JPS6024926Y2 - エンジン吸気系消音器の水抜き構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、エンジンの吸気騒音を低減する装置に係り、
特にエンジンの吸気騒音を低減するための消音器のため
の水抜き装置に係る。

エンジンの吸気系に生ずる吸気騒音を低減するために、
吸気通路の途中に分岐通路によりヘルムホルツレゾネー
タを接続し、或は吸気通路の途中に膨張室を設ける如き
態様により、吸気系に共鳴効果によって吸気騒音の低減
を図る空洞を組込む構成より成る消音器が既に知られて
いる。

かかる消音器は、それが適当＆；設計されるときには、
有効な消音効果を有するものであるが、エンジンの吸気
系には雨水、泥水等が侵入する機会があり、これらは必
然的に前記空洞を与えるために容器状構造を有する消音
器に貯留される傾向にあり、従ってかかる消音器にはそ
の適当な位置に水抜き孔が設けられなければならない。

しかしこのように消音器に水抜き孔が設けられると、そ
の消音効果は著しく低下し、予定された消音効果が得ら
れなくなるという問題がある。

本考案は、エンジンの吸気騒音低減のための消音器に於
ける上述の如き問題に対処し、その消音特性を損うこと
なく消音器の排水を行なうことの出来る水抜き装置を提
供することを目的としている。

かかる目的は、本考案によれば、エンジンの吸気管に分
岐管を経て箱体を接続してヘルムホへルツレゾネータを
構威し、該ヘルムホルツレゾネータの共鳴効果により吸
気騒音を低減するエンジン吸気系消音器のための水抜き
構造にして、前記箱体には水抜きのための端管が接続さ
れ、前記端管の内径と長さは該端管と前記箱体とが構成
するヘルムホルツレゾネータの共振周波数が前記分岐管
と前記箱体とが構成するヘルムホルツレゾネータの共振
周波数より実質的に低くなるよう定められていることを
特徴とする水抜き構造によって遠戚される。

上記の如く、水抜きのための端管が本来消音のために設
けられた箱体と共に構成するヘルムホルツレゾネータの
共振周波数を、消音のために箱体と分岐管とが構成する
ヘルムホルツレゾネータの共振周波数より実質的に低く
しておくことにより、該端管は、消音のためのへルムホ
ルッレゾネータが消音効果を発揮する共振周波数領域に
て共振状態にある時には、水は逃がすが音は逃がさない
という格別の機能を発揮する。

以下に添付の図を参照して本考案を実施例について詳細
に説明する。

第１図はエンジンの吸気系に組込まれたヘルムホルツレ
ゾネータ型の消音器に本考案の一つの実施例が組込まれ
た構造をその要部について示す概略斜視図である。

図に於いて、１はエンジンであり、その吸気系は周知の
要領により吸気管２、エアクリーナ３、インテークマニ
ホールド４等により構成されている。

吸気管２には分岐管５及び箱体６よりなるヘルムホルツ
レゾネータ型の消音器が接続されている。

箱体６にはその底部の壁面にこれを貫通する小孔７が設
けられている。

この小孔は箱体６内に形成された空洞内に貯留しようと
する水をその外部へ排出するためのものであり、その目
的に適した位置に設けられている。

小孔７には前記空洞より外へ向けて延在する端管８が接
続されている。

分岐管５及び箱体６によって構成されるヘルムホルツレ
ゾネータの共振周波数ｆ１は、箱体６内の空洞の容積を
■、分岐通路５の半径をｒ工（＝、／Ｓ□／？ｒ）とす
ると、次式によって与えられる。

但し、Ｃは音速であり、Ｃｏｌは分岐通路５の長さを１
１とすると、次式によって与えられる伝播係数である。

また端管８と箱体６によって構成されるヘルムホルツレ
ゾネータの共振周波数は、端管８の半径をｒ２＝（ｊＳ
２／？ｒ）とすると、次式によって与えられる。

本考案によれば、端管８の横断面側２と長さ１゜は、上
述の式によって与えられるｆ２がｆｏより実質的に小さ
くなるよう、即ち が成立するように定められる。

かかる構成によれば、分岐管５及び箱体６より成るヘル
ムホルツレゾネータが共振状態にあり、吸気系の消音装
置として有効に作動しているときには、箱体６内に生じ
ている空気振動の周波数は、端管８と箱体６より戊るヘ
ルムホルツレゾネータの共振周波数より実質的に高いの
で、端管８が与えるドレン通路は該空気振動に対し大き
な抵抗を呈し、分岐管５と箱体６より成るヘルムホルツ
レゾネータに於ける空気振動を低減する抜は孔としては
作動せず、かかる空気振動に関係のないドレン通路とし
てのみ有効に作動することが出来る。

第２図は、本考案の効果を確認するために第１図に示す
如き実施例について行なわれた実験結果を示すグラフで
ある。

このグラフに於いて、線Ａは箱体６に水抜き孔７が設け
られなかった場合の結果を示す。

このグラフに於いて、横軸に関する比ｆ／ｆｏは、分岐
管５と箱体６より成るヘルムホルツレゾネータの消音器
としての共振周波数ｆｏに対する各点の周波数の比であ
り、縦軸に関する量は消音量をデシベルにて表わした量
である。

線Ａにて示す如き消音効果を有する消音器の箱体６に水
抜き用の小孔７のみを開け、端管８を接続しなかった場
合には、消音量は線Ｂにて示す如く大きく低減する。

次いで、小孔７に成る比較的短い長さの端管８を接続し
、端管８と箱体６より成るヘルムホルツレゾネータの共
振周波数ｆ２を分岐管５と箱体６よりなるヘルムホルツ
レゾネータの共振周波数ｆ１よりかなり小さくすると、
消音量は線Ｃにて示す如く端管８を設けない場合に比し
てかなり改善される。

そして更に、端管８をより長くし、ｆ２をｆｌより更に
小さくすると、消音量は線りにて示す如くより一層増大
し、水抜き孔を設けない場合に近い消音効果が得られる
ようになる。

第３図及び第４図は夫々端管８に関する修正例を示す斜
視図である。

端管８は、これらの修正例に示す如く曲折した形状とさ
れても良く、このように端管８が曲折した形状とされる
ことによって、比較的長い端管を小さいスペースに収め
ることができると同時に、該端管を経て逆に外部より箱
体内へ塵埃等の異物が侵入することが防止される。

かくして、本考案によれば、消音器を構成する箱体に水
抜き用の小孔を開けると同時に、それに適当な長さの端
管を接続するという極めて簡単な構成により、共鳴効果
により吸気騒音の低減を図る消音器の消音性能を損うこ
となく水抜き装置を設けることが可能となることが理解
されよう。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一つの実施例をヘルムホルツレゾネー
タ型の消音器を備えたエンジンの吸気系の一例と共に示
す概略斜視図、第２図は本考案が消音器の消音性能に及
ぼす影響を例示するグラフ、第３図及び第４図は本考案
の水抜き装置を構成する端管の修正例を示す斜視図であ
る。 １・・・・・・エンジン、２・・・・・・吸気管、３・
・・・・・エアクリーナ、４・・・・・・インテークマ
ニホールド、５・・・・・・分岐管、６，６′・・・・
・・箱体、７・・・・・・小孔、８・・・・・・端管。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. エンジンの吸気管に分岐管を経て箱体を接続してヘルム
   ホへルツレゾネータヲ構成し、該ヘルムホルツレゾネー
   タの共鳴効果により吸気騒音を低減するエンジン吸気系
   消音器のための水抜き構造にして、前記箱体には水抜き
   のための端管が接続され、前記端管の内径と長さは該端
   管と前記箱体とが構成するヘルムホルツレゾネータの共
   振周波数が前記分岐管と前記箱体とが構成するヘルムホ
   ルツレゾネータの共振周波数より実質的に低くなるよう
   定められていることを特徴とする水抜き構造。