JP2008213682A - 船舶用自動操舵装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】横滑り特性を考慮した参照航路を用いることによって、計画した旋回軌跡に乗せることができる船舶用自動操舵装置を提供する。
【解決手段】参照信号発生器12は、誘導システム22から曲線航路の計画航路が入力されると、その旋回条件を求め、旋回条件に合致する参照方位ψR及び参照角速度rRを発生する参照方位発生部30と、船体の方位を参照方位ψRに合致させるためのフィードフォワード舵角δFFを出力するフィードフォワード制御器32と、船体の舵角によって発生する参照横滑り角βRを発生する参照横滑り角発生部34と、船体の参照速度を発生する参照速度発生部36と、船体の参照位置を発生する参照位置発生部38と、旋回開始位置と操舵開始位置との間の距離であるリーチを演算するリーチ演算部40と、を備える。
【選択図】図2
【解決手段】参照信号発生器12は、誘導システム22から曲線航路の計画航路が入力されると、その旋回条件を求め、旋回条件に合致する参照方位ψR及び参照角速度rRを発生する参照方位発生部30と、船体の方位を参照方位ψRに合致させるためのフィードフォワード舵角δFFを出力するフィードフォワード制御器32と、船体の舵角によって発生する参照横滑り角βRを発生する参照横滑り角発生部34と、船体の参照速度を発生する参照速度発生部36と、船体の参照位置を発生する参照位置発生部38と、旋回開始位置と操舵開始位置との間の距離であるリーチを演算するリーチ演算部40と、を備える。
【選択図】図2
Description
本発明は、航路制御系の船舶用自動操舵装置に関し、旋回時に横滑り角を考慮することにより計画航路に追跡させることができる船舶用自動操舵装置に関する。
船舶用自動操舵装置は、舵角を制御して設定方位に船首方位を追従させる方位制御系(Heading Control System HCS)と、計画航路に船体位置を追跡させる航路制御系(Tracking Control System TCS)とに分けられる。航路制御系はGPSの精度向上に伴い電子海図情報表示装置と連結して誘導航法に利用されてきている。
一般的な航路制御系の船舶用自動操舵装置は、図1に示すように参照信号発生器12、軌道航路誤差演算器14、フィードバック制御器16及び加算器17を備える。誘導システム22からの計画航路に基づき参照信号発生器12が出力する参照方位ψRと参照位置xR、yRと、センサから検出される方位ψと位置x、yとの誤差を軌道航路誤差演算器14が求める。フィードバック制御器16は、主として保針時にその誤差から船体の方位と位置とを追跡させるべくフィードバック舵角δFBを出力する。また、旋回時には参照信号発生器12からフィードフォワード舵角δFFが出力される。加算器17は、フィードバック舵角δFBとフィードフォワード舵角δFFとを加算して指令舵角δcを船体の操舵機に出力する。計画航路は、直線と円弧の曲線とから定められる。
航路制御系のフィードバック制御系の制御時定数は方位制御系の制御時定数より長く、且つ、旋回時間は方位制御系の時定数より通常短いので、旋回で生じた航路誤差は、旋回中にフィードバック制御系で収斂させることは難しい。
ところで、船体は操舵によって、方位軸回りに旋回角速度を発生するのと同時に船体横方向に対水の反力による横滑り速度を発生させる。そのため、この横滑り特性により、旋回半径一定の計画航路に対して船体軌跡は計画した円弧状にならず航路誤差を生じる。また、方位は操舵を開始してから船体時定数が大きいためにすぐには変針しない。そのため旋回の操舵開始位置と旋回開始位置とに距離(リーチ(Reach)と呼ぶ)が生じる。リーチの見積りを誤ると航路誤差になるため、リーチ量、操舵量を調整する必要がある。
一方、本願発明者は、方位制御系において、船首方位を参照方位に遅れなく追従させることができる参照方位とフィードフォワード制御との技術を特許文献1、非特許文献1及び特願2006−98695で提案している。
羽根冬希,航路軌跡生成のための参照針路の設計方法,第6回計測自動制御学会制御部門大会,2006
特開平8−207894号公報
そこで、本発明は、既に提案する船首方位を参照方位に遅れなく追従させることができる参照方位とフィードフォワード制御を基礎にし、横滑り特性を考慮することによって、計画旋回の軌跡に乗せることができる船舶用自動操舵装置を提供することをその目的とする。
かかる目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の発明は、センサで検出された船速が入力され船体の参照方位及び参照位置を出力する参照信号発生器と、該参照信号発生器からの参照方位及び参照位置と、センサで検出された船体の方位及び位置から方位誤差及び位置誤差を演算する軌道航路誤差演算器と、該方位誤差及び位置誤差から船体の方位と位置とを追跡させるべくフィードバック舵角を出力するフィードバック制御器とを備え、前記参照信号発生器は、前記参照方位を出力する参照方位発生部と、旋回時に参照方位からフィードフォワード舵角を演算するフィードフォワード制御器とを備えており、前記フィードバック舵角と前記フィードフォワード舵角とによって操舵を行わせる船舶用自動操舵装置において、
前記参照信号発生器は、さらに、参照方位ψRの時間微分である参照角速度rRから
前記参照信号発生器は、さらに、参照方位ψRの時間微分である参照角速度rRから
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の前記フィードフォワード制御器が、
請求項3に記載の発明は、計画航路に基づき参照方位を発生すると共に、旋回時に参照方位からフィードフォワード舵角を演算して開ループ制御を行う参照信号発生器を備えて、該フィードフォワード舵角によって操舵を行わせる船舶用自動操舵装置において、
旋回開始位置と操舵開始位置との距離を演算するリーチ演算部を備え、該リーチ演算部は、計画航路から得られる旋回半径、旋回角から参照方位ψRを求め、参照方位ψRの時間微分である参照角速度rRから
旋回開始位置と操舵開始位置との距離を演算するリーチ演算部を備え、該リーチ演算部は、計画航路から得られる旋回半径、旋回角から参照方位ψRを求め、参照方位ψRの時間微分である参照角速度rRから
前記リーチ演算部によって演算されたリーチから操舵開始点を決定する、ことを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3記載の前記リーチ演算部が、前記船速Uとして、現在の船速に対して前回の旋回時における船速低下に基づき修正した船速を用いることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項4記載の前記修正した船速は、ypeakに到達する時間tpeakにおけるx位置に基づき行うことを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1または2に記載の前記参照方位発生部が、船速に応じて修正した旋回角速度を用いて参照方位を出力することを特徴とする。
本発明によれば、操舵によって発生する対水の反力による横滑り角を考慮して、参照横滑り角を求めており、該参照横滑り角に基づき参照位置を決めることによって、船体の旋回運動を、計画航路の軌跡に極めて自然に追跡させることができる。
請求項2記載の発明によれば、船体パラメータTS3を含めた伝達特性をフィードフォワード制御器に持たせることで、より現実の船体に即したモデルとして、参照方位に船首方位を遅れなく追従させることができる。
請求項3記載の発明によれば、参照方位及び参照横滑り角から、旋回開始位置と操舵開始位置との距離であるリーチを適切に求めることができる。
請求項4及び5記載の発明によれば、船速低下に基づくリーチの変動を修正することができる。
請求項6記載の発明によれば、船速低下によって旋回軌跡が内側に巻き込まれるのを防いで、航路誤差の発生を防ぐことができる。
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
図1は、船舶用自動操舵装置と制御対象の全体のブロック図である。既述のように、船舶用自動操舵装置10は、計画航路に船体位置を追跡させるために舵を制御する装置であり、参照信号発生器12、軌道航路誤差演算器14、フィードバック制御器16、加算器17及び各パラメータを同定する図示しない同定器を備えている。誘導システム22から計画航路及びセンサ類26のスピードログからの船速Uが参照信号発生器12に入力され、参照信号発生器12からは参照方位ψR、参照位置xR、yR及び旋回時にはフィードフォワード舵角δFFが出力される。
図1は、船舶用自動操舵装置と制御対象の全体のブロック図である。既述のように、船舶用自動操舵装置10は、計画航路に船体位置を追跡させるために舵を制御する装置であり、参照信号発生器12、軌道航路誤差演算器14、フィードバック制御器16、加算器17及び各パラメータを同定する図示しない同定器を備えている。誘導システム22から計画航路及びセンサ類26のスピードログからの船速Uが参照信号発生器12に入力され、参照信号発生器12からは参照方位ψR、参照位置xR、yR及び旋回時にはフィードフォワード舵角δFFが出力される。
軌道航路誤差演算器14には、ジャイロコンパスからの船首方位ψ、GPS等からの位置(x,y)といったセンサ類26からの検出信号が入力され、軌道航路誤差演算器14は、前記参照方位ψR、参照位置xR、yRとの比較を行い方位誤差ψe、位置誤差yeを出力する。
誘導システム22から与えられる計画航路は、直線航路の場合は開始位置と終端位置とから決定され、曲線航路の場合は旋回の開始位置(直線航路の終端位置に相当する)と終端点(旋回半径と旋回角で決まり、直線航路の開始位置に相当する)とで規定される。
参照信号発生器12は、図2に示すように、誘導システム22から曲線航路の計画航路が入力されると、その旋回条件を求め、旋回条件に合致する参照方位ψR及び参照角速度rRを発生する参照方位発生部30と、船体方位を参照方位ψRに遅れなく追従させるためのフィードフォワード舵角δFFを出力するフィードフォワード制御器32と、船体の舵角によって発生する参照横滑り角βRを発生する参照横滑り角発生部34と、船体の参照速度を発生する参照速度発生部36と、船体の参照位置を発生する参照位置発生部38と、旋回開始位置と操舵開始位置との間の距離であるリーチを演算するリーチ演算部40と、を備える。
旋回時、フィードフォワード舵角δFFは指令舵角として操舵機に送出され、操舵機は、指令舵角に比例した舵角を動かすため、船体は舵角によって旋回角速度を生じ方位、位置が変化する。旋回角速度の発生と共に、斜航角即ち横滑り速度(横滑り角)が発生する。この横滑り角の参照横滑り角を参照横滑り角発生部34で求めて、参照横滑り角を考慮した参照位置を決定する。以下、上記構成の詳細について説明する。
1.運動方程式
1.1 座標系
航路制御系で用いる座標系は、図3に示すように、以下の座標系から構成する。
・対地系:緯度経度座標系で、GPSからの位置出力(x、y)に相当する。
・参照系:対地座標系で、誘導システム22により生成され指定された対地航路の位置と針路(計画航路)とからなる。
・船体系:運動座標系で、船体の重心を原点とし、船首方位をX軸とし、船体運動を定める。
尚、座標系の回転極性は右ネジ方向を正とし、Z軸方向は重力方向を正とする。座標系はX軸、Y軸の2次元を用いる。
1.1 座標系
航路制御系で用いる座標系は、図3に示すように、以下の座標系から構成する。
・対地系:緯度経度座標系で、GPSからの位置出力(x、y)に相当する。
・参照系:対地座標系で、誘導システム22により生成され指定された対地航路の位置と針路(計画航路)とからなる。
・船体系:運動座標系で、船体の重心を原点とし、船首方位をX軸とし、船体運動を定める。
尚、座標系の回転極性は右ネジ方向を正とし、Z軸方向は重力方向を正とする。座標系はX軸、Y軸の2次元を用いる。
図4に示すように、操舵時に旋回角速度と共に発生する横滑り速度vは、v=−Usinβ≒−Uβ(β:横滑り角))と表される。
軌道航路誤差演算器14で算出される位置誤差と方位誤差(添字e)は図3より参照系に対する対地系の位置x,yおよび方位ψの誤差を表し
になる。xe、yeは船体重心GからXR、YR軸にそれぞれ垂線を下ろした距離に、ψeは偏差に相当する。航路制御系は、前進方向の位置誤差xeは制御せず、横方向の位置誤差yeを制御するものとする。
1.2 船体の運動方程式
前記制御対象である船体モデルを定めるために、船体の運動方程式を導出する。船体の運動方程式は、前進方向を除き、横方向と方位軸回りとの運動を扱うので、
前記制御対象である船体モデルを定めるために、船体の運動方程式を導出する。船体の運動方程式は、前進方向を除き、横方向と方位軸回りとの運動を扱うので、
を用いる。ここで、Mx、Myは、それぞれx、y方向の付加質量を含んだ質量を、Izはz軸回りの付加慣性モーメントを含んだ慣性モーメントを、Y、Nはそれぞれy方向の流体力、z軸まわりの流体モーメントを示す。’は時間微分を表し、添字は対応する変数を意味する。変数U、v、r、δはそれぞれ前進速度、横滑り速度、旋回角速度、舵角を表す。
(2)式を整理すると、
(2)式を整理すると、
(5)式より、横方向の横流れ速度とヨー軸回りの旋回角速度との運動方程式は同一の形でかつ舵角による入力係数が異なるだけである。ここで、特許文献1で利用する方位制御系における船体モデル、
を参照し(KsとTs 、Ts3は操縦性指数で旋回力ゲインと2つの時定数)、(5)式において、実用的見地からs2項による影響は無視できるためにのs2項を省略する。また、船舶用自動操舵装置は、舵角を通して制御量を入力するので、制御変数は角度単位の方が都合がよいため、横滑り速度vを横滑り角βに変換すると、制御対象の船体モデルが
(2)式はテーラー展開で1次の項までを考慮しているが、大きな変針角や旋回角速度に対応するためには、非線形項までを考慮する必要がある。その場合には、(9)式の運動方程式は、
1.3 位置の運動方程式
船体の位置は船体運動と潮流速度とからの対地速度を積分することで求めることができる。船体速度は対水速度を基に前進速度uと横流れ速度vとからなり、潮流速度は大きさと方向から定める。
船体の位置は船体運動と潮流速度とからの対地速度を積分することで求めることができる。船体速度は対水速度を基に前進速度uと横流れ速度vとからなり、潮流速度は大きさと方向から定める。
船体運動は舵角δを取ると角速度r=ψ’を生じるが、同時に横流れ速度v=y’も生じる。その様子を図4を用いて説明する。同図のように定常に旋回しているときまたは参照系が接線方位に一致しているとき、船体系は横すべり角βだけ内側に傾いて釣り合う。このとき船体速度の対地速度(ux,uy)成分は
2 旋回軌道
2.1 横滑り角特性
船体の横滑り速度を角度換算した横滑り角が半径一定旋回に及ぼす影響を説明する。簡単化のため船速Uは変化せず、旋回開始位置を原点とし、初期方位、Ts3、Tβ3はゼロ、潮流速度はゼロとする。(12)式より、
2.1 横滑り角特性
船体の横滑り速度を角度換算した横滑り角が半径一定旋回に及ぼす影響を説明する。簡単化のため船速Uは変化せず、旋回開始位置を原点とし、初期方位、Ts3、Tβ3はゼロ、潮流速度はゼロとする。(12)式より、
になる。よってξη軸から見ると上式は中心ξ=0、η=Rで半径Rの円になっている。この結果、横滑り速度または横滑り角があるとき、旋回運動の軌跡は中心x=0、y=Rで半径Rの旋回円を横すべり角βだけ原点回りに座標回転したものと等価になる。ただし回転方向は時計回り(CW)方向旋回では反時計方向またはβ<0になり、反時計回り(CCW)方向旋回では時計方向またはβ>0になる。
図5を用いて、以上の横滑り角特性を説明すると、同図において対地座標系XYで中心C(0,R)、半径Rの細線の円が計画航路を示している。太線の円は、横滑り角βだけ原点回りに回転した回転座標系ξηにおける細線の円に対応している。横滑り角の存在のために、細線の円の計画航路に対して、太線の円上を航跡することになる。このとき太線の航路に関して
1. 半径は細線の航路と同じであるが、中心はCβ=R(sinβ,cosβ)に移動する
2. 軌跡は一度旋回方向と反対側に移動する。その移動量はxβ=Cβx,yβ=−R+Cβyになる。さらにxの最大位置はxβ+R=R(sinβ+1)になる
3. 対地系の針路θは方位ψからξη系回転角βだけずれ,θ=ψ-βになる。θはβ回転した円の接線方向になり、θによる旋回は円軌道を描く。ψはβだけ内側に傾くことで横滑り速度を相殺する
なる特性をもつ。
1. 半径は細線の航路と同じであるが、中心はCβ=R(sinβ,cosβ)に移動する
2. 軌跡は一度旋回方向と反対側に移動する。その移動量はxβ=Cβx,yβ=−R+Cβyになる。さらにxの最大位置はxβ+R=R(sinβ+1)になる
3. 対地系の針路θは方位ψからξη系回転角βだけずれ,θ=ψ-βになる。θはβ回転した円の接線方向になり、θによる旋回は円軌道を描く。ψはβだけ内側に傾くことで横滑り速度を相殺する
なる特性をもつ。
この横滑り角特性から、半径一定旋回に関する移動量xβ,yβについて説明する。βを微小角とすると
になる。ここでβ≒CKr、CK=Kβ /Ks、r=U/Rとしている。これよりxβはCKを乗じた船速Uに比例するが、半径Rや角速度rに無関係であるのに対して、yβはC2 Kを乗じた旋回加速度Urに比例するので、旋回条件の影響を受ける、ことが分かる。
数値例を挙げると、CK=30[s],U=20[knot],R=1500[m]のとき、
数値例を挙げると、CK=30[s],U=20[knot],R=1500[m]のとき、
2.2 参照方位
船体の方位ψは、特許文献1、非特許文献1または特願2006−98695で示される方位制御系の変針制御系を利用すると参照方位ψRに追従させることができる。
船体の方位ψは、特許文献1、非特許文献1または特願2006−98695で示される方位制御系の変針制御系を利用すると参照方位ψRに追従させることができる。
参照信号発生器12に入力される信号は、計画航路と船速U、出力は参照方位ψR、参照位置xR、yR、フィードフォワード舵角δFFとなる。
参照方位発生部30は、誘導システム22から曲線航路の計画航路が入力されると、旋回条件である旋回半径R、変針量Δψを求める。この旋回条件から、指定角速度r0が決定する。また、これ以外の旋回条件として、船体パラメータTs、Ks,TS3、T3β、CK=Kβ /K(これらの船体パラメータは既定値であるか、または同定器によって旋回する毎に同定される)、船体運動の初期角加速度C1a、初期角速度C2a、最大舵角δ0、舵速度の上限値δ’RH、δ’RLなどがある。
そして、この旋回条件を満足する参照方位を算出する。この算出にあたっては、特許文献1または特願2006−98695で提案する軌道演算部を利用することができ、軌道演算部は、船舶の所望される変針量に対して参照方位を加速モード、等速モード及び減速モードに分けて出力し、その際に、変針量に応じて最大舵速度を決定し、演算される参照方位に基づきフィードフォワード制御器32から出力されるフィードフォワード舵角の舵速度が前記決定された最大舵速度を超えないように、各モードの参照方位を演算して、参照方位ψR、参照角速度rR(rR=sψR(s))を出力する。具体的には、次のようにすることができる。
加速モードにおける参照方位の2回微分、1回微分、参照方位は、次のように表すことができる。
等速モードにおける参照方位の2回微分、1回微分、参照方位は、次のように表すことができる。
減速モードにおける参照方位の2回微分、1回微分、参照方位は、次のように表すことができる。
ここで、等速時間Tv(初期角加速度C1aと初期角速度C2aがゼロであればTv=Taとなる)と減速時間Tdとの比率を等減速比Rvdとする。即ち、
等速時の角速度r0(=Taβa/6)=U/Rが指定されており、加速時間Ta、加速定数βa及びRvdを決定すれば、各係数は決まり、各モードにおける参照針路ψRを求めることができる。
以降、初期角加速度C1aと初期角速度C2aがゼロとすると、加速時間Taと加速定数βaと、最大舵速度δ’Rとの関係は、
また、変針量から最大舵速度を決定し、演算される参照針路に基づきフィードフォワード制御器から出力されるフィードフォワード舵角の舵速度が前記決定された最大舵速度を超えないように、且つ最大舵角を超えないように、Ta、βaを決定し、各モードの参照針路を演算する。
まとめると、特願2006−98695で提案する参照方位ψRは、具体的には、
フィードフォワード制御器32は、参照方位ψRに対して、船体モデルの特性からフィードフォワード舵角δFFを
2.3 参照針路と参照位置
2.1で説明した横滑り角特性を考慮して参照針路と参照位置とを定める。旋回中に生じた航路誤差を収斂することができる程、航路制御系のフィードバック系は迅速に動作できないから、航路誤差を生じさせない旋回方式を構成するようにする必要があるが、上記で説明したように、横滑り特性のため航路位置が計画航路から外れる。そこで、横滑り角特性を考慮した参照針路を用いた参照位置を用いれば航路誤差は生じない。よって参照針路θRは参照方位ψRと参照横滑り角βRとから
2.1で説明した横滑り角特性を考慮して参照針路と参照位置とを定める。旋回中に生じた航路誤差を収斂することができる程、航路制御系のフィードバック系は迅速に動作できないから、航路誤差を生じさせない旋回方式を構成するようにする必要があるが、上記で説明したように、横滑り特性のため航路位置が計画航路から外れる。そこで、横滑り角特性を考慮した参照針路を用いた参照位置を用いれば航路誤差は生じない。よって参照針路θRは参照方位ψRと参照横滑り角βRとから
参照横滑り角発生部34は、参照横滑り角βRを発生する。参照横滑り角βRは、船体モデルから
つまり、航路制御系で利用する参照針路θRは、方位制御系の参照方位ψRと船体の横滑り特性から構成した参照横滑り角βRとを合わせたものとなり、参照位置は参照針路を用いた対地系参照速度を積分したものになる。
2.4 リーチ計算
リーチは旋回のための操舵を初めてから、船体が旋回方向に回頭するまでの船首方向の移動距離である。船体は慣性力が大きいため舵を切ってもすぐには移動を開始しない。そのため船体運動を考慮して事前に操舵を始める必要がある。このリーチと、リーチを考慮した実際の操舵開始とにずれがあるとそのまま位置誤差になる。
リーチは旋回のための操舵を初めてから、船体が旋回方向に回頭するまでの船首方向の移動距離である。船体は慣性力が大きいため舵を切ってもすぐには移動を開始しない。そのため船体運動を考慮して事前に操舵を始める必要がある。このリーチと、リーチを考慮した実際の操舵開始とにずれがあるとそのまま位置誤差になる。
前述した参照針路θRと参照位置xR、yRとを用いることにより、船体位置は参照位置に追跡することが期待できるので、旋回前に事前に参照位置を計算により求めることにより、操舵開始から旋回を開始するまでのリーチを求めることができる。但し、この計算は、旋回前に行なうため、船速は予定値になる。尚、実時間の参照位置の計算は実時間の船速を用いて計算する。
ここでは簡単化のため船速は一定とする。旋回時の位置関係を図6に示す。同図においてO点は操舵の開始位置を、C点は参照方位の半径一定旋回の中心を、Cβ点は参照横滑りを考慮した参照針路の半径一定旋回の中心を、ypeakは横滑り速度による移動変化を、xpeakはO点からypeakまでの位置すなわちリーチを示す。
リーチ演算部40は次の手順でリーチを求める。
1.誘導システム22の計画航路から得られる旋回条件(旋回半径R、旋回角Δψ、旋回開始位置)から式(19)を用いて参照方位ψRを求め、(21)式、(22)式から参照位置xR,yRを計算する
2.求めたxR、yRからypeakを求め、旋回の逆方向に最大に移動するypeak に対応するxpeakを取り出し、リーチとする
となる。
1.誘導システム22の計画航路から得られる旋回条件(旋回半径R、旋回角Δψ、旋回開始位置)から式(19)を用いて参照方位ψRを求め、(21)式、(22)式から参照位置xR,yRを計算する
2.求めたxR、yRからypeakを求め、旋回の逆方向に最大に移動するypeak に対応するxpeakを取り出し、リーチとする
となる。
2.5 船速修正
今まで旋回時の船速Uは一定として扱っていた。船速は船首方向に大きな慣性力を持つ船体において操舵によって直ちに減速することはないが、操舵による舵抵抗の増加や船首速度の横方向速度への変換などのために徐々に低下し一定状態に釣り合う。また船速信号は対水速度計により取得し、その誤差は波や泡の影響により10%程度あると考えられる。船速低下は予想値である参照針路及びリーチに誤差を生じさせるために、その見積りの仕方は重要である。船速変化による航路誤差への影響はypeakを境にして分けられる。ypeakに達するまではリーチ誤差に影響し、ypeak以降は航路誤差に影響する。従って、船速変化による航路誤差の対策は以下のように行う。
今まで旋回時の船速Uは一定として扱っていた。船速は船首方向に大きな慣性力を持つ船体において操舵によって直ちに減速することはないが、操舵による舵抵抗の増加や船首速度の横方向速度への変換などのために徐々に低下し一定状態に釣り合う。また船速信号は対水速度計により取得し、その誤差は波や泡の影響により10%程度あると考えられる。船速低下は予想値である参照針路及びリーチに誤差を生じさせるために、その見積りの仕方は重要である。船速変化による航路誤差への影響はypeakを境にして分けられる。ypeakに達するまではリーチ誤差に影響し、ypeak以降は航路誤差に影響する。従って、船速変化による航路誤差の対策は以下のように行う。
2.5.1 リーチ誤差
即ち、参照針路およびリーチは旋回前に設定する必要があるので、その際船速低下をモデル化し、それを設定計算に組み込めばよい。船速低下は舵操舵の大きさ(舵角の大きさとその印加時間)に比例するとすれば、旋回角速度の大きさにも比例していると仮定することができる。船速モデルを変針開始時からypeakまでの時間で
即ち、参照針路およびリーチは旋回前に設定する必要があるので、その際船速低下をモデル化し、それを設定計算に組み込めばよい。船速低下は舵操舵の大きさ(舵角の大きさとその印加時間)に比例するとすれば、旋回角速度の大きさにも比例していると仮定することができる。船速モデルを変針開始時からypeakまでの時間で
2.5.2. 航路誤差
旋回半径Rを一定に保つためには、船速と角速度との比
旋回半径Rを一定に保つためには、船速と角速度との比
2.6 数値計算例
航路制御系の旋回運動において、参照横滑り角を参照方位に考慮した参照針路の効果をシミュレーションによって検証する。船体パラメータはKs=0.027[1/s]、Kβ3=30Ks,Ts=17.5[s],Ts3=0.1[s],Tβ3=0.03[s]で,旋回条件は北進後位置(1500,0)で90度旋回、U=20[knot]一定、R=1500[m]、r=0.393[deg/s]である。
シミュレーションの内容を下表にまとめ、その結果を図7から図11に示す。
航路制御系の旋回運動において、参照横滑り角を参照方位に考慮した参照針路の効果をシミュレーションによって検証する。船体パラメータはKs=0.027[1/s]、Kβ3=30Ks,Ts=17.5[s],Ts3=0.1[s],Tβ3=0.03[s]で,旋回条件は北進後位置(1500,0)で90度旋回、U=20[knot]一定、R=1500[m]、r=0.393[deg/s]である。
シミュレーションの内容を下表にまとめ、その結果を図7から図11に示す。
図7から図11において、WOPは操舵開始点、Planed Pathは計画航路、Referred Pathは参照位置による参照航路、Actual pathは船体の航路である。図9において、船体位置は計画位置に対して30[m]程度の真の誤差をもつが、参照位置に対してほぼ一致している。真の航路誤差は
ここで、参照信号発生器12からフィードバック制御系の軌道航路誤差演算器14に供給される参照位置xR、yRは、計画航路上の位置ではなく、参照位置発生部38から演算されるものとなっている。もちろん参照位置発生部38から演算される参照位置ではなく、計画航路上の位置を参照位置として参照信号発生器12から軌道航路誤差演算器14に供給することも可能であるが、物理現象に逆らうことになるため、好ましくは、参照位置発生部38から演算される参照位置とするのが良い。
こうして、適切なリーチ設定および参照方位に参照横滑り角を考慮した参照針路を用いることにより、船体の旋回運動が計画した航路軌跡に自然に航跡することが分かる。
10 自動操舵装置
12 参照信号発生器
30 参照方位発生部
32 フィードフォワード制御器
34 参照横滑り角発生部
38 参照位置発生部
12 参照信号発生器
30 参照方位発生部
32 フィードフォワード制御器
34 参照横滑り角発生部
38 参照位置発生部
Claims (6)
- センサで検出された船速が入力され船体の参照方位及び参照位置を出力する参照信号発生器と、該参照信号発生器からの参照方位及び参照位置と、センサで検出された船体の方位及び位置から方位誤差及び位置誤差を演算する軌道航路誤差演算器と、該方位誤差及び位置誤差から船体の方位と位置とを追跡させるべくフィードバック舵角を出力するフィードバック制御器とを備え、前記参照信号発生器は、前記参照方位を出力する参照方位発生部と、旋回時に参照方位からフィードフォワード舵角を演算するフィードフォワード制御器とを備えており、前記フィードバック舵角と前記フィードフォワード舵角とによって操舵を行わせる船舶用自動操舵装置において、
前記参照信号発生器は、さらに、参照方位ψRの時間微分である参照角速度rRから
ψR−βRと船速Uを用いて、
前記参照速度を積分することにより前記参照位置を出力する参照位置発生部と、
を備えることを特徴とする船舶用自動操舵装置。 - 計画航路に基づき参照方位を発生すると共に、旋回時に参照方位からフィードフォワード舵角を演算して開ループ制御を行う参照信号発生器を備えて、該フィードフォワード舵角によって操舵を行わせる船舶用自動操舵装置において、
旋回開始位置と操舵開始位置との距離を演算するリーチ演算部を備え、該リーチ演算部は、計画航路から得られる旋回半径、旋回角から参照方位ψRを求め、参照方位ψRの時間微分である参照角速度rRから
ψR−βRと船速Uを用いて、
前記リーチ演算部によって演算されたリーチから操舵開始点を決定する、ことを特徴とする船舶用自動操舵装置。 - 前記リーチ演算部は、前記船速Uとして、現在の船速に対して前回の旋回時における船速低下に基づき修正した船速を用いることを特徴とする請求項3記載の船舶用自動操舵装置。
- 前記修正した船速は、ypeakに到達する時間tpeakにおけるx位置に基づき求めることを特徴とする請求項4記載の船舶用自動操舵装置。
- 前記参照方位発生部は、船速に応じて修正した旋回角速度を用いて参照方位を出力することを特徴とする請求項1または2に記載の船舶用自動操舵装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007054667A JP2008213682A (ja) | 2007-03-05 | 2007-03-05 | 船舶用自動操舵装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2009157517A1 (ja) | 2008-06-25 | 2009-12-30 | 矢崎総業株式会社 | ワイヤハーネス配索構造及びワイヤハーネス平型化用バンド |
JP2012210941A (ja) * | 2006-03-31 | 2012-11-01 | Tokyo Keiki Inc | 船舶用自動操舵装置 |
JP2013056658A (ja) * | 2011-08-12 | 2013-03-28 | Tokyo Keiki Inc | 船舶用自動操舵装置 |
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-
2007
- 2007-03-05 JP JP2007054667A patent/JP2008213682A/ja not_active Withdrawn
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