JP2008231164A - 紫外・近赤外光遮蔽分散体および紫外・近赤外光遮蔽体 - Google Patents
紫外・近赤外光遮蔽分散体および紫外・近赤外光遮蔽体 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】一般式MYWOZ(但し、0.001≦Y≦1.0、2.2≦Z≦3.0、M元素は、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Snのうちから選択される1種類以上の元素)で示される複合タングステン酸化物微粒子と、酸化鉄微粒子とが、媒体中に混合分散し、前記複合タングステン酸化物微粒子と、前記酸化鉄微粒子との混合分散が、固形分重量比で(0.05:1)〜(10:1)の範囲にあり、可視光透過率の数値よりも近赤外光透過率の数値が低く、L*a*b*表色系で評価したとき、L*が45〜95、a*が−20〜90、b*が0〜180である。
【選択図】なし
Description
従来、透明基材に近赤外線吸収能を付与する方法として、透明基材自体に近赤外線吸収剤を混入配合する方法がある。
また、他の方法として、スパッタリング等の物理気相成膜法で近赤外線吸収性薄膜を透明基材表面に直接形成する方法がある。
さらに、近赤外線吸収剤を溶解した樹脂を透明基材にコーティングしたり、積層したりする方法が提案されている。
れた。
まず、透明基材自体に近赤外線吸収剤を混入配合する方法は、近赤外線吸収剤の混入時に高い加工温度を必要とするため、使用し得る近赤外線吸収剤の種類が著しく限定される問題がある。
スパッタリング等の、物理気相成膜法により近赤外線吸収性薄膜を透明基材表面に直接形成する方法は、薄膜製造のために高額の大型設備の導入が必要となる。そして当該大掛かりな薄膜製造装置が必要な為、多品種生産には適合せず、また薄膜の種類によっては耐湿性、耐薬品性、耐久性等が充分ではないという問題がある。
近赤外線吸収剤を溶解した樹脂を透明基材にコーティングしたり、積層したりする方法は、大量の近赤外線吸収剤の添加に伴う樹脂層の可塑化が起こり、耐擦傷性が不十分になるという問題がある。
さらに、特許文献2で説明した遮光膜付きガラスは、可視光反射率は比較的低いものの、遮光性能が劣化する等経時変化するという問題があることが見出された。
一方、優れた近赤外線遮蔽特性を有したまま色調調整が可能であり、意匠性に優れたブロンズ系の色調を呈す材料は未だ見出されていない。
意味を含むものとする。)ことで、上記目的を達成できることに想到した。即ち、複合タ
ングステン酸化物微粒子と酸化鉄微粒子とを一定の割合で併用することで、所定の可視光透過性を有しながら、近赤外線遮蔽特性と同時に紫外線遮蔽特性とを有し、意匠性に優れ彩度の低いブロンズ色調を有する紫外・近赤外光遮蔽分散体および紫外・近赤外光遮蔽体を得るに至り本発明を完成した。
一般式MYWOZ(但し、0.001≦Y≦1.0、2.2≦Z≦3.0、M元素は、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Snのうちから選択され
る1種類以上の元素)で示され、且つ六方晶の結晶構造を持つ複合タングステン酸化物微粒子と、酸化鉄微粒子とが、媒体中に混合分散し、前記複合タングステン酸化物微粒子と、前記酸化鉄微粒子との混合分散が、固形分重量比で(0.05:1)〜(10:1)の範囲にあり、可視光透過率の数値よりも近赤外光透過率の数値が低く、L*a*b*表色系で評価したとき、L*が45〜95、a*が−20〜90、b*が0〜180であることを特徴とする紫外・近赤外光遮蔽分散体である。
可視光透過率が20〜90%であり、近赤外光透過率が10〜80%であり、ブロンズ色を有することを特徴とする第1の手段に記載の紫外・近赤外光遮蔽分散体である。
上記複合タングステン酸化物微粒子の粉体色が、L*a*b*表色系において、L*が25〜80、a*が−10〜10、b*が−15〜15であり、上記酸化鉄微粒子の粉体色が、L*a*b*表色系において、L*が20〜80、a*が−5〜15、b*が−10〜25であることを特徴とする第1または第2の手段に記載の紫外・近赤外光遮蔽分散体である。
上記複合タングステン酸化物微粒子と酸化鉄微粒子との粒子径が、1nm以上800nm以下であることを特徴とする第1乃至第3の手段のいずれかに記載の紫外・近赤外光遮蔽分散体である。
上記複合タングステン酸化物微粒子の表面が、ケイ素、ジルコニウム、チタン、アルミニウムを1種類以上含む酸化物で被覆されていることを特徴とする第1乃至第4の手段のいずれかに記載の紫外・近赤外光遮蔽分散体である。
上記媒体が、樹脂もしくはガラスであることを特徴とする第1乃至第5の手段のいずれかに記載の紫外・近赤外光遮蔽分散体である。
上記媒体が、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂のうちの1種類以上であることを特徴とする第6の手段に記載の紫外・近赤外光遮蔽分散体である。
上記媒体が、板状、フィルム状、薄膜状であることを特徴とする第6または第7の手段に記載の紫外・近赤外光遮蔽分散体である。
一般式MYWOZ(但し、0.001≦Y≦1.0、2.2≦Z≦3.0、M元素は、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Snのうちから選択される1種類以上の元素)で示される複合タングステン酸化物微粒子と、酸化鉄微粒子とが、媒体中に混合分散し、前記複合タングステン酸化物微粒子と、前記酸化鉄微粒子との混合分散が、固形分重量比で(0.05:1)〜(10:1)の範囲にあり、可視光透過率の数値よりも近赤外光透過率の数値が低く、L*a*b*表色系で評価したとき、L*が4
5〜95、a*が−20〜90、b*が0〜180である紫外・近赤外光遮蔽分散体が、基材の片面または両面に設けられていることを特徴とする紫外・近赤外光遮蔽体である。
一般式MYWOZ(但し、0.001≦Y≦1.0、2.2≦Z≦3.0、M元素は、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Snのうちから選択される1種類以上の元素)で示される複合タングステン酸化物微粒子が媒体中に分散した分散体と、酸化鉄微粒子が媒体中に分散した分散体とが、
酸化鉄微粒子が媒体内に分散された酸化鉄微粒子分散体の片面または両面に、複合タングステン酸化物微粒子を有する分散体を配するか、あるいは、複合タングステン酸化物微粒子が媒体内に分散された複合タングステン酸化物微粒子分散体の片面または両面に、酸化鉄微粒子を含有する酸化鉄微粒子分散体を配されており、
前記複合タングステン酸化物微粒子が分散した分散体中の複合タングステン酸化物微粒子と、前記酸化鉄微粒子が分散した分散体中の酸化鉄微粒子との比率が、固形分重量比で(0.05:1)〜(10:1)の範囲にあり、
酸化鉄微粒子が媒体内に分散された酸化鉄微粒子分散体の片面または両面に、複合タングステン酸化物微粒子を有する分散体を配するか、あるいは、複合タングステン酸化物微粒子が媒体内に分散された複合タングステン酸化物微粒子分散体の片面または両面に、酸化鉄微粒子を含有する酸化鉄微粒子分散体を配する紫外・近赤外光遮蔽体において、可視光透過率の数値よりも近赤外光透過率の数値が低く、L*a*b*表色系で評価したとき、L*が45〜95、a*が−20〜90、b*が0〜180であることを特徴とする紫外・近赤外光遮蔽体である。
一般式MYWOZ(但し、0.001≦Y≦1.0、2.2≦Z≦3.0、M元素は、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Snのうちから選択される1種類以上の元素)で示される複合タングステン酸化物微粒子が媒体中に分散した分散体と、酸化鉄微粒子が媒体中に分散した分散体とが、
基体の片面に設けられ、または、基体の両面にそれぞれ設けられており、
前記複合タングステン酸化物微粒子が分散した分散体中の複合タングステン酸化物微粒子と、前記酸化鉄微粒子が分散した分散体中の酸化鉄微粒子との比率が、固形分重量比で(0.05:1)〜(10:1)の範囲にあり、
前記複合タングステン酸化物微粒子が媒体中に分散した分散体と、酸化鉄微粒子が媒体中に分散した分散体とが、基体の片面に設けられ、または、基体の両面にそれぞれ設けられた紫外・近赤外光遮蔽体において、可視光透過率の数値よりも近赤外光透過率の数値が低く、L*a*b*表色系で評価したとき、L*が45〜95、a*が−20〜90、b*が0〜180であることを特徴とする紫外・近赤外光遮蔽体である。
可視光透過率が20〜90%であり、近赤外光透過率が10〜80%であり、ブロンズ色を有することを特徴とする第9乃至第11の手段に記載の紫外・近赤外光遮蔽体である。
上記媒体が、板状、フィルム状、薄膜状であることを特徴とする第9乃至第12の手段のいずれかに記載の紫外・近赤外光遮蔽体である。
上記基材が、樹脂またはガラスであることを特徴とする第9乃至第13の手段のいずれかに記載の紫外・近赤外光遮蔽体である。
上記基材が、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂のうちの1種類以上であることを特徴とする第14の手段に記載の紫外・近赤外光遮蔽体である。
本実施形態に係る紫外・近赤外光遮蔽分散体は、一般式MYWOZ(但し、0.001≦Y≦1.0、2.2≦Z≦3.0、M元素は、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Snのうちから選択される1種類以上の元素)で示され、且つ六方晶の結晶構造を持つ複合タングステン酸化物微粒子と、酸化鉄微粒子とが、所定の媒体中に混合分散している。
前記複合タングステン酸化物微粒子と、前記酸化鉄微粒子との混合分散は、固形分重量比で(0.05:1)〜(10:1)の範囲にある。これは、前記複合タングステン酸化物微粒子と、前記酸化鉄微粒子との混合分散が当該範囲にあることで、可視光透過率よりも低い近赤外光透過率を有し、紫外線の吸収能を有し、意匠性に優れた彩度の低い色調であるブロンズ色を有する紫外・近赤外光遮蔽分散体を得ることが出来るからである。
また、本実施形態に係る紫外・近赤外光遮蔽体は、上記紫外・近赤外光遮蔽分散体が、後述する適宜な基材の片面あるいは両面に形成されたものである。
率が低く、可視光透過率が20〜90%の範囲であり、近赤外光透過率が10〜80%の範囲である。そして、L*a*b*表色系によって、当該遮蔽体を評価したとき、L*a*b*表色系で、L*が45〜95、a*が−20〜90、b*が0〜180である。
以下、本実施形態に係る紫外・近赤外光遮蔽分散体および紫外・近赤外光遮蔽体を構成する材料について材料毎に説明する。
近赤外線遮蔽機能を有する微粒子として、一般式WyOz(但し、Wはタングステン、Oは酸素、2.0<z/y<3.0)で表記されるタングステン酸化物の微粒子、または、一般式MxWyOz(但し、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Reの内から選択される1種以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1、2.0<z/y≦3.0)のうちの少なくとも1種類で表記される複合タングステン酸化物の微粒子が挙げられる。
この結果、好ましい複合タングステン酸化物の典型的な例としては、Cs0.33WO3、Rb0.33WO3、K0.33WO3、Ba0.33WO3などを挙げることができるが、上記Y及びZが上記範囲に収まるものであれば、良好な赤外線吸収特性を得ることができる。
の減少に伴い緑色から青色へと変化する。
被覆方法は特に限定されないが、当該複合タングステン酸化物微粒子を分散した溶液中に、上記金属のアルコキシドを添加することで、複合タングステン酸化物微粒子の表面を被覆することが可能である。
本実施形態に用いられる酸化鉄微粒子は、粒子径が小さい方が、隠蔽力が強くなり、また分散性も向上し、光透過性が高くなるため好ましい。このため、酸化鉄の粒子径は300nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましい。
本実施形態に係る紫外・近赤外光遮蔽分散体を構成する媒体、および、紫外・近赤外光遮蔽体を構成する基材としては、例えば、フィルム、樹脂、またはガラス等が挙げられる。但し、これらの材料を基材として用いる場合は、それぞれの使用状況に応じた機械的強度を有することが求められる。
本実施形態に係る紫外・近赤外光遮蔽分散体の好ましい形態について図面を参照しながら説明する。
図1〜4は、本実施形態の紫外・近赤外光遮蔽分散体、紫外・近赤外光遮蔽体の模式的な断面図である。尚、図1〜4において、○は複合タングステン酸化物微粒子を示し、●は酸化鉄微粒子を示し、無地の部分は媒体を示し、斜線の部分は基材を示す。
ブロンズ色系紫外・近赤外光遮蔽分散体の第一の形態は、複合タングステン酸化物微粒子と酸化鉄微粒子とが、共に媒体内に分散して含有されているものである。
当該形態例を図1(A)に示す。尚、当該形態において、媒体に機械的強度のあるものを用い、基材を用いることなく自立した紫外・近赤外光遮蔽体として使用することも勿論可能である。
ブロンズ色系紫外・近赤外光遮蔽体の第一の形態に係る他の形態は、複合タングステン酸化物微粒子と酸化鉄微粒子とを共に含有する分散体を、後述する適宜な基材の片面あるいは両面に配するものである。
当該複合タングステン酸化物微粒子と酸化鉄微粒子とを共に含有する分散体基材の片面に配する形態例を図2(A)に、両面に配する形態例を図2(B)に示す。尚、当該形態においても、媒体に機械的強度のあるものを用いることで基材の機械的強度には依存せず、基材には例えば緩衝材としての機能など他の機能を具備させ、自立した紫外・近赤外光遮蔽体として使用することも勿論可能である。
ブロンズ色系紫外・近赤外光遮蔽分散体の第二の形態は、酸化鉄微粒子が媒体内に分散された酸化鉄微粒子分散体の片面もしくは両面に、複合タングステン酸化物微粒子を含有する複合タングステン酸化物微粒子分散体を配するものである。または、複合タングステン酸化物微粒子が媒体内に分散された複合タングステン酸化物微粒子分散体の片面もしくは両面に、酸化鉄微粒子を含有する酸化鉄微粒子分散体を配するものである。
酸化鉄微粒子分散体の片面に、複合タングステン酸化物微粒子分散体を配する形態例を図3(A)に、酸化鉄微粒子分散体の両面に、複合タングステン酸化物微粒子分散体を配する形態例を図3(B)に示し、複合タングステン酸化物微粒子分散体の両面に、酸化鉄微粒子分散体を配する形態例を図3(C)に示す。
ブロンズ色系紫外・近赤外光遮蔽体の第三の形態は、複合タングステン酸化物微粒子を含有する複合タングステン酸化物微粒子分散体と、酸化鉄微粒子を含有する酸化鉄微粒子分散体とを、後述する適宜な基材の片面に配する。または、複合タングステン酸化物微粒子分散体を当該基材の片面に配し、且つ、この基材の他方の片面に酸化鉄微粒子分散体を配するものである。
複合タングステン酸化物微粒子分散体と酸化鉄微粒子分散体とを、基材の片面に配する
形態例を図4(A)(B)に、両面にそれぞれ分散体を配する形態例を図4(C)に示す。尚、当該形態においても、媒体に機械的強度のあるものを用いることで基材の機械的強度に依存せず、基材には例えば緩衝材としての機能など他の機能を具備させ、自立した紫外・近赤外光遮蔽体として使用することも勿論可能である。
上記4.で説明した本実施形態に係る紫外・近赤外光遮蔽分散体の形成方法について説明する。
(1)媒体の内部に、複合タングステン酸化物微粒子や酸化鉄微粒子が分散した紫外・近赤外光遮蔽分散体の形成方法
図1〜4に示すように、複合タングステン酸化物微粒子や酸化鉄微粒子を媒体の内部に分散させる場合には、媒体を溶融温度以上に加熱して溶融させた後、当該微粒子の単独物または混合物と混合すればよい。また、予め、原料樹脂中へ、複合タングステン酸化物微粒子、酸化鉄微粒子該微粒子とを高濃度に分散せしめたマスターバッチを製造し、これを溶融温度以上に加熱して溶融した媒体と混合することで、所定の濃度に希釈調整して用いることも可能である。また、当該微粒子の単独物または混合物を、媒体の表面から分散浸透させることも可能である。このようにして得られた複合タングステン酸化物微粒子および/または酸化鉄微粒子を含有する媒体は、所定の方法で、板状、フィルム状、薄膜状に成形することができる。
その際の混合には、リボブレンダー、タンブラー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、プラネタリーミキサーなどの混合機、あるいは、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、ニーダールーダー、一軸押出機、二軸押出機などの混練機を使用することができる。
コーティングにより、複合タングステン酸化物微粒子や酸化鉄微粒子を含有する紫外・近赤外光遮蔽分散体を、後述する適宜な基材上に形成する場合には、複合タングステン酸化物微粒子、酸化鉄微粒子を個別に、あるいは、混合して、溶媒中に分散させて分散体とする。当該分散体に樹脂バインダーを添加した後、媒体表面にコーティングし、溶媒を蒸発させ、所定の方法で樹脂を硬化させることにより、複合タングステン酸化物微粒子および/または酸化鉄微粒子を含む分散体を形成することができる。また、複合タングステン酸化物微粒子および/または酸化鉄微粒子を樹脂バインダー中に直接分散したものは、基材表面にコーティングした後、溶媒を蒸発させる必要がないため、環境的にも工業的にも好ましい。
上記<5.本実施形態に係る紫外・近赤外光遮蔽分散体の形成方法>の(1)、(2)で説明した分散体を、基材の片面または両面に塗布することにより、紫外・近赤外光遮蔽体が形成される。
以上のように製造された本実施の形態に係る紫外・近赤外光遮蔽分散体および紫外・近赤外光遮蔽体は、次の効果を奏する。
得られた紫外・近赤外光遮蔽材の色調は、両材料の組成比により、彩度の低いブロンズ色の色調を得ることができる。具体的には、本実施の形態に係る紫外・近赤外光遮蔽材において、L*a*b*表色系におけるL*が45〜95、a*が−20〜90、b*が0〜180の範囲にあるブロンズ色の色調が得られる。
あれば工業的な製造は容易である。
なお、以下の各実施例及び比較例において用いている微粒子の粉体色(標準光源D65、10°視野)は、日立製作所(株)製の分光光度計U−4000を用いて測定した。
粉体色が、L*が37.9481、a*が−0.1209、b*が−6.0232のCs0.33WO3微粒子(比表面積20m2/g)を10重量部、トルエン80重量部、微粒子分散用分散剤10重量部を混合し、媒体攪拌ミルで分散処理を行ない、平均分散粒子径80nmのCs0.33WO3微粒子の分散液を作製した(A液)。
粉体色が、L*が37.5774、a*が6.4793、b*が4.2244のFe2O3微粒子を使用し、同様の方法で、平均分散粒子径80nmのFe2O3微粒子の分散液を作製した(B液)。
このA液とB液とを、Cs0.33WO3微粒子とFe2O3微粒子との固形分重量比が0.5:1となるように混合し、さらに、ハードコート用紫外線硬化樹脂(固形分100%)を加えてトルエンで希釈して十分混合し塗布液とした。当該塗布液中のハードコート用紫外線硬化樹脂(固形分100%)の割は20wt%とした。
作製された膜の光学特性を、日立製作所製の分光光度計を用いて波長200〜2100nmの光の透過率により測定し、JIS A 5759に従って可視光透過率、近赤外光透過率、色調(L*、a*、b*表色系)を算出した。
この結果を表1に示す。また、表1には下記の実施例2〜7、比較例1で得られた結果についても併せて示す。
粉体色が、L*が37.4562、a*が−0.3485、b*が−4.6939のRb0.33WO3微粒子(比表面積20m2/g)を10重量部、トルエン80重量部、微粒子分散用分散剤10重量部を混合し、媒体攪拌ミルで分散処理を行ない、平均分散粒子径80nmのRb0.33WO3微粒子の分散液を作製した(C液)。
実施例1と同様の方法で、平均分散粒子径80nmのFe2O3微粒子の分散液を作製した(B液)。
このC液とB液とを、Rb0.33WO3微粒子とFe2O3微粒子との固形分重量比が1:1となるように混合し、さらに、ハードコート用紫外線硬化樹脂(固形分100%)を加えてトルエンで希釈して十分混合し塗布液とした。当該塗布液中のハードコート用紫外線硬化樹脂(固形分100%)の割合は20wt%とした。
測定し、可視光透過率、近赤外光透過率、色調(L*、a*、b*表色系)を算出した。
粉体色が、L*が37.9481、a*が−0.1209、b*が−6.0232のCs0.33WO3微粒子(比表面積20m2/g)を10重量部、トルエン80重量部、微粒子分散用分散剤10重量部を混合し、媒体攪拌ミルで分散処理を行ない、平均分散粒子径80nmのCs0.33WO3微粒子の分散液を作製した(A液)。
実施例1と同様の方法で、平均分散粒子径80nmのFe2O3微粒子の分散液を作製した(B液)。
このA液とB液とを、Cs0.33WO3微粒子とFe2O3微粒子との固形分重量比が2:1となるように混合し、さらに、ハードコート用紫外線硬化樹脂(固形分100%)を加えてトルエンで希釈して十分混合し塗布液とした。当該塗布液中のハードコート用紫外線硬化樹脂(固形分100%)の割合は20wt%とした。
粉体色が、L*が37.9481、a*が−0.1209、b*が−6.0232のCs0.33WO3微粒子(比表面積20m2/g)を10重量部、トルエン80重量部、微粒子分散用分散剤10重量部を混合し、媒体攪拌ミルで分散処理を行ない、平均分散粒子径80nmのCs0.33WO3微粒子の分散液を作製した(A液)。
実施例1と同様の方法で、平均分散粒子径80nmのFe2O3微粒子の分散液を作製した(B液)。
さらにスプレードライヤーを用いて(A液)および(B液)のトルエンを、それぞれ除去し、Cs0.33WO3分散粉である(A粉)とFe2O3分散粉である(B粉)を得た。
得られた(A粉)および(B粉)を、各々ポリエステル樹脂ペレットに添加し、ブレンダーで均一に混合した後、二軸押出機で溶融混練し、押出されたストランドをペレット状にカットし、Cs0.33WO3を含有するマスターバッチと、Fe2O3を含有するマスターバッチとを得た。
このCs0.33WO3を含有するマスターバッチと、Fe2O3を含有するマスターバッチとの固形分重量比が5:1となるように、同じ方法で調製した無機微粒子を添加していないマスターバッチと混合した。
この混合マスターバッチを押出し成形して、厚さ50μmのフィルムを形成した。
粉体色が、L*が37.9481、a*が−0.1209、b*が−6.0232のCs0.33WO3微粒子(比表面積20m2/g)を10重量部と、トルエン80重量部と、微粒子分散用分散剤10重量部とを混合し、媒体攪拌ミルで分散処理を行ない、平均分散粒子径80nmのCs0.33WO3微粒子の分散液を作製した(A液)。
このA液70重量部と、ハードコート用紫外線硬化樹脂(固形分100%)20重量部と、トルエン10重量部とを混合して、Cs0.33WO3微粒子分散体液を得た。
同様に、Fe2O3微粒子10重量部と、トルエン80重量部と、微粒子分散用分散剤10重量部とを混合し、平均分散粒子径80nmのFe2O3微粒子の分散液を作製した(B液)。
このB液5重量部とハードコート用紫外線硬化樹脂(固形分100%)20重量部とト
ルエン75重量部とを混合して、Fe2O3微粒子分散体液を得た。
この膜の光学特性を実施例1と同様の方法で測定し、可視光透過率、近赤外光透過率、色調(L*、a*、b*表色系)を算出した。
粉体色が、L*が37.9481、a*が−0.1209、b*が−6.0232のCs0.33WO3微粒子(比表面積20m2/g)を10重量部と、トルエン80重量部と、微粒子分散用分散剤10重量部とを混合し、媒体攪拌ミルで分散処理を行ない、平均分散粒子径80nmのCs0.33WO3微粒子の分散液を作製した(A液)。さらにスプレードライヤーを用いて(A液)のトルエンを除去し、Cs0.33WO3分散粉である(A粉)を得た。
得られた(A粉)をポリエステル樹脂ペレットに添加し、ブレンダーで均一に混合した後、二軸押出機で溶融混練し、押出されたストランドをペレット状にカットし、Cs0.33WO3を含有するマスターバッチを得た。このCs0.33WO3を含有するマスターバッチを、同じ方法であるが無機微粒子を添加しないで調製したマスターバッチと混合した。この混合マスターバッチを押出し成形して、厚さ50μmのフィルムを形成した。
同様に、Fe2O3微粒子10重量部と、トルエン80重量部と、微粒子分散用分散剤10重量部とを混合し、平均分散粒子径80nmのFe2O3微粒子3の分散液を作製した(B液)。
このB液5重量部とハードコート用紫外線硬化樹脂(固形分100%)20重量部とトルエン75重量部とを混合して、Fe2O3微粒子分散体液を得た。
このFe2O3微粒子分散体液をバーコーターを用いて、Cs0.33WO3微粒子を含有している上記フィルム上に塗布、成膜し、硬化させ、Cs0.33WO3微粒子とFe2O3微粒子の固形分重量比が10:1となるような膜を得た。
粉体色が、L*が37.5774、a*が6.4793、b*が4.2244のFe2O3微粒子(比表面積100m2/g)を10重量部と、トルエン80重量部と、微粒子分散用分散剤10重量部とを混合し、媒体攪拌ミルで分散処理を行ない、平均分散粒子径80nmのFe2O3微粒子3の分散液を得た(B液)。このB液5重量部とハードコート用紫外線硬化樹脂(固形分100%)20重量部と、トルエン75重量部とを混合して、Fe2O3微粒子分散体液を得た。
このFe2O3微粒子分散体液を、バーコーターを用いて50μmPETフィルム上に塗布、成膜した。この膜を70℃で1分間乾燥し溶媒を蒸発させた後、高圧水銀ランプ(UV光)で硬化させ、目的とする膜を得た。
ることで、近赤外光透過率が低く保持され遮蔽効果が高いうえ、紫外線遮蔽効果もあった。特に、実施例1〜3では、紫外線を100%遮蔽していた。また、色調は彩度の低いブロンズ色であり意匠性が高かった。
これに対し、比較例1に係る膜は、可視光透過率よりも近赤外光透過率の方が高く、紫外線遮蔽効果は有するものの、近赤外光遮蔽体としては遮蔽効果が悪かった。
Claims (15)
- 一般式MYWOZ(但し、0.001≦Y≦1.0、2.2≦Z≦3.0、M元素は、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Snのうちから選択される1種類以上の元素)で示され、且つ六方晶の結晶構造を持つ複合タングステン酸化物微粒子と、酸化鉄微粒子とが、媒体中に混合分散し、前記複合タングステン酸化物微粒子と、前記酸化鉄微粒子との混合分散が、固形分重量比で(0.05:1)〜(10:1)の範囲にあり、可視光透過率の数値よりも近赤外光透過率の数値が低く、L*a*b*表色系で評価したとき、L*が45〜95、a*が−20〜90、b*が0〜180であることを特徴とする紫外・近赤外光遮蔽分散体。
- 可視光透過率が20〜90%であり、近赤外光透過率が10〜80%であり、ブロンズ色を有することを特徴とする請求項1に記載の紫外・近赤外光遮蔽分散体。
- 上記複合タングステン酸化物微粒子の粉体色が、L*a*b*表色系において、L*が25〜80、a*が−10〜10、b*が−15〜15であり、上記酸化鉄微粒子の粉体色が、L*a*b*表色系において、L*が20〜80、a*が−5〜15、b*が−10〜25であることを特徴とする請求項1または2に記載の紫外・近赤外光遮蔽分散体。
- 上記複合タングステン酸化物微粒子と酸化鉄微粒子との粒子径が、1nm以上800nm以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の紫外・近赤外光遮蔽分散体。
- 上記複合タングステン酸化物微粒子の表面が、ケイ素、ジルコニウム、チタン、アルミニウムを1種類以上含む酸化物で被覆されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の紫外・近赤外光遮蔽分散体。
- 上記媒体が、樹脂もしくはガラスであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の紫外・近赤外光遮蔽分散体。
- 上記媒体が、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂のうちの1種類以上であることを特徴とする請求項6に記載の紫外・近赤外光遮蔽分散体。
- 上記媒体が、板状、フィルム状、薄膜状であることを特徴とする請求項6または7に記載の紫外・近赤外光遮蔽分散体。
- 一般式MYWOZ(但し、0.001≦Y≦1.0、2.2≦Z≦3.0、M元素は、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Snのうちから選択される1種類以上の元素)で示される複合タングステン酸化物微粒子と、酸化鉄微粒子とが、
媒体中に混合分散し、前記複合タングステン酸化物微粒子と、前記酸化鉄微粒子との混合分散が、固形分重量比で(0.05:1)〜(10:1)の範囲にあり、可視光透過率の数値よりも近赤外光透過率の数値が低く、L*a*b*表色系で評価したとき、L*が45〜95、a*が−20〜90、b*が0〜180である紫外・近赤外光遮蔽分散体が、基材の片面または両面に設けられていることを特徴とする紫外・近赤外光遮蔽体。 - 一般式MYWOZ(但し、0.001≦Y≦1.0、2.2≦Z≦3.0、M元素は、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Snのうちから選択され
る1種類以上の元素)で示される複合タングステン酸化物微粒子が媒体中に分散した分散体と、酸化鉄微粒子が媒体中に分散した分散体とが、
酸化鉄微粒子が媒体内に分散された酸化鉄微粒子分散体の片面または両面に、複合タングステン酸化物微粒子を有する分散体を配するか、あるいは、複合タングステン酸化物微粒子が媒体内に分散された複合タングステン酸化物微粒子分散体の片面または両面に、酸化鉄微粒子を含有する酸化鉄微粒子分散体を配されており、
前記複合タングステン酸化物微粒子が分散した分散体中の複合タングステン酸化物微粒子と、前記酸化鉄微粒子が分散した分散体中の酸化鉄微粒子との比率が、固形分重量比で(0.05:1)〜(10:1)の範囲にあり、
酸化鉄微粒子が媒体内に分散された酸化鉄微粒子分散体の片面または両面に、複合タングステン酸化物微粒子を有する分散体を配するか、あるいは、複合タングステン酸化物微粒子が媒体内に分散された複合タングステン酸化物微粒子分散体の片面または両面に、酸化鉄微粒子を含有する酸化鉄微粒子分散体を配する紫外・近赤外光遮蔽体において、可視光透過率の数値よりも近赤外光透過率の数値が低く、L*a*b*表色系で評価したとき、L*が45〜95、a*が−20〜90、b*が0〜180であることを特徴とする紫外・近赤外光遮蔽体。 - 一般式MYWOZ(但し、0.001≦Y≦1.0、2.2≦Z≦3.0、M元素は、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Snのうちから選択される1種類以上の元素)で示される複合タングステン酸化物微粒子が媒体中に分散した分散体と、酸化鉄微粒子が媒体中に分散した分散体とが、
基体の片面に設けられ、または、基体の両面にそれぞれ設けられており、
前記複合タングステン酸化物微粒子が分散した分散体中の複合タングステン酸化物微粒子と、前記酸化鉄微粒子が分散した分散体中の酸化鉄微粒子との比率が、固形分重量比で(0.05:1)〜(10:1)の範囲にあり、
前記複合タングステン酸化物微粒子が媒体中に分散した分散体と、酸化鉄微粒子が媒体中に分散した分散体とが、基体の片面に設けられ、または、基体の両面にそれぞれ設けられた紫外・近赤外光遮蔽体において、可視光透過率の数値よりも近赤外光透過率の数値が低く、L*a*b*表色系で評価したとき、L*が45〜95、a*が−20〜90、b*が0〜180であることを特徴とする紫外・近赤外光遮蔽体。 - 可視光透過率が20〜90%であり、近赤外光透過率が10〜80%であり、ブロンズ色を有することを特徴とする請求項9乃至11のいずれかに記載の紫外・近赤外光遮蔽体。
- 上記媒体が、板状、フィルム状、薄膜状であることを特徴とする請求項9乃至12のいずれかに記載の紫外・近赤外光遮蔽体。
- 上記基材が、樹脂またはガラスであることを特徴とする請求項9乃至13のいずれかに記載の紫外・近赤外光遮蔽体。
- 上記基材が、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂のうちの1種類以上であることを特徴とする請求項14に記載の紫外・近赤外光遮蔽体。
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