JP7184558B2 - 位相シフトマスクブランク、位相シフトマスク及び位相シフトマスクの製造方法 - Google Patents
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Description
高精度なパターン形成が要求される位相シフトマスクでは、エッチングはガスプラズマを用いるドライエッチングが主流である。クロム系材料の遮光膜のドライエッチングは酸素含有塩素系ドライエッチング(Cl/O系)で行い、MoSi系材料の位相シフト膜のドライエッチングはフッ素系ドライエッチング(F系)で行うことが主流である。
この課題を解決するために、位相シフト膜と石英基板との間にフッ素系ドライエッチング(F系)に耐性があるエッチングストッパー膜を成膜する方法が考えられる。この方法によれば、位相シフト膜をエッチングする際、下地の石英基板に掘り込み等のダメージをほとんど与えないようにすることが可能となる。
一方、マスクブランクにはその作製過程においてブランク欠陥と呼ばれる不良が発生することがある。ブランク欠陥の種類は、位相シフト膜と透光性基板との界面に発生する凹凸欠陥、位相シフト膜の内部に発生する空洞、位相シフト膜の内部に混入する異物が一般的である。
本発明は、以上のような事情の下になされたものであり、位相シフトマスクの特性の低下を抑制しつつ、ブランク欠陥の修正を可能にする位相シフトマスクブランク、位相シフトマスク及び位相シフトマスクの製造方法を提供することを目的とする。
図1は、本発明の第1実施形態に係る位相シフトマスクブランクの構成例を示す断面概略図である。図1に示すように、第1実施形態に係る位相シフトマスクブランク10は、露光波長に対して透明な透光性基板11と、透光性基板11上に設けられた下層位相シフト膜12と、下層位相シフト膜12上に設けられた上層位相シフト膜13と、上層位相シフト膜13上に設けられた遮光膜14と、を備える。下層位相シフト膜12と上層位相シフト膜13とによって、位相シフト膜2が構成されている。
ここで、透光性基板11の材料に対する特別な制限はない。透光性基板11は、例えば石英ガラス、フッ化カルシウム(CaF2)又はアルミノシリケートガラスからなる。
上層位相シフト膜13は、ケイ素の酸化膜、ケイ素の窒化膜、もしくはケイ素の酸窒化膜、又はケイ素及び遷移金属の酸化膜、ケイ素及び遷移金属の窒化膜、もしくはケイ素及び遷移金属の酸窒化膜からなる。また、上層位相シフト膜13は単層膜、又は複数層膜もしくは傾斜膜であり、組成と膜厚を適宜選択することで露光波長に対する透過率と位相差を調整させたものである。傾斜膜とは、傾斜膜を構成する材料の組成比が、傾斜膜の膜厚方向に連続的に変化している膜のことである。遷移金属としてはモリブデン、チタン、バナジウム、コバルト、ニッケル、ジルコミウム、ニオブ、ハフニウムが好ましい。
下層位相シフト膜12は、フッ素系ドライエッチング(F系)に耐性を有する。後述の位相シフトマスク100の製造工程では、上層位相シフト膜13がエッチングされるが、その際に下層位相シフト膜12はエッチングされない(または、ほぼエッチングされない。)。その後、透光性基板11がエッチングされない(または、ほぼエッチングされない)酸素系ドライエッチング(O系)で下層位相シフト膜12が除去される。これにより、後述の位相シフト膜パターン2pが形成される。
また、遮光膜14には、反射防止層としての機能を持たせてもよい。この場合、露光波長に対する反射率を例えば45%以下、特に30%以下に抑えることが、露光の際に位相シフトマスク100(後述の図3参照)と投影露光面との間での多重反射を抑制する上で好ましい。さらに、位相シフトマスクブランク10、20や位相シフトマスク100の反射検査に用いる光の波長(例えば257nm)に対する反射率を例えば30%以下とすることが、欠陥を高精度で検出する上で好ましい。これら反射防止層としての効果を増大させるためには、遮光膜14の表面側のガス含有量を増やしてより高屈折率、低消衰係数とする方法がある。
ハードマスク膜15の組成は、ケイ素が20原子%以上60原子%以下、特に30原子%以上50原子%以下、酸素が0原子%以上80原子%以下、特に0原子%以上70原子%以下、窒素が0原子%以上80原子%以下、特に0原子%以上70原子%以下であることが好ましい。これにより、ハードマスク膜15は、酸素含有塩素系ドライエッチング(Cl/O系)と酸素系ドライエッチング(O系)に対する耐性、フッ素系ドライエッチング(F系)に対する加工性、そして各種薬液洗浄に対する耐性を実現することができる。
ハードマスク膜15の組成は、クロムが30原子%以上100原子%以下、特に50原子%以上100原子%以下、酸素が0原子%以上50原子%以下、特に0原子%以上40原子%以下、窒素が0原子%以上50原子%以下、特に0原子%以上40原子%以下、炭素が0原子%以上30原子%以下、特に0原子%以上20原子%以下であることが好ましい。これにより、ハードマスク膜15は、フッ素系ドライエッチング(F系)と非酸素含有塩素系ドライエッチング(Cl系)と酸素系ドライエッチング(O系)に対する耐性、酸素含有塩素系ドライエッチング(Cl/O系)に対する加工性、そして各種薬液洗浄に対する耐性を実現することができる。
本発明の実施形態に係る位相シフトマスクは、上述した位相シフトマスクブランク10、20が有する各々の膜を所望のパターンにパターニング又は除去することにより得られる。
次に、図4(g)に示すように、製造装置は、レジストパターン17で覆われていない遮光膜14pに対して、酸素含有塩素系ドライエッチング(Cl/O系)を行い、第1領域R1の遮光膜14pを除去する。その後、製造装置は、残存したレジストパターン17を剥離除去し、レジストパターン17が除去された位相シフトマスクブランクを洗浄する。これにより、図3に示した位相シフトマスク100が完成する。完成した位相シフトマスク100では、第2領域R2において遮光膜14pが除去されずに残る。
次に、図5(g)に示すように、製造装置は、透光性基板1上にレジスト膜を塗布し、レジスト膜に描画を施し、その後に現像処理を行い、レジストパターン17を形成する。レジストパターン17は、第1領域R1を露出し、第2領域R2を覆う形状を有する。
図5(b)の工程において、ハードマスク膜15をパターニングするフッ素系ドライエッチング(F系)の条件は、ケイ素系化合物膜をドライエッチングする際に用いられてきた公知のものとしてよい。フッ素系ガスとしては、CF4やC2F6やSF6を用いてよく、必要に応じて窒素ガスやヘリウムガスなどの不活性ガスをさらに混合したものを用いてもよい。ハードマスク膜15の下層である遮光膜14は、フッ素系ドライエッチング(F系)に対して耐性を有しているため、本工程では除去もしくはパターニングされずに残る。
また、図4(c)及び図5(c)の工程において、レジストパターン16の剥離除去は、ドライエッチングにより行うことも可能だが、一般には剥離液によりウェット剥離する。
また、図4(e)、及び図5(f)の工程において、下層位相シフト膜12をパターニングする酸素系ドライエッチング(O系)には酸素ガスを用い、必要に応じてアルゴンガスやヘリウムガスなどの不活性ガスを混合したものを用いてもよい。遮光膜14pと上層位相シフト膜13p及び透光性基板1は、酸素系ドライエッチング(O系)に対して耐性を有しているため、本工程では除去もしくはパターニングされずに残る。
なお、下層位相シフト膜12は、ルテニウムを含有する。下層位相シフト膜12がルテニウムではなく、クロム、タンタル又はモリブデンを含有する場合は、図4(e)、及び図5(f)の工程で、遮光膜に膜減りが生じたり、下層位相シフト膜の残渣が発生したりする可能性がある。
また、図4(g)及び図5(h)の工程において、遮光膜14pを除去する酸素含有塩素系ドライエッチング(Cl/O系)の条件は、クロム化合物膜の除去に用いられてきた公知のものとしてよい。酸素含有塩素系のガスとしては、塩素ガスと酸素ガスとを混合したものを用い、必要に応じて窒素ガスやヘリウムガスなどの不活性ガスをさらに混合したものを用いてもよい。上層位相シフト膜は酸素含有塩素系ドライエッチング(Cl/O系)に対して耐性を有しているため、本工程では除去もしくはパターニングされずに残る。
なお、仮に酸素含有塩素系ドライエッチング(Cl/O系)に対する耐性が悪化するクロムを下層位相シフト膜が含有する場合は、図4(g)、及び図5(h)の工程で、下層位相シフト膜にアンダーカットが発生する可能性がある。
本発明の実施形態では、図4(a)から(g)及び図5(a)から(h)の任意の段階で、製品に欠陥がないかを調べる検査(以下、欠陥検査)を行ってよい。欠陥検査は、例えば外観検査である。欠陥検査にて、位相シフト膜パターン2pの開口部2hの領域に欠陥が検出されると、この欠陥を修正する工程が加えられる場合がある。欠陥の修正方法は、欠陥の種類や大きさにより様々に存在するが、上層位相シフト膜13pの一部が所望のサイズより大きくなる黒欠陥の場合は、フッ素系ガスを供給しつつ欠陥部分に電子線を照射することで欠陥部分のみを精度良くエッチングにより除去する修正方法が行われる。ここで、図4(d)に示す工程では、開口部2hの領域を下層位相シフト膜12が覆っている。下層位相シフト膜12は、ルテニウムを含有し、フッ素系ドライエッチング(F系)に対して耐性を有する。したがって、電子線修正時に透光性基板11がダメージを受けることを下層位相シフト膜12が防止する。これにより、より精度の良い修正が可能となる。
また、位相シフトマスクブランク10、20によれば、酸素系ドライエッチング(O系)にて下層位相シフト膜12が除去可能である。したがって、下層位相シフト膜12内部に発生したブランク欠陥を除去可能であるとともに、透光性基板11上に発生したブランク欠陥を修正可能である。
また、下層位相シフト膜12は、ルテニウム単体、又はルテニウム含有量が50原子%以上100原子%未満のルテニウム化合物で構成されていてもよい。これによれば、下層位相シフト膜12として、酸素系ドライエッチング(O系)でエッチング可能で、且つフッ素系ドライエッチング(F系)に対して耐性を有する膜を実現することができる。
また、上層位相シフト膜13は、ケイ素を含有し、且つモリブデン、チタン、バナジウム、コバルト、ニッケル、ジルコニウム、ニオブ、ハフニウム、窒素、酸素及び炭素から選ばれる1種以上の原子を含有してもよい。これによれば、上層位相シフト膜13として、フッ素系ドライエッチング(F系)でエッチング可能で、且つ酸素系ドライエッチング(O系)に対して耐性を有する膜を実現することができる。
下層位相シフト膜12pは、ルテニウム単体、又はルテニウム含有量が50原子%以上100原子%未満のルテニウム化合物で構成されていてもよい。これによれば、下層位相シフト膜12pとして、酸素系ドライエッチング(O系)でエッチング可能で、且つフッ素系ドライエッチング(F系)に対して耐性を有する膜を実現することができる。
上層位相シフト膜13pは、ケイ素を含有し、且つモリブデン、チタン、バナジウム、コバルト、ニッケル、ジルコニウム、ニオブ、ハフニウム、窒素、酸素及び炭素から選ばれる1種以上の原子を含有してもよい。これによれば、上層位相シフト膜13pとして、フッ素系ドライエッチング(F系)でエッチング可能で、且つ酸素系ドライエッチング(O系)に対して耐性を有する膜を実現することができる。
石英基板の上にイオンスパッタ装置を用いて、ルテニウムからなる下層位相シフト膜を5nmの厚さで成膜した。ターゲットはルテニウムを用い、スパッタガスはキセノンを用いた。この下層位相シフト膜の組成をESCAで分析したところ、Ru=100(原子%比)であった。
この下層位相シフト膜の上にDCスパッタ装置を用いて、ケイ素と窒素からなる上層位相シフト膜を60nmの厚さで成膜した。ターゲットはケイ素を用い、スパッタガスはアルゴンと窒素を用いた。この上層位相シフト膜の組成をESCAで分析したところ、Si:N=43:57(原子%比)であった。
この下層遮光膜の上にDCスパッタ装置を用いて、クロムと酸素と窒素からなる上層遮光膜を20nmの厚さで成膜した。ターゲットはクロムを用い、スパッタガスはアルゴンと酸素と窒素を用いた。この上層遮光膜の組成をESCAで分析したところ、Cr:O:N=45:45:10(原子%比)であった。また、分光光度計にてこの上層遮光膜と下層遮光膜と上層位相シフト膜と下層位相シフト膜を合わせたArFエキシマレーザーの露光波長(193nm)での光学濃度(OD値)を測定したところ、3.0であった。
次に、この上層遮光膜上にネガ型化学増幅型電子線レジストを膜厚200nmでスピンコートし、パターンをドーズ量35μC/cm2で電子ビーム描画し、110℃で10分間熱処理し、パドル現像で90秒間現像を行い、レジストパターンを形成した。
次に、ドライエッチング装置を用いて、上層遮光膜と下層遮光膜を連続してパターニングした。エッチングガスは塩素と酸素とヘリウムを用い、ガス圧力は5mTorr、ICP電力は400W、バイアスパワーは40Wに設定した。オーバーエッチングは100%行った。次に、レジストパターンを硫酸加水洗浄によって剥膜洗浄した。
次に、ドライエッチング装置を用いて、下層位相シフト膜をパターニングした。エッチングガスは酸素とヘリウムを用い、ガス圧力は5mTorr、ICP電力は400W、バイアスパワーは40Wに設定した。オーバーエッチングは100%行った。このドライエッチングの処理後に、上層遮光膜にこのドライエッチングによるダメージは発生しなかった。
次に、ドライエッチング装置を用いて、上層遮光膜と下層遮光膜を連続して除去した。エッチングガスは塩素と酸素とヘリウムを用い、ガス圧力は10mTorr、ICP電力は500W、バイアスパワーは10Wに設定した。オーバーエッチングは200%行った。このドライエッチングの処理後に、上層位相シフト膜に対して下層位相シフト膜のラインパターンの寸法が細くなるアンダーカットは発生しなかった。
次に、欠陥検査にて検出した石英基板上の欠陥の修正を試みたところ、接触型の針を用いた修正機やガスと電子線を用いた修正機やレーザーを用いた修正機にて、ウェハ露光後のウェハ基板上のレジスト寸法に影響を与えないように修正できることを確認した。
石英基板の上にイオンスパッタ装置を用いて、ルテニウムと窒素からなる下層位相シフト膜を10nmの厚さで成膜した。ターゲットはルテニウムを用い、スパッタガスはキセノンと窒素を用いた。この下層位相シフト膜の組成をESCAで分析したところ、Ru:N=90:10(原子%比)であった。
この下層位相シフト膜の上にDCスパッタ装置を用いて、ケイ素と酸素と窒素からなる上層位相シフト膜を65nmの厚さで成膜した。ターゲットはケイ素を用い、スパッタガスはアルゴンと酸素と窒素を用いた。この上層位相シフト膜の組成をESCAで分析したところ、Si:O:N=30:50:20(原子%比)であった。
この下層遮光膜の上にDCスパッタ装置を用いて、クロムと酸素と窒素からなる上層遮光膜を20nmの厚さで成膜した。ターゲットはクロムを用い、スパッタガスはアルゴンと酸素と窒素を用いた。この上層遮光膜の組成をESCAで分析したところ、Cr:O:N=45:45:10(原子%比)であった。また、分光光度計にてこの上層遮光膜と下層遮光膜と上層位相シフト膜と下層位相シフト膜を合わせたArFエキシマレーザーの露光波長(193nm)での光学濃度(OD値)を測定したところ、3.0であった。
このようにして、石英基板の上にルテニウムと窒素からなる下層位相シフト膜、ケイ素と酸素と窒素からなる上層位相シフト膜、クロムと窒素からなる下層遮光膜、クロムと酸素と窒素からなる上層遮光膜、ケイ素と酸素からなるエッチングマスク膜が積層された位相シフトマスクブランクを得た。
次に、ドライエッチング装置を用いて、エッチングマスク膜をパターニングした。エッチングガスはCF4と酸素を用い、ガス圧力は5mTorr、ICP電力は400W、バイアスパワーは20Wに設定した。オーバーエッチングは100%行った。次に、レジストパターンを硫酸加水洗浄によって剥膜洗浄した。
次に、ドライエッチング装置を用いて、上層位相シフト膜のパターニングとエッチングマスク膜の除去を行った。エッチングガスはCF4と酸素を用い、ガス圧力は5mTorr、ICP電力は400W、バイアスパワーは20Wに設定した。オーバーエッチングは上層位相シフト膜に対して50%行った。このドライエッチングの処理後に、下層位相シフト膜にこのドライエッチングによるダメージは発生しなかった。
次に、ポジ型レジスト膜をスピンコートし、レーザー描画装置によって描画を行った。その後、現像を行い、レジストパターンを形成した。
次に、ドライエッチング装置を用いて、上層遮光膜と下層遮光膜を連続して除去した。エッチングガスは塩素と酸素とヘリウムを用い、ガス圧力は10mTorr、ICP電力は500W、バイアスパワーは10Wに設定した。オーバーエッチングは200%行った。このドライエッチングの処理後に、上層位相シフト膜に対して下層位相シフト膜のラインパターンの寸法が細くなるアンダーカットは発生しなかった。
次に、欠陥検査にて検出した石英基板上の欠陥の修正を試みたところ、接触型の針を用いた修正機やガスと電子線を用いた修正機やレーザーを用いた修正機にて、ウェハ露光後のウェハ基板上のレジスト寸法に影響を与えないように修正できることを確認した。
石英基板の上にイオンスパッタ装置を用いて、ルテニウムとホウ素からなる下層位相シフト膜を10nmの厚さで成膜した。ターゲットはルテニウムを用い、スパッタガスはキセノンとホウ素を用いた。この下層位相シフト膜の組成をESCAで分析したところ、Ru:B=70:30(原子%比)であった。
この下層位相シフト膜の上に2つのターゲットを用いたDCスパッタ装置を用いて、ケイ素とモリブデンと酸素と窒素からなる上層位相シフト膜を70nmの厚さで成膜した。ターゲットはモリブデンとケイ素を用い、スパッタガスはアルゴンと酸素と窒素を用いた。この上層位相シフト膜の組成をESCAで分析したところ、Si:Mo:O:N=20:10:25:45(原子%比)であった。
この遮光膜の上にDCスパッタ装置を用いて、クロムと窒素からなるエッチングマスク膜を10nmの厚さで成膜した。ターゲットはクロムを用い、スパッタガスはアルゴンと窒素を用いた。この遮光膜の組成をESCAで分析したところ、Cr:N=90:10(原子%比)であった。
次に、このエッチングマスク膜上にネガ型化学増幅型電子線レジストを膜厚150nmでスピンコートし、パターンをドーズ量35μC/cm2で電子ビーム描画し、110℃で10分間熱処理し、パドル現像で90秒間現像を行い、レジストパターンを形成した。
次に、ドライエッチング装置を用いて、遮光膜をパターニングした。エッチングガスは塩素とヘリウムを用い、ガス圧力は5mTorr、ICP電力は400W、バイアスパワーは40Wに設定した。オーバーエッチングは100%行った。
次に、ドライエッチング装置を用いて、下層位相シフト膜をパターニングした。エッチングガスは酸素とヘリウムを用い、ガス圧力は5mTorr、ICP電力は400W、バイアスパワーは40Wに設定した。オーバーエッチングは100%行った。
次に、ポジ型レジスト膜をスピンコートし、レーザー描画装置によって描画を行った。その後、現像を行い、レジストパターンを形成した。
次に、ドライエッチング装置を用いて、遮光膜を除去した。エッチングガスは塩素とヘリウムを用い、ガス圧力は10mTorr、ICP電力は500W、バイアスパワーは10Wに設定した。オーバーエッチングは200%行った。このドライエッチングの処理後に、上層位相シフト膜に対して下層位相シフト膜のラインパターンの寸法が細くなるアンダーカットは発生しなかった。
次に、欠陥検査にて検出した石英基板上の欠陥の修正を試みたところ、接触型の針を用いた修正機やガスと電子線を用いた修正機やレーザーを用いた修正機にて、ウェハ露光後のウェハ基板上のレジスト寸法に影響を与えないように修正できることを確認した。
石英基板の上にイオンスパッタ装置を用いて、ルテニウムとニオブからなる下層位相シフト膜を5nmの厚さで成膜した。ターゲットはルテニウム・ニオブを用い、スパッタガスはキセノンと窒素を用いた。この下層位相シフト膜の組成をESCAで分析したところ、Ru:Nb=85:15(原子%比)であった。
この下層位相シフト膜の上に2つのターゲットを用いたDCスパッタ装置を用いて、ケイ素とモリブデンと酸素と窒素からなる上層位相シフト膜を68nmの厚さで成膜した。ターゲットはモリブデンとケイ素を用い、スパッタガスはアルゴンと酸素と窒素を用いた。この上層位相シフト膜の組成をESCAで分析したところ、Si:Mo:O:N=40:8:7:45(原子%比)であった。
この下層遮光膜の上にDCスパッタ装置を用いて、クロムと酸素と窒素からなる上層遮光膜を15nmの厚さで成膜した。ターゲットはクロムを用い、スパッタガスはアルゴンと酸素と窒素を用いた。この上層遮光膜の組成をESCAで分析したところ、Cr:O:N=45:45:10(原子%比)であった。また、分光光度計にてこの上層遮光膜と下層遮光膜と上層位相シフト膜と下層位相シフト膜を合わせたArFエキシマレーザーの露光波長(193nm)での光学濃度(OD値)を測定したところ、3.0であった。
このようにして、石英基板の上にルテニウムとニオブからなる下層位相シフト膜、ケイ素とモリブデンと酸素と窒素からなる上層位相シフト膜、クロムと窒素と炭素からなる下層遮光膜、クロムと酸素と窒素からなる上層遮光膜、ケイ素と酸素からなるエッチングマスク膜が積層された位相シフトマスクブランクを得た。
次に、ドライエッチング装置を用いて、エッチングマスク膜をパターニングした。エッチングガスはCF4と酸素を用い、ガス圧力は5mTorr、ICP電力は400W、バイアスパワーは20Wに設定した。オーバーエッチングは100%行った。次に、レジストパターンを硫酸加水洗浄によって剥膜洗浄した。
次に、ドライエッチング装置を用いて、上層位相シフト膜のパターニングとエッチングマスク膜の除去を行った。エッチングガスはCF4と酸素を用い、ガス圧力は5mTorr、ICP電力は400W、バイアスパワーは20Wに設定した。オーバーエッチングは上層位相シフト膜に対して50%行った。このドライエッチングの処理後に、下層位相シフト膜にこのドライエッチングによるダメージは発生しなかった。
次に、ポジ型レジスト膜をスピンコートし、レーザー描画装置によって描画を行った。その後、現像を行い、レジストパターンを形成した。
次に、ドライエッチング装置を用いて、上層遮光膜と下層遮光膜を連続して除去した。エッチングガスは塩素と酸素とヘリウムを用い、ガス圧力は10mTorr、ICP電力は500W、バイアスパワーは10Wに設定した。オーバーエッチングは200%行った。このドライエッチングの処理後に、上層位相シフト膜に対して下層位相シフト膜のラインパターンの寸法が細くなるアンダーカットは発生しなかった。
次に、欠陥検査にて検出した石英基板上の欠陥の修正を試みたところ、接触型の針を用いた修正機やガスと電子線を用いた修正機やレーザーを用いた修正機にて、ウェハ露光後のウェハ基板上のレジスト寸法に影響を与えないように修正できることを確認した。
本発明の実施形態は、種々の変形例が可能である。例えば、実施形態の変形例では、遮光膜14、14pがルテニウムを含有してもよい。遮光膜14、14pは、ルテニウム単体、又はルテニウム含有量が50原子%以上100原子%未満のルテニウム化合物で構成されていてもよい。また、この場合、下層位相シフト膜12、12pはクロムを含有してもよい。下層位相シフト膜12、12pは、クロム単体又は、クロムと、窒素、酸素及び炭素から選ばれる1種以上とを含有する単層膜であってもよい。
2p・・・位相シフト膜パターン
10、20・・・位相シフトマスクブランク
11・・・透光性基板(露光波長に対して透明な基板)
12・・・下層位相シフト膜
12p・・・(所定形状のパターンが形成された)下層位相シフト膜
13・・・上層位相シフト膜
13p・・・(所定形状のパターンが形成された)上層位相シフト膜
14・・・遮光膜
14p・・・(所定形状のパターンが形成された)遮光膜
15・・・ハードマスク膜
16、17・・・レジストパターン
100・・・位相シフトマスク
Claims (11)
- 予め設定された波長の光を透過させる透光性基板と、
前記透光性基板上に設けられる位相シフト膜と、を備え、
前記位相シフト膜は、
前記透光性基板上に設けられる下層位相シフト膜と、
前記下層位相シフト膜上に設けられる上層位相シフト膜と、を有し、
前記上層位相シフト膜は、フッ素系ドライエッチングでエッチング可能で、且つ酸素系ドライエッチングに対して耐性を有し、
前記下層位相シフト膜は、酸素系ドライエッチングでエッチング可能で、且つフッ素系ドライエッチングに対して耐性を有し、
前記透光性基板は、酸素系ドライエッチングに対して耐性を有し、
前記上層位相シフト膜上に設けられた遮光膜、をさらに備え、
前記遮光膜は、クロムを含有し、酸素含有塩素系ドライエッチングでエッチング可能で、且つフッ素系ドライエッチング及び酸素系ドライエッチングに対して耐性を有し、
前記上層位相シフト膜は、酸素含有塩素系ドライエッチングに対して耐性を有し、
前記下層位相シフト膜は、酸素含有塩素系ドライエッチングに対して耐性を有する、位相シフトマスクブランク。 - 前記下層位相シフト膜はルテニウムを含有する、請求項1に記載の位相シフトマスクブランク。
- 前記下層位相シフト膜は、ルテニウム単体、又はルテニウム含有量が50原子%以上100原子%未満のルテニウム化合物からなる、請求項2に記載の位相シフトマスクブランク。
- 前記下層位相シフト膜の厚さは、2nm以上20nm以下である、請求項2又は3に記載の位相シフトマスクブランク。
- 前記上層位相シフト膜は、ケイ素を含有し、且つモリブデン、チタン、バナジウム、コバルト、ニッケル、ジルコニウム、ニオブ、ハフニウム、窒素、酸素及び炭素から選ばれる1種以上の原子を含有する、請求項1から4のいずれか1項に記載の位相シフトマスクブランク。
- 予め設定された波長の光を透過させる透光性基板と、
前記透光性基板上に設けられ、予め設定された形状を有する位相シフト膜パターンと、を備え、
前記位相シフト膜パターンは、
前記透光性基板上に設けられた下層位相シフト膜と、
前記下層位相シフト膜上に設けられた上層位相シフト膜と、を有し、
前記上層位相シフト膜は、フッ素系ドライエッチングでエッチング可能で、且つ酸素系ドライエッチングに対して耐性を有し、
前記下層位相シフト膜は、酸素系ドライエッチングでエッチング可能で、且つフッ素系ドライエッチングに対して耐性を有し、
前記透光性基板は、酸素系ドライエッチングに対して耐性を有し、
前記上層位相シフト膜上に設けられた遮光膜、をさらに備え、
前記遮光膜は、クロムを含有し、酸素含有塩素系ドライエッチングでエッチング可能で、且つフッ素系ドライエッチング及び酸素系ドライエッチングに対して耐性を有し、
前記上層位相シフト膜は、酸素含有塩素系ドライエッチングに対して耐性を有し、
前記下層位相シフト膜は、酸素含有塩素系ドライエッチングに対して耐性を有する、位相シフトマスク。 - 前記下層位相シフト膜はルテニウムを含有する、請求項6に記載の位相シフトマスク。
- 前記下層位相シフト膜は、ルテニウム単体、又はルテニウム含有量が50原子%以上100原子%未満のルテニウム化合物からなる、請求項7に記載の位相シフトマスク。
- 前記下層位相シフト膜の厚さは、2nm以上20nm以下である、請求項7又は8に記載の位相シフトマスク。
- 前記上層位相シフト膜は、ケイ素を含有し、且つモリブデン、チタン、バナジウム、コバルト、ニッケル、ジルコニウム、ニオブ、ハフニウム、窒素、酸素及び炭素から選ばれる1種以上の原子を含有する、請求項6から9のいずれか1項に記載の位相シフトマスク。
- 請求項1から5のいずれか1項に記載の位相シフトマスクブランクを用いて位相シフトマスクを製造する方法であって、
前記上層位相シフト膜上に設けられたクロムを含有する遮光膜に対して、酸素含有塩素系ドライエッチングを行って、前記遮光膜に予め設定された形状のパターンを形成する工程と、
前記上層位相シフト膜に対してフッ素系ドライエッチングを行って、前記上層位相シフト膜に予め設定された形状のパターンを形成する工程と、
前記下層位相シフト膜に対して酸素系ドライエッチングを行って、前記下層位相シフト膜に予め設定された形状のパターンを形成する工程とを含む、位相シフトマスクの製造方法。
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