JP7278101B2 - クラス2食物アレルゲンが低減した豆乳及びその製造方法 - Google Patents

クラス2食物アレルゲンが低減した豆乳及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、クラス2食物アレルゲンが低減した豆乳及びその製造方法等に関する。本発明はまた、豆乳中のクラス2食物アレルゲンであるGly m4分解剤及び豆乳中のGly m4低減方法にも関する。
豆乳に対する食物アレルギーは、大きく2つのタイプが知られている。クラス1食物アレルギーは、豆乳を含む大豆製品を摂取した際に、主に大豆たんぱく質自体が消化管から吸収されて引き起こされるアレルギーである。一方、クラス2食物アレルギーは、豆腐など他の大豆加工食品ではアレルギー症状が出ないにもかかわらず豆乳やおぼろ豆腐など加工度の低い大豆製品で発症することもあるアレルギーであり、代表的な発症例としてはカバノキ科(シラカバ、ハンノキ等)の花粉症やラテックスアレルギーを有するヒトが、豆乳を摂取した際に、口唇や口腔粘膜等の刺激や腫れを発症する例が多数報告されている。
これまでにクラス2食物アレルギーに対する解決手段として、2価の金属化合物の存在下、ロイシンアミノペプチダーゼ活性を有する乳酸菌の発酵によりクラス2食物アレルギーの原因タンパク質を低減させて発酵食品組成物を製造する方法(特許文献1)が開示されている。
WO2015/156106
しかしながら、特許文献1に開示の方法は、乳酸菌による発酵を経なくてはならず時間のかかる方法であり、また、発酵及び2価金属塩の添加により豆乳そのもの風味を味わうことはできないなどの問題を有している。
本発明は、かかる事情に鑑み、クラス2食物アレルゲンが低減し、しかも風味のよい豆乳及びその製造方法等を提供することを課題とする。
本発明者らは、特定のプロテアーゼを特定の条件で作用させることで、豆乳中のクラス2食物アレルゲンが低減し、しかも風味のよい豆乳を簡便に製造することが可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本願は以下の発明を包含する。
[1]
Aspergillus属菌由来の複合型プロテアーゼで豆乳を酵素処理する工程を含む、クラス2アレルゲン低減豆乳の製造方法であって、
前記酵素処理が、プロテアーゼ(mg)/豆乳(ml)濃度0.01mg/ml以上0.5mg/ml以下の酵素濃度で実施される、方法。
[2]
前記酵素処理が、10分以上12時間未満実施される、[1]に記載の方法。
[3]
[1]又は[2]に記載の方法で製造される豆乳。
[4]
プロテアーゼ処理豆乳であって、
Gly m4含有量が未処理豆乳の70%以下であり、
苦味センサーで測定した電位(mV)が、未処理豆乳の電位の0.7(mV)以下である、豆乳。
[5]
非発酵豆乳である、[4]に記載の豆乳。
[6]
Aspergillus属菌由来の複合型プロテアーゼを含有する、Gly m4分解剤。
[7]
Aspergillus属菌由来の複合型プロテアーゼで豆乳を酵素処理する工程を含む、豆乳中のGly m4低減方法。
[8]
前記Aspergillus属菌が、Aspergillus oryzae及びAspergillus melleusから選択される、[7]に記載の方法。
本発明によれば、乳酸菌等の発酵によらず、クラス2食物アレルゲンを低減させることができ、かつ豆乳本来の風味に影響を与えることがなく、クラス2食物アレルゲンが低減化した風味のよい豆乳を簡便に提供することができる。
実施例2の一部のサンプルにおける反応温度と反応時間の関係を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は以下の本実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施形態において、豆乳とは、大豆(丸大豆、脱脂加工大豆、粉末状大豆など)から熱水などによりたん白質その他成分を溶出させ、繊維質を除去して得られた乳状の豆乳液を含有する飲料であり、他の副原料(例えば、動植物油脂、甘味料、食塩などの調味料、果汁、野菜汁、コーヒー、ココアなどの風味原料、乳化剤、糊料、香料などが)を含むものであってもよい。例えば、消費者庁告示による豆乳類品質表示基準に記載されている豆乳類(豆乳、調製豆乳、豆乳飲料)などが挙げられ、豆乳類品質表示基準に記載する以外の豆乳類なども含まれる。さらに、脱皮大豆や全粒大豆の粉末を水に懸濁、溶解又は均質化させて調製した、いわゆる大豆液の調製品や、それらを原料とする大豆飲料も、本実施形態の豆乳に含まれる。前記豆乳は、長期保存を目的として殺菌を行い商業的無菌性が維持された状態で密封包装された豆乳であってもよい。
豆乳の製造方法は、特に制限はないが、好ましくは、例えば、大豆を一夜水中に浸漬後、グラインダーで摩砕するなど、当業者に公知の手法を用いて製造することができる。大豆は焙煎等により前処理してから用いてもよい。豆乳は、一般的に市販されている豆乳を用いてもよい。
最終製品が無調整豆乳以外の豆乳である場合、一般的な豆乳飲料に使用される各種添加剤を添加してもよい。例えば、添加剤の例として、砂糖などの糖類、食塩、乳酸カルシウム、乳化剤、カラギナンなどの糊料、香料、着色料、油脂、保存料、酸化防止剤、乳化剤、香辛料、各種エキス・ペースト類、タンパク質及びその分解物、有機酸、有機酸類、デンプン、安定剤等が挙げられる。
本明細書において、上記で説明した豆乳(下記のプロテアーゼ処理豆乳及びクラス2アレルゲン低減豆乳に該当しない豆乳)を、未処理豆乳ということもある。
一態様において、本実施形態は、Aspergillus属菌由来の複合型プロテアーゼで豆乳を酵素処理する工程を含む、クラス2アレルゲン低減豆乳の製造方法に関する。
また、一態様において、本実施形態は、プロテアーゼ処理豆乳であって、Gly m4含有量が未処理豆乳の70%以下であり、苦味の少ない(例えば、苦味センサーで測定した電位(mV)が、未処理豆乳の電位の0.7(mV)以下である)、豆乳にも関する。
以下、上記クラス2アレルゲン低減豆乳及びプロテアーゼ処理豆乳を、あわせて本実施形態の豆乳ということもある。
本実施形態において、Aspergillus属菌は、Aspergillus属に属する限り特に限定されず、Aspergillus oryzae、Aspergillus melleus等が挙げられる。
本実施形態において、Aspergillus属菌由来の複合型プロテアーゼとは、Aspergillus属から得られる、エキソ型ペプチダーゼ及びエンド型ペプチダーゼを含むプロテアーゼを指す。エキソ型ペプチダーゼとは、ペプチド鎖の配列末端から(例えば1~2アミノ酸残基ずつ)加水分解する作用を有するペプチダーゼであり、エンド型ペプチダーゼとは、ペプチド鎖の中央を加水分解して切断する作用を有するペプチダーゼであり、上記複合型プロテアーゼはこれらの両方の作用を有する。
Aspergillus属菌からプロテアーゼを得る方法としては、当業者に公知の手法を用いることができ、例えば、培地または菌体内に分泌されたプロテアーゼを、定法により濃縮・分離して得ることができる。
本実施形態の一態様において、Aspergillus属菌由来の複合型プロテアーゼとして、市販の酵素を用いてもよい。例えば、プロテアーゼP「アマノ」3SD(Aspergillus melleus由来、天野エンザイム(株)製)、オリエンターゼOP(Aspergillus oryzae由来、エイチビィアイ(株)製)、スミチームFP-G(Aspergillus oryzae由来、新日本化学工業(株)製)、コクラーゼP(Aspergillus oryzae由来、三菱ケミカルフーズ(株)、が挙げられ、好ましくはプロテアーゼP「アマノ」3SD、オリエンターゼOP及びスミチームFP-Gを用いることができ、より好ましくはプロテアーゼP「アマノ」3SD及びスミチームFP-Gを用いることができる。
上記の複合型プロテアーゼによる豆乳の酵素処理は、後述の実施例を参照して当業者に公知の手法を用いて実施することができる。簡便には、豆乳に、プロテアーゼ(mg)/豆乳(ml)濃度0.01mg/ml以上1.5mg/ml未満、0.01mg/ml以上0.5mg/ml以下、好ましくは0.02mg/ml以上0.5mg/ml以下、より好ましくは0.02mg/ml以上0.25mg/ml以下、例えば、0.03mg/ml以上0.1mg/ml以下の酵素濃度となるように複合型プロテアーゼを添加し、当該プロテアーゼの反応を妨げない温度(例えば25℃~80℃)で反応させることにより、実施することができる。一態様において、酵素濃度を0.06mg/ml未満、例えば0.05mg/ml以下とすることもできる。反応温度は特に限定されず、酵素濃度によっても異なるが、一態様において、酵素の至適温度付近で実施することができ、例えば、酵素の至適温度±20℃、より好ましくは酵素の至適温度±10℃、さらに好ましくは酵素の至適温度±5℃で反応を実施することができる。また、別の態様において、酵素反応が進行し、所望の酵素処理物が得られる限り、より高温で反応を実施することもでき、一態様において、標準的には、50℃~80℃、好ましくは60℃~80℃、例えば75℃~80℃で反応を実施することができる。反応時間及び反応温度は、豆乳中のクラス2アレルゲンが低減する条件であれば特に限定されず、例えば後述の実施例を参照して設定することができる。例えば、80℃付近で酵素反応を実施する場合には、酵素の失活速度が速まるため、至適温度に近い温度で実施する場合と比較して、より長い反応時間を採用することが望ましい場合がある。反応pHは、豆乳中のクラス2アレルゲンが低減する値であれば特に限定されず、簡便には酵素の至適pH付近とすることができる。
本実施形態において、酵素濃度は、反応対象の豆乳に対する酵素自体の濃度を指す。ここで、例えばデキストリン、澱粉等の賦形剤を含む酵素を用いる場合、賦形剤を含まない場合の上記酵素濃度と同程度の酵素活性が得られる濃度の酵素を用いることができる。
酵素処理の時間は、クラス2アレルゲンが低減し、しかも風味のよい、所望の豆乳が得られる限り特に限定されず、酵素濃度及び反応温度によっても異なるが、例えば10分以上12時間以内であり、簡便には10分以上10時間以内、例えば、10分以上8時間以内、好ましくは10分以上3時間以内、より好ましくは10分以上2時間以内、特に好ましくは10分以上1時間以内とすることができる。
本実施形態において、クラス2アレルゲンとは、豆乳中に含まれる公知のクラス2アレルゲンであれば特に限定されず、例えばGly m3、Gly m4等が挙げられ、好ましくはGly m4である。本実施形態において、クラス2アレルゲン低減豆乳とは、上記酵素処理前の未処理豆乳と比較してクラス2アレルゲンが低減している限り特に限定されない。未処理豆乳中のクラス2アレルゲン濃度は、豆乳濃度によって異なり、また、クラス2アレルゲンによるアレルギーが発症するGly m4値は発症者により異なるが、一態様において、クラス2アレルゲン低減豆乳とは、例えば酵素処理前の豆乳と比較して70%以下、例えば60%以下、好ましくは55%以下、より好ましくは52%以下、特に好ましくは50%以下のクラス2アレルゲン(好ましくはGly m4)を含む豆乳を指す。
クラス2アレルゲンによるアレルギーの発症の確認は、当業者に公知の方法を用いて実施することができ、例えば、被験者の前腕にアレルゲンを塗布し、出血しない程度に皮膚に傷をつけ、15分後の膨疹直径を測定し、アレルギー反応の有無を判断する(プリックテスト)ことにより実施することができる。
豆乳中のクラス2アレルゲンの量は、当業者に公知の手法で測定することができ、例えばGly m4を測定する場合、後述の実施例に示すとおり、Gly m4に特異的な抗体と、二次抗体を用いた直接ELSA法により測定することができる。
本実施形態において、プロテアーゼ処理豆乳とは、プロテアーゼ、好ましくは複合型プロテアーゼで処理した豆乳を指す。このプロテアーゼ処理豆乳は、Gly m4含有量が未処理豆乳の70%以下、例えば60%以下、好ましくは55%以下、より好ましくは52%以下、特に好ましくは50%以下であり、さらに、苦味センサーで測定した電位(mV)が、未処理豆乳の電位の0.7(mV)以下、好ましくは0.65(mV)以下、より好ましくは0.5(mV)以下である。
一態様において、本実施形態の豆乳は、苦味の少ない豆乳である。苦味は、未処理豆乳と比較した官能評価を用いても判断することができるし、苦味センサーで測定して判断することもできる。例えば、本実施形態の豆乳は、未処理豆乳と比較して、苦味センサーで測定した電位(mV)が、未処理豆乳の電位の0.7(mV)以下である。本実施形態において、苦味センサーで測定した電位とは、舌で感じる味を、応答電位出力により数値化して測るための市販の味覚センサーにより、苦味用のセンサーを用いて測定した電位を指し、特に、後述の実施例に示すとおり、味認識装置TS-5000Z(インテリジェントセンサーテクノロジー社製)にて苦味センサー(BT0)を用いて装置の取扱説明書に記載の方法で測定した電位を指す。苦味は、同装置の苦味センサーAC0、AN0等を用いて測定することもできる。
一態様において、本実施形態の豆乳は、望ましくない風味を抑えるためのマスキング剤(例えば、シクロデキストリン、香料、甘味料、調味料等)を加えずとも、苦味のなく風味のよい豆乳である。一態様において、本実施形態の豆乳は、マスキング剤の含有量が0.0001~1%(w/v)以下であり、例えば、α-シクロデキストリン含有量が0.1%(w/v)未満であり、好ましくはα-シクロデキストリン含有量が検出限界以下である。
さらに、一態様において、本実施形態は、上記Aspergillus属菌由来の複合型プロテアーゼ、特にAspergillus oryzae及びAspergillus melleusから選択される菌由来の複合型プロテアーゼを含有する、Gly m4分解剤にも関する。
さらに、一態様において、本実施形態は、上記Aspergillus属菌由来の複合型プロテアーゼで豆乳を酵素処理する工程を含む、豆乳中のGly m4低減方法にも関する。
一態様において、本実施形態の豆乳は、クラス2アレルゲンが減少しており、しかも通常の豆乳と遜色ない風味を有するため、クラス2アレルギーの懸念なく、通常の豆乳と同様にそのまま、又は加工して、飲食用、化粧用の用途で用いることができる。特に、豆乳、調製豆乳、豆乳飲料、発酵豆乳等のいわゆる大豆飲料の原料として、用いることができる。
以下、具体例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、これにより限定されるものではない。
[試験方法]
豆乳の調製
市販の丸大豆100gを脱皮し、挽割りした大豆を用いた。これに、430gの95℃熱水を加え、6分間茹でた。その後、磨砕機により10分間磨砕した。磨砕した大豆を3,500Gで5分間遠心分離することにより、上清としての豆乳を得た。
酵素処理
豆乳に酵素製剤を添加し、65℃で30分間反応させた。その後沸騰水浴にて失活させ、酵素処理豆乳を得た。
Gly m4含有率の算出方法
酵素処理豆乳又は未処理豆乳を、PBS(10mM リン酸緩衝液 140mM NaCl)で25×104倍希釈し、96ウェルELISAプレート(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)に100μL/ウェル添加し、37℃、60分間静置し、プレートに固定した。ウェル内の液を除去後、蒸留水で5倍希釈した「BlockingOne」(ナカライテクス社製)を200μL/ウェル添加して25℃、60分静置した。
ウェルをT-PBS(0.1% Tween20を添加したPBS)で3回洗浄後、「Can Get Signal Solution 1」(東洋紡社製)で2,000倍希釈したGly m4に特異的なウサギ抗体(ウサギにGly m4を抗原として注射し、血液中の抗体を精製して得られた抗体)を100μL/ウェル添加して25℃、60分静置した。
ウェルをT‐PBSで5回洗浄後、「Can Get Signal Solution 2」(東洋紡社製)で600倍希釈した二次抗体「Goat Anti-Rabbit IgG H&L(HRP)」(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)を100μL/ウェル添加して25℃、60分静置した。
ウェルをT-PBSで5回洗浄後、「1-Step Turbo TMB ELISA」(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)を100μL/ウェル添加して25℃、15分間静置後(発色反応)、1Mリン酸を100μL/ウェル添加し(反応停止)、450nmの吸光度を測定した。得られた酵素処理豆乳と未処理豆乳の吸光度を濃度が既知のGly m4の吸光度から作成した検量線に代入して半定量値を算出し、次式にて未処理豆乳を100とした場合のGly m4の含有率(%)を計算した。

Gly m4含有率(%)
=[ [酵素処理豆乳の半定量値]/[未処理豆乳の半定量値] ]×100
味覚センサーによる測定方法
未処理豆乳及び酵素処理豆乳を、味認識装置TS―5000Z(インテリジェントセンサーテクノロジー社製)にて、苦味センサー(BT0)を用いて電位値(mV)を測定し酵素処理豆乳と未処理豆乳の電位の差を計算した。
官能評価
官能評価は、官能試験について訓練を受けたパネラー6名で実施した。各パネラーは、豆乳の商品開発部門に所属する社員であり、日常の業務において豆乳の官能評価を繰り返し行うことで訓練された者である。苦味について、試験開始前に、実施例1の全11種の酵素製剤にて処理した豆乳を全パネラーで試飲し、パネラー間にて苦味の評価の摺合せを行い、最も強く苦味を感じたサンプルを1つ選定し(表1中、評点5.0のサンプル)、これを評点5のコントロールとした。未処理豆乳を評点1のコントロールとし、1(苦味を感じない)、2(少し感じる)、3(感じる)、4(やや強く感じる)、5(強く感じる)の5段階で評価した。具体的には、各パネラーが評点1のコントロールを一定量口に含んで苦味を確認し、口をすすいだ後、酵素処理豆乳を一定量口に含んで苦味を確認し、口をすすいだ後、評点5のコントロールを一定量口に含んで評価した。
[実施例1:酵素の種類によるGly m4含有率と苦味の比較]
豆乳に各種酵素製剤を0.01%添加し、30分反応させた。その後、沸騰水浴にて失活させ、Gly m4の含有率と味覚センサーで電位値を測定した後、官能評価を実施した。結果は、表1に示す。評点については標準偏差も併せて示す。なお、表1中には、各酵素製剤の賦形剤割合と、賦形剤を除いた酵素濃度を示す。Aspergillus属由来の複合型プロテアーゼを用いた場合に、Gly m4含有率が低く、かつ官能評価も高い、風味の良い低アレルゲン豆乳が得られた。風味の良さのうち、苦味のなさは、味覚センサーの測定値でも確認された。
官能評価の評点及び評価の基準は以下のとおりである。
評点1:苦味を感じない(コントロール)
2:少し感じる
3:感じる
4:やや強く感じる
5:強く感じる(コントロール)
評価○:評点2未満
△:評点2以上3以下
×:評点3より大
Figure 0007278101000001
[実施例2:酵素反応時間によるGly m4含有率と苦味の比較]
豆乳にスミチームFP―G(新日本化学工業社製、賦形剤濃度50%、至適温度45℃~55℃)を0.01%添加し、10分(0.16時間)~12時間反応させた。その後、上記と同様に失活させた。各処理時間での反応温度は異なり(25~80℃)、表2中、反応温度が固定されているサンプル以外は、図1に示すとおり、80℃で酵素を添加し2.5時間維持した後、1時間に10℃温度が低下する条件で温度を低下させて酵素反応を実施した。結果を表2に示す。酵素の至適温度より高い80℃で失活させながら反応させた場合であっても、10分以上反応させた場合、Gly m4含有率が低く、かつ官能評価も高い、風味の良い低アレルゲン豆乳が得られた。なお、官能評価をパネラー2名で実施した場合にも、表2中、「官能」の列につき同様の結果が得られた。豆乳製造時には、大豆を熱湯と共に摩砕後、高温の豆乳が得られるため、反応温度が高温でも酵素が作用することは、実製造上有利であると考えられた。
Figure 0007278101000002
[実施例3:酵素濃度によるGly m4含有率と苦味の比較]
豆乳に表3に記載の各濃度のスミチームFP―Gを添加し、65℃で30分間反応させた。その後沸騰水浴にて失活させた。結果は、表3に示す。スミチーム濃度が0.5%の場合(酵素濃度2.5mg/ml)、コントロールと比較して苦みを感じる豆乳が得られたが、それより低い濃度の場合には官能評価の高い豆乳が得られた。なお、官能評価をパネラー2名で実施した場合にも、表3中、「官能」の列につき同様の結果が得られた。酵素濃度が高いほど、Gly m4含有率が低い、低アレルゲン豆乳が得られた。
Figure 0007278101000003
[実施例4:酵素反応時間によるGly m4含有率と苦味の比較2]
スミチームFP-Gの代わりにプロテアーゼP「アマノ」3SD(天野エンザイム(株)製、賦形剤割合70%、至適温度40℃)を用い、表4に示す濃度で豆乳に添加した以外は、実施例2と同様の手法を用いて酵素反応を実施した。結果を表4に示す。実施例2と同様、酵素の至適温度より高い80℃で失活させながら反応させた場合であっても、10分以上反応させた場合、Gly m4含有率が低く、かつ官能評価も高い、風味の良い低アレルゲン豆乳が得られ、実製造上有利であると考えられた。
Figure 0007278101000004
[実施例5:酵素濃度によるGly m4含有率と苦味の比較2]
豆乳に表5に記載の各濃度のプロテアーゼP「アマノ」3SDを添加し、65℃で30分間反応させた。その後沸騰水浴にて失活させた。結果は、表5に示す。酵素製剤濃度が0.5%の場合(酵素濃度1.5mg/ml)、コントロールと比較して苦みを感じる豆乳が得られたが、それより低い濃度の場合には官能評価の高い豆乳が得られた。酵素濃度が高いほど、Gly m4含有率が低い、低アレルゲン豆乳が得られた。酵素濃度0.06%の場合の官能評価は「△」となっているが、困難なく飲用可能な許容範囲の豆乳であった。
Figure 0007278101000005
本発明によれば、クラス2食物アレルゲンが低減し、しかも風味のよい豆乳を簡便に提供することができる。また、豆乳中のGly m4を簡便に低減する方法を提供することができる。本発明は、特に食品及び試薬の分野において産業上の利用可能性を有する。

Claims (4)

  1. Aspergillus属菌由来の複合型プロテアーゼで豆乳を酵素処理する工程を含む、クラス2アレルゲン低減豆乳の製造方法であって、
    前記酵素処理が、プロテアーゼ(mg)/豆乳(ml)濃度0.01mg/ml以上0.5mg/ml以下の酵素濃度で実施される、方法。
  2. 前記酵素処理が、10分以上12時間未満実施される、請求項1に記載の方法。
  3. Aspergillus属菌由来の複合型プロテアーゼ処理豆乳であって、
    Gly m4含有量が未処理豆乳の70%以下であり、
    苦味センサーで測定した電位(mV)が、未処理豆乳の電位の0.7(mV)以下である、豆乳。
  4. 非発酵豆乳である、請求項に記載の豆乳。
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