する遮光膜パターンが形成でき、MoSi系材料のような金属シリサイド系材料を適用することで、遮光膜パターンの静電破壊を抑制することを見出した。
本発明は、以上のような鋭意検討の結果なされたものであり、以下の構成を有する。
前記フォトマスクブランクは、前記遮光膜をウェットエッチングすることによって前記透明基板上に遮光膜パターンを有するフォトマスクを形成するための原版であって、
前記遮光膜は、遷移金属と、ケイ素とを含有する遷移金属シリサイド系材料で形成され、
前記遮光膜は、前記透明基板側から、遮光層と、表面反射防止層とを積層した構造を備え、
前記表面反射防止層は、さらに、窒素または酸素を含有し、
前記表面反射防止層を構成する結晶粒の平均粒径は、前記遮光層を構成する結晶粒の平均粒径よりも大きいことを特徴とするフォトマスクブランク。
前記フォトマスクブランクは、前記遮光膜をウェットエッチングすることによって前記透明基板上に遮光膜パターンを有するフォトマスクを形成するための原版であって、
前記遮光膜は、遷移金属と、ケイ素とを含有する遷移金属シリサイド系材料で形成され、
前記遮光膜は、前記透明基板側から、裏面反射防止層と、遮光層と、表面反射防止層とを積層した構造を備え、
前記裏面反射防止層と前記表面反射防止層は、さらに、窒素または酸素を含有し、
前記表面反射防止層と前記裏面反射防止層を構成する結晶粒の平均粒径は、前記遮光層を構成する結晶粒の平均粒径よりも大きいことを特徴とするフォトマスクブランク。
(構成4)前記遷移金属は、モリブデンであることを特徴とする構成1から3のいずれかに記載のフォトマスクブランク。
前記遮光膜上にレジスト膜を形成し、前記レジスト膜から形成したレジスト膜パターンをマスクにして前記遮光膜をウェットエッチングして、前記透明基板上に遮光膜パターンを形成する工程と、を有することを特徴とするフォトマスクの製造方法。
前記エッチングマスク膜上にレジスト膜を形成し、前記レジスト膜から形成したレジスト膜パターンをマスクにして前記エッチングマスク膜をウェットエッチングして、前記遮光膜上にエッチングマスク膜パターンを形成する工程と、
前記エッチングマスク膜パターンをマスクにして、前記遮光膜をウェットエッチングして、前記透明基板上に遮光膜パターンを形成する工程と、を有することを特徴とするフォトマスクの製造方法。
実施の形態1、2では、バイナリマスクブランクについて説明する。実施の形態1のバイナリマスクブランクは、エッチングマスク膜に所望のパターンが形成されたエッチングマスク膜パターンをマスクにして、遮光膜をウェットエッチングにより透明基板上に遮光膜パターンを有するバイナリマスクを形成するための原版である。また、実施の形態2のバイナリマスクブランクは、レジスト膜に所望のパターンが形成されたレジスト膜パターンをマスクにして、遮光膜をウェットエッチングにより透明基板上に遮光膜パターンを有する遮光膜を形成するための原版である。
図1に示すバイナリマスクブランク10は、透明基板20と、透明基板20上に形成された遮光膜30と、遮光膜30上に形成されたエッチングマスク膜40とを備える。
図2は実施の形態2にかかるバイナリマスクブランク10の膜構成を示す模式図である。
図2に示すバイナリマスクブランク10は、透明基板20と、透明基板20上に形成された遮光膜30とを備える。
以下、実施の形態1および実施の形態2のバイナリマスクブランク10を構成する透明基板20、遮光膜30およびエッチングマスク膜40について説明する。
遮光膜30は、透明基板20側から遮光層31と、表面反射防止層32とを積層した構造を備えているか、または、透明基板20側から裏面反射防止層33と、遮光層31と、表面反射防止層32とを積層した構造を備えている。そして、遮光膜30が、遮光層31と表面反射防止層32とを積層した構造の場合、表面反射防止層32を構成する結晶粒の平均粒径は、遮光層31を構成する結晶粒の平均粒径よりも大きい。また、遮光膜30が、裏面反射防止層33と遮光層31と表面反射防止層32とを積層した構造の場合、表面反射防止層32と裏面反射防止層33を構成する結晶粒の平均粒径は、遮光層31を構成する結晶粒の平均粒径よりも大きい。
遮光膜30が透明基板側から遮光層31と表面反射防止層32とを積層した構造である場合に、表面反射防止層32の結晶粒の平均粒径を、遮光層31の結晶粒の平均粒径よりも大きくすることにより、結晶粒間へのウェットエッチング液の浸み込みやすくなることにより、ウェットエッチングが進行する。従って、表面反射防止層32が遮光層31よりもウェットエッチングレートが遅いことにより生じる遮光膜パターンのひさし状(オーバーハング形状)を改善することができる。
また、遮光膜30が透明基板側から裏面反射防止層33と遮光層31と表面反射防止層32とを積層した構造である場合に、表面反射防止層32の結晶粒の平均粒径を、遮光層31の結晶粒の平均粒径よりも大きくすることにより、上述と同様に、遮光膜パターンのひさし状(オーバーハング形状)を改善することができる。さらに、裏面反射防止層33の結晶粒の平均粒径を、遮光層31の結晶粒の平均粒径よりも大きくすることにより、ウェットエッチングレートが遅いことにより生じる透明基板側のテーパー形状を改善することができる。
上記各層の結晶粒の平均粒径は、断面SEMで観察し、測定された各結晶粒のサイズから算出することができる。
そのうえで、表面反射防止層32と裏面反射防止層33を構成する結晶粒の平均粒径(平均サイズ)は、3〜15nmであり、遮光層31を構成する結晶粒の平均粒径(平均サイズ)は、1〜8nmであることが好ましい。
また、遮光膜30において、表面反射防止層32や裏面反射防止層33には、少なくとも窒素または酸素を含有していることが好ましい。上記遷移金属シリサイド系材料において、軽元素成分である窒素または酸素は、遮光膜30の表面および裏面の反射率を効果的に低減することができる。フォトマスクを使用したパターン転写時の転写精度の観点から、露光波長における遮光膜30の表面反射防止層32側の表面および裏面反射防止層33側の遮光膜30の裏面の反射率を15%以下とするために、表面反射防止層32、裏面反射防止層33に含まれる酸素と窒素を含む軽元素成分の合計含有率は、35原子%以上が好ましい。さらに好ましくは、40原子%以上70原子%以下、45原子%以上65原子%以下が望ましい。また、酸素の含有率は、0原子%超40原子%以下であることが、欠陥品質、耐薬品性に於いて望ましい。また、遮光層31にも、窒素または酸素を少なくとも含有することができる。遮光層31に含まれる酸素と窒素を含む軽元素成分の合計含有率は、20原子%以下が好ましい。20原子%を超えると遮光層31の遮光性能が低下するので、遮光膜30として必要な光学濃度を得るための膜厚が厚くなるので好ましくない。さらに好ましくは、15原子%以下、10原子%以下が望ましい。
遷移金属シリサイド系材料としては、例えば、遷移金属シリサイド、遷移金属シリサイドの窒化物、遷移金属シリサイドの酸化物、遷移金属シリサイドの酸化窒化物、遷移金属シリサイドの酸化炭化物、遷移金属シリサイドの酸化窒化炭化物が挙げられる。また、遷移金属シリサイド系材料は、モリブデンシリサイド系材料(MoSi系材料)、ジルコニウムシリサイド系材料(ZrSi系材料)、モリブデンジルコニウムシリサイド系材料(MoZrSi系材料)であると、ウェットエッチングによる優れたパターン断面形状が得られやすいという点で好ましく、特にモリブデンシリサイド系材料(MoSi系材料)であると好ましい。
また、遮光膜30には、上述した酸素、窒素の他に、膜応力の低減やウェットエッチングレートを制御する目的で、炭素やヘリウム等の他の軽元素成分を含有してもよい。
遮光膜30は、スパッタリング法により形成することができる。
表面反射率は、分光光度計などを用いて測定することができる。
裏面反射率は、分光光度計などを用いて測定することができる。
また、遮光膜30は、露光光に対する光学濃度は、好ましくは3以上であり、より好ましくは、3.5以上、さらに好ましくは4以上である。なお、光学濃度は、分光光度計またはODメーターなどを用いて測定することができる。
エッチングマスク膜40は、スパッタリング法により形成することができる。
以下、各工程を詳細に説明する。
先ず、透明基板20を準備する。透明基板20は、露光光に対して透明であれば、合成石英ガラス、石英ガラス、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、低熱膨張ガラス(SiO2−TiO2ガラス等)などのいずれのガラス材料で構成されるものであってもよい。
遮光膜30を構成する各層の遮光層31、表面反射防止層32、裏面反射防止層33の成膜は、それら各層を構成する材料の主成分となる遷移金属とケイ素を含む遷移金属シリサイドターゲット、又は遷移金属とケイ素と酸素及び/又は窒素を含む遷移金属シリサイドターゲットをスパッタターゲットに使用して、例えば、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガス及びキセノンガスからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む不活性ガスからなるスパッタガス雰囲気、又は、上記不活性ガスと、酸素ガス、窒素ガス、二酸化炭素ガス、一酸化窒素ガス、二酸化窒素ガスからなる群より選ばれて酸素及び窒素を少なくとも含む活性ガスとの混合ガスからなるスパッタガス雰囲気で行われる。
遷移金属と、ケイ素と、酸素を含有する遷移金属シリサイド酸化物や、遷移金属と、ケイ素と、酸素と、窒素を含有する遷移金属シリサイド酸化窒化物などの酸素を含有する遷移金属シリサイド材料からなる遮光膜30を形成した後の遮光膜30、つまり表面反射防止層32について、遷移金属の酸化物の存在によるエッチング液による浸み込みを抑制するため、遮光膜30(表面反射防止層32)の表面酸化の状態を調整する表面処理工程を行うようにしてもよい。
遮光膜30(表面反射防止層32)の表面酸化の状態を調整する表面処理工程としては、酸性の水溶液で表面処理する方法、アルカリ性の水溶液で表面処理する方法、アッシング等のドライ処理で表面処理する方法などが挙げられる。
このようにして、実施の形態2のバイナリマスクブランク10が得られる。実施の形態1のバイナリマスクブランク10の製造には、以下のエッチングマスク膜形成工程をさらに行う。
遮光膜30(表面反射防止層32)の表面の表面酸化の状態を調整する表面処理を必要に応じて行った後、スパッタリング法により、遮光膜30上にエッチングマスク膜40を形成する。エッチングマスク膜40は、インライン型スパッタリング装置を使用して形成することが好ましい。スパッタリング装置がインライン型スパッタリング装置の場合、透明基板20の搬送速度によっても、エッチングマスク膜40の厚さを制御することができる。
エッチングマスク膜40の成膜は、クロム又はクロム化合物(酸化クロム、窒化クロム、炭化クロム、酸化窒化クロム、酸化窒化炭化クロム等)を含むスパッタターゲットを使用して、例えば、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガス及びキセノンガスからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む不活性ガスからなるスパッタガス雰囲気、又は、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガス及びキセノンガスからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む不活性ガスと、酸素ガス、窒素ガス、一酸化窒素ガス、二酸化窒素ガス、二酸化炭素ガス、炭化水素系ガス、フッ素系ガスからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む活性ガスとの混合ガスからなるスパッタガス雰囲気で行われる。炭化水素系ガスとしては、例えば、メタンガス、ブタンガス、プロパンガス、スチレンガス等が挙げられる。
このようにして、実施の形態1のバイナリマスクブランク10が得られる。
実施の形態3、4では、バイナリマスクの製造方法について説明する。
図3に示すバイナリマスクの製造方法は、図1に示すバイナリマスクブランク10を用いてバイナリマスク100を製造する方法であり、以下のバイナリマスクブランク10のエッチングマスク膜40上にレジスト膜を形成する工程と、レジスト膜に所望のパターンを描画・現像を行うことにより、レジスト膜パターン50を形成し(レジスト膜パターン形成工程)、該レジスト膜パターン50をマスクにしてエッチングマスク膜40をウェットエッチングして、遮光膜30上にエッチングマスク膜パターン40aを形成する工程(エッチングマスク膜パターン形成工程)と、記エッチングマスク膜パターン40aをマスクにして、遮光膜30をウェットエッチングして透明基板20上に遮光膜パターン30aを形成する工程(遮光膜パターン形成工程)と、を含む。
以下、実施の形態3および4にかかるバイナリマスクの製造工程の各工程を詳細に説明する。
1.レジスト膜パターン形成工程
レジスト膜パターン形成工程では、先ず、実施の形態1のバイナリマスクブランク10のエッチングマスク膜40上に、レジスト膜を形成する。使用するレジスト膜材料は、特に制限されない。例えば、後述する350nm〜436nmの波長域から選択されるいずれかの波長を有するレーザー光に対して感光するものであればよい。また、レジスト膜は、ポジ型、ネガ型のいずれであっても構わない。
その後、350nm〜436nmの波長域から選択されるいずれかの波長を有するレーザー光を用いて、レジスト膜に所望のパターンを描画する。レジスト膜に描画するパターンは、遮光膜30に形成するパターンである。レジスト膜に描画するパターンとして、ラインアンドスペースパターンやホールパターンが挙げられる。
その後、レジスト膜を所定の現像液で現像して、図3(a)に示されるように、エッチングマスク膜40上にレジスト膜パターン50を形成する。
エッチングマスク膜パターン形成工程では、先ず、レジスト膜パターン50をマスクにしてエッチングマスク膜40をエッチングして、エッチングマスク膜パターン40aを形成する。エッチングマスク膜40は、クロム(Cr)を含み、実質的にケイ素を含有しないクロム系材料から形成される。エッチングマスク膜40をエッチングするエッチング液は、エッチングマスク膜40を選択的にエッチングできるものであれば、特に制限されない。具体的には、硝酸第二セリウムアンモニウムと過塩素酸とを含むエッチング液が挙げられる。
その後、レジスト剥離液を用いて、又は、アッシングによって、図3(b)に示されるように、レジスト膜パターン50を剥離する。場合によっては、レジスト膜パターン50を剥離せずに、次の遮光膜パターン形成工程を行ってもよい。
遮光膜パターン形成工程では、エッチングマスク膜パターン40aをマスクにして遮光膜30をウェットエッチングして、図3(c)に示されるように、遮光膜パターン30aを形成する。遮光膜パターン30aとして、ラインアンドスペースパターンやホールパターンが挙げられる。遮光膜30をエッチングするエッチング液は、遮光膜30を選択的にエッチングできるものであれば、特に制限されない。例えば、フッ化アンモニウムとリン酸と過酸化水素とを含むエッチング液、フッ化水素アンモニウムと過酸化水素とを含むエッチング液が挙げられる。
ウェットエッチングは、遮光膜パターン30aの断面形状を良好にするために、遮光膜パターン30aにおいて透明基板20が露出するまでの時間(ジャストエッチングタイム)よりも長い時間(オーバーエッチングタイム)で行うことが好ましい。オーバーエッチングタイムの時間としては、透明基板20への影響等を考慮すると、ジャストエッチングタイムに、そのジャストエッチングタイムの10%の時間を加えた時間内とすることが好ましい。
1.レジスト膜パターン形成工程
レジスト膜パターン形成工程では、先ず、実施の形態2のバイナリマスクブランク10の遮光膜30上に、レジスト膜を形成する。使用するレジスト膜材料は、実施の形態3で説明したものと同様である。なお、必要に応じてレジスト膜を形成する前に、遮光膜30と密着性を良好にするため、遮光膜30に表面改質処理を行なうようにしても構わない。上述と同様に、レジスト膜を形成した後、350nm〜436nmの波長域から選択されるいずれかの波長を有するレーザー光を用いて、レジスト膜に所望のパターンを描画する。その後、レジスト膜を所定の現像液で現像して、図4(a)に示されるように、遮光膜30上にレジスト膜パターン50を形成する。
2.遮光膜パターン形成工程
遮光膜パターン形成工程では、レジスト膜パターン50をマスクにして遮光膜30をエッチングして、図4(b)に示されるように、遮光膜パターン30aを形成する。遮光膜パターン30aや遮光膜30をエッチングするエッチング液は、実施の形態3で説明したものと同様である。
その後、レジスト剥離液を用いて、又は、アッシングによって、レジスト膜パターン50を剥離する(図4(c))。
このようにして、バイナリマスク100が得られる。
この実施の形態4のバイナリマスクの製造方法によれば、実施の形態2のバイナリマスクブランク10を用いるため、断面形状が良好であり、静電破壊を抑制できる遮光膜パターンを形成することができる。従って、高精細な遮光膜パターンを備えるバイナリマスクを製造することができる。このように製造されたバイナリマスクは、ラインアンドスペースパターンやコンタクトホールの微細化に対応することができる。
実施の形態5では、表示装置の製造方法について説明する。表示装置は、上述したバイナリマスクブランク10を用いて製造されたバイナリマスク100を用い、または上述したバイナリマスクの製造方法によって製造されたバイナリマスク100を用いる工程(マスク載置工程)と、表示装置上のレジスト膜に遮光膜パターンを露光転写する工程(露光工程)とを行うことによって製造される。
以下、各工程を詳細に説明する。
載置工程では、実施の形態3で製造されたバイナリマスク100を露光装置のマスクステージに載置する。ここで、バイナリマスク100は、露光装置の投影光学系を介して表示装置基板上に形成されたレジスト膜に対向するように配置される。
パターン転写工程では、バイナリマスク100に露光光を照射して、表示装置基板上に形成されたレジスト膜にパターンを転写する。露光光は、365nm〜436nmの波長域から選択される複数の波長の光を含む複合光や、365nm〜436nmの波長域からある波長域をフィルターなどでカットし選択された単色光である。例えば、露光光は、i線、h線およびg線を含む複合光や、i線の単色光である。露光光として複合光を用いると、露光光強度を高くしてスループットを上げることができるため、表示装置の製造コストを下げることができる。
なお、以上の実施形態においては、フォトマスクブランクやフォトマスクとして、遮光膜を有するバイナリマスクブランクや遮光膜パターンを有するバイナリマスクを用いる場合を説明したが、これらに限定されるものではない。例えば、掘り込みレベンソン用のフォトマスクブランクやCPLマスク用のマスクブランク等においても、本発明を適用することが可能である。また、透明基板上に位相シフト膜を形成し、そしてその上に、実施の形態で述べた遮光膜を形成するようにしてもよい。
A.バイナリマスクブランクおよびその製造方法
実施例1のバイナリマスクブランクを製造するため、先ず、透明基板20として、1214サイズ(1220mm×1400mm)の合成石英ガラス基板を準備した。
[光学濃度(OD)]
遮光層31と表面反射防止層32の積層構造からなる遮光膜30の光学濃度(OD)を分光光度計で測定した結果、3.6であった(波長405nm)。遮光膜30の光学濃度の測定には、同一のトレイにセットして作製された、合成石英ガラス基板の主表面上に遮光層31と表面反射防止層32の積層構造からなる遮光膜30が成膜された遮光膜付き基板(ダミー基板)を用いた。遮光膜30の光学濃度(OD)は、エッチングマスク膜40を形成する前に遮光膜付き基板(ダミー基板)をチャンバーから取り出し、測定した。
[表面反射率]
遮光層31と表面反射防止層32の積層構造からなる遮光膜30の表面反射率、及びエッチングマスク膜40の反射率を分光光度計で測定した結果、遮光膜30の表面反射率は8.3%(波長405nm)、エッチングマスク膜40の表面反射率は7.7%(波長413nm(レーザー描画波長に対応))であった。以上の結果から、遮光膜30の表面反射防止層32は、表面反射防止機能を主として有していると言える。なお、遮光膜30の表面反射率の測定は、上述と同様に、エッチングマスク膜40を形成する前に遮光膜付き基板をチャンバーから取り出し測定し、エッチングマスク膜40の表面反射率の測定は、合成石英ガラス基板上に遮光膜30とエッチングマスク膜40が形成されたダミー基板をチャンバーから取り出し、測定した。
遮光層31、表面反射防止層32の屈折率(n)および消衰係数(k)をn&kアナライザーで測定した結果、遮光層31の屈折率(波長405nm)は4.52、消衰係数(波長405nm)は2.68、表面反射防止層32の屈折率(波長405nm)は2.56、消衰係数(波長405nm)は0.37であった。なお、遮光層31、表面反射防止層32の屈折率、消衰係数の測定は、合成石英ガラス基板上に、上記実施例1と同一の成膜条件で成膜された遮光層31付き基板、表面反射防止層32付き基板を準備して行った。
[結晶粒のサイズ、平均粒径]
遮光層31、表面反射防止層32の結晶粒のサイズを断面SEMで観察、測定した結果、遮光層31の結晶粒のサイズは、3〜5nmで、結晶粒の平均サイズ(平均粒径、以下において同じ)は、4nmであった。また、表面反射防止層32の結晶粒のサイズは、6〜10nmで、結晶粒の平均サイズは、8nmであった。
すなわち、上記実施例1のバイナリマスクブランク10における遮光膜30を構成する表面反射防止層32の結晶粒の平均粒径は、遮光層31の結晶粒の平均粒径よりも大きいものであった。
上述のようにして製造されたバイナリマスクブランク10を用いてバイナリマスク100を製造するため、先ず、バイナリマスクブランク10のエッチングマスク膜40上に、レジスト塗布装置を用いてフォトレジスト膜を塗布した。
その後、加熱・冷却工程を経て、フォトレジスト膜を形成した。
その後、レーザー描画装置を用いてフォトレジスト膜を描画し、現像・リンス工程を経て、エッチングマスク膜上に、ホール径が1.5μmのホールパターンのレジスト膜パターン50を形成した。
その後、エッチングマスク膜40を上記Crエッチング液で剥離した後、レジスト膜パターン50を剥離した。
A.バイナリマスクブランクおよびその製造方法
実施例2のバイナリマスクブランクを製造するため、実施例1と同様に、透明基板として、1214サイズ(1220mm×1400mm)の合成石英ガラス基板を準備した。
実施例1と同じ方法により、合成石英ガラス基板を、インライン型のスパッタリング装置のチャンバーに搬入した。そして、第1チャンバー内のスパッタリングガス圧力が1.7Paになるように、アルゴン(Ar)ガスと、一酸化窒素(NO)ガスおよびヘリウム(He)ガスで構成される混合ガスを導入した。そして、モリブデンとケイ素を含む第1スパッタターゲット(モリブデン:ケイ素=1:4)に所定のスパッタパワーを印加して、反応性スパッタリングすることにより、透明基板20の主表面上にモリブデンとケイ素と酸素と窒素を含有するモリブデンシリサイドの酸化窒化物の裏面反射防止層33を膜厚34nm成膜した。
[光学濃度(OD)]
裏面反射防止層33、遮光層31、表面反射防止層32の積層構造からなる遮光膜30の光学濃度(OD)を分光光度計で測定した結果、4.9であった(波長405nm)。
[表面反射率・裏面反射率]
裏面反射防止層33、遮光層31、表面反射防止層32の積層構造からなる遮光膜30の表面反射率は3.3%(波長405nm)であった。また、遮光膜30の裏面反射率(裏面反射防止層33側の反射率)は、2.6%(波長405nm)であった。これらの結果から、遮光膜30の裏面反射防止層は裏面反射防止機能を主として有し、遮光膜30の反射防止層32は表面反射防止機能を主として有していると言える。
[屈折率(n)、消衰係数(k)]
裏面反射防止層33、遮光層31、表面反射防止層32の屈折率(n)および消衰係数(k)をn&kアナライザーで測定した結果、裏面反射防止層33の屈折率(波長405)は2.35、消衰係数(波長405nm)は0.30、遮光層31の屈折率(波長405nm)は4.45、消衰係数(波長405nm)は2.75、反射防止層32の屈折率(波長405nm)は2.35、消衰係数(波長405nm)は0.30であった。なお、裏面反射防止層33の屈折率、消衰係数の測定は、合成石英ガラス基板上に、上記実施例2と同一の成膜条件で成膜された裏面反射防止層33付き基板を準備しておこなった。
裏面反射防止層33、遮光層31、表面反射防止層32の各結晶粒のサイズを断面SEMで観察、測定した結果、裏面反射防止層33の結晶粒のサイズは、6〜10nm、結晶粒の平均サイズは、8nmであった。遮光層31の結晶粒のサイズは、3〜5nm、結晶粒の平均サイズは、4nmであった。また、表面反射防止層32の結晶粒のサイズは、6〜10nm、結晶粒の平均サイズは、8nmであった。
すなわち、上記実施例2のバイナリマスクブランク10における遮光膜30を構成する表面反射防止層32と裏面反射防止層33の結晶粒の平均粒径は、遮光層31の結晶粒の平均粒径よりも大きいものであった。
上述のようにして製造されたバイナリマスクブランク10を用いてバイナリマスク100を製造するため、先ず、遮光膜30の表面(表面反射防止層32の表面)をHMDS(ヘキサメチルジシラザン)処理を行った後、レジスト塗布装置を用いてフォトレジスト膜を塗布した。その後、加熱・冷却工程を経て、フォトレジスト膜を形成した。
その後、レーザー描画装置を用いてフォトレジスト膜を描画し、現像・リンス工程を経て、エッチングマスク膜上に、ホール径が1.5μmのホールパターンのレジスト膜パターン50を形成した。
その後、レジスト膜パターン50をマスクにして、フッ化水素アンモニウムと過酸化水素との混合溶液を純水で希釈したモリブデンシリサイドエッチング液により遮光膜30をウェットエッチングして、遮光膜パターン30aを形成した。このウェットエッチングは、断面形状を垂直化するためかつ要求される微細なパターンを形成するために、110%のオーバーエッチングタイムで行った。
その後、レジスト膜パターン50を剥離した。
また、上述の実施例では、表示装置製造用のバイナリマスクブランクや、表示装置製造用のバイナリマスクの例を説明したが、これに限られない。本発明のバイナリマスクブランクやバイナリマスクは、半導体装置製造用、MEMS製造用、プリント基板用等にも適用できる。
また、上述の実施例では、透明基板のサイズが、1214サイズ(1220mm×1400mm×13mm)の例を説明したが、これに限られない。表示装置製造用のバイナリマスクブランクの場合、大型(Large Size)の透明基板が使用され、該透明基板のサイズは、一辺の長さが、300mm以上である。表示装置製造用のバイナリマスクブランクに使用する透明基板のサイズは、例えば、330mm×450mm以上2280mm×3130mm以下である。
また、半導体装置製造用、MEMS製造用、プリント基板用のバイナリマスクブランクの場合、小型(Small Size)の透明基板が使用され、該透明基板のサイズは、一辺の長さが9インチ以下である。上記用途のバイナリマスクブランクに使用する透明基板のサイズは、例えば、63.1mm×63.1mm以上228.6mm×228.6mm以下である。通常、半導体製造用、MEMS製造用は、6025サイズ(152mm×152mm)や5009サイズ(126.6mm×126.6mm)が使用され、プリント基板用は、7012サイズ(177.4mm×177.4mm)や、9012サイズ(228.6mm×228.6mm)が使用される。
A.バイナリマスクブランクおよびその製造方法
比較例1のバイナリマスクブランクを製造するため、実施例1と同様に、透明基板として、1214サイズ(1220mm×1400mm)の合成石英ガラス基板を準備した。
実施例1と同じ方法により、合成石英ガラス基板を、インライン型のスパッタリング装置のチャンバーに搬入した。そして、第1チャンバー内のスパッタリングガス圧力を0.5Paになるように、アルゴン(Ar)ガスとヘリウム(He)ガスで構成される混合ガスを導入した。そして、モリブデンとケイ素を含む第1スパッタターゲット(モリブデン:ケイ素=1:4)に所定のスパッタパワーを印加して、スパッタリングすることにより、透明基板20の主表面上にモリブデンとケイ素からなるモリブデンシリサイドの遮光層31を膜厚88nm成膜した。
次に、遮光層31が成膜された透明基板20を第2チャンバー内に搬入し、第2チャンバー内のスパッタリングガス圧力が0.5Paとなるように、アルゴン(Ar)ガスと、一酸化窒素(NO)ガスおよびヘリウム(He)ガスで構成される混合ガスを導入した。そして、モリブデンとケイ素を含む第2スパッタターゲット(モリブデン:ケイ素=1:4)に所定のスパッタパワーを印加して、反応性スパッタリングすることにより、遮光層31上にモリブデンとケイ素と酸素と窒素を含有するモリブデンシリサイドの酸化窒化物の表面反射防止層32を膜厚45nm成膜した。
そして、遮光層31、表面反射防止層32が成膜された透明基板20を第3チャンバー内に搬入し、第3チャンバー内のスパッタリングガス圧力が0.3Paとなるように、アルゴン(Ar)ガスと、窒素(N2)ガスで構成される混合ガスを導入した。そして、クロムからなる第3スパッタターゲットに所定のスパッタパワーを印加して、反応性スパッタリングすることにより、表面反射防止層32上にクロムと窒素を含有するクロムの窒化物のエッチングマスク膜40を膜厚30nm成膜した。
このようにして、透明基板20上に、遮光層31と表面反射防止層32の積層構造の遮光膜30とエッチングマスク膜40が形成されたバイナリマスクブランク10を得た。
得られたバイナリマスクブランク10における裏面反射防止層33、遮光層31、表面反射防止層32の積層構造の遮光膜の諸特性について測定した。
得られたバイナリマスクブランク10における遮光層31と表面反射防止層32の積層構造の遮光膜30や、エッチングマスク膜40の諸特性について測定した。
その結果、光学濃度(OD)、表面反射率、屈折率(n)、消衰係数(k)は、実施例1と同等の光学特性を有していた。
[結晶粒のサイズ、平均粒径]
遮光層31、表面反射防止層32の結晶粒のサイズを断面SEMで観察、測定した結果、遮光層31の結晶粒のサイズは、3〜5nmで、結晶粒の平均サイズは、4nmであった。また、表面反射防止層32の結晶粒のサイズは、1〜3nmで、結晶粒の平均サイズは、2nmであった。
すなわち、上記比較例1のバイナリマスクブランクにおける遮光膜を構成する表面反射防止層の結晶粒の平均粒径は、遮光層の結晶粒の平均粒径よりも小さいものであった。
B.バイナリマスクおよびその製造方法
上述のようにして製造されたバイナリマスクブランクを用いて、実施例1と同様の方法によりバイナリマスクを製造した。
得られたバイナリマスクについて、静電破壊試験を行った。まず、遮光膜に所定の間隔(1.5μm)で遮光膜パターンを形成したバイナリマスクを用意した。そして、このバイナリマスクへの印加電圧を一定間隔(0.1kV毎)で増加させ、印加電圧毎にパターンに破壊が生じたか否かを観察した。その結果、1.6kVの印加電圧までパターンの破壊は生じていなかった。よって、比較例1のバイナリマスクの遮光膜パターンは、静電破壊を抑制できるものであると言える。
また、得られたバイナリマスクの断面を走査型電子顕微鏡により観察した。比較例1のバイナリマスクに形成された遮光膜パターンの断面形状は、表面反射防止層が突出するひさし状(オーバーハング形状)を有していた。従って、得られたバイナリマスクでは、300nm以上500nm以下の波長範囲の光を含む露光光、より具体的には、i線、h線およびg線を含む複合光の露光光において、十分な転写性能が得られない。
このため、比較例1のバイナリマスクを露光装置のマスクステージにセットし、表示装置上のレジスト膜に露光転写した場合、2.0μm未満の微細パターンを高精度に転写することはできないことが予想される。
比較例2.
A.バイナリマスクブランクおよびその製造方法
比較例2のバイナリマスクブランクを製造するため、実施例1と同様に、透明基板として、1214サイズ(1220mm×1400mm)の合成石英ガラス基板を準備した。
実施例1と同じ方法により、合成石英ガラス基板を、インライン型のスパッタリング装置のチャンバーに搬入した。そして、第1チャンバー内のスパッタリングガス圧力を0.3Paになるように、アルゴン(Ar)ガスと二酸化炭素(CO2)ガスで構成される混合ガスを導入した。そして、クロムを含む第1スパッタターゲットに所定のスパッタパワーを印加して、反応性スパッタリングすることにより、透明基板の主表面上にクロムと酸素を含有するクロムの酸化物の裏面反射防止層を膜厚30nm成膜した。
[光学濃度(OD)]
裏面反射防止層、遮光層、表面反射防止層の積層構造からなる遮光膜の光学濃度(OD)を分光光度計で測定した結果、4.0であった(波長405nm)。
[表面反射率・裏面反射率]
裏面反射防止層、遮光層、表面反射防止層の積層構造からなる遮光膜の表面反射率は11.8%(波長405nm)、11.5%(波長413nm(レーザー描画波長に対応))であった。また、遮光膜の裏面反射率(裏面反射防止層側の反射率)は、10.3%(波長405nm)であった。これらの結果から、遮光膜30の裏面反射防止層は裏面反射防止機能を主として有し、遮光膜30の表面反射防止層32は表面反射防止機能を主として有していると言える。
上述のようにして製造されたバイナリマスクブランクを用いて、バイナリマスクを製造するため、先ず、遮光膜の表面(表面反射防止層の表面)に、レジスト塗布装置を用いてフォトレジスト膜を塗布した。その後、加熱・冷却工程を経て、フォトレジスト膜を形成した。
その後、レーザー描画装置を用いてフォトレジスト膜を描画し、現像・リンス工程を経て、遮光膜上に、ホール径が1.5μmのホールパターンのレジスト膜パターンを形成した。
その後、レジスト膜パターンをマスクにして、硝酸第二セリウムアンモニウムと過塩素酸を含むCrエッチング液により遮光膜をウェットエッチングして、遮光膜パターンを形成した。その後レジスト膜パターンを剥離した。
得られたバイナリマスクの断面を走査型電子顕微鏡により観察した。その結果、バイナリマスクに形成された遮光膜パターンの断面形状は、79°でほぼ垂直な良好な断面形状を有していた。
次に、得られたバイナリマスクについて、静電破壊試験を行った。まず、遮光膜に所定の間隔(1.5μm)で遮光膜パターンを形成したバイナリマスクを用意した。そして、このバイナリマスクへの印加電圧を一定間隔(0.1kV毎)で増加させ、印加電圧毎にパターンに破壊が生じたか否かを観察した。その結果、0.4kVの印加電圧までパターンの破壊は生じていなかったが、印加電圧が0.5kVでパターンの破壊が生じてしまっていた。よって、比較例2のバイナリマスクの遮光膜パターンは、静電破壊を抑制できていないものであった。
このため、比較例2のバイナリマスクを露光装置のマスクステージにセットし、表示装置上のレジスト膜に露光転写した場合、帯電などによりマスクパターンに静電破壊を起こし、2.0μm未満の微細パターンを転写することはできないことが予想される。
30a…遮光膜パターン、40…エッチングマスク膜、
40a…エッチングマスク膜パターン、50…レジスト膜パターン、
100…バイナリマスク
Claims (8)
- 透明基板上に遮光膜を有するフォトマスクブランクであって、
前記フォトマスクブランクは、前記遮光膜をウェットエッチングすることによって前記透明基板上に遮光膜パターンを有するフォトマスクを形成するための原版であって、
前記遮光膜は、遷移金属と、ケイ素とを含有する遷移金属シリサイド系材料で形成され、
前記遮光膜は、前記透明基板側から、遮光層と、表面反射防止層とを積層した構造を備え、
前記表面反射防止層は、さらに、窒素または酸素を含有し、
前記表面反射防止層を構成する結晶粒の平均粒径は、前記遮光層を構成する結晶粒の平均粒径よりも大きいことを特徴とするフォトマスクブランク。 - 透明基板上に遮光膜を有するフォトマスクブランクであって、
前記フォトマスクブランクは、前記遮光膜をウェットエッチングすることによって前記透明基板上に遮光膜パターンを有するフォトマスクを形成するための原版であって、
前記遮光膜は、遷移金属と、ケイ素とを含有する遷移金属シリサイド系材料で形成され、
前記遮光膜は、前記透明基板側から、裏面反射防止層と、遮光層と、表面反射防止層とを積層した構造を備え、
前記裏面反射防止層と前記表面反射防止層は、さらに、窒素または酸素を含有し、
前記表面反射防止層と裏面反射防止層を構成する結晶粒の平均粒径は、前記遮光層を構成する結晶粒の平均粒径よりも大きいことを特徴とするフォトマスクブランク。 - 前記遮光層は、窒素または酸素を少なくとも含有していることを特徴とする請求項1または2記載のフォトマスクブランク。
- 前記遷移金属は、モリブデンであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のフォトマスクブランク。
- 前記遮光膜上に、該遮光膜に対してエッチング選択性が異なるエッチングマスク膜を備えていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のフォトマスクブランク。
- 請求項1から4のいずれかに記載のフォトマスクブランクを準備する工程と、
前記遮光膜上にレジスト膜を形成し、前記レジスト膜から形成したレジスト膜パターンをマスクにして前記遮光膜をウェットエッチングして、前記透明基板上に遮光膜パターンを形成する工程と、を有することを特徴とするフォトマスクの製造方法。 - 請求項5に記載のフォトマスクブランクを準備する工程と、
前記エッチングマスク膜上にレジスト膜を形成し、前記レジスト膜から形成したレジスト膜パターンをマスクにして前記エッチングマスク膜をウェットエッチングして、前記遮光膜上にエッチングマスク膜パターンを形成する工程と、
前記エッチングマスク膜パターンをマスクにして、前記遮光膜をウェットエッチングして、前記透明基板上に遮光膜パターンを形成する工程と、を有することを特徴とするフォトマスクの製造方法。 - 請求項6または7に記載のフォトマスクの製造方法により得られたフォトマスクを用い、表示装置基板上に形成されたレジスト膜に露光転写する露光工程を有することを特徴とする表示装置の製造方法。
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