JP2008232053A - 消音ダクト - Google Patents

Abstract

【課題】低・中・高周波数帯の音を消音する消音ダクトを提供する。
【解決手段】吸気システム（１）に組み込まれると共に吸気システム（１）内の音を逃す第１の孔（１１ａ、２１ａ、２２ａ）を有したパイプ（１１、２１、２２、２２Ｂ）と、音が減衰されるようにパイプ（１１、２１、２２、２２Ｂ）を覆うと共に前記パイプの周方向において第１の孔（１１ａ、２１ａ、２２ａ）と重なる第２の孔（１３ａ、２３ａ）を有したカバー（１３、２３）を含む。
【選択図】図２

Description

本発明は、例えば、内燃機関、空調機、空気圧縮機の吸気システムに適用される消音ダクトに関する。

一般の吸気ダクトは、空気を吸い込み、又は、排出する際に、音を発生する。

関連の吸気ダクトは、発生した音を消音するためにレゾネータを含む。レゾネータは、低周波用で４〜８Ｌを要し、中周波用で０．２〜０．５Ｌを要する（特許文献１参照）。

別の吸気ダクトは、内部に貼り付けられた不織布を有する。この不織布はダクトの音の共鳴防止に効果を有する（特許文献２参照）。

別の吸気ダクトは、外周に巻き付けられた吸音材を有する。この吸音材は、中・高周波数帯の音の消音に効果を有する（特許文献３参照）。

別の吸気ダクトは拡張室を有する。この拡張室は、高周波数帯の音の消音に効果を有する（特許文献４参照）。

特開平６−１５９１７４号公報 特開２００３−３４３３７３号公報 実開平５−３８３５２号公報 特開平９−１４４９８６号公報

しかし、何れの吸気ダクトも、一定の周波数帯の音に消音効果を有し、全ての周波数帯の音に消音効果を有する吸気ダクトは開発されていない。

そこで、本発明の課題は、低・中・高周波数帯の音を消音する消音ダクトを提供することである。

以下、符号を参照して発明の特徴を説明する。なお、符号は参照のためであり、発明の特徴は実施の形態に限定されない。

本発明の特徴は、次の要素を含む消音ダクト（５、５Ａ，５Ｂ）である。同ダクトは、吸気システム（１）に組み込まれると共に吸気システム（１）内の音を逃す第１の孔（１１ａ、２１ａ、２２ａ）を有したパイプ（１１、２１、２２、２２Ｂ）を含む。同ダクトは、音が減衰されるようにパイプ（１１、２１、２２、２２Ｂ）を覆うと共に前記パイプの周方向において第１の孔（１１ａ、２１ａ、２２ａ）と重なる第２の孔（１３ａ、２３ａ）を有したカバー（１３、２３）を含む。

カバー（１３、２３）は第２の孔（１３ａ、２３ａ）から音を案内するガイド（１５）を含む。

第２の孔はスリット（１３ａ、２２ａ）を含む。また、第１の孔はスリット（２１ａ）を含む。

以上の発明の特徴によれば、吸気システム内の音は、パイプの第１の孔を通過して、カバー内に入る。カバーは中・高周波数帯の音を減衰する。さらに、カバーは第２の孔から低周波数帯の音を放射する。よって、吸気システム内の音は、低・中・高周波数帯において減衰される。

ガイドは、第２の孔への経路を複雑にし、水の浸入を困難にする。

第１及び第２の孔をスリットにすることにより、音の放射方向に指向性を与える。

以下、図面を参照して実施の形態を詳細に説明する。

第１の実施形態
図１を参照して、吸気システム１は、空気を吸い込むためのインテークダクト２と、インテークダクト２と接続したエアクリーナ３と、エアクリーナ３と接続すると共にエンジン側に配置されたエアフローチューブ４と、インテークダクト２に組み込まれた消音ダクト５を含む。

図２を参照して、消音ダクト５は、インテークダクト２と接続したパイプとしてのインナーパイプ１１と、インナーパイプ１１を囲む吸音材１２と、吸音材１２を囲むカバーとしてのアウターパイプ１３を含む。

図３を参照して、円筒状のインナーパイプ１１は、円筒軸方向（以下、軸方向と称する。）の両端部に一対のフランジ１１ｂを有する。インナーパイプ１１は、フランジ１１ｂの間に軸方向に配列された第１の孔としての円孔１１ａを有する。この円孔１１ａはインテークダクト２内の音を逃がし、インテークダクト２内の共鳴を防止する。

なお、図４を参照して、変形の態様に係わるインナーパイプ１１Ａ、１１Ｂを説明する。インナーパイプ１１Ａは、矩形の４つの頂点に配置される円孔１１ａの間に円孔１１ｃをさらに有する（図４（Ｂ）参照）。インナーパイプ１１Ｂは、軸方向に２列に配置されたスリット１１ｄを有する（図４（Ｃ）参照）。スリット１１ｄは、周方向に所定の間隔で配置される。

図２を参照して、円筒形の吸音材１２は、インナーパイプ１１のフランジ１１ｂの間に保持され、円孔１１ａを覆う。吸音材１２は、例えば、連続気泡を有するポリウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、メラニン樹脂フォーム、不織布、繊維体などを用いる。

円筒形のアウターパイプ１３は、インナーパイプ１１のフランジ１１ｂの間に配置され、吸音材１２を覆う。アウターパイプ１３は、軸方向に延びる第２の孔としてのスリット１３ａを有する（図２（Ｂ）参照）。スリット１３ａは、円孔１１ａと同一直線上に位置決めされる。すなわち、スリット１３ａは、周方向の位置（角度位置）ついて円孔１１ａと一致する。よって、スリット１３ａは、円孔１１ａと重なり合い、向き合う。なお、アウターパイプは薄い膜でもよい。

図２（Ｂ）を参照して、アウターパイプ１３は、スリット１３ａから外側へ延びるガイド１５を有する。ガイド１５は、スリット１３ａから径方向外方へ延びるガイドパイプ１５ａを含む。ガイド１５は、ガイドパイプ１５ａから横方向へ延びる第１のガイドプレート１５ｂを含む。ガイド１５は、第１のガイドプレート１５ｂからアウターパイプ１３へ向かって延びる第２のガイドプレート１５ｃを含む。ガイド１５は、第２のガイドプレート１５ｂから斜めに延びる第３のガイドプレート１５ｄを含む。

なお、図２（Ｃ）を参照して、ガイド１５は、ガイドパイプ１５ａと第１のガイドプレート１５ｂとからなるガイド１５Ａによって置き換えてもよい。

次に、吸気システム１の使用方法を説明する。

図１を参照して、例えば、エンジンが始動し、吸気バルブは空気を吸入する。空気はインテークダクト２内に流れ、エアクリーナ３を通過し、エアフローチューブ４からエンジン側へ吸気される。空気は吸気バルブ内で脈動を生じ、吸気音を発生させ、その吸気音が上記経路と逆の経路で伝達し、吸気口から放射する。

このとき、図２を参照して、インナーパイプ１１は円孔１１ａから吸気音をアウターパイプ１３内へ逃がす。吸音材１２は逃げた吸気音の内１０００Ｈｚ以上の高周波数帯の音を吸収する。アウターパイプ１３は、チャンバー効果により、高周波数帯の吸気音を減衰させる。アウターパイプ１３のスリット１３ａは５０Ｈｚ〜１０００Ｈｚの中周波数帯の吸気音を外部へ逃がし、消音ダクト５内の気柱共鳴を防止し、中周波数帯の吸気音の低減を図る。ここで、スリット１３ａは、円孔１１ａに対して周方向の位置（角度位置）について一致する。この構造は、１５０Ｈｚ以下の低周波数帯の吸気音がスリット１３ａから逃がすことを許容する。

逃げた吸気音は、ガイドパイプ１５ａによってアウターパイプ１３の外方へ導かれ、第１のガイドプレート１５ｂに当たる。第１のガイドプレート１５ｂはガイドパイプ１５ａに対して直角に吸気音の進行方向を曲げ、吸気音は第２のガイドプレート１５ｃに当たる。第２のガイドプレート１５ｃは、第１のガイドプレート１５ｂに対して直角に吸気音の進行方向を曲げる。吸気音はアウターパイプ１３に当たり、第３のガイドプレート１５ｄに沿って進行し、外部へ放射する。

また、水が消音ダクト５の中へ浸入しようとした場合、ガイドパイプ１５ａはスリット１３ａの入口を囲み、第１乃至第３のガイドプレート１５ｂ、１５ｃ、１５ｄは水の浸入経路を複雑にするので、水の浸入を困難にする。

以上の消音ダクト５によれば、２０Ｈｚ〜２０００Ｈｚの低・中・高周波数帯の吸気音を効率的に減衰させる。

ガイド１５は、アウターパイプ１３のスリット１３ａへの経路を複雑にし、水の浸入を困難にする。

スリット１３ａは、吸気音の放射方向に指向性を与える。

次に、図５を参照して、消音ダクト１の実験結果を説明する。

図５（Ａ）に示すグラフは、実施例と比較例１とを比較した結果である。実施例は、図１に示すようにインテークダクト２に配置された本実施形態の消音ダクト５である。比較例１は消音器を有しないダクトである。横軸は吸気音の周波数を示し、縦軸は周波数における吸気音の減衰量を示す。実施例は、比較例１と比較して、２０Ｈｚ〜１０００Ｈｚの低・中周波数帯の略全域で最大２０ｄＢ程度の大きな減衰量を示す。

図５（Ｂ）に示すグラフは、実施例と比較例２とを比較した結果である。比較例２は、本実施形態に類似の消音ダクトであり、アウターパイプに孔を有しない構造を有する。実施例及び比較例２は、６００Ｈｚ以上で同程度の吸気音の減衰量を示す。一方、６００Ｈｚ以下では、実施例は、比較例２よりも吸気音の大きな減衰量を示す。特に、１００Ｈｚ以下の低周波数帯において、実施例は、８０Ｈｚ前後で比較例２よりも１０ｄＢ程度大きな吸気音の減衰量を示す。

以上から、実施例は、２０Ｈｚ〜２０００Ｈｚの低・中周波数帯において吸気音を減衰することが確認された。なお、実施例は、高周波数帯においても吸気音の良好な減衰を示す。

第２の実施形態
図６を参照して、消音ダクト５Ａは、パイプとしてのインナーパイプ２１と、インナーパイプ２１の上に配置されたパイプとしての吸音材２２と、吸音材２２の周囲に配置されたカバーとしてのアウターパイプ２３とを含む。

インナーパイプ２１は、軸方向の両端部に一対のフランジ２１ｂを含む。インナーパイプ２１は、フランジ２１ｂの間に軸方向へ延びるスリット２１ａを有する（図６（Ｂ）参照）。インナーパイプ２１は、スリット２１ａから径方向外方へ延びるガイド２１ｃを含む。

インナーパイプ２１は、スリット２１ａと反対側に配置された円孔２１ｄを有する。円孔２１ｄは軸方向に配列される。

図７を参照して、吸音材２２はフランジ２１ｂの間に保持される。吸音材２２は、インナーパイプ２１のスリット２１ａと一致する長孔２２ａを有する。この長孔２２ａに、インナーパイプ２１のガイド２１ｃが挿入される。

アウターパイプ２３は吸音材２２の周面を覆う。アウターパイプ２３は、軸方向に配列された逃し孔２３ａを有する。この逃し孔２３ａはインナーパイプ２１のスリット２１ａ及び吸音材２２の長孔２２ａと同一直線上に位置決めされる。すなわち、逃し孔２３ａは、周方向の位置（角度位置）についてスリット２１ａ及び長孔２２ａと一致する。よって、逃し孔２３ａは、スリット２１ａ及び長孔２２ａと重なり合い、向き合う。

以上の消音ダクト５Ａは、第１の実施形態と同様に低・中・高周波数帯の吸気音の消音する。

また、スリット２１ａは、吸気音の放射方向に指向性を与える。

吸音材２２の長孔２２ａは、ダストが外部からスリット２１ａを通ってインナーパイプ２１の外へ出ることを許容し、吸音材２２の目詰まりを防止する。

なお、図６（Ｃ）を参照して、消音ダクト５Ａの代わりに、変形の形態に係わる消音ダクト５Ｂを用いてもよい。消音ダクト５Ｂは、成型体の吸音材２２Ｂを用いる。この吸音材２２Ｂを用いることにより、インナーパイプを省略し、装置を簡略な構造にする。

また、本発明は、実施の形態に限定されず、実施の形態の修正及び変更は発明の趣旨を逸脱しない範囲で可能である。第１及び第２実施の形態に係わる消音ダクト５、５Ａは、吸気システムのみならず排気システムに適用してもよい。また、消音ダクト５、５Ａは、内燃機関のみならず、例えば、空調機、空気圧縮機の音を発生する装置に適用してもよい。

本発明の第1の実施形態に係わる消音ダクトを適用した吸気システムの概要図である。 （Ａ）は図１に示す消音ダクトの斜視図であり、（Ｂ）は同消音ダクトの横断面図であり、（Ｃ）は変形した消音ダクトのガイドの拡大図である。 （Ａ）は消音ダクトの分解斜視図であり、（Ｂ）はアウターパイプの拡大斜視図であり、（Ｃ）は消音ダクトの横断面図である。 （Ａ）は消音ダクトの概略平面図であり、（Ｂ）及び（Ｃ）は変形したインナーパイプを備えた消音ダクトの概略平面図である。 （Ａ）は、実施例と比較例１とを比較した消音効果を示すグラフであり、（Ｂ）は、実施例と比較例２とを比較した消音効果を示すグラフである。 （Ａ）は第２の実施形態に係わる消音ダクトの平面図であり、（Ｂ）は同消音ダクトの断面図であり、（Ｃ）は変形の形態に係わる消音ダクトの断面図である。 （Ａ）は図６に示す消音ダクトの分解斜視図であり、（Ｂ）はインナーパイプの拡大斜視図であり、（Ｃ）は消音ダクトの横断面図である。

符号の説明

１ 吸気システム
２ インテークダクト
３ エアクリーナ
４ エアフローチューブ
５、５Ａ、５Ｂ 消音ダクト
１１ インナーパイプ
１１ａ 円孔
１２ 吸音材
１３ アウターパイプ
１３ａ スリット
１５ ガイド
２１ インナーパイプ
２１ａ スリット
２２ 吸音材
２３ アウターカバー
２３ａ 逃し孔

Claims (4)

1. 吸気システムに組み込まれると共に吸気システム内の音を逃す第１の孔を有したパイプと、
   音が減衰されるように前記パイプを覆うと共に前記パイプの周方向において前記第１の孔と重なる第２の孔を有したカバーを含む消音ダクト。
2. 前記カバーは第２の孔から音を案内するガイドを含む請求項１に記載の消音ダクト。
3. 前記第２の孔はスリットを含む請求項１に記載の消音ダクト。
4. 前記第１の孔はスリットを含む請求項１に記載の消音ダクト。

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