JP2008218257A - アークホーン取付金具の角度調整装置と、アークホーン取付金具の角度調整方法 - Google Patents

アークホーン取付金具の角度調整装置と、アークホーン取付金具の角度調整方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ジャンパー線の吊り下げ部分両端を支持する耐張クランプを、鉄塔の横側水平方向に回動させた場合であっても、第一のアークホーントと第二のアークホーンが直線状に向かい合った状態を維持して、両アークホーン間の適正な気中放電ギャップを常時確保することができるアークホーン取付金具の角度調整装置と、アークホーン取付金具の角度調整方法を提供する。
【解決手段】本発明に係るアークホーン取付金具の角度調整装置は、鉄塔における碍子の鉄塔側端に第一のアークホーンを有し、また、碍子の他端側に第二のアークホーンを有し、第二のアークホーン側にジャンパー線を支持する耐張クランプを備え、耐張クランプと第二のアークホーンの取付金具との間に、角度調整機構を備えている。また、角度調整機構は、第一のアークホーンと第二のアークホーンが、直線状に向かい合った状態を維持させている。
【選択図】図8

Description

本発明は、鉄塔上で送電線を支持する碍子にアークホーンを設けて成る送電線用支持装置において、若干湾曲した状態に配置しているジャンパー線を耐張クランプを介して地面と並行となるように移動させた場合であっても、第一のアークホーントと第二のアークホーンが、直線状に向かい合った状態を維持して、両アークホーン間の適正な気中放電ギャップを常時確保することができる、アークホーン取付金具の角度調整装置と、アークホーン取付金具の角度調整方法に関するものである。
鉄塔上における送電線においては、図11に示すように、一対の耐張碍子Gによって支持されている送電線の端部同士を結ぶジャンパー線Jが、下方に吊り下がった状態となっていることから、例えば、鉄塔上における保守・部品の交換等の作業時においては、このジャンパー線Jが作業員に接触して作業の邪魔になることがあった。
また、狭線間鉄塔等においては、ジャンパー線Jが下方に吊り下がった状態となっていると、鉄塔装柱上において、送電線との間に充分な絶縁間隔を確保することが困難になっている場合がある。
このため、従来においては、図12に示すように、ジャンパー線Jの吊り下げ部分両端を鉄塔の下方へ支持する耐張クランプKを、鉄塔の横側水平方向に徐々に回動させ、図13に示すように、若干湾曲した状態のジャンパー線を地面と並行となるように移動させることで、ジャンパー線Jが作業員に接触する事態を回避していた。
また、ジャンパー線を地面と並行となるように移動させることで、鉄塔装柱上において、送電線との間に充分な絶縁間隔を確保していた。
この他、従来においては、例えば、特許文献1に開示されているように、鉄塔上の鉄塔アーム側に送電線を引っ張った状態で支持する一対の耐張碍子を備え、該耐張碍子は、主として碍子Gと、碍子Gの鉄塔アーム側の端部からその長手方向に沿って延設された第一のアークホーンH1と、第一のアークホーンH1と相対向するように送電線側の端部からその長手方向に沿って延設された第二のアークホーンH2とを備えて構成され(図11乃至図13参照)、一対の耐張碍子によって支持されている送電線の端部同士を結ぶジャンパー線Jと、鉄塔アームとの間に避雷器を備えている送電線用支持装置が存在する。
また、特許文献2に開示されているように、避雷碍子部と絶縁碍子部とより構成された第1の碍子連及び第2の碍子連のそれぞれ少なくとも一部に、捩じれ防止装置が備えられ、抵抗素子を収容する収容筒部の重量に基づいて避雷碍子に加わる捩じりモーメントが、この捩じれ防止装置により逆回りに加えられる捩じりモーメントにより打ち消されることで、避雷碍子部と絶縁碍子部との接続部に設けられたアークホーンに回動力が加えられないものとなり、アークホーン先端部の位置変動が防止されることで両アークホーン間の気中放電距離を所定値に保持させるものとした避雷碍子装置が存在する。
特開平5−41126号公報 特開平7−141948号公報
しかしながら、図11に示す装置において、ジャンパー線Jが下方に吊り下がった状態から、図12に示すように、鉄塔の横側水平方向に徐々に回動させると、第一のアークホーンと第二のアークホーンの先端部同士も次第に離れていく。
そして、図13に示すように、耐張クランプを介してジャンパー線Jを地面と並行となるように移動させると、第一のアークホーンと第二のアークホーンの先端部同士も著しく離れた状態となり、第一のアークホーンと第二のアークホーンが、直線状に向かい合った状態を維持できない事態が生じている。
このような事態は、特許文献1に示す送電線用支持装置においても同様に生じる。
すなわち、ジャンパー線Jを支持している耐張クランプKを鉄塔の横側水平方向に回動させた場合、鉄塔側に位置する第一のアークホーンH1は、アークホーンH1が上を向いている元の取り付け状態をほぼ維持するものであるが、第二のアークホーンH2に捻れモーメントが働き、アークホーンH2がそれに伴って横方向に倒れるように移動する。
このアークホーンH2の横方向への移動は、碍子Gの存在により許容されるものである。
尚、第一のアークホーンH1は、取付金具を介して鉄等側に固定されるため、アークホーンH2のように碍子Gを介して横方向へ移動することがなく、アークホーンH1が上を向いている元の状態をほぼ維持するのである
そして、ジャンパー線Jと、第一のアークホーンH1・第二のアークホーンHのそれぞれが垂直線上に一致しないものとなる。
その結果、図13に示すように、第一のアークホーントと第二のアークホーンが、直線状に向かい合った状態を維持できない事態が生じ、両アークホーンH1,H2間の気中放電ギャップが適正な状態に確保できなくなるのである。
また、特許文献2に開示されている捩れ防止装置を使用したり、あるいは市販のバンド状のアークホーンに取り替えるか、さらには捩れ角度を考慮して規定の放電ギャップを確保するために、専用の角度固定金具を介挿したりして対応策を図っていたが、上記した捩れ防止装置、あるいはバンド金具状のものや専用の角度固定金具等はこれらの捩れ箇所での使用に限られるため、製作コストが高くなる。
しかも、アークホーンの捩れ角度が予め定められていないため、現場での微調整が困難なものとなり、適正な両アークホーン間の気中放電ギャップが所定の設定値から外れることが多い等の種々の問題点を有していた。
そこで、本発明は如上のような従来存した諸事情に鑑み創出されたもので、ジャンパー線の吊り下げ部分両端を支持する耐張クランプを、鉄塔の横側水平方向に回動させた場合であっても、第一のアークホーントと第二のアークホーンが直線状に向かい合った状態を維持して、両アークホーン間の適正な気中放電ギャップを常時確保することができるアークホーン取付金具の角度調整装置と、アークホーン取付金具の角度調整方法を提供することを目的とする。
本発明に係るアークホーン取付金具の角度調整装置は、鉄塔における碍子の鉄塔側端に第一のアークホーンを有し、また、碍子の他端側に第二のアークホーンを有し、第二のアークホーン側にジャンパー線を支持する耐張クランプを備え、耐張クランプと第二のアークホーンの取付金具との間に、角度調整機構を備えたことで、上述した課題を解決した。
また、第一のアークホーンと第二のアークホーンがそれぞれ碍子の長手方向内側へ延長されて、延長端に所定の気中放電ギャップを形成していることで、同じく上述した課題を解決した。
さらに、角度調整機構は、第二のアークホーンの取付金具に対し、耐張クランプ側が任意の回動位置で固定可能であることで、同じく上述した課題を解決した。
また、角度調整機構は、第一のアークホーンと第二のアークホーンが、直線状に向かい合った状態を維持させることで、同じく上述した課題を解決した。
加えて、角度調整機構は、全体として180度の角度調整が可能であることで、同じく上述した課題を解決した。
また、角度調整機構は、第二のアークホーンの取付金具側に備え付けられたアークホーン側円板と、第二のアークホーンの耐張クランプ側に備え付けられた耐張クランプ側円板と、両円板を締結固定するボルト・ナットとから成ることで、同じく上述した課題を解決した。
この他、角度調整機構を構成するアークホーン側円板は、円板の円周に沿って複数のボルト挿通孔を有し、耐張クランプ側円板は、アークホーン側円板のボルト挿通孔に対向して円周に沿った対称位置に、円弧状長孔である一対の自由孔を有していることで、同じく上述した課題を解決した。
また、鉄塔と送電線間に張設された状態で送電線を支持する碍子装置を備え、この碍子装置は、碍子の鉄塔側端に第一のアークホーンを有し、また、碍子の他端側に第二のアークホーンを有し、第一のアークホーンと第二のアークホーンがそれぞれ碍子の長手方向内側へ延長されて延長端に所定の気中放電ギャップを形成すると共に、ジャンパー線の吊り下げ部分を支持するように第二のアークホーン側に耐張クランプを備え、第二のアークホーンの取付金具に対し耐張クランプ側が任意の回動位置で固定可能となるよう、耐張クランプと第二のアークホーンの取付金具との間に、角度調整機構を備えたことで、同じく上述した課題を解決した。
さらに、鉄塔と送電線間に張設された状態で送電線を支持する一対の碍子装置を備え、一対の碍子装置は、碍子の鉄塔側端に第一のアークホーンを有し、また、碍子の送電線側端に第二のアークホーンを有し、第一のアークホーンと第二のアークホーンがそれぞれ碍子の長手方向内側へ延長されて延長端に所定の気中放電ギャップを形成すると共に、送電線の支持両端部間に形成されるジャンパー線の吊り下げ部分両端を支持するように第二のアークホーン側に耐張クランプを備え、第二のアークホーンの取付金具に対し耐張クランプ側が任意の回動位置で固定可能となるよう、耐張クランプと第二のアークホーンの取付金具との間に、角度調整機構を備えたことで、同じく上述した課題を解決した。
また、角度調整機構は、若干湾曲した状態のジャンパー線を耐張クランプを介して地面と並行となるように移動させたとき、第一のアークホーンと第二のアークホーンが、直線状に向かい合った状態を維持することができることで、同じく上述した課題を解決した。
一方、本発明に係るアークホーン取付金具の角度調整方法は、既設の碍子装置の碍子、第二のアークホーンの既設の取付金具、耐張クランプのそれぞれを取り外す工程と、既設の取付金具に替えて、角度調整機構を備えた耐張クランプ側円板とアークホーン側円板を取り付けてボルト・ナットで仮止め状態にする工程と、アークホーン側円板に対し耐張クランプ側円板を回転させて、若干湾曲した状態のジャンパー線が地面と並行となるように耐張クランプ側円板を回動させた後、ボルト・ナットで本締めする工程と、から成ることで、同じく上述した課題を解決した。
また、第一のアークホーンと第二のアークホーンは、直線状に向かい合った状態を維持していることで、同じく上述した課題を解決した。
さらに、角度調整機構は、全体として180度の角度調整が可能であることで、同じく上述した課題を解決した。
本発明に係るアークホーン取付金具の角度調整装置は、鉄塔における碍子の鉄塔側端に第一のアークホーンを有し、また、碍子の他端側に第二のアークホーンを有し、第二のアークホーン側にジャンパー線を支持する耐張クランプを備え、耐張クランプと第二のアークホーンの取付金具との間に、角度調整機構を備えたことから、ジャンパー線の吊り下げ部分両端を支持する耐張クランプを、鉄塔の横側水平方向に回動させた場合であっても、第一のアークホーントと第二のアークホーンが直線状に向かい合った状態を維持して、両アークホーン間の適正な気中放電ギャップを常時確保することができる。
また、本発明によれば、碍子の横吊り機構・縦吊り機構を問うことなく、全ての碍子構成において、第一のアークホーンと第二のアークホーンが直線状に向かい合った状態を維持することができる。
さらに、第一のアークホーンと第二のアークホーンがそれぞれ碍子の長手方向内側へ延長されて、延長端に所定の気中放電ギャップを形成していることから、雷害で発生するアーク放電により碍子が損傷する事態の発生を阻止している。
そして、従来においては、ジャンパー線を支持している耐張クランプを鉄塔の横側水平方向に回動させた場合、取付金具等を介して鉄等側に固定されている第一のアークホーンは元の状態をほぼ維持するのに対し、第二のアークホーンには捻れモーメントが働き、碍子が存在することとも相俟って、第二のアークホーンは横方向に倒れるように移動していく。
このような状況において、本発明に係る角度調整機構は、第二のアークホーンの取付金具に対し、耐張クランプ側が任意の回動位置で固定可能であることから、第二のアークホーンも元の状態を保ちながら、耐張クランプだけを回動させることで、第一のアークホーンと第二のアークホーンが直線状に向かい合った状態を維持させているのである。
加えて、角度調整機構は、全体として180度の角度調整が可能であることから、若干湾曲した状態のジャンパー線を耐張クランプを介してどのような角度に傾けた場合であっても、第一のアークホーンと第二のアークホーンが直線状に向かい合った状態を維持し、両アークホーン間の適正な気中放電ギャップを常時確保することができる。
また、角度調整機構は、第二のアークホーンの取付金具側に備え付けられたアークホーン側円板と、第二のアークホーンの耐張クランプ側に備え付けられた耐張クランプ側円板と、両円板を締結固定するボルト・ナットとから成ることから、アークホーン側円板に対して耐張クランプ側円板を所定の角度で当接させ、その状態で両円板をボルト・ナットにより固定することができる。
この他、角度調整機構を構成するアークホーン側円板は、円板の円周に沿って複数のボルト挿通孔を有し、耐張クランプ側円板は、アークホーン側円板のボルト挿通孔に対向して円周に沿った対称位置に、円弧状長孔である一対の自由孔を有していることから、アークホーン側円板のボルト挿通孔に、耐張クランプ側円板の円弧状長孔である一対の自由孔を合致させ、両円板をボルト・ナットにより様々な角度に固定することができる。
また、鉄塔と送電線間に張設された状態で送電線を支持する碍子装置を備え、この碍子装置は、碍子の鉄塔側端に第一のアークホーンを有し、また、碍子の他端側に第二のアークホーンを有し、第一のアークホーンと第二のアークホーンがそれぞれ碍子の長手方向内側へ延長されて延長端に所定の気中放電ギャップを形成すると共に、ジャンパー線の吊り下げ部分を支持するように第二のアークホーン側に耐張クランプを備え、第二のアークホーンの取付金具に対し耐張クランプ側が任意の回動位置で固定可能となるよう、耐張クランプと第二のアークホーンの取付金具との間に、角度調整機構を備えたことから、ジャンパー線を吊り下げている耐張クランプを鉄塔の横側水平方向に回動させた場合であっても、第一のアークホーンと第二のアークホーンが直線状に向かい合った状態を維持することができる。
さらに、鉄塔と送電線間に張設された状態で送電線を支持する一対の碍子装置を備え、一対の碍子装置は、碍子の鉄塔側端に第一のアークホーンを有し、また、碍子の送電線側端に第二のアークホーンを有し、第一のアークホーンと第二のアークホーンがそれぞれ碍子の長手方向内側へ延長されて延長端に所定の気中放電ギャップを形成すると共に、送電線の支持両端部間に形成されるジャンパー線の吊り下げ部分両端を支持するように第二のアークホーン側に耐張クランプを備え、第二のアークホーンの取付金具に対し耐張クランプ側が任意の回動位置で固定可能となるよう、耐張クランプと第二のアークホーンの取付金具との間に、角度調整機構を備えたことから、特に、碍子の横吊り機構において、第一のアークホーンと第二のアークホーンが直線状に向かい合った状態を維持することができる。
一方、本発明に係るアークホーン取付金具の角度調整方法は、既設の碍子装置の碍子、第二のアークホーンの既設の取付金具、耐張クランプのそれぞれを取り外す工程と、既設の取付金具に替えて、角度調整機構を備えた耐張クランプ側円板とアークホーン側円板を取り付けてボルト・ナットで仮止め状態にする工程と、アークホーン側円板に対し耐張クランプ側円板を回転させて、若干湾曲した状態のジャンパー線が地面と並行となるように耐張クランプ側円板を回動させた後、ボルト・ナットで本締めする工程と、から成ることから、若干湾曲した状態のジャンパー線を耐張クランプを介して地面と並行となるように移動させた場合であっても、第一のアークホーントと第二のアークホーンが、直線状に向かい合った状態を、簡単な手順により維持することができる。
その結果、両アークホーン間の適正な気中放電ギャップを、このような簡単な手順により確保することができるのである。
以下に、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。
本発明に係るアークホーン取付金具の角度調整機構Pは、鉄塔と送電線間に張設された状態で送電線を支持する耐熱性絶縁体による碍子装置を備えた送電線用支持装置に使用されるものである。
尚、碍子装置は、図9に示すような横吊り機構、また、図10に示すような、変電所等に見られる縦吊り機構のいずれをも包含するものである。
そして、一対の碍子装置は、図1・図9に示すように、落雷等の電撃から碍子Gを保護するために、碍子Gの鉄塔側端に第一のアークホーンH1を、また、碍子Gの送電線側端に第二のアークホーンH2を、それぞれ後述する取付金具Qを介して連結している。
この第一のアークホーンH1と第二のアークホーンH2は、それぞれ碍子Gの長手方向内側へ延長されて、延長端に所定の気中放電ギャップを形成している。
また、送電線の支持両端部間に形成されるジャンパー線Jの吊り下げ部分両端を支持するために、第二のアークホーンH2側には、耐張クランプKを備えている。
即ち、図5に示すように、送電線の支持両端部間に形成されるジャンパー線Jの吊り下げ部分両端を支持するように第二のアークホーンH2側に耐張クランプKを備え、第二のアークホーンH2の取付金具Qに対し耐張クランプK側が任意の回動位置で固定可能となるよう、耐張クランプKと第二のアークホーンH2の取付金具Qとの間に、角度調整機構Pを備えている。
この角度調整機構Pは、図7・図8に示すように、若干湾曲した状態のジャンパー線Jを耐張クランプKを介して地面と並行となるように移動させたとき、第一のアークホーンH1と第二のアークホーンH2が、直線状に向かい合った状態を維持することができるものである。
具体的には、角度調整機構Pは、図5・図6に示すように、ジャンパー線Jとなる送電線の一端を円弧状に沿って保持するための略三角形枠状の耐張クランプKと、第二のアークホーンH2が上端に接続され且つ中央に碍子Gに連結されるヒンジ孔部Q1を有して成る略T字形板状の取付金具Qの間に配されている。
また、角度調整機構Pは、図6に示すように、第二のアークホーンH2の取付金具Q側に備え付けられたアークホーン側円板1と、第二のアークホーンH2の耐張クランプK側に備え付けられた耐張クランプ側円板11と、両円板を締結固定するボルトV・ナットNとから成る。
そして、図7・図8に示すように、第二のアークホーンH2の取付金具Qに対し、耐張クランプK側が、任意の回動位置でボルトV・ナットNを介して仮締め固定されるのである。
具体的には、図3(a)に示すように、角度調整機構Pにおけるアークホーン側円板1には、円板の円周に沿って複数のボルト挿通孔2を穿設している。また、アークホーン側円板1には、図3(b)(c)に示すように、その一端面中央に、第二のアークホーンH2が接続される、略T字形板状の取付金具Qの中央部分を溶接により固定している。
すなわち、アークホーン側円板1には、取付金具Qの平面方向に対応した平面の対角線を基準として、45度等間隔毎に配された3つの対角線上に、それぞれ一対のボルト挿通孔2が形成されている。
これにより、取付金具Qの平面方向に対応した側平面の対角線を介して上下対称位置には、円周方向に沿って45度の間隔でそれぞれ3つのボルト挿通孔2が形成されるものとなる。
一方、図4(a)に示すように、耐張クランプ側円板11の平面には、円周に沿った略円弧状長孔である一対の自由孔12が、対角線上に一対(180度対称位置)となって穿設されている。この自由孔12は、アークホーン側円板1のボルト挿通孔2に対向して配されている。
また、図4(b)(c)に示すように、耐張クランプ側円板11の一端面中央には、耐張クランプKを連結するためのヒンジ孔部13を備えている。
そして、図2(a)に示すように、耐張クランプ側円板11の両自由孔12側から、アークホーン側円板1の対角線上にあるいずれか一対のボルト挿通孔2のそれぞれにボルトVが挿通され、反対側からナットNで締結することにより、図2(b)に示すように、耐両円板1,11が接合した状態で固定されるのである。
このとき、耐張クランプ側円板11とアークホーン側円板1を接合した状態では、左右60度調整できる3つのボルト挿通孔2を利用して、全体として180度の角度調整が可能となる。
次に、以上のように構成された本発明の最良の形態について、組立・使用・動作の一例を説明する。
先ず、既設の碍子装置の碍子Gから、第二のアークホーンH2の既設の取付金具Qを外し、さらに、この第二のアークホーンH2の既設の取付金具Qを耐張クランプKから外す。
そして、図6に示すように、既設の取付金具Qに替えて、角度調整機構Pを備えた耐張クランプ側円板11とアークホーン側円板1を取り付けて、ボルトV・ナットNで仮止め状態にする。
そして、アークホーン側円板1に溶接固定された取付金具Qの一端に、第二のアークホーンH2が備え付けられ、取付金具Qの中央のヒンジ孔部Q1に碍子Gのコ字枠状のヒンジQ2を連結してボルトVで固定する。
一方、角度調整機構Pの耐張クランプ側円板11におけるヒンジ孔部13に耐張クランプKのコ字枠状のヒンジK1を連結してボルトVで固定する。
そして、両円板1,11を接合させて各一対のボルト挿通孔2および自由孔12にボルトVを挿入し反対側からナットNで若干緩めに締め付けておくことで仮止め状態にしておく。
次いで、図7に示すように、アークホーン側円板1に対し耐張クランプ側円板11を回転させて、若干湾曲した状態のジャンパー線Jが地面と並行となるようにする。
そして、第一のアークホーンH1と第二のアークホーンH2は、直線状に向かい合った状態を維持していることを確認してから、図8に示すように、ボルト挿通孔2および自由孔12に挿入されたボルトVに対してナットNを本締めする。
こうして、ジャンパー線Jの吊り下げ部分両端を支持する耐張クランプKを鉄塔の横側水平方向に回動させた場合であっても、第一のアークホーンH1と第二のアークホーンH2は、直線状に向かい合った状態を維持していることから、規定の気中放電ギャップが常に確保されるのである。
本発明に係るアークホーン取付金具の角度調整装置と、アークホーン取付金具の角度調整方法は、鉄塔上で送電線を支持する碍子に一対のアークホーンを設けて成る送電線用支持装置の他に、種々の装置における角度調整装置および角度調整方法として、幅広く利用することができる。
ジャンパー線を支持する耐張クランプを鉄塔の横側水平方向に回動させた場合において、第一のアークホーンと第二のアークホーンが、直線状に向かい合った状態を維持している状態を示す斜視図である。 角度調整機構の構成を示すもので、(a)はアークホーン側円板に耐張クランプ側円板を当接させてボルト・ナットにより固定する状態を示す分解斜視図、(b)はアークホーン側円板に耐張クランプ側円板を固定した状態の斜視図である。 アークホーン側円板の構成を示すもので、(a)は斜視図、(b)は側面図、(c)は平面図である。 耐張クランプ側円板の構成を示すもので、(a)は斜視図、(b)は側面図、(c)は平面図である。 ジャンパー線が垂下されている状態において、第一のアークホーンと第二のアークホーンが、直線状に向かい合った状態を維持している状態を示す斜視図である。 ジャンパー線が垂下されている状態において、第一のアークホーンと第二のアークホーンが、直線状に向かい合った状態を維持している状態を示す分解斜視図である。 ジャンパー線を支持する耐張クランプを鉄塔の横側水平方向に回動させた場合において、第一のアークホーンと第二のアークホーンが、直線状に向かい合った状態を維持している状態を示す分解斜視図である。 ジャンパー線を支持する耐張クランプを鉄塔の横側水平方向に回動させた場合において、第一のアークホーンと第二のアークホーンが、直線状に向かい合った状態を維持している状態を示す斜視図である。 横吊り機構である一対の碍子装置に、角度調整機構の構成を加えた状態を示す斜視図である。 縦吊り機構である単独の碍子装置に、角度調整機構の構成を加えた状態を示す斜視図である。 従来例におけるアークホーン取付金具の使用状態を示すもので、ジャンパー線が垂下されている状態において、第一のアークホーンと第二のアークホーンが、直線状に向かい合った状態を示す斜視図である。 従来例におけるアークホーン取付金具の使用状態を示すもので、ジャンパー線を支持する耐張クランプを鉄塔の横側水平方向に若干回動させた場合において、第二のアークホーンが横方向に若干倒れるように傾いた状態(第一のアークホーンと第二のアークホーンが、直線状に向かい合っていない状態)を示す斜視図である。 従来例におけるアークホーン取付金具の使用状態を示すもので、ジャンパー線を支持する耐張クランプを鉄塔の横側水平方向に回動させた場合において、第二のアークホーンが横方向に倒れるように傾いた状態(第一のアークホーンと第二のアークホーンが、直線状に向かい合っていない状態)を示す斜視図である。
符号の説明
P…角度調整機構
Q…取付金具
Q1…ヒンジ孔部
Q2…ヒンジ
J…ジャンパー線
G…碍子
K…耐張クランプ
K1…ヒンジ
H1…第一のアークホーン
H2…第二のアークホーン
V…ボルト
N…ナット
1…アークホーン側円板
2…ボルト挿通孔
11…耐張クランプ側円板
12…自由孔
13…ヒンジ孔部

Claims (13)

  1. 鉄塔における碍子の鉄塔側端に第一のアークホーンを有し、また、碍子の他端側に第二のアークホーンを有し、第二のアークホーン側にジャンパー線を支持する耐張クランプを備え、耐張クランプと第二のアークホーンの取付金具との間に、角度調整機構を備えたことを特徴とするアークホーン取付金具の角度調整装置。
  2. 第一のアークホーンと第二のアークホーンがそれぞれ碍子の長手方向内側へ延長されて、延長端に所定の気中放電ギャップを形成している請求項1に記載アークホーン取付金具の角度調整装置。
  3. 角度調整機構は、第二のアークホーンの取付金具に対し、耐張クランプ側が任意の回動位置で固定可能である請求項1または2に記載のアークホーン取付金具の角度調整装置。
  4. 角度調整機構は、第一のアークホーンと第二のアークホーンが、直線状に向かい合った状態を維持させる請求項1乃至3のいずれかに記載のアークホーン取付金具の角度調整装置。
  5. 角度調整機構は、全体として180度の角度調整が可能である請求項1乃至4のいずれかに記載のアークホーン取付金具の角度調整装置。
  6. 角度調整機構は、第二のアークホーンの取付金具側に備え付けられたアークホーン側円板と、第二のアークホーンの耐張クランプ側に備え付けられた耐張クランプ側円板と、両円板を締結固定するボルト・ナットとから成る請求項1乃至5のいずれかに記載のアークホーン取付金具の角度調整装置。
  7. 角度調整機構を構成するアークホーン側円板は、円板の円周に沿って複数のボルト挿通孔を有し、耐張クランプ側円板は、アークホーン側円板のボルト挿通孔に対向して円周に沿った対称位置に、円弧状長孔である一対の自由孔を有している請求項1乃至6のいずれかに記載のアークホーン取付金具の角度調整装置。
  8. 鉄塔と送電線間に張設された状態で送電線を支持する碍子装置を備え、この碍子装置は、碍子の鉄塔側端に第一のアークホーンを有し、また、碍子の他端側に第二のアークホーンを有し、第一のアークホーンと第二のアークホーンがそれぞれ碍子の長手方向内側へ延長されて延長端に所定の気中放電ギャップを形成すると共に、ジャンパー線の吊り下げ部分を支持するように第二のアークホーン側に耐張クランプを備え、第二のアークホーンの取付金具に対し耐張クランプ側が任意の回動位置で固定可能となるよう、耐張クランプと第二のアークホーンの取付金具との間に、角度調整機構を備えたことを特徴とするアークホーン取付金具の角度調整装置。
  9. 鉄塔と送電線間に張設された状態で送電線を支持する一対の碍子装置を備え、一対の碍子装置は、碍子の鉄塔側端に第一のアークホーンを有し、また、碍子の送電線側端に第二のアークホーンを有し、第一のアークホーンと第二のアークホーンがそれぞれ碍子の長手方向内側へ延長されて延長端に所定の気中放電ギャップを形成すると共に、送電線の支持両端部間に形成されるジャンパー線の吊り下げ部分両端を支持するように第二のアークホーン側に耐張クランプを備え、第二のアークホーンの取付金具に対し耐張クランプ側が任意の回動位置で固定可能となるよう、耐張クランプと第二のアークホーンの取付金具との間に、角度調整機構を備えたことを特徴とするアークホーン取付金具の角度調整装置。
  10. 角度調整機構は、若干湾曲した状態のジャンパー線を耐張クランプを介して地面と並行となるように移動させたとき、第一のアークホーンと第二のアークホーンが、直線状に向かい合った状態を維持することができる請求項9に記載のアークホーン取付金具の角度調整装置。
  11. 既設の碍子装置の碍子、第二のアークホーンの既設の取付金具、耐張クランプのそれぞれを取り外す工程と、既設の取付金具に替えて、角度調整機構を備えた耐張クランプ側円板とアークホーン側円板を取り付けてボルト・ナットで仮止め状態にする工程と、アークホーン側円板に対し耐張クランプ側円板を回転させて、若干湾曲した状態のジャンパー線が地面と並行となるように耐張クランプ側円板を回動させた後、ボルト・ナットで本締めする工程と、から成ることを特徴としたアークホーン取付金具の角度調整方法。
  12. 第一のアークホーンと第二のアークホーンは、直線状に向かい合った状態を維持している請求項11に記載アークホーン取付金具の角度調整方法。
  13. 角度調整機構は、全体として180度の角度調整が可能である請求項11または12に記載アークホーン取付金具の角度調整方法。
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