JPH0763132A

JPH0763132A - 内燃機関の吸気系用消音ホース

Info

Publication number: JPH0763132A
Application number: JP5228209A
Authority: JP
Inventors: Junichi Sato; 純一佐藤; Takahiro Komori; 敬博古森
Original assignee: Toyoda Gosei Co Ltd
Current assignee: Toyoda Gosei Co Ltd
Priority date: 1993-08-20
Filing date: 1993-08-20
Publication date: 1995-03-07
Also published as: US5548093A

Abstract

(57)【要約】【目的】ホース内部からホース外部への騒音の透過成
分を低減して消音効果を高めることができ、また、熱、
油、ガス等による影響を受けにくくして耐久性を向上さ
せることができ、さらには、吸気の脈動を吸収したり、
必要に応じて組付性を確保したりすることもできる内燃
機関の吸気系用消音ホースを提供する。【構成】消音ホース１は、合成樹脂又はゴムの軟質発
泡体よりなる筒状の吸音材２を備え、その内周には合成
樹脂ネット３と螺旋状ワイヤ４とが配設されている。吸
音材２の外周には軟質ゴムよりなる蛇腹状の遮音筒５が
配設されている。この遮音筒５が、ホース内部の騒音の
透過成分を遮断する。また、遮音筒５は従来の合成樹脂
表皮より厚いため、傷付きにくく、劣化しにくい。しか
も、遮音筒５は軟質ゴムにより蛇腹状に形成されている
ので、吸気の脈動に応じて収縮し、その脈動を吸収す
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、内燃機関の吸気系に用
いられる消音ホースに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】内燃機関の吸気系に発生する騒音を低減
するため、従来、図１３に示すような消音ホース５１が
用いられている。この消音ホース５１は、内周から順
に、収縮防止部材としての螺旋状ワイヤ５２、合成樹脂
ネット５３、筒状の吸音材５４、及び、合成樹脂表皮５
５という多層構造になっており、消音ホース５１の両端
には接続用の口枠部材５６が嵌着されている。吸音材５
４としては合成樹脂の軟質発泡体が使用され、その発泡
状態は連泡である。この消音ホース５１によれば、吸音
材５４の吸音作用により、確かにホース内部の騒音は低
減させることができる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが、前記合成樹
脂表皮５５は厚さ０．１ｍｍ以下のフィルムであったた
め、吸音材５４を経たホース内部の騒音の透過成分が、
合成樹脂表皮５５でほとんど減衰されることなくホース
外部に漏れ出し、せっかくの消音効果が減殺されてい
た。また、合成樹脂表皮５５は薄くて傷付きやすく、さ
らに熱、油、ガス等による影響を受けて劣化しやすいた
め、例えば自動車のエンジンルーム内のように苛酷な環
境下で使用するには、耐久性上問題があった。

【０００４】上記のように薄い合成樹脂表皮５５を使用
していたのは、多くの部品が密集するエンジンルーム内
において、消音ホース５１を自在に曲げて組付けられる
ようにするためと、吸気の脈動を吸収できるように消音
ホース５１全体を収縮可能にするためであると考えられ
る。従って、ここで、単に厚い合成樹脂表皮５５を使用
すれば、消音効果は高まるであろうが、消音ホース５１
の組付性が悪化し、また、吸気の脈動を吸収できないた
め、その実施には問題があった。

【０００５】本発明の目的は、上記課題を解決し、ホー
ス内部からホース外部への騒音の透過成分を低減して消
音効果を高めることができ、また、熱、油、ガス等によ
る影響を受けにくくして耐久性を向上させることがで
き、さらには、吸気の脈動を吸収したり、必要に応じて
組付性を確保したりすることもできる内燃機関の吸気系
用消音ホースを提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項１記載の発明に係る消音ホースは、筒状の吸
音材と、前記吸音材の外周を覆う遮音筒とを備え、前記
遮音筒は軟質高分子材料により断面波状に形成されてい
る構成とした。

【０００７】また、請求項２記載の発明に係る消音ホー
スは、ホース周上に配された周上吸音材と、ホース内空
間に配された内部吸音材と、前記周上吸音材の外周を覆
う遮音筒とを備え、前記遮音筒の少なくとも前記周上吸
音材の外周を覆う部分が軟質高分子材料により断面波状
に形成されている構成とした。

【０００８】ここで、「吸音材」としては、ゴム又は合
成樹脂の発泡体や、グラスウール等の無機繊維綿状体を
例示することができる。排ガス環流型の内燃機関におけ
る吸気系に消音ホースを組付ける場合には、排ガス中の
油分により劣化しないよう、耐油性材料（特に耐油性ゴ
ム）よりなる吸音材が好ましい。また、吸音材が負圧に
より収縮しやすいものである場合には、吸音材とその外
周に設けた遮音筒とを接着、溶着等により結合したり、
吸音材の内周に通気性の収縮防止部材を設けたり、これ
らを併用したりすることが好ましい。この収縮防止部材
としては、合成樹脂又は金属よりなる螺旋体や網状体
（合成樹脂ネット、金属メッシュ等）を例示でき、これ
らを単独で又は複数組み合わせて採用できる。特に、吸
音材として無機繊維綿状体を採用する場合には、繊維飛
散防止のため、その内周に網状体を設けることが好まし
い。

【０００９】また、「遮音筒」を形成する軟質高分子材
料とは、変形の容易な軟質のゴム又は合成樹脂を意味
し、「断面波状」としては、蛇腹形状、断面星形形状等
を例示できる。「ホース周上に配された周上吸音材」
は、筒状でもよいし、筒を竹割り状に分割した形状でも
よい。「ホース内空間に配された内部吸音材」は、ホー
ス半径上に配されたものでもよいし、ホース中心部に配
されたものでもよい。

【００１０】

【作用】請求項１記載の発明に係る消音ホースによれ
ば、吸音材の外周を遮音筒が覆っているので、吸音材を
経たホース内部の騒音の透過成分がこの遮音筒で遮断さ
れてホース外部に漏れ出しにくい。また、遮音筒は従来
の合成樹脂表皮より厚いため、傷付きにくく、また、
熱、油、ガス等による影響を受けにくく劣化しにくい。
しかも、遮音筒は軟質高分子材料により断面波状に形成
されているので、吸気の脈動に応じて収縮し、その脈動
を吸収することができる。さらに、この遮音筒の断面波
状を必要に応じて、例えば蛇腹状とすれば、フレキシビ
リティが得られ自在に曲げることができる。

【００１１】また、請求項２記載の発明に係る消音ホー
スによれば、上記作用に加え、ホース内空間に配された
内部吸音材の分だけ、従来より吸音材の表面積及び体積
を増やすことができるので、さらに消音効果を高めるこ
とができる。

【００１２】

【実施例】以下、本発明を具体化した内燃機関の吸気系
用消音ホースの第一実施例とその試験例について、図１
〜図７を参照して説明する。

【００１３】図１に示すように、本実施例の消音ホース
１は、合成樹脂又はゴムの軟質発泡体よりなる筒状の吸
音材２を備え、その発泡状態は独泡又は半独泡である。
吸音材２の寸法は、外径１００ｍｍ、内径７０ｍｍ、肉
厚１５ｍｍ、長さ１８０ｍｍである。なお、吸音材２の
外周面は後述する蛇腹状の遮音筒の内周面に合致するよ
う蛇腹状に形成してもよい。吸音材２の内周には吸音材
２の収縮防止部材としての合成樹脂ネット３が張られ、
さらに合成樹脂ネット３の内周には同じく収縮防止部材
としての螺旋状ワイヤ４が配設されている。合成樹脂ネ
ット３には、例えば三井石化産資株式会社製のプラスチ
ックネット（商品名ネトロン）を使用できる。なお、合
成樹脂ネット３と螺旋状ワイヤ４の両方を用いることは
必須ではなく、例えば合成樹脂ネット３のみで吸音材２
の収縮を防止することも可能である。

【００１４】吸音材２の外周には軟質ゴムよりなる蛇腹
状の遮音筒５が接触するように配設されている。この遮
音筒５はブロー成形により成形されたもので、形状保持
に必要な強度と軸芯方向に伸縮可能な柔軟性とを兼ね備
えるように、材料、形状、寸法等が選択・決定されてお
り、最大外径１２５ｍｍ、最小内径１００ｍｍ、肉厚
３．５ｍｍである。遮音筒５の両端部の内周面には口枠
部材６が挿入され、遮音筒５及び口枠部材６に形成され
た凸部及び凹部７が嵌合することにより係止されてい
る。

【００１５】本実施例の消音ホース１は、図４に示すよ
うに、内燃機関１０の吸気系におけるエアクリーナ１１
とインテークエアコネクタ１２との間に組付けられた
り、あるいは、エアクリーナ１１のエア吸込側に組付け
られたりして使用される。

【００１６】以上のように構成された第一実施例の消音
ホース１によれば、吸音材２の外周に遮音筒５が設けら
れているので、吸音材２を経たホース内部の騒音の透過
成分がこの遮音筒５で遮断されてホース外部に漏れ出し
にくい。このため、ホース内部の騒音のみならず、ホー
ス外部への騒音の透過成分も低減させることができ、消
音効果を高めることができる。

【００１７】また、遮音筒５は厚いため、傷付きにく
く、また、熱、油、ガス等による影響を受けにくく劣化
しにくいので、耐久性が向上し、例えば自動車のエンジ
ンルーム内のように苛酷な環境下で使用しても問題な
い。しかも、遮音筒５は軟質ゴムにより蛇腹状に形成さ
れているので、吸気の脈動に応じて吸音材２、合成樹脂
ネット３及び螺旋状ワイヤ４と一緒に軸芯方向に収縮
し、その脈動を吸収することができるとともに、フレキ
シビリティが得られ組付け時に自在に曲げることができ
る。

【００１８】さて、本実施例による消音効果を確認する
ため、次のように、本実施例の消音ホースに係る試験例
１及び試験例２と、対比用の従来例及び比較例とを用意
し、消音試験を行った。図２に示すように、ウレタン樹脂の独泡系の軟質発
泡体２ａ（肉厚７．５ｍｍ）を接着剤２ｂにより二層に
貼り合わせて肉厚１５ｍｍの吸音材２とし、この吸音材
２を使用した本実施例の消音ホースを試験例１とした。
但し、この試験は短時間で済み、吸音材２はほとんど収
縮しないので、合成樹脂ネット３及び螺旋状ワイヤ４は
使用しなかった。図３に示すように、ＥＰＤＭ（エチレン・プロピレ
ン・ジエン共重合ゴム）の半独泡系の軟質発泡体を肉厚
１５ｍｍの吸音材２とし、この吸音材２を使用した本実
施例の消音ホースを試験例２とした。但し、合成樹脂ネ
ット３及び螺旋状ワイヤ４は使用しなかった。図１３に示した消音ホース５１を従来例とした。こ
こで、吸音材５４の寸法は、外径１００ｍｍ、内径７０
ｍｍ、肉厚１５ｍｍ、長さ２１０ｍｍであり、合成樹脂
表皮５５の厚さは０．１ｍｍ以下である。外径８０ｍｍ、内径７０ｍｍ、肉厚５ｍｍ、長さ２
８０ｍｍの単なるゴムホース（図示略）を比較例とし
た。

【００１９】これら各例の消音ホース又はゴムホース
を、図４に示すように無響室１３内において、内燃機関
１０の吸気系に前記の通り取付け、順次交換した。エア
クリーナ１１の吸気口から斜め前方へ約３００ｍｍ離れ
たエアクリーナ前方位置と、消音ホース１又はゴムホー
スから側方へ約３００ｍｍ離れたホース側方位置と、内
燃機関１０から上方へ約１０００ｍｍ離れた内燃機関上
方位置とに、それぞれマイクロホン１４をセットした。
また、内燃機関１０には、その回転数を検出する回転数
センサ１５を取付けた。各マイクロホン１４は騒音計１
６を介してデータレコーダ１７の入力端子に接続し、回
転数センサ１５は回転計１８を介してデータレコーダ１
７の入力端子に接続した。データレコーダ１７の出力端
子にはＦＦＴ（高速フーリエ変換）アナライザ１９とオ
シロスコープ２０とを接続した。

【００２０】そして、内燃機関１０を回転数１０００〜
６０００ＲＰＭ（回／分）の範囲で徐々に変化させなが
ら運転し、その回転数を回転数センサ１５で検出すると
ともに、エアクリーナ前方位置、ホース側方位置及び内
燃機関上方位置における騒音レベルを各マイクロホン１
４で拾い、それぞれをデータレコーダ１７に記録した。
この記録したデータをＦＦＴアナライザ１９により解析
してなる試験結果（グラフ）を図５〜図７に示す。

【００２１】図５はエアクリーナ前方位置における各回
転数毎の騒音レベルを示し、（ａ）は試験例１と比較例
とを対比して示す試験結果、（ｂ）は試験例２と比較例
とを対比して示す試験結果、（ｃ）は従来例と比較例と
を対比して示す試験結果である。同図から明らかなよう
に、試験例１も試験例２も従来例も全回転数域において
消音効果が得られ、騒音レベルが比較例に対して、試験
例１では１〜４ｄＢ、試験例２では１〜７ｄＢ、従来例
では１〜１５ｄＢ、それぞれ低減した。

【００２２】図６はホース側方位置における各回転数毎
の騒音レベルを示し、（ａ）は試験例１と比較例とを対
比して示す試験結果、（ｂ）は試験例２と比較例とを対
比して示す試験結果、（ｃ）は従来例と比較例とを対比
して示す試験結果である。同図から明らかなように、従
来例では騒音レベルが比較例に対して２〜２５ｄＢ程度
増加してしまったのに対し、試験例１も試験例２も騒音
レベルが比較例と略同等又はやや増加した程度であっ
た。

【００２３】図７は内燃機関上方位置における各回転数
毎の騒音レベルを示し、（ａ）は試験例１と比較例とを
対比して示す試験結果、（ｂ）は試験例２と比較例とを
対比して示す試験結果、（ｃ）は従来例と比較例とを対
比して示す試験結果である。同図から明らかなように、
従来例では騒音レベルが比較例に対して最大１５ｄＢ程
度増加してしまったのに対し、試験例１も試験例２も騒
音レベルが比較例と略同等であった。

【００２４】これらの試験結果から、本実施例の消音ホ
ースに係る試験例１及び試験例２は従来例に対してホー
ス側方位置及び内燃機関上方位置における消音効果が高
いことが確認された。これは、主として比較例の遮音筒
５と従来例の合成樹脂表皮５５との遮音性の差によるも
のであると考えられる。

【００２５】次に、図８及び図９に示す第二実施例の消
音ホース２１は、吸音材２の外周に軟質合成樹脂よりな
る断面星形形状の遮音筒２２を配設し、この形状に合致
するように吸音材２の外周面形状を形成した点において
のみ、第一実施例と相違するものである。よって、第一
実施例と共通の部材については、同図に第一実施例と同
一の符号を付して説明を省略する。

【００２６】この実施例によっても、第一実施例と同様
に消音効果と耐久性とを向上させることができる。ま
た、遮音筒２２は断面星形形状なので、吸気の脈動に応
じて吸音材２と半径方向に収縮し、その脈動を吸収する
ことができる。また、軟質ゴムよりなる遮音筒２２は柔
軟なので、多少は曲げることもできる。

【００２７】次に、図１０〜図１２に示す第三実施例の
消音ホース３１は、中心角において１２０度ずつに分割
された三つのホース要素３２により構成されている。各
ホース要素３２は軟質ゴムよりなる断面扇形の遮音筒３
３を備え、その湾曲面（後述する周上吸音材の外周を覆
う部分）は蛇腹状に形成され、他の二つの合わせ面は平
らに形成されている。遮音筒３３の内周面には、ウレタ
ン樹脂の軟質発泡体よりなる、ホース周上配置の周上吸
音材３４と、ホース半径上配置の内部吸音材３５とが配
設されている。これらの吸音材３４，３５の内周面には
収縮防止部材としての金属メッシュ３６が張られてい
る。

【００２８】この実施例によっても、第一実施例と同様
に消音効果と耐久性とを向上させることができ、また、
吸気の脈動を吸収することができ、組付性を向上させる
こともできる。加えて、この実施例によれば、内部吸音
材３５の分だけ吸音材の面積及び体積を増やすことがで
きるので、さらに消音効果を高めることができる。

【００２９】なお、本発明は前記実施例の構成に限定さ
れるものではなく、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適
宜変更して具体化することもできる。

【００３０】

【発明の効果】以上詳述した通り、請求項１記載の発明
に係る吸気系用消音ホースによれば、ホース内部からホ
ース外部への騒音の透過成分を低減して消音効果を高め
ることができ、また、熱、油、ガス等による影響を受け
にくくして耐久性を向上させることができ、さらには、
吸気の脈動を吸収したり、必要に応じて組付性を確保し
たりすることもできる。

【００３１】上記効果に加え、請求項２記載の発明に係
る吸気系用消音ホースによれば、さらに消音効果を高め
ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を具体化した第一実施例の消音ホースを
示す一部破断正面図である。

【図２】同消音ホースの試験例１の部分断面図である。

【図３】同消音ホースの試験例２の部分断面図である。

【図４】内燃機関への同消音ホースの組付状態と消音試
験を示す概略図である。

【図５】エアクリーナ前方位置における試験結果を示す
グラフである。

【図６】ホース側方位置における試験結果を示すグラフ
である。

【図７】内燃機関上方位置における試験結果を示すグラ
フである。

【図８】第二実施例の消音ホースを示す一部破断正面図
である。

【図９】図８のＩＸ−ＩＸ線断面図である。

【図１０】第三実施例の消音ホースを示す断面図であ
る。

【図１１】同消音ホースのホース要素を示す斜視図であ
る。

【図１２】同ホース要素の断面図である。

【図１３】従来例の消音ホースを示す一部破断正面図で
ある。

【符号の説明】

１消音ホース２吸音材５遮音筒２１消音ホース２２遮音筒３１消音ホース３３遮音筒３４周上吸音材３５内部吸音材

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】筒状の吸音材と、前記吸音材の外周を覆
う遮音筒とを備え、前記遮音筒は軟質高分子材料により
断面波状に形成されていることを特徴とする内燃機関の
吸気系用消音ホース。
【請求項２】ホース周上に配された周上吸音材と、ホ
ース内空間に配された内部吸音材と、前記周上吸音材の
外周を覆う遮音筒とを備え、前記遮音筒の少なくとも前
記周上吸音材の外周を覆う部分が軟質高分子材料により
断面波状に形成されていることを特徴とする内燃機関の
吸気系用消音ホース。