JP2008220301A - 低アレルゲン豆乳 - Google Patents

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Abstract

【課 題】 摂取したときに実質的にアレルギー反応を引き起こさない豆乳、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 豆乳をプロテアーゼ処理する第1工程と、プロテアーゼ処理された豆乳をサイクロデキストリン包接処理する第2工程とを含み、第2処理工程後に得られる豆乳について下記アレルギー反応試験においてアレルギー反応が陰性になるように、第1工程のプロテアーゼ処理を行う、低アレルゲン豆乳の製造方法。
アレルギー反応試験:Gm30KをサンドイッチELISA法で検出し、Gm30K検出量が5ng/100μl豆乳となる場合にアレルギー反応が陰性とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、実質的にアレルゲンを含まない豆乳、及びその製造法に関する。
近年、特定の食物を食した時に鼻炎、湿疹、下痢及びじんましん等の異常な過敏反応を生じ、時として重篤な病的状態となる所謂食物アレルギー患者が増加している。これらの治療方法として、薬物による対症療法やアレルゲンとなる原因物質を患者の食餌から取り除く所謂除去食物療法がある。食物性アレルギーの中でも卵、牛乳、大豆に含まれる特定の蛋白質が3大アレルゲンとして認識されていることから、除去食物療法を導入するのが一般的であるが、上記アレルゲンの中でも大豆蛋白質は、豆腐、凍豆腐、湯葉等といった日本の伝統的食品やこれを原料として含む広い食品に含まれること、更には大豆蛋白の機能、例えば乳化性、ゲル形成性、保水性、保油性、起泡性等といった機能性を利用した大豆蛋白利用食品が急増している近年にあっては、除去食物療法を容易ならざるものにしている。
また、アレルギー患者が乳幼児等の成長期の子供であることが多いため、最近は除去食物療法を問題視する声も多くなり、低アレルゲン食品の作出が期待されるようになってきた。
例えば、特許文献1には、大豆胚芽を原料とする低アレルゲン豆乳加工食品の製造法が開示されている。この技術は、大豆胚芽に含まれる主要アレルゲンが、大豆の他の部位に比べて非常に少ないことを利用したものである。しかし、胚芽は大豆のほんの一部分であるため、大豆に由来する全アレルゲンが少ない豆乳が求められる。
また、特許文献2には、α’サブユニット欠失大豆から抽出した蛋白質を、アニオン又はアニオン及びカチオンが存在する酸性水溶液で処理することによりGly m Iを選択的に沈降性画分に濃縮させ、上清画分を採取することにより得られる低アレルゲン大豆蛋白が記載されている。しかし、この大豆蛋白は、実用上十分にアレルゲンが除去されたものではない。
また、特許文献3には、大豆蛋白食品にプロテアーゼを作用させて、アレルゲンフリーの大豆蛋白食品を製造する方法が記載されている。また、特許文献4には、低変性大豆蛋白を50℃を超え90℃未満で枯草菌(納豆菌)に由来するプロテアーゼで分解することを特徴とする大豆蛋白分解物の製造法が記載されている。
しかし、特許文献3及び4の各方法で得られる大豆蛋白食品は、アレルギー患者が実際に摂取したときのアレルギー反応を実用上十分に抑えることはできない。また、これらの大豆蛋白は苦みがあり、風味に劣る。
従って、実質的にアレルギー反応を起こさない、風味のよい大豆蛋白食品の開発が望まれている。
特開平11−42060 特開平9−37720 特開平7−703890 特開平9−23822
本発明は、摂取したときに実質的にアレルギー反応を引き起こさない豆乳、及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決するために、鋭意検討を重ね、以下の知見を得た。
(i) 下記アレルギー反応試験においてアレルギー反応が陰性になる豆乳は、実際に摂取したときのアレルギー反応が実質的に起こらない。
アレルギー反応試験:Gm30KをサンドイッチELISA法で検出し、Gm30K検出量が5ng/100μl豆乳となる場合にアレルギー反応が陰性とする。
(ii) 豆乳をプロテアーゼ処理する第1工程と、プロテアーゼ処理された豆乳をサイクロデキストリン包接処理する第2工程とを含み、得られる豆乳について下記アレルギー反応試験においてアレルギー反応が陰性になるように、第1工程のプロテアーゼ処理を行うことにより、実際に摂取したときのアレルギー反応が実質的に起こらない豆乳が得られる。
本発明は、上記知見に基づき完成されたものであり、
項1. 豆乳をプロテアーゼ処理する第1工程と、プロテアーゼ処理された豆乳をサイクロデキストリン包接処理する第2工程とを含み、第2処理工程後に得られる豆乳について下記アレルギー反応試験においてアレルギー反応が陰性になるように、第1工程のプロテアーゼ処理を行う、低アレルゲン豆乳の製造方法。
アレルギー反応試験:Gm30KをサンドイッチELISA法で検出し、Gm30K検出量が5ng/100μl豆乳となる場合にアレルギー反応が陰性とする。
項2. 豆乳の原料大豆の品種がゆめみのりである項1に記載の方法。
項3. プロテアーゼとして、エンド型プロテアーゼとエキソ型プロテアーゼとを使用する項1又は2に記載の方法。
項4. プロテアーゼとして、プロテアーゼNとペプチダーゼRとを使用する項1又は2に記載の方法。
項5. 下記アレルギー反応試験においてアレルギー反応が陰性になる、低アレルゲン豆乳。
アレルギー反応試験:Gm30KをサンドイッチELISA法で検出し、Gm30K検出量が5ng/100μl豆乳となる場合にアレルギー反応が陰性とする。
を提供する。
本発明により、実際に摂取したときにアレルギー反応を起こさないか、または殆ど起こさない低アレルゲン豆乳が提供された。また、本発明方法により得られる低アレルゲン豆乳は、大豆本来の栄養価及び風味が損なわれていない。実際に摂取したときにアレルギー反応を起こさないことは、例えば、ヒトの血清を用いたイムノブロッティングにおいて陰性となることで確認できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
(I)低アレルゲン豆乳の製造方法
本発明の低アレルゲン豆乳の製造方法は、豆乳をプロテアーゼ処理する第1工程と、プロテアーゼ処理された豆乳をサイクロデキストリン包接処理する第2工程とを含み、第2処理工程後に得られる豆乳について上記アレルギー反応試験においてアレルギー反応が陰性になるように、第1工程のプロテアーゼ処理を行う方法である。
豆乳
<原料>
豆乳の原料大豆としては、豆乳製造に通常用いられる大豆を制限なく使用できる。原料大豆は1種を単独で又は1種以上を混合して使用できる。
アレルゲンが一層少ない豆乳を得るためには、低アレルゲン大豆を使用するのが好ましい。このような低アレルゲン大豆としては、「ゆめみのり」が挙げられる。「ゆめみのり」(高橋浩司、島田信二、島田尚典、高田吉丈、境 哲文、河野雄飛、足立大山、田渕公清、菊池彰夫、湯本節三、中村茂樹、伊藤美環子、番場宏治、岡部昭典、低アレルゲン・高11Sグロブリンダイズ「ゆめみのり」の育成、東北農業研究センター研究報告、102、23−39、(2003))は東北農業試験場で高橋らによって開発された大豆の低アレルゲン品種であり、7Sグロブリンαサブユニットと、Gly m Bd 28kとが欠失した大豆の品種である。
<製造方法>
豆乳の製造方法は周知である。例えば、生搾り法または加熱絞り法などが知られている。加熱絞りは、例えば以下の工程で行われる。まず、原料大豆を水に約16〜18時間浸漬した後、加水して磨砕する。磨砕液を約100℃で約8分で加熱する。
いずれの方法を採用する場合でも、本発明方法に供する豆乳の固形分の濃度は、プロテアーゼ(タンパク質分解酵素)を効率的に作用させるために、約1〜200mg/ml(0.1〜20w/v%)が好ましく、50〜150mg/ml(5〜15w/v%)がより好ましい。
プロテアーゼ処理
本発明に使用されるプロテアーゼは、特に制限はなく、酸性プロテアーゼ、中性プロテアーゼまたはアルカリ性プロテアーゼなどの何れであってもよい。
プロテアーゼの起源に特に制限はなく、植物、動物、または微生物などの何れであってもよい。酸性プロテアーゼとしては、例えばAspergillus nigerなどの微生物由来酸性プロテアーゼが挙げられる。中性プロテアーゼとしては、例えばパパイヤもしくはパイナップルなどの植物由来中性プロテアーゼ、Aspergillus oryzaeなどの微生物由来中性プロテアーゼなどが挙げられる。アルカリ性プロテアーゼとしては、例えば、Bacillus subtilis、Bacillus thermoproteolyticusなどの微生物由来アルカリ性プロテアーゼなどが挙げられる。また、ペプチダーゼなどと称されるものも本発明のプロテアーゼに含まれる。
プロテアーゼは、植物組織、動物組織または微生物などから抽出、精製したものであってもよく、市販品であってもよい。
プロテアーゼは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。効率よくタンパク質を分解するためには、エンド型プロテアーゼとエキソ型プロテアーゼとを併用することが好ましい。エンド型プロテアーゼとしては、トリプシン、キモトリプシン、ペプシンなどが挙げられる。また、エキソ型プロテアーゼとしては、アミノペプチダーゼ、カルボキシペプチダーゼYなどが挙げられる。エンド型プロテアーゼとエキソ型プロテアーゼとの好ましい組み合わせとしては、プロテアーゼN(天野エンザイム株式会社製)とペプチダーゼR(天野エンザイム株式会社製)との組み合わせが挙げられる。
また、使用するプロテアーゼは、予め脱臭処理や滅菌処理を行っておくことが好ましい。脱臭処理を行うことにより、本製造方法によって得られる豆乳に不快な臭いが残ることを回避でき、食品素材等としての価値を高めることができる。脱臭方法としては、例えばプロテアーゼを水に溶解し、当該溶液に活性炭を投入する方法が挙げられる。滅菌処理は、プロテアーゼが失活しない方法であればよく、例えば濾過滅菌が挙げられる。滅菌処理されたプロテアーゼを用いれば、プロテアーゼ酵素反応中にバクテリアやカビなどが繁殖することを防ぐことができる。
豆乳(反応液)中の酵素濃度は、効率よく生成物を得るため、終濃度にして約0.1〜5mg/mlが好ましく、約1〜4mg/mlがより好ましい。
プロテアーゼを作用させる際の豆乳(反応液)の温度は、酵素の最適温度により異なるため、一概には決められないが、約4〜37℃とすればよい。
プロテアーゼを作用させる際の豆乳(反応液)のpHは酵素の最適pHにより異なるため、一概には決められないが、約6〜8とすればよい。
酵素を作用させる時間は、約10〜72時間とすればよい。上記範囲であれば、タンパク質が十分小さくなり、かつ大豆が腐敗しない。
上記反応後にプロテアーゼの失活処理により反応を停止させる。プロテアーゼによる過度の消化を止め、豆乳中のタンパク質を適当な分子量のペプチド断片にすることにより、豆乳の風味を損なわず、アレルギー反応が抑えられた豆乳が得られる。失活処理の方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、65℃以上の温度で10分間以上処理すれば、通常プロテアーゼを失活させることができる。オートクレーブ処理により簡便にプロテアーゼを失活させることができる。
サイクロデキストリン処理
このようにして得られた豆乳にサイクロデキストリンを、豆乳に対して、約0.1〜0.5%(w/v)、好ましくは約0.2〜0.3%(w/v)加える。サイクロデキストリンとしては、α―サイクロデキストリン、β―サイクロデキストリン、γ―サイクロデキストリンなどが挙げられる。中でも、α―サイクロデキストリンが好ましい。サイクロデキストリン処理により、低分子タンパク質による苦味が消え、甘みを感じるようになる。
このようにして得られる豆乳を下記のアレルギー試験に供したときにアレルギー反応が陰性になるように、プロテアーゼ処理をすればよい。
アレルギー試験:Gm30KをサンドイッチELISA法で検出し、Gm30K検出量が5ng/100μl豆乳となる場合にアレルギー反応が陰性とする。
第1工程後に得られるプロテアーゼ処理物についての上記アレルギー試験の結果と、第2工程後に得られるシクロデキストリン包接体についての上記アレルギー試験の結果は、通常一致する。従って、実際には、第1工程で得られるプロテアーゼ処理物について上記アレルギー試験を行い、陰性になるまでプロテアーゼ処理を行えばよい。
このようにして、本発明の低アレルゲン豆乳が得られる。
保存方法・使用方法
以上により得られた豆乳を溶液として保存する場合には約4℃以下で保存することが好ましく、約−20℃以下がより好ましい。また、凍結乾燥することにより粉状体として保存することも可能である。
本発明の豆乳は添加物を含んでよい。添加物としては、着色料、ビタミン、調味料、安定剤、乳化剤、pH調整剤、保存剤、抗酸化剤、甘味料、香料等が挙げられる。
本発明の豆乳は、そのまま飲用できるが、そのまま飲用する以外に、例えば次のような食品に添加して、又はその原料として使用することができる。
例えば、調製豆乳、豆乳飲料、清涼飲料、乳酸発酵豆乳、スープ、ソース、クリーム、ドレッシング、白和えのベース等の液状豆乳製品;例えば、プリン、ゼリー、冷菓、ヨーグルト、チーズ、フィリング、チョコレート、スプレッド、マヨネーズ等固形状豆乳製品であって中間製造物が液状のもの;例えば、豆乳(豆腐)入のラーメン、そば、うどん、パスタ、スパゲッテイなどの麺製品;例えば、豆乳(豆腐)入のパン、ケーキ、ピザ、お好み焼き、たこ焼き、饅頭、おやき、クッキー、ビスケットなど小麦粉や米粉を使ったパン製品;例えば、団子、羊羹、せんべいなどの菓子類;例えば、シュウマイの皮、餃子の皮、ハンバーグ、ミートボール、コロッケなどの生地;例えば、ハム、ソーセージ、等の畜産加工品;錠剤、顆粒剤、散剤、ドリンク剤、シロップ剤等のサプリメントなどに用いられる。
また、本発明の豆乳は食用以外にアミノ酸入化粧品の浴用剤等に用いられる。
本発明に係る豆乳は、ヒト(特に大豆アレルギー患者)を対象とする製品の他、広く動物全般を対象とする製品に応用することができる。特に、大豆に対してアレルギーを発症している動物、特にイヌやネコ等の愛玩動物は対象として好適である。
以下、実施例により本発明の実施態様を具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
本実施例では、本発明に係る豆乳を「低減化豆乳」と称することがある。
実施例1
低減化豆乳の調製
豆乳は、「ゆめみのり」を原料大豆として、固形分濃度8〜15%(w/v)程度のものを使用した。
実施例2
プロテアーゼN「アマノ」Gの前処理
プロテアーゼは食品加工用のProtease N(バチラス属由来、アマノ社製)と、スミチームFP、ペプチダーゼRを使用した。
プロテアーゼN「アマノ」Gを10g、50m1の精製水に溶かし、スターラーで撹絆した。その中に適量(薬さじ山盛り)のけいそう土を加え、再びスターラーで撹絆した。
その後、HANDYASPIRATORとブフナーろうとを使用して吸引濾過を行った。まずは、そのままで濾過をし、その濾液に適量(薬さじ1程度)の活性炭を加え、スターラーで撹拝し、色とにおいがとれるまで吸引濾過を繰り返した。スターラーで撹搾したときは、泡が出ない程度で行った。吸引濾過した液を、ハンディーアスピレータとStericup Millipore Durapore 0.22μmを使用して、クリーンベンチ内で無菌的に限外濾過を行った。その後、冷蔵庫にて保存した。
(2)スミチームFPやペプチダーゼRの前処理も同様に行った。
実施例3
酵素液の作成
実施例2で得た各酵素液を以下のように組合せて用いた。各濃度は各酵素の液中の最終濃度である。
プロテアーゼN「アマノ」G 1.7mg/ml
ペプチダーゼR 0.8mg/ml
スミチームFP 0.8mg/ml
スミチームFPはエキソ型とエンド型との混合プロテアーゼである。
実施例4
豆乳の酵素処理
実施例3の酵素液を滅菌したビーカーに加え、滅菌した攪拌子とゆめみのりから作成した豆乳60mlを加えた。その後、4℃の冷蔵庫内で24時間または48時間攪拌反応させた。
反応後、そのままでは苦味が生じているので、マスキングを試みた。以下の条件で処理をおこなうことにより、苦味が気にならなく、逆にむしろ甘みが感じられて好ましい呈味性を示した。
実施例5
低減化豆乳のマスキング処理
上記により調製した低減化豆乳について、以下の割合でマスキング剤を加えた。
反応を終えた豆乳10mlに対し、25%のα−シクロデキストリン溶液を2mlの割合で加えた。その結果苦味が消え、甘みを感じるようになった。1mlでは苦味は低減化するが甘みの発現までは至らなかった。
試験例1
アレルゲン性の検討
図1は低アレルゲン化豆乳のSDS-PAGEによるタンパク質分離パターンをCBB染色(図1-A)したものと、SDS-PAGE後の抗α-7Sミックス抗体または、抗GlymBd30K抗体を用いたこれらの主要アレルゲンの存在レベルを示すイムノブロット実験の結果を示した。
CBB染色結果より、大豆タンパク質は24時間でほぼ完全に消化されていた。大豆アレルゲンは24時間プロテアーゼ処理した段階でほぼ完全に分解されていた。7Sグロブリンも同様の結果であった。GlymBd30Kについては、48時間処理をおこなっても若干のアレルゲン分子は残っていたものの処理前と比較すると格段に低アレルゲン化していたことが分かった。
試験例2
低アレルゲン化豆乳の患者血清によるイムノブロッティング
低減化豆乳および未消化の豆乳と、ダイズアレルギー患者の血清との反応性を検討した。すなわち、低減化豆乳および未消化の豆乳をSDS-PAGEした後に、患者血清を用いてイムノブロットし、ダイズアレルギー患者の血清と反応させた。その後HRP標識抗ヒトIgE抗体を用いて結合した患者IgE量を評価した。結果(図2)を示した。〔イムノブロット法〕
患者によって反応度合いに差はあるが、3患者全員に処理前豆乳でアレルゲン分子との反応が見られた。特に、患者3は強い反応を示した。しかし、24時間処理をおこなった時点で、アレルゲン分子はほぼ完全に分解されており全く反応を示さなくなった。強に反応を示していた患者3でも反応は見られなかった。48時間処理をおこなった場合においても反応性は認められなかった。
試験例3
サンドイッチELISA法による大豆主要アレルゲンGm 30K の定量 (i)キャプチャー用抗体の固定
PBSで10μg/mlに調整した、抗-Gm 30KラビットIgGポリクローナル抗体pAbR2を、1ウェルにつき100 μl、4℃で一晩、ELISAプレート(IWAKI(平底96穴、φ6.4 mm))に固定した。その後、過剰な遊離抗体は洗い流した. (ii) ブロッキング
ブロッキング液には、Blocking One(ナカライテスク社)を用いた。1ウェルにつき200 μl、室温で2時間静置し、200 μl のPBSTで3回洗浄した。
(iii) 抗原抗体反応
一次抗原抗体反応
既知量のGm 30K(標準抗原)、またはGm 30Kを含む豆乳をPBSで様々に希釈し、これらを、1ウェルにつき100 μl添加し、室温で1時間静置し、各サンブル中のGm 30K をpAbR2に結合させた。反応後、200 μl のPBSTで5回洗浄した。
二次抗原抗体反応
HRP標識したpAbR2をPBSで10.000倍希釈し、この抗体溶液を1ウェルにつき100 μl添加し、室温で1時間静置した。この反応により、pAbR2+Gm 30K+HRP標識- pAbR2のサンドイッチ構造をつくった。反応後、200 μl のPBSTで5回洗浄した。
(iv) 検出
検出は、HRPによるTMB発色法で行った。発色試薬には、KPL (Kirkegaard & Perry Laboratories)から購入したTMB MicroWell Peroxidase Substrate Systemを使用した。室温に戻した試薬をウェルに100 μl添加して5分間静置し、同量の1 M H3PO4で反応を停止、及び発色を増強させた。直ちに、Multilabel Counter 1420 ARVOsx-1(パーキンエルマー社製)で、450 nmにおける吸光度を測定した。
試験例4
呈味性の検討
得られた低減化豆乳は苦味が生じていたので、この好ましくない呈味性を改善する目的で種々のマスキング剤を鋭意検討し、低減化豆乳の呈味性を調べた。
反応を終えた豆乳10mlに対し、25%のα−シクロデキストリン溶液を2mlの割合で加えた。その結果苦味が消え、甘みを感じるようになった。1mlでは苦味は低減化するが甘みの発現までは至らなかった。
結果
(i)低アレルゲン化豆乳のCBB染色とイムノブロット
低アレルゲン化豆乳のSDS-PAGEによる分離パターンをCBB染色したものと、SDS-PAGE後の抗α―7Sミックス、GlymBd30Kのイムノブロット結果を示した(図1)。
CBB染色結果より、大豆アレルゲンは24時間プロテアーゼ処理した段階でほぼ完全に分解されていた。7Sグロブリンも同様の結果であった。GlymBd30Kについては、48時間処理をおこなっても若干のアレルゲン分子は残っていたものの処理前と比較すると格段に低アレルゲン化していたことが分かった。
(ii)低アレルゲン化豆乳の患者血清
低アレルゲン化豆乳のSDS−PAGE後に、患者血清を用いておこなったイムノブロット結果(図2)を示した。
患者によって反応度合いに差はあるが、3患者全員に処理前豆乳(比較例3)でアレルゲン分子との反応が見られた。特に、患者3は強い反応を示した。しかし、24時間処理をおこなった時点で、アレルゲン分子はほぼ完全に分解されており全く反応を示さなくなった。強に反応を示していた患者3でも反応は見られなかった。
(iii)GlymBd30Kの存在レベルを定量的に評価する目的で、ELISA法をおこなった結果
図3に示すように、手製豆乳の原液(比較例1)を1万倍希釈したものが、24時間、48時間処理豆乳の原液とほぼ同じ値であった。また、市販豆乳の原液を1000倍希釈したものが、24時間、48時間処理豆乳の原液とほぼ同じ値になった。このことから、24時間、48時間処理豆乳の原液は、手製、市販豆乳よりそれぞれ約1万倍、約千倍低減化していたことが分かる。
以上の結果から、本発明の豆乳は未消化の市販豆乳と比較してアレルゲン性が1000倍以上低減化されており、ダイズアレルギー患者においても摂取可能な食品素材となり得ることが分かる。
本発明は、豆乳が有する生理機能性を維持しつつ、実質的にアレルギー反応を引き起こさず、風味の優れた新たな実質的にアレルギー反応を引き起こさない豆乳素材を提供する。
分解前の豆乳と低減化豆乳のSDS−PAGE後のタンパク質染色とイムノブロッティングの結果を示した図である。 分解前の豆乳と低減化豆乳のアレルゲン性を、ダイズアレルギー患者血清を用いたイムノブロットにより評価した結果を示した画像である。 低減化豆乳およびβ−コングリシニンのアレルゲン性を、ダイズアレルギー患者血清を用いた競合ELISA実験により評価した結果を示したグラフである。

Claims (5)

  1. 豆乳をプロテアーゼ処理する第1工程と、プロテアーゼ処理された豆乳をサイクロデキストリン包接処理する第2工程とを含み、第2処理工程後に得られる豆乳について下記アレルギー反応試験においてアレルギー反応が陰性になるように、第1工程のプロテアーゼ処理を行う、低アレルゲン豆乳の製造方法。
    アレルギー反応試験:Gm30KをサンドイッチELISA法で検出し、Gm30K検出量が5ng/100μl豆乳となる場合にアレルギー反応が陰性とする。
  2. 豆乳の原料大豆の品種がゆめみのりである請求項1に記載の方法。
  3. プロテアーゼとして、エンド型プロテアーゼとエキソ型プロテアーゼとを使用する請求項1又は2に記載の方法。
  4. プロテアーゼとして、プロテアーゼNとペプチダーゼRとを使用する請求項1又は2に記載の方法。
  5. 下記アレルギー反応試験においてアレルギー反応が陰性になる、低アレルゲン豆乳。
    アレルギー反応試験:Gm30KをサンドイッチELISA法で検出し、Gm30K検出量が5ng/100μl豆乳となる場合にアレルギー反応が陰性とする。
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