JP7184558B2 - 位相シフトマスクブランク、位相シフトマスク及び位相シフトマスクの製造方法 - Google Patents

位相シフトマスクブランク、位相シフトマスク及び位相シフトマスクの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、位相シフトマスクブランク、位相シフトマスク及び位相シフトマスクの製造方法に関し、特に、半導体集積回路、CCD(電荷結合素子)、LCD(液体表示素子)用カラーフィルタ、及び磁気ヘッド等の製造に用いられる位相シフトマスクに関する。
近年、半導体素子の微細化に伴い、投影露光にも高い解像性が求められている。そこで、フォトマスクの分野においては、転写パターンの解像性を向上させる手法として、位相シフト法が開発された。位相シフト法の原理は、開口部に隣接する位相シフト部を通過した透過光の位相と開口部を通過した透過光の位相の差が180°程度となるように調整することによって、位相シフト部と開口部の境界部分の光強度を弱め(位相シフト効果)、その結果として転写パターンの解像性を向上させるものである。この原理を用いたフォトマスクを総じて位相シフトマスクと呼ぶ。
位相シフトマスクに使用される位相シフトマスクブランクは、石英基板等の透光性基板上に位相シフト膜と遮光膜を順次積層した構造が最も主流である。位相シフト膜は所望の位相差、透過率となるように、膜厚と組成が調整されており、位相差が175度から180度、透過率が5%から7%の場合、膜厚60nmから80nmのMoSi系材料の単層膜もしくは複数層膜で形成されるのが主流である。また、遮光膜は位相シフト膜と合わせたOD値(光学濃度)が所望の値となるように、膜厚と組成が調整されており、上述の位相シフト膜と合わせたOD値が2.8以上の場合、膜厚40nmから60nmのクロム系材料の単層膜もしくは複数層膜で形成されるのが主流である。
位相シフトマスクのパターン形成方法としては、位相シフトマスクブランクの遮光膜上にレジスト膜を形成し、このレジスト膜にレーザー光もしくは電子ビームによりパターンを描画し、これを現像してレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクとして遮光膜をエッチングして遮光膜パターンを形成し、この遮光膜パターンをマスクとして位相シフト膜をエッチングし、更にレジスト膜と遮光膜を除去して位相シフト膜のパターンを形成する方法が一般的である。
高精度なパターン形成が要求される位相シフトマスクでは、エッチングはガスプラズマを用いるドライエッチングが主流である。クロム系材料の遮光膜のドライエッチングは酸素含有塩素系ドライエッチング(Cl/O系)で行い、MoSi系材料の位相シフト膜のドライエッチングはフッ素系ドライエッチング(F系)で行うことが主流である。
MoSi系材料の位相シフト膜のドライエッチングはフッ素系ドライエッチング(F系)により行われるが、下地の石英基板もフッ素系ドライエッチングによりエッチングされる。この時、石英基板の掘り込み量は、位相シフト膜のパターンや位置に依存してばらつきが生じ、このばらつきによって位相シフトマスクによる位相差が変化してしまうという課題があった。
この課題を解決するために、位相シフト膜と石英基板との間にフッ素系ドライエッチング(F系)に耐性があるエッチングストッパー膜を成膜する方法が考えられる。この方法によれば、位相シフト膜をエッチングする際、下地の石英基板に掘り込み等のダメージをほとんど与えないようにすることが可能となる。
エッチングストッパー膜の材料として、アルミニウム、ケイ素及び酸素を含有する材料等が提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。これらの材料を、石英基板上に3nmから10nm程度成膜することで、酸素含有塩素系ドライエッチング(Cl/O系)及び、フッ素系ドライエッチング(F系)に対してエッチング耐性のあるエッチングストッパー膜とすることができる。
一方、マスクブランクにはその作製過程においてブランク欠陥と呼ばれる不良が発生することがある。ブランク欠陥の種類は、位相シフト膜と透光性基板との界面に発生する凹凸欠陥、位相シフト膜の内部に発生する空洞、位相シフト膜の内部に混入する異物が一般的である。
上述のアルミニウム、ケイ素及び酸素を含有する材料から成るエッチングストッパー膜を有する位相シフトマスクブランクは、最終的な位相シフトマスクにて、位相シフト膜パターンの開口部の石英基板上にエッチングストッパー膜が除去されずに残る。よって、ブランク欠陥が石英基板上又はエッチングストッパー膜内部に発生した場合、エッチングストッパー膜が妨げとなり、ブランク欠陥を修正工程にて除去することは原理的に不可能である。
国際公開第2016/185941号 国際公開第2017/038213号
位相シフト膜パターンの開口部の石英基板上からエッチングストッパー膜を除去して、位相シフト膜パターンの開口部において石英基板を露出させる。これにより、ブランク欠陥を修正工程にて除去することが可能となる。しかしながら、この手法では、エッチングストッパー膜を除去する際に、エッチングストッパー膜だけでなく、位相シフトマスクを構成する他の層もエッチングして、他の層にダメージを与えてしまう可能性がある。他の層にダメージを与えてしまうと、位相シフトマスクの特性が低下する可能性がある。
本発明は、以上のような事情の下になされたものであり、位相シフトマスクの特性の低下を抑制しつつ、ブランク欠陥の修正を可能にする位相シフトマスクブランク、位相シフトマスク及び位相シフトマスクの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一形態に係る位相シフトマスクブランクは、予め設定された波長の光を透過させる透光性基板と、前記透光性基板上に設けられる位相シフト膜と、を備え、前記位相シフト膜は、前記透光性基板上に設けられる下層位相シフト膜と、前記下層位相シフト膜上に設けられる上層位相シフト膜と、を有し、前記上層位相シフト膜は、フッ素系ドライエッチングでエッチング可能で、且つ酸素系ドライエッチングに対して耐性を有し、前記下層位相シフト膜は、酸素系ドライエッチングでエッチング可能で、且つフッ素系ドライエッチングに対して耐性を有し、前記透光性基板は、酸素系ドライエッチングに対して耐性を有し、前記上層位相シフト膜上に設けられた遮光膜、をさらに備え、前記遮光膜は、クロムを含有し、酸素含有塩素系ドライエッチングでエッチング可能で、且つフッ素系ドライエッチング及び酸素系ドライエッチングに対して耐性を有し、前記上層位相シフト膜は、酸素含有塩素系ドライエッチングに対して耐性を有し、前記下層位相シフト膜は、酸素含有塩素系ドライエッチングに対して耐性を有する。
本発明の一形態に係る位相シフトマスクは、予め設定された波長の光を透過させる透光性基板と、前記透光性基板上に設けられ、予め設定された形状を有する位相シフト膜パターンと、を備え、前記位相シフト膜パターンは、前記透光性基板上に設けられた下層位相シフト膜と、前記下層位相シフト膜上に設けられた上層位相シフト膜と、を有し、前記上層位相シフト膜は、フッ素系ドライエッチングでエッチング可能で、且つ酸素系ドライエッチングに対して耐性を有し、前記下層位相シフト膜は、酸素系ドライエッチングでエッチング可能で、且つフッ素系ドライエッチングに対して耐性を有し、前記透光性基板は、酸素系ドライエッチングに対して耐性を有し、前記上層位相シフト膜上に設けられた遮光膜、をさらに備え、前記遮光膜は、クロムを含有し、酸素含有塩素系ドライエッチングでエッチング可能で、且つフッ素系ドライエッチング及び酸素系ドライエッチングに対して耐性を有し、前記上層位相シフト膜は、酸素含有塩素系ドライエッチングに対して耐性を有し、前記下層位相シフト膜は、酸素含有塩素系ドライエッチングに対して耐性を有する。
本発明の一形態に係る位相シフトマスクの製造方法は、上記の位相シフトマスクブランクを用いて位相シフトマスクを製造する方法であって、前記上層位相シフト膜上に設けられたクロムを含有する遮光膜に対して、酸素含有塩素系ドライエッチングを行って、前記遮光膜に予め設定された形状のパターンを形成する工程と、前記上層位相シフト膜に対してフッ素系ドライエッチングを行って、前記上層位相シフト膜に予め設定された形状のパターンを形成する工程と、前記下層位相シフト膜に対して酸素系ドライエッチングを行って、前記下層位相シフト膜に予め設定された形状のパターンを形成する工程とを含む。
本発明によれば、位相シフトマスクの特性の低下を抑制しつつ、ブランク欠陥の修正を可能にする位相シフトマスクブランク、位相シフトマスク及び位相シフトマスクの製造方法を提供することができる。
本発明の第1実施形態に係る位相シフトマスクブランクを示す断面概略図である。 本発明の第2実施形態に係る位相シフトマスクブランクを示す断面概略図である。 本発明の実施形態に係る位相シフトマスクの構成例を示す断面概略図である。 本発明の第1実施形態に係る位相シフトマスクブランクを用いた位相シフトマスクの製造方法を順に示す断面概略図である。 本発明の第2実施形態に係る位相シフトマスクブランクを用いた位相シフトマスクの製造方法を順に示す断面概略図である。 下層位相シフト膜がクロムを含有する場合に遮光膜がダメージを受ける製造工程を示す断面概略図である。 下層位相シフト膜がタンタル又はモリブデンを含有する場合に下層位相シフト膜の残渣が発生する製造工程を示す断面概略図である。 下層位相シフト膜がクロムを含有する場合に下層位相シフト膜にアンダーカットが発生する製造工程を示す断面概略図である。
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について説明する。以下の図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、実際の寸法比やパターン数を正確には反映していない。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、材質、形状、構造等が下記のものに特定されるものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
本発明の実施形態に係る位相シフトマスクブランクは、位相シフトマスクブランクを透過する露光光の波長(以下、露光波長)に対して透明な基板(以下、透光性基板)と、透光性基板上に設けられた位相シフト膜と、位相シフト膜上に設けられた遮光膜と、を備える。露光波長は、例えば200nm以下である。位相シフト膜は、位相シフト膜を透過する露光光に対して所定量の位相変化を与える機能を有する。位相シフト膜は下層位相シフト膜と、下層位相シフト膜上に設けられた上層位相シフト膜とを有する。
下層位相シフト膜は、フッ素系ドライエッチング(F系)及び非酸素含有塩素系ドライエッチング(Cl系)に対して耐性を有し、且つ酸素系ドライエッチング(O系)でエッチング可能である。ここで、フッ素系ドライエッチング(F系)とは、フッ素系のガスを用いたドライエッチングのことである。フッ素系のガスとして、CF、C、SFや、これらに窒素ガスやヘリウムガスなどの不活性ガスをさらに混合したガスが例示される。非酸素含有塩素系ドライエッチング(Cl系)とは、酸素を含有しない塩素系のガスを用いたドライエッチングのことである。非酸素含有塩素系のガスとして、Cl、HCl、BCl、CClが例示される。酸素系ドライエッチング(O系)とは、酸素系のガスを用いたドライエッチングのことである。酸素系のガスとして、Oが例示される。上層位相シフト膜は、酸素系ドライエッチング(O系)に対して耐性を有し、且つフッ素系ドライエッチング(F系)でエッチング可能である。本実施形態において、下層位相シフト膜はルテニウム(Ru)を含有する。
本発明の実施形態に係る位相シフトマスクブランクとしては、以下に示す第1実施形態及び第2実施形態が挙げられる。
図1は、本発明の第1実施形態に係る位相シフトマスクブランクの構成例を示す断面概略図である。図1に示すように、第1実施形態に係る位相シフトマスクブランク10は、露光波長に対して透明な透光性基板11と、透光性基板11上に設けられた下層位相シフト膜12と、下層位相シフト膜12上に設けられた上層位相シフト膜13と、上層位相シフト膜13上に設けられた遮光膜14と、を備える。下層位相シフト膜12と上層位相シフト膜13とによって、位相シフト膜2が構成されている。
図2は、本発明の第2実施形態に係る位相シフトマスクブランクの構成例を示す断面概略図である。図2に示すように、第2実施形態に係る位相シフトマスクブランク20は、露光波長に対して透明な透光性基板11と、透光性基板11上に設けられた下層位相シフト膜12と、下層位相シフト膜12上に設けられた上層位相シフト膜13と、上層位相シフト膜13上に設けられた遮光膜14と、遮光膜14上に設けられたハードマスク膜15と、を備える。
ここで、透光性基板11の材料に対する特別な制限はない。透光性基板11は、例えば石英ガラス、フッ化カルシウム(CaF)又はアルミノシリケートガラスからなる。
下層位相シフト膜12は、ルテニウム単体、又はルテニウム含有量が50原子%以上100%未満のルテニウム化合物からなる。具体的には、下層位相シフト膜12は、ルテニウム単体、又はルテニウムと、窒素、ホウ素、炭素、酸素、ニオブ及びジルコニウムから選ばれる1種類以上の素材との化合物からなることが好ましい。また、下層位相シフト膜12は、フッ素系ドライエッチング(F系)及び非酸素含有塩素系ドライエッチング(Cl系)に対する耐性の低下と酸素系ドライエッチング(O系)での加工性の悪化を防ぐために、タンタル及びモリブデンを含まないこと、かつ、ルテニウム含有量が50原子%以上であることが好ましい。
また、下層位相シフト膜12は、酸素含有塩素系ドライエッチング(Cl/O系)に対する耐性の低下と酸素系ドライエッチング(O系)での加工性の悪化を防ぐためにクロムを含まないことが好ましい。また、下層位相シフト膜12の膜厚は、2nm以上20nm以下、特に十分なエッチング耐性と露光光に対する透過性を両立するために5nm以上15nm以下であることが好ましい。
上層位相シフト膜13は、ケイ素の酸化膜、ケイ素の窒化膜、もしくはケイ素の酸窒化膜、又はケイ素及び遷移金属の酸化膜、ケイ素及び遷移金属の窒化膜、もしくはケイ素及び遷移金属の酸窒化膜からなる。また、上層位相シフト膜13は単層膜、又は複数層膜もしくは傾斜膜であり、組成と膜厚を適宜選択することで露光波長に対する透過率と位相差を調整させたものである。傾斜膜とは、傾斜膜を構成する材料の組成比が、傾斜膜の膜厚方向に連続的に変化している膜のことである。遷移金属としてはモリブデン、チタン、バナジウム、コバルト、ニッケル、ジルコミウム、ニオブ、ハフニウムが好ましい。
下層位相シフト膜12と上層位相シフト膜13とを合わせた位相シフト膜2の透過率の値は、最終的な位相シフトマスク完成時に透光性基板1の透過率に対して3%以上100%以下である。位相シフト膜2の透過率は、所望のウェハパターンに応じて最適な透過率を適宜選択することが可能であるが、一例を挙げると、透過率5%以上40%以下である。なお、透過率100%の位相シフトマスクはCPL(Chromeless Phase Lithography)とも呼ばれる。また、下層位相シフト膜12と上層位相シフト膜13とを合わせた位相シフト膜2の位相差の値は、最終的な位相シフトマスク完成時に170度以上190度以下、特に175度以上180度以下であることが好ましい。
ここで、位相シフト膜2の位相差とは、位相シフト膜2を透過する露光光と、位相シフト膜2が除去された部分(例えば、後述の位相シフト膜パターン2pの開口部2h)を通る露光光との位相差のことである。位相シフト膜2の位相差は、位相シフト膜2を通る露光光の位相変化量で決まる。
下層位相シフト膜12は、フッ素系ドライエッチング(F系)に耐性を有する。後述の位相シフトマスク100の製造工程では、上層位相シフト膜13がエッチングされるが、その際に下層位相シフト膜12はエッチングされない(または、ほぼエッチングされない。)。その後、透光性基板11がエッチングされない(または、ほぼエッチングされない)酸素系ドライエッチング(O系)で下層位相シフト膜12が除去される。これにより、後述の位相シフト膜パターン2pが形成される。
上層位相シフト膜13の組成は、所望の透過率と位相差の組み合わせにより変化する。例えば、上層位相シフト膜13と下層位相シフト膜12とを合わせた位相シフト膜2において、透過率10%、位相差180度となるように、上層位相シフト膜13の組成が調整される。上層位相シフト膜13の組成が、ケイ素とケイ素の酸化膜、ケイ素とケイ素の窒化膜、ケイ素とケイ素の酸窒化膜、もしくはケイ素及び遷移金属(例えばモリブデン)の酸化膜、ケイ素及び遷移金属の窒化膜、ケイ素及び遷移金属の酸窒化膜の場合、ケイ素が20原子%以上60原子%以下、特に30原子%以上50原子%以下、モリブデンが0原子%以上20原子%以下、特に0原子%以上10原子%以下、酸素が0原子%以上20原子%以下、特に0原子%以上10原子%以下、窒素が30原子%以上80原子%以下、特に40原子%以上70原子%以下であることが好ましい。これにより、上層位相シフト膜13は、酸素系ドライエッチング(O系)に対する耐性、フッ素系ドライエッチング(F系)に対する加工性、そして各種薬液洗浄に対する耐性を実現することができる。
また、上層位相シフト膜13は、遮光膜14の除去に適用する酸素含有塩素系ドライエッチング(Cl/O系)や非酸素含有塩素系ドライエッチング(Cl系)に対しても耐性を有する。ここで、酸素含有塩素系ドライエッチング(Cl/O系)とは、酸素含有塩素系のガスを用いたドライエッチングのことである。酸素含有塩素系のガスとして、塩素ガスと酸素ガスとを混合したガスや、これらに窒素ガスやヘリウムガスなどの不活性ガスをさらに混合したガスが例示される。また、上層位相シフト膜13を複数層膜又は傾斜膜とする場合、酸素含有塩素系ドライエッチング(Cl/O系)や非酸素含有塩素系ドライエッチング(Cl系)に対して強い耐性を持つ、遷移金属の含有量が少ない(または、含有しない)ケイ素系化合物膜を最表面に形成することが好ましい。具体的には、SiOやSiONを上層位相シフト膜13の最表面に形成することが好ましい。
一方、遮光膜14の膜厚も、上層位相シフト膜13及び下層位相シフト膜12を合わせた位相シフト膜2の透過率により変化するが、露光波長に対するOD値(光学濃度)は遮光膜14と位相シフト膜2とを合わせて2.5以上、より好ましくは2.8以上になるように調整する。例えば、位相シフト膜2の透過率が10%の場合には、遮光膜14の膜厚は20nm以上65nm以下、特に30nm以上60nm以下が好ましい。
また、遮光膜14には、反射防止層としての機能を持たせてもよい。この場合、露光波長に対する反射率を例えば45%以下、特に30%以下に抑えることが、露光の際に位相シフトマスク100(後述の図3参照)と投影露光面との間での多重反射を抑制する上で好ましい。さらに、位相シフトマスクブランク10、20や位相シフトマスク100の反射検査に用いる光の波長(例えば257nm)に対する反射率を例えば30%以下とすることが、欠陥を高精度で検出する上で好ましい。これら反射防止層としての効果を増大させるためには、遮光膜14の表面側のガス含有量を増やしてより高屈折率、低消衰係数とする方法がある。
遮光膜14は、クロム単体又は、クロムと、窒素、酸素及び炭素から選ばれる1種以上とを含有する単層膜、又はこれらの複数層膜もしくは傾斜膜である。遮光膜14は、クロムが30原子%以上、100原子%以下、特に35原子%以上、65原子%以下、酸素が0原子%以上、60原子%以下、特に10原子%以上、60原子%以下、窒素が0原子%以上、50原子%以下、特に0原子%以上、30原子%以下、炭素が0原子%以上、30原子%以下、特に0原子%以上、20原子%以下であることが好ましい。これにより、遮光膜14は、フッ素系ドライエッチング(F系)と酸素系ドライエッチング(O系)に対する耐性、酸素含有塩素系ドライエッチング(Cl/O系)に対する加工性、反射防止層としての効果、そして各種薬液洗浄に対する耐性を実現することができる。
或いは、遮光膜14は、タンタル化合物からなり、窒素、ホウ素、酸素及び炭素から選ばれる1種以上を含有する単層膜、又はこれらの複数層膜もしくは傾斜膜であり、好ましくは窒化タンタルを主成分とする膜である。遮光膜14の組成は、タンタルが50原子%以上、100原子%以下、特に60原子%以上、90原子%以下、窒素が0原子%以上、70原子%以下、特に10原子%以上、60原子%以下、酸素が0原子%以上、10原子%以下、特に0原子%以上、5原子%以下、炭素が0原子%以上、20原子%以下、特に0原子%以上、10原子%以下、ホウ素が0原子%以上、20原子%以下、特に0原子%以上、10原子%以下であることが好ましい。これにより、遮光膜14は、酸素含有塩素系ドライエッチング(Cl/O系)と酸素系ドライエッチング(O系)に対する耐性、非酸素含有塩素系ドライエッチング(Cl系)に対する加工性、そして各種薬液洗浄に対する耐性を実現することができる。
また、ハードマスク膜15は、ケイ素と、酸素及び窒素から選ばれる1種以上とを含有する単層膜、又はこれらの複数層膜もしくは傾斜膜である。ハードマスク膜15の膜厚は、2nm以上30nm以下、特にハードマスク膜のドライエッチングの際にレジストが受けるダメージを低減し、レジストの薄膜化を実現するために、20nm以下が好ましい。更に、ハードマスク膜15の膜厚は、成膜時のピンホールや、エッチング時や洗浄時での膜消失を防止するために、3nm以上が好ましい。
ハードマスク膜15の組成は、ケイ素が20原子%以上60原子%以下、特に30原子%以上50原子%以下、酸素が0原子%以上80原子%以下、特に0原子%以上70原子%以下、窒素が0原子%以上80原子%以下、特に0原子%以上70原子%以下であることが好ましい。これにより、ハードマスク膜15は、酸素含有塩素系ドライエッチング(Cl/O系)と酸素系ドライエッチング(O系)に対する耐性、フッ素系ドライエッチング(F系)に対する加工性、そして各種薬液洗浄に対する耐性を実現することができる。
或いは、ハードマスク膜15は、クロム単体又は、クロムと、酸素、窒素及び炭素から選ばれる1種以上とを含有する単層膜、又はこれらの複数層膜もしくは傾斜膜である。ハードマスク膜15の膜厚は、2nm以上30nm以下、特にハードマスク膜15のドライエッチングの際にレジストが受けるダメージを低減し、レジストの薄膜化を実現するために、20nm以下が好ましい。更に、ハードマスク膜15の膜厚は、成膜時のピンホールや、エッチング時や洗浄時での膜消失を防止するために、3nm以上が好ましい。
ハードマスク膜15の組成は、クロムが30原子%以上100原子%以下、特に50原子%以上100原子%以下、酸素が0原子%以上50原子%以下、特に0原子%以上40原子%以下、窒素が0原子%以上50原子%以下、特に0原子%以上40原子%以下、炭素が0原子%以上30原子%以下、特に0原子%以上20原子%以下であることが好ましい。これにより、ハードマスク膜15は、フッ素系ドライエッチング(F系)と非酸素含有塩素系ドライエッチング(Cl系)と酸素系ドライエッチング(O系)に対する耐性、酸素含有塩素系ドライエッチング(Cl/O系)に対する加工性、そして各種薬液洗浄に対する耐性を実現することができる。
上述した下層位相シフト膜12、上層位相シフト膜13、遮光膜14、ハードマスク膜15は、いずれも公知の方法により成膜することができる。最も容易に均質性に優れた膜を得る方法としては、スパッタ成膜法が好ましく挙げられるが、本発明ではスパッタ成膜法に限定する必要はない。
ターゲットとスパッタガスは膜組成によって選択される。例えば、クロムを含有する膜の成膜方法としては、クロムを含有するターゲットを用い、アルゴンガス等の不活性ガスのみ、酸素等の反応性ガスのみ、又は不活性ガスと反応性ガスとの混合ガス中で反応性スパッタリングを行う方法を挙げることができる。スパッタガスの流量は膜特性に合わせて調整すればよく、成膜中一定としてもよいし、酸素量や窒素量を膜の厚み方向に変化させたいときは、目的とする組成に応じて変化させてもよい。また、ターゲットに対する印加電力、ターゲットと基板の距離、成膜チャンバー内の圧力を調整しても良い。また、例えば、ケイ素と金属を含有する膜の成膜では、ターゲットとして、ケイ素と金属の含有比を調整したターゲットを単独で使用してもよいし、ケイ素ターゲット、金属ターゲット、及びケイ素と金属とからなるターゲットから複数のターゲットを適宜選択しても良い。
本発明の実施形態に係る位相シフトマスクは、上述した位相シフトマスクブランク10、20が有する各々の膜を所望のパターンにパターニング又は除去することにより得られる。
次に、本発明の実施形態に係る位相シフトマスク及び位相シフトマスクの製造方法を具体的に説明する。図3は、本発明の実施形態に係る位相シフトマスクの構成例を示す断面概略図である。図3に示すように、実施形態に係る位相シフトマスク100は、透光性基板11と、透光性基板11上に設けられた位相シフト膜パターン2pと、位相シフト膜パターン2p上に設けられた遮光膜14pと、を備える。位相シフト膜パターン2pは、位相シフト膜2に予め設定された形状(以下、所定形状)のパターンが形成された膜である。位相シフト膜パターン2pは、所定形状のパターンが形成された、下層位相シフト膜12pと上層位相シフト膜13pとを有する。下層位相シフト膜12pが有するパターンと、上層位相シフト膜13pが有するパターンは、互いに同一形状(または、ほぼ同一形状)である。また、遮光膜14pは、遮光膜14に所定形状のパターンが形成された膜である。位相シフトマスク100は、第1領域R1と、第1領域R1の周囲に位置する第2領域R2とを有する。第2領域R2は、例えば位相シフトマスク100の外周領域である。遮光膜14pは、第2領域R2に配置されている。これにより、位相シフトマスク100の外周領域は露光光を遮る遮光領域となる。位相シフトマスク100は、例えば波長200nm以下の露光光が適用される。
図4(a)から(g)は、本発明の第1実施形態に係る位相シフトマスクの製造方法を順に示す断面概略図である。図4(a)から(g)は、図1に示した位相シフトマスクブランク10を用いた製造方法を順に示している。図4(a)に示すように、製造装置は、位相シフトマスクブランク10の遮光膜14上にレジスト膜を塗布し、レジスト膜に描画を施し、その後に現像処理を行い、レジストパターン16を形成する。次に、図4(b)に示すように、製造装置は、レジストパターン16によって部分的に覆われた遮光膜14に対して、酸素含有塩素系ドライエッチング(Cl/O系)を行って、遮光膜14をパターニングする。これにより、製造装置は、レジストパターン16とほぼ同じ形状のパターンを有する遮光膜14pを形成する。
次に、図4(c)に示すように、製造装置は、残存したレジストパターン16を剥離除去し、レジストパターン16が除去された位相シフトマスクブランクを洗浄する。次に、図4(d)に示すように、製造装置は、遮光膜14pによって部分的に覆われた上層位相シフト膜13に対して、フッ素系ドライエッチング(F系)を行って、上層位相シフト膜13をパターニングする。これにより、製造装置は、遮光膜14pとほぼ同じ形状のパターンを有する上層位相シフト膜13pを形成する。次に、図4(e)に示すように、製造装置は、遮光膜14p及び上層位相シフト膜13pによって部分的に覆われた下層位相シフト膜12に対して、酸素系ドライエッチング(O系)を行って、下層位相シフト膜12をパターニングする。これにより、製造装置は、上層位相シフト膜13pとほぼ同じ形状のパターンを有する下層位相シフト膜12pを形成する。
次に、図4(f)に示すように、製造装置は、透光性基板1上にレジスト膜を塗布し、レジスト膜に描画を施し、その後に現像処理を行い、レジストパターン17を形成する。レジストパターン17は、第1領域R1を露出し、第2領域R2を覆う形状を有する。
次に、図4(g)に示すように、製造装置は、レジストパターン17で覆われていない遮光膜14pに対して、酸素含有塩素系ドライエッチング(Cl/O系)を行い、第1領域R1の遮光膜14pを除去する。その後、製造装置は、残存したレジストパターン17を剥離除去し、レジストパターン17が除去された位相シフトマスクブランクを洗浄する。これにより、図3に示した位相シフトマスク100が完成する。完成した位相シフトマスク100では、第2領域R2において遮光膜14pが除去されずに残る。
図5(a)から(h)は、本発明の第2実施形態に係る位相シフトマスクの製造方法を順に示す断面概略図である。図5(a)から(h)は、図2に示した位相シフトマスクブランク20を用いた製造方法を順に示している。図5(a)に示すように、製造装置は、位相シフトマスクブランク20のハードマスク膜15上にレジスト膜を塗布し、レジスト膜に描画を施し、その後に現像処理を行い、レジストパターン16を形成する。次に、図5(b)に示すように、製造装置は、レジストパターン16によって部分的に覆われたハードマスク膜15に対して、フッ素系ドライエッチング(F系)を行って、ハードマスク膜15をパターニングする。これにより、製造装置は、レジストパターン16とほぼ同じ形状のパターンを有するハードマスク膜15pを形成する。
次に、図5(c)に示すように、製造装置は、残存したレジストパターン16を剥離除去し、レジストパターン16が除去された位相シフトマスクブランクを洗浄する。次に、図5(d)に示すように、製造装置は、ハードマスク膜15pによって部分的に覆われた遮光膜14に対して、酸素含有塩素系ドライエッチング(Cl/O系)を行って、遮光膜14をパターニングする。これにより、製造装置は、ハードマスク膜15pとほぼ同じ形状のパターンを有する遮光膜14pを形成する。次に、図5(e)に示すように、製造装置は、ハードマスク膜15p及び遮光膜14pによって部分的に覆われた上層位相シフト膜13に対して、フッ素系ドライエッチング(F系)を行って、上層位相シフト膜13をパターニングする。これにより、製造装置は、遮光膜14pとほぼ同じ形状のパターンを有する上層位相シフト膜13pを形成する。なお、上層位相シフト膜13pの形成過程で、ハードマスク膜15pはエッチングされて除去される。
これ以降の工程は、第1実施形態に係る製造方法と同じである。すなわち、図5(f)に示すように、製造装置は、遮光膜14p及び上層位相シフト膜13pによって部分的に覆われた下層位相シフト膜12に対して、酸素系ドライエッチング(O系)を行って、下層位相シフト膜12をパターニングする。これにより、製造装置は、上層位相シフト膜13pとほぼ同じ形状のパターンを有する下層位相シフト膜12pを形成する。
次に、図5(g)に示すように、製造装置は、透光性基板1上にレジスト膜を塗布し、レジスト膜に描画を施し、その後に現像処理を行い、レジストパターン17を形成する。レジストパターン17は、第1領域R1を露出し、第2領域R2を覆う形状を有する。
次に、図5(h)に示すように、製造装置は、レジストパターン17で覆われていない遮光膜14pに対して、酸素含有塩素系ドライエッチング(Cl/O系)を行い、第1領域R1の遮光膜14pを除去する。その後、製造装置は、残存したレジストパターン17を剥離除去し、レジストパターン17が除去された位相シフトマスクブランクを洗浄する。これにより、図3に示した位相シフトマスク100が完成する。完成した位相シフトマスク100では、第2領域R2において遮光膜14pが除去されずに残る。
図4(a)及び図5(a)の工程において、レジスト膜の材料としては、ポジ型レジストでもネガ型レジストでも用いることができるが、高精度パターンの形成を可能とする電子ビーム描画用の化学増幅型レジストを用いることが好ましい。レジスト膜の膜厚は、例えば50nm以上300nm以下の範囲である。特に、微細なパターン形成が求められる位相シフトマスクを作製する場合、パターン倒れを防止する上で、レジストパターン16のアスペクト比が大きくならないようにレジスト膜を薄膜化する必要がある。パターン倒れとは、レジストパターンが倒れてしまうことを意味する。パターン倒れが生じると、下層のパターン形成の障害となる。パターン倒れとして、レジストパターンが下地表面から剥がれてしまう場合や、レジストパターンがパターンの途中で折れてしまう場合などが例示される。
レジスト膜の厚さは、ハードマスク膜15との組み合わせで膜厚150nm以下とすることが好ましい。一方、レジスト膜の膜厚の下限は、用いるレジスト材料のエッチング耐性などの条件を総合的に考慮して決定され、60nm以上が好ましい。レジスト膜として電子ビーム描画用の化学増幅型のものを使用する場合、描画の際の電子ビームのエネルギー密度は10から150μC/cmの範囲である。この描画の後に、レジスト膜に加熱処理及び現像処理を施してレジストパターン16を得る。
図5(b)の工程において、ハードマスク膜15をパターニングするフッ素系ドライエッチング(F系)の条件は、ケイ素系化合物膜をドライエッチングする際に用いられてきた公知のものとしてよい。フッ素系ガスとしては、CFやCやSFを用いてよく、必要に応じて窒素ガスやヘリウムガスなどの不活性ガスをさらに混合したものを用いてもよい。ハードマスク膜15の下層である遮光膜14は、フッ素系ドライエッチング(F系)に対して耐性を有しているため、本工程では除去もしくはパターニングされずに残る。
また、図4(b)及び図5(d)の工程において、遮光膜14をパターニングする酸素含有塩素系ドライエッチング(Cl/O系)の条件は、クロム化合物膜をドライエッチングする際に用いられてきた公知のものとしてよい。酸素含有塩素系のガスとしては、塩素ガスと酸素ガスとを混合したものを用い、必要に応じて窒素ガスやヘリウムガスなどの不活性ガスをさらに混合したものを用いてもよい。遮光膜14の下層である上層位相シフト膜13は、酸素含有塩素系ドライエッチング(Cl/O系)に対して耐性を有しているため、本工程では除去もしくはパターニングされずに残る。
また、図4(c)及び図5(c)の工程において、レジストパターン16の剥離除去は、ドライエッチングにより行うことも可能だが、一般には剥離液によりウェット剥離する。
また、図5(e)の工程において、ハードマスク膜15pを除去するフッ素系ドライエッチング(F系)の条件及び、図4(d)及び図5(e)の工程において、上層位相シフト膜をパターニングするフッ素系ドライエッチング(F系)の条件は、ケイ素系化合物膜をドライエッチングする際に用いられてきた公知のものとしてよい。フッ素系ガスとしては、CFやCやSFを用いてよく、必要に応じて窒素ガスやヘリウムガスなどの不活性ガスを混合したものを用いてもよい。下層位相シフト膜12がフッ素系ドライエッチング(F系)に対して耐性を有しているため、透光性基板1は掘り込まれない。したがって、位相シフトマスク100において、基板掘り込み量のパターン依存やマスク位置依存による位相差誤差が生じない。位相シフトマスク100において、マスクの全パターン、全箇所においてより均一な位相差を実現できる。
なお、仮にフッ素系ドライエッチング(F系)に対する耐性が低いタンタル又はモリブデンを下層位相シフト膜12が含有する場合は、本工程にて下層位相シフト膜12に膜減りなどのダメージが生じたり、下層位相シフト膜12が除去されたりする可能性がある。この場合、位相シフトマスクの位相差は均一にならない。
また、図4(e)、及び図5(f)の工程において、下層位相シフト膜12をパターニングする酸素系ドライエッチング(O系)には酸素ガスを用い、必要に応じてアルゴンガスやヘリウムガスなどの不活性ガスを混合したものを用いてもよい。遮光膜14pと上層位相シフト膜13p及び透光性基板1は、酸素系ドライエッチング(O系)に対して耐性を有しているため、本工程では除去もしくはパターニングされずに残る。
なお、下層位相シフト膜12は、ルテニウムを含有する。下層位相シフト膜12がルテニウムではなく、クロム、タンタル又はモリブデンを含有する場合は、図4(e)、及び図5(f)の工程で、遮光膜に膜減りが生じたり、下層位相シフト膜の残渣が発生したりする可能性がある。
図6は、下層位相シフト膜がクロムを含有する場合に遮光膜がダメージを受ける製造工程を示す断面概略図である。仮に下層位相シフト膜がクロムを含有する場合は、酸素系ドライエッチング(O系)での下層位相シフト膜の加工が困難となる。クロムを含有する下層位相シフト膜のエッチングは、酸素含有塩素系ドライエッチング(Cl/O系)にて実施する必要がある。図6に示すように、クロムを含有する下層位相シフト膜120に酸素含有塩素系ドライエッチング(Cl/O系)を行うと、下層位相シフト膜120がエッチングされるとともに、遮光膜14pもエッチングされてダメージを受け、光学濃度(OD値)低下の問題を引き起こす。例えば、図6の点線で示すように、酸素含有塩素系ドライエッチング(Cl/O系)によって、遮光膜14pは膜減りなどのダメージを受ける可能性がある。
図7は、下層位相シフト膜がタンタル又はモリブデンを含有する場合に下層位相シフト膜の残渣が発生する製造工程を示す断面概略図である。仮に下層位相シフト膜がタンタル又はモリブデンを含有する場合は、酸素系ドライエッチング(O系)での下層位相シフト膜の加工が困難となる。タンタル又はモリブデンを含有する下層位相シフト膜のエッチングは、非酸素含有塩素系ドライエッチング(Cl系)にて実施する必要がある。ここで、タンタル又はモリブデンを含有する下層位相シフト膜の最表面は、下層位相シフト膜の成膜時に酸化されて酸化膜が形成されている。図7に示すように、タンタル又はモリブデンを含有する下層位相シフト膜121に非酸素含有塩素系ドライエッチング(Cl系)を行うと、上記の酸化膜の存在によってエッチング加工性が悪化し、残渣121rが発生する可能性がある。
また、図4(f)及び図5(g)の工程において、描画方式は、電子ビーム描画よりも精度が落ちるレーザー描画を用いてもよい。その場合、製造装置は、レジスト膜を塗布し、レーザー描画を行い、その後に現像処理を施すことで、レジストパターン17を得る。
また、図4(g)及び図5(h)の工程において、遮光膜14pを除去する酸素含有塩素系ドライエッチング(Cl/O系)の条件は、クロム化合物膜の除去に用いられてきた公知のものとしてよい。酸素含有塩素系のガスとしては、塩素ガスと酸素ガスとを混合したものを用い、必要に応じて窒素ガスやヘリウムガスなどの不活性ガスをさらに混合したものを用いてもよい。上層位相シフト膜は酸素含有塩素系ドライエッチング(Cl/O系)に対して耐性を有しているため、本工程では除去もしくはパターニングされずに残る。
なお、仮に酸素含有塩素系ドライエッチング(Cl/O系)に対する耐性が悪化するクロムを下層位相シフト膜が含有する場合は、図4(g)、及び図5(h)の工程で、下層位相シフト膜にアンダーカットが発生する可能性がある。
図8は、下層位相シフト膜がクロムを含有する場合に下層位相シフト膜にアンダーカットが発生する製造工程を示す断面概略図である。仮に下層位相シフト膜がクロムを含有する場合は、酸素含有塩素系ドライエッチング(Cl/O系)によって、下層位相シフト膜は等方性にエッチングされる。これにより、図8に示すように、クロムを含有する下層位相シフト膜122にアンダーカット122ucが発生し、上層位相シフト膜13pに対して下層位相シフト膜122のラインパターンの寸法が細くなる。下層位相シフト膜122のアンダーカット122ucは、上層位相シフト膜13pの剥がれや倒れの原因に繋がり、解像性や素子特性が悪化する可能性がある。
また、図4(g)及び図5(h)の工程の後のレジストパターン17の剥離除去は、ドライエッチングにより行うことも可能だが、一般には剥離液によりウェット剥離する。
本発明の実施形態では、図4(a)から(g)及び図5(a)から(h)の任意の段階で、製品に欠陥がないかを調べる検査(以下、欠陥検査)を行ってよい。欠陥検査は、例えば外観検査である。欠陥検査にて、位相シフト膜パターン2pの開口部2hの領域に欠陥が検出されると、この欠陥を修正する工程が加えられる場合がある。欠陥の修正方法は、欠陥の種類や大きさにより様々に存在するが、上層位相シフト膜13pの一部が所望のサイズより大きくなる黒欠陥の場合は、フッ素系ガスを供給しつつ欠陥部分に電子線を照射することで欠陥部分のみを精度良くエッチングにより除去する修正方法が行われる。ここで、図4(d)に示す工程では、開口部2hの領域を下層位相シフト膜12が覆っている。下層位相シフト膜12は、ルテニウムを含有し、フッ素系ドライエッチング(F系)に対して耐性を有する。したがって、電子線修正時に透光性基板11がダメージを受けることを下層位相シフト膜12が防止する。これにより、より精度の良い修正が可能となる。
以上説明したように、本発明の実施形態に係る位相シフトマスクブランク10、20は、予め設定された波長(以下、所定波長)の露光光を透過させる透光性基板11と、透光性基板11上に設けられる位相シフト膜2と、を備える。所定波長は、例えば200nm以下である。位相シフト膜2は、透光性基板11上に設けられる下層位相シフト膜12と、下層位相シフト膜12上に設けられる上層位相シフト膜13と、を有する。上層位相シフト膜13は、フッ素系ドライエッチング(F系)でエッチング可能で、且つ酸素系ドライエッチング(O系)に対して耐性を有する。下層位相シフト膜12は、酸素系ドライエッチング(O系)でエッチング可能で、且つフッ素系ドライエッチング(F系)に対して耐性を有する。透光性基板11は、酸素系ドライエッチング(O系)に対して耐性を有する。
ここで、「フッ素系ドライエッチング(F系)でエッチング可能で、且つ酸素系ドライエッチング(O系)に対して耐性を有する」とは、フッ素系ドライエッチング(F系)によるエッチングレートに対して、酸素系ドライエッチング(O系)によるエッチングレートは十分に小さく、酸素系ドライエッチング(O系)ではエッチングされない又はほぼエッチングされないことを意味する。同様に、「酸素系ドライエッチング(O系)でエッチング可能で、且つフッ素系ドライエッチング(F系)に対して耐性を有する」とは、酸素系ドライエッチング(F系)によるエッチングレートに対して、フッ素系ドライエッチング(F系)によるエッチングレートは十分に小さく、フッ素系ドライエッチング(F系)ではエッチングされない(または、ほぼエッチングされない)ことを意味する。本実施形態におおいて、「耐性を有する」とは、エッチングされない(または、ほぼエッチングされない)ことを意味する。
これによれば、上層位相シフト膜13をフッ素系ドライエッチング(F系)にて加工する際に、下層位相シフト膜12はエッチングされず(または、ほぼエッチングされず)、透光性基板11がフッ素系ドライエッチング(F系)に晒されることはない。また、下層位相シフト膜12の加工に用いられる酸素系ドライエッチング(O系)では透光性基板11はエッチングされない(または、ほぼエッチングされない)。したがって、上層位相シフト膜13と下層位相シフト膜12とからなる位相シフト膜2のエッチングにおいて、透光性基板11へのダメージが抑制される。透光性基板11の掘り込み量をゼロ(または、ほぼゼロ)にすることができる。
これにより、位相シフトマスクブランク10、20から製造される位相シフトマスク100は、透光性基板11の掘り込み量のばらつきによって露光光の位相差が変化してしまうことを防ぐことができる。位相シフトマスク100は、位相シフト膜パターン2pの形状や、透光性基板11面内の位置に依存した位相差変化を解消することができる。
また、位相シフトマスクブランク10、20によれば、酸素系ドライエッチング(O系)にて下層位相シフト膜12が除去可能である。したがって、下層位相シフト膜12内部に発生したブランク欠陥を除去可能であるとともに、透光性基板11上に発生したブランク欠陥を修正可能である。
また、位相シフトマスクブランク10、20によれば、下層位相シフト膜12の加工に用いられる酸素系ドライエッチング(O系)に対して、透光性基板11、上層位相シフト膜13、遮光膜14は耐性を有し、特に透光性基板11に対してのエッチング選択比(下層位相シフト膜12のエッチングレートを透光性基板11のエッチングレートで除したもの)を非常に大きくすることが可能である。したがって、下層位相シフト膜12のオーバーエッチング(膜を抜ききるエッチング時間に対して、その後に延長して行うエッチング)を十分に行うことにより、下層位相シフト膜12の抜け不良を低減することが可能であり、位相シフトマスク100の品質にも有利である。特性の低下を抑制しつつ、ブランク欠陥の修正が可能な位相シフトマスクブランクを提供することができる。
また、下層位相シフト膜12はルテニウムを含有してもよい。これによれば、下層位相シフト膜12として、酸素系ドライエッチング(O系)でエッチング可能で、且つフッ素系ドライエッチング(F系)に対して耐性を有する膜を実現することができる。
また、下層位相シフト膜12は、ルテニウム単体、又はルテニウム含有量が50原子%以上100原子%未満のルテニウム化合物で構成されていてもよい。これによれば、下層位相シフト膜12として、酸素系ドライエッチング(O系)でエッチング可能で、且つフッ素系ドライエッチング(F系)に対して耐性を有する膜を実現することができる。
また、下層位相シフト膜12の厚さは、2nm以上20nm以下であってもよい。これによれば、下層位相シフト膜12は、フッ素系ドライエッチング(F系)に対する十分なエッチング耐性と、露光光に対する透過性を両立することができる。
また、上層位相シフト膜13は、ケイ素を含有し、且つモリブデン、チタン、バナジウム、コバルト、ニッケル、ジルコニウム、ニオブ、ハフニウム、窒素、酸素及び炭素から選ばれる1種以上の原子を含有してもよい。これによれば、上層位相シフト膜13として、フッ素系ドライエッチング(F系)でエッチング可能で、且つ酸素系ドライエッチング(O系)に対して耐性を有する膜を実現することができる。
また、位相シフトマスクブランク10、20は、上層位相シフト膜13上に設けられた遮光膜14、をさらに備えてもよい。遮光膜14は、酸素含有塩素系ドライエッチング(Cl/O系)、非酸素含有塩素系ドライエッチング(Cl系)及びフッ素系ドライエッチングから選択される1種類以上のドライエッチングでエッチング可能で、且つフッ素系ドライエッチング(F系)及び酸素系ドライエッチング(O系)に対して耐性を有してもよい。上層位相シフト膜13は、酸素含有塩素系ドライエッチング(Cl/O系)及び非酸素含有塩素系ドライエッチング(Cl系)に対して耐性を有してもよい。下層位相シフト膜12は、酸素含有塩素系ドライエッチング(Cl/O系)及び非酸素含有塩素系ドライエッチング(Cl系)に対して耐性を有してもよい。
ここで、「酸素含有塩素系ドライエッチング(Cl/O系)、非酸素含有塩素系ドライエッチング(Cl系)及びフッ素系ドライエッチングから選択される1種類以上のドライエッチングでエッチング可能で、且つフッ素系ドライエッチング(F系)及び酸素系ドライエッチング(O系)に対して耐性を有する」とは、酸素含有塩素系ドライエッチング(Cl/O系)、非酸素含有塩素系ドライエッチング(Cl系)及びフッ素系ドライエッチングから選択される1種類以上のドライエッチングによるエッチングレートに対して、フッ素系ドライエッチング(F系)によるエッチングレート、又は、酸素系ドライエッチング(O系)によるエッチングレートは十分に小さく、フッ素系ドライエッチング(F系)又は酸素系ドライエッチング(O系)ではエッチングされない(または、ほぼエッチングされない)ことを意味する。
これによれば、遮光膜14は露光光を遮るため、位相シフトマスクブランク10、20に遮光領域(例えば、第2領域R2)を設けることができる。また、遮光膜14を酸素含有塩素系ドライエッチング(Cl/O系)、非酸素含有塩素系ドライエッチング(Cl系)及びフッ素系ドライエッチングから選択される1種類以上のドライエッチングにて加工する際に、上層位相シフト膜13及び下層位相シフト膜12はエッチングされない(または、ほぼエッチングされない)。また、上層位相シフト膜13をフッ素系ドライエッチング(F系)にて加工する際、及び、下層位相シフト膜12を酸素系ドライエッチング(O系)にて加工する際に、遮光膜14pはエッチングされない(または、ほぼエッチングされない)。これにより、製造装置は、遮光膜14pをマスクに上層位相シフト膜13及び下層位相シフト膜12を順次ドライエッチングすることが可能となる。
本発明の実施形態に係る位相シフトマスク100は、上記の位相シフトマスクブランク10、20から製造される。位相シフトマスク100は、所定波長(例えば、200nm以下)の露光光を透過させる透光性基板11と、透光性基板11上に設けられ、所定形状を有する位相シフト膜パターン2pと、を備える。位相シフト膜パターン2pは、透光性基板11上に設けられた下層位相シフト膜12pと、下層位相シフト膜12p上に設けられた上層位相シフト膜13pと、を有する。上層位相シフト膜13pは、フッ素系ドライエッチング(F系)でエッチング可能で、且つ酸素系ドライエッチング(O系)に対して耐性を有する。下層位相シフト膜12pは、酸素系ドライエッチング(O系)でエッチング可能で、且つフッ素系ドライエッチング(F系)に対して耐性を有する。透光性基板11は、酸素系ドライエッチング(O系)に対して耐性を有する。これによれば、特性の低下を抑制しつつ、ブランク欠陥の修正が可能な位相シフトマスクを提供することができる。
下層位相シフト膜12pはルテニウムを含有してもよい。これによれば、下層位相シフト膜12pとして、酸素系ドライエッチング(O系)でエッチング可能で、且つフッ素系ドライエッチング(F系)に対して耐性を有する膜を実現することができる。
下層位相シフト膜12pは、ルテニウム単体、又はルテニウム含有量が50原子%以上100原子%未満のルテニウム化合物で構成されていてもよい。これによれば、下層位相シフト膜12pとして、酸素系ドライエッチング(O系)でエッチング可能で、且つフッ素系ドライエッチング(F系)に対して耐性を有する膜を実現することができる。
下層位相シフト膜12pの厚さは、2nm以上20nm以下であってもよい。これによれば、下層位相シフト膜12pは、フッ素系ドライエッチング(F系)に対する十分なエッチング耐性と、露光光に対する透過性を両立することができる。
上層位相シフト膜13pは、ケイ素を含有し、且つモリブデン、チタン、バナジウム、コバルト、ニッケル、ジルコニウム、ニオブ、ハフニウム、窒素、酸素及び炭素から選ばれる1種以上の原子を含有してもよい。これによれば、上層位相シフト膜13pとして、フッ素系ドライエッチング(F系)でエッチング可能で、且つ酸素系ドライエッチング(O系)に対して耐性を有する膜を実現することができる。
位相シフトマスク100は、上層位相シフト膜13p上に設けられた遮光膜14p、をさらに備えてもよい。遮光膜14pは、酸素含有塩素系ドライエッチング(Cl/O系)、非酸素含有塩素系ドライエッチング(Cl系)及びフッ素系ドライエッチングから選択される1種類以上のドライエッチングでエッチング可能で、且つフッ素系ドライエッチング(F系)及び酸素系ドライエッチング(O系)に対して耐性を有してもよい。上層位相シフト膜13pは、酸素含有塩素系ドライエッチング(Cl/O系)及び非酸素含有塩素系ドライエッチング(Cl系)に対して耐性を有してもよい。下層位相シフト膜12は、酸素含有塩素系ドライエッチング(Cl/O系)及び非酸素含有塩素系ドライエッチング(Cl系)に対して耐性を有してもよい。
これによれば、遮光膜14pは露光光を遮るため、位相シフトマスク100に遮光領域(例えば、第2領域R2)を設けることができる。また、位相シフトマスク100を製造する際に、製造装置は、遮光膜14pをマスクに上層位相シフト膜13及び下層位相シフト膜12を順次ドライエッチングして、上層位相シフト膜13及び下層位相シフト膜12を形成することができる。
本発明の実施形態に係る位相シフトマスクの製造方法は、位相シフトマスクブランク10、20を用いて位相シフトマスク100を製造する方法であって、遮光膜14に対して、酸素含有塩素系ドライエッチング(Cl/O系)及び非酸素含有塩素系ドライエッチング(Cl系)から選択される1種類以上のドライエッチングを行って、遮光膜14に所定形状のパターンを形成する工程と、上層位相シフト膜13に対してフッ素系ドライエッチング(F系)を行って、上層位相シフト膜13に所定形状のパターンを形成する工程と、下層位相シフト膜12に対して酸素系ドライエッチング(O系)を行って、下層位相シフト膜12に所定形状のパターンを形成する工程とを含む。これによれば、特性の低下を抑制しつつ、ブランク欠陥の修正が可能な位相シフトマスクの製造方法を提供することができる。
以下、実施例により、本発明の実施形態を更に具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
(実施例1)
石英基板の上にイオンスパッタ装置を用いて、ルテニウムからなる下層位相シフト膜を5nmの厚さで成膜した。ターゲットはルテニウムを用い、スパッタガスはキセノンを用いた。この下層位相シフト膜の組成をESCAで分析したところ、Ru=100(原子%比)であった。
この下層位相シフト膜の上にDCスパッタ装置を用いて、ケイ素と窒素からなる上層位相シフト膜を60nmの厚さで成膜した。ターゲットはケイ素を用い、スパッタガスはアルゴンと窒素を用いた。この上層位相シフト膜の組成をESCAで分析したところ、Si:N=43:57(原子%比)であった。
この上層位相シフト膜の上にDCスパッタ装置を用いて、クロムと窒素からなる下層遮光膜を30nmの厚さで成膜した。ターゲットはクロムを用い、スパッタガスはアルゴンと窒素を用いた。この下層遮光膜の組成をESCAで分析したところ、Cr:N=90:10(原子%比)であった。
この下層遮光膜の上にDCスパッタ装置を用いて、クロムと酸素と窒素からなる上層遮光膜を20nmの厚さで成膜した。ターゲットはクロムを用い、スパッタガスはアルゴンと酸素と窒素を用いた。この上層遮光膜の組成をESCAで分析したところ、Cr:O:N=45:45:10(原子%比)であった。また、分光光度計にてこの上層遮光膜と下層遮光膜と上層位相シフト膜と下層位相シフト膜を合わせたArFエキシマレーザーの露光波長(193nm)での光学濃度(OD値)を測定したところ、3.0であった。
このようにして、石英基板の上にルテニウムからなる下層位相シフト膜、ケイ素と窒素からなる上層位相シフト膜、クロムと窒素からなる下層遮光膜、クロムと酸素と窒素からなる上層遮光膜が積層された位相シフトマスクブランクを得た。
次に、この上層遮光膜上にネガ型化学増幅型電子線レジストを膜厚200nmでスピンコートし、パターンをドーズ量35μC/cmで電子ビーム描画し、110℃で10分間熱処理し、パドル現像で90秒間現像を行い、レジストパターンを形成した。
次に、ドライエッチング装置を用いて、上層遮光膜と下層遮光膜を連続してパターニングした。エッチングガスは塩素と酸素とヘリウムを用い、ガス圧力は5mTorr、ICP電力は400W、バイアスパワーは40Wに設定した。オーバーエッチングは100%行った。次に、レジストパターンを硫酸加水洗浄によって剥膜洗浄した。
次に、ドライエッチング装置を用いて、上層位相シフト膜をパターニングした。エッチングガスはCFと酸素を用い、ガス圧力は5mTorr、ICP電力は400W、バイアスパワーは20Wに設定した。オーバーエッチングは50%行った。このドライエッチングの処理後に、下層位相シフト膜にこのドライエッチングによるダメージは発生しなかった。
次に、ドライエッチング装置を用いて、下層位相シフト膜をパターニングした。エッチングガスは酸素とヘリウムを用い、ガス圧力は5mTorr、ICP電力は400W、バイアスパワーは40Wに設定した。オーバーエッチングは100%行った。このドライエッチングの処理後に、上層遮光膜にこのドライエッチングによるダメージは発生しなかった。
次に、ポジ型レジスト膜をスピンコートし、レーザー描画装置によって描画を行った。その後、現像を行い、レジストパターンを形成した。
次に、ドライエッチング装置を用いて、上層遮光膜と下層遮光膜を連続して除去した。エッチングガスは塩素と酸素とヘリウムを用い、ガス圧力は10mTorr、ICP電力は500W、バイアスパワーは10Wに設定した。オーバーエッチングは200%行った。このドライエッチングの処理後に、上層位相シフト膜に対して下層位相シフト膜のラインパターンの寸法が細くなるアンダーカットは発生しなかった。
次に、レジストパターンを硫酸加水洗浄によって剥離洗浄し、位相シフトマスクを得た。この位相シフトマスクの透過率と位相差をレーザーテック社製MPM193で測定したところ、ArFエキシマレーザーの露光波長(193nm)での石英基板の透過率に対する位相シフト膜部の透過率は11%、位相差は180度であった。また、この位相シフトマスクのマスク面内の位相差変化量を測定したところ、石英基板上にフッ素系ドライエッチング(F系)で加工可能な位相シフト膜を他の膜を介さずに積層した位相シフトマスクより70%改善することを確認した。また、この位相シフトマスクを複数枚作製し、欠陥検査にて位相シフト膜パターンの開口部に欠陥が発生する確率を調査したところ、石英基板上にアルミニウムを含むエッチングストッパーを積層した位相シフトマスクより3%改善し、石英基板上にタンタルやモリブデンを含む下層位相シフト膜を積層した位相シフトマスクより5%改善することを確認した。
次に、欠陥検査にて検出した石英基板上の欠陥の修正を試みたところ、接触型の針を用いた修正機やガスと電子線を用いた修正機やレーザーを用いた修正機にて、ウェハ露光後のウェハ基板上のレジスト寸法に影響を与えないように修正できることを確認した。
(実施例2)
石英基板の上にイオンスパッタ装置を用いて、ルテニウムと窒素からなる下層位相シフト膜を10nmの厚さで成膜した。ターゲットはルテニウムを用い、スパッタガスはキセノンと窒素を用いた。この下層位相シフト膜の組成をESCAで分析したところ、Ru:N=90:10(原子%比)であった。
この下層位相シフト膜の上にDCスパッタ装置を用いて、ケイ素と酸素と窒素からなる上層位相シフト膜を65nmの厚さで成膜した。ターゲットはケイ素を用い、スパッタガスはアルゴンと酸素と窒素を用いた。この上層位相シフト膜の組成をESCAで分析したところ、Si:O:N=30:50:20(原子%比)であった。
この上層位相シフト膜の上にDCスパッタ装置を用いて、クロムと窒素からなる下層遮光膜を30nmの厚さで成膜した。ターゲットはクロムを用い、スパッタガスはアルゴンと窒素を用いた。この下層遮光膜の組成をESCAで分析したところ、Cr:N=90:10(原子%比)であった。
この下層遮光膜の上にDCスパッタ装置を用いて、クロムと酸素と窒素からなる上層遮光膜を20nmの厚さで成膜した。ターゲットはクロムを用い、スパッタガスはアルゴンと酸素と窒素を用いた。この上層遮光膜の組成をESCAで分析したところ、Cr:O:N=45:45:10(原子%比)であった。また、分光光度計にてこの上層遮光膜と下層遮光膜と上層位相シフト膜と下層位相シフト膜を合わせたArFエキシマレーザーの露光波長(193nm)での光学濃度(OD値)を測定したところ、3.0であった。
この上層遮光膜の上にDCスパッタ装置を用いて、ケイ素と酸素からなるエッチングマスク膜を10nmの厚さで成膜した。ターゲットはケイ素を用い、スパッタガスはアルゴンと酸素を用いた。このエッチングマスク膜の組成をESCAで分析したところ、Si:O=33:67(原子%比)であった。
このようにして、石英基板の上にルテニウムと窒素からなる下層位相シフト膜、ケイ素と酸素と窒素からなる上層位相シフト膜、クロムと窒素からなる下層遮光膜、クロムと酸素と窒素からなる上層遮光膜、ケイ素と酸素からなるエッチングマスク膜が積層された位相シフトマスクブランクを得た。
次に、このエッチングマスク膜上にネガ型化学増幅型電子線レジストを膜厚150nmでスピンコートし、パターンをドーズ量35μC/cmで電子ビーム描画し、110℃で10分間熱処理し、パドル現像で90秒間現像を行い、レジストパターンを形成した。
次に、ドライエッチング装置を用いて、エッチングマスク膜をパターニングした。エッチングガスはCFと酸素を用い、ガス圧力は5mTorr、ICP電力は400W、バイアスパワーは20Wに設定した。オーバーエッチングは100%行った。次に、レジストパターンを硫酸加水洗浄によって剥膜洗浄した。
次に、ドライエッチング装置を用いて、上層遮光膜と下層遮光膜を連続してパターニングした。エッチングガスは塩素と酸素とヘリウムを用い、ガス圧力は5mTorr、ICP電力は400W、バイアスパワーは40Wに設定した。オーバーエッチングは100%行った。
次に、ドライエッチング装置を用いて、上層位相シフト膜のパターニングとエッチングマスク膜の除去を行った。エッチングガスはCFと酸素を用い、ガス圧力は5mTorr、ICP電力は400W、バイアスパワーは20Wに設定した。オーバーエッチングは上層位相シフト膜に対して50%行った。このドライエッチングの処理後に、下層位相シフト膜にこのドライエッチングによるダメージは発生しなかった。
次に、ドライエッチング装置を用いて、下層位相シフト膜をパターニングした。エッチングガスは酸素とヘリウムを用い、ガス圧力は5mTorr、ICP電力は400W、バイアスパワーは40Wに設定した。オーバーエッチングは100%行った。このドライエッチングの処理後に、上層遮光膜にこのドライエッチングによるダメージは発生しなかった。
次に、ポジ型レジスト膜をスピンコートし、レーザー描画装置によって描画を行った。その後、現像を行い、レジストパターンを形成した。
次に、ドライエッチング装置を用いて、上層遮光膜と下層遮光膜を連続して除去した。エッチングガスは塩素と酸素とヘリウムを用い、ガス圧力は10mTorr、ICP電力は500W、バイアスパワーは10Wに設定した。オーバーエッチングは200%行った。このドライエッチングの処理後に、上層位相シフト膜に対して下層位相シフト膜のラインパターンの寸法が細くなるアンダーカットは発生しなかった。
次に、レジストパターンを硫酸加水洗浄によって剥離洗浄し、位相シフトマスクを得た。この位相シフトマスクの透過率と位相差をレーザーテック社製MPM193で測定したところ、ArFエキシマレーザーの露光波長(193nm)での石英基板の透過率に対する位相シフト膜部の透過率は11%、位相差は180度であった。また、この位相シフトマスクのマスク面内の位相差変化量を測定したところ、石英基板上にフッ素系ドライエッチング(F系)で加工可能な位相シフト膜を他の膜を介さずに積層した位相シフトマスクより70%改善することを確認した。また、この位相シフトマスクを複数枚作製し、欠陥検査にて位相シフト膜パターンの開口部に欠陥が発生する確率を調査したところ、石英基板上にアルミニウムを含むエッチングストッパーを積層した位相シフトマスクより3%改善し、石英基板上にタンタルやモリブデンを含む下層位相シフト膜を積層した位相シフトマスクより5%改善することを確認した。
次に、欠陥検査にて検出した石英基板上の欠陥の修正を試みたところ、接触型の針を用いた修正機やガスと電子線を用いた修正機やレーザーを用いた修正機にて、ウェハ露光後のウェハ基板上のレジスト寸法に影響を与えないように修正できることを確認した。
(実施例3)
石英基板の上にイオンスパッタ装置を用いて、ルテニウムとホウ素からなる下層位相シフト膜を10nmの厚さで成膜した。ターゲットはルテニウムを用い、スパッタガスはキセノンとホウ素を用いた。この下層位相シフト膜の組成をESCAで分析したところ、Ru:B=70:30(原子%比)であった。
この下層位相シフト膜の上に2つのターゲットを用いたDCスパッタ装置を用いて、ケイ素とモリブデンと酸素と窒素からなる上層位相シフト膜を70nmの厚さで成膜した。ターゲットはモリブデンとケイ素を用い、スパッタガスはアルゴンと酸素と窒素を用いた。この上層位相シフト膜の組成をESCAで分析したところ、Si:Mo:O:N=20:10:25:45(原子%比)であった。
この上層位相シフト膜の上にDCスパッタ装置を用いて、タンタルと窒素からなる遮光膜を30nmの厚さで成膜した。ターゲットはタンタルを用い、スパッタガスはアルゴンと窒素を用いた。この遮光膜の組成をESCAで分析したところ、タンタル:N=70:30(原子%比)であった。また、分光光度計にてこの遮光膜と上層位相シフト膜と下層位相シフト膜を合わせたArFエキシマレーザーの露光波長(193nm)での光学濃度(OD値)を測定したところ、3.0であった。
この遮光膜の上にDCスパッタ装置を用いて、クロムと窒素からなるエッチングマスク膜を10nmの厚さで成膜した。ターゲットはクロムを用い、スパッタガスはアルゴンと窒素を用いた。この遮光膜の組成をESCAで分析したところ、Cr:N=90:10(原子%比)であった。
このようにして、石英基板の上にルテニウムとホウ素からなる下層位相シフト膜、ケイ素とモリブデンと酸素と窒素からなる上層位相シフト膜、タンタルと窒素からなる遮光膜、クロムと窒素からなるエッチングマスク膜が積層された位相シフトマスクブランクを得た。
次に、このエッチングマスク膜上にネガ型化学増幅型電子線レジストを膜厚150nmでスピンコートし、パターンをドーズ量35μC/cmで電子ビーム描画し、110℃で10分間熱処理し、パドル現像で90秒間現像を行い、レジストパターンを形成した。
次に、ドライエッチング装置を用いて、エッチングマスク膜をパターニングした。エッチングガスは塩素と酸素とヘリウムを用い、ガス圧力は5mTorr、ICP電力は400W、バイアスパワーは40Wに設定した。オーバーエッチングは100%行った。次に、レジストパターンを硫酸加水洗浄によって剥膜洗浄した。
次に、ドライエッチング装置を用いて、遮光膜をパターニングした。エッチングガスは塩素とヘリウムを用い、ガス圧力は5mTorr、ICP電力は400W、バイアスパワーは40Wに設定した。オーバーエッチングは100%行った。
次に、ドライエッチング装置を用いて、上層位相シフト膜をパターニングした。エッチングガスはCFと酸素を用い、ガス圧力は5mTorr、ICP電力は400W、バイアスパワーは20Wに設定した。オーバーエッチングは50%行った。このドライエッチングの処理後に、下層位相シフト膜にこのドライエッチングによるダメージは発生しなかった。
次に、ドライエッチング装置を用いて、下層位相シフト膜をパターニングした。エッチングガスは酸素とヘリウムを用い、ガス圧力は5mTorr、ICP電力は400W、バイアスパワーは40Wに設定した。オーバーエッチングは100%行った。
次に、ドライエッチング装置を用いて、エッチングマスク膜を除去した。エッチングガスは塩素と酸素とヘリウムを用い、ガス圧力は10mTorr、ICP電力は500W、バイアスパワーは10Wに設定した。オーバーエッチングは200%行った。このドライエッチングの処理後に、上層位相シフト膜に対して下層位相シフト膜のラインパターンの寸法が細くなるアンダーカットは発生しなかった。
次に、ポジ型レジスト膜をスピンコートし、レーザー描画装置によって描画を行った。その後、現像を行い、レジストパターンを形成した。
次に、ドライエッチング装置を用いて、遮光膜を除去した。エッチングガスは塩素とヘリウムを用い、ガス圧力は10mTorr、ICP電力は500W、バイアスパワーは10Wに設定した。オーバーエッチングは200%行った。このドライエッチングの処理後に、上層位相シフト膜に対して下層位相シフト膜のラインパターンの寸法が細くなるアンダーカットは発生しなかった。
次に、レジストパターンを硫酸加水洗浄によって剥離洗浄し、位相シフトマスクを得た。この位相シフトマスクの透過率と位相差をレーザーテック社製MPM193で測定したところ、ArFエキシマレーザーの露光波長(193nm)での石英基板の透過率に対する位相シフト膜部の透過率は12%、位相差は180度であった。また、この位相シフトマスクのマスク面内の位相差変化量を測定したところ、石英基板上にフッ素系ドライエッチング(F系)で加工可能な位相シフト膜を他の膜を介さずに積層した位相シフトマスクより70%改善することを確認した。また、この位相シフトマスクを複数枚作製し、欠陥検査にて位相シフト膜パターンの開口部に欠陥が発生する確率を調査したところ、石英基板上にアルミニウムを含むエッチングストッパーを積層した位相シフトマスクより3%改善し、石英基板上にタンタルやモリブデンを含む下層位相シフト膜を積層した位相シフトマスクより5%改善することを確認した。
次に、欠陥検査にて検出した石英基板上の欠陥の修正を試みたところ、接触型の針を用いた修正機やガスと電子線を用いた修正機やレーザーを用いた修正機にて、ウェハ露光後のウェハ基板上のレジスト寸法に影響を与えないように修正できることを確認した。
(実施例4)
石英基板の上にイオンスパッタ装置を用いて、ルテニウムとニオブからなる下層位相シフト膜を5nmの厚さで成膜した。ターゲットはルテニウム・ニオブを用い、スパッタガスはキセノンと窒素を用いた。この下層位相シフト膜の組成をESCAで分析したところ、Ru:Nb=85:15(原子%比)であった。
この下層位相シフト膜の上に2つのターゲットを用いたDCスパッタ装置を用いて、ケイ素とモリブデンと酸素と窒素からなる上層位相シフト膜を68nmの厚さで成膜した。ターゲットはモリブデンとケイ素を用い、スパッタガスはアルゴンと酸素と窒素を用いた。この上層位相シフト膜の組成をESCAで分析したところ、Si:Mo:O:N=40:8:7:45(原子%比)であった。
この上層位相シフト膜の上にDCスパッタ装置を用いて、クロムと窒素と炭素からなる下層遮光膜を25nmの厚さで成膜した。ターゲットはクロムを用い、スパッタガスはアルゴンと窒素と炭素を用いた。この下層遮光膜の組成をESCAで分析したところ、Cr:N:C=85:10:5(原子%比)であった。
この下層遮光膜の上にDCスパッタ装置を用いて、クロムと酸素と窒素からなる上層遮光膜を15nmの厚さで成膜した。ターゲットはクロムを用い、スパッタガスはアルゴンと酸素と窒素を用いた。この上層遮光膜の組成をESCAで分析したところ、Cr:O:N=45:45:10(原子%比)であった。また、分光光度計にてこの上層遮光膜と下層遮光膜と上層位相シフト膜と下層位相シフト膜を合わせたArFエキシマレーザーの露光波長(193nm)での光学濃度(OD値)を測定したところ、3.0であった。
この上層遮光膜の上にDCスパッタ装置を用いて、ケイ素と酸素からなるエッチングマスク膜を10nmの厚さで成膜した。ターゲットはケイ素を用い、スパッタガスはアルゴンと酸素を用いた。このエッチングマスク膜の組成をESCAで分析したところ、Si:O=33:67(原子%比)であった。
このようにして、石英基板の上にルテニウムとニオブからなる下層位相シフト膜、ケイ素とモリブデンと酸素と窒素からなる上層位相シフト膜、クロムと窒素と炭素からなる下層遮光膜、クロムと酸素と窒素からなる上層遮光膜、ケイ素と酸素からなるエッチングマスク膜が積層された位相シフトマスクブランクを得た。
次に、このエッチングマスク膜上にネガ型化学増幅型電子線レジストを膜厚150nmでスピンコートし、パターンをドーズ量35μC/cmで電子ビーム描画し、110℃で10分間熱処理し、パドル現像で90秒間現像を行い、レジストパターンを形成した。
次に、ドライエッチング装置を用いて、エッチングマスク膜をパターニングした。エッチングガスはCFと酸素を用い、ガス圧力は5mTorr、ICP電力は400W、バイアスパワーは20Wに設定した。オーバーエッチングは100%行った。次に、レジストパターンを硫酸加水洗浄によって剥膜洗浄した。
次に、ドライエッチング装置を用いて、上層遮光膜と下層遮光膜を連続してパターニングした。エッチングガスは塩素と酸素とヘリウムを用い、ガス圧力は5mTorr、ICP電力は400W、バイアスパワーは40Wに設定した。オーバーエッチングは100%行った。
次に、ドライエッチング装置を用いて、上層位相シフト膜のパターニングとエッチングマスク膜の除去を行った。エッチングガスはCFと酸素を用い、ガス圧力は5mTorr、ICP電力は400W、バイアスパワーは20Wに設定した。オーバーエッチングは上層位相シフト膜に対して50%行った。このドライエッチングの処理後に、下層位相シフト膜にこのドライエッチングによるダメージは発生しなかった。
次に、ドライエッチング装置を用いて、下層位相シフト膜をパターニングした。エッチングガスは酸素とヘリウムを用い、ガス圧力は5mTorr、ICP電力は400W、バイアスパワーは40Wに設定した。オーバーエッチングは100%行った。このドライエッチングの処理後に、上層遮光膜にこのドライエッチングによるダメージは発生しなかった。
次に、ポジ型レジスト膜をスピンコートし、レーザー描画装置によって描画を行った。その後、現像を行い、レジストパターンを形成した。
次に、ドライエッチング装置を用いて、上層遮光膜と下層遮光膜を連続して除去した。エッチングガスは塩素と酸素とヘリウムを用い、ガス圧力は10mTorr、ICP電力は500W、バイアスパワーは10Wに設定した。オーバーエッチングは200%行った。このドライエッチングの処理後に、上層位相シフト膜に対して下層位相シフト膜のラインパターンの寸法が細くなるアンダーカットは発生しなかった。
次に、レジストパターンを硫酸加水洗浄によって剥離洗浄し、位相シフトマスクを得た。この位相シフトマスクの透過率と位相差をレーザーテック社製MPM193で測定したところ、ArFエキシマレーザーの露光波長(193nm)での石英基板の透過率に対する位相シフト膜部の透過率は4%、位相差は180度であった。また、この位相シフトマスクのマスク面内の位相差変化量を測定したところ、石英基板上にフッ素系ドライエッチング(F系)で加工可能な位相シフト膜を他の膜を介さずに積層した位相シフトマスクより70%改善することを確認した。また、この位相シフトマスクを複数枚作製し、欠陥検査にて位相シフト膜パターンの開口部に欠陥が発生する確率を調査したところ、石英基板上にアルミニウムを含むエッチングストッパーを積層した位相シフトマスクより3%改善し、石英基板上にタンタルやモリブデンを含む下層位相シフト膜を積層した位相シフトマスクより5%改善することを確認した。
次に、欠陥検査にて検出した石英基板上の欠陥の修正を試みたところ、接触型の針を用いた修正機やガスと電子線を用いた修正機やレーザーを用いた修正機にて、ウェハ露光後のウェハ基板上のレジスト寸法に影響を与えないように修正できることを確認した。
(変形例)
本発明の実施形態は、種々の変形例が可能である。例えば、実施形態の変形例では、遮光膜14、14pがルテニウムを含有してもよい。遮光膜14、14pは、ルテニウム単体、又はルテニウム含有量が50原子%以上100原子%未満のルテニウム化合物で構成されていてもよい。また、この場合、下層位相シフト膜12、12pはクロムを含有してもよい。下層位相シフト膜12、12pは、クロム単体又は、クロムと、窒素、酸素及び炭素から選ばれる1種以上とを含有する単層膜であってもよい。
このような構成であれば、遮光膜14を酸素系ドライエッチング(O系)で加工して、パターンを有する遮光膜14pを形成することが可能となる。また、遮光膜14、14pの下地である上層位相シフト膜13は酸素系ドライエッチング(O系)に対して耐性を有する。このため、遮光膜14の加工に際して、上層位相シフト膜13はエッチングされない(または、ほぼエッチングされない)。したがって、遮光膜14の加工に際して、上層位相シフト膜13へのダメージが抑制される。これにより、位相シフト膜パターン2pの開口部2hに欠陥が発生する可能性を低減することができる。なお、遮光膜14がルテニウムを含有する場合、そのパターニングにはシリコン酸化膜(SiO)などで構成されるハードマスクを用いることが好ましい。これにより、ハードマスクがダメージを受けることを抑制しつつ、遮光膜14を所定形状にパターニングすることができる。
本発明では、位相シフトマスクブランクの組成及び膜厚及び層構造と、これを用いた位相シフトマスクの製造工程及び条件を適切な範囲で選択したので、例えば、28nm以下のロジック系デバイス、又は30nm以下のメモリ系デバイス製造に対応した、微細なパターンを高精度で形成した位相シフトマスクを提供することができる。
2・・・位相シフト膜
2p・・・位相シフト膜パターン
10、20・・・位相シフトマスクブランク
11・・・透光性基板(露光波長に対して透明な基板)
12・・・下層位相シフト膜
12p・・・(所定形状のパターンが形成された)下層位相シフト膜
13・・・上層位相シフト膜
13p・・・(所定形状のパターンが形成された)上層位相シフト膜
14・・・遮光膜
14p・・・(所定形状のパターンが形成された)遮光膜
15・・・ハードマスク膜
16、17・・・レジストパターン
100・・・位相シフトマスク

Claims (11)

  1. 予め設定された波長の光を透過させる透光性基板と、
    前記透光性基板上に設けられる位相シフト膜と、を備え、
    前記位相シフト膜は、
    前記透光性基板上に設けられる下層位相シフト膜と、
    前記下層位相シフト膜上に設けられる上層位相シフト膜と、を有し、
    前記上層位相シフト膜は、フッ素系ドライエッチングでエッチング可能で、且つ酸素系ドライエッチングに対して耐性を有し、
    前記下層位相シフト膜は、酸素系ドライエッチングでエッチング可能で、且つフッ素系ドライエッチングに対して耐性を有し、
    前記透光性基板は、酸素系ドライエッチングに対して耐性を有し、
    前記上層位相シフト膜上に設けられた遮光膜、をさらに備え、
    前記遮光膜は、クロムを含有し、酸素含有塩素系ドライエッチングでエッチング可能で、且つフッ素系ドライエッチング及び酸素系ドライエッチングに対して耐性を有し、
    前記上層位相シフト膜は、酸素含有塩素系ドライエッチングに対して耐性を有し、
    前記下層位相シフト膜は、酸素含有塩素系ドライエッチングに対して耐性を有する、位相シフトマスクブランク。
  2. 前記下層位相シフト膜はルテニウムを含有する、請求項1に記載の位相シフトマスクブランク。
  3. 前記下層位相シフト膜は、ルテニウム単体、又はルテニウム含有量が50原子%以上100原子%未満のルテニウム化合物からなる、請求項2に記載の位相シフトマスクブランク。
  4. 前記下層位相シフト膜の厚さは、2nm以上20nm以下である、請求項2又は3に記載の位相シフトマスクブランク。
  5. 前記上層位相シフト膜は、ケイ素を含有し、且つモリブデン、チタン、バナジウム、コバルト、ニッケル、ジルコニウム、ニオブ、ハフニウム、窒素、酸素及び炭素から選ばれる1種以上の原子を含有する、請求項1から4のいずれか1項に記載の位相シフトマスクブランク。
  6. 予め設定された波長の光を透過させる透光性基板と、
    前記透光性基板上に設けられ、予め設定された形状を有する位相シフト膜パターンと、を備え、
    前記位相シフト膜パターンは、
    前記透光性基板上に設けられた下層位相シフト膜と、
    前記下層位相シフト膜上に設けられた上層位相シフト膜と、を有し、
    前記上層位相シフト膜は、フッ素系ドライエッチングでエッチング可能で、且つ酸素系ドライエッチングに対して耐性を有し、
    前記下層位相シフト膜は、酸素系ドライエッチングでエッチング可能で、且つフッ素系ドライエッチングに対して耐性を有し、
    前記透光性基板は、酸素系ドライエッチングに対して耐性を有し、
    前記上層位相シフト膜上に設けられた遮光膜、をさらに備え、
    前記遮光膜は、クロムを含有し、酸素含有塩素系ドライエッチングでエッチング可能で、且つフッ素系ドライエッチング及び酸素系ドライエッチングに対して耐性を有し、
    前記上層位相シフト膜は、酸素含有塩素系ドライエッチングに対して耐性を有し、
    前記下層位相シフト膜は、酸素含有塩素系ドライエッチングに対して耐性を有する、位相シフトマスク。
  7. 前記下層位相シフト膜はルテニウムを含有する、請求項に記載の位相シフトマスク。
  8. 前記下層位相シフト膜は、ルテニウム単体、又はルテニウム含有量が50原子%以上100原子%未満のルテニウム化合物からなる、請求項に記載の位相シフトマスク。
  9. 前記下層位相シフト膜の厚さは、2nm以上20nm以下である、請求項又はに記載の位相シフトマスク。
  10. 前記上層位相シフト膜は、ケイ素を含有し、且つモリブデン、チタン、バナジウム、コバルト、ニッケル、ジルコニウム、ニオブ、ハフニウム、窒素、酸素及び炭素から選ばれる1種以上の原子を含有する、請求項からのいずれか1項に記載の位相シフトマスク。
  11. 請求項1からのいずれか1項に記載の位相シフトマスクブランクを用いて位相シフトマスクを製造する方法であって、
    前記上層位相シフト膜上に設けられたクロムを含有する遮光膜に対して、酸素含有塩素系ドライエッチングを行って、前記遮光膜に予め設定された形状のパターンを形成する工程と、
    前記上層位相シフト膜に対してフッ素系ドライエッチングを行って、前記上層位相シフト膜に予め設定された形状のパターンを形成する工程と、
    前記下層位相シフト膜に対して酸素系ドライエッチングを行って、前記下層位相シフト膜に予め設定された形状のパターンを形成する工程とを含む、位相シフトマスクの製造方法。
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