JP6882067B2 - トーショナルダンパ - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンのクランクシャフトやカムシャフトなどの回転軸に装着されて当該回転軸の捩り振動を吸収するトーショナルダンパに関する。
従来より、車両に搭載されたエンジンのクランクシャフトやカムシャフトなどの回転軸の一端には、当該回転軸の回転変動によって発生する捩り振動を吸収するためにトーショナルダンパが装着されている。一般に、エンジンのクランクシャフトに装着されたトーショナルダンパは、ダンパプーリとして用いられ、動力伝達用のベルトを介してエンジン補機にエンジンの動力の一部を伝達する。
このトーショナルダンパは、ボス部にクランクシャフトの先端が取り付けられるハブと、当該ハブに対して径方向外方に配置される慣性リングとを有し、ハブ外周面と慣性リング内周面との間隙部にはゴム部材が介挿している。このゴム部材は、車両の走行中に発生する回転軸の捩り振動を低減させて回転軸の破損を防止し、エンジンから伝達される振動や当該振動により生じる騒音を低減する役割をする。このとき、慣性リングとハブの間に介挿されたゴム部材は、当該慣性リングとハブとの間において円周方向に相互にずれる捩れ移動が生じる。このとき、ゴム部材に加わる捩れ振動による負荷が一定以上になると、ゴム部材に亀裂が発生する。特に、高減衰ゴム部材を用いた場合には、耐久性が低下することが知られている。
例えば、特許文献1には、ハブの外周面に円筒面部とテーパ状の応力緩和部を設けるとともに、前記ハブの外周側に配置される質量体の内周面に前記円筒面部に対向する円筒面部と前記応力緩和部に対向するテーパ状の応力緩和部を設け、前記ハブと前記質量体の間に軸方向一方からゴム状弾性材製の弾性体を圧入することが開示されている。当該特許文献1には、弾性体の前記応力緩和部に接する部分に、凹凸を有しない平滑面を設けて、弾性体の圧入時に当該弾性体がうねることを抑制し、前記弾性体の前記円筒面部に接する部分に、接着剤又は潤滑用の油を保有せしめる凹凸を設けて、強固な連結を図る技術が開示されている。
また、特許文献2には、金属部品からなるハブと質量体の間に軸方向の一方からゴムなどの高分子弾性体を圧入する嵌合タイプのダンパであって、ハブ及び/又は質量体の高分子弾性体を固着する金属面の面粗度が5〜50μmRzであり、これらハブと高分子弾性体との間及び/又は前記質量体と前記高分子弾性体との間に滑り止め剤としてオルガノシランを固着することにより、固着力の高いダンパの実現を図る技術が開示されている。
更に、特許文献3には、長期にわたり防振特性が変化することなく耐久性を有するトーショナルダンパを提供することを目的として、環状弾性体が圧入されるハブの外周面と環状質量体の内周面との間で構成される間隙部が、軸方向中央部の環状弾性体を圧縮状態で保持する主間隙部と、軸方向両端部の少なくとも一方の端部が、主間隙部よりも大きな間隙を有し、環状弾性体の端部に当該端部を圧縮状態で保持する圧縮力保持部を形成する副間隙部とを備えることが開示されている。
また、特許文献4には、ばね−質量系の共振による動的吸振効果を得るトーショナルダンパにおいて、質量体の質量増大に依存することなく制振性能を向上させることを目的として、ハブと質量体の間に、このハブと質量体のうち少なくとも一方と摺動可能に接触される滑り軸受けを介在させることが開示されている。
特開平11−44344号公報 特開2011−263423号公報 特開2010−151217号公報 特開2015−38366号公報
ところで、この種のトーショナルダンパの動的吸振効果を向上させるためには、慣性リングの質量を増大させることが有効であるが、近年では、車両の燃費向上を目的として、トーショナルダンパの軽量化が求められているため、高減衰特性を備えたゴム部材の使用が検討されている。
しかし、圧入作業性を考慮して、軸方向の圧入側端部に、圧縮量を徐々に低減していくテーパ部が形成されている場合、圧入側端部に挟まれた圧縮量が低いゴム部材縁部に連続的な一定負荷が加わると、高減衰特性を有するゴム部材は、ハブや慣性リングの表面と擦れ合うことによって生じる摩耗が顕著になり、摩耗した部分に亀裂が発生し、ゴム部材の耐久性が悪くなる。また、高減衰特性を備えたゴム部材を用いることで、捩り振動を低減することができるが、高減衰化するために添加する添加物によりゴム部材の耐摩耗性が低下するため、当該ゴム部材は、凹凸が大きい表面と擦れ合うと摩耗粉の発生が多くなってしまう。
そのため、市場からは、高い減衰性能を備えたゴム部材を使用した場合においても、摩耗粉の発生を抑制してゴム部材の耐久性を向上させることができるトーショナルダンパの開発が要望されてきた。
そこで、本件発明者等は、鋭意研究の結果、以下のトーショナルダンパを提供するに至った。すなわち、本発明に係るトーショナルダンパは、回転軸に固定され、当該回転軸と略同心円状の外周面を備えたハブと、当該ハブ外周面と対向し当該外周面と略同心円状の内周面を備えた慣性リングと、当該ハブ外周面と、当該慣性リング内周面との間隙部に圧入されたゴム部材とを備えたものであって、当該トーショナルダンパ共振時における当該ゴム部材の表面温度60±5℃でのゴム部材の損失係数(tanδpi)が0.23より大きく、当該トーショナルダンパに温度100±3℃、加振振幅(負荷トルク)±180N/m、加振周波数10Hzを与えたときの、当該トーショナルダンパに圧入された状態での当該ゴム部材の円周方向の変形量を当該ゴム部材の厚みで除算した値に100を乗算した値(せん断歪みが35%より大きく60%未満であり、当該間隙部が、当該ハブ外周面と当該慣性リング内周面とにより形成される当該ゴム部材を圧縮保持する主圧縮間隙部と、当該ハブ外周面端部と当該慣性リング内周面端部に形成され、端面にいくにしたがって当該ハブ外周面と当該慣性リング内周面が離間する方向に傾斜した傾斜間隙部とを備え、当該主圧縮間隙部と傾斜間隙部を形成する当該ハブ外周面と当該慣性リング内周面の表面粗さ(Rz)が4μm以上30μm以下であり、かつ、当該傾斜間隙部と当該主圧縮間隙部との境界よりも当該主圧縮間隙部側から当該傾斜間隙部にわたって形成された、当該主圧縮間隙部を形成するハブ外周面と慣性リング内周面より表面粗さ(Rz)が小さい摩擦低減領域を備えることを特徴とする。
本発明に係るトーショナルダンパは、前記摩擦低減領域の前記ハブ外周面と前記慣性リング内周面の表面粗さ(Rz)が4μm以上15μm以下であり、当該摩擦低減領域以外のハブ外周面と当該慣性リング内周面の表面粗さ(Rz)が15μmより大きく30μm以下であることが好ましい。
本発明に係るトーショナルダンパにおいて、以下の式(1)で表される前記ゴム部材全体の径方向平均圧縮率は、前記主圧縮間隙部に圧入したゴム部材の平均圧縮率と前記傾斜間隙部に圧入したゴム部材の平均圧縮率とからなり、当該主圧縮間隙部の平均圧縮率が30%以上40%以下であり、当該傾斜間隙部の平均圧縮率が10%以上20%以下であることが好ましい。
Figure 0006882067

ただし、t:圧入前のゴム部材の厚み
:空隙部に圧入したときの各領域におけるゴム部材の厚み
:トーショナルダンパの幅方向の長さ
:空隙部の各領域の幅方向の長さ
n:圧縮率が異なる領域の数であり、2〜7までの整数。
本発明に係るトーショナルダンパは、前記傾斜間隙部を構成する傾斜面と、前記主圧縮間隙部を構成する前記ハブ外周面又は前記慣性リング内周面とがなす傾斜角度が25°以上40°未満であることが好ましい。
本発明に係るトーショナルダンパは、トーショナルダンパ共振時における前記ゴム部材の表面温度120±5℃での損失係数(tanδph)が0.21以上であり、当該トーショナルダンパ共振時における当該ゴム部材の表面温度120±5℃での損失係数(tanδph)と、当該トーショナルダンパ共振時における当該ゴム部材の表面温度60±5℃での損失係数(tanδpi)との損失係数比(tanδph/tanδpi)が0.66以上であることが好ましい。
本発明に係るトーショナルダンパに用いるゴム部材は、圧入前の当該ゴム部材に1.4MPaの引張応力を10〜50回加えたときの圧入前の当該ゴム部材の伸び率が34%より大きく62%未満であることが好ましい。
本発明に係るトーショナルダンパは、圧入前の前記ゴム部材の60℃における損失係数(tanδi)が0.39以上で、120℃における損失係数(tanδh)と60℃における損失係数(tanδi)との損失係数比(tanδh/tanδi)が0.87以上であることが好ましい。
本発明に係るトーショナルダンパに用いるゴム部材は、圧入前の前記ゴム部材の50%伸長時のモジュラスが1.28MPaより大きく、1.82MPa未満であることが好ましい。
本発明に係るトーショナルダンパにおいて、圧入前の前記ゴム部材は、EPDMを主成分とするゴム組成物を加硫成形したものであって、当該ゴム組成物は、当該EPDM100重量部に対して、ヨウ素吸着量が70mg/g以上185mg/g以下でありDBP吸油量が40cm /100g以上120cm /100g以下であるカーボンブラック100重量部以上、プロセスオイル40重量部以上が添加され、当該ゴム組成物の合計重量部に対する当該EPDMの重量部比率(EPDMのポリマー分率が20重量%以上40重量%以下であることが好ましい。
本発明におけるゴム組成物は、前記カーボンブラックのヨウ素吸着量が70mg/g以上185mg/g以下であることが好ましい。
また、本発明におけるゴム組成物は、前記カーボンブラックのDBP吸油量が40cm/100g以上120cm/100g以下であることが好ましい。
本発明によれば、摩耗しやすい高減衰特性を備えたゴム部材を用いても、ハブと慣性リングとの間隙部に形成された当該間隙部の傾斜間隙部の表面粗さが、ゴム部材を圧縮保持する主圧縮間隙部よりも小さいため、当該ゴム部材が傾斜間隙部と擦れ合って生じる摩耗粉の発生を著しく抑制することができる。結果としてトーショナルダンパの耐久性の向上を図ることができると同時に高減衰特性のゴム部材を用いることで、捩り振動を低減することができるため、トーショナルダンパの軽量化を図ることができる。
本発明を適用した実施形態としてのトーショナルダンパの斜視図である。 図1のトーショナルダンパの部分破断斜視図である。 ゴム部材の圧入前のトーショナルダンパの部分破断斜視図である。 図1のトーショナルダンパの部分拡大断面図である。 図4の部分拡大断面図である。 実施例及び比較例のトーショナルダンパの耐久性能特性線図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明を適用した実施形態としてのトーショナルダンパ1の斜視図、図2は図1のトーショナルダンパの部分破断斜視図、図3はゴム部材の圧入前のトーショナルダンパ1の部分破断斜視図である。
本発明に係るトーショナルダンパは、車両等に搭載されたエンジン等のクランクシャフトやカムシャフト等の図示しない回転軸の一端に装着されて、当該回転軸の回転変動によって発生する捩り振動を吸収するものである。当該トーショナルダンパは、動力伝達用の図示しないベルトを装着することにより、エンジン補機に回転軸を介して伝達されたエンジンの動力の一部を伝達することができる。
本実施の形態に係るトーショナルダンパ1は、回転軸に固定され、当該回転軸と略同心円状の外周面を備えたハブ2と、当該ハブ2外周面と対向し当該外周面と略同心円状の内周面を備えた慣性リング3と、当該ハブ2外周面と、当該慣性リング3内周面との間隙部に圧入された環状のゴム部材4とを備えている。
具体的に、ハブ2は、回転軸の先端が固定されるボス部21と、当該ボス部21から外径方向に延在した円盤状のフランジ部24と、当該フランジ部24の外周に形成され、前記回転軸の軸方向に延在する筒状部25とを備えており、これらが鋳鉄等の金属材料やフェノール樹脂等の樹脂材料等によって一体に成形されている。ハブ2を構成する鋳鉄としては、例えば、FC250やFCD450等を用いることができる。ハブ2のボス部21は、回転軸の先端が挿入固定される軸孔22とキー溝23が形成されており、当該ボス部21に回転軸の先端が締結されることにより、当該ハブ2は、回転軸の中心軸Cを中心に回転駆動される。本実施の形態において、ハブ2の筒状部25の外周面25Aが、本発明でいう回転軸と略同心円状の外周面に相当する。
慣性リング3は、ハブ2と同様に鋳鉄等の金属材料あるいは金属と樹脂の複合材料からなるものであって、トーショナルダンパ1が所定の動的吸振効果を得るため、所定の質量を備えている。慣性リング3を構成する鋳鉄として、例えば、FC250等を用いることができる。この慣性リング3の外周面3Bには、エンジン補機への動力伝達用の図示しないベルトが掛けられるプーリ溝3Cが形成され、動力伝達用のプーリを構成している。当該慣性リング3は、前記回転軸の軸方向に延在する円筒状を呈しており、当該慣性リング3の内径は、ハブ2の外径よりも所定寸法大きく形成されている。この慣性リング3がハブ2と同軸的に配置されることにより、この慣性リング内周面3Aと、ハブ2の筒状部25の外周面25A(以下、単にハブ外周面25Aと称する)とは、所定の間隔を有し、略同心円状となる。図3に示すように、この慣性リング内周面3Aとハブ外周面25Aとの間隔は、ゴム部材41を圧入する間隙部5とされる。
上述したハブ2と慣性リング3との間隙部5に圧入されるゴム部材41は、クランクシャフト等の回転軸の捩り振動を低減させて破損を防止し、エンジンから伝達される振動や、当該振動により生じる騒音を低減させるものである。本発明は、ゴム部材として摩耗が生じやすい振動減衰効果に優れた高減衰ゴム部材を用いた場合に、特に、摩耗粉発生抑制の効果を発揮することができる。以下において、間隙部5に圧入する前のゴム部材をゴム部材41とし、圧入後のゴム部材を4として説明する。
本発明におけるトーショナルダンパは、当該間隙部が、ハブ外周面と慣性リング内周面とによってゴム部材を圧縮保持する主圧縮間隙部と、トーショナルダンパの端面にいくにしたがってハブ外周面と慣性リング内周面が徐々に離間する方向に傾斜した傾斜間隙部とを備え、この主圧縮間隙部と傾斜間隙部を形成するハブ外周面と慣性リング内周面の表面粗さが十点平均粗さ(Rzjis)(JIS B0601−1994)で4μm以上30μm以下で、かつ、傾斜間隙部を形成するハブ外周面と慣性リング内周面に、主圧縮間隙部を形成するハブ外周面と慣性リング内周面の表面粗さより表面粗さが小さい摩擦低減領域を備えることを特徴とする。
本実施の形態において、図3及び図4に示すように、ハブ外周面25Aと慣性リング内周面3Aとの間に形成された間隙部5は、ゴム部材4を圧縮保持する主圧縮間隙部51と、当該ゴム部材41の当該間隙部5への圧入作業を容易とするための傾斜間隙部52とを備えている。
上述した主圧縮間隙部51の断面は、ゴム部材4の圧入方向に一端から他端にわたって、回動軸からの距離が一定とされたストレート形状であってもよく、図4に示すように、当該主圧縮間隙部51のゴム部材4の圧入方向中央部の断面において、内径方向又は外径方向に凹んだ凹部形状を呈するものであっても良い。主圧縮間隙部51に当該凹部形状を採用した場合には、捩り振動によってゴム部材4がハブ2と慣性リング3との間隙部5から抜け出る方向に移動する不都合を効果的に抑制することができる。このような断面形状を採用した主圧縮間隙部51は、ゴム部材4の圧縮率が一様ではなく部分的に異なる。例えば、図4に示すように、主圧縮間隙部51には、圧縮率が異なるL〜Lの各領域があり、各領域はそれぞれt〜tに示す間隙寸法を有する。そこで、上述した当該主圧縮間隙部51におけるゴム部材4の圧縮率として、部分的な圧縮率の差を考慮し加重平均により算出した径方向平均圧縮率を採用した。なお、凹部を備える領域(この場合領域L)においては、当該領域における幅方向における中央の厚みを採用する。この径方向平均圧縮率は、以下の式(1)で表すことができる。
Figure 0006882067

ただし、t:圧入前のゴム部材の厚み
:空隙部に圧入したときの各領域におけるゴム部材の厚み
:トーショナルダンパの幅方向の長さ
:空隙部の各領域の幅方向の長さ
n:圧縮率が異なる領域の数であり、2〜7までの整数。
ここで、式(1)を用いたときの具体例の1つについて図4を用いて説明する。図4において、主圧縮間隙部51に圧入されたゴム部材4は、それぞれ圧縮率が異なる各領域L〜Lの厚さがt、t、tであり、傾斜間隙部52に圧入されたゴム部材は、各領域L、Lの厚さが、t、tである。ここでは、t≠t≠t≠t≠tとする。また、図3に示すように、圧入前のゴム部材41の厚さをtとする。このときの径方向平均圧縮率(%)を下記式(2)に示す。
(数4)
{((t−t)/t)×(L/L)+((t−t)/t)×(L/L)+((t−t)/t)×(L/L)+((t−t)/t)×(L/L)+((t−t)/t)×(L/L)}×100・・・(2)
このとき、上記式(2)の第1項〜第3項までの総和が主圧縮間隙部51の径方向平均圧縮率であり、第4項〜第5項までの総和が傾斜間隙部52の径方向平均圧縮率である。このように、図4では、主圧縮間隙部51と傾斜間隙部52の圧縮率が異なる領域の数が合計で5つの場合を示している。本発明では、主圧縮間隙部51に凹部がなく主圧縮間隙部51全体が均一の場合には、主圧縮間隙部51の圧縮率の異なる領域の数がn=1となる。2つある傾斜間隙部52の他の一方は拡開せず、主圧縮間隙部51が延長して形成されている場合には、傾斜間隙部52の他方のみが圧縮率が異なる領域を有するため、傾斜間隙部52の圧縮率が異なる領域はn=1となる。したがって、このような場合に、主圧縮間隙部51と傾斜間隙部52の圧縮率が異なる領域は合計でn=2となり、圧縮率が異なる領域の合計数2が最小値となる。また、主圧縮間隙部51の圧縮率の異なる領域は、図4に示す状態が最大である3となり、2つの傾斜間隙部52の各々が変曲点を有して拡開する場合の当該傾斜間隙部52の圧縮率の異なる領域の数は、それぞれがn=2となり、傾斜間隙部52は最大4となる。したがって、主圧縮間隙部51と傾斜間隙部52とを合計した圧縮率の異なる領域の合計数7が最大となる。
なお、上述したゴム部材4の主圧縮間隙部51における径方向平均圧縮率は、30%以上40%以下であることが好ましい。主圧縮間隙部51に圧入されたゴム部材4の圧縮量を30%以上40%以下の範囲に調整することにより、ゴム部材4の亀裂の発生を防止できると共に、十分な圧接力が付与されゴム部材4の捩れ移動を防止することができるからである。
また、傾斜間隙部52は、圧縮間隙部51のゴム部材4の圧入方向における端部に形成されたものであり、この傾斜間隙部52は、ゴム部材4を圧入する側の端部のみならず、両端に設けられていても良い。傾斜間隙部52は、ハブ外周面25Aの圧入方向の端部と、慣性リング内周面3Aの圧入方向の端部が、圧入方向における端面、すなわち、外方にいくにしたがってこれら外周面25Aと内周面3Aとが離間する方向に傾斜する各傾斜面52A、52Bにより構成される。当該傾斜面52A、52Bの断面形状は、平面であっても、曲面であっても良い。
当該傾斜間隙部52は、圧入されたゴム部材4の端部を主圧縮間隙部51の両端において、補助的に圧縮保持する。当該傾斜間隙部52によるゴム部材4の径方向圧縮率は、10%以上20%以下であることが好ましい。具体的には、当該傾斜間隙部52によるゴム部材4の径方向平均圧縮率は、上述した主圧縮間隙部51によるゴム部材4の径方向平均圧縮率と同様に、上述の式(1)にて表したとき、10%以上20%以下であることが好ましい。図4に示すように本実施の形態における傾斜間隙部52は、圧縮率が外方にいくにしたがって低下していくL〜Lの各領域があり、各領域はそれぞれt〜tに示す間隙寸法を有する。傾斜間隙部52を形成する各領域は、所定の傾きで端面にいくにしたがって拡開していくため、t及びtは、各領域の幅方向における中心位置におけるゴム部材4の厚みとする。
このとき、当該傾斜間隙部52における径方向平均圧縮率をゼロとはせずに、10%以上20%以下とすることにより、ゴム部材4の端部において、当該ゴム部材4に加わる圧接力が完全に解除されてしまうことを回避することができる。これにより、当該ゴム部材4の端部に捩れ移動による引張荷重が負荷されて傾斜間隙部52を構成する傾斜面52A、52Bとの間で生じる摩擦を低減し、当該ゴム部材4の端部に皺が発生し、亀裂が生じる不都合を抑制することができる。
また、当該傾斜間隙部52を構成する当該傾斜面52A、52Bの傾斜角度、すなわち、当該傾斜面52A又は52Bと、主圧縮間隙部51を構成するハブ外周面25A又は慣性リング内周面3Aとがなす角度θは、25°以上40°未満であることが好ましい。傾斜面52A又は52Bが曲面であるとき、当該角度θは、図5に示すように、当該曲面との接線Dと主圧縮間隙部51を構成するハブ外周面25A又は慣性リング内周面3Aとがなす角度であるものとする。各傾斜面52A、52Bの傾斜角度を当該範囲に設定することで、主圧縮間隙部51によるゴム部材4の圧縮面積を確保しつつ、傾斜間隙部52におけるゴム部材4の径方向平均圧縮率を10%以上20%以下の範囲に維持することができ、ゴム部材4の良好な圧入作業性を得ることができる。
上述した主圧縮間隙部51と傾斜間隙部52とを備えた間隙部5を形成するハブ外周面25Aと、慣性リング内周面3Aの表面粗さは、十点平均粗さ(Rzjis)(JIS B0601−1994)で4μm以上30μm以下であり、傾斜間隙部52を構成する各傾斜面52A、52Bに、主圧縮間隙部51を構成するハブ外周面25A及び慣性リング内周面3Aより表面粗さが小さい摩擦低減領域53を備える。なお、摩擦低減領域53は、少なくとも圧入されるゴム部材4が密着される領域のことをいい、当該摩擦低減領域53が前記各斜面52A、53A全体にわたっていてもよいことはもちろんである。当該表面粗さの調整は、金属材料、樹脂材料、若しくは、金属と樹脂の複合材料等により構成されるハブ外周面25Aや慣性リング内周面3Aを機械加工や化学処理などによる表面処理によって行うことができる。
本件発明では、具体的に、摩擦低減領域53のハブ外周面25Aと慣性リング内周面3Aの表面粗さが十点平均粗さ(Rzjis)(JIS B0601−1994)で4μm以上15μm以下であり、当該摩擦低減領域53以外のハブ外周面25Aと慣性リング内周面3Aの表面粗さが十点平均粗さ(Rzjis)(JIS B0601−1994)で15μmより大きく30μm以下であることが好ましい。
傾斜間隙部52を構成するハブ外周面25A、すなわち、傾斜面52Aと、慣性リング内周面3A、すなわち、傾斜面52Bに、主圧縮間隙部51を構成するハブ外周面25A及び慣性リング内周面3Aの表面粗さよりも小さい、例えば、十点平均粗さ(Rzjis)(JIS B0601−1994)で4μm以上15μm以下とする摩擦低減領域53が形成されることにより、当該傾斜間隙部52の表面が滑らかとなる。これにより、傾斜間隙部52におけるゴム部材4の端部と各傾斜面52A、52Bとの摩擦抵抗を小さくすることができ、これらが擦れ合って生じる当該ゴム部材4の摩耗粉の発生を著しく抑制することができる。
上述した摩擦低減領域53は、図5の部分拡大図に示すように、傾斜間隙部52と主圧縮間隙部51との境界よりも主圧縮間隙部51側から傾斜間隙部52にわたって形成されていてもよい。この場合、主圧縮間隙部51の端から拡開する方向に傾斜した傾斜間隙部52がはじまる位置よりも摩擦低減領域53が、例えば、寸法dの分だけ主圧縮間隙部51側寄りから形成されることとなる。これにより、主圧縮間隙部51と傾斜間隙部52におけるゴム部材4の径方向圧縮率の変曲点よりも表面粗さが変化する変曲点が主圧縮間隙部51寄りに位置するため、当該ゴム部材4の圧縮率の変曲点に加わる応力を主圧縮間隙部51寄りに分散させることができる。したがって、ゴム部材4に加わる局所的応力によるゴム部材4の亀裂をより一層効果的に回避することができる。
本発明のトーショナルダンパ1は、トーショナルダンパ共振時におけるゴム部材4の表面温度60±5℃の当該ゴム部材4の損失係数(tanδpi)が0.23より大きい高減衰特性を備えている。このため、優れた振動低減効果を奏する。
また、本発明におけるトーショナルダンパ1は、トーショナルダンパ共振時におけるゴム部材4の表面温度120±5℃での当該ゴム部材4の損失係数(tanδph)が0.21以上であり、当該トーショナルダンパ共振時におけるゴム部材4の表面温度120±5℃での当該ゴム部材4の損失係数(tanδph)とトーショナルダンパ共振時におけるゴム部材4の表面温度60±5℃での当該ゴム部材4の損失係数(tanδpi)との損失係数比(tanδph/tanδpi)が0.66以上であることが好ましい。
トーショナルダンパ共振時におけるゴム部材4の表面温度120±5℃でのゴム部材4の損失係数(tanδph)とトーショナルダンパ共振時におけるゴム部材4の表面温度60±5℃での当該ゴム部材4の損失係数(tanδpi)との損失係数比(tanδph/tanδpi)は、損失係数(tanδ)の温度依存性を表す指標である。高温使用時におけるゴム部材4の損失係数(tanδph)と使用標準時におけるゴム部材4の損失係数(tanδpi)との損失係数比(tanδph/tanδpi)が大きい(1に近い)ことは、使用標準温度から高温使用温度までの温度範囲における損失係数(tanδ)の温度依存性が小さい、すなわち、温度変化に伴う損失係数(tanδ)の低下が少ないことを意味し、本発明において、当該ゴム部材4の表面温度120±5℃における当該ゴム部材4の損失係数(tanδph)とゴム部材4の表面温度60±5℃における当該ゴム部材4の損失係数(tanδpi)との損失係数比(tanδph/tanδpi)が0.66以上であるため、ゴム部材の60℃から120℃までの温度範囲における温度変化に伴う損失係数の変化は少ないため、使用標準温度から高温側使用温度の範囲にわたり、優れた振動吸収特性を示すことが分かる。
また、本発明においてダンパに圧入した状態でのゴム部材4のせん断歪みは、35%より大きく60%未満、より好ましくは、45%以上55%以下である。ここで用いるゴム部材4のせん断歪みは、相対ゴム歪みに相当するものであり、本発明では、高温時における補機の合計負荷トルクに一定の安全係数を乗算したトルクで測定した値である。なお、当該せん断歪みが大きいほど、振動減衰性能が高いことがよく知られている。本発明では、当該条件下でのゴム部材4のせん断歪みは、35%より大きく60%未満であるゴム部材4を採用する。当該条件におけるゴム部材4のせん断歪みを35%より大きく60%未満の範囲とすることにより、所定の振動吸収特性を確保しつつ、長期間使用したとしてもゴム部材の破断やゴム摩耗による摩耗粉発生等が生じにくくなり、トーショナルダンパとして要求される耐久性を満たすことが可能となる。さらに、当該条件におけるゴム部材4のせん断歪みを45%以上55%以下の範囲とすることにより、所定の振動吸収特性を確保しつつ、より高い耐久性を実現することが可能となる。
さらに、本発明に用いるゴム部材41は、60℃における損失係数(tanδi)が0.39以上で、120℃における損失係数(tanδh)と60℃における損失係数(tanδi)との損失係数比(tanδh/tanδi)が0.87以上であることが好ましい。このようなゴム部材41をトーショナルダンパ1に用いることにより、通常使用温度から高温まで優れた動振動吸収を示すからである。
また、本発明に用いるゴム部材41は、当該ゴム部材41に1.4MPaの引張応力を複数回加えたときの伸び率が34%より大きく62%未満である特性を有することが好ましい。当該伸び率が34%以下であると、トーショナルダンパに装着した際に、所望の振動吸収性能が得られにくくなる問題があり、62%以上であると定トルクにおいて所望の耐久性が得られにくくなる問題があるからである。
さらに、本発明に用いるゴム部材41は、50%伸長時のモジュラスが1.28MPaより大きく、1.82MPa未満である特性を有することが好ましい。当該50%伸長時のモジュラスが1.28MPa以下であるとトーショナルダンパとして要求される耐久性を満たすことが困難となり、当該50%伸長時のモジュラスが1.82MPa以上であるとゴムの練り加工性、加硫成形性が悪化する問題があるからである。
上述したような特性を備えたゴム部材41は、例えば、エチレン・プロピレン・ジエン三元コポリマー(EPDM)やシリコーンを主成分とするゴム組成物を加硫成形することにより実現することができる。具体的には、EPDM100重量部に対して、カーボンブラック100重量部以上、プロセスオイル40重量部以上が添加されたゴム組成物を周知の方法により所定形状(本実施例では、円筒状)に加硫成形することにより得ることができる。カーボンブラック量は、当該ゴム組成物を加硫成形して得られるゴム部材の損失係数(tanδ)に大きく影響し、EPDM100重量部に対して100重量部を下回ると、当該ゴム組成物を加硫成形して得られたゴム部材の損失係数(tanδ)が小さくなり、上述したような高い減衰性能を実現することが困難となる。
また、本発明において、当該ゴム組成物のEPDMのポリマー分率は、20重量%以上40重量%以下であることが好ましい。ここで、EPDMのポリマー分率は、以下の式(3)により表される。
(数5)
EPDMのポリマー分率(重量%)=EPDMポリマー重量部数÷合計重量部数×100・・・(3)
当該EPDMのポリマー分率が20重量%未満では、ゴム組成物の粘着性が上昇し、製造過程における練り加工性が悪化し、また、EPDMのポリマー分率が40重量%以上では、損失係数(tanδ)が所望の値よりも低下してしまう。
また、上述したゴム組成物に含まれるカーボンブラックの粒径は小さいほど好ましい。含まれるカーボンブラックの粒径が小さいほど、当該ゴム組成物を加硫成形して得られるゴム部材の損失係数(tanδ)が大きくなる。また、当該カーボンブラックの粒径は、当該カーボンブラックのヨウ素吸着量が大きいほど、小さくなる。したがって、当該ゴム組成物に含まれるカーボンブラックは、ヨウ素吸着量が70mg/g以上185mg/g以下の範囲であるカーボンブラックを用いることが好ましい。また、当該カーボンブラックは、当該カーボンブラックのDBP(可塑剤:フタル酸ジブチル(Dibutyl phthalate)吸油量が大きいほど、ストラクチャーが大きくなり、導電性が向上する。したがって、当該ゴム組成物に含まれるカーボンブラックは、DBP吸油量が40cm/100g以上120cm/100g以下の範囲にあるカーボンブラックを用いることが好ましい。こうすることで、当該カーボンブラックを含むゴム組成物を加硫成形して得られるゴム部材をトーショナルダンパに装着したときに、トーショナルダンパの帯電を防止し、耐久性を向上させることができる。
なお、上述したゴム組成物に用いる加硫剤としては、過酸化物や、共架橋剤等を用いることができる。具体的に、過酸化物としては、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、1,3−ジ(2−tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ジtert−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、N−ブチル−4,4−ジ(tert−ブチルペルオキシ)バレレート、tert−ブチルクミルペルオキシド等を用いることができる。
共架橋剤としては、トリアリルイソシアネート、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロ−ルプロパントリメタクリレート、トリアリルシアヌレート、キノンジオキシム、1,2−ポリブタジエンなどを用いることができる。
また、ゴム組成物には、上述した成分の他にも、周知のゴム添加剤としてプロセスオイル(鉱物油)や、可塑剤、亜鉛華、ステアリン酸亜鉛、老化防止剤などを含有することができる。
以上の構成により、トーショナルダンパ1を製造する場合には、ハブ2と慣性リング3を図示しない支持台に略同心円状に配置して、図3に示すように、ハブ2と慣性リング3との間隙部5に円筒状のゴム部材41を圧入する。この際において、間隙部5は、ゴム部材41の径方向の厚みよりも狭く形成されているため、図示しない治具を用いてゴム部材41を圧縮しながら当該間隙部5内に圧入する。
さらに、本発明において、当該間隙部5の圧入方向における端部には、外方にいくにしたがって拡開した傾斜間隙部52が形成されているため、間隙寸法が主圧縮間隙部51よりも大きい傾斜間隙部52に沿って円滑にゴム部材41を圧入することができる。特に、本発明における傾斜間隙部52を形成するハブ外周面25Aと慣性リング内周面3Aには、主圧縮間隙部51を形成するハブ外周面25Aと慣性リング内周面3Aより表面粗さが小さい、例えば、十点平均粗さ(Rzjis)(JIS B0601−1994)で4μm以上15μm未満である摩擦低減領域53を備えているため、摩耗が生じやすい高減衰特性を備えたゴム部材を用いた場合であっても、圧入作業時における皺等を原因とするゴム部材4の亀裂の発生を効果的に抑制することができ、しかも振動減衰効果が優れたゴム部材を用いることにより、振動減衰効果に優れ、かつ、耐久性の高いトーショナルダンパを実現することができる。
また、慣性リング3とハブ2との間隙部5に圧入されたゴム部材4は、慣性リング3とハブ2との間において円周方向に相互にずれる捩れ移動が生じるが、当該ゴム部材4は、主圧縮間隙部51においてハブ外周面25Aと慣性リング内周面3Aとによって圧縮保持されているため、捩れ移動が抑制される。特に、本発明では、上述した摩擦低減領域53以外の主圧縮間隙部51におけるハブ外周面25A及び慣性リング内周面3Aの表面粗さは、傾斜間隙部52を構成する各傾斜面52A、52Bより大きい粗さ、例えば、十点平均粗さ(Rzjis)(JIS B0601−1994)で15μmより大きく30μm以下とすることにより、主圧縮間隙部51におけるゴム部材4と外周面25A及び内周面3Aとの間における物理的固着力を確保することができるため、捩れ移動を抑制できる。
また、ハブ2と慣性リング3との間隙部5の傾斜間隙部52に形成された摩擦低減領域53の表面粗さは、ゴム部材4を圧縮保持する主圧縮間隙部より小さく、例えば、十点平均粗さ(Rzjis)(JIS B0601−1994)で4μm以上15μm以下である。したがって、当該傾斜間隙部52に保持されたゴム部材4に捩れ移動が生じたとしても、当該傾斜間隙部52を構成する各傾斜面52A、52Bとゴム部材4とが擦れ合って摩耗する不都合を著しく解消することができる。このため、摩耗が生じやすい高減衰特性を備えたゴム部材を用いた場合であっても、当該ゴム部材4と当該傾斜間隙部52を構成する各傾斜面52A、52Bとの摩擦によって摩耗粉が発生する不都合を効果的に抑制することができ、同時に当該ゴム部材4に皺や亀裂が発生する不都合を著しく抑制できる。
以下に、本発明の実施例について説明する。
1.トーショナルダンパ用ゴム部材の製造及び評価
(1)ゴム組成物の調整工程
実施例1〜実施例3は、まず、バンバリーミキサーにEPDM100重量部を投入し、回転数40rpmで1分間素練りした後、カーボンブラック140重量部、プロセスオイル70重量部、亜鉛華5重量部、ステアリン酸亜鉛1重量部、老化防止剤2重量部を投入して2分間混練し、さらに1分間混練した後、混練物をバンバリーミキサーから取り出した。続いて、取り出した混練物をロール間隔5mmとした12インチロールに巻き付けてシート状に成形し、成形した生地を室温にて12時間以上放置した。ここで、カーボンブラックは、ヨウ素吸着量が110mg/gであり、DBP吸油量が70cm/100gであるカーボンブラックを用いた。なお、ヨウ素吸着量は±7mg/g、DBP吸油量は±7cm/100gの許容範囲を有する。
次に、上述した生地をロール間隔4mmとして6インチロールに巻き付けて、過酸化物としての2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン3.5重量部と共架橋剤としてのトリメチロ−ルプロパントリメタクリレート2重量部を練り込み、切り返しを左右3回ずつ行い、丸め通しを5回行った後、シート状に成形した。
実施例1と実施例2とは、用いたEPDMが異なる以外は、同じ条件とした。すなわち、用いた市販のEPDMはエチレン重量比率と油展オイル量が異なり、実施例1では油展EPDMを用い、実施例2では、非油展EPDMを用いた。実施例3は、過酸化物としての2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサンを2.5重量部とする以外は、実施例1と同じ条件とした。各実施例1〜実施例3のゴム組成物の組成比及びEPDMポリマー分率は、後述する表1に評価とあわせて示す。この際、市販のEPDMに含まれる油展オイル量を考慮して添加するプロセスオイル量を調整し、上述の重量比とした。
具体的には、実施例1におけるEPDMは、エチレン重量比率が55%以下の第1グレードと、油展オイル量40重量部以上の油展グレードとを混合してエチレン重量比率58%とした。この際、第1グレード(1G)、油展グレード(OG)及びプロセスオイル量(PO。油展グレードのポリマーに含まれるオイルを差し引いた量)の各重量部の関係は、以下のとおりである。
すなわち、第1グレード(1G)の添加量(重量部数)をA、使用する油展グレードのEPDMポリマーを100重量部としたときのポリマーと油展オイルの合計重量部数をDとしたとき、油展グレード(OG)の添加量(重量部数)Bは、(100−A)×D/100である。また、油展グレード(OG)を使用した場合のプロセスオイルの添加量(重量部数)Cは、(油展EPDMを使用しない場合のプロセスオイル添加量)−(A+B−100)である。ここでは、油展EPDMグレードをブレンドして使用する場合は、第1グレードのEPDMポリマーと油展EPDMグレードの油展オイルを除いたEPDMポリマーとの合計が100重量部となるように換算して示している。
このように、油展グレードのポリマーを使用することで、混練時に添加するプロセスオイル量を抑制でき、カーボンブラックの分散性を向上させ、引張強さと伸びを向上させることができる。
(2)ゴム組成物の加硫工程
次に、上述のゴム組成物の調整工程において得られた生地を金型に収容し、180℃にて10分間のプレス加硫を行って2mm厚のゴムシートを作製し、更に150℃の恒温槽にて6時間の加熱処理を行った。
また、トーショナルダンパゴム組成物の組成比を変えた以外は、上記と同じ方法で表1に示す比較例1、比較例2のゴム部材(試験片)を作製した。なお、実施例1〜実施例3、比較例1〜比較例2で用いた加硫前のゴム組成物をそれぞれ組成物1〜組成物3、比較組成物1〜比較組成物2とする。また、組成物1〜組成物3、比較組成物1〜比較組成物2により加硫成形することにより形成されたゴム部材を試験片1〜試験片3、比較試験片1〜比較試験片2とする。比較例2は、実施例1〜3、比較例1とは異なる過酸化物(ジクミルペルオキシド)を3.5重量部用いた。
(3)ゴム部材(試験片1〜試験片3、比較試験片1〜比較試験片2)の評価
a)損失係数(tanδi、tanδh)及び損失係数比(tanδh/tanδi)の評価
60℃における損失係数(tanδi)、120℃における損失係数(tanδh)及び120℃と60℃の損失係数比(tanδh/tanδi)を、JIS K6394に準拠して下記の条件で測定した。測定結果を表1に示す。
<測定条件>
・測定器:上島製作所製の粘弾性アナライザYR−7130
・変形方法:引張
・周波数;100Hz
・振幅:±1%
・プレロード:480mN
・試験片形状:加硫成形後のシート状ゴム部材から採取した。
20mm(つかみ間隔)×4mm(幅)×2mm(厚さ)の短冊形状片
Figure 0006882067
b)硬さの評価
JIS K6253に準拠して、デュロメータAを使用し、1秒以内に読み取る方式でゴム部材の硬さを測定した。測定結果を表1に示す。
c)引張強さ、伸び率、モジュラスの評価
JIS K6251に準拠して、50%伸張時モジュラス、300%伸張時モジュラス、300%伸張時モジュラス/50%伸張時モジュラス比をそれぞれ測定した。なお、試験片の形状はダンベル状5号形である。測定結果を表1に示す。
d)応力1.4MPa時の伸び率(%)
下記の測定条件で繰り返し応力を複数回加えたときのゴム伸び率(%)を評価した。測定結果を表1に示す。
<測定条件>
・引張速度:100mm/min
・応力印加方法:0MPaから1.4MPaまで掃引した後、再度0MPaに戻し、再び1.4MPaまで掃引、これを10回〜50回程度繰り返す。
・試験片形状:ダンベル状5号形(JIS K 6251に準拠)
2.トーショナルダンパの製造及び評価
(1)トーショナルダンパの製造
上述したゴム部材(試験片1〜試験片3、比較試験片1〜比較試験片2)と同一組成の環状のダンパ用のゴム部材(図3のゴム部材41)を作製し、ハブ2と慣性リング3との間隙部5に圧入して実施例1a〜実施例3a、比較例1a〜比較例2aのトーショナルダンパを製造した。
このとき、ハブ2と慣性リング3は前述した鋳鉄、フェノール樹脂或いは金属と樹脂の複合材料等により作製した。これらハブ2と慣性リング3との間隙部5におけるゴム部材4の径方向平均圧縮率は、主圧縮間隙部51で30%〜40%とし、傾斜間隙部52で10%〜20%となるように調整した。このときの傾斜間隙部52の傾斜角度は25°〜35°とし、主圧縮間隙部51及び傾斜間隙部52を構成するハブ外周面25Aと当該慣性リング内周面3Aの十点平均粗さ(Rzjis)(JIS B0601−1994)をすべて15μmより大きく30μm以下の範囲とした。
(2)トーショナルダンパの評価
a)損失係数(tanδpi、tanδph)及び損失係数比(tanδph/tanδpi)の評価
トーショナルダンパに圧入したゴム部材4の表面温度60±5℃における当該ゴム部材4の損失係数(tanδpi)、ゴム部材4の表面温度120±5℃における当該ゴム部材4の損失係数(tanδph)及び、損失係数比(tanδph/tanδpi)を高周波振動試験機による共振スイープ法(固有振動数測定)により、非接触表面温度計を用いて下記の条件で測定した。測定結果を表1に示す。
<測定条件>
・ゴム部材表面温度:60±5℃、120±5℃
・加振振幅:±1.7×10−3rad(±0.1°)
・スイープ速度:100Hz/min
b)せん断歪み(%)の評価
ゴム部材4のせん断歪み(耐久試験時のゴム歪み)(%)は、一定振幅を与えたときの環状ゴム部材の円周方向の変形量を環状ゴム部材の厚みで除算した値に100を乗算した値である。本実施例では、以下の試験条件で測定した。なお、下記の条件下で加振振幅(負荷トルク)はトーショナルダンパのプーリー溝3C(プーリー部)にベルトを介して連結されるエアコン、オルタネータ、ウォーターポンプなどの補機に加わる負荷トルクを合計したトルクに一定の安全係数を乗算した値である。測定結果を表1に示す。
<測定条件>
・雰囲気温度:100±3℃
・加振振幅(負荷トルク):±180N/m
・加振周波数:10Hz
c)定トルク耐久性の評価
定トルク耐久性の評価は、ゴム部材4のせん断歪みの測定方法を用いて、耐久試験回数1.0×10回まで、ダンパに圧入されたゴム部材4のせん断歪み(%)の変化を測定して確認した。当該定トルク耐久性の評価において得られたトーショナルダンパの耐久性能特性線図を図6に示す。上述した表1において、定トルク耐久性の評価結果は、規定の試験回数後にゴム部材4の外観に異常がなかったものを「◎」、規定の試験回数後にゴム部材4の外観に変形が確認されたものを「○」、規定の試験回数までにゴム部材4が破損したものを「×」とした。
d)ゴム摩耗粉の評価
ゴム摩耗粉の評価は以下の条件により行い、ゴム摩耗粉の発生程度を目視で確認した。
<測定条件>
・ゴムせん断歪:±45%(ゴム捩れ角度=±1.59deg.)
・雰囲気温度:23±3℃
・加振周波数:30Hz
・試験回数:7.7×10
上述した表1において、ゴム摩耗粉の発生程度の結果は、規定の試験回数後に摩耗粉の付着が極めて少量であるものを「○」、規定の試験回数後に少量の摩耗粉の付着が確認されたものを「△」、規定の試験回数後に大量の摩耗粉の付着が確認されたものを「×」とした。
e)トーショナルダンパに圧入されたゴム部材のせん断歪みとゴム摩耗粉の関係
図6に示すように、比較例1aのトーショナルダンパのゴム部材4は、一定負荷トルクに対してゴム部材4のせん断歪みが35%であるゴム部材であるため、摩耗粉の発生も殆ど確認できなかった。また、一定負荷トルクに対してゴム部材4のせん断歪みが60%であるゴム部材4を用いた比較例2aのゴム部材は、規定の試験回数に至る前に破断してしまい、摩耗粉も大量に発生していた。これに対して、実施例1〜実施例3のトーショナルダンパのゴム部材のせん断歪みは、45%以上55%以下で一定負荷トルクに対して適度なゴムせん断歪みを有するため、規定の試験回数終了までゴム部材4の破断はなかったが、少量のゴム摩耗粉が発生した。
そこで、耐久性の評価におけるゴム摩耗粉の発生を極力抑制するために、前述の表1の実施例1〜実施例3のゴム組成物を用いて製作したゴム部材41をトーショナルダンパに圧入し、ゴム摩耗粉発生の原因となっていると考えられるトーショナルダンパのハブ外周面25Aと慣性リング内周面3Aで形成される傾斜間隙部52を構成する各傾斜面52A、52B表面の十点平均粗さ(Rzjis)(JIS B0601−1994)を4μm〜15μmに変化させて、ゴム摩耗粉の発生状況を調べた。以下の、表2に各傾斜面52A、52Bの表面粗さを変化させたゴム摩耗粉確認試験の結果を示す。なお、表2において「摩耗粉発生程度」の「○」、「△」、「×」の評価結果の意味は、表1と同じ意味である。
表2において、比較例3a〜比較例5aは、傾斜間隙部52の表面粗さを変化させることによるゴム摩擦粉発生状況を確認するための対比例であり、実施例1〜実施例3と同様のゴム部材を用いた。比較例3a〜比較例5aは、実施例1a〜実施例3aと径方向平均圧縮率及び主圧縮間隙部51の十点平均粗さ(Rzjis)(JIS B0601−1994)は同様とし、傾斜間隙部52を構成する各傾斜面52A、52Bの十点平均粗さ(Rzjis)(JIS B0601−1994)を20μmとした点のみが異なる。
Figure 0006882067
表2から、傾斜間隙部52を構成する傾斜面52A、52Bの表面粗さが小さいほど、摩耗粉が減少している傾向が把握できる。よって、傾斜間隙部52を構成する傾斜面52A、52Bを十点平均粗さ(Rzjis)(JIS B0601−1994)が4μm以上15μm以下となるように形成することで、せん断歪みが小さいゴム部材を用いた場合と同様に、摩耗粉の発生を抑制できることが分かる。
以上のことから、間隙部5の圧入入口部分の傾斜間隙部の表面粗さを、ゴム部材4を圧縮保持する主圧縮間隙部よりも小さく、例えば、十点平均粗さ(Rzjis)(JIS B0601−1994)で4μm以上15μm以下とすることで、ダンパ共振時におけるゴム部材4の表面温度60℃での損失係数(tanδpi)が0.23以上で、ゴム部材4のせん断歪みが45%以上55%以下の高減衰特性を備えたゴム部材であっても、傾斜間隙部を構成する各傾斜面との摩擦によって摩耗粉が発生する不都合を効果的に抑制し、皺や亀裂が発生する不都合を著しく抑制することができることがいえる。このように、傾斜間隙部の表面粗さを滑らかにすることで、摩耗しやすい高減衰特性を備えたゴム部材を用いて、長期間、所定の防振特性を維持することができるといえる。
なお、上述した実施の形態では、トーショナルダンパは、クランクシャフトやカムシャフトに取り付けられる場合について説明しているが、本発明は、これに限定されることなく、種々の回転軸における捩り振動を低減するために適用することができる。さらに、本発明における高い減衰性能を示すゴム部材は、車両等に用いられるトーショナルダンパ以外にも、様々な用途に用いることができる。
本発明にかかるトーショナルダンパは、ハブ外周面と慣性リング内周面との間隙部の表面粗さが4μm以上30μm以下であり、かつ、当該間隙部の傾斜間隙部の表面粗さが、ゴム部材を圧縮保持する主圧縮間隙部の表面粗さよりも小さいため、傾斜間隙部における摩耗が生じにくく、従前のゴム部材よりも耐久性が良好で、高い減衰特性を備えたゴム部材を用いる場合において、特に有用である。
1 トーショナルダンパ
2 ハブ
3 慣性リング
3A 内周面
3B 外周面
3C プーリ溝(プーリー部)
4 ゴム部材(圧入後)
5 間隙部
21 ボス部
22 軸孔
23 キー溝
24 フランジ部
25 筒状部
25A 外周面(ハブ外周面)
41 ゴム部材(圧入前)
51 主圧縮間隙部
52 傾斜間隙部
52A、52B 傾斜面
53 摩擦低減領域

Claims (8)

  1. 回転軸に固定され、当該回転軸と略同心円状の外周面を備えたハブと、当該ハブ外周面と対向し当該外周面と略同心円状の内周面を備えた慣性リングと、当該ハブ外周面と、当該慣性リング内周面との間隙部に圧入されたゴム部材とを備えたトーショナルダンパであって、
    当該トーショナルダンパ共振時における当該ゴム部材の表面温度60±5℃での当該ゴム部材の損失係数(tanδpi)が0.23より大きく、当該トーショナルダンパに温度100±3℃、加振振幅(負荷トルク)±180N/m、加振周波数10Hzを与えたときの、当該トーショナルダンパに圧入された状態での当該ゴム部材の円周方向の変形量を当該ゴム部材の厚みで除算した値に100を乗算した値(せん断歪みが35%より大きく60%未満であり、
    当該間隙部が、当該ハブ外周面と当該慣性リング内周面とにより形成される当該ゴム部材を圧縮保持する主圧縮間隙部と、当該ハブ外周面端部と当該慣性リング内周面端部に形成され、端面にいくにしたがって当該ハブ外周面と当該慣性リング内周面が離間する方向に傾斜した傾斜間隙部とを備え、
    当該主圧縮間隙部と傾斜間隙部を形成する当該ハブ外周面と当該慣性リング内周面の表面粗さ(Rz)が4μm以上30μm以下であり、かつ、当該傾斜間隙部と当該主圧縮間隙部との境界よりも当該主圧縮間隙部側から当該傾斜間隙部にわたって形成された、当該主圧縮間隙部を形成するハブ外周面と慣性リング内周面より表面粗さ(Rz)が小さい摩擦低減領域を備えることを特徴とするトーショナルダンパ。
  2. 前記摩擦低減領域の前記ハブ外周面と前記慣性リング内周面の表面粗さ(Rz)が4μm以上15μm以下であり、当該摩擦低減領域以外のハブ外周面と当該慣性リング内周面の表面粗さ(Rz)が15μmより大きく30μm以下である請求項1に記載のトーショナルダンパ。
  3. 以下の式(1)で表される前記ゴム部材全体の径方向平均圧縮率は、前記主圧縮間隙部に圧入したゴム部材の平均圧縮率と前記傾斜間隙部に圧入したゴム部材の平均圧縮率とからなり、当該主圧縮間隙部の平均圧縮率が30%以上40%以下であり、当該傾斜間隙部の平均圧縮率が10%以上20%以下である請求項1または請求項2に記載のトーショナルダンパ。
    Figure 0006882067
    ただし、t:圧入前のゴム部材の厚み
    :空隙部に圧入したときの各領域におけるゴム部材の厚み
    :トーショナルダンパの幅方向の長さ
    :空隙部の各領域の幅方向の長さ
    n:圧縮率が異なる領域の数であり、2〜7までの整数。
  4. 前記傾斜間隙部を構成する傾斜面と、前記主圧縮間隙部を構成する前記ハブ外周面又は前記慣性リング内周面とがなす傾斜角度が25°以上40°未満である請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のトーショナルダンパ。
  5. トーショナルダンパ共振時における前記ゴム部材の表面温度120±5℃での損失係数(tanδph)が0.21以上であり、
    当該トーショナルダンパ共振時における当該ゴム部材の表面温度120±5℃での損失係数(tanδph)と、当該トーショナルダンパ共振時における当該ゴム部材の表面温度60±5℃での損失係数(tanδpi)との損失係数比(tanδph/tanδpi)が0.66以上である請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のトーショナルダンパ。
  6. 圧入前の前記ゴム部材に1.4MPaの引張応力を10〜50回加えたときの圧入前の当該ゴム部材の伸び率が34%より大きく62%未満である請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のトーショナルダンパ。
  7. 圧入前の前記ゴム部材の50%伸長時のモジュラスが1.28MPaより大きく、1.82MPa未満である請求項1〜請求項のいずれか一項に記載のトーショナルダンパ。
  8. 圧入前の前記ゴム部材は、EPDMを主成分とするゴム組成物を加硫成形したものであって、
    当該ゴム組成物は、当該EPDM100重量部に対して、ヨウ素吸着量が70mg/g以上185mg/g以下でありDBP吸油量が40cm /100g以上120cm /100g以下であるカーボンブラック100重量部以上、プロセスオイル40重量部以上が添加され、当該ゴム組成物の合計重量部に対する当該EPDMの重量部比率(EPDMのポリマー分率が20重量%以上40重量%以下である請求項1〜請求項のいずれか一項に記載のトーショナルダンパ。
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