JP2014074105A - 高減衰組成物および制震用ダンパ - Google Patents

高減衰組成物および制震用ダンパ Download PDF

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Abstract

【課題】粘着性が抑制されて生産性に優れる上、建築物の制震用ダンパ等として十分に使用できるだけの高い減衰性能や大きな切断時伸びを有し、しかも地震等によって大変形が繰り返された際の耐久性にも優れた高減衰部材を形成しうる、新規な高減衰組成物と、前記高減衰組成物からなる高減衰部材を備えた制震用ダンパを提供する。
【解決手段】ベースポリマとしてS−IBジブロック共重合体とS−IB−Sトリブロック共重合体とを併用するとともに充填剤として乾式シリカを配合した高減衰組成物、ならびに前記高減衰組成物からなる高減衰部材と鋼製部材とを組み合わせた制震用ダンパ。
【選択図】なし

Description

本発明は、振動エネルギーの伝達を緩和したり吸収したりする高減衰部材のもとになる高減衰組成物と、前記高減衰組成物からなる高減衰部材を備えた制震用ダンパに関するものである。
例えばビルや橋梁等の建築物、産業機械、航空機、自動車、鉄道車両、コンピュータやその周辺機器類、家庭用電気機器類、さらには自動車用タイヤ等の幅広い分野において、高減衰部材が用いられる。前記高減衰部材を用いることで、振動エネルギーの伝達を緩和したり吸収したりする、すなわち免震、制震、制振、防振等をすることができる。
前記高減衰部材は、種々のベースポリマを含む高減衰組成物によって形成される。
例えば、スチレン等の芳香族ビニル系化合物を構成単量体とする重合体ブロック(S)と、イソブチレンを構成単量体とする重合体ブロック(IB)とのブロック共重合体(イソブチレン系ブロック共重合体)は、その構造から減衰性能に優れた高減衰部材を形成できることが期待されるため、前記高減衰組成物のベースポリマとしての実用化が検討されている。
特に重合体ブロック(S)と重合体ブロック(IB)とを1ブロックずつ繋いだ構造を有するS−IBジブロック共重合体は、減衰性能に優れている。しかし、前記S−IBジブロック共重合体を単独でベースポリマとして用いた場合には、高減衰組成物の成形加工性が低いという問題がある。
また、前記高減衰組成物を用いて形成した高減衰部材は、引張応力が加わった際に切断に至るまでの伸び量、すなわち切断時伸びが小さいため、特に地震等が発生した際に大きく変形することが求められる建築物の制震用ダンパ等としては適さないという問題もある。
そこで、成形加工性に優れるとともに切断時伸びが大きい上、前記S−IBジブロック共重合体との相溶性に優れた他のポリマを、前記S−IBジブロック共重合体とともに、高減衰組成物のベースポリマとして併用することが検討されている(例えば特許文献1〜3等参照)。
前記他のポリマとしては、例えばS−IB−Sトリブロック共重合体〔1つの重合体ブロック(IB)を2つの重合体ブロック(S)で挟んだ構造を有するもの〕等が挙げられる。
かかるS−IB−Sトリブロック共重合体は、S−IBジブロック共重合体ほど減衰性能は高くないものの、前記S−IBジブロック共重合体よりも成形加工性に優れるとともに切断時伸びが大きく、しかも同じ重合体ブロック(S)(IB)によって構成されることから、S−IBジブロック共重合体との相溶性にも優れている。
したがって、前記S−IBジブロック共重合体とS−IB−Sトリブロック共重合体との併用系では、両者の配合割合を調整することで、高減衰組成物の成形加工性や、高減衰部材の減衰性能、切断時伸び等のバランスをとることが可能である。
WO 01/74964 A1 特開平11−263896号公報 特開2000−119478号公報
ところが、前記2種のブロック共重合体を単に併用しただけでは粘着性が強すぎるため、例えば混練後の高減衰組成物を混練機から取り出すのに要する時間が長くかかり、当該高減衰組成物の、ひいては高減衰部材の生産性が低くなるといった問題がある。
前記併用系に、さらに充填剤を配合すると、粘着性を抑制して高減衰組成物の生産性を向上できる。充填剤としては、炭酸カルシウムが一般的に用いられる。
しかし炭酸カルシウムを配合した場合には、配合しない場合に比べて減衰性能の低下が大きく、高減衰部材に、建築物の制震用ダンパ等として十分に使用しうるだけの高い減衰性能を付与できないという問題を生じる。
炭酸カルシウムに代えて、充填剤としてこれも一般的に用いられる、例えば沈殿法、ゲル法、ゾルゲル法等によって製造される湿式シリカを配合すると、高減衰組成物の粘着性を抑制しながら、高減衰部材の減衰性能の低下をある程度は抑制できる。
しかし、湿式シリカを配合した場合には、依然として高減衰部材の減衰性能の低下が見られる上、前記高減衰部材の切断時伸びが、前記制震用ダンパ等として使用するには十分でないレベルまで大きく低下したり、地震等によって大変形が繰り返された際の、高減衰部材の耐久性の低下が大きかったりするといった新たな問題も生じる。
本発明の目的は、ベースポリマとしてS−IBジブロック共重合体とS−IB−Sトリブロック共重合体とを併用してなり、なおかつ粘着性が抑制されて生産性に優れる上、建築物の制震用ダンパ等として十分に使用できるだけの高い減衰性能や大きな切断時伸びを有し、しかも地震等によって大変形が繰り返された際の耐久性にも優れた高減衰部材を形成しうる、新規な高減衰組成物と、前記高減衰組成物からなる高減衰部材を備えた制震用ダンパを提供することにある。
本発明は、ベースポリマとして、
(1) 芳香族ビニル系化合物を構成単位とする重合体ブロック(S)と、イソブチレンを構成単位とする重合体ブロック(IB)とのS−IBジブロック共重合体、および
(2) 前記重合体ブロック(S)と(IB)とのS−IB−Sトリブロック共重合体、
の2種のブロック共重合体を併用するとともに、
乾式シリカを配合してなることを特徴とする高減衰組成物である。
充填剤として従来の湿式シリカを用いた場合に前記の問題を生じるのは、前記湿式シリカが多数の細孔を有し、粒子径あたりの比表面積が大きく、前記2種のブロック共重合体に対する分散性が悪いためである。
すなわち湿式シリカは、その全量を高減衰組成物中、ひいては高減衰部材中に均等に分散させるのが難しく、分布に偏りを生じやすい。そして高減衰部材中に、湿式シリカが殆ど含まれない領域や、逆に過剰に含まれる領域等を生じて、硬さや伸びやすさ、あるいは強度等の、エラストマとしての特性がこれらの領域ごとにばらつく結果、高減衰部材の全体として見た場合に、これらの特性が大きく低下する。
その結果、高減衰部材に、建築物の制震用ダンパ等として十分に使用できるだけの高い減衰性能や大きな切断時伸びを付与できなくなる。また、地震等によって大変形が繰り返された際の耐久性も低下してしまう。
これに対し乾式シリカは、湿式シリカと同様に、高減衰組成物の粘着性を抑制しつつ、高減衰部材の減衰性能の低下を抑制する効果を有する上、前記湿式シリカに比べて粒子径あたりの比表面積が小さく、前記2種のブロック共重合体に対する分散性が良好であるため、高減衰組成物中、そして高減衰部材中に、できるだけ分布の偏りを生じることなく、均等に分散させることができる。
そのため高減衰部材の全体で、前述したエラストマとしての各特性を均等化して、ばらつきによるその低下を極力抑制することができる。
したがって、充填剤として乾式シリカを配合することで、粘着性を抑制して高減衰組成物の生産性を向上しながら、なおかつ高減衰部材に、従来の湿式シリカを配合する場合と比べて、前記制震用ダンパ等として十分に使用できるだけの高い減衰性能や大きな切断時伸びを付与することができる。また地震等によって大変形が繰り返された際の耐久性を向上することもできる。
前記S−IB−Sトリブロック共重合体は、重量平均分子量Mwが50,000以上であるのが好ましく、1,000,000以下であるのが好ましい。
重量平均分子量Mwが前記範囲未満では、高減衰部材の切断時伸びが小さくなって、例えば制震用ダンパ等としての使用に適さなくなるおそれがある。また前記範囲を超える場合には、高減衰組成物の成形加工性が低下するおそれがある。
これに対し、重量平均分子量Mwが前記範囲内のS―IB―Sトリブロック共重合体を選択的に用いることで、高減衰組成物の良好な成形加工性を維持しながら、高減衰部材に、制震用ダンパ等として十分に使用できるだけの大きな切断時伸びを付与することができる。
前記乾式シリカは、BET比表面積が50m2/g以上であるのが好ましい。
BET比表面積が前記範囲未満ある乾式シリカでは、先に説明した高減衰部材の減衰性能の低下を抑制する効果が十分に得られないおそれがある。
これに対し、BET比表面積が50m2/g以下である乾式シリカを選択的に用いることで、高減衰性能の減衰性能の低下を、より効果的に抑制することができる。
前記乾式シリカの配合割合は、前記2種のブロック共重合体の総量100質量部あたり5質量部以上、特に15質量部以上であるのが好ましく、60質量部以下、特に50質量部以下であるのが好ましい。
配合割合が前記範囲未満では、高減衰組成物の粘着性を抑制する効果は得られるものの、高減衰部材の減衰性能の低下を抑制する効果が十分に得られず、例えば制震用ダンパ等として十分に使用できるだけの高い減衰性能を維持できないおそれがある。
一方、前記範囲を超える場合には、過剰の乾式シリカが高減衰組成物中に均等に分散されず、その分布に偏りを生じて、高減衰部材に制震用ダンパ等として十分に使用できるだけの大きな切断時伸びを付与できなくなったり、地震等によって大変形が繰り返された際の耐久性が低下したりするおそれがある。
これに対し、乾式シリカの配合割合を前記範囲内とすることで、高減衰部材に、制震用ダンパ等として十分に使用できるだけの高い減衰性能や大きな切断時伸び、あるいは地震等によって大変形が繰り返された際の高い耐久性を付与することができる。
本発明の高減衰組成物には、さらに高減衰部材の減衰性能を高めるために、粘着付与剤を配合してもよく、その配合割合は、前記2種のブロック共重合体の総量100質量部あたり5質量部以上、特に10質量部以上であるのが好ましく、50質量部以下、特に30質量部以下であるのが好ましい。
配合割合が前記範囲未満では、前記高減衰部材の減衰性能を高める効果が十分に得られないおそれがある。
また前記範囲を超える場合には、前記減衰性能が温度によって変化する、いわゆる温度依存性が大きくなって、広い温度範囲で安定した減衰性能を維持できなくなるおそれがある。
これに対し、粘着付与剤の配合割合を前記範囲内とすることで、減衰性能の温度依存性が大きくなるのを抑制しながら、高減衰部材の減衰性能をさらに向上することができる。
本発明は、前記本発明の高減衰組成物からなる高減衰部材と、鋼製部材とからなることを特徴とする制震用ダンパである。
かかる制震用ダンパは、前記のように高減衰部材が減衰性能に優れるため、小型化したり、1つの建築物に組み込む数を減らしたりできる上、地震の発生によって繰り返し大変形が加えられても減衰性能が大きく低下しないため、当該地震やその後に発生する余震のエネルギーが建築物に伝わるのを確実に防止することができる。
本発明によれば、ベースポリマとして前記2種のブロック共重合体を併用してなり、なおかつ粘着性が抑制されて生産性に優れる上、建築物の制震用ダンパ等として十分に使用できるだけの高い減衰性能や大きな切断時伸びを有し、しかも地震等によって大変形が繰り返された際の耐久性にも優れた高減衰部材を形成しうる、新規な高減衰組成物と、前記高減衰組成物からなる高減衰部材を備えた制震用ダンパを提供することができる。
本発明の高減衰組成物からなる高減衰部材の減衰性能を評価するために作製する、前記高減衰部材のモデルとしての試験体を分解して示す分解斜視図である。 同図(a)(b)は、前記試験体を変位させて変位量と荷重との関係を求めるための試験機の概略を説明する図である。 前記試験機を用いて試験体を変位させて求められる、変位量と荷重との関係を示すヒステリシスループの一例を示すグラフである。
《高減衰組成物》
本発明は、ベースポリマとして、
(1) 芳香族ビニル系化合物を構成単位とする重合体ブロック(S)と、イソブチレンを構成単位とする重合体ブロック(IB)とのS−IBジブロック共重合体、および
(2) 前記重合体ブロック(S)と(IB)とのS−IB−Sトリブロック共重合体、
の2種のブロック共重合体を併用するとともに、
乾式シリカを配合してなることを特徴とする高減衰組成物である。
〈ベースポリマ〉
ベースポリマとしては、前記のように(1) S−IBジブロック共重合体、および(2) S−IB−Sトリブロック共重合体の2種のブロック共重合体を併用する。
前記両ブロック共重合体において、重合体ブロック(S)のもとになる芳香族ビニル系化合物としては、例えばスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、2,6−ジメチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、α−メチル−o−メチルスチレン、α−メチル−m−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、β−メチル−o−メチルスチレン、β−メチル−m−メチルスチレン、β−メチル−p−メチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、α−メチル−2,6−ジメチルスチレン、α−メチル−2,4−ジメチルスチレン、β−メチル−2,6−ジメチルスチレン、β−メチル−2,4−ジメチルスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、2,6−ジクロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、α−クロロ−o−クロロスチレン、α−クロロ−m−クロロスチレン、α−クロロ−p−クロロスチレン、β−クロロ−o−クロロスチレン、β−クロロ−m−クロロスチレン、β−クロロ−p−クロロスチレン、2,4,6−トリクロロスチレン、α−クロロ−2,6−ジクロロスチレン、α−クロロ−2,4−ジクロロスチレン、β−クロロ−2,6−ジクロロスチレン、β−クロロ−2,4−ジクロロスチレン、o−t−ブチルスチレン、m−t−ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、o−メトキシスチレン、m−メトキシスチレン、p−メトキシスチレン、o−クロロメチルスチレン、m−クロロメチルスチレン、p−クロロメチルスチレン、o−ブロモメチルスチレン、m−ブロモメチルスチレン、p−ブロモメチルスチレン、シリル基で置換されたスチレン誘導体、インデン、およびビニルナフタレン等の1種または2種以上が挙げられる。特にスチレンが好ましい。
重合体ブロック(S)は、前記芳香族ビニル系化合物以外の他の単量体を含んでいてもよいし、前記他の単量体を含んでいなくてもよい。
かかる他の単量体としては、例えばイソブチレン、脂肪族オレフィン類、ジエン類、ビニルエーテル類、β−ピネン等の1種または2種以上が挙げられる。
重合体ブロック(S)が他の単量体を含む場合、前記重合体ブロック(S)を構成する全ての単量体の総量中に占める芳香族ビニル系化合物の割合は60質量%以上、特に80質量%以上であるのが好ましい。
また重合体ブロック(IB)は、イソブチレン以外の他の単量体を含んでいてもよいし、前記他の単量体を含んでいなくてもよい。
かかる他の単量体としては、例えば前記芳香族ビニル系化合物、脂肪族オレフィン類、ジエン類、ビニルエーテル類、β−ピネン等の1種または2種以上が挙げられる。
重合体ブロック(IB)が他の単量体を含む場合、前記重合体ブロック(IB)を構成する全ての単量体の総量中に占めるイソブチレンの割合は60質量%以上、特に80質量%以上であるのが好ましい。
脂肪族オレフィン類としては、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、ペンテン、ヘキセン、シクロヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、ビニルシクロヘキサン、オクテン、およびノルボルネン等の1種または2種以上が挙げられる。
ジエン類としては、例えばブタジエン、イソプレン、ヘキサジエン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、ジビニルベンゼン、およびエチリデンノルボルネン等の1種または2種以上が挙げられる。
ビニルエーテル類としては、例えばメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、sec−ブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、メチルプロペニルエーテル、およびエチルプロペニルエーテル等の1種または2種以上が挙げられる。
(S−IBジブロック共重合体)
S−IBジブロック共重合体は、前記重合体ブロック(S)と、重合体ブロック(IB)とを1ブロックずつ繋いだ構造を有している。
前記S−IBジブロック共重合体における、両重合体ブロック(S)(IB)の共重合比率は、前記両重合体ブロック(S)(IB)の総量中に占める重合体ブロック(S)の割合で表して2質量%以上、中でも5質量%以上、特に15質量%以上であるのが好ましく、80質量%以下、中でも60質量%以下、特に40質量%以下であるのが好ましい。
重合体ブロック(S)の割合を前記範囲内とすることで両重合体ブロック(S)(IB)の鎖長のバランスを取って、S−IBジブロック共重合体としての、高減衰部材に良好な減衰性能を付与する効果を良好に発現させることができる。
前記S−IBジブロック共重合体は、例えば前記特許文献1、2に記載の合成方法等によって製造することができる。
前記S−IBジブロック共重合体としては、これに限定されないが、例えば(株)カネカ製の、スチレン−イソブチレンブロック共重合体であるSIBSTAR(登録商標)042D等が挙げられる。
(S−IB−Sトリブロック共重合体)
S−IB−Sトリブロック共重合体は、1つの重合体ブロック(IB)を2つの重合体ブロック(S)で挟んだ構造を有している。
前記S−IB−Sトリブロック共重合体における、両重合体ブロック(S)(IB)の共重合比率は、前記両重合体ブロック(S)(IB)の総量中に占める重合体ブロック(S)の割合で表して2質量%以上、中でも5質量%以上、特に15質量%以上であるのが好ましく、80質量%以下、中でも60質量%以下、特に40質量%以下であるのが好ましい。
重合体ブロック(S)の割合を前記範囲内とすることで両重合体ブロック(S)(IB)の鎖長のバランスを取って、S−IB−Sトリブロック共重合体としての、高減衰組成物に良好な成形加工性を付与するとともに、高減衰部材の断時伸びを大きくする効果を、いずれも良好に発揮させることができる。またS−IBジブロック共重合体に対する良好な相溶性を付与することもできる。
S−IB−Sトリブロック共重合体の分子量は、重量平均分子量Mwで表して50,000以上であるのが好ましく、1,000,000以下であるのが好ましい。
重量平均分子量Mwが前記範囲未満では、高減衰部材の切断時伸びが小さくなって、例えば制震用ダンパ等としての使用に適さなくなるおそれがある。また前記範囲を超える場合には、高減衰組成物の成形加工性が低下するおそれがある。
これに対し、重量平均分子量Mwが前記範囲内のS―IB―Sトリブロック共重合体を選択的に用いることで、高減衰組成物の良好な成形加工性を維持しながら、高減衰部材に、制震用ダンパ等として十分に使用できるだけの大きな切断時伸びを付与することができる。
前記S−IB−Sトリブロック共重合体は、例えば前記特許文献1、2に記載の合成方法等によって製造することができる。
前記S−IB−Sトリブロック共重合体としては、これに限定されないが、例えば(株)カネカ製の、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体であるSIBSTAR(登録商標)062T、072T、102T等の1種または2種以上が挙げられる。
(配合割合)
前記2種のブロック共重合体の配合割合は、当該2種のブロック共重合体の総量中に占めるS−IB−Sトリブロック共重合体の割合で表して10質量%以上、特に15質量%以上であるのが好ましく、90質量%以下、特に85質量%以下であるのが好ましい。
前記範囲よりS−IB−Sトリブロック共重合体が少ない場合には、高減衰組成物に良好な成形加工性を付与する効果や、高減衰部材の切断時伸びを大きくする効果が十分に得られないおそれがある。
一方、前記範囲よりS−IB−Sトリブロック共重合体が多い場合には、相対的にS−IBジブロック共重合体が少なくなって、高減衰部材の減衰性能が低下するおそれがある。
これに対し、S−IB−Sトリブロック共重合体の配合割合を前記範囲内に規定することにより、高減衰組成物の良好な成形加工性や、高減衰部材の良好な減衰性能を維持しながら、前記高減衰部材の切断時伸びを大きくすることができる。
〈乾式シリカ〉
乾式シリカとしては、例えば四塩化珪素等の珪素塩化物を、酸素・水素炎等の中で気相反応させて製造される燃焼法シリカ、いわゆるフュームドシリカや、あるいは金属シリコン製造時の副生成物としてのシリカヒューム等の1種または2種以上が挙げられる。
前記乾式シリカは、BET比表面積が50m2/g以上であるのが好ましい。
BET比表面積が前記範囲未満ある乾式シリカでは、先に説明した高減衰部材の減衰性能の低下を抑制する効果が十分に得られないおそれがある。
これに対し、BET比表面積が50m2/g以下である乾式シリカを選択的に用いることで、高減衰性能の減衰性能の低下を、より効果的に抑制することができる。
なおBET比表面積の上限は特に限定されず、乾式シリカの比表面積の一般的な上限値である500m2/g程度のものまで使用することができる。
前記乾式シリカとしては、例えば日本アエロジル(株)製のアエロジル(登録商標)90〔BET比表面積:90±15m2/g〕、130〔BET比表面積:130±15m2/g〕、150〔BET比表面積:150±15m2/g〕、200〔BET比表面積:200±25m2/g〕、255〔BET比表面積:255±25m2/g〕、300〔BET比表面積:300±30m2/g〕、380〔BET比表面積:380±30m2/g〕等の親水性フュームドシリカや、前記親水性フュームドシリカをトリメチルシリル基等で表面処理して疎水化した疎水性フュームドシリカ、例えばアエロジルRX200〔BET比表面積:140±25m2/g〕、RX300〔BET比表面積:210±20m2/g〕等の1種または2種以上が挙げられる。
乾式シリカの配合割合は、2種のブロック共重合体の総量100質量部あたり5質量部以上、特に15質量部以上であるのが好ましく、60質量部以下、特に50質量部以下であるのが好ましい。
配合割合が前記範囲未満では、高減衰組成物の粘着性を抑制する効果は得られるものの、高減衰部材の減衰性能の低下を抑制する効果が十分に得られず、例えば制震用ダンパ等として十分に使用できるだけの高い減衰性能を維持できないおそれがある。
一方、前記範囲を超える場合には、過剰の乾式シリカが高減衰組成物中に均等に分散されず、その分布に偏りを生じて、高減衰部材に制震用ダンパ等として十分に使用できるだけの大きな切断時伸びを付与できなくなったり、地震等によって大変形が繰り返された際の耐久性が低下したりするおそれがある。
これに対し、乾式シリカの配合割合を前記範囲内とすることで、高減衰部材に、制震用ダンパ等として十分に使用できるだけの高い減衰性能や大きな切断時伸び、あるいは地震等によって大変形が繰り返された際の高い耐久性を付与することができる。
〈粘着付与剤〉
粘着付与剤としては、例えば石油樹脂、水素化石油樹脂、ロジン誘導体等の1種または2種以上が挙げられる。特に、軟化点が125℃未満の水素化石油樹脂が好ましい。前記の軟化点を有する水素化石油樹脂は、ベースポリマとしての2種のブロック共重合体に対する分散性に優れており、前記ベースポリマ中に、できるだけ小さい分散粒径で分散させることができる。具体的には、平均粒径が20μm以下の微細な状態で分散させることができるため、高減衰部材の減衰性能を向上する効果に優れている。
なお軟化点は、日本工業規格JIS K2207−1996「石油アスファルト」所載の軟化点測定方法(環球法)によって測定した値でもって表すこととする。
また平均粒径は、顕微FTIRイメージング装置を用いて、内部標準ピーク(トータルCH2、1450cm-1)に対するポリマ成分のピーク(イソブチレン、1230cm-1)の相対強度を描写し、ポリマ成分に由来する強度が弱い部分のドメインの大きさの平均値でもって表すこととする。
前記水素化石油樹脂としては、いずれも荒川化学工業(株)製のアルコン(登録商標)シリーズのうちP−90(軟化点:90±5℃)、P−100(軟化点:100±5℃)、およびP−115(軟化点115±5℃)等の1種または2種以上が挙げられる。
粘着付与剤の配合割合は、2種のブロック共重合体の総量100質量部あたり5質量部以上、特に10質量部以上であるのが好ましく、50質量部以下、特に30質量部以下であるのが好ましい。
配合割合が前記範囲未満では、前記高減衰部材の減衰性能を高める効果が十分に得られないおそれがある。
また前記範囲を超える場合には、前記減衰性能が温度によって変化する、いわゆる温度依存性が大きくなって、広い温度範囲で安定した減衰性能を維持できなくなるおそれがある。
これに対し、粘着付与剤の配合割合を前記範囲内とすることで、減衰性能の温度依存性が大きくなるのを抑制しながら、高減衰部材の減衰性能をさらに向上することができる。
〈その他の成分〉
高減衰組成物は、さらに可塑剤を含んでもよい。前記可塑剤としては、例えばミネラルオイルなどの鉱物油、液状ポリイソブチレンなどの低分子量ポリマなどが挙げられる。
可塑剤の配合割合は、高減衰部材のもとになる高減衰組成物の成形品の表面にブリードして、前記成形品を金属部材等と接合して高減衰部材を形成する際の妨げとならない範囲で適宜選択でき、前記2種のブロック共重合体の総量100質量部あたり5質量部以上、中でも10質量部以上、特に15質量部以上であるのが好ましく、80質量部以下、中でも60質量部以下、特に50質量部以下であるのが好ましい。
〈粘着性評価〉
高減衰組成物の粘着性は、下記の方法によって評価することとする。
すなわち、前記の各成分を、容積:0.5Lの密閉式混練機に、充てん率:70%となるように投入して混練して高減衰組成物を作製したのち、得られた高減衰組成物のほぼ全量を、取り出し作業開始から10分間以内に取り出すことができた場合を粘着性なし、粘着性が高い等の理由で10分間を超える時間を要した場合を粘着性ありと評価する。
密閉式混練機の容量、および材料の充てん率を規定するのは、混練後の高減衰組成物の取り出しに要する時間が、これらのパラメータに大きく依存するためである。
《高減衰部材》
本発明の高減衰組成物を用いて形成できる高減衰部材としては、例えばビル等の建造物の基礎に組み込まれる免震用のダンパ、建築物の構造中に組み込まれる制震(制振)用のダンパ、吊橋や斜張橋等のケーブルの制振部材、産業機械や航空機、自動車、鉄道車両等の防振部材、コンピュータやその周辺機器類、あるいは家庭用電機機器類等の防振部材、さらには自動車用タイヤのトレッド等が挙げられる。
本発明によれば、前記S−EPジブロック共重合体、S−IB−Sトリブロック共重合体、非アロマ系可塑剤、および乾式シリカの種類とその組み合わせ、および配合割合を前記範囲内で調整することにより、前記それぞれの用途に適した優れた減衰性能を有する高減衰部材を得ることができる。
〈制震用ダンパ〉
特に本発明の高減衰組成物からなる高減衰部材と、鋼板や鋼管等の鋼製部材とを組み合わせて建築物の構造中に組み込まれる制震用ダンパを形成した場合には、前記のように高減衰部材が減衰性能に優れるため、当該制震用ダンパを小型化したり、1つの建築物に組み込む数を減らしたりできる上、地震の発生によって繰り返し大変形が加えられても減衰性能が大きく低下しないため、当該地震やその後に発生する余震のエネルギーが建築物に伝わるのを確実に防止することができる。
〈減衰性能評価〉
高減衰部材の減衰性能は、下記の測定方法によって求める等価減衰定数Heqの大小で評価することとする。すなわち等価減衰定数Heqが大きいほど、高減衰部材は減衰性能に優れていると判定できる。特に、等価減衰定数Heqは0.25以上、特に0.30以上であるのが好ましい。
(試験体の作製)
特性を評価する高減衰組成物をシート状に押出成形したのち打ち抜いて、図1に示すように円板1(厚み5mm×直径25mm)を作製し、前記円板1の表裏両面に、それぞれシアノアクリレート系接着剤を介して厚み6mm×縦44mm×横44mmの矩形平板状の鋼板2を重ねて積層方向に加圧することで、前記円板1を2枚の鋼板2と接着させて、高減衰部材のモデルとしての減衰性能評価用の試験体3を作製する。
(変位試験)
図2(a)に示すように前記試験体3を2個用意し、前記2個の試験体3を、一方の鋼板
2を介して1枚の中央固定治具4にボルトで固定するとともに、それぞれの試験体3の他方の鋼板2に、1枚ずつの左右固定治具5をボルトで固定する。そして中央固定治具4を、図示しない試験機の上側の固定アーム6に、ジョイント7を介してボルトで固定し、かつ2枚の左右固定治具5を、前記試験機の下側の可動盤8に、ジョイント9を介してボルトで固定する。
次にこの状態で、可動盤8を図中に白抜きの矢印で示すように固定アーム6の方向に押し上げるように変位させて、試験体3のうち円板1を、図2(b)に示すように前記試験体
3の積層方向と直交方向に歪み変形させた状態とし、次いでこの状態から、可動盤8を図中に白抜きの矢印で示すように固定アーム6の方向と反対方向に引き下げるように変位させて、前記図2(a)に示す状態に戻す操作を1サイクルとして、前記試験体3のうち円板
1を繰り返し歪み変形、すなわち振動させた際の、前記試験体3の積層方向と直交方向への円板1の変位量(mm)と荷重(N)との関係を示すヒステリシスループH(図3参照)を求める。
測定は、温度20℃の環境下、前記操作を3サイクル実施して3回目の値を求める。振動の周波数は0.1Hzとする。また円板1を挟む2枚の鋼板2の、前記積層方向と直交方向の最大のずれ量は、前記円板1の厚みに対する百分率(せん断ひずみ率)で表して100%となるように設定する。
次いで、前記測定により求めた図3に示すヒステリシスループHのうち最大変位点と最小変位点とを結ぶ、図中に太線の実線で示す直線L1の傾きKeq(N/mm)を求め、前記傾きKeq(N/mm)と、円板1の厚みT(mm)と、円板1の断面積A(mm2)とから、式(1):
Figure 2014074105
により等価せん断弾性率Geq(N/mm2)を求める。
また図3中に斜線を付して示した、ヒステリシスループHの全表面積で表される吸収エネルギー量ΔWと、同図中に網線を付して示した、前記直線L1と、グラフの横軸と、直線L1とヒステリシスループHとの交点から前記横軸におろした垂線L2とで囲まれた領域の表面積で表される弾性歪みエネルギーWとから、式(2):
Figure 2014074105
により等価減衰定数Heqを求める。
〈減衰性能の温度依存性評価〉
減衰性能の温度依存性は、前記と同じ変位試験を温度0℃の環境下で実施して求める等価せん断弾性率Geq0(N/mm2)と、前記温度20℃の環境下での等価せん断弾性率Geq20(N/mm2)との比Geq0/Geq20の大小で評価することとする。
すなわち比Geq0/Geq20が1に近いほど、減衰性能の温度依存性は小さいと判定できる。特に、比Geq0/Geq20は2.4以下、特に2.2以下であるのが好ましい。
〈耐久性試験〉
高減衰部材の耐久性は、最大変位量を、円板1を挟む2枚の鋼板2の、前記積層方向と直交方向のずれ量が、前記円板1の厚みの300%となるように設定したこと以外は前記変位試験と同様にして、温度20℃の環境下で変位を繰り返した際に、元の円板1の形状を維持できる、すなわち円板1が大きく変形して元の形状に戻らなくなったり破損したりしないサイクル数の大小で評価することとする。
すなわち前記サイクル数が多いほど、高減衰部材は耐久性に優れていると判定できる。特に、サイクル数は25回以上であるのが好ましい。
〈引張特性評価〉
温度20℃の環境下、高減衰組成物を用いて、日本工業規格JIS K6251:2010「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方」に規定されたダンベル状1号形試験片を作製し、前記試験片を用いて、同規格に規定された試験方法に則って試験速度300mm/minの条件で引張試験を実施して、切断時伸びEb(%)を求める。
前記切断時伸びEbは、先に説明したように大きいほど好ましいと判定できる。特に、切断時伸びEbは400%以上であるのが好ましい。
〈実施例1〉
ベースポリマとしてのS−IBジブロック共重合体〔前出の(株)カネカ製のSIBSTAR(登録商標)042D〕20質量部、およびS−IB−Sトリブロック共重合体〔前出の(株)カネカ製のSIBSTAR(登録商標)102T、重量平均分子量Mw:1200,000〕80質量部、および乾式シリカ〔前出の日本アエロジル(株)製のアエロジル(登録商標)200、BET比表面積:200±25m2/g〕30質量部を配合し、密閉式混練機を用いて180℃で混練して高減衰組成物を調製した。
〈実施例2〉
S−IBジブロック共重合体の量を40質量部、S−IB−Sトリブロック共重合体の量を60質量部、そして乾式シリカの量を15質量部としたこと以外は実施例1と同様にして高減衰組成物を調製した。
〈実施例3〉
S−IBジブロック共重合体の量を80質量部、S−IB−Sトリブロック共重合体の量を20質量部、乾式シリカの量を50質量部とし、さらに粘着付与剤としての水素化石油樹脂〔前出の荒川化学工業(株)製のアルコン(登録商標)P−100、軟化点:100±5℃〕20質量部を配合したこと以外は実施例1と同様にして高減衰組成物を調製した。
〈実施例4〉
乾式シリカの量を5質量部としたこと以外は実施例2と同様にして高減衰組成物を調製した。
〈実施例5〉
乾式シリカの量を60質量部としたこと以外は実施例2と同様にして高減衰組成物を調製した。
〈実施例6〉
さらに粘着付与剤としての水素化石油樹脂〔前出の荒川化学工業(株)製のアルコン(登録商標)P−100、軟化点:100±5℃〕5質量部を配合したこと以外は実施例2と同様にして高減衰組成物を調製した。
〈実施例7〉
さらに粘着付与剤としての水素化石油樹脂〔前出の荒川化学工業(株)製のアルコン(登録商標)P−100、軟化点:100±5℃〕50質量部を配合したこと以外は実施例2と同様にして高減衰組成物を調製した。
〈実施例8〉
乾式シリカの量を50質量部としたこと以外は実施例2と同様にして高減衰組成物を調製した。
〈実施例9〉
さらに粘着付与剤としての水素化石油樹脂〔前出の荒川化学工業(株)製のアルコン(登録商標)P−100、軟化点:100±5℃〕10質量部を配合したこと以外は実施例2と同様にして高減衰組成物を調製した。
〈実施例10〉
さらに粘着付与剤としての水素化石油樹脂〔前出の荒川化学工業(株)製のアルコン(登録商標)P−100、軟化点:100±5℃〕30質量部を配合したこと以外は実施例2と同様にして高減衰組成物を調製した。
〈比較例1〉
乾式シリカを配合しなかったこと以外は実施例1と同様にして高減衰組成物を調製した。
〈比較例2〉
乾式シリカに代えて、同量の表面処理炭酸カルシウム〔白石カルシウム(株)製の白艶華(登録商標)DD、合成炭酸カルシウムをロジン酸で表面処理したもの、一次粒子径50nm〕を配合したこと以外は実施例2と同様にして高減衰組成物を調製した。
〈比較例3〉
乾式シリカに代えて、同量の湿式シリカ〔東ソー・シリカ(株)製のNipsil(登録商標)ER、沈殿法シリカ、比表面積90m2/g〕を配合したこと以外は実施例2と同様にして高減衰組成物を調製した。
前記各実施例、比較例で調製した高減衰組成物について、先に説明した粘着性評価、元帥性能評価、減衰性能の温度依存性評価、および引張特性試験を実施して、その特性を評価した。
このうち粘着性は、先に説明した条件で取り出しに要した時間が10分間以内であったものを粘着性なし(○)、10分間を超えたものを粘着性あり(×)と評価した。また減衰性能は、等価減衰定数Heqが0.30以上のものを特に良好、0.30未満でかつ0.25以上のものを良好、0.25未満のものを不良と評価した。減衰性能の温度依存性は、比Geq0/Geq20が2.2以下のものを特に良好、2.2を超えかつ2.4以下のものを良好、2.4を超えるものを不良と評価した。耐久性は、サイクル数が25回以上のものを良好、24回以下のものを不良と評価した。また引張特性は、切断時伸びEbが400%以上のものを良好、400%未満のものを不良と評価した。
以上の結果を表1〜表3に示す。
Figure 2014074105
Figure 2014074105
Figure 2014074105
表1の比較例1の結果より、前記2種のブロック共重合体を併用したものの充填剤を配合しない場合には粘着性が強すぎて、混練後の高減衰組成物を混練機から取り出すのに要する時間が長くかかり、当該高減衰組成物の、ひいては高減衰部材の生産性が低くなることが判った。
また表3の比較例2の結果より、前記2種のブロック共重合体に、充填剤として炭酸カルシウムを配合した場合には、粘着性を抑制できるものの、高減衰部材の減衰性能が大きく低下することが判った。また比較例3の結果より、前記炭酸カルシウムに代えて湿式シリカを配合しても、依然として高減衰部材の減衰性能の低下が見られる上、前記高減衰部材の切断時伸び、および耐久性が大きく低下することが判った。
これに対し、表1〜表3の実施例1〜10の結果より、前記湿式シリカに代えて乾式シリカを配合することにより、粘着性が生じるのを抑制しながら、高減衰部材の減衰性能、切断時伸び、および耐久性を向上できることが判った。
また、特に実施例2、4、5、8の結果より、前記の効果をより一層確実に得るためには、乾式シリカの配合割合は、2種のブロック共重合体の総量100質量部あたり5質量部以上、特に15質量部以上であるのが好ましく、60質量部以下、特に50質量部以下であるのが好ましいことが判った。
また、特に実施例2、3、6、7、9、10の結果より、さらに粘着付与剤を、前記2種のブロック共重合体の総量100質量部あたり5質量部以上、特に10質量部以上で、かつ50質量部以下、特に30質量部以下の割合で配合することにより、減衰性能の温度依存性が大きくなるのを抑制しながら、高減衰部材の減衰性能をさらに向上できることが判った。
1 円板
2 鋼板
3 試験体
4 中央固定治具
5 左右固定治具
6 固定アーム
7、9 ジョイント
8 可動盤
H ヒステリシスループ
Heq 等価減衰定数
1、L2 垂線
W エネルギー
ΔW 吸収エネルギー量

Claims (8)

  1. ベースポリマとして、
    (1) 芳香族ビニル系化合物を構成単位とする重合体ブロック(S)と、イソブチレンを構成単位とする重合体ブロック(IB)とのS−IBジブロック共重合体、および
    (2) 前記重合体ブロック(S)と(IB)とのS−IB−Sトリブロック共重合体、
    の2種のブロック共重合体を併用するとともに、
    乾式シリカを配合してなることを特徴とする高減衰組成物。
  2. 前記S−IB−Sトリブロック共重合体は、重量平均分子量Mwが50,000以上、1,000,000以下である請求項1に記載の高減衰組成物。
  3. 前記乾式シリカは、BET比表面積が50m2/g以上である請求項1または2に記載の高減衰組成物。
  4. 前記乾式シリカを、前記2種のブロック共重合体の総量100質量部あたり5質量部以上、60質量部以下の割合で配合した請求項1ないし3のいずれか1項に記載の高減衰組成物。
  5. 前記乾式シリカを、前記2種のブロック共重合体の総量100質量部あたり15質量部以上、50質量部以下の割合で配合した請求項1ないし4のいずれか1項に記載の高減衰組成物。
  6. さらに粘着付与剤を、前記2種のブロック共重合体の総量100質量部あたり5質量部以上、50質量部以下の割合で配合した請求項1ないし5のいずれか1項に記載の高減衰組成物。
  7. さらに粘着付与剤を、前記2種のブロック共重合体の総量100質量部あたり10質量部以上、30質量部以下の割合で配合した請求項1ないし6のいずれか1項に記載の高減衰組成物。
  8. 前記請求項1ないし7のいずれか1項に記載の高減衰組成物からなる高減衰部材と、鋼製部材とからなることを特徴とする制震用ダンパ。
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