JP2004346750A - 複合型ダクト - Google Patents
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Abstract
【課題】吸気ダクト内での共鳴を防止すると同時に、外部へ漏洩する吸気騒音を小さくする。
【解決手段】合成樹脂からなる第1のダクト1および第2のダクト2の端部1a,2aの間に、円筒状のインナフレーム3が接続され、その外周面に、音波が透過可能な合成樹脂フィルムなどからなる可撓性薄膜部材5が積層される。可撓性薄膜部材5の外周を覆うように円筒状の外筒6が配設され、可撓性薄膜部材5との間にダンパ室10が形成される。ダンパ室10の両端は、音波の透過可能なポリウレタンフォームなどからなる端部壁部材7,8によって閉塞され、外筒6の内周面には、吸音材9が貼着されている。可撓性薄膜部材5を通して音波が透過するので、共鳴が抑制されるとともに、音圧エネルギが減衰し、ダンパ室10および端部壁部材7,8によってさらに減衰する。
【選択図】 図1
【解決手段】合成樹脂からなる第1のダクト1および第2のダクト2の端部1a,2aの間に、円筒状のインナフレーム3が接続され、その外周面に、音波が透過可能な合成樹脂フィルムなどからなる可撓性薄膜部材5が積層される。可撓性薄膜部材5の外周を覆うように円筒状の外筒6が配設され、可撓性薄膜部材5との間にダンパ室10が形成される。ダンパ室10の両端は、音波の透過可能なポリウレタンフォームなどからなる端部壁部材7,8によって閉塞され、外筒6の内周面には、吸音材9が貼着されている。可撓性薄膜部材5を通して音波が透過するので、共鳴が抑制されるとともに、音圧エネルギが減衰し、ダンパ室10および端部壁部材7,8によってさらに減衰する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、内燃機関の吸気ダクト等として好適なダクト、特に、騒音低減のために一部を異なる材質とした複合型ダクトに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、自動車用内燃機関の吸気系において、空気取入口からエアクリーナに至る吸気ダクトあるいはエアクリーナから吸気コレクタに至る吸気ダクトは、一般にポリプロピレン等の合成樹脂をブロー成形によって所望形状に成形したものが多用されているが、このような合成樹脂製の吸気ダクトにあっては、吸気脈動による共鳴音や気流音などの騒音が大きいという問題が知られている。
【0003】
そのため、例えば特許文献1や特許文献2に見られるように、ダクトの周壁の一部を、通気性を有する不織布や織布等の繊維材料から構成して、ダクト内での共鳴を防止するようにした複合型の吸気ダクトが従来から提案されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−282985号公報
【0005】
【特許文献2】
特開昭63−285257号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の吸気ダクトにあっては、繊維材料からなる周壁の一部を通してダクト内から外部へ音がそのまま漏洩するので、外部で聴取される吸気系の騒音は必ずしも十分には低減しない。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る複合型ダクトは、合成樹脂からなる第1のダクトと第2のダクトとの間に、音波が透過可能な筒状の可撓性薄膜部材が介在するとともに、この可撓性薄膜部材の周囲を覆うように外筒が設けられており、該外筒と上記可撓性薄膜部材との間にダンパ室が形成されている。
【0008】
上記可撓性薄膜部材としては、例えば、高分子材料からなる合成樹脂フィルム、ゴム薄膜等、あるいは、濾材、不織布、織布等の繊維材料からなるもの、などを用いることができる。このようにダクトの長手方向の一部が、音波の透過可能な可撓性薄膜部材から構成されることで、ダクト内での共鳴が回避されるとともに、ダクト内からダンパ室への音波の透過によって、騒音エネルギが低減する。そして、可撓性薄膜部材を透過した音は、外部へそのまま放射されることはなく、適宜な容積を有するダンパ室内で効果的に減衰する。
【0009】
上記ダンパ室の両端は、ダンパ室が閉じた空間となるように閉塞されていてもよく、あるいは開放されていてもよいが、望ましくは、請求項2のように、上記ダンパ室の両端が、音波が透過可能な端部壁部材によって閉塞されている。この音波が透過可能な端部壁部材としては、例えばポリウレタンフォームのような多孔質材料を用いることができる。このように音波の透過可能な端部壁部材でダンパ室両端を閉塞することにより、ダンパ室内での二次的な共鳴を防止しつつ、その音の透過によって効果的な減衰を行うことができる。
【0010】
また、望ましくは、上記外筒の内周面に、吸音材が設けられている。このように吸音材を設けることで、可撓性薄膜部材を透過した音のエネルギが低減する。
【0011】
また上記可撓性薄膜部材は、上述したように、合成樹脂フィルムなどとして気密性を有するものとすることができ、これにより、可撓性薄膜部材を通した外気の侵入や、水、油等の侵入、などを回避できる。従って、例えば、内燃機関のエアクリーナと吸気コレクタとの間の吸気ダクトつまり清浄な空気が流れるクリーンサイドの吸気ダクトとして好適なものとなる。
【0012】
また、多数の開口を有する筒状のフレームが上記可撓性薄膜部材の内周側もしくは外周側に積層された構成とすることもできる。この筒状のフレームによって、可撓性薄膜部材の形状保持ならびに強度確保が行われる。一般に、ダクト内を流れる空気等のガスが負圧となる場合には、可撓性薄膜部材の内周側にフレームを積層することが好ましく、大気圧以上となる場合には、可撓性薄膜部材の外周側にフレームを積層することが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
図1および図2に示す実施例は、自動車用内燃機関の吸気ダクト、特に、エアクリーナと吸気コレクタとの間のクリーンサイドの吸気ダクトに、本発明を適用したものであって、その要部のみを示している。第1のダクト1および第2のダクト2は、一方がエアクリーナ側に、他方が吸気コレクタ側に、それぞれ接続されるものであって、ポリプロピレン等の剛性を有する合成樹脂からなり、例えばブロー成形によって所望の通路形状に沿って形成されている。第1のダクト1および第2のダクト2の互いに対向する端部1a,2aは、それぞれ円筒状をなし、かつ両者の間を、円筒状のインナフレーム3が接続している。このインナフレーム3は、第1,第2のダクト1,2と同様にポリプロピレン等の剛性を有する合成樹脂からなり、かつその全面に亘って、多数の円形の小孔4が開口形成されている。換言すれば、インナフレーム3は、網目状をなしている。そして、このインナフレーム3の外周面には、音波が透過可能なように可撓性を有する合成樹脂フィルムなどからなる可撓性薄膜部材5が積層されている。つまり、インナフレーム3の各小孔4は、この可撓性薄膜部材5によって覆われている。上記インナフレーム3は第1のダクト1および第2のダクト2の内周側に嵌合しており、可撓性薄膜部材5の端部が、インナフレーム3と第1,第2のダクト1,2との間に挟持され、かつ三者一体に接着されている。インナフレーム3の長手方向の中間部においては、可撓性薄膜部材5とインナフレーム3とが接着されていてもよく、あるいは中間部では両者を接着せずに、円筒状の可撓性薄膜部材5が両端部のみでインナフレーム3に固定されるようにしてもよい。
【0015】
上記可撓性薄膜部材5としては、例えば、ポリウレタン系、ポリプロピレン系、あるいはポリエチレン系の合成樹脂からなる厚さ1mm以下の合成樹脂フィルムが用いられる。この他、ゴム系の薄膜を用いることもできる。これらは、いずれも気密性を有するものとなる。特に、この実施例では、可撓性薄膜部材5をインナフレーム3と積層しているので、可撓性薄膜部材5を十分に薄く構成することが可能である。
【0016】
上記インナフレーム3および可撓性薄膜部材5の外周側には、可撓性薄膜部材5の外周を覆う円筒状の外筒6が配設されている。この外筒6は、やはりポリプロピレン等の剛性を有する合成樹脂からなり、インナフレーム3および可撓性薄膜部材5の全長よりも長く、両端部が第1,第2のダクト1,2の端部1a,2aと部分的に重なり合っている。そして、第1,第2のダクト1,2の端部1a,2aと外筒6端部との間に、それぞれ円環状をなす端部壁部材7,8が配設されており、この一対の端部壁部材7,8によって、外筒6が第1,第2のダクト1,2に支持されている。
【0017】
上記外筒6の内周面には、吸音材9が貼着されており、かつこの吸音材9と可撓性薄膜部材5との間に、適宜な寸法の空間つまりダンパ室10が形成されている。上記吸音材9としては、特に限定されるものではないが、例えば、形状が安定的で加工が容易なものとして、ポリウレタンフォーム、ポリエチレン系吸音材、メラミン樹脂フォーム、などを用いることができる。
【0018】
また、上記端部壁部材7,8は、ダンパ室10内での二次的な共鳴が生じないように、音波が透過可能なものとなっており、例えば、ポリウレタンフォームのように通気性を有する多孔質材料が用いられる。このほか、吸音材9と同様に、ポリエチレン系吸音材やメラミン樹脂フォームなどを用いることもできる。
【0019】
上記のように構成された実施例の吸気ダクトにおいては、ダクトの長手方向の一部が可撓性薄膜部材5から構成され、該可撓性薄膜部材5を通して音波が透過可能であるので、ダクト内での共鳴が抑制されるとともに、可撓性薄膜部材5を透過する際の減衰によって、音圧エネルギが低減する。そして、可撓性薄膜部材5を透過した音波のエネルギは、ダンパ室10内において減衰され、かつダンパ室10両端の端部壁部材7,8を透過する際にさらに減衰される。つまり、可撓性薄膜部材5を透過した音がそのまま外部へ放射されることはなく、ダンパ室10および端部壁部材7,8によって効果的に減衰した上で、ごく一部のみが外部へ漏洩することになる。従って、吸気の脈動や気流音に起因して生じる吸気ダクトからの騒音が著しく低減する。
【0020】
図3は、上記実施例の吸気ダクトにおける透過損失(TL)を従来のものと対比して示した特性図であり、従来例1は、全体を合成樹脂製とした単純な吸気ダクトの特性、従来例2は、前述した特許文献1,2のように、ダクトの周壁の一部を繊維材料にて構成した吸気ダクトの特性、である。なお、これは、ダクトの側方600mmの位置で測定したものである。図示するように、従来例1では、特定の周波数において共鳴が生じ、吸気騒音が悪化する。従来例2では、このような共鳴は抑制されるものの、繊維材料の部分から外部へ直接に音が漏洩するため、例えば100Hz〜200Hzの領域において、吸気騒音が悪化する傾向となる。これに対し、本実施例では、共鳴を防止しつつ幅広い帯域で騒音低減効果が得られる。
【0021】
また、上記実施例の吸気ダクトでは、可撓性薄膜部材5が気密性を有しているので、外部から空気や水等が侵入することがなく、エアクリーナより下流のクリーンサイドの吸気ダクトとして好適なものとなる。そして、可撓性薄膜部材5が内周側からインナフレーム3によって支持されているので、吸気脈動として強い負圧が作用しても、可撓性薄膜部材5の形状が確実に保持され、かつその破断等が防止される。
【0022】
以上、本発明を自動車用内燃機関の吸気ダクトとして適用した実施例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、空気や他のガスが通流するダクト、例えば空調装置用のダクト等として適用することが可能である。また、可撓性薄膜部材5は、ダクトの長手方向の1箇所に限定されるものではなく、複数箇所に設けても良い。
【0023】
さらに上記実施例では、可撓性薄膜部材5をインナフレーム3と積層しているが、可撓性薄膜部材5のみで形状保持が可能な場合には、インナフレーム3を省略することも可能である。また、ダクト(第1,第2のダクト1,2)を押出成形する場合には、いわゆる二色押出成形の技術を用いて、可撓性薄膜部材5を第1,第2のダクト1,2と一体に成形することも可能である。
【0024】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、この発明に係る複合型ダクトによれば、ダクト内での共鳴を防止すると同時に、外部へ漏洩する音を十分に小さくすることができ、共鳴音や気流音に起因するダクトからの騒音を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明を適用した吸気ダクトの要部の断面図。
【図2】同じく吸気ダクトの要部の斜視図。
【図3】この吸気ダクトの透過損失TLの特性を従来のものと対比して示した特性図。
【符号の説明】
1…第1のダクト
2…第2のダクト
3…インナフレーム
5…可撓性薄膜部材
6…外筒
7,8…端部壁部材
9…吸音材
10…ダンパ室
【発明の属する技術分野】
この発明は、内燃機関の吸気ダクト等として好適なダクト、特に、騒音低減のために一部を異なる材質とした複合型ダクトに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、自動車用内燃機関の吸気系において、空気取入口からエアクリーナに至る吸気ダクトあるいはエアクリーナから吸気コレクタに至る吸気ダクトは、一般にポリプロピレン等の合成樹脂をブロー成形によって所望形状に成形したものが多用されているが、このような合成樹脂製の吸気ダクトにあっては、吸気脈動による共鳴音や気流音などの騒音が大きいという問題が知られている。
【0003】
そのため、例えば特許文献1や特許文献2に見られるように、ダクトの周壁の一部を、通気性を有する不織布や織布等の繊維材料から構成して、ダクト内での共鳴を防止するようにした複合型の吸気ダクトが従来から提案されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−282985号公報
【0005】
【特許文献2】
特開昭63−285257号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の吸気ダクトにあっては、繊維材料からなる周壁の一部を通してダクト内から外部へ音がそのまま漏洩するので、外部で聴取される吸気系の騒音は必ずしも十分には低減しない。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る複合型ダクトは、合成樹脂からなる第1のダクトと第2のダクトとの間に、音波が透過可能な筒状の可撓性薄膜部材が介在するとともに、この可撓性薄膜部材の周囲を覆うように外筒が設けられており、該外筒と上記可撓性薄膜部材との間にダンパ室が形成されている。
【0008】
上記可撓性薄膜部材としては、例えば、高分子材料からなる合成樹脂フィルム、ゴム薄膜等、あるいは、濾材、不織布、織布等の繊維材料からなるもの、などを用いることができる。このようにダクトの長手方向の一部が、音波の透過可能な可撓性薄膜部材から構成されることで、ダクト内での共鳴が回避されるとともに、ダクト内からダンパ室への音波の透過によって、騒音エネルギが低減する。そして、可撓性薄膜部材を透過した音は、外部へそのまま放射されることはなく、適宜な容積を有するダンパ室内で効果的に減衰する。
【0009】
上記ダンパ室の両端は、ダンパ室が閉じた空間となるように閉塞されていてもよく、あるいは開放されていてもよいが、望ましくは、請求項2のように、上記ダンパ室の両端が、音波が透過可能な端部壁部材によって閉塞されている。この音波が透過可能な端部壁部材としては、例えばポリウレタンフォームのような多孔質材料を用いることができる。このように音波の透過可能な端部壁部材でダンパ室両端を閉塞することにより、ダンパ室内での二次的な共鳴を防止しつつ、その音の透過によって効果的な減衰を行うことができる。
【0010】
また、望ましくは、上記外筒の内周面に、吸音材が設けられている。このように吸音材を設けることで、可撓性薄膜部材を透過した音のエネルギが低減する。
【0011】
また上記可撓性薄膜部材は、上述したように、合成樹脂フィルムなどとして気密性を有するものとすることができ、これにより、可撓性薄膜部材を通した外気の侵入や、水、油等の侵入、などを回避できる。従って、例えば、内燃機関のエアクリーナと吸気コレクタとの間の吸気ダクトつまり清浄な空気が流れるクリーンサイドの吸気ダクトとして好適なものとなる。
【0012】
また、多数の開口を有する筒状のフレームが上記可撓性薄膜部材の内周側もしくは外周側に積層された構成とすることもできる。この筒状のフレームによって、可撓性薄膜部材の形状保持ならびに強度確保が行われる。一般に、ダクト内を流れる空気等のガスが負圧となる場合には、可撓性薄膜部材の内周側にフレームを積層することが好ましく、大気圧以上となる場合には、可撓性薄膜部材の外周側にフレームを積層することが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
図1および図2に示す実施例は、自動車用内燃機関の吸気ダクト、特に、エアクリーナと吸気コレクタとの間のクリーンサイドの吸気ダクトに、本発明を適用したものであって、その要部のみを示している。第1のダクト1および第2のダクト2は、一方がエアクリーナ側に、他方が吸気コレクタ側に、それぞれ接続されるものであって、ポリプロピレン等の剛性を有する合成樹脂からなり、例えばブロー成形によって所望の通路形状に沿って形成されている。第1のダクト1および第2のダクト2の互いに対向する端部1a,2aは、それぞれ円筒状をなし、かつ両者の間を、円筒状のインナフレーム3が接続している。このインナフレーム3は、第1,第2のダクト1,2と同様にポリプロピレン等の剛性を有する合成樹脂からなり、かつその全面に亘って、多数の円形の小孔4が開口形成されている。換言すれば、インナフレーム3は、網目状をなしている。そして、このインナフレーム3の外周面には、音波が透過可能なように可撓性を有する合成樹脂フィルムなどからなる可撓性薄膜部材5が積層されている。つまり、インナフレーム3の各小孔4は、この可撓性薄膜部材5によって覆われている。上記インナフレーム3は第1のダクト1および第2のダクト2の内周側に嵌合しており、可撓性薄膜部材5の端部が、インナフレーム3と第1,第2のダクト1,2との間に挟持され、かつ三者一体に接着されている。インナフレーム3の長手方向の中間部においては、可撓性薄膜部材5とインナフレーム3とが接着されていてもよく、あるいは中間部では両者を接着せずに、円筒状の可撓性薄膜部材5が両端部のみでインナフレーム3に固定されるようにしてもよい。
【0015】
上記可撓性薄膜部材5としては、例えば、ポリウレタン系、ポリプロピレン系、あるいはポリエチレン系の合成樹脂からなる厚さ1mm以下の合成樹脂フィルムが用いられる。この他、ゴム系の薄膜を用いることもできる。これらは、いずれも気密性を有するものとなる。特に、この実施例では、可撓性薄膜部材5をインナフレーム3と積層しているので、可撓性薄膜部材5を十分に薄く構成することが可能である。
【0016】
上記インナフレーム3および可撓性薄膜部材5の外周側には、可撓性薄膜部材5の外周を覆う円筒状の外筒6が配設されている。この外筒6は、やはりポリプロピレン等の剛性を有する合成樹脂からなり、インナフレーム3および可撓性薄膜部材5の全長よりも長く、両端部が第1,第2のダクト1,2の端部1a,2aと部分的に重なり合っている。そして、第1,第2のダクト1,2の端部1a,2aと外筒6端部との間に、それぞれ円環状をなす端部壁部材7,8が配設されており、この一対の端部壁部材7,8によって、外筒6が第1,第2のダクト1,2に支持されている。
【0017】
上記外筒6の内周面には、吸音材9が貼着されており、かつこの吸音材9と可撓性薄膜部材5との間に、適宜な寸法の空間つまりダンパ室10が形成されている。上記吸音材9としては、特に限定されるものではないが、例えば、形状が安定的で加工が容易なものとして、ポリウレタンフォーム、ポリエチレン系吸音材、メラミン樹脂フォーム、などを用いることができる。
【0018】
また、上記端部壁部材7,8は、ダンパ室10内での二次的な共鳴が生じないように、音波が透過可能なものとなっており、例えば、ポリウレタンフォームのように通気性を有する多孔質材料が用いられる。このほか、吸音材9と同様に、ポリエチレン系吸音材やメラミン樹脂フォームなどを用いることもできる。
【0019】
上記のように構成された実施例の吸気ダクトにおいては、ダクトの長手方向の一部が可撓性薄膜部材5から構成され、該可撓性薄膜部材5を通して音波が透過可能であるので、ダクト内での共鳴が抑制されるとともに、可撓性薄膜部材5を透過する際の減衰によって、音圧エネルギが低減する。そして、可撓性薄膜部材5を透過した音波のエネルギは、ダンパ室10内において減衰され、かつダンパ室10両端の端部壁部材7,8を透過する際にさらに減衰される。つまり、可撓性薄膜部材5を透過した音がそのまま外部へ放射されることはなく、ダンパ室10および端部壁部材7,8によって効果的に減衰した上で、ごく一部のみが外部へ漏洩することになる。従って、吸気の脈動や気流音に起因して生じる吸気ダクトからの騒音が著しく低減する。
【0020】
図3は、上記実施例の吸気ダクトにおける透過損失(TL)を従来のものと対比して示した特性図であり、従来例1は、全体を合成樹脂製とした単純な吸気ダクトの特性、従来例2は、前述した特許文献1,2のように、ダクトの周壁の一部を繊維材料にて構成した吸気ダクトの特性、である。なお、これは、ダクトの側方600mmの位置で測定したものである。図示するように、従来例1では、特定の周波数において共鳴が生じ、吸気騒音が悪化する。従来例2では、このような共鳴は抑制されるものの、繊維材料の部分から外部へ直接に音が漏洩するため、例えば100Hz〜200Hzの領域において、吸気騒音が悪化する傾向となる。これに対し、本実施例では、共鳴を防止しつつ幅広い帯域で騒音低減効果が得られる。
【0021】
また、上記実施例の吸気ダクトでは、可撓性薄膜部材5が気密性を有しているので、外部から空気や水等が侵入することがなく、エアクリーナより下流のクリーンサイドの吸気ダクトとして好適なものとなる。そして、可撓性薄膜部材5が内周側からインナフレーム3によって支持されているので、吸気脈動として強い負圧が作用しても、可撓性薄膜部材5の形状が確実に保持され、かつその破断等が防止される。
【0022】
以上、本発明を自動車用内燃機関の吸気ダクトとして適用した実施例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、空気や他のガスが通流するダクト、例えば空調装置用のダクト等として適用することが可能である。また、可撓性薄膜部材5は、ダクトの長手方向の1箇所に限定されるものではなく、複数箇所に設けても良い。
【0023】
さらに上記実施例では、可撓性薄膜部材5をインナフレーム3と積層しているが、可撓性薄膜部材5のみで形状保持が可能な場合には、インナフレーム3を省略することも可能である。また、ダクト(第1,第2のダクト1,2)を押出成形する場合には、いわゆる二色押出成形の技術を用いて、可撓性薄膜部材5を第1,第2のダクト1,2と一体に成形することも可能である。
【0024】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、この発明に係る複合型ダクトによれば、ダクト内での共鳴を防止すると同時に、外部へ漏洩する音を十分に小さくすることができ、共鳴音や気流音に起因するダクトからの騒音を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明を適用した吸気ダクトの要部の断面図。
【図2】同じく吸気ダクトの要部の斜視図。
【図3】この吸気ダクトの透過損失TLの特性を従来のものと対比して示した特性図。
【符号の説明】
1…第1のダクト
2…第2のダクト
3…インナフレーム
5…可撓性薄膜部材
6…外筒
7,8…端部壁部材
9…吸音材
10…ダンパ室
Claims (5)
- 合成樹脂からなる第1のダクトと第2のダクトとの間に、音波が透過可能な筒状の可撓性薄膜部材が介在するとともに、この可撓性薄膜部材の周囲を覆うように外筒が設けられており、該外筒と上記可撓性薄膜部材との間にダンパ室が形成されていることを特徴とする複合型ダクト。
- 上記ダンパ室の両端が、音波が透過可能な端部壁部材によって閉塞されていることを特徴とする請求項1に記載の複合型ダクト。
- 上記外筒の内周面に、吸音材が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の複合型ダクト。
- 上記可撓性薄膜部材は気密性を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の複合型ダクト。
- 多数の開口を有する筒状のフレームが上記可撓性薄膜部材の内周側もしくは外周側に積層されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の複合型ダクト。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003141324A JP2004346750A (ja) | 2003-05-20 | 2003-05-20 | 複合型ダクト |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003141324A JP2004346750A (ja) | 2003-05-20 | 2003-05-20 | 複合型ダクト |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004346750A true JP2004346750A (ja) | 2004-12-09 |
Family
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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Cited By (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008231979A (ja) * | 2007-03-19 | 2008-10-02 | Roki Co Ltd | 消音チャンバーダクト |
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