JP2008214398A - 熱伝導性モノマーキャストナイロン成形体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】窒化ホウ素粉体を含むモノマーキャストナイロン成形体であって、該成形体の少なくとも9箇所から成形体片を採取し、該成形体片各々を熱天秤で、室温から500℃まで10℃/分で昇温して求められる灰分の平均値が成形体の総質量に対して10〜34質量%であり、標準偏差が5質量%以下である成形体、但し、前記9箇所は、該成形体の略重心を原点とした空間座標X、Y、Z軸方向夫々の、成形体の両端部及び略中央部の計9箇所である。
【選択図】なし
Description
が、成形体総質量の5質量%以下、好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下、もっとも好ましくは0.5質量%以下である。標準偏差が5質量%以下の成形体中では、窒化ホウ素が均一に分布しており、後述する良好な熱伝導率、さらには成形性を有する。
1)ラクタム95〜98質量部に、アニオン重合助触媒0.25〜0.50質量部、および窒化ホウ素または窒化ホウ素およびグラファイトを11〜36質量部加えて、130〜170℃に加熱する工程、
2)別途、ラクタム2〜5質量部に、アニオン重合触媒0.02〜0.25質量部を添加して、130〜170℃に加熱する工程、
3)工程1)で得られた混合物と、工程2)で得られた混合物を混合する工程、
4)工程3)で得られた混合物を、金型に注入して重合させる工程、
を含み、但し工程2)は工程1)と並行して行ってもよい。
工程1)と2)で使用するラクタムの割合を95/5〜98/2、好ましくは96/4〜97/3にすることによって、窒化ホウ素等が均一に分散された成形体を得ることができる。グラファイトを使用する場合も、同様である。工程1)及び2)における温度は130〜170℃、好ましくは140〜160℃である。該温度が、前記下限値未満では、重合速度が遅いので、窒化ホウ素等充填剤が沈降し易くなり、また、成形体の表面が白くなる外観不良、機械的強度の不足等が起こり得る。一方、前記温度を超えると、重合速度が速くなり、粘度上昇により設備の配管を詰まらせたり、気泡の抜けが悪くなったりする。さらに、工程4)において、金型の温度は予め130〜170、好ましくは140〜160℃に加熱しておく。工程1)において、アニオン重合助触媒は0.25〜0.50質量部、好ましくは0.3〜0.45質量部であり、工程2)におけるアニオン重合触媒の量は、0.02〜0.25、好ましくは0.05〜0.2質量部である。
以下、本発明を、実施例を参照してより詳細に説明する
以下に使用した充填剤(窒化ホウ素、グラファイト、アルミナ、炭化ケイ素)を示す。
(1)窒化ホウ素
窒化ホウ素1.HP−1(商品名)、水島合金鉄(株)製、六方晶系、平均粒径10μm
窒化ホウ素2.HP−1CAW(商品名)、水島合金鉄(株)製、六方晶系、平均粒径16μm
窒化ホウ素3.FS−3(商品名)、水島合金鉄(株)製、六方晶系、平均粒径50μm
窒化ホウ素4.HP−1CA(商品名)、水島合金鉄(株)製、六方晶系、平均粒径16μm、表面処理粉体
(2)グラファイト
グラファイト1.UFG−10(商品名)、昭和電工(株)製、平均粒径5μm
グラファイト2.UFG−C30(商品名)、昭和電工(株)製、平均粒径10μm
(3)アルミナ:AX3−32(商品名)、(株)マイクロン製、平均粒径3.9μm
(4)炭化ケイ素:C05(商品名)、Ceram GmbH
Ingenieurkeramik製、平均粒径4.8μm
(1)熱伝導度
京都電子工業(株)製、固体熱伝導率測定装置QTM−3Dを用いて、非定常伝熱法により測定した。各成形体について3箇所で測定を実施し、その平均値をとった。
(2)体積固有抵抗率
(株)アドバンテスト製、エレクトロメータR8340/Aを用い、JIS K6911に準拠して測定した。
後述する直方体形状の各成形体の、成形方向上部、底部、及び側面中央部の、夫々、3箇所から約15mgの試験片を採取した。該試験片を、TAインストゥルメンツジャパン(株)製、熱天秤装置Q500を用いて、室温から500℃まで、10℃/分で昇温し、最早減量が観測されなくなった480℃における重量から、灰分を求めた。得られた9つのデータの平均値と標準偏差を計算した。
切削加工性は、以下に示す条件により加工した成形体の面粗度を、JIS B0601に準拠して測定することにより評価した。面粗度は、Ra(中心線平均粗さ)を10回の試行により測定し、その値の平均の数値を算出した。
切削加工の条件
評価:同条件切削加工後の加工面粗度測定にて判断(JIS B0601準拠)
加工の種類:フライス加工(縦フライス)
装置:ヤマザキマザック(株) 製 マシニングセンタ V414−22
工具:京セラ(株)製 MSD4580−32 チップ、京セラ(株)製 SDKN 1203AUFN(材質:超硬KW10)工具口径:φ150、刃数:4枚、切削速度:800rpm、送り:0.15mm/rev、切込深さ:1mm
面粗度測定装置
(株)小坂研究所製、サーフコーダ SE−40D
カットオフ値 :λc0.8mm[0.1mm/s]
測定長さ :2.5mm
ステンレス鋼のビーカーに無水のε−カプロラクタム2900gを取り、140〜160℃の温度に加熱し、これにアニオン重合助触媒のヘキサメチレンジイソシアネート11g、表1に示す各種充填剤を同表に示す量(ε−カプロラクタム100質量部当りの質量部)で夫々配合して混合した。但し、比較例1は、充填剤を何も配合しなかった。
一方、別のステンレス鋼のビーカーに無水のε−カプロラクタム100gを採り、これにアニオン重合触媒の水素化ナトリウム(油性63%)を4g加え、140〜160℃の温度に調整した。次いで、これと上記の六方晶窒化ホウ素微粒子が混合されたモノマー液を混合して150〜160℃に予熱された30mm×250mm×400mmの成形金型内に注入し、20分間重合させてから成形体を取り出し、各評価に供した。
参考例2で使用の窒化ホウ素4は、アニオン重合を阻害するタイプの表面処理剤で処理されているものと推測される。
参考例3〜5は、窒化ホウ素を10質量%未満で含むものである。窒化ホウ素は均一に分布しているものの、所望の熱伝導性を得ることはできなかった。
参考例5は、窒化ホウ素を36質量%添加しているので原料の増粘により成形不可能であった。
参考例7、比較例2はグラファイトを過剰に入れた為、所望の電気絶縁性を達成出来なかった。
比較例3、4は、アルミナ、炭化ケイ素を含む。窒化ホウ素よりも多い量配合しても、熱伝導性が不良であり、切削加工性も良くなかった。
これらに対して、実施例1〜3の成形体は、窒化ホウ素が標準偏差5質量%以下で分布しており、良好な熱伝導性、成形性、及び電気絶縁性を備えた。
Claims (9)
- 窒化ホウ素粉体を含むモノマーキャストナイロン成形体であって、該成形体の少なくとも9箇所から成形体片を採取し、該成形体片各々を熱天秤で、室温から500℃まで10℃/分で昇温して求められる灰分の平均値が成形体の総質量に対して10〜34質量%であり、標準偏差が5質量%以下である成形体、但し、前記9箇所は、該成形体の略重心を原点とした空間座標X、Y、Z軸方向夫々の、成形体の両端部及び略中央部の計9箇所である。
- 前記窒化ホウ素粉体の結晶系が、六方晶系であることを特徴とする請求項1記載のモノマーキャストナイロン成形体。
- 前記窒化ホウ素粉体の平均粒径が30μm以下であることを特徴とする請求項1または2項記載のモノマーキャストナイロン成形体。
- グラファイトをさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項記載のモノマーキャストナイロン成形体。
- ナイロンが、ナイロン6、ナイロン12、及びε−カプロラクタムとω−ラウリルラクタムとの共重合ナイロンからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のモノマーキャストナイロン成形体。
- 非定常伝熱法により測定される熱伝導率が、1(W/mK)以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載のモノマーキャストナイロン成形体。
- JIS K6911に準拠して測定される体積固有抵抗率が1013(Ω・cm)以上あることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載のモノマーキャストナイロン成形体。
- 請求項1〜7のいずれか1項記載のモノマーキャストナイロン成形体から得られる二次加工品。
- 下記工程を含む、モノマーキャストナイロン成形体の製造方法
1)ラクタム95〜98質量部に、アニオン重合助触媒0.25〜0.50質量部、および窒化ホウ素または窒化ホウ素およびグラファイトを11〜36質量部加えて、130〜170℃に加熱する工程、
2)別途、ラクタム2〜5質量部に、アニオン重合触媒0.02〜0.25質量部を添加して、130〜170℃に加熱する工程、
3)工程1)で得られた混合物と、工程2)で得られた混合物を混合する工程、及び
4)工程3)で得られた混合物を、金型に注入して重合させる工程、
を含み、但し工程2)は工程1)と並行して行ってもよい。
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