JP7059234B2 - フォトマスクブランク、フォトマスクの製造方法及び表示装置の製造方法 - Google Patents
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また、特許文献2には、透明基板と、露光光の位相を変える性質を有しかつ金属シリサイド系材料から構成される光半透過膜と、クロム系材料から構成されるエッチングマスク膜と、を備えた位相シフトマスクブランクが開示されている。この位相シフトマスクブランクにおいて、光半透過膜とエッチングマスク膜との界面に組成傾斜領域が形成されている。組成傾斜領域では、光半透過膜のウェットエッチング速度を遅くする成分の割合が、深さ方向に向かって増加する。そして、組成傾斜領域における酸素の含有量は、10原子%以下である。
また、より高解像のパターン転写を実現するため、露光光に対する透過率が15%以上の位相シフト膜を有する位相シフトマスクブランクおよび、露光光に対する透過率が15%以上の位相シフト膜パターンが形成された位相シフトマスクが要求されている。なお、位相シフトマスクブランクや位相シフトマスクの洗浄耐性(化学的特性)においては、位相シフト膜や位相シフト膜パターンの膜減りや表面の組成変化による光学特性の変化が抑制された洗浄耐性を有する位相シフト膜が形成された位相シフトマスクブランクおよび洗浄耐性を有する位相シフト膜パターンが形成された位相シフトマスクが求められている。
露光光に対する透過率の要求と洗浄耐性の要求を満たすため、位相シフト膜を構成する金属シリサイド化合物(金属シリサイド系材料)における金属とケイ素の原子比率におけるケイ素の比率を高くすることが効果的であるが、ウェットエッチング速度が大幅に遅く(ウェットエッチング時間が長く)なるとともに、ウェットエッチング液による基板へのダメージが発生し、透明基板の透過率が低下する等の問題があった。
そして、遷移金属とケイ素とを含有する遮光膜を備えたバイナリマスクブランクにおいて、ウェットエッチングによって遮光膜に遮光パターンを形成する際にも、洗浄耐性についての要求があり、上記と同様の問題があった。
前記フォトマスクブランクは、前記パターン形成用薄膜をウェットエッチングにより前記透明基板上に転写パターンを有するフォトマスクを形成するための原版であって、
前記パターン形成用薄膜は、遷移金属と、ケイ素とを含有し、
前記パターン形成用薄膜は、柱状構造を有していることを特徴とするフォトマスクブランク。
前記フォトマスクブランクの断面を80000倍の倍率で走査電子顕微鏡観察により得られた画像について、前記パターン形成用薄膜の厚み方向の中心部を含む領域について、縦64ピクセル×横256ピクセルの画像データとして抽出し、前記画像データをフーリエ変換することにより得られた空間周波数スペクトル分布において、空間周波数の原点に対応した最大信号強度に対して1.0%以上の信号強度を有する空間周波数スペクトルが存在していることを特徴とする構成1記載のフォトマスクブランク。
(構成3)前記パターン形成用薄膜は、前記1.0%以上の信号強度を有する信号が最大空間周波数を100%としたときに空間周波数の原点から2.0%以上離れた空間周波数にあることを特徴とする構成2記載のフォトマスクブランク。
(構成6)前記遷移金属は、モリブデンであることを特徴とする構成1から5のいずれかに記載のフォトマスクブランク。
(構成9)前記エッチングマスク膜は、クロムを含有し、実質的にケイ素を含まない材料からなることを特徴とする構成8記載のフォトマスクブランク。
前記パターン形成用薄膜は、成膜室内に遷移金属とケイ素を含む遷移金属シリサイドターゲットを使用し、スパッタリングガスを供給した前記成膜室内のスパッタリングガス圧力が0.8Pa以上3.0Pa以下で形成することを特徴とするフォトマスクブランクの製造方法。
(構成13)前記パターン形成用薄膜および前記エッチングマスク膜は、インライン型スパッタリング装置を使用して形成することを特徴とする構成12に記載のフォトマスクブランクの製造方法。
前記パターン形成用薄膜上にレジスト膜を形成し、前記レジスト膜から形成したレジスト膜パターンをマスクにして前記パターン形成用薄膜をウェットエッチングして、前記透明基板上に転写用パターンを形成する工程と、を有することを特徴とするフォトマスクの製造方法。
前記エッチングマスク膜上にレジスト膜を形成し、前記レジスト膜から形成したレジスト膜パターンをマスクにして前記エッチングマスク膜をウェットエッチングして、前記パターン形成用薄膜上にエッチングマスク膜パターンを形成する工程と、
前記エッチングマスク膜パターンをマスクにして、前記パターン形成用薄膜をウェットエッチングして、前記透明基板上に転写用パターンを形成する工程と、を有することを特徴とするフォトマスクの製造方法。
(構成16)構成14または15に記載のフォトマスクの製造方法により得られたフォトマスクを露光装置のマスクステージに載置し、前記フォトマスク上に形成された前記転写用パターンを、表示装置基板上に形成されたレジストに露光転写する露光工程を有することを特徴とする表示装置の製造方法。
実施の形態1、2では、位相シフトマスクブランクについて説明する。実施の形態1の位相シフトマスクブランクは、エッチングマスク膜に所望のパターンが形成されたエッチングマスク膜パターンをマスクにして、位相シフト膜をウェットエッチングにより透明基板上に位相シフト膜パターンを有する位相シフトマスクを形成するための原版である。また、実施の形態2の位相シフトマスクブランクは、レジスト膜に所望のパターンが形成されたレジスト膜パターンをマスクにして、位相シフト膜をウェットエッチングにより透明基板上に位相シフト膜パターンを有する位相シフト膜を形成するための原版である。
図1に示す位相シフトマスクブランク10は、透明基板20と、透明基板20上に形成された位相シフト膜30と、位相シフト膜30上に形成されたエッチングマスク膜40とを備える。
図2は実施の形態2にかかる位相シフトマスクブランク10の膜構成を示す模式図である。
図2に示す位相シフトマスクブランク10は、透明基板20と、透明基板20上に形成された位相シフト膜30とを備える。
以下、実施の形態1および実施の形態2の位相シフトマスクブランク10を構成する透明基板20、位相シフト膜30およびエッチングマスク膜40について説明する。
また、位相シフト膜30は、少なくとも窒素または酸素を含有していることが好ましい。上記遷移金属シリサイド系材料において、軽元素成分である酸素は、同じく軽元素成分である窒素と比べて、消衰係数を下げる効果があるため、所望の透過率を得るための他の軽元素成分(窒素など)の含有率を少なくすることができるとともに、位相シフト膜30の表面および裏面の反射率も効果的に低減することができる。また、上記遷移金属シリサイド系材料において、軽元素成分である窒素は、同じく軽元素成分である酸素と比べて、屈折率を下げない効果があるため、所望の位相差を得るための膜厚を薄くできる。また、位相シフト膜30に含まれる酸素と窒素を含む軽元素成分の合計含有率は、40原子%以上が好ましい。さらに好ましくは、40原子%以上70原子%以下、50原子%以上65原子%以下が望ましい。また、位相シフト膜30に酸素が含まれる場合は、酸素の含有率は、0原子%超40原子%以下であることが、欠陥品質、耐薬品性に於いて望ましい。
遷移金属シリサイド系材料としては、例えば、遷移金属シリサイドの窒化物、遷移金属シリサイドの酸化物、遷移金属シリサイドの酸化窒化物、遷移金属シリサイドの酸化窒化炭化物が挙げられる。また、遷移金属シリサイド系材料は、モリブデンシリサイド系材料(MoSi系材料)、ジルコニウムシリサイド系材料(ZrSi系材料)、モリブデンジルコニウムシリサイド系材料(MoZrSi系材料)であると、ウェットエッチングによる優れたパターン断面形状が得られやすいという点で好ましく、特にモリブデンシリサイド系材料(MoSi系材料)であると好ましい。
また、位相シフト膜30には、上述した酸素、窒素の他に、膜応力の低減やウェットエッチングレートを制御する目的で、炭素やヘリウム等の他の軽元素成分を含有してもよい。
位相シフト膜30は、透明基板20側から入射する光に対する反射率(以下、裏面反射率と記載する場合がある)を調整する機能と、露光光に対する透過率と位相差とを調整する機能とを有する。
位相シフト膜30は、スパッタリング法により形成することができる。
透過率は、位相シフト量測定装置などを用いて測定することができる。
位相差は、位相シフト量測定装置などを用いて測定することができる。
裏面反射率は、分光光度計などを用いて測定することができる。
エッチングマスク膜40は、スパッタリング法により形成することができる。
光学濃度は、分光光度計またはODメーターなどを用いて測定することができる。
以下、各工程を詳細に説明する。
先ず、透明基板20を準備する。透明基板20は、露光光に対して透明であれば、合成石英ガラス、石英ガラス、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、低熱膨張ガラス(SiO2-TiO2ガラス等)などのいずれのガラス材料で構成されるものであってもよい。
位相シフト膜30の成膜は、位相シフト膜30を構成する材料の主成分となる遷移金属とケイ素を含む遷移金属シリサイドターゲット、又は遷移金属とケイ素と酸素及び/又は窒素を含む遷移金属シリサイドターゲットをスパッタターゲットに使用して、例えば、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガス及びキセノンガスからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む不活性ガスからなるスパッタガス雰囲気、又は、上記不活性ガスと、酸素ガス、窒素ガス、二酸化炭素ガス、一酸化窒素ガス、二酸化窒素ガスからなる群より選ばれて酸素及び窒素を少なくとも含む活性ガスとの混合ガスからなるスパッタガス雰囲気で行われる。そして、位相シフト膜30は、スパッタリングを行う際における成膜室内のガス圧力が0.8Pa以上3.0Pa以下で形成する。ガス圧力の範囲をこのように設定することで、位相シフト膜30に柱状構造を形成することができる。この柱状構造により、後述するパターン形成時におけるサイドエッチングを抑制できるとともに、高エッチングレートを達成することができる。ここで、遷移金属シリサイドターゲットの遷移金属とケイ素の原子比率は、遷移金属:ケイ素=1:3以上1:15以下であることが、ウェットエッチング速度の低下を柱状構造によって抑制する効果が大きく、位相シフト膜30の洗浄耐性を高めることができ、透過率を高めることも容易となる等の点で、好ましい。
位相シフト膜30が、遷移金属と、ケイ素と、酸素を含有する遷移金属シリサイド酸化物や、遷移金属と、ケイ素と、酸素と、窒素を含有する遷移金属シリサイド酸化窒化物などの酸素を含有する遷移金属シリサイド材料からなる場合、この位相シフト膜30の表面について、遷移金属の酸化物の存在によるエッチング液による浸み込みを抑制するため、位相シフト膜30の表面酸化の状態を調整する表面処理工程を行うようにしてもよい。なお、位相シフト膜30が、遷移金属と、ケイ素と、窒素を含有する遷移金属シリサイド窒化物からなる場合、上述の酸素を含有する遷移金属シリサイド材料と比べて、遷移金属の酸化物の含有率が小さい。そのため、位相シフト膜30の材料が、遷移金属シリサイド窒化物の場合は、上記表面処理工程を行うようにしてもよいし、行わなくてもよい。
位相シフト膜30の表面酸化の状態を調整する表面処理工程としては、酸性の水溶液で表面処理する方法、アルカリ性の水溶液で表面処理する方法、アッシング等のドライ処理で表面処理する方法などが挙げられる。
このようにして、実施の形態2の位相シフトマスクブランク10が得られる。実施の形態1の位相シフトマスクブランク10の製造には、以下のエッチングマスク膜形成工程をさらに行う。
位相シフト膜形成工程の後、必要に応じて、位相シフト膜30の表面の表面酸化の状態を調整する表面処理を必要に応じて行い、その後、スパッタリング法により、位相シフト膜30上にエッチングマスク膜40を形成する。エッチングマスク膜40は、インライン型スパッタリング装置を使用して形成することが好ましい。スパッタリング装置がインライン型スパッタリング装置の場合、透明基板20の搬送速度によっても、エッチングマスク膜40の厚さを制御することができる。
エッチングマスク膜40の成膜は、クロム又はクロム化合物(酸化クロム、窒化クロム、炭化クロム、酸化窒化クロム、酸化窒化炭化クロム等)を含むスパッタターゲットを使用して、例えば、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガス及びキセノンガスからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む不活性ガスからなるスパッタガス雰囲気、又は、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガス及びキセノンガスからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む不活性ガスと、酸素ガス、窒素ガス、一酸化窒素ガス、二酸化窒素ガス、二酸化炭素ガス、炭化水素系ガス、フッ素系ガスからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む活性ガスとの混合ガスからなるスパッタガス雰囲気で行われる。炭化水素系ガスとしては、例えば、メタンガス、ブタンガス、プロパンガス、スチレンガス等が挙げられる。そして、スパッタリングを行う際における成膜室内のガス圧力を調整することにより、位相シフト膜30と同様にエッチングマスク膜40を柱状構造にすることができる。これにより、後述するパターン形成時におけるサイドエッチ
ングを抑制できるとともに、高エッチングレートを達成することができる。
このようにして、実施の形態1の位相シフトマスクブランク10が得られる。
実施の形態3、4では、位相シフトマスクの製造方法について説明する。
図3に示す位相シフトマスクの製造方法は、図1に示す位相シフトマスクブランク10を用いて位相シフトマスクを製造する方法であり、以下の位相シフトマスクブランク10のエッチングマスク膜40上にレジスト膜を形成する工程と、レジスト膜に所望のパターンを描画・現像を行うことにより、レジスト膜パターン50を形成し(第1のレジスト膜パターン形成工程)、該レジスト膜パターン50をマスクにしてエッチングマスク膜40をウェットエッチングして、位相シフト膜30上にエッチングマスク膜パターン40aを形成する工程(第1のエッチングマスク膜パターン形成工程)と、記エッチングマスク膜パターン40aをマスクにして、位相シフト膜30をウェットエッチングして透明基板20上に位相シフト膜パターン30aを形成する工程(位相シフト膜パターン形成工程)と、を含む。そして、第2のレジスト膜パターン形成工程と、第2のエッチングマスク膜パターン形成工程とをさらに含む。
以下、実施の形態3および4にかかる位相シフトマスクの製造工程の各工程を詳細に説明する。
1.第1のレジスト膜パターン形成工程
第1のレジスト膜パターン形成工程では、先ず、実施の形態1の位相シフトマスクブランク10のエッチングマスク膜40上に、レジスト膜を形成する。使用するレジスト膜材料は、特に制限されない。例えば、後述する350nm~436nmの波長域から選択されるいずれかの波長を有するレーザー光に対して感光するものであればよい。また、レジスト膜は、ポジ型、ネガ型のいずれであっても構わない。
その後、350nm~436nmの波長域から選択されるいずれかの波長を有するレーザー光を用いて、レジスト膜に所望のパターンを描画する。レジスト膜に描画するパターンは、位相シフト膜30に形成するパターンである。レジスト膜に描画するパターンとして、ラインアンドスペースパターンやホールパターンが挙げられる。
その後、レジスト膜を所定の現像液で現像して、図3(a)に示されるように、エッチングマスク膜40上に第1のレジスト膜パターン50を形成する。
第1のエッチングマスク膜パターン形成工程では、先ず、第1のレジスト膜パターン50をマスクにしてエッチングマスク膜40をエッチングして、第1のエッチングマスク膜パターン40aを形成する。エッチングマスク膜40は、クロム(Cr)を含むクロム系材料から形成される。エッチングマスク膜40が柱状構造を有している場合、エッチング速度が速く、サイドエッチングを抑制できる点で好ましい。エッチングマスク膜40をエッチングするエッチング液は、エッチングマスク膜40を選択的にエッチングできるものであれば、特に制限されない。具体的には、硝酸第二セリウムアンモニウムと過塩素酸とを含むエッチング液が挙げられる。
その後、レジスト剥離液を用いて、又は、アッシングによって、図3(b)に示されるように、第1のレジスト膜パターン50を剥離する。場合によっては、第1のレジスト膜パターン50を剥離せずに、次の位相シフト膜パターン形成工程を行ってもよい。
第1の位相シフト膜パターン形成工程では、第1のエッチングマスク膜パターン40aをマスクにして位相シフト膜30をウェットエッチングして、図3(c)に示されるように、位相シフト膜パターン30aを形成する。位相シフト膜パターン30aとして、ラインアンドスペースパターンやホールパターンが挙げられる。位相シフト膜30をエッチングするエッチング液は、位相シフト膜30を選択的にエッチングできるものであれば、特に制限されない。例えば、フッ化アンモニウムとリン酸と過酸化水素とを含むエッチング液、フッ化水素アンモニウムと過酸化水素とを含むエッチング液が挙げられる。
ウェットエッチングは、位相シフト膜パターン30aの断面形状を良好にするために、位相シフト膜パターン30aにおいて透明基板20が露出するまでの時間(ジャストエッチング時間)よりも長い時間(オーバーエッチング時間)で行うことが好ましい。オーバーエッチング時間としては、透明基板20への影響等を考慮すると、ジャストエッチング時間に、そのジャストエッチング時間の20%の時間を加えた時間内とすることが好ましく、ジャストエッチング時間の10%の時間を加えた時間内とすることがより好ましい。
第2のレジスト膜パターン形成工程では、先ず、第1のエッチングマスク膜パターン40aを覆うレジスト膜を形成する。使用するレジスト膜材料は、特に制限されない。例えば、後述する350nm~436nmの波長域から選択されるいずれかの波長を有するレーザー光に対して感光するものであればよい。また、レジスト膜は、ポジ型、ネガ型のいずれであっても構わない。
その後、350nm~436nmの波長域から選択されるいずれかの波長を有するレーザー光を用いて、レジスト膜に所望のパターンを描画する。レジスト膜に描画するパターンは、位相シフト膜30にパターンが形成されている領域の外周領域を遮光する遮光帯パターンや、位相シフト膜パターンの中央部を遮光する遮光帯パターンなどである。なお、レジスト膜に描画するパターンは、露光光に対する位相シフト膜30の透過率によっては、位相シフト膜パターン30aの中央部を遮光する遮光帯パターンがないパターンの場合もある。
その後、レジスト膜を所定の現像液で現像して、図3(d)に示されるように、第1のエッチングマスク膜パターン40a上に第2のレジスト膜パターン60を形成する。
第2のエッチングマスク膜パターン形成工程では、第2のレジスト膜パターン60をマスクにして第1のエッチングマスク膜パターン40aをエッチングして、図3(e)に示されるように、第2のエッチングマスク膜パターン40bを形成する。第1のエッチングマスク膜パターン40aは、クロム(Cr)を含むクロム系材料から形成される。第1のエッチングマスク膜パターン40aをエッチングするエッチング液は、第1のエッチングマスク膜パターン40aを選択的にエッチングできるものであれば、特に制限されない。例えば、硝酸第二セリウムアンモニウムと過塩素酸とを含むエッチング液が挙げられる。
その後、レジスト剥離液を用いて、又は、アッシングによって、第2のレジスト膜パターン60を剥離する。
このようにして、位相シフトマスク100が得られる。
なお、上記説明ではエッチングマスク膜40が、露光光の透過を遮る機能を有する場合について説明したが、エッチングマスク膜40が単に、位相シフト膜30をエッチングする際のハードマスクの機能のみを有する場合においては、上記説明において、第2のレジスト膜パターン形成工程と、第2のエッチングマスク膜パターン形成工程は行われず、位相シフト膜パターン形成工程の後、第1のエッチングマスク膜パターンを剥離して、位相シフトマスク100を作製する。
1.レジスト膜パターン形成工程
レジスト膜パターン形成工程では、先ず、実施の形態2の位相シフトマスクブランク10の位相シフト膜30上に、レジスト膜を形成する。使用するレジスト膜材料は、実施の形態3で説明したのと同様である。なお、必要に応じてレジスト膜を形成する前に、位相シフト膜30と密着性を良好にするため、位相シフト膜30に表面改質処理を行なうようにしても構わない。上述と同様に、レジスト膜を形成した後、350nm~436nmの波長域から選択されるいずれかの波長を有するレーザー光を用いて、レジスト膜に所望のパターンを描画する。その後、レジスト膜を所定の現像液で現像して、図4(a)に示されるように、位相シフト膜30上にレジスト膜パターン50を形成する。
2.位相シフト膜パターン形成工程
位相シフト膜パターン形成工程では、レジスト膜パターンをマスクにして位相シフト膜30をエッチングして、図4(b)に示されるように、位相シフト膜パターン30aを形成する。位相シフト膜パターン30aや位相シフト膜30をエッチングするエッチング液やオーバーエッチング時間は、実施の形態3で説明したのと同様である。
その後、レジスト剥離液を用いて、又は、アッシングによって、レジスト膜パターン50を剥離する(図4(c))。
このようにして、位相シフトマスク100が得られる。
この実施の形態4の位相シフトマスクの製造方法によれば、実施の形態2の位相シフトマスクブランクを用いるため、ウェットエッチング液による基板へのダメージを起因とした透明基板の透過率の低下がなく、エッチング時間を短くでき、断面形状が良好な位相シフト膜パターンを形成することができる。従って、高精細な位相シフト膜パターンを精度よく転写することができる位相シフトマスクを製造することができる。このように製造された位相シフトマスクは、ラインアンドスペースパターンやコンタクトホールの微細化に対応することができる。
実施の形態5では、表示装置の製造方法について説明する。表示装置は、上述した位相シフトマスクブランク10を用いて製造された位相シフトマスク100を用い、または上述した位相シフトマスク100の製造方法によって製造された位相シフトマスク100を用いる工程(マスク載置工程)と、表示装置上のレジスト膜に転写パターンを露光転写する工程(露光工程)とを行うことによって製造される。
以下、各工程を詳細に説明する。
載置工程では、実施の形態3で製造された位相シフトマスクを露光装置のマスクステージに載置する。ここで、位相シフトマスクは、露光装置の投影光学系を介して表示装置基板上に形成されたレジスト膜に対向するように配置される。
パターン転写工程では、位相シフトマスク100に露光光を照射して、表示装置基板上に形成されたレジスト膜に位相シフト膜パターンを転写する。露光光は、365nm~436nmの波長域から選択される複数の波長の光を含む複合光や、365nm~436nmの波長域からある波長域をフィルターなどでカットし選択された単色光である。例えば、露光光は、i線、h線およびg線を含む複合光や、i線の単色光である。露光光として複合光を用いると、露光光強度を高くしてスループットを上げることができるため、表示装置の製造コストを下げることができる。
なお、以上の実施形態においては、パターン形成用薄膜を有するフォトマスクブランクや転写用パターンを有するフォトマスクとして、位相シフトマスク膜を有する位相シフトマスクブランクや位相シフトマスク膜パターンを有する位相シフトマスクを用いる場合を説明したが、これらに限定されるものではない。例えば、パターン形成用薄膜として遮光膜を有するバイナリマスクブランクや遮光膜パターンを有するバイナリマスクにおいても、本発明を適用することが可能である。
A.位相シフトマスクブランクおよびその製造方法
実施例1の位相シフトマスクブランクを製造するため、先ず、透明基板20として、1214サイズ(1220mm×1400mm)の合成石英ガラス基板を準備した。
透明基板20の主表面上に位相シフト膜30を形成するため、まず、第1チャンバー内のスパッタリングガス圧力を1.6Paにした状態で、アルゴン(Ar)ガスと、窒素(N2)ガスと、ヘリウム(He)ガスで構成される不活性ガス(Ar:18sccm、N2:13sccm、He:50sccm)を導入した。そして、モリブデンとケイ素を含む第1スパッタターゲット(モリブデン:ケイ素=1:9)に7.6kWのスパッタパワーを印加して、反応性スパッタリングにより、透明基板20の主表面上にモリブデンとケイ素と窒素を含有するモリブデンシリサイドの窒化物を堆積させた。そして、膜厚150nmの位相シフト膜30を成膜した。
このようにして、透明基板20上に、位相シフト膜30とエッチングマスク膜40とが形成された位相シフトマスクブランク10を得た。
位相シフトマスクブランク10に対するXPSによる深さ方向の組成分析結果において、位相シフト膜30は、透明基板20と位相シフト膜30との界面の組成傾斜領域、および、位相シフト膜30とエッチングマスク膜40との界面の組成傾斜領域を除いて、深さ方向に向かって、各構成元素の含有率はほぼ一定であり、Moが8原子%、Siが40原子%、Nが48原子%、Oが4原子%であった。また、モリブデンとケイ素の原子比率は、1:5であり、1:3以上1:15以下の範囲内であった。また、軽元素である酸素、窒素の合計含有率は、52原子%であり、50原子%以上65原子%以下の範囲内であった。なお、位相シフト膜30に酸素が含有されているのは、スパッタリングガス圧力が0.8Pa以上と高く、成膜時のチャンバー内に微量の酸素が存在していたものと考えられる。
また、この位相シフト膜30の膜厚中心付近において、膜厚方向に対して垂直方向100nm(基板の面内方向)の板状の試料を採取し、暗視野平面STEM観察を行った。暗視野平面STEM(走査型透過電子顕微鏡)観察結果を図6に示す。図6に示すように柱状の粒子部分(灰白色の部分)と粒子間(灰黒色の部分)と思われる灰白色と灰黒色の斑模様が観察された。この灰白色と灰黒色の箇所について、EDX分析(エネルギー分散型X線分析)により、位相シフト膜30を構成する元素(Mo、Si、N、O)の定量分析を行った(図示せず)。その結果、灰黒色の部分と灰白色の部分では、MoよりもSiの検出量(カウント数)が高く、灰黒色の部分における位相シフト膜30の構成元素の検出量(カウント数)は、灰白色の部分における位相シフト膜30の構成元素の検出量(カウント数)に比べて低いことが確認された。特に、灰黒色の部分におけるSiの検出量(カウント数)は、600(Counts)で、灰白色の部分におけるSiの検出量(カウント数)は、400(Counts)であり、他の元素と比べて検出量(カウント数)の差が大きかった。この結果から、位相シフト膜30は、相対的に密度の高い粒子部分(灰白色の部分)と、相対的に密度の低い疎の部分(灰黒色の部分)が形成されていることが確認された。この粒子部分は、図5や図7に示される柱状の粒子に対応するものである。なお、位相シフト膜30全体の膜密度は、従来の位相シフト膜の膜密度よりも低くなっている。
上述のようにして製造された位相シフトマスクブランク10を用いて位相シフトマスク100を製造するため、先ず、位相シフトマスクブランク10のエッチングマスク膜40上に、レジスト塗布装置を用いてフォトレジスト膜を塗布した。
その後、加熱・冷却工程を経て、膜厚520nmのフォトレジスト膜を形成した。
その後、レーザー描画装置を用いてフォトレジスト膜を描画し、現像・リンス工程を経て、エッチングマスク膜上に、ホール径が1.5μmのホールパターンのレジスト膜パターンを形成した。
その後、レジスト膜パターンを剥離した。
その後、加熱・冷却工程を経て、膜厚520nmのフォトレジスト膜を形成した。
その後、レーザー描画装置を用いてフォトレジスト膜を描画し、現像・リンス工程を経て、第1のエッチングマスク膜パターン40a上に、遮光帯を形成するための第2のレジスト膜パターン60を形成した。
その後、第2のレジスト膜パターン60を剥離した。
このため、実施例1の位相シフトマスクを露光装置のマスクステージにセットし、表示装置上のレジスト膜に露光転写した場合、2.0μm未満の微細パターンを高精度に転写することができるといえる。
A.位相シフトマスクブランクおよびその製造方法
実施例2の位相シフトマスクブランクを製造するため、実施例1と同様に、透明基板として、1214サイズ(1220mm×1400mm)の合成石英ガラス基板を準備した。
実施例1と同じ方法により、合成石英ガラス基板を、インライン型のスパッタリング装置のチャンバーに搬入した。第1スパッタターゲット、第2スパッタターゲット、第3スパッタターゲット、第4スパッタターゲットとして、実施例1と同じスパッタターゲット材料を用いた。そして、第1チャンバー内のスパッタリングガス圧力を1.6Paにした状態で、アルゴン(Ar)ガスとヘリウム(He)ガスと窒素(N2)ガスで構成される不活性ガスと、反応性ガスである一酸化窒素ガス(NO)と、の混合ガス(Ar:18sccm、N2:15sccm、He:50sccm、NO:4sccm)を導入した。そして、モリブデンとケイ素を含む第1スパッタターゲット(モリブデン:ケイ素=1:9)に7.6kWのスパッタパワーを印加して、反応性スパッタリングにより、透明基板20の主表面上にモリブデンとケイ素と酸素と窒素を含有するモリブデンシリサイドの酸化窒化物を堆積させた。そして、膜厚140nmの位相シフト膜30を成膜した。
そして、透明基板に位相シフト膜を形成した後、チャンバーから取り出して、位相シフト膜の表面を、純水で洗浄を行った。純水洗浄条件は、温度30度、洗浄時間60秒とした。
その後、実施例1と同じ方法により、エッチングマスク膜40を成膜した。
このようにして、透明基板20上に、位相シフト膜30とエッチングマスク膜40とが形成された位相シフトマスクブランク10を得た。
その結果、実施例1と同様に、位相シフト膜30は、透明基板20と位相シフト膜30との界面の組成傾斜領域、および、位相シフト膜30とエッチングマスク膜40との界面の組成傾斜領域を除いて、深さ方向に向かって、各構成元素の含有率はほぼ一定であり、Moが7原子%、Siが38原子%、Nが45原子%、Oが10原子%であった。また、モリブデンとケイ素の原子比率は、1:5.4であり、1:3以上1:15以下の範囲内であった。また、軽元素である酸素、窒素、炭素の合計含有率は、55原子%であり、50原子%以上65原子%以下の範囲内であった。
次に、得られた位相シフトマスクブランク10の転写パターン形成領域の中央の位置において、80000倍の倍率で断面SEM観察を行った結果、位相シフト膜30が柱状構造を有していることが確認できた。すなわち、位相シフト膜30を構成するモリブデンシリサイド化合物の粒子が、位相シフト膜30の膜厚方向に向かって伸びる柱状の粒子構造を有していることが確認できた。そして位相シフト膜30の柱状の粒子構造は、膜厚方向の柱状の粒子が不規則に形成されており、かつ、柱状の粒子の膜厚方向の長さも不揃いな状態であることが確認できた。また、位相シフト膜30の疎の部分は、膜厚方向において連続的に形成されていることも確認できた。さらに、この断面SEM観察により得られた画像について、位相シフト膜30の厚み方向の中心部を含む領域について、縦64ピクセル×横256ピクセルの画像データとして抽出した(図8(a))。さらに、図8(a)に示す画像データについてフーリエ変換を行った(図8(b))。フーリエ変換により得られた空間周波数スペクトル分布において、空間周波数の原点の信号強度(最大信号強度)は2406000で、上記最大信号強度とは別に、39240の信号強度を有する空間周波数スペクトルが存在していることを確認した。これは、空間周波数の原点に対応した最大信号強度に対して、39240/2406000=0.016(すなわち1.6%)となり、位相シフト膜30は、1.0%以上の信号強度を有する柱状構造であった。
また、実施例1と同様に、この位相シフト膜30の膜厚中心付近において、暗視野平面STEM観察を行った。その結果、実施例1と同様に位相シフト膜30には、各柱状の粒子部分と、疎の部分が形成されていることが確認された。
上述のようにして製造された位相シフトマスクブランクを用いて、実施例1と同じ方法により、ホール径が1.5μmの位相シフト膜パターンを有する位相シフトマスクを製造した。位相シフト膜30へのウェットエッチングは、断面形状を垂直化するためかつ要求される微細なパターンを形成するために、110%のオーバーエッチング時間で行った。実施例2におけるジャストエッチング時間は、後述する比較例におけるジャストエッチング時間に対して、0.07倍となり、エッチング時間を大幅に短縮することができた。
このため、実施例2の位相シフトマスクを露光装置のマスクステージにセットし、表示装置上のレジスト膜に露光転写した場合、2.0μm未満の微細パターンを高精度に転写することができるといえる。
A.位相シフトマスクブランクおよびその製造方法
実施例3の位相シフトマスクブランクは、実施例1の位相シフトマスクブランクにおけるエッチングマスク膜を有しない位相シフトマスクブランクである。
実施例3の位相シフトマスクブランクを製造するため、実施例1と同様に、透明基板20として、1214サイズ(1220mm×1400mm)の合成石英ガラス基板を準備した。
実施例1と同じ成膜方法を用い透明基板20の主表面上に位相シフト膜30を形成するため、まず、第1チャンバー内のスパッタリングガス圧力を1.4Paにした状態で、アルゴン(Ar)ガスと、窒素(N2)ガスと、ヘリウム(He)ガスで構成される不活性ガス(Ar:18sccm、N2:13.5sccm、He:50sccm)を導入した。この成膜条件により、透明基板20上にモリブデンシリサイドの酸化窒化物からなる位相シフト膜30(膜厚:150nm)を形成した。
このようにして、透明基板20上に、位相シフト膜30が形成された位相シフトマスクブランク10を得た。
また、実施例1と同様に、この位相シフト膜30の膜厚中心付近において、暗視野平面STEM観察を行った。その結果、実施例1と同様に位相シフト膜30には、各柱状の粒子と、疎の部分が形成されていることが確認された。
上述のようにして製造された位相シフトマスクブランク10を用いて、実施例1と同じ方法により、ホール径が1.5μmの位相シフト膜パターンを有する位相シフトマスクを製造した。位相シフト膜30へのウェットエッチングは、断面形状を垂直化するためかつ要求される微細なパターンを形成するために、110%のオーバーエッチングタイムで行った。実施例3におけるジャストエッチング時間は、後述する比較例におけるジャストエッチング時間に対して、0.20倍となり、エッチング時間を大幅に短縮することができた。
このため、実施例3の位相シフトマスクを露光装置のマスクステージにセットし、表示装置上のレジスト膜に露光転写した場合、2.0μm未満の微細パターンを高精度に転写することができるといえる。
また、上述の実施例では、表示装置製造用の位相シフトマスクブランクや、表示装置製造用の位相シフトマスクの例を説明したが、これに限られない。本発明の位相シフトマスクブランクや位相シフトマスクは、半導体装置製造用、MEMS製造用、プリント基板用等にも適用できる。また、パターン形成用薄膜として遮光膜を有するバイナリマスクブランクや遮光膜パターンを有するバイナリマスクにおいても、本発明を適用することが可能である。
また、上述の実施例では、透明基板のサイズが、1214サイズ(1220mm×1400mm×13mm)の例を説明したが、これに限られない。表示装置製造用の位相シフトマスクブランクの場合、大型(Large Size)の透明基板が使用され、該透明基板のサイズは、一辺の長さが、300mm以上である。表示装置製造用の位相シフトマスクブランクに使用する透明基板のサイズは、例えば、330mm×450mm以上2280mm×3130mm以下である。
また、半導体装置製造用、MEMS製造用、プリント基板用の位相シフトマスクブランクの場合、小型(Small Size)の透明基板が使用され、該透明基板のサイズは、一辺の長さが9インチ以下である。上記用途の位相シフトマスクブランクに使用する透明基板のサイズは、例えば、63.1mm×63.1mm以上228.6mm×228.6mm以下である。通常、半導体製造用、MEMS製造用は、6025サイズ(152mm×152mm)や5009サイズ(126.6mm×126.6mm)が使用され、プリント基板用は、7012サイズ(177.4mm×177.4mm)や、9012サイズ(228.6mm×228.6mm)が使用される。
A.位相シフトマスクブランクおよびその製造方法
比較例1の位相シフトマスクブランクを製造するため、実施例1と同様に、透明基板として、1214サイズ(1220mm×1400mm)の合成石英ガラス基板を準備した。
実施例1と同じ方法により、合成石英ガラス基板を、インライン型のスパッタリング装置のチャンバーに搬入した。そして、第1チャンバー内のスパッタリングガス圧力を0.5Paにした状態で、アルゴン(Ar)ガスと窒素(N2)ガスの混合ガス(Ar:30sccm、N2:30sccm)を導入した。そして、モリブデンとケイ素を含む第1スパッタターゲット(モリブデン:ケイ素=1:9)に7.6kWのスパッタパワーを印加して、反応性スパッタリングにより、透明基板の主表面上にモリブデンとケイ素と窒素を含有するモリブデンシリサイドの窒化物を堆積させた。このようにして、膜厚144nmの位相シフト膜を成膜した。
その後、実施例1と同じ方法により、エッチングマスク膜を成膜した。
このようにして、透明基板上に、位相シフト膜とエッチングマスク膜とが形成された位相シフトマスクブランクを得た。
上述のようにして製造された位相シフトマスクブランクを用いて、実施例1と同じ方法により、位相シフトマスクを製造した。位相シフト膜へのウェットエッチングは、断面形状を垂直化するためかつ要求される微細なパターンを形成するために、110%のオーバーエッチング時間で行った。比較例1におけるジャストエッチング時間は142分であり、長い時間であった。
また、図13の断面SEM写真は、比較例の位相シフトマスクの製造工程において、第1のエッチングマスク膜パターン40aをマスクにして、モリブデンシリサイドエッチング液により位相シフト膜30をウェットエッチング(110%のオーバーエッチング)して、位相シフト膜パターン30aを形成し、レジスト膜パターンを剥離する前の断面SEM写真である。図13に示す通り、位相シフト膜30を除去した後の露出した透明基板20の表面は荒れており、目視においても白濁した状態であった。従って、透明基板20の表面荒れによる透過率の低下は著しかった。
このため、比較例1の位相シフトマスクを露光装置のマスクステージにセットし、表示装置上のレジスト膜に露光転写した場合、2.0μm未満の微細パターンを転写することはできないことが予想される。
30a…位相シフト膜パターン、40…エッチングマスク膜、
40a…第1のエッチングマスク膜パターン、
40b…第2のエッチングマスク膜パターン、50…第1のレジスト膜パターン、
60…第2のレジスト膜パターン、100…位相シフトマスク
Claims (16)
- 透明基板上にパターン形成用薄膜を有するフォトマスクブランクであって、
前記フォトマスクブランクは、前記パターン形成用薄膜をウェットエッチングにより前記透明基板上に転写パターンを有するフォトマスクを形成するための原版であって、
前記パターン形成用薄膜は、遷移金属と、ケイ素とを含有し、
前記パターン形成用薄膜は、膜厚方向に向かって伸びる柱状の粒子が前記透明基板の面内に渡って形成された柱状構造を有し、
前記パターン形成用薄膜には、相対的に密度の高い前記柱状の粒子の部分と、相対的に密度の低い疎の部分が存在していることを特徴とするフォトマスクブランク。 - 透明基板上にパターン形成用薄膜を有するフォトマスクブランクであって、
前記フォトマスクブランクは、前記パターン形成用薄膜をウェットエッチングにより前記透明基板上に転写パターンを有するフォトマスクを形成するための原版であって、
前記パターン形成用薄膜は、遷移金属と、ケイ素とを含有し、
前記パターン形成用薄膜は、膜厚方向に向かって伸びる柱状の粒子が前記透明基板の面内に渡って形成された柱状構造を有し、
前記パターン形成用薄膜には、該パターン形成用薄膜をエネルギー分散型X線分析により検出される前記パターン形成用薄膜の構成元素の検出数が相対的に高い柱状の粒子の部分と、前記構成元素の検出数が相対的に低い疎の部分が存在していることを特徴とするフォトマスクブランク。 - 前記パターン形成用薄膜に含まれる前記遷移金属と前記ケイ素の原子比率は、遷移金属:ケイ素=1:3以上1:15以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のフォトマスクブランク。
- 透明基板上にパターン形成用薄膜を有するフォトマスクブランクであって、
前記フォトマスクブランクは、前記パターン形成用薄膜をウェットエッチングにより前記透明基板上に転写パターンを有するフォトマスクを形成するための原版であって、
前記パターン形成用薄膜は、遷移金属と、ケイ素とを含有し、かつ、前記遷移金属と前記ケイ素の原子比率は、遷移金属:ケイ素=1:3以上1:15以下であって、
前記パターン形成用薄膜は、膜厚方向に向かって伸びる柱状の粒子が前記透明基板の面内に渡って形成された柱状構造を有し、
前記パターン形成用薄膜には、該パターン形成用薄膜をエネルギー分散型X線分析により検出されるケイ素の検出数が相対的に高い柱状の粒子の部分と、ケイ素の検出数が相対的に低い疎の部分が存在していることを特徴とするフォトマスクブランク。 - 前記柱状の粒子は、前記パターン形成用薄膜の膜厚方向に対して垂直な方向に不規則に形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のフォトマスクブランク。
- 前記パターン形成用薄膜の柱状構造は、
前記フォトマスクブランクの断面を80000倍の倍率で走査電子顕微鏡観察により得られた画像について、前記パターン形成用薄膜の厚み方向の中心部を含む領域について、縦64ピクセル×横256ピクセルの画像データとして抽出し、前記画像データをフーリエ変換することにより得られた空間周波数スペクトル分布の画像において、前記空間周波数スペクトル分布の画像の中心を空間周波数の原点とし、前記空間周波数スペクトル分布の画像中で最大信号強度となる前記空間周波数の原点に対応した信号強度に対して1.0%以上の信号強度を有する空間周波数スペクトルが存在している状態であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のフォトマスクブランク。 - 前記パターン形成用薄膜の柱状構造は、前記画像データ上に、前記原点を0%とし、前記画像データの横256ピクセルの方向の両端に対応する最大空間周波数を100%とする横軸を設定したとき、前記1.0%以上の信号強度を有する信号が前記空間周波数の原点から2.0%以上離れた横軸上の位置に存在している状態であることを特徴とする請求項6記載のフォトマスクブランク。
- 前記パターン形成用薄膜は、少なくとも窒素または酸素を含有していることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のフォトマスクブランク。
- 前記遷移金属は、モリブデンであることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のフォトマスクブランク。
- 前記パターン形成用薄膜は、露光光の代表波長に対して透過率が1%以上80%以下、位相差が160°以上200°以下の光学特性を備えた位相シフト膜であることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載のフォトマスクブランク。
- 前記位相シフト膜は、少なくとも窒素または酸素を含有し、該位相シフト膜に含まれる、酸素と窒素を含む軽元素成分の合計含有率は、40原子%以上70原子%以下であることを特徴とする請求項10記載のフォトマスクブランク。
- 前記パターン形成用薄膜上に、該パターン形成用薄膜に対してエッチング選択性が異なるエッチングマスク膜を備えていることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載のフォトマスクブランク。
- 前記エッチングマスク膜は、クロムを含有し、実質的にケイ素を含まない材料からなることを特徴とする請求項12記載のフォトマスクブランク。
- 請求項1から11のいずれかに記載のフォトマスクブランクを準備する工程と、
前記パターン形成用薄膜上にレジスト膜を形成し、前記レジスト膜から形成したレジスト膜パターンをマスクにして前記パターン形成用薄膜をウェットエッチングして、前記透明基板上に転写パターンを形成する工程と、を有することを特徴とするフォトマスクの製造方法。 - 請求項12若しくは13に記載のフォトマスクブランクを準備する工程と、
前記エッチングマスク膜上にレジスト膜を形成し、前記レジスト膜から形成したレジスト膜パターンをマスクにして前記エッチングマスク膜をウェットエッチングして、前記パターン形成用薄膜上にエッチングマスク膜パターンを形成する工程と、
前記エッチングマスク膜パターンをマスクにして、前記パターン形成用薄膜をウェットエッチングして、前記透明基板上に転写パターンを形成する工程と、を有することを特徴とするフォトマスクの製造方法。 - 請求項14または15に記載のフォトマスクの製造方法により得られたフォトマスクを露光装置のマスクステージに載置し、前記フォトマスク上に形成された前記転写パターンを、表示装置基板上に形成されたレジストに露光転写する露光工程を有することを特徴とする表示装置の製造方法。
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