JP2008214240A - 半固形状洗顔剤用組成物 - Google Patents

Abstract

【課題】製剤の保形安定性に優れるとともに、容器からの吐出が良好な半固形状洗顔剤用組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】（Ａ）高級脂肪酸塩、（Ｂ）下記（ａ）と（ｂ）とからなる共重合体およびクロスポリマーの群から選ばれる少なくとも１種、および（Ｃ）ポリエチレングリコールを含有してなる半固形状洗顔剤用組成物とする。
（ａ）（メタ）アクリル酸および／又は（メタ）アクリル酸アルキル
（ｂ）イタコン酸ポリオキシエチレンアルキルエーテル、（メタ）アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はネオデカン酸ビニル
【選択図】なし

Description

本発明は半固形状洗顔剤用組成物に関する。更に詳しくは、製剤の保形安定性および容器からの吐出性に優れる半固形状洗顔剤用組成物に関する。

洗顔剤では、優れた洗浄力とさっぱりとした使用感が得られることから、高級脂肪酸塩が多用されており、その剤型も使用形態の変化から、従来の固形状（所謂、固形石鹸）からチューブなどの容器に収納されている半固形状へと主流が移り変わっている。

高級脂肪酸塩は、室温下で結晶状態となることから、洗浄剤中に高配合することで半固形状の剤型とされている（例えば、特許文献１を参照）。しかしながら、高級脂肪酸塩を高配合とすると、高温保存時に高級脂肪酸塩が液状化して分離が生じやすく、また、低温保存時に高級脂肪酸塩の結晶化による固化が生じ、半固形状の形態を維持しにくいといった問題がある。この問題を解決するためには、高級脂肪酸塩の配合量を抑えることが考えられるが、高級脂肪酸塩の配合量を低配合量とすると、半固形状の形態とすること自体が困難になるといった問題がある。

これまで、安定性を付与し、半固形状の形態を維持する手段としては、例えば、高級脂肪酸と特定の炭素数の多価アルコール２種とを含有するクリーム状洗浄剤組成物（例えば、特許文献２を参照）などが提案されている。

しかしながら、これら試みによって、高温での保形性や保存安定性を得ることはできるものの、低温保存時においては、依然として高級脂肪酸塩の結晶化による固化が生じ、保形安定性に劣るといった問題やチューブなどの容器から吐出し難いといった問題がある。

特開２００２−２５５７８８号公報 特開２００２−１５４９４６号公報

本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであって、高級脂肪酸塩に起因する固化や分離が生じず、製剤の保形安定性に優れるとともに、容器からの吐出が良好な半固形状洗顔剤用組成物を提供することを課題とする。尚、半固形状とは、流動性のないペースト状の状態をいう。

即ち、本発明は、
〔１〕（Ａ）高級脂肪酸塩、（Ｂ）下記（ａ）と（ｂ）とからなる共重合体およびクロスポリマーの群から選ばれる少なくとも１種、および（Ｃ）ポリエチレングリコールを含有してなる半固形状洗顔剤用組成物、
（ａ）（メタ）アクリル酸および／又は（メタ）アクリル酸アルキル
（ｂ）イタコン酸ポリオキシエチレンアルキルエーテル、（メタ）アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はネオデカン酸ビニル
〔２〕（Ｂ）成分が、（メタ）アクリル酸／（メタ）アクリル酸アルキル／（メタ）アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテル共重合体、（メタ）アクリル酸／（メタ）アクリル酸アルキル／イタコン酸ポリオキシエチレンアルキルエーテル共重合体および（メタ）アクリル酸／（メタ）アクリル酸アルキル／（メタ）アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテルクロスポリマーの群から選ばれる少なくとも１種である前記〔１〕記載の半固形状洗顔剤用組成物、
〔３〕（Ｃ）成分の含有量が、１５〜３０重量％である前記〔１〕又は〔２〕に記載の半固形状洗顔剤用組成物、並びに
〔４〕更に、（Ｄ）半合成増粘性高分子を含有してなる前記〔１〕〜〔３〕の何れかに記載の半固形状洗顔剤用組成物
に関する。

本発明の半固形状洗顔剤用組成物は、組成物の固化や分離がなく、低温下でも、高温下でも、半固形状の形態を保持する、製剤の保形安定性に優れた効果を奏する。更に、容器からの吐出性にも優れた効果を奏する。

本発明の半固形状洗顔剤用組成物は、（Ａ）高級脂肪酸塩、（Ｂ）特定の共重合体又はクロスポリマー、および（Ｃ）ポリエチレングリコールを含有する。

（Ａ）成分の高級脂肪酸塩を構成する脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸などの炭素数１２〜２２の高級脂肪酸；オリーブ油、ヤシ油、パーム油、綿実油などの植物性油脂；魚油、牛脂などの動物性油脂などを例示することができる。これら成分は、それぞれ単独で用いてもよく、２種以上を適宜組合せて用いることもできる。好適な（Ａ）成分としては、洗浄力および起泡力の観点から、炭素数１２〜２２の高級脂肪酸を用いるのが好ましく、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸がより好ましく用いられる。

また、高級脂肪酸塩の塩としては、高級脂肪酸をアルカリ剤でケン化、又は中和した、アルカリ金属塩や有機アミン塩などを例示することができる。用いられるアルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどの無機アルカリ；モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどの有機アルカリなどが挙げられる。使用するアルカリ剤としては、材料入手の容易性および取り扱いの簡便性の観点から、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを用いることが好ましい。

本発明の皮膚洗浄剤用組成物に高級脂肪酸塩を含有させるには、高級脂肪酸とアルカリ剤を予め高級脂肪酸塩として調製後に配合してもよく、また、高級脂肪酸とアルカリ剤とを配合して組成物中で高級脂肪酸塩としてもよい。

（Ａ）成分の含有量は、所望の効果が付与されるのであれば特に限定されないが、通常、半固形状にする観点から、高級脂肪酸として組成物中、５重量％以上が好ましく、より好ましくは１０重量％以上である。また、組成物の固化や分離を抑制する観点から、３５重量％以下が好ましく、より好ましくは３０重量％以下である。これらの観点から、（Ａ）成分の含有量は、好ましくは５〜３５重量％、より好ましくは１０〜３０重量％である。

（Ｂ）成分の共重合体又はクロスポリマーは、下記（ａ）と（ｂ）とからなる共重合体およびクロスポリマーの群から選ばれる少なくとも１種である。
（ａ）（メタ）アクリル酸および／又は（メタ）アクリル酸アルキル
（ｂ）イタコン酸ポリオキシエチレンアルキルエーテル、（メタ）アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はネオデカン酸ビニル

（Ｂ）成分の共重合体としは、例えば、（メタ）アクリル酸／（メタ）アクリル酸アルキル／（メタ）アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテル共重合体、（メタ）アクリル酸／（メタ）アクリル酸アルキル／イタコン酸ポリオキシエチレンアルキルエーテル共重合体、（メタ）アクリル酸／（メタ）アクリル酸アルキル／ネオデカン酸ビニルクロスポリマーなどが挙げられる。また、クロスポリマーとしては、例えば、（メタ）アクリル酸／（メタ）アクリル酸アルキル／（メタ）アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテルクロスポリマーなどが挙げられる。尚、重合される酸化エチレンの付加モル数は特に限定されない。また、本明細書において、「（メタ）アクリル」とは、「アクリル」および「メタクリル」の双方を意味する。

具体的には、アクリル酸アルキル／メタクリル酸ポリオキシエチレンセチルエーテル共重合体、アクリル酸アルキル／メタクリル酸ポリオキシエチレンステアリルエーテル共重合体、アクリル酸アルキル／メタクリル酸ポリオキシエチレンべへネスエーテル共重合体、アクリル酸アルキル／イタコン酸ポリオキシエチレンステアリルエーテル共重合体、アクリル酸アルキル／イタコン酸ポリオキシエチレンセチルエーテル共重合体、アクリル酸アルキル／メタクリル酸ポリオキシエチレンステアリルエーテルクロスポリマー、アクリル酸アルキル／ネオデカン酸ビニルクロスポリマーなどを例示することができる。これら成分は、それぞれ単独で用いてもよく、２種以上を適宜組合せて用いることもできる。好適な（Ｂ）成分としては、アクリル酸アルキル／メタクリル酸ポリオキシエチレンステアリルエーテル共重合体、アクリル酸アルキル／メタクリル酸ポリオキシエチレンべへネスエーテル共重合体、アクリル酸アルキル／イタコン酸ポリオキシエチレンステアリルエーテル共重合体、アクリル酸アルキル／イタコン酸ポリオキシエチレンセチルエーテル共重合体、アクリル酸アルキル／メタクリル酸ポリオキシエチレンステアリルエーテルクロスポリマーを用いるのが好ましい。

（Ｂ）成分は、通常、塩基性物質で中和して用いられる。塩基性物質としては、例えば、トリエタノールアミン、モノエタノールアミンなどのアルカノールアミン類、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機塩基、アルギニンなどの塩基性アミノ酸などが例示される。また、塩基性物質の添加量は、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体を中和するのに充分な量であり、これら成分の種類や使用量に応じて適宜配合すればよい。

（Ｂ）成分の含有量は、所望の効果が付与されるのであれば特に限定されないが、通常、半固形状にする観点から、組成物中、０．０１重量％以上が好ましく、より好ましくは０．１重量％以上である。また、容器からの吐出を良好にする観点から、３重量％以下が好ましく、より好ましくは２重量％以下である。これらの観点から、（Ｂ）成分の含有量は、好ましくは０．０１〜３重量％、より好ましくは０．１〜２重量％である。

尚、上記（Ｂ）成分は、市販品を用いることもできる。（メタ）アクリル酸／（メタ）アクリル酸アルキル／（メタ）アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテル共重合体の市販品としては、例えば、アキュリン２２、２８（商品名，いずれもローム・アンド・ハース社製）などを例示することができる。（メタ）アクリル酸／（メタ）アクリル酸アルキル／イタコン酸ポリオキシエチレンアルキルエーテル共重合体の市販品としては、例えば、ＳＴＲＵＣＴＵＲＥ２００１、３００１（商品名，いずれもナショナルスターチ社製）などを例示することができる。（メタ）アクリル酸／（メタ）アクリル酸アルキル／（メタ）アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテルクロスポリマーの市販品としては、例えば、アキュリン８８（商品名，ローム・アンド・ハース社製）などを例示することができる。

（Ｃ）成分の含有量は、保形安定性を付与する観点から、組成物中、１５重量％以上が好ましく、より好ましくは１８重量％以上である。また、容器からの吐出不良を抑制する観点から、３０重量以下が好ましく、より好ましくは２７重量％以下である。これらの観点から、（Ｃ）成分の含有量は、好ましくは１５〜３０重量％、より好ましくは１８〜２７重量％である。尚、（Ｃ）成分の分子量は、特に限定されないが、平均分子量２００〜４０００のものを好適に用いることができる。

また、本発明の半固形状洗顔剤用組成物には、（Ｄ）半合成増粘性高分子を含有させることができる。用いられる半合成増粘性高分子としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセロース、ニトロセルロース、結晶セルロースなどのセルロース系増粘性高分子；アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステルなどのアルギン酸系増粘性高分子；可溶性デンプン、カルボキシメチルデンプン、メチルデンプンなどのデンプン系増粘性高分子などを例示することができる。これら成分は、それぞれ単独で用いてもよく、２種以上を適宜組合せて用いることもできる。中でも、セルロース系増粘性高分子を好適に用いることができる。

（Ｄ）成分の含有量は、所望の効果が付与されるのであれば特に限定されないが、通常、保形安定性を向上させる観点から、組成物中、０．０１重量％以上が好ましく、より好ましくは０．１重量％以上である。また、容器からの吐出を良好にする観点から、３重量％以下が好ましく、より好ましくは２重量％以下である。これらの観点から、（Ｂ）成分の含有量は、好ましくは０．０１〜３重量％、より好ましくは０．１〜２重量％である。

本発明に係る半固形状洗顔剤用組成物には、本発明の効果を損なわない範囲であれば、上記に記した成分の他、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、１，３−ブチレングリコール、グリセリン、濃グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、グルコース、マルトース、マルチトール、スクロース、マンニトール、ソルビトール、１，２−ペンタンジオール、１，２−ヘキサンジオール、１，２−オクタンジオールなどの上記（Ｃ）成分以外の多価アルコール、ｌ−メントールなどの清涼剤、界面活性剤、抗酸化剤、金属封鎖剤、シリコーン類、ビタミン類、動植物抽出エキス、パール化剤、着色剤、スクラブ剤、各種香料、防腐剤、水などを目的に応じて適宜配合してもよい。

尚、本発明の半固形状洗顔剤用組成物の商品形態は、特に限定されないが、ポンプ容器、チューブ容器などに充填した商品形態とすることができる。なかでも、半固形状の剤の吐出性に優れるチューブ容器による商品形態とすることが好ましい。

以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。尚、配合量は特記しない限り「重量％」を表す。

（試料の調製）
表１および表２に記した組成に従い、実施例１〜５及び比較例１〜５の皮膚洗浄剤用組成物を調製し、下記評価試験に供した。結果をそれぞれ表１および表２に併記する。

（試験例１；保形安定性の評価）
各実施例および各比較例で得られた半固形状洗顔剤用組成物を広口容器に充填し、−３℃、２５℃、４０℃の恒温槽にそれぞれ２週間保管後、系の状態を目視観察して、以下の評価基準に従って評価した。

＜保形安定性の評価基準＞
◎：ペースト状の形状を保持している
○：ペースト状の形状を保持するが、表面に僅かな固化、又は、分離が認められる
△：ペースト状の形状を保持しておらず、表面に明らかな固化、又は、液体の離液、液動化が認められる
×：固化、又は分離している

（試験例２；吐出性の評価）
各実施例および各比較例で得られた半固形状洗顔剤用組成物をチューブ容器に充填し、−３℃、２５℃、４０℃の恒温槽にそれぞれ２週間保管後、チューブ容器からの吐出性について、以下の評価基準に従って評価した。

＜吐出性の評価基準＞
○：吐出し易い
△：吐出し難い
×：固化により吐出できない、又は、分離により吐出口から漏れる

表１および表２の結果から、各実施例の半固形状洗顔剤用組成物は、各比較例のものと対比して、広い温度領域で半固形状の形態を保持しており、優れた製剤の保形安定性を有し、チューブ容器からの吐出性に優れていることが分かる。

以下、本発明に係る半固形状洗顔剤用組成物の処方例を示す。尚、配合量は重量％である。

（処方例１）
ラウリン酸 ５．５
ミリスチン酸 ５．５
パルミチン酸 ３．５
ステアリン酸 ９．０
モノステアリン酸ポリエチレングリコール（１５０Ｅ．Ｏ．） ５．０
アクリル酸アルキル／メタクリル酸ポリオキシエチレンステアリルエーテル
共重合体 １．０
ポリエチレングリコール４００ ２０．０
ヒドロキシメチルセルロース ０．５
プロピレングリコール ３．０
濃グリセリン １０．０
水酸化カリウム ５．０
ｌ−メントール 適 量
エデト酸塩 適 量
植物抽出エキス 適 量
香料 適 量
精製水 残 部
合 計 １００．０

（処方例２）
ラウリン酸 ５．０
ミリスチン酸 ６．０
パルミチン酸 ４．０
ステアリン酸 ９．０
ジステアリン酸ポリエチレングリコール（１５０Ｅ．Ｏ．） ５．０
アクリル酸アルキル／イタコン酸ポリオキシエチレンセチルエーテル共重合体
１．０
ポリエチレングリコール１５００ ２０．０
ヒドロキシプロピルセルロース ０．５
ジプロピレングリコール ４．０
グリセリン ８．０
水酸化カリウム ５．０
エデト酸塩 適 量
植物抽出エキス 適 量
香料 適 量
精製水 残 部
合 計 １００．０

本発明の半固形状洗顔剤用組成物は、低温から高温の広い温度領域において、製剤の固化や分離がなく、半固形状の形態を保持し優れた保形安定性を有し、良好に吐出することができるものであるから、寒暖の変化が大きい洗面所や浴槽内における洗顔剤として好適に使用することができる。

Claims (4)

1. （Ａ）高級脂肪酸塩、（Ｂ）下記（ａ）と（ｂ）とからなる共重合体およびクロスポリマーの群から選ばれる少なくとも１種、および（Ｃ）ポリエチレングリコールを含有してなる半固形状洗顔剤用組成物。
   （ａ）（メタ）アクリル酸および／又は（メタ）アクリル酸アルキル
   （ｂ）イタコン酸ポリオキシエチレンアルキルエーテル、（メタ）アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はネオデカン酸ビニル
2. （Ｂ）成分が、（メタ）アクリル酸／（メタ）アクリル酸アルキル／（メタ）アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテル共重合体、（メタ）アクリル酸／（メタ）アクリル酸アルキル／イタコン酸ポリオキシエチレンアルキルエーテル共重合体および（メタ）アクリル酸／（メタ）アクリル酸アルキル／（メタ）アクリル酸ポリオキシエチレンアルキルエーテルクロスポリマーの群から選ばれる少なくとも１種である請求項１に記載の半固形状洗顔剤用組成物。
3. （Ｃ）成分の含有量が、１５〜３０重量％である請求項１又は２に記載の半固形状洗顔剤用組成物。
4. 更に、（Ｄ）半合成増粘性高分子を含有してなる請求項１〜３の何れかに記載の半固形状洗顔剤用組成物。