JP2008215603A - クランクダンパ - Google Patents

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基之 砂岡
Kazutaka Yokoyama
和孝 横山
Hidetaka Ogishi
秀高 大岸
Shuji Watanabe
修次 渡邉
Toshio Yamazaki
敏夫 山崎
Masayuki Yoshida
政行 吉田
Tsutomu Nakamura
中村  勉
Mikihito Ogawa
幹仁 小川
Takashi Wanibuchi
隆 鰐渕
Seiichi Tagawa
誠一 田川
Takashi Yoshida
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Abstract

【課題】フェニル基含有シリコーンゴム組成物からなる弾性部材をクランクダンパのゴム状弾性体に用いるに際して、高温から低温まで広い温度範囲で一定の効果を維持することができるようにする。
【解決手段】フェニル基含有シリコーンゴム組成物からなる弾性部材により、クランクダンパのゴム状弾性体を形成する。かかるシリコーンゴム組成物は、100質量部のフェニル基含有シリコーン生ゴムと、5質量部以上20質量部以下のフェニル基含有ウエッターと、50質量部以上100質量部以下で比表面積が200m/g以上300m/g以下の乾式シリカとを混合することで得られる。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車等の内燃機関に装着されるクランクダンパに関し、特に、60℃の高温から−30℃の極低温の両方の温度環境において優れた性能安定性を示すシリコーンゴム製のクランクダンパの技術である。
従来、クランクダンパを構成するゴム状弾性体には、天然ゴムやNBR等の弾性部材が使用されていた。かかる弾性部材で形成されたクランクダンパのゴム状弾性体は、優れた防振特性を有する反面、温度により防振特性が変化するため、冬季のエンジン始動前の極低温雰囲気状態から、連続駆動中の高温雰囲気状態まで安定した一定の効果を維持することが難しかった。クランクダンパは、ダイナミックダンパとして機能するため、共振点がずれると防振効果が低下するのである。
近年は、天然ゴム等に代わり、EPDMがクランクダンパのゴム状弾性体の主流として用いられている。しかし、その温度安定性に関しては、特に極低温時での防振性(共振特性)が不十分であり、既にEPDMでは技術的限界値に達しているとも言われている。
かかる中、特許文献1には、フェニル基含有シリコーンゴム組成物をトーショナルダンパに使用することが提案されている。また、特許文献2には、フェニル基含有シリコーンゴム100重量部と、比表面積50m/gのシリカ10〜100重量部と、フェニル基又はアルキル基を有するオルガノポリシロキサンとを有するシリコーンゴム組成物が、防振ゴムとして使用できることが開示されている。
特開平2−195043号公報 特開昭61−168648号公報
上記特許文献1、2に開示の発明は優れた発明ではあるが、しかし、かかる発明では、低温から高温までの広い温度範囲にわたる環境に対して、クランクダンパを構成するゴム状弾性体の性能維持が図れることについては、その検証等については一切述べられていない。
クランクダンパが自動車等の内燃機関に使用される場合においては、かかるクランクダンパのゴム状弾性体は、例えば100℃を越える高温環境に曝されることがある。一方、かかるクランクダンパのゴム状弾性体は、マイナスの寒冷地での使用にも十分に耐える必要もある。このように、クランクダンパのゴム状弾性体には、マイナスの低温からプラスの高温までの広い温度範囲で、一定の効果を維持することが求められている。
本発明者は、長年にわたるクランクダンパの製造にたずさわるなか、特許文献2に開示のフェニル基含有のシリコーンゴム組成物からなる弾性部材の特性に着目した。かかるシリコーンゴム組成物からなる弾性部材を用いることで、広い温度範囲でのクランクダンパのゴム状弾性体の使用が可能になるのではないかと考えた。
しかし、実際には、かかるシリコーンゴム組成物からなる弾性部材をそのまま用いるだけでは、広い温度範囲でクランクダンパのゴム状弾性体に必要とされる一定の効果を維持することはできなかった。かかるシリコーンゴム組成物からなる弾性部材の有する引き裂き強度等は他のシリコーンゴム組成物からなる弾性部材では得られない特性を有しているので、かかる特性を維持しつつ、かかるシリコーンゴム組成物からなる弾性部材に幅広い温度範囲で一定の効果を維持させる効果を如何にして付与するかの技術開発が必要と考えた。
本発明の目的は、フェニル基含有シリコーンゴム組成物からなる弾性部材をクランクダンパのゴム状弾性体に用いるに際して、高温から低温まで広い温度範囲で一定の効果を維持できるようにすることにある。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
本発明はエンジンのクランク軸に装着され前記クランク軸と一体に回転するハブと、前記ハブに結合されるゴム状弾性体と、前記ゴム状弾性体に結合されるダンパマスとを備えたクランクダンパであって、前記ゴム状弾性体は、100質量部のフェニル基含有シリコーン生ゴムと、5質量部以上20質量部以下のフェニル基含有ウエッターと、50質量部以上100質量部以下で比表面積が200m/g以上300m/g以下の乾式シリカとを主成分とするシリコーンゴム組成物からなる弾性部材で形成されていることを特徴とする。かかる構成において、−30℃の貯蔵弾性率(E’−30℃)と、60℃での貯蔵弾性率(E’+60℃)の比(E’−30℃/E’60℃)が、1以上、4.5以下であることを特徴とする。以上いずれかの構成において、硬化後の引張り強さが8MPa以上、減衰係数のtanδが、0.35以上であることを特徴とする。かかる構成において、ゴム硬度(JISK6253 TypeA型デュロメータで測定)が、50〜85°Hsであることを特徴とする。
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
本発明のクランクダンパは、フェニル基含有シリコーン生ゴム100質量部に対して、フェニル基含有ウエッターを5質量部以上20質量部以下、比表面積が200m/g以上300m/g以下の乾式シリカを50質量部以上100質量部以下有するシリコーンゴム組成物からなる弾性部材で形成されているため、−30℃の貯蔵弾性率(E’−30℃)と、60℃での貯蔵弾性率(E’60℃)の比(E’−30℃/E’60℃)が1以上4.5以下の広い温度範囲での性能安定性を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
本発明は、クランクダンパに最適に適用できるシリコーンゴム組成物に関する技術である。すなわち、エンジンのクランク軸に装着されクランク軸と一体に回転するハブと、かかるハブに結合されるゴム状弾性体と、かかるゴム状弾性体に結合されるダンパマスとを備えたクランクダンパの上記ゴム状弾性体に対して最適に用いることができるシリコーンゴム組成物からなる弾性部材で、低温から高温までの広い範囲で一定の効果を維持することができるようにしたものである。
クランクダンパは、例えば、図1に示すように、エンジンのクランク軸1に取り付けられるハブ2を有している。ハブ2は、クランク軸1の端部に嵌合される中空円筒状のボス部2aと、このボス部2aに一体となって径方向に延びる連結部2bと、連結部2bに一体となり軸方向に延びる円筒部2cとを備えており、クランク軸1の端部に形成されたねじ孔にねじ結合されるボルト3によりクランク軸1に取り付けられている。
かかるダンパは、動力伝達用のベルトが掛け渡されるベルト溝4aが形成され、ハブ2の外側に配置される慣性質量体4を有し、慣性質量体4はこの内側とハブ2の外側との間
に設けられるゴム状弾性体5によりハブ2に結合されるようになっている。かかるゴム状弾性体5は環状に形成されており、その内径はR1、外径はR2、軸方向の長さはLとなっている。
かかる構成のクランクダンパのゴム状弾性体に使用されるシリコーンゴム組成物は、特許文献1に開示の構成を有するものである。かかるシリコーンゴム組成物は、信越化学工業株式会社から例えば、商品名KE−5560−Uとして入手可能である。
シリコーンゴム組成物からなる弾性部材は、かかるシリコーンゴム組成物に所定の加硫剤を所定量混練し、例えば金型によるコンプレッション成型、トランスファー成型、インジェクション成型にて得ることができる。かかる加硫剤としては、有機過酸化物系やヒドロシリル化反応系を使用することができ、例えば有機過酸化物系加硫剤としては信越化学工業株式会社から商品名C−8、C−21B、C−23として入手可能であり、ヒドロシリル化反応系加硫剤としては信越化学工業株式会社から商品名C−19A/B、C−25A/Bとして入手可能である。
かかるゴム状弾性体に使用される組成のシリコーンゴム組成物からなる弾性部材では、−30℃から、60℃までの広い温度範囲で、一定の効果を維持することができる。−30℃の貯蔵弾性率(E’−30℃)と、60℃での貯蔵弾性率(E’60℃)の比(E’−30℃/E’60℃)は、1以上、4.5以下である。
ここで貯蔵弾性率の測定方法はJIS K6394の規格に基づいて行い、得られた結果から貯蔵弾性率比を算出した。すなわち、JIS K6394の規格試験は、長さ25mm、幅5mm、厚さ2mmの短冊状の試験片について、試験装置としてレオバイブロンDDV−25FP(エー・アンド・デイ社製)を使用して行った。変形方法としては引張方法とし、試験温度としては−30℃〜60℃の範囲とし、試験周波数としては10Hzとし、初期荷重0.98N(100gf)を加え、振幅を±250μm(±1%)とした。
かかる特性を有するシリコーンゴム組成物は、特許文献1に開示のフェニル基含有シリコーン生ゴムに、フェニル基含有ウエッターを混合することで得られる。かかるフェニル基含有ウエッターとしては、例えば両末端シラノール基含有フェニルメチルポリシロキサン等を使用することができる。
かかるフェニル基含有ウエッターの使用は、シリコーンゴム組成物のシロキサンポリマ
ーと充填材であるシリカの相互作用を高める目的で用いられる。かかるフェニル基含有ウ
エッターが5質量部未満の場合には、シリカ表面のシロキサンポリマーに対する濡れ性が
足りず、混練できない不都合が発生し、20質量部を超えて含有する場合には未加硫シリ
コーンゴム組成物が粘着しやすく、加硫後もゴム硬度や引張り強さが低下するといった不
都合が発生する。そのため、5質量部以上、20質量部以下の範囲で混合するのが最適と
判断した。
また、上記シリコーンゴム組成物には、比表面積が200m/g以上、300m/g以下の範囲の乾式シリカが、50質量部以上、100質量部以下含まれている。かかる乾式シリカを混合する目的は、上記シリコーンゴム組成物からなる弾性部材にゴム硬さ、強度、伸び、高減衰性を付与する目的である。
乾式シリカの代わりに湿式シリカを用いると、湿式シリカは乾式シリカに比べて表面活性が低いため、ウェッターとの相互作用が小さく、減衰特性が付与しにくくなる。すなわち、湿式シリカでは高減衰のシリコーンゴム組成物からなる弾性部材は得られないのである(後記する比較例10参照)。また、乾式シリカに比べて湿式シリカはイオン性不純物を多量に含むため、耐熱特性にも劣る。従って、湿式シリカを用いた場合には、高減衰特性等を有するクランクダンパ用ゴムとしては適さないのである。
かかる乾式シリカの比表面積が200m/g以上、300m/g以下の範囲である必要性は、比表面積が200m/g未満の場合には、ゴム硬度、引張り強さが不足し、比表面積が300m/gを超える場合にはウェッターの効果が不十分で減衰係数が低下するためである。また、かかる乾式シリカが、50質量部未満ではゴム硬度が低下する不都合が発生し、100質量部を超える場合にゴム硬度が高過ぎ、伸びが小さく、減衰係数が低下する不都合が発生するため、50質量部以上、100質量部以下でシリコーンゴム組成物に含ませるのが最適と判断した。
上記のように主成分として、フェニル基を有するシリコーン生ゴム100質量部に対して、フェニル基を含むウエッターを5質量部以上20質量部以下、比表面積が200m/g以上、300m/g以下の乾式シリカを50質量部以上100質量部以下含むシリコーンゴム組成物は、硬化後の弾性部材の引張り強さが8MPa以上で、減衰係数のtanδが0.35以上であり、十分にクランクダンパの前記ゴム状弾性体に要求される特性を満足することができる。
また、かかる機械的強度の確保とともに、本発明の上記シリコーンゴム組成物からなる弾性部材は、低温から高温までの広い温度範囲で、クランクダンパのゴム状弾性体に求められる一定の効果を維持することができる点も特徴である。かかる特徴は、上記の如く、−30℃の貯蔵弾性率(E’−30℃)と、60℃での貯蔵弾性率(E’60℃)の比(E’−30℃/E’60℃)が、1以上、4.5以下の値を示すことで確認される。
かかる比が、1以上、4.5以下であることは、かかる温度範囲ではクランクダンパのゴム状弾性体を形成するシリコーンゴム組成物が、ほぼ一定の特性を有することを示している。例えば、当該ゴム状弾性体を使用したクランクダンパの共振周波数特性は、かかる温度範囲では、変化率が1〜1.5倍程度、好ましくは1〜1.2倍程度で済み、ほぼその性質が一定していることが確認された。
以下、実施例に基づき、本発明の有効性について検討した結果を述べる。図2には、フェニル基含有シリコーンゴム組成物からなる弾性部材の実験例1〜7および比較例2、4〜10、ジメチル系シリコーンゴム組成物からなる弾性部材を含めた比較例1、3の各組成比における特性を、互いに比較できるように示した。尚、図2では、実験例1は実−1等と、比較例1は比−1等と示している。
また、以下に示す各実施例でのシリコーンゴム組成物は、例えば、主成分として所定量のフェニル基含有シリコーン生ゴムと、所定量のフェニル基含有ウエッターと、所定量の乾式シリカあるいは湿式シリカとを、ニーダーで混練することで製造した。尚、かかるシリコーンゴム組成物の製造に際しては、例えば、上記主成分以外に耐熱性向上剤、老化防止剤、着色剤等を適宜量混合しているが、図2では主成分のみを表示している。
シリコーンゴム組成物からなる弾性部材は、図2の各実験例および比較例に示したシリコーンゴム組成物100質量部に対して、信越化学工業株式会社製加硫剤C−8を2質量部添加、混練し、165℃で10分間コンプレッション成型して、厚さ2mmのシート状部材を得た。その後、かかるシート状部材に200℃オーブン中で4時間の二次硬化を施し、各種物性測定に供した。
同様に、各比較例におけるシリコーンゴム組成物からなる弾性部材の製造、物性測定も行った。
(実施例1)
実験例1では、フェニル基含有シリコーン生ゴム100質量部に対して、比表面積が200m/gの乾式シリカ60質量部、フェニル基含有ウエッター10質量部を配合して、上記製造方法で製造されたシリコーンゴム組成物からなる弾性部材についてその特性を図2に示している。
また、比較例1では、実験例−1の配合例において、フェニル基含有シリコーン生ゴム100質量部だけをジメチル系シリコーン生ゴム100質量部に置き換えて、上記方法で製造したものである。比較例1のシリコーンゴム組成物からなる弾性部材の特性は、図2に示すように、減衰係数を示すtanδが0.32と、0.35を下回っていることが確認された。
同様に、比較例2では、実験例1の配合例において、フェニル基含有ウエッター10質量部だけをジメチル系ウエッター10質量部に置き換えたものである。比較例2のシリコーンゴム組成物からなる弾性部材の特性では、図2に示すように、減衰係数を示すtanδが0.26と、0.35を大きく下回っていることが確認された。
同様に、比較例3では、実験例1の配合例において、フェニル基含有シリコーン生ゴム
100質量部をジメチル系シリコーン生ゴム100質量部に、フェニル基含有ウエッター10質量部をジメチル系ウエッター10質量部に置き換えたものである。比較例3のシリコーンゴム組成物からなる弾性部材の特性では、図2に示すように、減衰係数を示すtanδが0.20と、0.35を大きく下回っていることが確認された。
以上のように、本実施1では、減衰係数のtanδを0.35以上にするには、フェニル基含有シリコーン生ゴムとフェニル基含有ウエッターとを共に配合する必要性があることが確認された。かかる配合をしない場合には、減衰係数のtanδが0.35より小さくなることが確認された。
(実施例2)
実験例2では、フェニル基含有シリコーンゴム100質量部に対して、比表面積200m/gの乾式シリカを50質量部、フェニル基含有ウエッターを10質量部配合した場合である。かかるシリコーンゴムの特性を図2に示した。
実験例3は、フェニル基含有シリコーン生ゴム100質量部に対して、比表面積200m/gの乾式シリカを70質量部、フェニル基含有ウエッターを12質量部配合した場合である。かかるシリコーンゴム組成物からなる弾性部材の特性を図2に示した。
実験例4は、フェニル基含有シリコーン生ゴム100質量部に対して、比表面積200m/gの乾式シリカを100質量部、フェニル基含有ウエッターを20質量部配合した場合である。かかるシリコーンゴム組成物からなる弾性部材の特性を図2に示した。
比較例4は、実験例1の配合例において、乾式シリカの配合量を50質量部を下回る40質量部に変化させたものである。かかるシリコーンゴム組成物からなる弾性部材の場合には、図2に示すように、ゴム硬度(JISK6253 TypeA型デュロメータ)が、46と著しく実験例2、3、4より低くなっていることが確認された。
比較例5は、実験例4の配合例において、乾式シリカの配合量を100質量部を超えて110質量部配合した場合である。かかるシリコーンゴム組成物からなる弾性部材の場合には、図2に示すように、引張り強さが6.3MPa、減衰係数tanδが0.30と低い値を示した。
以上のように、本実施例2からは、フェニル基含有シリコーンゴム組成物では、乾式シリカの配合量は、ある範囲内に収まっていることか必要であることが確認された。少なくとも、40質量部以下および110質量部以上は、好ましく無いことが分かった。少なくとも、50質量部以上、100質量部以下なら、好ましい結果が得られることが分かった。
(実施例3)
実験例5は、フェニル基含有シリコーン生ゴム100質量部に対して、比表面積200m/gの乾式シリカを60質量部、フェニル基含有ウエッターを5質量部配合した場合である。実験例6は、フェニル基含有シリコーン生ゴム100質量部に対して、比表面積200m/gの乾式シリカを60質量部、フェニル基含有ウエッターを15質量部配合した場合である。それぞれのシリコーンゴム組成物からなる弾性部材の特性は、図2に示した。
比較例6では、フェニル基含有シリコーン生ゴム100質量部に対して、比表面積200m/gの乾式シリカを60質量部、フェニル基含有ウエッターを3質量部配合しようとしたが、コンパウンディングが不能であった。
比較例7では、実験例6配合例において、フェニル基含有ウエッターだけを15質量部
から22質量部に変更した場合を示す。かかるシリコーンゴム組成物からなる弾性部材の場合には、図2に示すように、引張り強さが6.9MPaと低い値を示すことが確認された。
以上のように、本実施例3からは、フェニル基ウエッターの配合量がある範囲内に入っていることが必要であることが確認された。少なくとも、3質量部以下および22質量部以上は好ましくないことが確認された。少なくとも、5質量部以上、15質量部以下なら、好ましい結果が得られることが分かった。
(実施例4)
実験例7では、実験例1の配合例において、比表面積200m/gの乾式シリカのみを比表面積300m/gの乾式シリカに変更した場合である。配合量は同じ60質量部
である。
比較例8では、実験例7の乾式シリカに代えて、比表面積が130m/gの乾式シリカに変更した場合である。配合量その他は、実験例7と同様である。かかるシリコーンゴム組成物からなる弾性部材の場合には、図2に示すように、引張り強さが7.6MPaとやや小さい値を示すことが確認された。
比較例9では、実験例7の配合例において、比表面積200m/gの乾式シリカのみを比表面積380m/gの乾式シリカに変更し、フェニル基含有ウエッターを20質量部配合した場合である。かかるシリコーンゴム組成物からなる弾性部材の場合にも、図2に示すように、減衰係数のtanδの値が0.33と0.35を下回ることが確認された。
比較例10では、実験例1の配合例において、比表面積200m/gの乾式シリカのみを比表面積200m/gの湿式シリカに変更した場合である。配合量は同じ60質量部である。かかるシリコーンゴム組成物からなる弾性部材の場合には、図2に示すように、引張り強さが7.2MPaであることが確認された。
以上のように、実施例4からは、乾式シリカの比表面積が所定の範囲に収まっている必要があることか確認された。因に、比表面積が130m/g以下、380m/g以上、あるいは湿式シリカの場合には、好ましくない結果が得られることが分かったのである。
図3には、上記に実験例1として開示した組成を有するシリコーンゴム組成物からなる弾性部材を使用したクランクダンパにおける減衰係数tanδ及び固有振動数の温度依存性の測定試験結果を示した。
ここで、減衰係数のtanδ及び固有振動数の測定方法を図1及び図4を用いて説明する。試験には、図1に示すクランクダンパを使用した。
実験例1の組成を有するシリコーンゴム組成物に加硫剤を添加し、所定の金型にて、170℃で15分間のコンプレッション成型を行い、次いで型より取り出して200℃で4時間の二次加硫を行ってゴムリングを作成し、かかるゴムリングを、別途鋳物より切削成形したハブ2と、鋳物より切削成形した慣性質量体4との間隙に、圧入しクランクダンパを製作した。
図4は、測定に使用する高周波捩り振動試験機の捩り加振部を示している。図4に示すように、捩り加振部10に、クランク前端相当治具11をボルトにより接続する。このクランク前端相当時具11の中央部位にはねじ穴12が設けられ、このねじ穴12に、クランクダンパのハブ2のボス2aが、ボルト3によって固定される。
このようにクランクダンパを捩り加振部10に固定した上で、さらにクランクダンパの慣性質量体4の側面に加速度計13を接着する。高周波捩り振動試験機の捩り加振部10によって加振された捩り振動に対する応答を、この加速度計13によって測定する。
次に、試験方法を説明する。まず、被試験体であるクランクダンパを恒温槽から取り出した後、速やかに高周波捩り振動試験機に取り付けスイープさせた。スイープ開始は、ゴム温度60℃のときに行った。
測定条件は、ねじり方向に関しては、共振スイープ法を用い、ゴム温度が上記の如く60℃、加振振幅は、±1.7×10−3rad(±0.1°)、スイープ速度100Hz/minで行った。
tanδは、tanδ=1/(TR−1)1/2式により求めた。尚、TRは共振倍率を示し、10AR/20で与えられる。また、ARは伝達倍率を示し、加振側と慣性マス側の位相が90°ずれた周波数での伝達率である。
図3の試験結果に示すように、温度範囲−30℃から60℃までは、共振周波数が1.4倍程度の変化を示し、またtanδも1.4程度の変化を示し、これらから貯蔵弾性率比は2.0倍程度となり、本実験例に基づくシリコーンゴム組成の有効性が確認された。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
本発明クランクダンパに使用するゴム状弾性体を形成するシリコーンゴムの分野で有効に利用することができる。
クランクダンパの構成を示す断面説明図である。 本発明の効果を検証した実施例における実験結果を示す説明図である。 本発明の共振周波数と減衰係数tanδとの温度依存性の一例を示す説明図である。 試験機への被試験体の取り付け状況を示す説明図である。
符号の説明
1 クランク軸
2 ハブ
2a ボス部
2b 連結部
2c 円筒部
3 ボルト部
4 慣性質量体
4a ベルト溝
5 ゴム状弾性体
10 捩り加振部
11 クランク前端相当時具
12 ねじ穴
13 加速度計

Claims (4)

  1. エンジンのクランク軸に装着され前記クランク軸と一体に回転するハブと、前記ハブに結合されるゴム状弾性体と、前記ゴム状弾性体に結合されるダンパマスとを備えたクランクダンパであって、
    前記ゴム状弾性体は、100質量部のフェニル基含有シリコーン生ゴムと、5質量部以上20質量部以下のフェニル基含有ウエッターと、50質量部以上100質量部以下で比表面積が200m/g以上300m/g以下の乾式シリカとを主成分とするシリコーンゴム組成物からなる弾性部材で形成されていることを特徴とするクランクダンパ。
  2. 請求項1記載のクランクダンパにおいて、
    −30℃の貯蔵弾性率(E’−30℃)と、60℃での貯蔵弾性率(E’60℃)の比(E’−30℃/E’60℃)が、1以上、4.5以下であることを特徴とするクランクダンパ。
  3. 請求項1または2記載のクランクダンパにおいて、
    硬化後の引張り強さが8MPa以上、
    減衰係数のtanδが、0.35以上であることを特徴とするクランクダンパ。
  4. 請求項3記載のクランクダンパにおいて、
    ゴム硬度(JISK6253 TypeA型デュロメータで測定)が、50〜85°Hsであることを特徴とするクランクダンパ。
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