JPWO2018235138A1 - 熱線吸収成分含有マスターバッチおよびその製造方法、熱線吸収透明樹脂成形体、並びに熱線吸収透明積層体 - Google Patents
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Abstract
Description
複合タングステン酸化物微粒子と熱可塑性樹脂とを含み、熱線吸収透明樹脂成形体を製造するために用いられる熱線吸収成分含有マスターバッチであって、
前記複合タングステン酸化物微粒子は、一般式MyWOz(但し、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、I、Ybの内から選択される1種以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.1≦y≦0.5、2.2≦z≦3.0)で示される六方晶の結晶構造を有し、且つ、シリコン粉末標準試料(NIST製、640c)の(220)面のXRDピーク強度の値を1としたとき、XRDピークトップ強度の比の値が0.13以上であり、
前記熱可塑性樹脂は、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、フッ素樹脂、ポリオレフィン樹脂およびポリエステル樹脂から選択される1種以上である、ことを特徴とする熱線吸収成分含有マスターバッチである。
第2の構成は、
前記複合タングステン酸化物微粒子の結晶子径が100nm以下である、ことを特徴とする第1の構成に記載の熱線吸収成分含有マスターバッチである。
第3の構成は、
前記複合タングステン酸化物微粒子は、酸素含有雰囲気下における50℃以上400℃以下の加熱による酸化暴露処理を施されたものであることを特徴とする第1または第2の構成に記載の熱線吸収成分含有マスターバッチである。
第4の構成は、
第1から第3の構成のいずれかに記載の熱線吸収成分含有マスターバッチと、
前記マスターバッチに含まれる熱可塑性樹脂と同種、または、相溶性を有する異種の熱可塑性樹脂との混合混練物であって、所定の形状に成形されたものである、ことを特徴とする熱線吸収透明樹脂成形体である。
第5の構成は、
第4の構成に記載の熱線吸収透明樹脂成形体が他の透明成形体に積層されたものである、ことを特徴とする熱線吸収透明積層体である。
第6の構成は、
熱線吸収透明樹脂成形体を製造するために用いられる熱線吸収成分含有マスターバッチの製造方法であって、
一般式MyWOz(但し、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、I、Ybの内から選択される1種以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.1≦y≦0.5、2.2≦z≦3.0)で示される六方晶の結晶構造を有し、且つ、シリコン粉末標準試料(NIST製、640c)の(220)面のXRDピーク強度の値を1としたとき、XRDピークトップ強度の比の値が0.13以上で、平均粒子径が100nm以下の複合タングステン酸化物微粒子と、分散剤とを、溶媒に加えて粉砕・分散処理を行い、微粒子分散液を得る工程と、
前記微粒子分散液から溶媒を除去して微粒子分散粉を得る工程と、
前記微粒子分散粉へ、酸素含有雰囲気下において50℃以上400℃以下の加熱による酸化暴露処理する工程と、
前記酸化暴露処理を受けた微粒子分散粉と、熱可塑性樹脂ペレットとを混合し、熔融混練し、成形する工程とを、具備することを特徴とする熱線吸収成分含有マスターバッチの製造方法である。
第7の構成は、
前記酸素含有雰囲気の酸素濃度が、0.1体積%以上25体積%以下であることを特徴とする第6の構成に記載の熱線吸収成分含有マスターバッチの製造方法である。
本発明に係る熱線吸収透明樹脂成形体用の熱線吸収成分含有マスターバッチは、熱可塑性樹脂と、一般式MyWOz(但し、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、I、Ybの内から選択される1種以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.1≦y≦0.5、2.2≦z≦3.0)で示される六方晶の結晶構造を持ち、かつシリコン粉末標準試料(NIST製、640c)の(220)面に係るXRDピーク強度を1としたときの、前記複合タングステン酸化物微粒子のXRDピークトップ強度の比の値が0.13以上である複合タングステン酸化物微粒子とを主成分としている。そして、前記熱可塑性樹脂が、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、フッ素樹脂、ポリオレフィン樹脂およびポリエステル樹脂から選択される少なくとも一種であると共に、前記複合タングステン酸化物微粒子表面が酸化暴露処理されていることを特徴とする熱線吸収成分含有マスターバッチである。
本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子は、近赤外線領域、特に波長1000nm付近の光を大きく吸収するため、その透過色調はブルー系の色調となるものが多い。また、当該熱線遮蔽材料の粒子径は、その使用目的によって適宜選定することができる。
まず、透明性を保持した応用に使用する場合には、複合タングステン酸化物微粒子は、800nm以下の分散粒子径を有していることが好ましい。800nmよりも小さい分散粒子径は、散乱により光を完全に遮蔽することが無く、可視光領域の視認性を保持し、同時に効率よく透明性を保持することができるからである。特に可視光領域の透明性を重視する場合には、さらに粒子による散乱を考慮することが好ましい。
以下、本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子について、(A)組成、(B)XRDピークトップ強度の比の値、(C)結晶構造、(D)耐候性の付与、(E)合成方法、の順に説明する。
本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子は、一般式MyWOz(但し、0.1≦y≦0.5、2.2≦z≦3.0)で示され、六方晶の結晶構造を持ち、かつシリコン粉末標準試料(NIST製、640c)の(220)面に係るXRDピーク強度を1としたときの、前記複合タングステン酸化物微粒子のXRDピークトップ強度の比の値が0.13以上である複合タングステン酸化物微粒子である。ここで、M元素が、例えばH、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、I、Ybの内から選択される1種類以上を含むような複合タングステン酸化物微粒子が挙げられる。添加元素Mの添加量yは、0.1以上、0.5以下が好ましく、更に好ましくは0.29≦x/y≦0.39である。理論的にはz/y=3の時、x/yの値が0.33となることで、添加M元素が六角形の空隙の全てに配置されると考えられる。これは六方晶の結晶構造から理論的に算出されるyの値が0.33であり、0.29≦x/y≦0.39で好ましい光学特性が得られるからである。また、zの範囲については、2.2≦z≦3.0が好ましい。典型的な例としてはCs0.33WO3、Cs0.03Rb0.30WO3、Rb0.33WO3、K0.33WO3、Ba0.33WO3などを挙げることができる。
本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子は、熱線吸収特性の観点からシリコン粉末標準試料(NIST製、640c)の(220)面に係るXRDピーク強度を1としたときの、前記複合タングステン酸化物微粒子のXRDピークトップ強度の比の値が0.13以上である。さらに、当該複合タングステン酸化物微粒子においては、アモルファス相の体積比率が50%以下である単結晶であることが好ましい。
当該複合タングステン酸化物微粒子が、アモルファス相の体積比率50%以下である単結晶であると、XRDピークトップ強度を維持しながら結晶子径を200nm以下にすることが出来る。複合タングステン酸化物微粒子の結晶子径を200nm以下とすることで、その分散粒子径を1nm以上200nm以下とすることが出来る。
これに対し、複合タングステン超微粒子において、分散粒子径が1nm以上200nm以下ではあるが、アモルファス相が体積比率で50%を超えて存在する場合や、多結晶の場合、当該複合タングステン超微粒子のXRDピークトップ強度比の値が0.13未満となり、結果的に、近赤外線吸収特性が不十分で近赤外線吸収特性を発現が不十分となる場合がある。
そして、本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子の結晶子径が200nm以下10nm以上であることが、より好ましい。結晶子径が200nm以下10nm以上の範囲であれば、XRDピークトップ強度比の値が0.13を超え、さらに優れた赤外線吸収特性が発揮されるからである。
本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子においては、後述する解砕、粉砕または分散された後の複合タングステン酸化物微粒子分散液中の複合タングステン酸化物微粒子のX線回折パターンは、後述する本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子分散液中の揮発成分を除去して得られた複合タングステン酸化物微粒子のX線回折パターンや、前記分散液から得られる分散体中に含まれる複合タングステン酸化物微粒子のX線回折パターンにおいても維持される。
結果的に、複合タングステン酸化物微粒子分散液や該分散液から得られる複合タングステン超微粒子分散体中の複合タングステン酸化物微粒子のXRDパターン、XRDピークトップ強度、結晶子径など結晶の状態が、本発明で用いることができる複合タングステン酸化物微粒子の結晶の状態であれば、本発明の効果は発揮される。
本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子は、上述の構成を有する複合タングステン酸化物微粒子が既に酸化物であるが、優れた耐候性を付与する為、当該複合タングステン酸化物微粒子を含む分散粉を酸素含有雰囲気下で酸化暴露処理することが望ましい。
当該酸化暴露処理により、最終製品である熱線吸収透明樹脂成形体や積層体の耐候性が向上する理由は、当該酸化暴露処理で、上述の構成を有する複合タングステン酸化物微粒子の表面に予め劣化層が形成される為であると考えられる。当該劣化層が外部酸素の内部拡散のバリアー層となる結果、本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子の耐侯性が向上し、最終製品である熱線吸収透明樹脂成形体や積層体の耐侯性が向上したものと考えている。
本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子の合成方法について説明する。
本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子の合成方法としては、熱プラズマ中にタングステン化合物出発原料を投入する熱プラズマ法や、タングステン化合物出発原料を還元性ガス雰囲気中で熱処理する固相反応法が挙げられる。熱プラズマ法や固相反応法で合成された複合タングステン酸化物微粒子は、分散処理または粉砕・分散処理される。
以下、(1)熱プラズマ法、(2)固相反応法、(3)合成された複合タングステン酸化物粒子、(4)揮発成分と乾燥処理方法、(5)酸化暴露処理、の順に説明する。
熱プラズマ法について(i)熱プラズマ法に用いる原料、(ii)熱プラズマ法とその条件、の順に説明する。
本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子を熱プラズマ法で合成する際には、タングステン化合物と、M元素化合物との混合粉体を原料として用いることができる。
タングステン化合物としては、タングステン酸(H2WO4)、タングステン酸アンモニウム、六塩化タングステン、アルコールに溶解した六塩化タングステンに水を添加して加水分解した後溶媒を蒸発させたタングステンの水和物、から選ばれる1種以上であることが好ましい。
上述したタングステン化合物と上述したM元素化合物とを含む水溶液とを、M元素とW元素の比が、MxWyOz(但し、Mは前記M元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1.0、2.0<z/y≦3.0)のM元素とW元素の比となるように湿式混合する。そして、得られた混合液を乾燥することによって、M元素化合物とタングステン化合物との混合粉体が得られる、そして、当該混合粉体は、熱プラズマ法の原料とすることが出来る。
本発明で用いる熱プラズマとして、例えば、直流アークプラズマ、高周波プラズマ、マイクロ波プラズマ、低周波交流プラズマ、のいずれか、または、これらのプラズマの重畳したもの、または、直流プラズマに磁場を印加した電気的な方法により生成するプラズマ、大出力レーザーの照射により生成するプラズマ、大出力電子ビームやイオンビームにより生成するプラズマ、が適用出来る。尤も、いずれの熱プラズマを用いるにしても、10000〜15000Kの高温部を有する熱プラズマであり、特に、超微粒子の生成時間を制御できるプラズマであることが好ましい。
先ず、真空排気装置により、水冷石英二重管内と反応容器内とで構成される反応系内を、約0.1Pa(約0.001Torr)まで真空引きする。反応系内を真空引きした後、今度は、当該反応系内をアルゴンガスで満たし、1気圧のアルゴンガス流通系とする。
その後、反応容器内にプラズマガスとして、アルゴンガス、アルゴンとヘリウムの混合ガス(Ar−He混合ガス)、またはアルゴンと窒素の混合ガス(Ar−N2混合ガス)から選択されるいずれかのガスを30〜45L/minの流量で導入する。一方、プラズマ領域のすぐ外側に流すシースガスとして、Ar−He混合ガスを60〜70L/minの流量で導入する。
さらに、粉末供給ノズルより、前記合成方法で得たM元素化合物とタングステン化合物との混合粉体、または、複合タングステン酸化物を、ガス供給装置から供給する6〜98L/minのアルゴンガスをキャリアガスとして、供給速度25〜50g/minの割合で,熱プラズマ中に導入して所定時間反応を行う。反応後、生成した複合タングステン酸化物微粒子はフィルターに堆積するので、これを回収する。
キャリアガス流量と原料供給速度は、微粒子の生成時間に大きく影響する。そこで、キャリアガス流量を6L/min以上9L/min以下とし、原料供給速度を25〜50g/minとするのが好ましい。
また、プラズマガス流量を30L/min以上45L/min以下、シースガス流量を60L/min以上70L/min以下とすることが好ましい。プラズマガスは10000〜15000Kの高温部を有する熱プラズマ領域を保つ機能があり、シースガスは反応容器内における石英トーチの内壁面を冷やし、石英トーチの溶融を防止する機能がある。それと同時に、プラズマガスとシースガスはプラズマ領域の形状に影響を及ぼすため、それらのガスの流量はプラズマ領域の形状制御に重要なパラメータとなる。プラズマガスとシースガス流量を上げるほどプラズマ領域の形状がガスの流れ方向に延び、プラズマ尾炎部の温度勾配が緩やかなるので、生成される微粒子の生成時間を長くし、結晶性の良い微粒子を生成できるようになる。これにより、本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子のXRDピークトップ強度比の値を所望の値とすることが出来る。逆に、プラズマガスとシースガス流量を下げるほどプラズマ領域の形状がガスの流れ方向に縮み、プラズマ尾炎部の温度勾配が急になるので、生成される微粒子の生成時間を短くし、BET比表面積の大きい微粒子を生成できるようになる。これにより本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子のXRDピークトップ強度の比の値を所定の値に設定することが出来る。
固相反応法について(i)固相反応法に用いる原料、(ii)固相反応法における焼成とその条件、の順に説明する。
本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子を固相反応法で合成する際には、原料としてタングステン化合物およびM元素化合物を用いる。
タングステン化合物は、タングステン酸(H2WO4)、タングステン酸アンモニウム、六塩化タングステン、アルコールに溶解した六塩化タングステンに水を添加して加水分解した後、溶媒を蒸発させたタングステンの水和物、から選ばれる1種以上であることが好ましい。
当該湿式混合で製造したM元素化合物とタングステン化合物との混合粉体、もしくは不純物元素化合物を含むM元素化合物とタングステン化合物との混合粉体を、不活性ガス単独または不活性ガスと還元性ガスとの混合ガス雰囲気下、1段階で焼成する。このとき、焼成温度は複合タングステン酸化物微粒子が結晶化し始める温度に近いことが好ましく、具体的には焼成温度が1000℃以下であることが好ましく、800℃以下であることがより好ましく、800℃以下500℃以上の温度範囲がさらに好ましい。この焼成温度の制御により、本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子のXRDピークトップ強度の比の値を所定の値に設定することが出来る。
尤も、当該複合タングステン酸化物微粒子の合成において、前記タングステン化合物に替えて、三酸化タングステンを用いても良い。
熱プラズマ法や固相反応法による合成法で得られた複合タングステン酸化物微粒子を用いて複合タングステン酸化物微粒子分散液を作製した場合、当該分散液に含有されている微粒子の分散粒子径が200nmを超える場合は、後述する複合タングステン酸化物微粒子分散液を製造する工程において、粉砕・分散処理すればよい。そして、粉砕・分散処理を経て得られた複合タングステン酸化物微粒子のXRDピークトップ強度の比の値が、本発明の範囲を実現できていれば、本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子やその分散液から得られる複合タングステン酸化物微粒子分散体は、優れた近赤外線遮蔽特性を実現できるのである。
本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子は、揮発成分を含む場合があるが、当該揮発成分の含有率は2.5質量%以下であることが好ましい。しかし、複合タングステン酸化物微粒子が大気中に暴露されるなどして、揮発成分の含有率が2.5質量%を超えた場合は、乾燥処理により当該揮発成分の含有率を低減させることが出来る。
乾燥処理の設備としては、加熱および/または減圧が可能で、当該超微粒子の混合や回収がし易いという観点から、大気乾燥機、万能混合機、リボン式混合機、真空流動乾燥機、振動流動乾燥機、凍結乾燥機、リボコーン、ロータリーキルン、噴霧乾燥機、パルコン乾燥機、等が好ましいが、これらに限定されない。
後述する方法で得られた複合タングステン酸化物微粒子分散液を、大気乾燥機によって乾燥処理して当該分散液中の揮発成分を除去する処理方法である。この場合、複合タングステン酸化物微粒子から当該揮発成分が揮発するよりも高い温度であって、元素Mが脱離しない温度で乾燥処理することが望ましく、150℃以下であることが望ましい。
当該大気乾燥機により、乾燥処理して製造した複合タングステン酸化物微粒子は、弱い二次凝集体となっている。この状態でも、当該複合タングステン酸化物微粒子を樹脂等に分散させることは可能であるが、より分散し易くするために、当該微粒子を擂潰機等によって解砕することも好ましい一例である。
真空流動乾燥機による乾燥処理を行うことで、複合タングステン酸化物微粒子分散液中の揮発成分を除去する処理方法である。当該真空流動乾燥機では、減圧雰囲気下で乾燥と解砕の処理を同時に行うため、乾燥速度が速い上に、上述した大気乾燥機での乾燥処理品に見られるような凝集体を形成しない。また、減圧雰囲気下での乾燥のため、比較的低温でも揮発成分を除去することができ、残存する揮発成分量も限りなく少なくすることができる。
乾燥温度は複合タングステン酸化物微粒子から元素Mが脱離しない温度で乾燥処理することが望ましく、当該揮発成分が揮発するよりも高い温度であって、150℃以下であることが望ましい。
噴霧乾燥機による乾燥処理を行うことで、複合タングステン酸化物微粒子分散液の揮発成分を除去する処理方法である。当該噴霧乾燥機では、乾燥処理における揮発成分除去の際に、揮発成分の表面力に起因する二次凝集が発生しにくく、解砕処理を施さずとも比較的二次凝集していない複合タングステン酸化物微粒子が得られる。
このようにして得た複合タングステン酸化物粒子を、適宜な溶媒とともに、例えばビーズミル、ボールミル、サンドミル、ペイントシェーカー、超音波ホモジナイザーなどとともに湿式粉砕して複合タングステン酸化物粒子をより微粒子化する。
複合タングステン酸化物微粒子を分散粉とした後、耐侯性を付与する為に当該複合タングステン酸化物微粒子を含む分散粉を酸素含有雰囲気下で酸化暴露処理する。
当該酸素含有雰囲気の酸素濃度が25体積%以下であれば、複合タングステン酸化物微粒子表面が過度に酸化されて酸化膜が厚膜化することを回避出来る。当該酸化膜の過度に厚膜化を回避することで、後工程においてフィラー使用量の増加を招きコストアップとなる場合を回避出来るからである。
一方、当該酸素含有雰囲気の酸素濃度が0.1体積%以上あれば、複合タングステン酸化物微粒子表面の酸化膜の膜厚が確保出来、耐侯性向上の効果を得ることが出来る。
処理温度は、酸素濃度に応じて適宜選択すればよいが、耐侯性効果の観点から20℃以上400℃以下が好ましい。酸化暴露処理時間は、処理温度に応じて適宜選択すればよいが、具体的には、例えば、処理温度が50℃以上100℃未満であれば、処理時間は10時間以上72時間以下、100℃以上400℃以下であれば1時間以上72時間以下が好ましい。得られた複合タングステン酸化物微粒子は、十分な耐侯性を発揮する。
従来、塗料用として一般的に使用されている分散剤は、様々な酸化物微粒子を有機溶剤中に均一に分散する目的で使用されている。分散剤は、アミンを含有する基、水酸基、カルボキシル基、または、エポキシ基を官能基として有するものである。
ビックケミー・ジャパン(株)製Disperbyk−101、Disperbyk−103、Disperbyk−107、Disperbyk−108、Disperbyk−109、Disperbyk−110、Disperbyk−111、Disperbyk−112、Disperbyk−116、Disperbyk−130、Disperbyk−140、Disperbyk−142、Disperbyk−145、Disperbyk−154、Disperbyk−161、Disperbyk−162、Disperbyk−163、Disperbyk−164、Disperbyk−165、Disperbyk−166、Disperbyk−167、Disperbyk−168、Disperbyk−170、Disperbyk−171、Disperbyk−174、Disperbyk−180、Disperbyk−181、Disperbyk−182、Disperbyk−183、Disperbyk−184、Disperbyk−185、Disperbyk−190、Disperbyk−2000、Disperbyk−2001、Disperbyk−2020、Disperbyk−2025、Disperbyk−2050、Disperbyk−2070、Disperbyk−2095、Disperbyk−2150、Disperbyk−2155、Anti−Terra−U、Anti−Terra−203、Anti−Terra-204、BYK−P104、BYK−P104S、BYK−220S、BYK−6919等;
BASFジャパン(株)社製 EFKA4008、EFKA4046、EFKA4047、EFKA4015、EFKA4020、EFKA4050、EFKA4055、EFKA4060、EFKA4080、EFKA4300、EFKA4330、EFKA4400、EFKA4401、EFKA4402、EFKA4403、EFKA4500、EFKA4510、EFKA4530、EFKA4550、EFKA4560、EFKA4585、EFKA4800、EFKA5220、EFKA6230、JONCRYL67、JONCRYL678、JONCRYL586、JONCRYL611、JONCRYL680、JONCRYL682、JONCRYL690、JONCRYL819、JONCRYL−JDX5050等;
東亞合成(株)製アルフォンUC−3000、アルフォンUF−5022、アルフォンUG−4010、アルフォンUG−4035、アルフォンUG−4070等;
味の素ファインテクノ(株)製アジスパーPB−711、アジスパーPB−821、アジスパーPB−822等が挙げられる。
そして、分散剤の熱分解温度が230℃以上であれば、成形時に当該分散剤が熱分解することなく分散能を維持すると伴に、それ自体が黄〜茶色に変色することもない。この結果、製造される成形体において、熱線遮蔽微粒子が十分に分散される結果、可視光透過率が良好に確保されて本来の光学特性を得ることができると伴に、成形体が黄色に着色することもない。
特に、熱可塑性樹脂として、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂など、溶融混練温度が高い樹脂を使用する場合には、熱分解温度が250℃以上であるアクリル主鎖と水酸基またはエポキシ基とを有する高耐熱性分散剤を使用することの効果が顕著に発揮される。
次に、本発明に使用される熱可塑性樹脂としては、可視光領域の光線透過率が高い透明な熱可塑性樹脂であれば特に制限はない。例えば、3mm厚の板状成形体としたときのJISR3106記載の可視光透過率が50%以上で、JISK7105記載のヘイズが30%以下のものが好ましいものとして挙げられる。
本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子を熱可塑性樹脂へ分散させて、本発明に係る熱線吸収成分含有マスターバッチを製造する方法は、微粒子が均一に樹脂に分散できる方法であれば任意に選択できる。例としては、まず、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、超音波分散などの方法を用い、前記複合タングステン酸化物微粒子を任意の溶剤に分散した分散液を調製する。次に、当該分散液と、分散剤と、熱可塑性樹脂の粉粒体またはペレットと、必要に応じて他の添加剤とを、リボンブレンダー、タンブラー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、プラネタリーミキサー等の混合機、および、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、ニーダールーダー、一軸押出機、二軸押出機等の混練機を使用して、当該分散液から溶剤を除去しながら均一に溶融混合して、熱可塑性樹脂に複合タングステン酸化物微粒子を均一に分散した混合物を調製することができる。混錬時の温度は、使用する熱可塑性樹脂が分解しない温度に維持される。
分散方法は、熱可塑性樹脂中に複合タングステン酸化物微粒子が均一に分散されていればよく、これらの方法に限定されない。
本発明に係る熱線吸収成分含有マスターバッチは、上述したいずれの形態または形状を採り得るものである。尤も、熱線吸収透明樹脂成形体を成形するときに、当該熱線吸収成分含有マスターバッチの希釈に使用される熱可塑性樹脂成形材料と同一の形態および形状を有していることが好ましい。
本発明に係る熱線吸収透明樹脂成形体は、前記熱線吸収成分含有マスターバッチを、当該マスターバッチの熱可塑性樹脂と同種の熱可塑性樹脂成形材料、あるいは当該マスターバッチの熱可塑性樹脂と相溶性を有する異種の熱可塑性樹脂成形材料で希釈・混練し、所定の形状に成形することによって得られる。
各実施例において、熱線吸収透明樹脂成形体の可視光透過率並びに日射透過率は、日立製作所(株)製の分光光度計U−4000を用いて測定した。この日射透過率は、熱線吸収性能を示す指標である。また、ヘイズ値は村上色彩技術研究所(株)製HR−200を用い、JIS K 7105に基づいて測定した。
水330gにCs2CO3216gを溶解し、これをH2WO41000gに添加して十分攪拌した後、乾燥し、狙いの組成であるCs0.33WO3前駆体を得た。
次に、高周波プラズマ反応装置を用い、真空排気装置により反応系内を約0.1Pa(約0.001Torr)まで真空引きした後、アルゴンガスで完全に置換して1気圧の流通系とした。その後、反応容器内にプラズマガスとしてアルゴンガスを30L/minの流量で導入し、シースガスとしてシースガス供給口より螺旋状にアルゴンガス55L/minとヘリウムガス5L/minの流量で導入した。そして、高周波プラズマ発生用の水冷銅コイルに高周波電力を印加し、高周波プラズマを発生させた。このとき、10000〜15000Kの高温部を有している熱プラズマを発生させるため、高周波電力は40KWとした。
前記条件で高周波プラズマを発生させた後、キャリアガスとして、アルゴンガスをガス供給装置から9L/minの流量で供給しながら、前記混合粉体を50g/minの割合で熱プラズマ中に供給した。
当該堆積した超微粒子を回収し、粉末X線回折装置(スペクトリス株式会社PANalytical製X‘Pert−PRO/MPD)を用いて粉末X線回折法(θ―2θ法)によりX線回折パターンを測定した。
得られた微粒子の粉末X線回折測定を行った結果、六方晶Cs0.33WO3単相と同定された。さらに当該X線回折パターンを用いて、リートベルト解析法による結晶構造解析を行ったところ、得られた微粒子の結晶子径は16.9nmであった。さらに得られた微粒子のX線回折パターンのピークトップ強度の値は、4200カウントであった。
実施例1に係る複合タングステン酸化物微粒子分散液に含まれる複合タングステン酸化物微粒子、すなわち粉砕分散処理後の複合タングステン酸化物微粒子のX線回折パターンにおけるピークトップ強度の値は3000カウント、ピーク位置は2θ=27.8°であった。
さらに、実施例1に係る複合タングステン酸化物微粒子分散液の分散粒子径を、動的光散乱法に基づく粒径測定装置(大塚電子株式会社製ELS−8000)を用いて測定したところ、70nmであった。なお、粒径測定の設定として、粒子屈折率は1.81とし、粒子形状は非球形とした。また、バックグラウンドは、メチルイソブチルケトンを用いて測定し、溶媒屈折率は1.40とした。
得られたA粉を、N2ガスをキャリアとした5体積%O2ガスの流通下において、100℃の温度で24時間酸化暴露処理して、実施例1に係る酸化暴露処理粉(処理A粉)を得た。
得られた処理A粉と、熱可塑性樹脂であるポリカーボネート樹脂ペレットとを、Cs0.33WO3濃度が2.0重量%となるように混合し、ブレンダーを用いて均一に混合した。
当該混合物を、二軸押出機を用いて290℃で熔融混練し、押出されたストランドをペレット状にカットし、熱線吸収透明樹脂成形体用の熱線吸収成分含有マスターバッチ(マスターバッチA)を得た。
実施例1に係る成形体Aの光学特性を測定し、3点プロットより可視光透過率75%のときの日射透過率とヘイズ値を求めた。
表1に示すように、成形体Aの日射透過率は36.7%で、ヘイズ値は0.9%であった。
成形体Aを120℃の温度下に72時間暴露し、当該暴露前後の可視光透過率の変化率(ΔVLTと記す)を調べた。その結果、168時間後におけるΔVLTは0.92%であり、酸素含有雰囲気下で焼成処理しない場合(下記の参考例1参照)と比べて耐熱性試験後の光学的特性が優れ、耐侯性の向上が確認された。
実施例1において得られたA粉を大気雰囲気下で加熱し、100℃の温度で1時間酸化暴露処理して、実施例2に係る酸化暴露処理粉(処理B粉)を得た。
以降、処理A粉を処理B粉に代替した以外は、実施例1と同様の操作を行って実施例2に係る熱線吸収透明樹脂成形体(成形体B)を得た。
表1に示すように、成形体Bの可視光透過率75%のときの日射透過率は36.7%で、ヘイズ値は0.8%であった。
また、120℃の温度下に168時間暴露後のΔVLTは1.28%であり、酸素含有雰囲気下で処理しない以下の参考例1と比べて耐熱性試験後の光学的特性が優れ、耐侯性の向上が確認された。
炭酸セシウム7.43kgを水6.70kgに溶解した水溶液に、タングステン酸(H2WO4)34.57kgを添加して混合した後、100℃で攪拌しながら水分を除去して乾燥粉を得た。次に、当該乾燥粉を、N2ガスをキャリアとした5%H2ガスを供給しながら加熱し、800℃の温度で5.5時間加熱処理することによって複合タングステン酸化物を得た。
表1に示すように、成形体Cの可視光透過率75%のときの日射透過率は36.0%で、ヘイズ値は0.7%であった。また、120℃の温度下に72時間暴露後のΔVLTは0.90%であり、酸素含有雰囲気下で処理しない以下の参考例1と比べて耐熱性試験後の光学的特性が優れ、耐侯性の向上が確認された。
熱可塑性樹脂としてアクリル樹脂を用いた以外は、実施例3と同様の操作を行って実施例4に係る熱線吸収透明樹脂成形体(成形体D)を得た。
表1に示すように、成形体Dの可視光透過率75%のときの日射透過率は37.2%で、ヘイズ値は1.7%であった。
また、120℃の温度下に168時間暴露後のΔVLTは0.95%であり、酸素含有雰囲気下で処理しない以下の参考例1と比べて耐熱性試験後の光学的特性が優れ、耐侯性の向上が確認された。
熱可塑性樹脂としてポリエチレンテレフタレート樹脂を用いた以外は、実施例3と同様の操作を行って実施例5に係る熱線吸収透明樹脂成形体(成形体E)を得た。
表1に示すように、成形体Eの可視光透過率75%のときの日射透過率は36.6%で、ヘイズ値は0.5%であった。
また、120℃の温度下に72時間暴露後のΔVLTは0.92%であり、酸素含有雰囲気下で処理しない以下の参考例1と比べて耐熱性試験後の光学的特性が優れ、耐侯性の向上が確認された。
熱可塑性樹脂としてエチレン−4フッ化エチレン樹脂を用いた以外は、実施例3と同様の操作を行って実施例6に係る熱線吸収透明樹脂成形体(成形体F)を得た。
表1に示すように、成形体Fの可視光透過率75%のときの日射透過率は37.5%で、ヘイズ値は18.6%であった。
また、120℃の温度下に168時間暴露後のΔVLTは0.94%であり、酸素含有雰囲気下で処理しない以下の参考例1と比べて耐熱性試験後の光学的特性が優れ、耐侯性の向上が確認された。
なお、ヘイズ値が18.6%と高い値を示したが、これはエチレン−4フッ化エチレン樹脂自体が濁っているためヘイズが高くなったものである。
熱可塑性樹脂としてポリエチレン樹脂を用いた以外は、実施例3と同様の操作を行って実施例7に係る熱線吸収透明樹脂成形体(成形体G)を得た。
表1に示すように、成形体Gの可視光透過率75%のときの日射透過率は38.1%で、ヘイズ値は10.3%であった。
また、120℃の温度下に168時間暴露後のΔVLTは0.95%であり、酸素含有雰囲気下で処理しない以下の参考例1と比べて耐熱性試験後の光学的特性が優れ、耐侯性の向上が確認された。
なお、ヘイズ値が10.3%と高い値を示したが、これはポリエチレン樹脂自体が濁っているためヘイズが高くなったものである。
実施例1において得られたA粉を、酸素5体積%窒素95体積%の混合ガス雰囲気下において加熱し、200℃の温度で24時間酸化暴露処理して、実施例8に係る酸化暴露処理粉(処理C粉)を得た。
以降、処理A粉を処理C粉に代替した以外は、実施例1と同様の操作を行って実施例8に係る熱線吸収透明樹脂成形体(成形体H)を得た。
表1に示すように、成形体Hの可視光透過率75%のときの日射透過率は36.5%で、ヘイズ値は0.9%であった。
また、120℃の温度下に72時間暴露後のΔVLTは0.26%であり、酸素含有雰囲気下で処理しない以下の参考例1と比べて耐熱性試験後の光学的特性が優れ、耐侯性の向上が確認された。
実施例1において得られたA粉を、酸素1体積%窒素99体積%の混合ガス雰囲気下において加熱し、100℃の温度で24時間酸化暴露処理して、実施例9に係る酸化暴露処理粉(処理D粉)を得た。
以降、(処理A粉)を(処理D粉)に代替した以外は、実施例1と同様の操作を行って実施例9に係る熱線吸収透明樹脂成形体(成形体I)を得た。
表1に示すように、成形体Iの可視光透過率75%のときの日射透過率は36.7%で、ヘイズ値は0.8%であった。
また、120℃の温度下に72時間暴露後のΔVLTは1.18%であり、酸素含有雰囲気下で処理しない以下の参考例1と比べて耐熱性試験後の光学的特性が優れ、耐侯性の向上が確認された。
水330gにLi2CO344gを溶解し、これをH2WO41000gに添加して十分攪拌した後、乾燥し、狙いの組成であるLi0.3WO3の実施例10に係る混合粉体を得た以外は、実施例1と同様の操作を行って実施例10に係る熱線吸収透明樹脂成形体(成形体J)を得た。
表1に示すように、成形体Jの可視光透過率75%のときの日射透過率は45.0%で、ヘイズ値は0.9%であった。
また、120℃の温度下に72時間暴露後のΔVLTは0.96%であり、酸素含有雰囲気下で処理しない以下の参考例1と比べて耐熱性試験後の光学的特性が優れ、耐侯性の向上が確認された。
水330gにNa2CO321gを溶解し、これをH2WO41000gに添加して十分攪拌した後、乾燥し、狙いの組成であるNa0.1WO3の実施例11に係る混合粉体を得た以外は、実施例1と同様の操作を行って実施例11に係る熱線吸収透明樹脂成形体(成形体K)を得た。
表1に示すように、成形体Kの可視光透過率75%のときの日射透過率は46.0%で、ヘイズ値は0.8%であった。
また、120℃の温度下に72時間暴露後のΔVLTは0.95%であり、酸素含有雰囲気下で処理しない以下の参考例1と比べて耐熱性試験後の光学的特性が優れ、耐侯性の向上が確認された。
水330gにCu(NO3)2・3H2O251gを溶解し、これをH2WO41000gに添加して十分攪拌した後、乾燥し、狙いの組成であるCu0.26WO2.72の実施例12に係る混合粉体を得た以外は、実施例1と同様の操作を行って実施例12に係る熱線吸収透明樹脂成形体(成形体L)を得た。
表1に示すように、成形体Lの可視光透過率75%のときの日射透過率は46.8%で、ヘイズ値は0.8%であった。
また、120℃の温度下に72時間暴露後のΔVLTは0.99%であり、酸素含有雰囲気下で処理しない以下の参考例1と比べて耐熱性試験後の光学的特性が優れ、耐侯性の向上が確認された。
水0330gにAg2CO35gを溶解し、これをH2WO41000gに添加して十分攪拌した後、乾燥し、狙いの組成であるAg0.01WO3の実施例13に係る混合粉体を得た以外は、実施例1と同様の操作を行って実施例13に係る熱線吸収透明樹脂成形体(成形体M)を得た。
表1に示すように、成形体Mの可視光透過率75%のときの日射透過率は46.0%で、ヘイズ値は0.9%であった。
また、120℃の温度下に72時間暴露後のΔVLTは0.95%であり、酸素含有雰囲気下で処理しない以下の参考例1と比べて耐熱性試験後の光学的特性が優れ、耐侯性の向上が確認された。
水330gにCaCO340gを溶解し、これをH2WO41000gに添加して十分攪拌した後、乾燥し、狙いの組成であるCa0.1WO3の実施例14に係る混合粉体を得た以外は、実施例1と同様の操作を行って実施例14に係る熱線吸収透明樹脂成形体(成形体N)を得た。
表1に示すように、成形体Nの可視光透過率75%のときの日射透過率は44.5%で、ヘイズ値は0.9%であった。
また、120℃の温度下に72時間暴露後のΔVLTは0.98%であり、酸素含有雰囲気下で処理しない以下の参考例1と比べて耐熱性試験後の光学的特性が優れ、耐侯性の向上が確認された。
水330gにSrCO347gを溶解し、これをH2WO41000gに添加して十分攪拌した後、乾燥し、狙いの組成であるSr0.08WO3の実施例15に係る混合粉体を得た以外は、実施例1と同様の操作を行って実施例15に係る熱線吸収透明樹脂成形体(成形体O)を得た。
表1に示すように、成形体Oの可視光透過率75%のときの日射透過率は44.2%で、ヘイズ値は0.8%であった。
また、120℃の温度下に72時間暴露後のΔVLTは0.93%であり、酸素含有雰囲気下で処理しない以下の参考例1と比べて耐熱性試験後の光学的特性が優れ、耐侯性の向上が確認された。
In2O311gとH2WO41000gを擂潰機で十分混合し、狙いの組成であるIn0.02WO3の実施例16に係る混合粉体を得た以外は、実施例1と同様の操作を行って実施例16に係る熱線吸収透明樹脂成形体(成形体P)を得た。
表1に示すように、成形体Pの可視光透過率75%のときの日射透過率は45.3%で、ヘイズ値は0.9%であった。
また、120℃の温度下に72時間暴露後のΔVLTは0.97%であり、酸素含有雰囲気下で処理しない以下の参考例1と比べて耐熱性試験後の光学的特性が優れ、耐侯性の向上が確認された。
SnO2115gとH2WO41000gを擂潰機で十分混合し、狙いの組成であるSn0.19WO3の実施例17に係る混合粉体を得た以外は、実施例1と同様の操作を行って実施例17に係る熱線吸収透明樹脂成形体(成形体Q)を得た。
表1に示すように、成形体Qの可視光透過率75%のときの日射透過率は46.0%で、ヘイズ値は0.9%であった。
また、120℃の温度下に72時間暴露後のΔVLTは1.00%であり、酸素含有雰囲気下で処理しない以下の参考例1と比べて耐熱性試験後の光学的特性が優れ、耐侯性の向上が確認された。
Yb2O3150gとH2WO41000gを擂潰機で十分混合し、狙いの組成であるYb0.19WO3の実施例18に係る混合粉体を得た以外は、実施例1と同様の操作を行って実施例18に係る熱線吸収透明樹脂成形体(成形体R)を得た。
表1に示すように、成形体Rの可視光透過率75%のときの日射透過率は45.0%で、ヘイズ値は0.9%であった。
また、120℃の温度下に72時間暴露後のΔVLTは0.98%であり、酸素含有雰囲気下で処理しない以下の参考例1と比べて耐熱性試験後の光学的特性が優れ、耐侯性の向上が確認された。
実施例1において得られた(A粉)を酸化暴露処理することなく、処理A粉をA粉に代替した以外は、実施例1と同様の操作を行って、参考例1に係る熱線吸収透明樹脂成形体(成形体S)を得た。
表1に示すように、成形体Sの可視光透過率75%のときの日射透過率は35.7%で、ヘイズ値は0.7%であった。
また、120℃の温度下に72時間暴露後のΔVLTは1.40%であり、前記実施例1〜18と比べて耐熱性試験後の光学的特性が低く、耐侯性が劣ることが確認された。
5000〜10000Kの高温部を有している熱プラズマを発生させるために、高周波電力は15KWとした以外は、実施例1と同様の操作を行って比較例1に係る熱線遮蔽透明樹脂成形体(成形体T)を得た。
表1に示すように、成形体Tの可視光透過率75%のときの日射透過率は51.2%で、ヘイズ値は1.1%であった。また、120℃の温度下に72時間暴露後のΔVLTは0.94%であり、前記実施例1〜18と比べて日射透過率が劣ることが確認された。
実施例3に係る粉砕分散処理時間を40時間とした以外は、実施例3と同様の操作を行って比較例2に係る熱線吸収透明樹脂成形体(成形体U)を得た。
表1に示すように、成形体Uの可視光透過率75%のときの日射透過率は51.9%で、ヘイズ値は2.2%であった。また、120℃の温度下に72時間暴露後のΔVLTは0.93%であり、前記実施例1〜18と比べて日射透過率が劣ることが確認された。
Claims (7)
- 複合タングステン酸化物微粒子と熱可塑性樹脂とを含み、熱線吸収透明樹脂成形体を製造するために用いられる熱線吸収成分含有マスターバッチであって、
前記複合タングステン酸化物微粒子は、一般式MyWOz(但し、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、I、Ybの内から選択される1種以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.1≦y≦0.5、2.2≦z≦3.0)で示される六方晶の結晶構造を有し、且つ、シリコン粉末標準試料(NIST製、640c)の(220)面のXRDピーク強度の値を1としたとき、XRDピークトップ強度の比の値が0.13以上であり、
前記熱可塑性樹脂は、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、フッ素樹脂、ポリオレフィン樹脂およびポリエステル樹脂から選択される1種以上である、ことを特徴とする熱線吸収成分含有マスターバッチ。 - 前記複合タングステン酸化物微粒子の結晶子径が100nm以下である、ことを特徴とする請求項1に記載の熱線吸収成分含有マスターバッチ。
- 前記複合タングステン酸化物微粒子は、酸素含有雰囲気下における50℃以上400℃以下の加熱による酸化暴露処理を施されたものであることを特徴とする請求項1または2に記載の熱線吸収成分含有マスターバッチ。
- 請求項1から3のいずれかに記載の熱線吸収成分含有マスターバッチと、
前記マスターバッチに含まれる熱可塑性樹脂と同種、または、相溶性を有する異種の熱可塑性樹脂との混合混練物であって、所定の形状に成形されたものである、ことを特徴とする熱線吸収透明樹脂成形体。 - 請求項4に記載の熱線吸収透明樹脂成形体が他の透明成形体に積層されたものである、ことを特徴とする熱線吸収透明積層体。
- 熱線吸収透明樹脂成形体を製造するために用いられる熱線吸収成分含有マスターバッチの製造方法であって、
一般式MyWOz(但し、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、I、Ybの内から選択される1種以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.1≦y≦0.5、2.2≦z≦3.0)で示される六方晶の結晶構造を有し、且つ、シリコン粉末標準試料(NIST製、640c)の(220)面のXRDピーク強度の値を1としたとき、XRDピークトップ強度の比の値が0.13以上で、平均粒子径が100nm以下の複合タングステン酸化物微粒子と、分散剤とを、溶媒に加えて粉砕・分散処理を行い、微粒子分散液を得る工程と、
前記微粒子分散液から溶媒を除去して微粒子分散粉を得る工程と、
前記微粒子分散粉へ、酸素含有雰囲気下において50℃以上400℃以下の加熱による酸化暴露処理する工程と、
前記酸化暴露処理を受けた微粒子分散粉と、熱可塑性樹脂ペレットとを混合し、熔融混練し、成形する工程とを、具備することを特徴とする熱線吸収成分含有マスターバッチの製造方法。 - 前記酸素含有雰囲気の酸素濃度が、0.1体積%以上25体積%以下であることを特徴とする請求項6に記載の熱線吸収成分含有マスターバッチの製造方法。
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