JP4357431B2

JP4357431B2 - ペースト状皮膚洗浄料

Info

Publication number: JP4357431B2
Application number: JP2005022169A
Authority: JP
Inventors: 謙太郎安達
Original assignee: Shiseido Co Ltd
Current assignee: Shiseido Co Ltd
Priority date: 2005-01-28
Filing date: 2005-01-28
Publication date: 2009-11-04
Anticipated expiration: 2025-01-28
Also published as: JP2006206525A; CN1839787A

Description

本発明は、良好な水溶けと起泡性を有し、保存安定性に優れるペースト状皮膚洗浄料に関する。

皮膚洗浄料基剤は、脂肪酸アルカリ金属塩（脂肪酸石鹸）を主成分とした基剤が主流であり、使用時の簡便性を考慮してペースト状の剤型としたものが市場で好評である。

脂肪酸石鹸系皮膚洗浄料基剤をペースト化する技術としては、処方中に多価アルコール（例えば、２価グリコール、ポリエチレングリコールなど）を高配合して石鹸ゲルを軟化せしめる方法（例えば、特許文献１参照）や、脂肪酸石鹸量そのものを減じて系の粘度を低下させペースト化させるのが一般である。

しかしながら多価アルコールを高配合してペースト化せしめた場合には使用時の水溶け性が劣るという欠点があり、脂肪酸石鹸量そのものを減じてペースト化させた場合には起泡性が低下するという欠点があった。

特公平６−３１４１２号公報

本発明は、良好な水溶けと起泡性を有し、保存安定性に優れる、脂肪酸石鹸系のペースト状皮膚洗浄料を提供することを目的とする。

上記課題を解決するために本発明は、（ａ）高級脂肪酸石鹸を２５〜５０質量％、（ｂ）エチルアルコールを２〜８質量％、（ｃ）水、および（ｄ）多価アルコールを含有する（ただし純米醸造酒、およびゴカヒ抽出物を実質的に含まない）、ペースト状皮膚洗浄料を提供する。

また本発明は、（ａ）成分を構成する高級脂肪酸が炭素原子数１２〜１８の脂肪酸である、上記ペースト状皮膚洗浄料を提供する。

本発明により、良好な水溶けと起泡性を有し、保存安定性に優れる、脂肪酸石鹸系のペースト状皮膚洗浄料が得られる。

以下、本発明について詳述する。

本発明の（ａ）成分としての高級脂肪酸石鹸に用いられる高級脂肪酸としては、炭素原子数１２以上の脂肪酸が好ましく用いられ、さらに好ましくは炭素原子数１２〜１８の脂肪酸である。具体的には、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等が挙げられる。これら脂肪酸は１種または２種以上が用いられる。

高級脂肪酸石鹸の対イオンとしては、ナトリウム、カリウム、トリエタノールアミン等が挙げられる。

本発明における高級脂肪酸石鹸とは、高級脂肪酸の一部または全部を塩基で中和したものをいう。本発明では、中和せずに未反応のまま残っているフリーの高級脂肪酸が存在していてもかまわない。特には、中和率が３０〜１００％であることが、系中のｐＨの安定性の点で好ましい。本発明において高級脂肪酸石鹸の配合量とは、脂肪酸と、脂肪酸の一部〜全部を中和する塩基との総量をいう。

本発明において高級脂肪酸石鹸は、例えば高級脂肪酸と上記対イオンを含むアルカリ水溶液等を他成分とともに混合し、系中で高級脂肪酸石鹸を生成する等の方法によって得ることができるが、この方法に限定されるものでないことはもちろんである。

（ａ）成分の配合量は、本発明の皮膚洗浄料中、２５〜５０質量％であり、好ましくは２５〜４５質量％である。配合量が２５質量％未満では、商品として十分な起泡力を得ることが難しく、一方、５０質量％を超えるとペースト状の剤型処方設計が困難となる。

本発明の（ｂ）成分としての低級アルコールとしては、炭素原子数１〜３のアルコールが好ましく、皮膚洗浄料としてはエチルアルコールが最も好ましい。

（ｂ）成分の配合量は、本発明の皮膚洗浄料中、２〜８質量％である。配合量が２質量％未満では（ａ）成分を２５質量％以上含む基剤をペースト化せしめることができず、一方、８質量％超では、室温ではペースト状を保持できるものの、高温下での保管安定性が不良となる。

本発明の（ｃ）成分としての水は残部配合される。

本発明では上記（ａ）成分、（ｃ）成分を含む高級脂肪酸系洗浄料に、従来ペースト化のために多量の多価アルコール（例えば、２価グリコール、ポリエチレングリコールなど）を配合していたが、多価アルコールの一部に代えて、（ｂ）成分を２〜８質量％配合することによって、良好な水溶け、起泡性、保存安定性に優れるペースト状皮膚洗浄料を得ることができた。

本発明ではさらに（ｄ）多価アルコールを配合する。（ｄ）成分としては、例えば、グリセリン、ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、マルチトール（ソルビット、マビット等）、ポリエチレングリコール（３００、４００、１０００、１５００）など）などが挙げられるが、これら例示に限定されるものでない。（ｄ）成分を配合する場合、その配合量は（ａ）成分の配合量や、用いる脂肪酸のバランス等によっても異なるため一概に定め難いが、本発明では２５質量％以下程度とするのが好ましく、特には２０質量％程度以下とするのが好ましい。配合量の下限値は特に限定されるものでないが、５質量％程度以上とするのが好ましい。

なお本発明において「ペースト状」とは、室温（２５℃）においてペースト状（糊状）を呈することを意味する。より具体的には、本願発明では、下記に記載する方法にて測定上限である硬度２００以下であることを目安とした。硬度はカードメーター（飯尾電機製）で測定した。カードメーター測定条件は、感圧軸８φ、荷重２００ｇを用いた。感圧軸が試料の平らな表面より内部に侵入し始めた時点の目盛りの数値をもって硬度とした。

本発明のペースト状皮膚洗浄料基剤には、上記成分の他に、通常皮膚洗浄料に添加し得る成分を、本発明の効果を損なわない範囲において、任意に添加することができる。かかる成分として、緩衝剤（例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウムなど）、キレート剤（例えば、ＥＤＴＡなど）、色素、香料などが挙げられるが、これら例示に限定されるものでない。

以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれによってなんら限定されるものではない。配合量は特記しない限りすべて質量％である。

まず、本実施例で行った評価方法について説明する。
≪評価方法≫

［製造時の粘度］
製造時、スリーワンモーター（ＨＥＩＤＯＮ社性：回転数０〜８００ｒｐｍ）にて攪拌中、中和後６０℃から９０℃の状態で系全体の様子を観察した状態を表す。
（評価）
○：系全体が液状、若しくは一部が半固形状であってもで、十分に全体が均一に攪拌でき得る状態であり、次工程への移行がスムーズに行われることが可能な状態
△：系全体が半固形状態であるが、無理をすれば次工程への移行が可能な状態
×：系全体が固化し、次工程への移行が行えないため、ペースト状洗浄料が得られない状態

［使用時の水溶け］
直径１ｃｍ、０．５ｍｍ間隔で深さ０．５〜２．５ｍｍの異なる５種の溝を５列、計２５個の溝を開けたアクリル版を用意し、これら溝に試料を詰めた。一定水流を流しながら、１分間ごとに５分間観察した。１列ごとに、試料が残らず溶け出した穴の合計をカウントし、５列のデータを平均することによって水溶けのよさを数値化した（点数：０〜２５）。点数は高い方がより水溶けがよい。
（評価）
○：点数１５〜２５（水溶けが早い）
△：点数７〜１５（水溶けがやや遅い）
×：点数７未満（水溶けが遅い）

［起泡性］
被験試料の１％水溶液（ＣａＣｌ_２７０ｐｐｍ硬水）を調製し、３０００ｍｌのガラスカップミキサーにて、４５００ｒｐｍで６０ｓｅｃ攪拌した後の泡量を測定し、以下の通り評価した。
（評価）
○：泡立ち良好（泡量１８００ｍｌ以上２０００ｍｌ未満）
×：泡立ち不良（泡量１６００ｍｌ未満）

［４０℃保管後性状］
４０℃、６ヶ月の保管状態を、化粧品の品質保証期限である３年間保管状態（室温）の加速試験として代用した。
（評価）
○：状態良好
△：状態やや不良
×：状態不良（軟化や離水状態が著しく製品としてふさわしくない）

（実施例１〜４、比較例１〜３）
下記表１に示す配合組成からなる試料を調製し、上記評価方法、評価基準により、製造時の粘度、使用時の水溶け、起泡性、４０℃の保管後性状について評価した。結果を表１に示す。なお実施例３、４は参考例として示す。

表１の結果から明らかなように、実施例１〜２では製造時の粘度、使用時の水溶け、起泡性、４０℃保管後性状につき良好な結果が得られ、本願発明の十分な効果をすべて併せもつことができたが、比較例１〜３、実施例３〜４（＝参考例）では、本願発明の十分な効果を併せもつことはできなかった。

以下にさらに処方例を示す。以下において「処方例２」は欠番とする。

［処方例１］
（配合成分）（配合量）
ラウリン酸６
ミリスチン酸５
パルミチン酸１０
ステアリン酸１０
水酸化カリウム５．６
グリセリン５
ポリエチレングリコール（３００）８
ジプロピレングリコール４
エチルアルコール８
グリセリンモノオレート０．５
ココイルメチルタウリンナトリウム５
塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体０．５
（１０％水溶液。ナルコ社製「マーコート５５０」）
植物抽出液適量
防腐剤適量
金属封鎖剤適量
香料適量
精製水残余

［処方例３］
（配合成分）（配合量）
ラウリン酸４
ミリスチン酸１０
パルミチン酸３
ステアリン酸９
水酸化カリウム４．６
グリセリン６
ポリエチレングリコール（３００）５
ブチレングリコール７
エチルアルコール５
グリセリンモノオレート１
ココイルグリシンナトリウム４
アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体１
（２．８％水溶液。ナルコ社製「マーコートプラス３３３１」）
植物抽出液適量
防腐剤適量
金属封鎖剤適量
香料適量
精製水残余

［処方例４］
（配合成分）（配合量）
ラウリン酸５
ミリスチン酸１５
パルミチン酸６
ステアリン酸１４
水酸化カリウム７．６
ソルビトール４
ジプロピレングリコール１２
ブチレングリコール４
エチルアルコール６
ココイルメチルタウリンナトリウム１
コカミドアミドプロピルベタイン８
植物抽出液適量
防腐剤適量
金属封鎖剤適量
香料適量
精製水残余

［処方例５］
（配合成分）（配合量）
ミリスチン酸２０
パルミチン酸５
ステアリン酸５
水酸化カリウム５．６
ソルビトール１０
ポリエチレングリコール（１５００）５
エチルアルコール３
グリセリンモノオレート３
ココイルメチルタウリンナトリウム２
ココイルグリシンナトリウム２
カチオン化グアガム１
植物抽出液適量
防腐剤適量
金属封鎖剤適量
香料適量
精製水残余

Claims

（ａ）高級脂肪酸石鹸を２５〜５０質量％、（ｂ）エチルアルコールを２〜８質量％、（ｃ）水、および（ｄ）多価アルコールを含有する（ただし純米醸造酒、およびゴカヒ抽出物を実質的に含まない）、ペースト状皮膚洗浄料。
（ａ）成分を構成する高級脂肪酸が炭素原子数１２〜１８の脂肪酸である、請求項１記載のペースト状皮膚洗浄料。