JP2008151052A - 吸音ダクト - Google Patents

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Teruo Shiraishi
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Abstract

【課題】外部空気が側壁の開口部からダクト本体内に吸入されることがなく、しかも吸音材に目詰まりを生じにくく、良好な吸音性能を維持することができるダクトの提供を目的とする。
【解決手段】管状のダクト本体11の側壁12外面に中空室31を設け、ダクト本体11内と中空室31間を非通気性の膜体21で仕切り、中空室31は外部と接する一部を多孔質体からなる吸音材35として、外部空気が側壁12の開口部13からダクト本体11内に吸入されるのを膜体21で防止すると共に、側壁12の開口部13からダクト本体11内に外気が吸入されることによる吸音材35の目詰まりを防止し、良好な吸音性能を維持できるようにした。
【選択図】図2

Description

本発明は、自動車におけるエンジンの吸気ダクト等として好適な吸音ダクトに関する。
従来、自動車におけるエンジンの吸気ダクト等においては、ダクト内を空気が通過する際に生ずる騒音を低減するため、図6および図7に示すように、熱可塑性合成樹脂からなる管状のダクト本体71の側壁72に開口部73が形成され、前記側壁72の開口部73が不織布75で覆われたダクト70がある(例えば特許文献1)。
しかし、前記ダクト70にあっては、側壁72の開口部73を覆う不織布75が通気性を有するため、ダクト70が配置される自動車のエンジンコンパートメント(略称:エンコパ)内のホットエアが不織布75を通ってダクト本体71内に吸入されてエンジン側へ供給される現象を生じ、エンジンの機能上好ましくなかった。また、エンジンコンパートメント内のホットエアが不織布75を通ってダクト本体71内に吸引される際に、エンジンコンパートメント内の埃が不織布75に捕捉されて不織布75に目詰まりを生じ、吸音性の低下を来す問題がある。さらに、前記不織布75が通気性を有することから、ダクト本体71内に乱流が発生し、圧力損失に悪影響を与える問題がある。
また、ダクトに形成された貫通穴にゴム製の共鳴体を介して容積室を接続し、容積室に外部と通じる容積室開口部を設けた音質制御装置が提案されている(特許文献2)。さらにまた、多孔性材料の管壁にフィルムを積層したダクトも提案されている(特許文献3)。しかし、それらのダクトは、容積開口部から埃が容積室に入りやすかったり、吸音性が充分とは言い難かったり、透過音が大きい等の問題がある。
特開2001−193587号公報 特開2005−139982号公報 特開2004−44592号公報
本発明は、前記の点に鑑みなされたものであって、外部空気が側壁の開口部からダクト本体内に吸入されることがなく、しかも吸音材に目詰まりを生じにくく、良好な吸音性能を維持することができるダクトの提供を目的とする。
本発明は、管状のダクト本体の側壁外面に中空室が設けられ、前記ダクト本体内と前記中空室間が非通気性の膜体で仕切られ、前記中空室は外部と接する一部が多孔質体からなる吸音材で構成されていることを特徴とする吸音ダクトに係る。
本発明によれば、ダクト本体内と中空室間を仕切る非通気性の膜体による膜振動と、膜体を介しての中空室への音の伝播と、中空室に設けられた吸音材による吸音とによって良好な吸音性が得られる。また、ダクト本体内と中空室間が非通気性の膜体で仕切られているため、外部の空気が膜体で遮られてダクト本体内に吸入されることがなく、エンジンコンパートメント内のホットエアの吸入によるエンジンへの悪影響や乱流発生を防ぐことができる。さらに、外部の空気が膜体で遮られてダクト本体内に吸入されることがないことから、中空室の吸音材に埃が付着し難く、吸音材の目詰まりを生じ難くでき、良好な吸音性を維持することができる。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は本発明の一実施例に係るダクトを示す斜視図、図2は図1の2−2断面図、図3は減音量と透過音量の測定方法を示す図、図4は減音量測定結果を示すグラフ、図5は透過音量測定結果を示すグラフである。
図1及び図2に示す本発明の一実施例に係るダクト10は、自動車におけるエンジンの吸気ダクトとして好適な自動車用ダクトであり、ダクト本体11と膜体21と中空室31とよりなり、一端がエアクリーナに直接あるいは蛇腹等を介して接続され、他端が空気吸引口とされる。
ダクト本体11は、熱可塑性合成樹脂のブロー成形品で構成され、管状からなる。前記管状は、図示の例では断面が略四角形からなるが、他の四角形や円形あるいは楕円形など、ダクトの設置場所等に応じた管状とされる。なお、前記管状は、前記ダクト本体11における両端間の途中で断面形状が変化していてもよい。また、前記ダクト本体11を構成する熱可塑性合成樹脂としては、特に限定されるものではなく、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリスチレン等を挙げることができる。
前記ダクト本体11の側壁12には、ダクト本体11の両端間の所定位置に開口部13が形成されている。前記開口部13は、図示の例では四角形で構成されているが、他の多角形、円形、あるいは楕円形等であってもよい。また、前記開口部13の大きさは、前記ダクト本体11の強度等を考慮して適宜の大きさとされる。前記開口部13の位置はダクト本体11内で音圧が最大となる位置が好ましい。
膜体21は、前記開口部13を覆うようにして前記側壁12の外面に積層され、前記膜体21の周縁が前記側壁12における開口部13の外周縁に溶着や接着等によって固定される。前記膜体21によって開口部13がシールされ、また、前記膜体21によって前記ダクト本体内と中空室間が仕切られている。
前記膜体21は、前記ダクト本体11内を通過する空気の脈動や管内に発生した音によって振動可能な非通気性の材質および厚みで構成される。材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)や熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)などの樹脂フィルムを挙げることができ、また厚みの例として0.03〜0.1mm程度を挙げることができる。
中空室31は、前記ダクト本体11の側壁12外面に前記開口部13および膜体21を覆うようにして設けられる。前記中空体31は、前記ダクト本体11の側壁12側が開口し、また外部と接する一部が吸音材35で構成されている。本実施例の中空室31は、枠体32と吸音材35とからなる。前記枠体32は合成樹脂製からなり、前記側壁12の開口部13および膜体21の外周を包囲することのできる大きさとされ、両端が開口している。前記枠体32は、前記ダクト本体11の側壁12側の開口端部が溶着や接着剤等によってダクト本体の側壁12の外面に固定される。前記枠体32の高さ(側壁12外面からの突出量)は、適宜決定されるが、例として5〜20mm程度を挙げる。
前記吸音材35は、多孔質体からなり、周縁が溶着や接着剤等によって前記枠体32におけるダクト本体11の側壁12とは反対側の開口端部に固定され、前記側壁12とは反対側の開口端部を塞いでいる。前記吸音材35を構成する多孔質体としては、軟質ポリウレタンフォームのような連通気泡構造を有する発泡体が好ましい。また、適宜の繊維から形成された不織布であってもよい。
前記ダクト10は、ダクト本体11内を空気が通過することによって生じる騒音を、前記ダクト本体11の側壁12の開口部13に設けられた膜体21の振動によって減音し、さらに減音された音が前記中空室31から吸音材35を通過して外部へ放出される際に前記吸音材35で吸音し、外部への透過音を減少させる。
以下に具体的な実施例を示す。前記ダクト本体11を、W80mm×H70mm×L600mm×側壁厚み2.5mmの角管状として材質HDPE(ポリエチレン)で構成し、前記開口部13の中心位置がダクト本体11の一端から100mmとなるようにして、30mm×50mmの四角形からなる開口部13をダクト本体11の側壁12に形成した。前記開口部13を覆う膜体21は、厚み0.07mmのポリエチレンテレフタレートフィルムとした。一方、前記中空室31の枠体32は、W40mm×H10mm×L60mm、材質PP(ポリプロピレン)とし、前記吸音材35は厚み2mm、目付量400g/mからなるポリプロピレン繊維の不織布とした。
前記実施例のダクト10に対して、図3に示すようにスピーカーS、第1マイクM1、第2マイクM2、第3マイクM3を配置し、スピーカーSからの音がダクト10内を通過することによる減音量と、ダクト10の中空室31の位置における透過音量をそれぞれ測定した。スピーカーSはダクト本体11の一端側に設置して所定の音量で音を発生し、一方、第1マイクM1は側壁12におけるスピーカーに近い位置に穴を開けてダクト本体11内に挿入し、第2マイクM2はスピーカーSとは反対側のダクト本体11の反対側の端部に位置させ、第3マイクM3は中空室31の外部に位置させて各マイクで音量を測定した。減音量は[第1マイクの測定音量−第2マイクの測定音量]の値とし、透過音量は第3マイクM3で測定した音量とした。使用した音量測定装置は品名:DYNAMIC SIGNAL ANALYZER 35670A、メーカー:HEWLETT PACKARDである。
また、比較のため、前記ダクト本体11のみからなり、前記開口部13が形成されていない第1比較例のダクト(管状体のみからなるダクト)と、前記開口部13を実施例の吸音材35で覆い中空室31を設けていない第2比較例のダクト(開口部が吸音材で覆われて中空室の無いダクト)についても同様にして減音量と透過音量を測定した。なお、その際、ダクト本体の端部から第3マイクまでの距離は、実施例のダクトと同一にした。
減音量の測定結果を図4に、また透過音量の測定結果を図5に示す。実施例のダクトは、第1比較例のダクト(管状体のみからなるダクト)と比べると減音量が大きく(減音効果が大きく)、かつ透過音量が小さく(透過音防止効果が大きく)なっており、特に減音効果については300〜550Hzの範囲で大きく、一方、透過音防止効果については0〜850Hzの範囲で大きかった。また、実施例のダクトは、第2比較例のダクト(開口部が吸音材で覆われて中空室の無いダクト)と比べると同等の良好な減音量であり、かつ透過音量については第2比較例よりも小さく、一層良好な透過音防止効果が得られた。
このように、実施例のダクトは良好な減音効果および良好な透過音防止効果が得られるものである。しかも実施例のダクトは、側壁の開口部が非通気性の膜体で覆われているため、外部の空気が膜体で遮られてダクト本体内に吸入されることがなく、エンジンコンパートメントのホットエアの吸入によるエンジンへの悪影響や乱流発生を防ぐことができ、さらに、外部の空気が膜体で遮られてダクト本体内に吸入されることがないことから、中空室の吸音材に埃が付着し難く、吸音材の目詰まりを生じ難くでき、良好な吸音性を維持することができる。
本発明の一実施例に係るダクトを示す斜視図である。 図1の2−2断面図である。 減音量と透過音量の測定方法を示す図である。 減音量測定結果を示すグラフである。 透過音量測定結果を示すグラフである。 従来のダクトを示す斜視図である。 図6の7−7断面図である。
符号の説明
10 ダクト
11 ダクト本体
12 ダクト本体の側壁
13 開口部
21 膜体
31 中空室
32 枠体
35 吸音材

Claims (1)

  1. 管状のダクト本体の側壁外面に中空室が設けられ、前記ダクト本体内と前記中空室間が非通気性の膜体で仕切られ、前記中空室は外部と接する一部が多孔質体からなる吸音材で構成されていることを特徴とする吸音ダクト。
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